JPH05271130A - (ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体、その製造方法及び(ペルフルオロデカリン)アルコール体の製造方法 - Google Patents

(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体、その製造方法及び(ペルフルオロデカリン)アルコール体の製造方法

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JPH05271130A
JPH05271130A JP1348093A JP1348093A JPH05271130A JP H05271130 A JPH05271130 A JP H05271130A JP 1348093 A JP1348093 A JP 1348093A JP 1348093 A JP1348093 A JP 1348093A JP H05271130 A JPH05271130 A JP H05271130A
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JP1348093A
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Masahiro Iwahara
昌宏 岩原
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 界面活性剤、揆水揆油剤、フッ素樹脂、フッ
素ゴムの合成原料などとして有用な(ペルフルオロデカ
リン)アルコール体の中間原料に好適に用いられる(ペ
ルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体、及びこの
エステル体から該(ペルフルオロデカリン)アルコール
体の製造方法を提供すること。 【構成】 一般式(I) 【化1】 で表される(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステ
ル体、及び一般式(II)、(III) 【化2】 【化3】 で表されるナフタレン誘導体をフッ素化して、それぞれ
一般式(I)におけるnが0及び1の(ペルフルオロデ
カリン)カルボン酸エステル体を製造する方法、並びに
上記一般式(I)の化合物を還元して、一般式(IV) 【化4】 で表される(ペルフルオロデカリン)アルコール体を製
造する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な(ペルフルオロデ
カリン)カルボン酸エステル体、その製造方法及び(ペ
ルフルオロデカリン)アルコール体の製造方法に関する
ものである。さらに詳しくいえば、本発明は、界面活性
剤,撥水撥油剤原料、さらにはフッ素樹脂やフッ素ゴム
の合成原料などとして有用な(ペルフルオロデカリン)
アルコール体の中間原料等として好適に用いられる(ペ
ルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体、このもの
を効率よく製造する方法、及び該(ペルフルオロデカリ
ン)アルコール体を効率よく製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、フッ素原子はほとんどの元素と結
合し、大きな結合エネルギーをもつことに加え、大きさ
が水素原子よりも少し大きく、酸素と同程度であるた
め、他のハロゲン原子と異なり、有機化合物の水素原子
を順次フッ素原子で置き換えることが可能であることが
知られている。したがって、低フッ素化物から高度にフ
ッ素化された高フッ化物に至るまで、各種の多様な優れ
た物性をもつ有機フッ素化合物を製造することができ
る。特に、高フッ化物は、炭素鎖をフッ素原子で囲むよ
うな構造となっているため、外部からの試薬などの攻撃
をむずかしくし、また同種の分子や他種の分子間の相互
作用を弱くするという機能をもつ。このような高フッ化
物は、一般に熱的及び化学的安定性,電気特性,界面活
性,表面特性などに特徴を有している。一方、低フッ化
物は生理活性の面で著しい特性を示す。したがって、有
機フッ素化合物の応用分野としては、界面活性剤,撥水
撥油剤,離型剤,フッ素オイル,不活性液体,フッ素樹
脂,フッ素ゴム,フッ素系塗料,フッ素系シリコーンな
どが挙げられ、さらに、最近では農・医薬中間体や医療
用素材などとしても注目されている。このように、有機
フッ素化合物の応用分野は極めて広いため、新規な有機
フッ素化合物の開発研究が積極的になされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、界面活性
剤,撥水撥油剤の原料として有用であり、さらにはフッ
素樹脂などとして有用な(ペルフルオロデカリン)アル
