JPH05263195A - 石炭ボイラ用耐摩耗複層鋼管およびその製造方法 - Google Patents

石炭ボイラ用耐摩耗複層鋼管およびその製造方法

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JPH05263195A
JPH05263195A JP6343992A JP6343992A JPH05263195A JP H05263195 A JPH05263195 A JP H05263195A JP 6343992 A JP6343992 A JP 6343992A JP 6343992 A JP6343992 A JP 6343992A JP H05263195 A JPH05263195 A JP H05263195A
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steel
nitriding
layer
boiler
steel pipe
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JP6343992A
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Nobushige Hiraishi
信茂 平石
Masaru Nishiguchi
勝 西口
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
  • Extrusion Of Metal (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1)内層がボイラ・熱交換器用鋼管であり、外
層が、重量%で、C: 0.15〜1.0 %、Si:0.1〜1.5 %、
Mn:0.1〜1.5 %、Cr:6〜20%およびSol.Al:3%以下なら
びに残部がFeおよび他の不可避的不純物からなり、不純
物中のPは0.01%以下、Sは0.01%以下である窒化用鋼
を窒化処理した鋼管であることを特徴とする石炭ボイラ
用耐摩耗複層鋼管。窒化用鋼は、上記の成分に加えてさ
らに、重量%で、Cu:2.0%以下、Ni:4%以下、Mo: 10%
以下及びW:4%以下の1種以上を含むことができる。 (2)上記 (1)に記載の窒化用鋼粉末を充填した中空複合
ビレットを熱間押出しして、複層鋼管を製造し、さらに
ボイラ・熱交換器用鋼管のための熱処理を行った後、窒
化処理を施して外面の窒化用鋼に表面硬化層を形成させ
ることを特徴とする製造方法。曲げ管を製造する場合に
は、窒化処理の前に曲げ加工を施すこともできる。 【効果】石炭焚き発電ボイラに要求される耐摩耗性能及
び施工性に優れたボイラ用複層鋼管が容易に製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭焚きの流動床ボイ
ラに必要な、管外面層が石炭灰の衝突に対して優れた耐
摩耗性を有するボイラ鋼管ならびにその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー源の多様化の要請に応
え、石油に代わって再び石炭をエネルギー源として利用
する傾向にある。特に流動床ボイラ、加圧流動床ボイラ
は発電効率が高く、窒素や硫黄酸化物の発生量を抑制で
きる上、灰分含有量が高い、いわゆる低カロリー炭およ
び石炭アッシュ等の原料も使用できるので、一層注目さ
れている。
【0003】しかし、これらの発電方式では未燃焼石炭
微粉末や石炭燃焼灰分等の硬い粒子がボイラ内で飛散
し、加熱器管、蒸発管等のボイラ部材に高速で衝突する
ことによって生じる高温での固体粒子による、通常エロ
ージョンと称される摩耗が、ボイラ部材の重大な損傷形
態として強く認識されるようになってきている。特に最
近では、一基当たりの発電能力や発電効率が、石油火力
発電に匹敵する能力を有することが望まれているので、
ますます苛酷な条件でもエロージョン損傷が起こりにく
いボイラ部材が必要となる。
【0004】その対策としてステライト等のCo基合金の
ような硬質材料をボイラ・熱交換器用鋼管の表層に肉盛
り溶射して耐エロージョン性を改善する方法があるが、
このような硬質材料は冷間加工性が劣るので曲げ加工が
できず、現場での溶射施工が必要になるという煩わしさ
が生ずる。また高価な材料であるため製造コストがかさ
む欠点もある。
【0005】一方、耐高温粒子エロージョン性に優れる
外層鋼と高温強度、溶接性に優れる内層鋼とで構成され
ることを特徴とする石炭焚きボイラ用二層鋼管が提案さ
れている(例えば、特開昭60-196502 号公報参照)。し
