JPH0741911A - ボイラ用耐摩耗複層鋼管およびその製造方法 - Google Patents

ボイラ用耐摩耗複層鋼管およびその製造方法

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JPH0741911A
JPH0741911A JP19124293A JP19124293A JPH0741911A JP H0741911 A JPH0741911 A JP H0741911A JP 19124293 A JP19124293 A JP 19124293A JP 19124293 A JP19124293 A JP 19124293A JP H0741911 A JPH0741911 A JP H0741911A
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JP
Japan
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steel pipe
boiler
layer
less
steel
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JP19124293A
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English (en)
Inventor
Nobushige Hiraishi
信茂 平石
Atsushi Natori
敦 名取
Yasutaka Okada
康孝 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた複層鋼管とその製造方法の提供。 【構成】 (1)内層がボイラ用鋼管であり、外層がC:0.3
〜1.2 %、Si:1.0%以下、Mn:10〜25%、Cr:15%以
下、Mo:3%以下、Al:1%以下、N:0.3%以下の溶製材
高マンガン鋼であるボイラ用耐摩耗複層鋼管。この外層
鋼はNiを3%以下で含むことができる。 (2)上記(1) の化学組成の溶製材から製造された高マン
ガン鋼管と、その内側のボイラ用鋼管とからなる複合ビ
レットを組立てた後、熱間押出加工してクラッド鋼管を
製造し、次いで熱処理後、冷間加工で外層の高マンガン
鋼管に表面硬化層を形成させる上記(1) の複層鋼管の製
造方法。この冷間加工では、熱処理後直管の状態で、ま
たは曲げ加工後、ショットピーニング加工とすることが
できる。 【効果】石炭火力発電ボイラに要求される耐エロージョ
ン性、伝熱効率および施工性に優れた複層鋼管を容易に
得ることができる。この外層鋼管は、Niを含有させる
と、高温長時間保持後も高い延性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭やCOM(微粉炭
と重油の混合物)焚きのボイラ、流動床ボイラなどに必
要な、管外面層が未燃焼石炭微粉末および石炭燃焼灰分
などの衝突に対して優れた耐摩耗性を有する硬質層から
なるボイラ用耐摩耗複層鋼管とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー源の多様化により、石
油に代わって再び石炭をエネルギー源として利用する傾
向にある。特に石炭焚きの流動床ボイラ、加圧流動床ボ
イラは発電効率が高く、窒素酸化物の発生量を抑制でき
る上、硫黄を含む、しかも灰分含有量が高い石炭および
石炭アッシュなどの原料も使用できるので、一層注目さ
れている。
【0003】しかしこれらの発電方式では、未燃焼石炭
微粉末や石炭燃焼灰分などの硬い粒子がボイラ内で飛散
し、加熱器管、蒸発管などのボイラ部材に高速で衝突す
ることによって生じる高温固体粒子によるエロージョン
が、ボイラ部材の重大な損傷形態として強く認識される
ようになってきている。特に最近では、一基あたりの発
電能力や発電効率が、石油火力発電に匹敵する能力を有
することが望まれているので、ますます苛酷な条件でも
エロージョン損傷が起こりにくいボイラ部材が必要とな
る。
【0004】ステライトなどのCo基合金のような硬質材
料をボイラ・熱交換器用鋼管の表層に肉盛り溶射して耐
エロージョン性を改善することができるが、このような
硬質材料は冷間加工性が劣るので曲げ加工ができず、現