コール体の中間原料などとして好適に用いられる新規な
(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体、その
製造方法及び該(ペルフルオロデカリン)アルコール体
の製造方法を提供することを目的としてなされたもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有
する(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体が
上記の好ましい性質を有する(ペルフルオロデカリン)
アルコール体の中間原料として有用であること、そして
このカルボン酸エステル体は特定の構造を有するナフタ
レン誘導体をフッ素化したのち、脂肪族飽和アルコール
を反応させることにより得られること、さらに、該(ペ
ルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体を還元する
ことにより、該(ペルフルオロデカリン)アルコール体
が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基
づいて完成したものである。すなわち、本発明は、一般
式(I)
【0005】
【化7】
【0006】〔式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基
を示し、nは0又は1を示す。〕で表される(ペルフル
オロデカリン)カルボン酸エステル体、及びこの(ペル
フルオロデカリン)カルボン酸エステル体を還元するこ
とを特徴とする一般式(VII)
【0007】
【化8】
【0008】〔式中、nは前記と同じ意味である。〕で
表される(ペルフルオロデカリン)アルコール体の製造
方法を提供するものである。また、上記一般式(I)で
表される(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル
体の中で、一般式(II)
【0009】
【化9】
【0010】〔式中、R1 は前記と同じ意味である。〕
で表される(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステ
ル体は、一般式(IV) 又は(IV')
【0011】
【化10】
【0012】〔式中、R2 は水素原子又は炭素数1〜6
のアルキル基を示す。〕で表されるナフタリン誘導体を
フッ素化剤でフッ素化したのち、一般式(V) R1 −OH ・・・(V) 〔式中、R1 は前記と同じ意味である。〕で表される飽
和脂肪族アルコールを反応させることにより製造するこ
とができる。さらに、一般式(III)
【0013】
【化11】
【0014】〔式中、R1 は前記と同じ意味をもつ。〕
で表される(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステ
ル体は、一般式(VI)又は(VI')
【0015】
【化12】
【0016】〔式中、R3 は水素原子又は炭素数1〜6
のアルキル基を示す。〕で表されるナフタレン誘導体を
フッ素化剤でフッ素化したのち、上記一般式(V)で表
される飽和脂肪族アルコールを反応させることにより、
製造することができる。本発明の(ペルフルオロデカリ
ン)カルボン酸エステル体は、文献未載の新規化合物で
あって、上記一般式(I)においてnが0の場合の一般
式(II)
【0017】
【化13】
【0018】〔式中、R1 は前記と同じ意味である。〕
で表されるアルコキシカルボニル−ペルフルオロデカリ
ンと、該nが1の場合の一般式(III)
【0019】
【化14】
【0020】〔式中、R1 は前記と同じ意味である。〕
で表されるアルコキシカルボニルジフルオロメチル−ペ
ルフルオロデカリンとに分類することができる。また、
上記一般式(II) におけるアルコキシカルボニル基及び
一般式(III) におけるアルコキシカルボニルジフルオロ
メチル基の結合位置は、それぞれペルフルオロデカリン
環の1位及び2位のいずれであってもよい。すなわち、
本発明の(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル
体は、1−アルコキシカルボニル−ペルフルオロデカリ
ン、2−アルコキシカルボニル−ペルフルオロデカリ
ン、1−アルコキシカルボニルジフルオロメチル−ペル
フルオロデカリン及び2−アルコキシカルボニルジフル
オロメチル−ペルフルオロデカリンを包含する。次に、
これらの(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル
体の製造方法について説明する。
【0021】上記一般式(II) で表されるアルコキシカ
ルボニル−ペルフルオロデカリンは、本発明の方法に従
えば次に示す方法によって製造することができる。すな