かし、この公報に具体的に示されている外層鋼は、極く
一般的な高Si、高Crをベースとする鋼であり、耐エロー
ジョン性が十分とは言えず、石炭焚きボイラ部材として
は不十分である。
【0006】更に、ボイラ・熱交換器用鋼管の内層と、
析出硬化性を有する合金の外層鋼とで構成され、この二
層鋼管に曲げおよび溶接等の加工を加えた後時効処理を
行い、外層鋼を硬化させることを特徴とする伝熱管が提
案されている(例えば、特開昭61-110714 号公報参
照)。しかし、この析出硬化性や時効硬化性を有する外
層鋼でも、流動床ボイラなどの厳しい使用条件下におけ
る耐エロージョン性は不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、次の
諸特性を有する石炭ボイラ用耐摩耗鋼管およびその製造
方法を提供することにある。
【0008】(1) 石炭焚きの加圧流動床ボイラにおける
ような、高温かつ高硬度粒子の衝突による摩耗に対し
て、十分な外層管表面の耐摩耗性とボイラ鋼管としての
強度をあわせ持つこと。
【0009】(2) 内層管となるボイラ・熱交換器用鋼管
のための熱処理によって、外層管となる鋼の硬度が大き
く変化しないこと。
【0010】(3) 外層管の鋼は、ガス窒化処理により高
硬度の硬化層が得られ易いこと。
【0011】(4) 外層管の高硬度層と内層管のボイラ・
熱交換器用鋼管とが完全に密着して熱伝導に支障がな
く、局部的な密着不良によるホットスポットが生じない
こと。
【0012】(5) 流動床ボイラでは、曲管部の摩耗が特
に問題であり、ボイラ用複層鋼管の曲管部材も製造でき
ること。
【0013】
【課題を解決するための手段】石炭焚きの加圧流動床ボ
イラにおけるような、高温かつ高硬度粒子の衝突による
苛酷な摩耗に対して、十分な外面の耐摩耗性とボイラ鋼
管としての強度をあわせ持つ鋼管としては、設備の運転
条件に合致したボイラ・熱交換器用鋼管(例えばJIS G3
461 に規定されているボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管、
またさらにJISG3463 に規定されているボイラ・熱交換
器用ステンレス鋼鋼管等)を内層管とし、この外面に高
温で高硬度を有する材料を複層・密着させた複層鋼管
(いわゆるクラッド鋼管)が最適である。
【0014】管外層に密着させる高硬度材料として、窒
化用鋼を使用する。この窒化用鋼は窒化処理を施すこと
によって表層硬度が上昇し、その到達値は本発明の目的
を満足するものであると同時に、肉盛り材料であるステ
ライトあるいは工具材料である高速度鋼や超硬合金など
と比較して安価である。
【0015】本発明の要旨は、次の (1)および (2)の石
炭ボイラ用耐摩耗複層鋼管と (3)のその製造方法にあ
る。
【0016】(1)内層がボイラ・熱交換器用鋼管であ
り、外層が、重量%で、C: 0.15〜1.0%、Si:0.1〜1.5
%、Mn:0.1〜1.5 %、Cr:6〜20%およびSol.Al:3%以
下ならびに残部がFeおよび他の不可避的不純物からな
り、不純物中のPは 0.01 %以下、Sは0.01%以下であ
る窒化用鋼を窒化処理した鋼管であることを特徴とする
石炭ボイラ用耐摩耗複層鋼管。
【0017】(2)外層の鋼管が、上記 (1)に記載の合金
成分に加えてさらに重量%で、Cu:2.0%以下、Ni:4%以
下、Mo:10%以下およびW:4%以下の1種以上を含むこ
とを特徴とする上記 (1)に記載の石炭ボイラ用耐摩耗複
層鋼管。
【0018】(3)ボイラ・熱交換器用鋼管とこの鋼管の
外側に薄肉の金属円筒を同心に並べて、この鋼管と金属
円筒の一端を炭素鋼の円板部材で封止して中空カプセル
管状とし、この環状の隙間に上記 (1)または (2)に記載
の窒化用合金鋼粉末を充填した後、カプセル管の開放さ
れている端部を第二の炭素鋼の円板部材で密封して中空
複合ビレットとし、このビレットから熱間押出しして、
複層鋼管を製造し、さらにボイラ・熱交換器用鋼管のた
めの熱処理を行った後、窒化処理を施して外面の窒化用
鋼に表面硬化層を形成させることを特徴とする石炭ボイ
ラ用耐摩耗複層鋼管の製造方法。
【0019】曲げ管を製造する場合には、窒化処理の前
に、曲げ加工を施す。
【0020】本発明の耐摩耗複層鋼管の製造方法を図1
に基づいて説明する。
【0021】窒化用鋼粉末としては、N2またはArガスア
トマイズ法により製造した粉末が使用できる。中空複合
ビレットは、先ず通常のボイラ・熱交換器用鋼管である
内層鋼管1と外側の薄肉の低炭素鋼円筒2を同心に並べ
