JPH05258700A - 走査像観察方法および走査電子顕微鏡 - Google Patents

走査像観察方法および走査電子顕微鏡

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JPH05258700A
JPH05258700A JP4055076A JP5507692A JPH05258700A JP H05258700 A JPH05258700 A JP H05258700A JP 4055076 A JP4055076 A JP 4055076A JP 5507692 A JP5507692 A JP 5507692A JP H05258700 A JPH05258700 A JP H05258700A
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electron beam
angle
optical axis
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JP4055076A
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Miyuki Matsutani
幸 松谷
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Jeol Ltd
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光軸に平行な面、あるいは、大きな傾斜角の
面の観察を倍率に無関係に常に高分解能で鮮明に得るこ
とができる走査像観察方法および走査電子顕微鏡を実現
する。 【構成】 操作部14により、試料5の内、光軸に平
行、あるいは平行に近い面を観察するモードとした場
合、各レンズの結像点の位置は、焦点深度を深くするた
めに制御部13により制御される。まず、第2の集束レ
ンズ3の結像点Qは、対物レンズ4の主面4sの後方
(試料側)に移動させられる。この結果、通常の走査電
子顕微鏡像の観察モードに比べ、数分の1〜1/10の
ビーム半径が対物レンズ4の主面4s上で得られる。対
物レンズ4は、点Qを虚光源として試料面上に点Qの像
を結ぶ。このため、試料に入射する電子ビームの開き角
αは、小さくなり、結果として焦点深度は通常の走査電
子顕微鏡像観察時に比べ、数倍から1桁大きな値とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、傾斜した試料面の観察
を行うに最適な走査像観察方法および走査電子顕微鏡に
関する。
【0002】
【従来の技術】走査電子顕微鏡において、大型試料を高
速で移動させ、かつ、高精度で位置決めする試料ステー
ジでは、位置決めの精度向上のため、ゴニオメータステ
ージなどが有する試料の傾斜動や回転動は利用しない
か、または、ステージに組み込まれないことが多い。こ
のような装置で、電子光学系の光軸に平行な面、あるい
は、傾斜角の大きな面を観察する場合には、電子ビーム
の中心軸と光軸との成す入射角θを大きく傾斜させて試
料に入射させれば、観察視野の周辺で、ある程度、試料
の側面も観察することができる。図1はこのような状態
を示したもので、試料Sは、凸部S,Sを有してい
る。凸部Sの側面の一方は、電子ビーム光軸に沿って
配置されており、もしこの面が光軸に接している時は、
電子ビーム光軸に中心軸を有するEBで走査を行って
も側面の観察は出来ない。一方、凸部Sの側面は、光
軸から離れており、この面は、電子ビームの中心軸が光
軸と角度θ傾けられた電子ビームEBを用い、EB
を±Δθの範囲で走査すれば、凸部Sの側面の観察は
可能となる。なお、OLは対物レンズの主面である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】試料の凹凸の側面のみ
を観察する場合、従来の装置では試料面の走査領域と観
察用陰極線管の走査領域を共に凹凸の側面に制限し、像
(制限視野像)を観察する手法があったが、入射角θを
中心に偏向する角度±Δθを小さくし、この側面の領域
を中高倍で観察する機構がなかった。また、従来の装置
では、高倍率で観察しようとすると、入射角θが小さく
なり、側面の観察には不適当であった。更に、従来の装
置では、高分解能の像を得るために、試料に入射するビ
ームの開き角αは、大きな値、例えば、5mradとな
り、従って、焦点深度も小さな値となった。例えば、倍
率が100倍で、光軸に垂直な面に対しても、0.2m
m程度であった。従って、光軸に平行な凹凸の側面を観
