JP4571847B2 - 金属精錬炉排ガスダクト - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼などの金属精錬における転炉、電気溶製炉の排ガス環境で優れた耐久性を示し、施工性、補修性、経済性にも優れた金属精錬炉排ガスダクトに関する。
以下、鉄鋼製造を行う精錬炉(転炉や電気炉など)を例に、背景技術を説明する。
金属精錬炉の排ガスは腐食性のガス成分や金属ダストを含むため、排煙設備で排ガス流路は厳しい損耗を受ける。一般に、排ガスの温度は1200℃に達する。炉によっては、燃焼塔で可燃性ガスを燃焼させた上で、排煙設備に通風するケースもある。
一般に、排煙ダクトは、炭素鋼板の溶接構造で二重筒構造とし、内筒に排ガスを通し内筒と外筒との間に冷却水を通すケースや、ダクト内面に鋼管を並べて水冷管パネルを作り、内部に冷却水を通す形式が使われている。以下、これらを排煙水冷ダクトと呼ぶ。
近年、排煙水冷ダクトの損耗が顕著になってきた。1990年代前半までは、板厚9mmの炭素鋼製内筒で5年以上の耐久性が得られていたが、最近では、板厚12mmに増厚しても半年〜1年で損耗する事例が多くなり、日常的な補修や取換工事が行われていた。また、転炉排ガス(OG)処理装置でも、最近、排煙水冷ダクトの耐久寿命が従前と比較して半分以下に短くなってきた。
損耗の原因としては、固体粒子の衝突による摩耗、ダストによる溶融塩腐食、吸湿による濃厚電解質形成に伴う湿食などが考えられるが、いずれの要因が損耗の支配プロセスなのかは、ほとんど解明されていないという課題があった。
排煙水冷ダクトの損耗を防止する従来技術では、排ガスと接触する面の材質を変更し、耐久性を確保する方法が提案されている。この方法は、排ガスに接する表面を改質する方法と、ダクトを構成する部材自身の材質を変更する方法に分類できる。
排ガスに接する表面を改質する方法としては、例えば、1)耐熱・耐火レンガで内張りする、2)無機系キャスターでライニングする、3)肉盛り溶射層を施す、4)高合金鋼を表層に持つクラッド鋼を採用する、等の方法が考えられ、一部は既に提案されている。
例えば、(特許文献1)に示されるようなステンレス系合金の溶射肉盛や、(特許文献2)に示されている800℃で酸化物を形成する成分の合金の溶射被覆層を形成する方法、さらに、(特許文献3)に示されているNi−Cr−Mo−B系に代表される自溶性溶射合金による被覆(基材と溶射金属による合金層を形成させる金属被覆)等が挙げられる。
また、ダクトを構成する部材自身の材質を変更する方法としては、炭素鋼に代えて、耐久性に優れた構造材料、鋼SUS310Sなどの耐熱ステンレス鋼などを使用することが容易に考えられる。
レンガの内張り、金属溶射、無機系ライニング、高合金の内張りは、いずれも炭素鋼を裸で使用してきた排ガスダクトにおいては、材料・施工コストが極めて高くなるほか、炭素鋼との熱膨張率が不可避的に異なるため、1000℃程度の高温と室温近くの熱サイクルを1時間に1回のサイクルで受ける環境では、長期にわたり密着性を確保するのが難しいといった課題があった。
さらに、レンガや無機系ライニングを採用した場合、1)排ガスの冷却速度が遅くなるために、所定温度以下で集塵装置に排ガスを送るためには、排ガスダクトを延長する必要が生じるし、また、2)冷却速度が小さすぎると、ダイオキシンの発生を必ずしも十分に抑制できない、3)排ガスダクトの重量が増す、等の課題があった。
炭素鋼に代えてステンレス鋼などの高合金鋼を用いる場合、素材および施工コストが極めて高くなるといった課題があった。また、SUS316L、SUS310Sなどのステンレス鋼でも、経済性に見合った耐久性が必ずしも得られないといった課題があった。