わち、一般式(IV) 又は(IV')
【0022】
【化15】
【0023】〔式中、R2 は前記と同じ意味である。〕
で表されるナフタレン誘導体をフッ素ガスやフッ化水素
などのフッ素化剤を用いてフッ素化したのち、上記一般
式(V)で表される飽和脂肪族アルコールを反応させる
ことにより、一般式(II) で表されるアルコキシカルボ
ニル−ペルフルオロデカリンが得られる。
【0024】上記一般式(IV)で表されるナフタレン誘
導体としては、例えばギ酸ナフチルメチル,酢酸ナフチ
ルメチル,プロピオン酸ナフチルメチル,酪酸ナフチル
メチル,吉草酸ナフチルメチルなどが挙げられる。ま
た、一般式(IV')で表されるナフタレン誘導体として
は、例えばナフタレンカルボン酸,ナフタレンカルボン
酸メチル,ナフタレンカルボン酸エチル,ナフタレンカ
ルボン酸プロピル,ナフタレンカルボン酸ブチル,ナフ
タレンカルボン酸アミルなどが挙げられる。さらに上記
一般式(V)で表される飽和脂肪族アルコールとして
は、例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノー
ル,イソプロパノール,各種ブタノール,各種ペンタノ
ール,各種ヘキサノール,シクロヘキサノールなどが挙
げられる。
【0025】上記一般式(IV)又は(IV')で表されるナ
フタレン誘導体をフッ素化する際、溶媒は用いなくても
よいが、例えばクロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレ
ン,トリフルオロ酢酸,クロロフルオロエーテル,フロ
ン−113(1,1,2−トリクロロ−1,2,2−ト
リフルオロエタン)など、分子中にハロゲン原子を含む
溶媒を用いるのが有利である。特にフロン−113が反
応性及び経済性の面から好適に用いられる。フッ素化す
る際の反応温度は通常−50℃〜100℃、好ましくは
−20℃〜30℃の範囲で選ばれる。この温度が−50
℃未満では反応速度が遅すぎて実用的でないし、100
℃を超えると反応物の分解が顕著となるため、好ましく
ない。
【0026】一方、上記一般式(III)で表されるアルコ
キシカルボニルジフルオロメチル−ペルフルオロデカリ
ンは、本発明の方法に従えば次に示す方法によって製造
することができる。すなわち、一般式(VI) 又は(VI')
【0027】
【化16】
【0028】〔式中、R3 は前記と同じ意味である。〕
で表されるナフタレン誘導体をフッ素ガスやフッ化水素
などのフッ素化剤を用いてフッ素化したのち、上記一般
式(V)で表される飽和脂肪族アルコールを反応させる
ことにより、一般式(III)で表されるアルコキシカルボ
ニルジフルオロメチル−ペルフルオロデカリンが得られ
る。
【0029】上記一般式(VI) で表されるナフタレン誘
導体としては、例えばナフチル酢酸, ナフチル酢酸メチ
ル, ナフチル酢酸エチル, ナフチル酢酸プロピル, ナフ
チル酢酸ブチル, ナフチル酢酸ペンチル, ナフチル酢酸
ヘキシルなどが挙げられる。また一般式(VI')で表され
るナフタレン誘導体としては、例えば蟻酸2−ナフチル
エチル, 酢酸2−ナフチルエチル, プロピオン酸2−ナ
フチルエチル, 酪酸2−ナフチルエチル, 吉草酸2−ナ
フチルエチル, カプロン酸2−ナフチルエチルなどが挙
げられる。該一般式(VI) 又は(VI')で表されるナフタ
レン誘導体のフッ素化は、上記一般式(II)で表されるア
ルコキシカルボニル−ペルフルオロデカリンの製造にお
いて説明した方法と同様な方法によって行うことができ
る。次に、一般式(VII)
【0030】
【化17】
【0031】〔式中、nは0又は1を示す。〕で表され
る(ペルフルオロデカリン)アルコール体の製造方法に
ついて説明する。この(ペルフルオロデカリン)アルコ
ール体は、本発明の方法に従えば、一般式(I)
【0032】
【化18】
【0033】〔式中、R1 及びnは前記と同じ意味であ
る。〕で表される(ペルフルオロデカリン)カルボン酸
エステル体を還元することにより、得られる。さらに詳
しく説明すると、上記一般式(II) で表されるアルコキ
シカルボニル−ペルフルオロデカリンを還元することに
より、一般式(VIII)
【0034】
【化19】
【0035】で表されるヒドロキシメチル−ペルフルオ
ロデカリンが得られ、上記一般式(III)で表されるアル
コキシカルボニルジフルオロメチル−ペルフルオロデカ
リンを還元することにより、一般式(IX)
【0036】
【化20】
【0037】で表される(2−ヒドロキシ−1,1−ジ
フルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンが得られる。
上記(ペルフルオロデカリン)カルボン酸エステル体の
還元反応においては、還元剤として水素化リチウムアル
ミニウム,水素化ホウ素ナトリウム,ナトリウム水素化
ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムなどの金属
水素化物、特に水素化リチウムアルミニウムが好ましく
用いられる。また水素ガスも用いることができる。該金
属水素化物を用いて還元する場合は、通常エーテル溶媒
中において、−80℃〜20℃の範囲の温度で行われ
る。一方、水素ガスを用いて還元する場合は、通常適当
な溶媒中において、ルテニウムカーボン,ロジウムカー
ボン,白金カーボン,パラジウムカーボンなどの水添触
媒の存在下で行われる。
【0038】なお、上記一般式(VII)で表される(ペル
フルオロデカリン)アルコール体は、エステル体でな
く、対応する遊離のカルボン酸体を、上記と同様に還元
することによっても得られる。すなわち、一般式(X)
【0039】
【化21】
【0040】で表されるペルフルオロデカリンカルボン
酸の還元によって、該一般式(VIII)で表されるヒドロ
キシメチル−ペルフルオロデカリンが得られ、一般式
(XI)
【0041】
【化22】
【0042】で表される(ペルフルオロデカリル)ジフ
ルオロ酢酸の還元によって、該一般式(IX) で表される
(2−ヒドロキシ−1,1−ジフルオロ)エチル−ペル
フルオロデカリンが得られる。しかし、遊離のカルボン
酸体の還元よりも、本発明の方法のカルボン酸エステル
体の還元の方が収率及び操作の点などで有利である。ま
た、上記ペルフルオロデカリンカルボン酸及び(ペルフ
ルオロデカリル)ジフルオロ酢酸は、それぞれ、一般式
(II) で表されるアルコキシカルボニル−ペルフルオロ
デカリン及び一般式(III)で表されるアルコキシカルボ
ニルジフルオロメチル−ペルフルオロデカリンの製造に
おいて、一般式(V)で表される飽和脂肪族アルコール
の代わりに水を用いることにより、または(ペルフルオ
ロデカリン)カルボン酸エステル体の加水分解により得
ることができる。
【0043】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0044】実施例1(1−メトキシカルボニル−ペル
フルオロデカリンの製造) フロン113溶媒450g中に、酢酸1−ナフチルメチ
ル7gを入れ、これに0℃にてフッ素ガスを吹き込んで
フッ素化反応を行った。次いで、この反応系にメタノー
ル30gを添加して反応を行ったところ、1−メトキシ
カルボニル−ペルフルオロデカリンが収率80%で得ら
れた。このものの赤外線(IR)スペクトルを図1に、
プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルを図2
に、同位体フッ素による核磁気共鳴(19F−NMR)ス
ペクトルを図3に、ガスクロマトグラフ−マススペクト
ル(GC−MS)分析結果を図4にそれぞれ示す。図1
のIRスペクトルより、カルボニル基(C=O),メチ
ル基(CH3)及びC−F結合の存在を確認した。図2の
1H−NMRスペクトルよりメトキシカルボニル基(−
COOCH3)に由来するHの存在を確認した。図3の19
F−NMRスペクトルより炭素に2つのフッ素が結合し
た部分と炭素に1つのフッ素が結合した部分と存在比
(CF2 :CF)がほぼ14:3であることを確認し
た。さらに、図4のGC−MSより分子量が502であ
ることを確認した。
【0045】実施例2(1−メトキシカルボニルジフル
オロメチル−ペルフルオロデカリンの製造) フロン113溶媒450g中に、1−ナフチル酢酸メチ
ル7gを入れ、これに0℃にてフッ素ガスを吹き込んで
フッ素化反応を行った。次いで、この反応系にメタノー
ル30gを添加して反応を行ったところ、1−メトキシ
カルボニルジフルオロメチル−ペルフルオロデカリンが
収率75%で得られた。このものの赤外線(IR)スペ
クトルを図5に、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)ス
ペクトルを図6に、同位体フッ素による核磁気共鳴(19
F−NMR)スペクトルを図7に、ガスクロマトグラフ
−マススペクトル(GC−MS)分析結果を図8に示
す。図5のIRスペクトルより、カルボニル基(C=
O),メチル基(CH3)及びC−F結合の存在が確認さ
れた。図6の 1H−NMRスペクトルより、メトキシカ
ルボニル基(−COOCH3)に由来する水素の存在が確
認された。図7の13F−NMRスペクトルより、C
2 :CFが16:3であることがわかった。さらに、
図8のGC−MSより、分子量が552であることがわ
かった。
【0046】実施例3(1−ヒドロキシメチル−ペルフ
ルオロデカリンの製造) ジエチルエーテル10ミリリットルに、水素化リチウム
アルミニウム(LiAlH4)0.69gを懸濁させ、−7
8℃に冷却した。これに、実施例1で得られた1−メト
キシカルボニル−ペルフルオロデカリン3gをジエチル