察する場合には、倍率が小さい場合でも、入射角θを中
心として視野のtanθ/3ぐらいの範囲しか鮮明な像
が得られないし、凹凸の周期が短いと電子ビームが凹凸
の隙間に入り込めないという欠点を有している。図2は
このような状態を示したもので、走査の中心がEB
場合はΔθの走査によってEBとオーバーラップする
ので側面のみの像は得られず、また、EBの場合は、
凸部Sにより、凸部Sの側面の観察が邪魔される。
【0004】更にまた、焦点深度を深くするために、試
料に入射するビームの開き角αを小さくすると、輝度の
保存則から電子銃の光源の大きさを十分に縮小して高分
解能の像を得るためには、プローブ電流を小さくしなけ
ればならない。従って、画像のノイズ成分は焦点深度と
分解能を両立させるときには増大してしまう。
【0005】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、その目的は、光軸に平行な面、あるいは、大き
な傾斜角の面の観察を倍率に無関係に常に高分解能で鮮
明に得ることができる走査像観察方法および走査電子顕
微鏡を実現するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に基づく走査像観
察方法は、傾斜した試料面に対し、電子ビームを光軸か
ら角度θ偏向し、その状態で微小角度±Δθの範囲を走
査し、この走査に応じて試料から得られた信号を表示装
置に導き、試料の傾斜面の走査像を表示するようにした
走査像観察方法において、観察すべき試料面の傾斜角を
φ、人間の目の分解能をr、表示装置の表示領域の幅を
2Lとしたとき、試料に入射する電子ビームの開き角α
をほぼ、 (r/2L)×{1/tan(φ−θ)}≦α α≦2(r/2L)×{1/tan(φ−θ)} (0<Δθ<<φ−θ) としたことを特徴としている。
【0007】また、本発明に基づく走査電子顕微鏡は、
電子ビームを試料上に細く集束するための集束レンズ
と、試料上の電子ビームの照射位置を走査するための偏
向手段と、試料への電子ビームの照射に基づいて得られ
た信号が供給され、電子ビームの走査と同期した表示手
段と、集束レンズの強度や偏向手段を制御する制御手段
とを備えており、該制御手段は、試料の傾斜面の走査像
を観察する際、傾斜した試料面に対し、電子ビームを光
軸から角度θ偏向し、その状態で微小角度±Δθの範囲
を走査し得るように偏向手段を制御し、観察すべき試料
面の傾斜角をφ、人間の目の分解能をr、表示装置の表
示領域の幅を2Lとしたとき、試料に入射する電子ビー
ムの開き角αがほぼ、 (r/2L)×{1/tan(φ−θ)}≦α α≦2(r/2L)×{1/tan(φ−θ)} (0<Δθ<<φ−θ) となるように集束レンズの強度を制御するようにしたこ
とを特徴としている。
【0008】
【作用】本発明では、傾斜した試料面に対し、電子ビー
ムを光軸から角度θ偏向し、その状態で微小角度±Δθ
の範囲を走査し、この走査に応じて試料から得られた信
号を表示装置に導き、試料の傾斜面の走査像を表示する
場合、試料に入射する電子ビームの開き角αを最適な値
とする。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図3は、本発明に基づく走査電子顕微鏡の
一実施例を示しており、1は走査電子顕微鏡の電子銃で
ある。電子銃1から発生した電子ビームEBは、集束レ
ンズ2,3と対物レンズ4によって試料5上に細く集束
される。6は偏向コイルであり、走査電源7からの走査
信号に応じて電子ビームEBを試料5上で走査する。走
査電源7からの走査信号は、同期装置8からの同期信号
に基づいて発生する。試料5への電子ビームの照射によ
って発生した、例えば、2次電子は、検出器9によって
検出される。検出器9の検出信号は、同期装置8から同
期信号が供給されている、第1の陰極線管10に供給さ
れると共に、画像積算装置11にも供給される。画像積
算装置11は、同期装置8から同期信号も供給されてお
り、また、その出力は、第2の陰極線管12に接続され
ている。13は制御部であり、各集束レンズ2,3、対
物レンズ4、走査電源7、同期装置8などを制御する。
14は操作部であり、高分解能モードと側面観察モード
との切り換えや、観察する傾斜面の領域や観察倍率など
を指定する。このような構成の動作を次に説明する。
【0010】まず、通常の走査電子顕微鏡像を観察する
場合、電子銃1から発生した電子ビームは、第1と第2
の集束レンズ2,3と対物レンズ4とによって試料5上
に細く集束され、また、走査電源7から偏向コイル6へ