以上述べたように、炭素鋼の片面を排ガスに接する面(接ガス面)とし、残る面を冷媒面とする排ガスダクトは、素材費、施工性、補修性、経済性に極めて優れている。したがって、炭素鋼製排ガスダクトと施工性、補修性が同等であり、さらに接ガス面の耐久性が飛躍的に優れ、経済的にも合致する排ガスダクトが強く求められていた。
特公平4−80089号公報 特許第2565727号公報 特開2003−231909号公報
本発明は、前述の問題を克服してなされたもので、特に、鉄鋼などの溶製設備における転炉または電気炉、灰の溶融炉などの排ガス環境での耐久性、加工性、施工性に優れた金属精錬炉排ガスダクトを提供することを目的とする。
本発明者らは、鉄鋼溶製炉および灰溶融炉の水冷排ガスダクトの損耗機構を詳細に検討した結果、特定の化学組成を満足する鋼が、当該環境で優れた耐久性を示し、かつ、炭素鋼並の加工性、施工性を具備することを知見した。
また、先の特定の化学組成を満足する鋼を接ガス面とし、特定の公知の溶接材料と組み合わせることで、炭素鋼製排ガスダクトの製作と同等の施工能率で、排ガスダクトが得られることを知見した。
本発明は前記知見に基づいて構成したものであり、その要旨は以下の通りである。
(1) 排ガスダクトにおける排ガス流路の接ガス面が、質量%で、
C :0.001〜0.2%、
Cu:0.1〜1%、
Ni:0.01〜0.5%、
Cr:4.0%〜9.0%、
Sb:0.01〜0.2%、
を含有し、かつ、
Mo:0.005〜0.5%、
W:0.005〜0.5%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、オーステナイト系溶接材料で溶接接合して構成されていることを特徴とする金属精錬炉排ガスダクト。
(2) 排ガスダクトにおける排ガス流路の接ガス面が、質量%で、
C :0.001〜0.2%、
Cu:0.1〜1%、
Ni:0.01〜0.5%、
Cr:4.0%〜9.0%、
Sb:0.01〜0.2%、
を含有し、かつ、
Mo:0.005〜0.5%、
W:0.005〜0.5%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を表層に有する複層鋼材の表層部が、オーステナイト系溶接材料で溶接接合して構成されていることを特徴とする金属精錬炉排ガスダクト。
(3) 排ガスダクトにおける排ガス流路の接ガス面の鋼および溶接金属の両方が、質量%で、
C :0.001〜0.2%、
Si:0.01〜0.5%
Mn:0.1〜2%、
Cu:0.1〜1%、
Ni:0.01〜0.5%、
Cr:4.0%〜6.0%、
Sb:0.01〜0.2%、
P:0.05%以下、
S:0.005〜0.02%、
を含有し、かつ、
Mo:0.005〜0.5%、
W:0.005〜0.5%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼と溶接金属で構成されていることを特徴とする金属精錬炉排ガスダクト。
(4) 前記排ガスダクトが、二重筒型の水冷排ガスダクトであって、金属製外筒と金属製内筒とから構成され、内筒の内側を排ガス流路とし、外筒と内筒の間を冷媒流路とすることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属精錬炉排ガスダクト。
(5) 前記排ガスダクトが、排ガス流路の接ガス面と反対の面に、複数のパイプが接合配置された排ガスダクトであって、該パイプ中に冷媒を通過させる機能を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属精錬炉排ガスダクト。