て、この一端(図では下側)を炭素鋼円盤部材4により
封止して中空カプセル管状とし、この環状の隙間に窒化
用鋼粉末3を充填した後、さらに残りの端部(図では上
側)を同様の炭素鋼円盤部材4により密封して組み立て
る。このビレットを加熱した後、例えばユジーンセジュ
ルネ法で熱間押出成形加工して素管とする。必要によ
り、熱間押出成形加工前のビレット加熱時にその温度分
布を安定化させるため、窒化用鋼粉末を密封した複合ビ
レットを冷間静水圧プレスして、粉末充填層密度を上昇
させる成形工程を加えてもよい。
【0022】
【作用】窒化用鋼を構成する元素とその適正含有量は次
のとおりである。
【0023】C:0.15%未満では窒化層が脆弱となり、
1.0%を超えると窒化層の形成が困難となる。よってC
の範囲を0.15〜1.0 %とする。
【0024】Si:脱酸剤であるが、 0.1%未満ではその
効果が少なく、 1.5%を超えると靱性が悪化する。よっ
てSiの範囲を 0.1〜1.5 %とする。
【0025】Mn:焼き入れ性を改善させるが、 0.1%未
満ではその効果がなく、 1.5%を超えると過剰となり逆
に脆化する。よってMnの範囲を 0.1〜1.5 %とする。
【0026】Cr:窒化物を生成して硬さ、耐摩耗性を向
上させる元素として重要である。6%未満では、窒化物
の生成量が少な過ぎるので、温間での摩耗が激しくな
る。このため6%以上含有させるが、20%を超えると巨
大炭化物を形成して靱性が悪化する。よってCrの範囲
を、6%から20%とする。
【0027】Al:窒化物生成元素としてCrとともに重要
である。窒化物となって表面硬度を上昇させるために含
有させるが、3%を超えると熱間加工性が悪化してく
る。このため、Alの上限は3%である。
【0028】PおよびS:PおよびSは不純物である
が、それぞれ、0.01%を超えると低融点化合物が析出
し、熱間脆性が著しくなるので0.01%以下としなければ
ならない。
【0029】本発明で用いる窒化用鋼においては、上記
の成分に加えてさらに重量%で、Cu:2.0%以下、Ni:4%
以下、Mo: 10%以下およびW:4%以下の1種以上を含む
ことができる。これらの成分の含有量の範囲を規定した
理由と作用効果は、次のとおりである。
【0030】Cu:金属間化合物を析出させ、鋼の強化に
効果があるが、 2.0%を超えると熱間加工性が悪化す
る。よってCuの上限は、 2.0%である。
【0031】Ni:Cuと同様に、金属間化合物を析出さ
せ、鋼の強化に効果があるが、 4.0%を超えると窒化層
の形成を妨げる作用効果を示す。よってNiの上限は、
4.0%である。
【0032】Mo:温間固溶強化のために含有させるが、
10%を超えて含有させてもその効果は飽和してくるため
経済性を考慮して上限を10%とした。
【0033】W:焼き戻し軟化抵抗を増大させる効果が
ある。4%を超えると巨大炭化物を形成して靱性が悪化
する。このため、Wの上限は4%とする。
【0034】上記のような窒化用鋼を、窒化処理により
硬化させる温度は、かなり低い温度(500℃前後) でよい
ため、内層管であるボイラ・熱交換器用鋼管のための熱
処理後に窒化処理しても、その特性に悪影響を与えるこ
とはない。したがって、直管の耐摩耗ボイラ用複層鋼管
は、従来のボイラ用鋼管の製造工程の中で製造すること
もできる。
【0035】また、熱間あるいは温間で曲管部材を製造
した後窒化処理を施して、外面のみが高硬度の複層曲管
も製造できる。
【0036】上記の特徴、利点はステライトや工具鋼で
は得られないものである。即ち、ステライトは熱処理等
でも軟化しないため、密着二層管のボイラ鋼管を製造す
るとき、寸法矯正のための冷間加工が実質的に不可能で
ある。工具鋼ではボイラ鋼管の熱処理によって硬度低下
を招く。
【0037】次に、前記の窒化用鋼粉末が充填、密封さ
れた中空複合ビレットの熱間押出し加工の作用効果につ
いて説明する。
【0038】本発明の目的の一つを達成するためには、
前記のように、外面の高硬度層と内層管となるボイラ用
鋼管とが完全に密着して熱伝導に支障がなく、局部的な
密着不良によるホットスポットが生じないように、押出
法により界面密着の良いクラッド管を製造しなければな
らない。このために、いわゆる粉末押出法を使用するの
である。
【0039】押出加工の際の据込み状態において、充填
された窒化用鋼粉末が、内層鋼管となるボイラ用鋼管よ
り高硬度であるために、この鋼管表面に粉末層が食い込
んで界面の接合性を向上させるとともに、鋼管表面の酸
化膜を破断する。押出に伴って界面が伸展するため、こ