場での溶射施工が必要になるという煩わしさが生ずる。
また高価な材料であるため製造コストがかさむ欠点があ
る。
【0005】一方、ボイラ・熱交換器用鋼管とその外面
に積層された耐高温粒子エロージョン性に優れる外層鋼
とで構成されることを特徴とする石炭焚きボイラ用二層
鋼管が提案されている(例えば、特開昭60-196502 号公
報参照)。しかし、この外層鋼は、極く一般的な高Si、
高Crをベースとする鋼であり、耐エロージョン性が十分
とは言えず、石炭焚きボイラ部材としては不十分であ
る。
【0006】さらに、ボイラ・熱交換器用鋼管とその外
面に積層された析出硬化性を有する合金の外層鋼管とで
構成され、この二層鋼管に曲げおよび溶接などの加工を
加えた後、時効処理を行い外層鋼管を硬化させることを
特徴とする伝熱管が提案されている(例えば、特開昭61
-110714 号公報参照)。しかしこの方法では、曲管加工
を行った後でなければ、上記時効処理ができないという
問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、次の
諸特性を有するボイラ用耐摩耗複層鋼管およびその製造
方法を提供することにある。
【0008】石炭焚きの流動床ボイラにおけるよう
な、高温かつ高硬度粒子の衝突による摩耗に対しても十
分な外層管表面の耐摩耗性とボイラ鋼管としての強度を
あわせ持つこと。
【0009】内層管となるボイラ・熱交換器用鋼管の
ための熱処理によって、外層管の硬度が大きく変化しな
いこと。
【0010】外層管の鋼は、冷間抽伸やショットピー
ニングなどの冷間加工により加工硬化しやすいこと(硬
化のための熱処理が不要であること)。
【0011】外層管の高硬度層と内層管のボイラ・熱
交換器用鋼管とが完全に密着して熱伝導に支障がなく、
局部的な密着不良によるホットスポットが生じないこ
と。
【0012】ボイラ用複層鋼管の曲管部材も製造でき
ること。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)、(3) のボイラ用耐摩耗複層鋼管と (2)、(4) およ
び (5)のその製造方法にある。
【0014】(1)内層がボイラ・熱交換器用鋼管であ
り、外層が重量%で、C:0.3〜1.2 %、Si:1.0%以下、
Mn: 10〜25%、Cr: 15%以下、Mo:3%以下、Al:1%以
下およびN:0.3%以下を含有し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなり、不純物中のPは0.01%以下、Sは0.
005 %以下の溶製材高マンガン鋼であることを特徴とす
るボイラ用耐摩耗複層鋼管。
【0015】(2)上記(1) 記載の化学組成を有する溶製
材から製造された高マンガン鋼管と、その内側に配置さ
れたボイラ・熱交換器用鋼管とからなる複合ビレットを
組み立て、この複合ビレットを熱間押出し加工してクラ
ッド鋼管を製造し、次いでボイラ・熱交換器用鋼管のた
めの熱処理を施した後、冷間加工により外層の高マンガ
ン鋼管に表面硬化層を形成させることを特徴とするボイ
ラ用耐摩耗複層鋼管の製造方法。
【0016】(3)内層がボイラ・熱交換器用鋼管であ
り、外層が重量%で、C:0.3〜1.2 %、Si:1.0%以下、
Mn: 10〜25%、Cr: 15%以下、Mo:3%以下、Al:1%以
下、N:0.3%以下およびNi:3%以下を含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなり、不純物中のPは0.01
%以下、Sは0.005 %以下の溶製材高マンガン鋼である
ことを特徴とするボイラ用耐摩耗複層鋼管。
【0017】(4)上記(3) 記載の化学組成を有する溶製
材から製造された高マンガン鋼管と、その内側に配置さ
れたボイラ・熱交換器用鋼管とからなる複合ビレットを
組み立て、この複合ビレットを熱間押出し加工してクラ
ッド鋼管を製造し、次いでボイラ・熱交換器用鋼管のた
めの熱処理を施した後、冷間加工により外層の高マンガ
ン鋼管に表面硬化層を形成させることを特徴とするボイ
ラ用耐摩耗複層鋼管の製造方法。
【0018】(5)ボイラ・熱交換器用鋼管のための熱処
理を行い、直管の状態で、または曲げ加工を施した後、
ショットピーニング加工により外層の高マンガン鋼管に
表面硬化層を形成させることを特徴とする上記(2) また