本発明の金属精錬炉排ガスダクトは、金属溶製炉や灰溶融炉の排煙環境にて、優れた耐久性を示すとともに、炭素鋼製ダクト並の施工性、補修性、経済性を併せて有している。
以下、本発明について詳細に説明する。以下、%は質量%を意味している。
本発明の骨子は、第一に、排ガス流路と冷却媒体の流路からなる強制冷却機構を有する排ガスダクト構造において、接ガス面を低C−Cr−Cu−Ni−(Mo、W、Mo+W)−Sb鋼とし、その片面を水冷する点であり、第二に、排ガスダクトは、前記の組成を有する鋼板をオーステナイト系の溶接材料、または、鋼と同じ成分系のフェライト系溶接材料を用いて溶接施工する点である。
一般に、排煙処理設備接ガス面は、排ガスと材料との相互作用による損耗(板厚減少)により劣化する。損耗では、化学的な腐食現象や物理的な摩耗現象等が複合的に作用する。本発明では、排煙処理設備においてガスと接する部材面の板厚減少を招く現象を、損耗と呼ぶ。
まず、損耗挙動に及ぼす合金組成の影響について述べる。図1は、表1に示した比較例A3を基本成分として、Cr量を変化させた鋼材を供試した結果で、鉄鋼電気炉の排ガスダクト内面における平均損耗速度および最大損耗速度に及ぼすCr単独添加量の影響を示すものである。
図1から、平均損耗速度で充分な効果を得るためには、4.0%以上のCr添加が必要であることがわかる。また、Crの単独添加では、最大損耗深さが十分に低減されないことがわかる。それゆえ、4.0%以上のCr添加鋼の場合、第三元素の複合添加により耐損耗性を向上させる必要がある。
本発明者らは、4.0%以上のCr含有鋼の耐損耗性に及ぼす複合添加元素の効果を検討した結果、耐損耗性の改善には、低C、Si、Cu、Ni、Mo、W、Sb、Sn、Pbの添加が有効であることが判明した。さらに、Cu−Ni−(Mo、W、Mo+W)−Sbの複合添加により、顕著な耐損耗性の改善効果が得られることが判明した。
図2は、排ガスダクトでの損耗環境に対する5%Cr鋼へのCu、Ni、Mo、Sbの複合添加の効果を示す。Cr添加鋼においてCu−Ni−Mo−Sbを複合添加すると、耐損耗性が飛躍的に改善されることがわかる。
次に、本発明の限定要件を詳細に述べる。
〔化学組成〕
まず、排ガス流路の接ガス面に用いる鋼として、オーステナイト系溶接材料で溶接接合される鋼、または、オーステナイト系溶接材料で溶接接合される複層鋼材の表層部の鋼の化学組成を限定する理由を以下に述べる。なお、%は質量%を意味する。
Cは、排ガスダクト環境での耐損耗性の観点から、その量は少ないほど好ましいが、強度を確保するためには0.001%以上の添加が必要であるので、下限値を0.001%とした。0.2%を超えると、耐損耗性、冷間加工性、および、溶接性が損なわれるので、0.001〜0.2%を限定範囲とした。特に加工性が求められる場合、0.01〜0.06%が好ましい。
Cuは、局部的な損耗を抑制するためには、Ni、(Mo、Wの1種以上)、Sbとともに0.1%以上の添加が必要である。1%を超えて添加すると、強度の過度の上昇および製造性、冷間加工性の低下を招くため、0.1〜1%を限定範囲とした。好ましくは、0.2〜0.5%の添加が、冷間加工性および耐損耗性のバランスに優れている。
Niは、局部的な損耗を抑制する目的に、Cu、Mo、Sbとともに0.01%以上添加するが、その効果は0.5%で十分なので、0.01〜0.5%を限定範囲とした。
Crは、耐損耗性を確保するために、4.0%以上添加する必要がある。9.0%を超えて添加しても耐損耗性は飽和するので、4.0〜9.0%を限定範囲とした。4.0〜9.0%Cr−Cu−Ni−Sb−(Mo、W、またはMo+W)の複合添加効果によって、耐損耗性は、4.0〜9.0%Cr単独添加系に比較して飛躍的に改善される。