の走査信号の供給により、試料5上で電子ビームの走査
が行われる。試料5への電子ビームの照射によって発生
した2次電子は、検出器9によって検出され、その検出
信号は第1の陰極線管10と画像積算装置11とに供給
される。第1の陰極線管10には、同期装置8から走査
電源7への同期信号と同じ同期信号が供給されており、
その結果、第1の陰極線管10には試料5の電子ビーム
の走査領域の2次電子像が表示される。また、画像積算
装置11においては、リアルタイムで画像処理が行わ
れ、その結果、画像積算装置11より第2の陰極線管1
2には、SN比が改善された信号が供給され、その信号
に基づいた像が第2の陰極線管12上に表示される。
【0011】次に、操作部14により、試料5の内、光
軸に平行、あるいは平行に近い面を観察するモード(以
下側面観察モードと称す)とした場合、各レンズの結像
点の位置は、焦点深度を深くするために制御部13によ
り制御される。まず、第2の集束レンズ3の結像点Q
は、対物レンズ4の主面4sの後方(試料側)に移動さ
せられる。この結果、対物レンズ絞り15の穴径よりも
小さく、通常の走査電子顕微鏡像の観察モードに比べ、
数分の1〜1/10のビーム半径が対物レンズ4の主面
4s上で得られる。対物レンズ4は、点Qを虚光源とし
て高分解能モードのフォーカス点でフォーカスが合うよ
うに試料面上に点Qの像を結ぶ。このため、試料に入射
する電子ビームの開き角αは、小さくなり、結果として
焦点深度は通常の走査電子顕微鏡像観察時に比べ、数倍
から1桁大きな値となる。また、第1の集束レンズ2
は、このレンズの結像点Pが点Qに共役となり、通常の
走査電子顕微鏡像観察モードから側面観察モードに切り
換えたときにプローブ電流が変化しないように制御され
る。
【0012】次に、偏向コイル6は、走査電源7からの
信号により、従来のように2段偏向によって電子ビーム
の中心軸が対物レンズ4の中心を通るように電子ビーム
の偏向を行う。側面観察モードでは、電子ビームの中心
軸と光軸とのなす任意の角θを中心に、任意の角度Δθ
だけ正負に偏向するよう、制御部13は走査電源7を制
御する。なお、説明を簡単にするため、図に示した偏向
は、一次元のみ例示する。この側面観察モードにおいて
も、電子ビームの走査に応じて、検出器9により試料5
から発生した2次電子が検出される。検出器9の検出信
号は、第1の陰極線管10に供給され、この第1の陰極
線管10には、偏向コイル6による電子ビームの±Δθ
の走査範囲に対応した試料の領域の像が表示される。こ
の時、画像積算装置11が持つ機能によって、第2の陰
極線管12には、画像積算装置11に記憶されている走
査範囲を制限していない広い領域の走査電子顕微鏡像を
表示することもでき、2つの陰極線管の表示画面を観察
することにより、第2の陰極線管12上の像で試料の幅
広い領域を観察し、その中の注目すべき傾斜面の拡大像
を第1の陰極線管10で観察することができる。
【0013】次に、本発明の動作原理を図4を用いて詳
細に説明する。図4において、電子ビームが対物レンズ
4の中心Oを通り、光軸に対して角度θで偏向されて試
料5の側面に入射しており、角度θに比較して十分に小
さい、例えば、θの1/10以下の角度±Δθでθの回
りを走査しているとする。レンズ系は、図3で説明した
焦点深度の深いモードとなっており、点Bでフォーカス
があっているものとする。試料の傾斜面は、図4のよう
に光軸に平行であるとする。点Bから光軸に引いた垂線
の足をAとし、対物レンズ4の中心Oに対してOA=w
であるとする。このとき、 AB=w・tanθ OB=w/cosθ となる。次に、対物レンズ4の中心を通り、光軸に対し
てθ−Δθで偏向された電子ビームEBと試料との交
点をC、BからOCに引いた垂線の足をD、ABとOC
の交点をEとすれば、Δθ<<θの条件で、BDはおお
よそOB・Δθつまり wΔθ/cosθ となる。従って、おおよそ次の関係式が導かれる。
【0014】 BC=w・Δθ/(cosθ・sinθ) … (1) BE=w・Δθ/cosθ … (2) すなわち、θを中心に±Δθだけ偏向したとき、側面領
域では、点Bを中心に±BC、通常の平面方向に±BE
だけ電子ビームで試料を走査することになる。
【0015】次に、±BCを焦点深度dの大きさと比較
する。通常の走査電子顕微鏡では、最低倍率での観察の
ため、偏向角θの値は、4°から8°の範囲とすること
は十分可能である。ここで、w=20mm、観察倍率を
40倍としたとき、±ABの長さが第2の陰極線管12
上で±60mmとして観察されるとすれば、AB=1.