の酸化膜がさらに分断され、窒化用鋼粉末層と内層鋼管
の界面で元素の相互拡散が起こってさらに強固な接合が
形成され、完全に冶金的接合がなされた界面が生成す
る。
【0040】望ましくは、熱間押出し前のビレット加熱
時に温度分布を安定化させるため、粉末を密封したビレ
ットを冷間静水圧プレスにより成形処理して、粉末充填
層密度を上昇させるとさらによい。
【0041】なお、窒化用鋼粉末充填層部の密封後の真
空脱気は、必ずしも行う必要はない。残存する空気が窒
化用鋼に固溶してピックアップする酸素と窒素の量は、
合計で約0.01重量%であり、耐摩耗複層鋼管としての機
械的特性に殆ど影響を及ぼさないからである。
【0042】
【実施例】
〔試験1(本発明例)〕N2ガスアトマイズ法により、表
1に示す種別1から種別13までの化学組成の窒化用鋼粉
末を製造し、図1に示すように、JIS 規格のSTBA22の内
層鋼管1( 外径130mm、内径31mm、長さ 780mm) と外側
の薄肉の低炭素鋼円筒2の間に、粒径 500μm 以下の窒
化用鋼粉末3を充填して炭素鋼円盤部材4により密封し
て複合ビレットとし、このビレットを1200℃に加熱した
後押出比20で熱間押出成形加工して外径48mm、内径28m
m、長さ9mの複層鋼管を製造した。次に、 930℃に加熱
後、680℃で焼鈍処理した後外側の薄肉の低炭素鋼円筒
を切削加工により除去し、製品の機械的特性に影響を及
ぼさない 500〜700 ℃程度の温度で曲げ半径2D(鋼管の
直径の2倍)の温間曲管加工を行った。この複層鋼管
を、分解アンモニアガス中で 530℃×40hrの窒化処理に
より外表面のみを窒化処理した後、曲管部近傍の直管部
の表層部からサンプルを切り出して評価試験を実施し
た。サンプル切り出し部は、試作した複層鋼管で最も耐
摩耗性が劣っていると考えられる部分を選んだ。評価試
験内容は、次のとおりである。
【0043】(1) 高温硬度試験: 高温ビッカース硬度試
験機を用いて荷重50g 、試験温度 350℃の条件で測定。
位置は窒化表面層より0.1 mm。
【0044】(2) 耐温間エロージョン試験: ブラスト式
エロージョン試験装置を用いて表2にに示す条件で 5hr
実施し、その時の減肉速度を測定。
【0045】〔試験2(本発明例)〕Arガスアトマイズ
法により、表1に示す種別14から種別16までの化学組成
の窒化鋼粉末を製造し、図1に示すようにJIS 規格のST
BA22の内層鋼管1( 外径 130mm、内径31mm、長さ 780m
m) と外側の薄肉の低炭素鋼円筒2の間に、製造した粒
径 250μm 以下の窒化用鋼粉末3を充填して炭素鋼円盤
部剤4により密封後、400MPaの圧力で冷間静水圧成形し
た。この成形ビレットを、1150℃に加熱したのち押出比
15で熱間押出成形加工して外径53mm、内径28mm、長さ9m
の複層鋼管を製造した。そして、 930℃に加熱後 680℃
で焼鈍処理したのち外側の薄肉の低炭素鋼円筒を切削加
工により除去し、曲げ半径2D(鋼管の直径の2倍)の冷
間曲管加工を行った。この複層鋼管を分解アンモニアガ
ス中で 500℃×20hr処理後、さらに530℃×40hrで外表
面のみを窒化処理した後、試験1と同様の評価試験を実
施した。
【0046】〔試験3(比較例)〕試験1と同じ方法
で、表1に示す種別17から種別21までの化学組成の窒化
鋼粉末について評価試験を実施した。
【0047】〔試験4(比較例)〕表1に示す種別22の
化学組成(JIS規格のSTBA22相当) の溶製材を図2に示す
形状に機械加工してビレット5とし、このビレットを12
00℃に加熱したのち押出比20で熱間押出成形加工して外
径48mm、内径28mm、長さ12 mの単層鋼管を製造した。そ
して、 930℃に加熱後 680℃で焼鈍処理したのち曲げ半
径2D(鋼管の直径の2倍)の冷間曲管加工を行った。こ
の単層鋼管を分解アンモニアガス中で 530℃×40hrの窒
化処理により外表面のみを窒化処理したのち、切り出し
て試験1と同様の評価試験を実施した。
【0048】以上の結果から、次の事実が明らかであ
る。
【0049】本発明例の種別1から種別16では、いずれ
も窒化後の 350℃での硬度は、HV580 以上、減肉速度
(摩耗)は1μm/hr以下を示し、温間曲げ、冷間曲げを
問わず良好である。
【0050】Cu、Ni、MoおよびWを本発明の範囲で全て
複合添加した種別1の例では、窒化後の表面硬度が最も
高いが、総じてこれらの成分を1種以上複合添加したも
のも、略々同等以上の表面硬度が得られていると言え
る。
【0051】Cが本発明の範囲の下限未満の種別17およ