また、6.0%を超えると、Siを制限しても、アセチレンなどの吸熱性ガスによる切断性が低下し易いので、限定範囲を4.0〜6.0%とすることが好ましい。加工性および耐損耗性を考慮すると、4.5〜5.5%がより好ましい。
Sbは、局部的な損耗を抑制する目的に、Cu、Ni、(Mo、Wの1種以上)とともに0.01%以上添加するが、0.2%を超えて添加してもその効果は飽和するので、0.01〜0.2%を限定範囲とした。熱間加工性の観点から、0.05〜0.15%がより好ましい。
Mo、Wは、局部的な損耗を抑制する目的に、少なくとも1種以上を、Cu、Ni、Sbとともに0.005%以上添加するが、0.5%を超えると、逆に、溶接性や耐損耗性を阻害するので、0.005〜0.5%を限定範囲とした。耐損耗性、経済性、溶接性の観点からは、0.01〜0.1%が好ましい。
その他の成分については、次の通りである。
Siは、脱酸のために0.01%以上添加すると、ガス成分が低減することによりブローホールが減少して、ガス切断性を確保するための必須元素であるが、0.5%を超えると熱影響部(HAZ)靱性が劣化するので、0.01〜0.5%が好ましい。耐損耗性と良好なガス切断性を両立させるためには、0.01〜0.3%の添加が、より好ましい。鋼の製造性、溶接性などを考慮した場合、0.1〜0.3%が、さらに好ましい。
Mnは、鋼の強度確保および脱酸のため0.1%以上添加する必要があるが、過度の添加は、強度過剰および冷間加工性を損なうので、0.1〜2%が好ましい。
Pは、不純物元素であり、0.05%を超えると溶接性および耐損耗性が低下するので、0.05%以下が好ましい。なお、Pは、少ないほどその効果は良好となるため、0.02%以下が、より好ましい。なお、下限値は0%を含む。
Sは、不純物元素であり、0.02%を超えると耐ラメラテア性が低下するので、0.02%以下が好ましい。Sが0.005%未満になると、耐損耗性が低下するので、0.005〜0.02%が好ましい。
なお、Alは、必要に応じて脱酸元素として0.005%以上添加できる。Al添加量の増加に従って耐損耗性は向上するが、過度の添加はガス切断性を損なうため、0.005〜0.5%の範囲が好ましい。
さらに、接ガス面の鋼は、必要に応じて、Co、Ti、Nb、V、Ta、Zr、B、Mg、Ca、Y、La、Ce、Sn、Pbの1種または2種以上添加しても、本発明の効果は失われない。
次に、排ガス流路の接ガス面に用いる鋼および溶接材料の両方ともに、同様の化学組成の鋼である場合、すなわち、共金系の溶接材料を使用する場合について、鋼の化学組成を限定する理由を以下に述べる。
C、Cu、Ni、Sb、Mo、Wについては、前述のオーステナイト系溶接材料を使用する場合と、その限定範囲および限定理由は同様である。
しかし、Crは、オーステナイト系溶接材料を使用する場合と、共金系溶接材料を使用する場合で、限定範囲の上限値が異なる。
すなわち、共金系の溶接材料を使用する場合、耐損耗性を確保するためには、4.0%以上添加する必要がある。但し、6.0%を超えて添加すると、比較的高い温度での予熱、後熱処理が不可欠となり、溶接施工性が低下するので、4.0〜6.0%を限定範囲とした。溶接施工性、加工性および耐損耗性を考慮すると、4.0〜5.5%がより好ましい。
さらに、Si、Mn、P、Sについては、共金系の溶接材料を使用する場合、これらを必須の成分とすることが、オーステナイト系溶接材料を使用する場合とは異なる。但し、Si、Mn、P、Sの限定範囲および限定理由は、前述のオーステナイト系溶接材料を使用する場合と、基本的に同じである。