エーテル5ミリリットルで希釈した溶液を10分間かけ
て滴下した。滴下後、約1時間かけてゆっくり20℃に
昇温した。反応後、過剰のLiAlH4 を処理し、硫酸
にて酸性にしたのち、エーテル層を濃縮したところ、1
−ヒドロキシメチル−ペルフルオロデカリンが収率70
%で得られた。このものの赤外線(IR)スペクトルを
図9に、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトル
を図10及び図11(D2 O添加)に、同位体フッ素に
よる核磁気共鳴(19F−NMR)スペクトルを図12
に、ガスクロマトグラフ−マススペクトル(GC−M
S)分析結果を図13にそれぞれ示す。
【0047】図9のIRスペクトルよりメチレン基(−
CH2 −)及び水酸基(−OH)の存在を確認した。図
10の 1H−NMRスペクトルよりメチレン基(−CH
2 −)に由来するHと水酸基(−OH)に由来するHと
の存在比がほぼ2:1(すなわち、メチレン基と水酸基
との比は1:1)であることを確認した。図11の 1
−NMRスペクトル(D2 O添加)より、5.4ppmの
ピークが消滅したことから水酸基がアルコール性の水酸
基であることを確認した(アルコール性の水酸基はプロ
トン交換されやすく、D2 Oの添加により−ODとなっ
たためピークが消滅している)。図12の19F−NMR
スペクトルより、CF2 :CFがほぼ14:3であるこ
とを確認した。さらに、図13のGC−MSより分子量
が474であることを確認した。
【0048】実施例4(1−(2−ヒドロキシ−1,1
−ジフルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンの製造) ジエチルエーテル10ミリリットルに、水素化リチウム
アルミニウム(LiAlH4)0.41gを懸濁させ、−7
8℃に冷却した。これに、実施例2で得られた1−メト
キシカルボニルジフルオロメチル−ペルフルオロデカリ
ン3gをジエチルエーテル5ミリリットルで希釈した溶
液を10分間かけて滴下した。滴下後、約1時間かけて
ゆっくり20℃に昇温した。反応後、過剰のLiAlH
4 を処理し、硫酸にて酸性にしたのち、エーテル層を濃
縮したところ、1−(2−ヒドロキシ−1,1−ジフル
オロ)エチル−ペルフルオロデカリンが収率75%で得
られた。このものの赤外線(IR)スペクトルを図14
に、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルを図
15及び図16(D2 O添加)に、同位体フッ素による
核磁気共鳴(19F−NMR)スペクトルを図17に、ガ
スクロマトグラフ−マススペクトル(GC−MS)分析
結果を図18に示す。図14のIRスペクトルより、メ
チレン基(−CH2 − ),水酸基(−OH)及びC−F
結合の存在が確認された。図15の 1H−NMRスペク
トルより、メチレン基(−CH2 − )及び水酸基(−O
H)の存在が確認された。図16の 1H−NMRスペク
トル(D2 O添加)より、2.9ppmのピークが消滅し
たことからアルコール性の水酸基であることが確認され
た。図17の19F−NMRスペクトルより、CF2 :C
Fが16:3であることがわかった。さらに、図18の
GC−MSより、分子量が524であることがわかっ
た。
【0049】
【発明の効果】本発明によると、界面活性剤、撥水撥油
剤の原料として、さらにはフッ素樹脂やフッ素ゴムの合
成原料などに有用な(ペルフルオロデカリン)アルコー
ル体の中間原料などとして好適に用いられる(ペルフル
オロデカリン)カルボン酸エステル体が容易に得られ
る。さらに本発明によると、この(ペルフルオロデカリ
ン)カルボン酸エステル体から、該(ペルフルオロデカ
リン)アルコール体を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた1−メトキシカルボニル−
ペルフルオロデカリンのIRスペクトル図である。
【図2】実施例1で得られた1−メトキシカルボニル−
ペルフルオロデカリンの 1H−NMRスペクトル図であ
る。
【図3】実施例1で得られた1−メトキシカルボニル−
ペルフルオロデカリンの19F−NMRスペクトル図であ
る。
【図4】実施例1で得られた1−メトキシカルボニル−
ペルフルオロデカリンのGC−MS図である。
【図5】実施例2で得られた1−メトキシカルボニルジ
フルオロメチル−ペルフルオロデカリンのIRスペクト
ル図である。
【図6】実施例2で得られた1−メトキシカルボニルジ
フルオロメチル−ペルフルオロデカリンの 1H−NMR
スペクトル図である。
【図7】実施例2で得られた1−メトキシカルボニルジ
フルオロメチル−ペルフルオロデカリンの19F−NMR
スペクトル図である。
【図8】実施例2で得られた1−メトキシカルボニルジ
フルオロメチル−ペルフルオロデカリンのGC−MS図
