JPH05256172A - エンジンの燃料制御装置 - Google Patents
エンジンの燃料制御装置Info
- Publication number
- JPH05256172A JPH05256172A JP5537192A JP5537192A JPH05256172A JP H05256172 A JPH05256172 A JP H05256172A JP 5537192 A JP5537192 A JP 5537192A JP 5537192 A JP5537192 A JP 5537192A JP H05256172 A JPH05256172 A JP H05256172A
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- JP
- Japan
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- amount
- fuel
- injection
- engine
- wet
- Prior art date
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- Pending
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 始動時を含む運転領域で所謂ウエット補正を
行うようにした場合に、ウエット量(吸気通路付着燃料
量)および燃料噴射量が大きく変動する始動時に、ウエ
ット量の推定値が過度に増加する傾向の誤差が生じた場
合の燃料供給量の減少を抑制し、始動性を向上する。 【構成】 ウエット量τm を推定演算し、これに基づい
て求められる持ち去り分と噴射燃料のうちの直入分とに
よって燃料噴射量τe を設定する噴射量設定手段16を
備えるとともに、少なくともエンジン始動時にウエット
量τm がエンジン温度に応じて設定されたガード値τmg
を超えないように制限しつつ燃料噴射量の設定を行わせ
る制限手段17を備える。
行うようにした場合に、ウエット量(吸気通路付着燃料
量)および燃料噴射量が大きく変動する始動時に、ウエ
ット量の推定値が過度に増加する傾向の誤差が生じた場
合の燃料供給量の減少を抑制し、始動性を向上する。 【構成】 ウエット量τm を推定演算し、これに基づい
て求められる持ち去り分と噴射燃料のうちの直入分とに
よって燃料噴射量τe を設定する噴射量設定手段16を
備えるとともに、少なくともエンジン始動時にウエット
量τm がエンジン温度に応じて設定されたガード値τmg
を超えないように制限しつつ燃料噴射量の設定を行わせ
る制限手段17を備える。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料噴射式エンジンに
おける燃料制御装置に関するものである。
おける燃料制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般の燃料噴射式エンジンでは、エンジ
ンの1行程当りの吸入空気量等に応じて燃料要求量が求
められ、この要求量をインジェクタから吸気系に噴射す
るようにしている。しかし、インジェクタから噴射され
る燃料はその全量が直接燃焼室に供給されるわけではな
く、噴射燃料の一部が吸気通路壁に付着して残留し、ま
た吸気通路壁への付着燃料の一部がその後に気化して燃
焼室の吸入されるので、実際に燃焼室へ供給される燃料
の量は、インジェクタからの噴射燃料のうちで直接燃焼
室に供給される直入分と吸気通路壁に付着した燃料が気
化して吸入される持ち去り分とを加えた値となり、イン
ジェクタからの燃料噴射量とは必ずしも一致しない。従
って、インジェクタからの燃料噴射量を要求量に合わせ
るだけでは実際の燃焼室への燃料供給量と要求量との間
にずれが生じる。
ンの1行程当りの吸入空気量等に応じて燃料要求量が求
められ、この要求量をインジェクタから吸気系に噴射す
るようにしている。しかし、インジェクタから噴射され
る燃料はその全量が直接燃焼室に供給されるわけではな
く、噴射燃料の一部が吸気通路壁に付着して残留し、ま
た吸気通路壁への付着燃料の一部がその後に気化して燃
焼室の吸入されるので、実際に燃焼室へ供給される燃料