5mmであるから、偏向角θは次のようになる。
【0016】
【数1】
【0017】次に、Δθが0.128°、すなわち、
2.24mradとすれば、(1),(2)式から、B
Cはおおよそ±0.60mmとなり、また、BEは48
μmとなる。この結果、観察対象の試料の側面は第2の
陰極線管12上でおおよそ100倍の観察倍率(60m
m/BC)で観察される。一方、BEが48μmである
ため、第2の陰極線管12上では、通常の平面であれ
ば、倍率が1340倍として観察されることになる。と
ころで、側面観察時の倍率は100倍であるにも拘ら
ず、Bの長さはおよそ0.60mmであるから、従来の
装置のように、光軸に垂直な面に対して焦点深度が±
0.2mmしか持たない場合には、光軸に平行な試料面
に対しては、 tanθ/3=1/40 の領域しか鮮明な像の観察ができない。以下この点につ
いて図5を用いてさらに詳しく述べる。
【0018】取扱いを一般的にするため、観察する試料
面は、光軸に垂直な面BAに対して、角度φだけ傾斜し
ているものとする。もちろんφは0<Δθ<<φ−θを
満たすものとし、φの値がπ/2であれば、この試料面
は光軸に平行となる。また、点Oでビームの中心が光軸
に対してθだけ傾斜して通過し、試料面上の点Bでフォ
ーカスしているものとする。点Bにおいて、ビームの開
き角がα(半頂角)で集束しており、点Oにおけるビー
ムの偏向角がθを中心に ±Δθ=±(θ−θ′) だけ偏向されており、点Oにおける偏向角θ′のビーム
中心が図のように試料面上の点Cで交わっているものと
する。半径OBの円弧と直線OCの交点をDとすれば、
Δθ=θ−θ′は十分に小さいので、
【0019】
【数2】
【0020】となる。また、ビームは偏向角θ′のとき
に、点Dに集束しているから、ビームの開き角α(半頂
角)だけDCから傾いた直線とBCとの交点をFとし、
直線DFと、中心がDで半径がDCの円弧との交点をG
とすれば、 α<<θ,θ′<<1rad さらに、
【0021】
【数3】
【0022】なので、 ∠DBF=∠GCG=φ−θ′ となる。従って、以下の通りとなる。
【0023】CD=BCsin(φ−θ′) GC=CD・α FC=GC/cos(φ−θ′) GC=BC・α・sin(φ−θ′) ∴FC=BC・α・tan(φ−θ′) … (3) ここで、角度θを中心とした±Δθの偏向による観察倍
率Mは、第1の陰極線管の表示領域の全長が2Lであ
るから、M=L/BCとなる。また、ビームの開き角
αが有限であることにより、試料面上では、±Δθの偏
向により2FCのビーム径となるので、この値がM
されたときに、人間の目の分解能r=0.2mmよりも
小さくなければならない。すなわちM×2FC≦rで
ある。従って、次の式が導かれる。
【0024】FC≦(BC・r)/2L … (4) なお、プローブ径が点DにおいてFCより十分小さくな
るようにプローブ電流は制限され、かつ、輝度の高い電
子銃を用いているものとする。ここで、(3)式を
(4)式に代入して整理すれば、次の式が導かれる。
【0025】 (r/2L)×{1/tan(φ−θ) }≦α≦2(r/2L) ×{1/tan(φ−θ) }…(5) すなわち、(5)式を満たす開き角αであれば、観察倍
率Mに関係なく、常に陰極線管に表示される画像は、
鮮明になるという興味ある結果が得られる。もし、試料
面が光軸に平行であれば、φ=π/2であるから、θが
θ′にほぼ等しい場合であれば、
【0026】
【数4】
【0027】となる。この結果、αが(r/2L)・t
anθより小さければ、光軸に平行な試料面では、倍率
に関係なく常に画像は鮮明となる。ここで、従来の
開き角α=5×10−3mrad,r=0.2mm,
θ=4.3°(光軸に垂直な試料面で倍率40倍を得る
偏向角)を代入すると、 L<(r/2α)・tanθ=20mmtanθ=
1.5mm となり、陰極線管や写真上の表示領域L=60mmに対
して、 L/L=tanθ/3=1/40 の領域しか鮮明に観察できないことになる。
【0028】ここで、φ=π/2において±Lの全域に