本発明の排ガスダクトに用いる鋼は、転炉、電気炉等の溶製炉において鋼を溶製し、必要に応じて、脱ガス装置、取鍋などにおいて二次精錬を施して、所定の鋼成分とした後、この溶鋼を連続鋳造により、あるいは、鋼塊とした後、分塊圧延して、鋼片とする。
その後、この鋼片を、加熱しあるいは加熱することなく、熱間圧延して、熱延薄鋼板や厚鋼板とし、さらに、冷間圧延して冷延薄鋼板等の鋼板として使用できるほか、熱間圧延により形鋼、棒鋼、線材あるいは鋼管など、その耐蝕用鋼部材として多様な形で使用することができる。
一般に、排煙処理設備の排ガスダクトは、鋼材の溶接構造で構成されるので、該鋼材には、所要特性の他、溶接施工性が要求される。従って、溶接金属の選択的な損耗を防止するとともに、本発明で炭素鋼並みの溶接施工性を確保するためには、溶接金属の合金組成が重要である。
耐損耗性に有効なCr、Ni、Cu、Moなどの含有量を高めたオーステナイト系の溶接材料、または、母材と同じく低C−Cr−Cu−Ni−(Mo、W、Mo+W)−Sb系のフェライト系の溶接材料を用いることが好ましい。オーステナイト系溶接材料としては、周知の技術を活用すれば良く、オーステナイト系ステンレス、例えばSUS309Lなどを用いるのが、常套である。
排ガス流路の接ガス面の材質としては、複層鋼材の場合、表層が耐損耗層として、本発明の化学組成を有する鋼成分であることが重要である。耐久性の観点から、耐損耗層は3mm以上が好ましいが、複層鋼よりも材質全体が本発明で限定した化学組成を有する鋼がより好ましい。
排ガスダクトの構造としては、以下の通り、水冷二重構造または水冷鋼管パネルで構成される排ガスダクトが好ましい。これは、水冷二重構造の場合、排ガスが300℃を超える高温でも、ダクトのメタル表面温度は高々数10℃となり、過酷な溶融塩腐食(一般にはメタル表面温度が300℃以上で生じる)による損耗を回避できるためである。
〔水冷二重構造の排ガスダクト〕
水冷二重構造の排ガスダクトの構造例を図3に示す。接ガス面の表層が本発明の特性組成を有するクラッド鋼または本発明の特定組成を有する鋼を母材とし、オーステナイト系の溶接材料(例えば、SUS309L)による溶接部とからなる内筒2と炭素鋼製の外筒1とで構成される二重構造の排ガスダクトである。図3中、3は冷却水の流路で、4は排ガスの流路である。
本発明の特定組成を有する鋼を基材6上に被覆して耐損耗層5としたクラッド鋼とオースナイト系溶接材料による溶接部7とからなる内筒の構造例を図4に示す。なお、図4中、8が排ガスに接する面である。
冷媒の温度は100℃以下が好ましく、冷媒としては水が好ましい。内筒の板厚は耐久性の観点から6mm以上が好ましく、より好ましくは9〜16mmである。内筒の製作方法は、板巻き、鋼管、スパイラル加工と溶接など、いずれの方法でもよい。必要に応じて、接ガス面表層は、本発明の限定範囲耐熱・耐摩耗材料で被覆してもよい。
〔水冷鋼管パネルで構成される排ガスダクト〕
水冷鋼管パネルで構成される排ガスダクトの構造例を図5に示す。排ガスと接する面(接ガス面)とは反対の面に、複数の水冷管9が、通常、平行に配列されており、パネルと溶接接合されている。炭素鋼管を並べたパネル上に接ガス面板として、本発明で限定した組成を有する鋼板を、オースナイト系溶接材料で溶接接合する。必要に応じて、接ガス面表層は耐熱・耐摩耗材料で被覆してもよい。
(実施例1)
表1に示す合金組成の鋼板(1000mm×500mm×12mm)を長手方向に2分割し、突合せ溶接で接合した後、内筒径に冷間曲げ加工し、その後、鉄筋棒鋼の電気溶製炉の排ガスダクト内筒(サイト1)、および、転炉OG排ガス処理設備の水冷ダクト(サイト2)にあらかじめ試験鋼板をはめ込む窓を切っておき、試験鋼板を溶接して取り付けた。
なお、溶接は、入熱:約20kJ/cmのアーク溶接とし、溶接材料としてはオーステナイト系ステンレス(SUS309L)の被覆アーク溶接棒を用いた。