は上記(4) 記載のボイラ用耐摩耗複層鋼管の製造方法。
【0019】本発明でいう「溶製材」とは、溶解した
後、インゴットまたはスラブなどに鋳造された材料およ
びその後さらに加工を施された材料を意味する。
【0020】
【作用】石炭焚きの流動床ボイラにおけるような、高温
かつ高硬度粒子の衝突による摩耗に対して十分な外面の
耐摩耗性とボイラ鋼管としての強度をあわせ持つ鋼管と
しては、設備の運転条件に合致したボイラ・熱交換器用
鋼管に適用される鋼管(例えばJIS G 3461に規定されて
いるボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管、JIS G 3462に規定
されているボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管、またさらに
JIS G 3463に規定されているボイラ・熱交換器用ステン
レス鋼鋼管など)を内層管とし、この外層に高温で高硬
度を有する材料を複層・密着させたクラッド鋼管が最適
である。
【0021】管外層に密着させる高硬度材料として、高
マンガン鋼の溶製材を使用する。この高マンガン鋼は冷
間加工を施すことによって硬度が上昇し、その到達値は
本発明の目的を満足するものであると同時に、肉盛り材
料であるステライトあるいは工具材料である高速度鋼や
超硬合金あるいはアトマイズ法などで製造された粉末高
マンガン鋼と比較して安価である。
【0022】高マンガン鋼の合金元素とその適正含有量
を前記のように定めた理由は次のとおりである。
【0023】C: 0.3〜1.2 % 0.3 %未満では冷間加工しても望ましい硬度に達しな
い。 1.2%を超えると脆化が発生する。よってC含有量
の範囲は 0.3〜1.2 %とした。
【0024】Si:1.0 %以下 脱酸剤であるが、 1.0%を超えると熱間加工性が悪化す
る。よってSi含有量の上限は1.0 %とした。
【0025】Mn:10〜25% 10%未満では加工時に割れが発生しやすくなり、25%を
超えると加工硬化が困難となる。よってMn含有量の範囲
は10〜25%とした。
【0026】Cr:15%以下 耐食性と耐熱性の改善のために含有させる。しかし、15
%を超えるとフェライト組織が出現しやすくなり、組織
が不安定になるとともに冷間加工硬化も困難となる。よ
ってCr含有量の上限は15%とした。
【0027】Mo:3%以下 Crと同様に、耐食性と耐熱性の改善のために含有させ
る。しかし、3%を超えるとその効果は飽和してくる。
経済性を考慮してMo含有量の上限は3%とした。
【0028】Ni:3%以下 本発明のボイラ用耐摩耗複層鋼管は、外層がC含有量の
高い高Mn鋼であるため、ボイラのような温度で長時間使
用すると、延性が低下する傾向がある。Niは延性を向上
させる効果があり、高温長時間使用で延性が低下して
も、Niを含有しないものに比べ、なお高い延性を保持さ
せることができる。また、Niは耐食性を向上させる効果
も有する。このために、必要に応じて含有させる。しか
し、3%を超えるとこれらの効果が飽和する上に、経済
性も悪化する。よって、Ni含有量の上限は3%とした。
【0029】Al:1%以下 耐食性と耐熱性の改善のために効果があるが、1%を超
えると鋼の融点が低下し熱間加工性が悪化してくる。さ
らにフェライト組織が出現しやすくなる。このため、Al
含有量の上限は1%とした。
【0030】N:0.3 %以下 0.3 %を超えると脆化が発生する。また、溶接時にブロ
ーホールが発生する。
【0031】このため、N含有量の上限は0.3 %とし
た。
【0032】PおよびS:PおよびSは不純物である
が、それぞれ、0.01%、 0.005%を超えると低融点化合
物が析出し、熱間脆性が著しくなるので、Pは0.01%以
下、Sは 0.005%以下としなければならない。特に、高
マンガン鋼中のSは低融点化合物であるMnSを形成しや
すいため、このような低値に抑制する必要がある。
【0033】上記のような高マンガン鋼は、内層管とな
るボイラ・熱交換器用鋼管の熱処理によっても硬度が大
きく変化せず、さらに熱処理後に表面層を冷間加工する
ことにより高硬度層が容易に形成される。また、使用中
に何らかの原因でこの高硬度層が脱落しても、新しく現
れた表面が未燃焼石炭微粉末や石炭燃焼灰分などの硬い