対して鮮明な像を得るためには、(6)式から、 α≦(0.2mm/2×60mm)×tan4.3° =1.25×10−4rad となる。この開き角αは、本発明におけるレンズ制御方
式および従来よりも多少小さな対物レンズ絞りの径を用
いることにより実現できる。そして、電子銃の輝度や回
折収差などに制御される観察倍率まで、観察倍率に関係
なく常に鮮明な像を得ることができる。
【0029】ところで、開き角αを小さくすると、光源
の大きさに対する倍率が増すため、高倍にすることがで
きなくなる。従って、小さい倍率から最も高い倍率まで
ボケを発生させずに観察するためには、 α=(r/2L)×{1/tan(φ−θ′)} … (7) を満たす開き角αとすれば良いことになる。ここでΔθ
=θ−θ′は十分に小さいので(前記の数値例参照)、
(7)式のφ−θ′はφ−θとしても良い。
【0030】次に、陰極線管12に表示される信号は、
画素積算後のものであるから、プローブ径dがd
<r/Mとなるように、プローブ電流Ipを減少させ
たことによるS/Nの低下が補償されることになる。こ
のように、陰極線管12上の画像は、陰極線管10上で
選択した領域に対応して自動的に倍率Mが定まり、か
つ、(7)式で与えられる開き角αを用いることによっ
て任意の倍率Mで画像は鮮明となり、また、S/Nも
極めて優れたものとなる。
【0031】次に、具体的な操作例を図6を用いて説明
する。図6(a)に示すような凹凸試料20に電子ビー
ムEBを照射したとき、観察できる試料20の側面に照
射される電子ビームの範囲を一点鎖線で示してある。図
6(b)には、実際に第2の陰極線管12上で得られる
画像を示してある。一点鎖線で示した領域は、対物レン
ズの中心から見たときに観察できる試料の側面を示して
おり、その領域は、実際に第1の陰極線管10上で観察
される。図3の操作部14によって前述の制限視野像を
選択し、制限視野の中心をPOSITION−X,Yで
選択し、制限視野の領域の大きさをWIDTH−X,Y
で選択する。この時、第1の陰極線管10上で観察され
るのは、例えば、図6(b)の陰極線管12の画面の左
側の斜線部のように制限を受ける。同時に試料20にお
ける走査領域も陰極線管10の画面における表示領域に
対応して制限される。
【0032】図6(c)には、第2の陰極線管12の斜
線部に対応する領域が第1の陰極線管10の全表示領域
に表示されている様子を示す。また、図7には、このよ
うな走査を行ったときに偏向コイル6に加えられる走査
信号を示しており、IがθにΔIがΔθに対応してい
る。図8は、水平方向に走査するはずの電子ビームが試
料20の側面では、Z方向の走査になっている様子を示
している。
【0033】また、図10(a)は、開き角αの電子ビ
ームが資料上をラスタ間隔Δでラスタ走査している様子
を示したものである。この開き角αの電子ビームによる
ラスタ走査においては電子ビームどうしが重なる事はな
いが、開き角が2αの電子ビームが資料上を同じラスタ
間隔Δでラスタ走査すると、図10(b)に示すように
重なる部分が生じる。しかしながら、電子ビームの電流
密度分布は電子ビームの中心付近が最も大きいので、そ
の部分の照射により資料から発生する2次電子などの信
号量は、電子ビームが重なった部分からの量よりも格段
に多い。したがって、前記(7)式で求められる開き角
αの値に対して、α≦電子ビームの開き角≦2αとして
も、像のボケは少ない。
【0034】以上本発明を詳述したが、本発明は上記実
施例に限定されない。例えば、2次電子を検出するよう
にしたが、反射電子などを検出するようにしても良い。
また、図9に示すように、対物レンズ絞り15を絞り1
5の駆動装置17によって光軸外にずらすことによっ
て、光軸に接している試料面でも前記の方法に準じて観
察を行うことができる。更に、2つの陰極線管10,1
2を用いたが、単一の陰極線管を用い、画面を分割して
2種の像を表示するようにしても良いし、2種の像を交
互に切換えて表示するようにしても良い。更にまた、陰
極線管の表示領域には下限を設けて、Δθが極端に小さ
いときには、陰極線管10に表示されている領域の像の
倍率を上げるようにしても良い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に基づく走