予熱・後熱処理は、特に行わなかった。いずれの試験体も、溶接性は十分で炭素鋼並であった。6ヶ月後に、試験鋼板を取り付けたダクトのセクションをガスで切断した後、各試験片を切り出し、酸洗後に板厚計測を行い、平均損耗速度および局部的な最大損耗速度を求め、耐損耗性を評価した。
表2に、上記のダクト内曝露試験結果を示す。
Figure 0004571847
Figure 0004571847
比較例であるA1は、市販の一般溶接構造用鋼(JIS G 3141 SS400)、A2は低合金鋼であるが、双方とも、耐損耗性が低い。また、A3は、4.9%Crを単独添加した低炭素鋼であり、平均損耗速度はA1、A2に比べてよいものの、最大損耗速度はA2と同等で、Crの添加効果が認められない。
また、A4、A5、A6、A7はCr5.1%を含有し、さらに、Si、Cu、Ni、Mo、Sbが複合添加されるが、A4はCuが、A5はNiが、A6はMoが、A7はSbがそれぞれ不足しているために、最大損耗速度の抑制は十分ではない。
また、A8は、Cr含有量が3.0%と低いため、複合添加による平均および最大損耗速度の抑制は十分ではない。
これに対して、本発明例であるB1〜B5は、本願の規定する鋼組成範囲にあり、耐損耗性に優れていることがわかる。
(実施例2)
表3に示す合金組成の鋼板(300mm×300mm×12mm)を、試作した溶接フェライト系合金溶接棒で突合せ溶接し、溶接施工性、溶接割れ感受性を調査した。
溶接棒は、耐損耗性の確保上重要なCr−Cu−Ni−Mo−Sbの溶接金属中の組成が鋼板の化学組成と同等程度になるように、表4に示す合金組成に調整した。溶接は、入熱:約20kJ/cmのアーク溶接とした。
Figure 0004571847
Figure 0004571847
その結果、溶接金属WM2の組成の溶接棒で比較例の鋼板C2を母材として突合せ溶接した溶接継手(以降、溶接継手C2と記載する)では、溶接金属で低温割れが認められた。一方、鋼板C1、C3、C4を母材として、それぞれ、WM1、WM3、WM4を溶接金属とした溶接継手(以降、それぞれ溶接継手C1、C3、C4と記載する)は、溶接施工性および割れ感受性は良好であった。
そこで、溶接継手C2を除いた、溶接継手C1、C3、C4を、実施例1と同様に、鋼精錬電気炉の排煙二重水冷ダクトの接ガス面に取り付け、6ヶ月後に、試験鋼板を取り付けたダクトのセクションをガスで切断した後、各試験片を切り出し、酸洗後に板厚計測を行い、平均損耗速度および局部的な最大損耗速度を求め、耐損耗性を評価した。
表5に、上記のダクト内曝露試験結果を示す。
Figure 0004571847
比較例の溶接継手C1は、Cr量が母材および溶接金属ともに、前記(3)の発明で規定したCr量の下限値以下であるので、耐損耗性が本発明例C3、C4に比べて劣っていることがわかる。また、前記の通り、比較例の溶接継手C2は、Cr量が母材および溶接金属ともに、前記(3)の発明で規定したCr量の上限値を超えているので、十分な溶接性が得られないことがわかる。
以上の結果から、母材および溶接金属ともに、Cr量が前記(3)の発明で規定したCr量の範囲であれば、フェライト系溶接材料を使用しても、優れた耐損耗性と溶接施工性をガス切断性とともに両立可能であることがわかる。
本発明の金属精錬炉排ガスダクトは、製鋼電気炉、製鋼転炉の排ガス処理装置、灰溶融炉の排ガス処理装置、廃棄物や汚泥などの焼却施設の排ガス処理装置において、例えば、ダクト、熱交換器ケーシング、電気集塵機やバグフィルターのケーシング、冷却塔のケーシング、煙突内筒などに使用すれば、優れた耐久性による設備寿命の延伸を図りながら、従来の炭素鋼と同じ維持管理および補修方法を継続でき、その産業上の価値は極めて高い。