粒子の衝突による加工硬化作用によって再び硬度が上昇
するため、高マンガン鋼外層管部が残存する限り、摩耗
に対して本質的に耐久性があることになる。
【0034】この高マンガン鋼は冷間加工を施すことに
よって著しく硬化するため、特に直管は、従来のボイラ
・熱交換器用鋼管の製造工程の中で冷間抽伸あるいはシ
ョットピーニングなどの冷間加工を施せば、所望の耐摩
耗複層鋼管を製造することができる。
【0035】さらに、熱間、温間または冷間で、望まし
くは熱間または冷間で曲管とした後、ショットピーニン
グを施すことにより、外面が高硬度の曲管部材を製造す
ることもできる。
【0036】このとき、高マンガン鋼の表面硬度層は深
さが0.1mm 以上、常温硬度がビッカース硬度で400 以上
になるようにするのが望ましい。
【0037】上記の高マンガン鋼の特徴、利点はステラ
イトや工具鋼では得られないものである。すなわち、ス
テライトは熱処理などでも軟化しないため、密着二層管
のボイラ鋼管を製造するとき、寸法矯正のための冷間加
工が実質的に不可能である。
【0038】また工具鋼では、ボイラ鋼管の熱処理によ
って硬度低下を招く。
【0039】次に、本発明の製造方法において熱間押出
し加工の対象となる複合ビレットの組み立て方法を図
1、図2に基づいて説明する。
【0040】高マンガン鋼の外層管と内層管のボイラ用
鋼管とが完全に密着して熱伝導に支障がなく、局部的な
密着不良によるホットスポットが生じないように、熱間
押出加工により界面密着の良いクラッド管を製造しなけ
ればならない。そのための複合ビレットの組み立て方法
には、冷間圧入法と挿入法とがある。
【0041】図1は冷間圧入法を例示するための複合ビ
レットの縦断面図である。
【0042】図示するように、ある肉厚と外径で、長さ
700mm 、内径31mmの内層鋼管1の外面に、前記溶製材か
ら通常の方法で製造された適切な内径と肉厚で外径172m
m 、同じ長さの高マンガン鋼管3を冷間圧入して密着さ
せ、望ましくは両端部(図では上下)を炭素鋼円盤部材
2で密封し、複合ビレットとする。
【0043】冷間圧入の際の、内層鋼管の外径と外層鋼
管の内径との関係は、等しいかまたは内径が外径よりも
0.00〜1.00mm小さくして、圧入時の密着が十分に行われ
るようにするのが望ましい。
【0044】冷間圧入を用いるのは、内層鋼管の外面と
外層鋼管の内面とを密着させることにより、熱間押出し
加工前の加熱時に界面において元素の拡散を起こさせ、
加工後に界面密着のよいクラッド鋼管を製造するためで
ある。
【0045】円盤部材で両端面を密封するのがよいの
は、熱間押出し加工前の加熱時に内層、外層鋼管ともに
熱膨張を起こすが、その影響で界面に隙間が生ずる恐れ
があり、このとき界面の酸化を防止するためである。
【0046】第2の組み立て方法としては、内層管のボ
イラ用鋼管とその外側に高マンガン鋼の外層管を挿入す
ることでもよい。
【0047】図2はこの挿入方法を例示するための複合
ビレットの縦断面図である。
【0048】この場合では、ある肉厚と外径で、長さ70
0mm 、内径31mmの内層鋼管1の外面に、前記溶製材から
通常の方法で製造された適切な内径と肉厚で外径172mm
、同じ長さの高マンガン鋼管3を挿入して、両端部
(図では上下)を炭素鋼円盤部材2で密封する。
【0049】挿入法とする場合の、内層鋼管の外径と外
層鋼管の内径との関係は、内径を外径よりも 0.1〜2.0
mm大きくする。両鋼管の隙間があまり過大になると、熱
間押出し加工後のクラッド鋼管の界面に密着不十分とな
る箇所が生ずるためである。
【0050】この場合は単なる挿入であり、もちろん両
鋼管の隙間には空気が存在するから、図示するようにク
ラッド面となる一箇所に脱気管4を取付けて真空脱気処
理する。その後、脱気管4を溶接で封口して複合ビレッ
トとする。
【0051】このような方法で複合ビレットの加熱時に
クラッド面に生成しやすい酸化膜を抑制することによ
り、冷間圧入法では加熱時点から、挿入法では熱間押出
し時に両鋼管の界面で元素の拡散が生じて良好な接合が
形成され、界面密着性の優れたクラッド鋼管を得ること
ができる。
【0052】熱間押出し後は、ボイラ・熱交換器用鋼管
のための通常の熱処理を行い、必要な部材には、熱間、
温間または冷間で曲げ加工を施した後、前記のように冷