査像観察方法および走査電子顕微鏡においては、傾斜し
た試料面に対し、電子ビームを光軸から角度θ偏向し、
その状態で微小角度±Δθの範囲を走査し、この走査に
応じて試料から得られた信号を表示装置に導き、試料の
傾斜面の走査像を表示する場合、試料に入射する電子ビ
ームの開き角αを最適な領域の値としたので、光軸に平
行な面、あるいは、大きな傾斜角の面の観察を倍率に無
関係に常に高分解能で鮮明に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸試料の側面観察における電子ビームの照射
の様子を示す図である。
【図2】凹凸試料の側面観察における電子ビームの照射
の様子を示す図である。
【図3】本発明に基づく走査電子顕微鏡の一実施例を示
す図である。
【図4】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図5】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図6】本発明に基づく具体的な操作例を示す図であ
る。
【図7】偏向コイルに供給される走査信号を示す図であ
る。
【図8】試料の側面における電子ビームの走査の様子を
示す図である。
【図9】絞りを移動させる本発明の他の実施例を示す図
である。
【図10】電子ビームの走査を説明するために示した図
である。
【符号の説明】
1 電子銃 2,3 集束レンズ 4 対物レンズ 5 試料 6 偏向コイル 7 走査電源 8 同期装置 9 検出器 10,12 陰極線管 11 画像積算装置 13 制御部 14 操作部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 傾斜した試料面に対し、電子ビームを光
    軸から角度θ偏向し、その状態で微小角度±Δθの範囲
    を走査し、この走査に応じて試料から得られた信号を表
    示装置に導き、試料の傾斜面の走査像を表示するように
    した走査像観察方法において、観察すべき試料面の傾斜
    角をφ、人間の目の分解能をr、表示装置の表示領域の
    幅を2Lとしたとき、試料に入射する電子ビームの開き
    角αをほぼ、 (r/2L)×{1/tan(φ−θ)}≦α α≦2(r/2L)×{1/tan(φ−θ)} (ただし、0<Δθ<<φ−θ) としたことを特徴とする走査像観察方法。
  2. 【請求項2】 電子ビームを試料上に細く集束するため
    の集束レンズと、試料上の電子ビームの照射位置を走査
    するための偏向手段と、試料への電子ビームの照射に基
    づいて得られた信号が供給され、電子ビームの走査と同
    期した表示手段と、集束レンズの強度や偏向手段を制御
    する制御手段とを備えており、該制御手段は、試料の傾
    斜面の走査像を観察する際、傾斜した試料面に対し、電
    子ビームを光軸から角度θ偏向し、その状態で微小角度
    ±Δθの範囲を走査し得るように偏向手段を制御し、観
    察すべき試料面の傾斜角をφ、人間の目の分解能をr、
    表示装置の表示領域の幅を2Lとしたとき、試料に入射
    する電子ビームの開き角αがほぼ、 (r/2L)×{1/tan(φ−θ)}≦α α≦2(r/2L)×{1/tan(φ−θ)} (ただし、0<Δθ<<φ−θ) となるように集束レンズの強度を制御するようにしたこ
    とを特徴とする走査電子顕微鏡。
  3. 【請求項3】 偏向手段は2段偏向系より成り、この2
    段偏向系で電子ビームを光軸から角度θ偏向し、イメー
    ジシフトコイルにより微小角度±Δθの走査を行うよう
    にした請求項1記載の走査電子顕微鏡。
  4. 【請求項4】 試料の傾斜した観察面が電子ビーム光軸
    に接近して配置された場合、集束レンズのうち最終段の
    集束レンズの絞りの位置を光軸からずらすように構成し
    た請求項2記載の走査電子顕微鏡。
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