鋼の溶製電気炉の水冷ダクト内筒でのCr単独添加鋼の最大・平均損耗速度に及ぼすCr量の影響を示す図である。 水冷排ガスダクトの内筒環境における5%Cr鋼の損耗速度に及ぼすCu、Ni、Sbの複合添加の効果を示す図である。 二重水冷ダクトの構造例を示す図である。 二重水冷ダクトの内筒の構造例を示す図である。 水冷パネルで構成されるダクトの構造例を示す図である。(a)は、ダクトの断面を示し、(b)は、水冷管の断面を拡大して示す図である。
符号の説明
1 外筒
2 内筒
3 冷却水の流路
4 排ガスの流路
5 耐損耗層
6 基材
7 オーステナイト系溶接材料による溶接部
8 排ガスに接する面
9 水冷管
10 ダクトのスカート
11 フィン

Claims (5)

  1. 排ガスダクトにおける排ガス流路の接ガス面が、質量%で、
    C :0.001〜0.2%、
    Cu:0.1〜1%、
    Ni:0.01〜0.5%、
    Cr:4.0%〜9.0%、
    Sb:0.01〜0.2%、
    を含有し、かつ、
    Mo:0.005〜0.5%、
    W:0.005〜0.5%
    の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を、オーステナイト系溶接材料で溶接接合して構成されていることを特徴とする金属精錬炉排ガスダクト。
  2. 排ガスダクトにおける排ガス流路の接ガス面が、質量%で、
    C :0.001〜0.2%、
    Cu:0.1〜1%、
    Ni:0.01〜0.5%、
    Cr:4.0%〜9.0%、
    Sb:0.01〜0.2%、
    を含有し、かつ、
    Mo:0.005〜0.5%、
    W :0.005〜0.5%
    の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を表層に有する複層鋼材の表層部が、オーステナイト系溶接材料で溶接接合して構成されていることを特徴とする金属精錬炉排ガスダクト。
  3. 排ガスダクトにおける排ガス流路の接ガス面の鋼および溶接金属の両方が、質量%で、
    C :0.001〜0.2%、
    Si:0.01〜0.5%、
    Mn:0.1〜2%、
    Cu:0.1〜1%、
    Ni:0.01〜0.5%、
    Cr:4.0%〜6.0%、
    Sb:0.01〜0.2%、
    P :0.05%以下、
    S :0.005〜0.02%、
    を含有し、かつ、
    Mo:0.005〜0.5%、
    W:0.005〜0.5%
    の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼と溶接金属で構成されていることを特徴とする金属精錬炉排ガスダクト。
  4. 前記排ガスダクトが、二重筒型の水冷排ガスダクトであって、金属製外筒と金属製内筒とから構成され、内筒の内側を排ガス流路とし、外筒と内筒の間を冷媒流路とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属精錬炉排ガスダクト。
  5. 前記排ガスダクトが、排ガス流路の接ガス面と反対の面に、複数のパイプが接合配置された排ガスダクトであって、該パイプ中に冷媒を通過させる機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属精錬炉排ガスダクト。
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