間加工またはショットピーニング加工により外層の高マ
ンガン鋼の表面に硬化層を形成させることができる。
【0053】
【実施例】
〔試験1〕表1に示す種別1から種別6および種別9か
ら種別12までの化学組成の高マンガン鋼溶製材から外層
用鋼管を製造した。図1に示す方法でJIS 規格のSTBA22
の内層鋼管1(外径140mm 、内径31mm、長さ700mm)の外
側に、この内層鋼管1の外径と同じ内径の高マンガン鋼
外層用鋼管3をプレスにより冷間圧入した後、両端部を
炭素鋼円盤部材2により密封し、複合ビレットを作製し
た。このビレットを1200℃に加熱した後、押出比18で熱
間押出成形加工して外径50mm×内径28mm×長さ12m の複
層鋼管を製造した。
【0054】次いで 960℃で均質化処理し、さらに680
℃で焼鈍処理した後、常温で曲げ半径2D(鋼管の直径
の2倍)の曲管加工を行った。
【0055】これらの複層鋼管の外層をエアー式ショッ
トピーニング(177〜590 μm のスチール玉を使用し200m
m 離れた位置から5kg/mm2 の圧力で吹付け)により、
表面加工硬化処理した後、それぞれの表面部からサンプ
ルを切り出して次の評価試験を実施した。
【0056】(1)常温硬度試験: ビッカース硬度試験機
を用いて荷重100g、試験温度20℃の条件で測定。位置は
最表面層から 0.1mm。
【0057】(2)耐温間エロージョン試験: ブラスト式
エロージョン試験装置を用いて表2にに示す条件で2時
間実施し、その時の減肉速度を測定。
【0058】また、前記の680 ℃で焼鈍処理した後、そ
の外層部からブロックを切り出し、400 ℃×3000時間の
空冷処理を施して引張試験片を採取し、常温延び試験を
行ってその破断延びを測定した。
【0059】これらの試験結果を表1に併せて示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】〔試験2〕表1に示す種別7の化学組成の
高マンガン鋼溶製材から外層用鋼管を製造した。図1に
示す方法で前記STBA22の内層鋼管1(外径140mm 、内径
31mm、長さ 700mm) の外側に、この内層鋼管1の外径よ
り0.1mm 内径が小さい高マンガン鋼外層用鋼管3をプレ
スにより冷間圧入した後、両端部を炭素鋼円盤部材2に
より溶接で密封し、複合ビレットを作製した。このビレ
ットを1200℃に加熱した後、押出比12で熱間押出成形加
工して外径57mm×内径28mm×長さ8m の複層鋼管を製造
した。
【0063】次いで 960℃で均質化処理し、さらに 680
℃で焼鈍処理した後、この複層鋼管の外層をホイール式
ショットピーニング(平均粒径0.8mm のスチール玉を使
用し800mm 離れた位置から70 m/sec の速度でカバレー
ジが300 %になるまで吹付け)により、表面加工硬化処
理した後、それぞれの表面部からサンプルを切り出して
試験1と同じ評価試験を実施した。この試験結果を表1
に併せて示す。
【0064】〔試験3〕表1に示す種別8の化学組成の
高マンガン鋼溶製材から外層用鋼管を製造した。図2に
示す方法で前記STBA22の内層鋼管1(外径140mm 、内径
31mm、長さ 700mm) の外側に、この内層鋼管1の外径よ
り内径が0.2mm 大きい高マンガン鋼外層用鋼管3を挿入
した後、両端部を炭素鋼円盤部材2により溶接で密封
し、常温で1時間脱気管4からロータリーポンプにより
真空脱気処理し、その終了後脱気管4は溶接で封口して
複合ビレットを作製した。
【0065】このビレットを1200℃に加熱した後、押出
比12で熱間押出成形加工して外径57mm×内径28mm×長さ
8m の複層鋼管を製造した。
【0066】次いで 960℃で均質化処理し、さらに 680
℃で焼鈍処理した後、この複層鋼管の外層を試験1と同
じエアー式ショットピーニングにより、表面加工硬化処
理した後、それぞれの表面部からサンプルを切り出して
試験1と同じ評価試験を実施した。この試験結果を表1
に併せて示す。
【0067】〔試験4〕表1に示す種別13の化学組成の
鋼(JIS 規格のSTBA22)の溶製材から、図3に示す通常
の形状のビレットを製造した。
【0068】図3は、通常のボイラ・熱交換器用合金鋼
管の製造に使用するビレットの縦断面図である。図にお
いて、符号5は上記のSTBA22鋼から製造された中空ビレ