びSi、Mnが過剰すぎる種別19は、窒化層が脆化して剥離
する現象が認められた。CとWが本発明の範囲の上限を
超え、かつCrが同範囲の下限未満の種別18および JIS規
格のSTBA22相当材の種別22は、高硬度層が形成されない
ので硬度が上昇せず、減肉速度(摩耗)も大きい。
【0052】PおよびSが本発明で定めた上限を超える
種別20ならびにAlが同様の種別21では、熱間加工性が劣
り、熱間押出成形加工の時に成形不良が発生した。
【0053】表面窒化層の厚さは、試験1および試験2
の場合 0.1〜0.4mm 、試験3の場合0〜0.05mm、試験4
の場合 0.2mm程度であったが、表1から明らかなよう
に、本発明例の鋼では窒化層の厚さに関係なく良好な耐
摩耗性を示した。
【0054】上記のように、窒化層の厚さは、窒化処理
条件よりも窒化鋼の成分により窒素の拡散速度が異なる
ことに依存していると推定されるので、良好な加工性と
窒化処理後の高硬度層とを得るには、窒化用鋼の成分設
計が重要である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、石炭焚き発電ボイラに
要求される耐摩耗性能および施工性に優れたボイラ用複
層鋼管の実現が可能である。この複層鋼管は本発明の製
造方法によって容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法に使用する窒化用鋼
粉末充填中空複合ビレットの構造を例示する断面図であ
る。
【図2】図2は、通常のボイラ・熱交換器用合金鋼管の
製造方法に使用するビレットを例示する断面図である。
【符号の説明】
1は内層鋼管、2は薄肉の低炭素鋼円筒、3は窒化用鋼
粉末充填層、4は密封用の炭素鋼円盤部材、5は通常の
ビレットである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F22B 37/04 7526−3L 37/10 Z 7526−3L

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内層がボイラ・熱交換器用鋼管であり、外
    層が、重量%で、C: 0.15〜1.0 %、Si:0.1〜1.5 %、
    Mn:0.1〜1.5 %、Cr:6〜20%およびSol.Al:3%以下なら
    びに残部がFeおよび他の不可避的不純物からなり、不純
    物中のPは 0.01 %以下、Sは0.01%以下である窒化用
    鋼を窒化処理した鋼管であることを特徴とする石炭ボイ
    ラ用耐摩耗複層鋼管。
  2. 【請求項2】外層の鋼管が、加えてさらに重量%で、C
    u:2.0%以下、Ni:4%以下、Mo: 10%以下およびW:4%
    以下の1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載
    の石炭ボイラ用耐摩耗複層鋼管。
  3. 【請求項3】ボイラ・熱交換器用鋼管とこの鋼管の外側
    に薄肉の金属円筒を同心に並べて、この鋼管と金属円筒
    の一端を炭素鋼の円板部材で封止して中空カプセル管状
    とし、この環状の隙間に請求項1または請求項2に記載
    の窒化用鋼粉末を充填した後、カプセル管の開放されて
    いる端部を第二の炭素鋼の円板部材で密封して中空複合
    ビレットとし、このビレットから熱間押出しして、複層
    鋼管を製造し、さらにボイラ・熱交換器用鋼管のための
    熱処理を行った後、窒化処理を施して外面の窒化用鋼に
    表面硬化層を形成させることを特徴とする石炭ボイラ用
    耐摩耗複層鋼管の製造方法。
  4. 【請求項4】窒化処理の前に、曲げ加工を施すことを特
    徴とする請求項3に記載の石炭ボイラ用耐摩耗複層鋼管
    の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100682234B1 (ko) * 2004-10-27 2007-02-12 김병두 Fe-B-Cr-Ni-Mn-Si-Mo계 변성합금 용사피막 처리된 미분탄발전소 보일러 수관

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KR100682234B1 (ko) * 2004-10-27 2007-02-12 김병두 Fe-B-Cr-Ni-Mn-Si-Mo계 변성합금 용사피막 처리된 미분탄발전소 보일러 수관

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