である。
【図9】実施例3で得られた1−ヒドロキシメチル−ペ
ルフルオロデカリンのIRスペクトル図である。
【図10】実施例3で得られた1−ヒドロキシメチル−
ペルフルオロデカリンの 1H−NMRスペクトル図であ
る。
【図11】実施例3で得られた1−ヒドロキシメチル−
ペルフルオロデカリンの 1H−NMRスペクトル(D2
O添加)図である。
【図12】実施例3で得られた1−ヒドロキシメチル−
ペルフルオロデカリンの19F−NMRスペクトル図であ
る。
【図13】実施例3で得られた1−ヒドロキシメチル−
ペルフルオロデカリンのGC−MSスペクトル図であ
る。
【図14】実施例4で得られた1−(2−ヒドロキシ−
1,1−ジフルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンの
IRスペクトル図である。
【図15】実施例4で得られた1−(2−ヒドロキシ−
1,1−ジフルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンの
1H−NMRスペクトル図である。
【図16】実施例4で得られた1−(2−ヒドロキシ−
1,1−ジフルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンの
1H−NMRスペクトル(D2 O添加)図である。
【図17】実施例4で得られた1−(2−ヒドロキシ−
1,1−ジフルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンの
19F−NMRスペクトル図である。
【図18】実施例4で得られた1−(2−ヒドロキシ−
1,1−ジフルオロ)エチル−ペルフルオロデカリンの
GC−MS図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/635 9279−4H 69/753 F 9279−4H Z 9279−4H 69/76 A 9279−4H C09K 3/00 112 A 9049−4H // C07C 29/147 C09K 3/18 102 8318−4H

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは
    0又は1を示す。〕で表される(ペルフルオロデカリ
    ン)カルボン酸エステル体。
  2. 【請求項2】 一般式(II) 【化2】 〔式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕で
    表される化合物である請求項1記載の(ペルフルオロデ
    カリン)カルボン酸エステル体。
  3. 【請求項3】 一般式(III) 【化3】 〔式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕で
    表される化合物である請求項1記載の(ペルフルオロデ
    カリン)カルボン酸エステル体。
  4. 【請求項4】 一般式(IV) 又は(IV') 【化4】 〔式中、R2 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
    を示す。〕で表されるナフタレン誘導体をフッ素化剤で
    フッ素化したのち、一般式(V) R1 −OH ・・・(V) 〔式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕で
    表される飽和脂肪族アルコールを反応させることを特徴
    とする請求項2記載の(ペルフルオロデカリン)カルボ
    ン酸エステル体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(VI)又は(VI') 【化5】 〔式中、R3 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
    を示す。〕で表されるナフタレン誘導体をフッ素化剤で
    フッ素化したのち、一般式(V) R1 −OH ・・・(V) 〔式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕で
    表される飽和脂肪族アルコールを反応させることを特徴
    とする請求項3記載の(ペルフルオロデカリン)カルボ
    ン酸エステル体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の(ペルフルオロデカリ
    ン)カルボン酸エステル体を還元することを特徴とする
    一般式(VII) 【化6】 〔式中、nは0又は1を示す。〕で表される(ペルフル
    オロデカリン)アルコール体の製造方法。
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