ットである。この例では、内径、外径および長さは上記
試験1〜試験3の場合と同じとした。
【0069】このビレットを1200℃に加熱した後、押出
比20で熱間押出成形加工して外径48mm×内径28mm×長さ
12m の単層鋼管を製造した。
【0070】次いで 960℃で均質化処理し、さらに 680
℃で焼鈍処理した後、この鋼管に試験1と同じ曲管加
工、ショットピーニング加工を加え、その後同じ評価試
験を実施した。この試験結果を表1に併せて示す。
【0071】表1から明らかなように、本発明で定める
条件で製造された複層鋼管は、優れた耐エロージョン性
を有するものである。また、外層鋼管にNiを含有させる
と、高温長時間保持された後も高い延性を有する。
【0072】
【発明の効果】本発明の複層鋼管は、石炭火力発電ボイ
ラ用鋼管に要求される耐エロージョン性、延性、伝熱効
率および施工性に優れたものであり、その製造方法も通
常の製造工程が適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる、冷間圧入−密封法
で組み立てられた複合ビレットを例示する縦断面図であ
る。
【図2】本発明の製造方法に用いる、挿入−密封−脱気
法で組み立てられた複合ビレットを例示する縦断面図で
ある。
【図3】通常のボイラ・熱交換器用合金鋼管の製造方法
に用いるビレットを例示する縦断面図である。
【符号の説明】
1;内層鋼管、2:炭素鋼円盤部材、3:高マンガン鋼
外層鋼管、4:脱気管、 5:通常のビレット

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内層がボイラ・熱交換器用鋼管であり、外
    層が重量%で、C:0.3〜1.2 %、Si:1.0%以下、Mn: 10
    〜25%、Cr: 15%以下、Mo:3%以下、Al:1%以下およ
    びN:0.3%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
    物からなり、不純物中のPは0.01%以下、Sは0.005 %
    以下の溶製材高マンガン鋼であることを特徴とするボイ
    ラ用耐摩耗複層鋼管。
  2. 【請求項2】請求項1記載の化学組成を有する溶製材か
    ら製造された高マンガン鋼管と、その内側に配置された
    ボイラ・熱交換器用鋼管とからなる複合ビレットを組み
    立て、この複合ビレットを熱間押出し加工してクラッド
    鋼管を製造し、次いでボイラ・熱交換器用鋼管のための
    熱処理を施した後、冷間加工により外層の高マンガン鋼
    管に表面硬化層を形成させることを特徴とするボイラ用
    耐摩耗複層鋼管の製造方法。
  3. 【請求項3】内層がボイラ・熱交換器用鋼管であり、外
    層が重量%で、C:0.3〜1.2 %、Si:1.0%以下、Mn: 10
    〜25%、Cr: 15%以下、Mo:3%以下、Al:1%以下、
    N:0.3%以下およびNi:3%以下を含有し、残部がFeお
    よび不可避的不純物からなり、不純物中のPは0.01%以
    下、Sは0.005 %以下の溶製材高マンガン鋼であること
    を特徴とするボイラ用耐摩耗複層鋼管。
  4. 【請求項4】請求項3記載の化学組成を有する溶製材か
    ら製造された高マンガン鋼管と、その内側に配置された
    ボイラ・熱交換器用鋼管とからなる複合ビレットを組み
    立て、この複合ビレットを熱間押出し加工してクラッド
    鋼管を製造し、次いでボイラ・熱交換器用鋼管のための
    熱処理を施した後、冷間加工により外層の高マンガン鋼
    管に表面硬化層を形成させることを特徴とするボイラ用
    耐摩耗複層鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】ボイラ・熱交換器用鋼管のための熱処理を
    行い、直管の状態で、または曲げ加工を施した後、ショ
    ットピーニング加工により外層の高マンガン鋼管に表面
    硬化層を形成させることを特徴とする請求項2または請
    求項4記載のボイラ用耐摩耗複層鋼管の製造方法。
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