の量は、インジェクタからの噴射燃料のうちで直接燃焼
室に供給される直入分と吸気通路壁に付着した燃料が気
化して吸入される持ち去り分とを加えた値となり、イン
ジェクタからの燃料噴射量とは必ずしも一致しない。従
って、インジェクタからの燃料噴射量を要求量に合わせ
るだけでは実際の燃焼室への燃料供給量と要求量との間
にずれが生じる。
【0003】このような問題の対策として、例えば特開
昭58−8238号公報に示されるように、噴射燃料の
うちで吸気通路壁に付着する燃料の割合(付着率)およ
び吸気通路壁に付着している燃料から持ち去られる燃料
の割合(持ち去り率)を予め実験等に基づいて予測し、
これらの割合に基づいて上記直入分および持ち去り分を
推定し、これらと要求量とから燃料噴射量を設定する、
所謂ウエット補正を行うものが提案されている。
昭58−8238号公報に示されるように、噴射燃料の
うちで吸気通路壁に付着する燃料の割合(付着率)およ
び吸気通路壁に付着している燃料から持ち去られる燃料
の割合(持ち去り率)を予め実験等に基づいて予測し、
これらの割合に基づいて上記直入分および持ち去り分を
推定し、これらと要求量とから燃料噴射量を設定する、
所謂ウエット補正を行うものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に示されてい
るような燃料制御装置によると、先に述べた一般の燃料
噴射式エンジンと比べて運転中の燃料制御の精度が高め
られるが、例えば始動時にもこのような制御を行おうと
する場合に、始動性などの面で課題が残されている。
るような燃料制御装置によると、先に述べた一般の燃料
噴射式エンジンと比べて運転中の燃料制御の精度が高め
られるが、例えば始動時にもこのような制御を行おうと
する場合に、始動性などの面で課題が残されている。
【0005】すなわち、エンジン始動時の制御として
は、水温等に応じた固定的な始動時用燃料噴射量を設定
して始動完了までこの噴射量を保持するものが一般的で
あるが、始動当初は噴射燃料の多くが吸気通路壁に付着
して燃焼室への供給量が不足し易いため、上記ウエット
補正を行うにより、始動当初は燃料噴射量を増大させる
ことで始動を早め、かつ、吸気通路壁付着燃料量の累積
増加に伴う上記持ち去り分の増加につれて燃料噴射量を
減少させて、燃料の過供給による燃焼性の悪化を防止す
ることが望ましい。
は、水温等に応じた固定的な始動時用燃料噴射量を設定
して始動完了までこの噴射量を保持するものが一般的で
あるが、始動当初は噴射燃料の多くが吸気通路壁に付着
して燃焼室への供給量が不足し易いため、上記ウエット
補正を行うにより、始動当初は燃料噴射量を増大させる
ことで始動を早め、かつ、吸気通路壁付着燃料量の累積
増加に伴う上記持ち去り分の増加につれて燃料噴射量を
減少させて、燃料の過供給による燃焼性の悪化を防止す
ることが望ましい。
【0006】しかし、後にも詳述するように、エンジン
始動時には、吸入空気量の測定が難しくて設定される燃
料要求量が必ずしも正確なものでない上に、上記直入分
および持ち去り分の推定値にもある程度の誤差が生じ、
とくにエンジン温度が低い状態で始動されるときに、吸
気通路壁付着燃料量が略零の初期状態から大きく漸増
し、これに伴って上記直入分と持ち去り分との割合およ
び燃料噴射量も大きく変化することにより、上記誤差の
影響が増大し易い。そして、吸気通路壁付着燃料量の推
定値が過度に増加する傾向の誤差が生じると、それに伴
って持ち去り分の推定値が大きくなることから燃料噴射
量の設定値が極端に小さい値にまで漸減されてしまうた
め、始動が困難になり、また始動されてもその直後の回
転数の落ち込みが生じる等の問題がある。
始動時には、吸入空気量の測定が難しくて設定される燃
料要求量が必ずしも正確なものでない上に、上記直入分
および持ち去り分の推定値にもある程度の誤差が生じ、
とくにエンジン温度が低い状態で始動されるときに、吸
気通路壁付着燃料量が略零の初期状態から大きく漸増
し、これに伴って上記直入分と持ち去り分との割合およ
び燃料噴射量も大きく変化することにより、上記誤差の
影響が増大し易い。そして、吸気通路壁付着燃料量の推
定値が過度に増加する傾向の誤差が生じると、それに伴
って持ち去り分の推定値が大きくなることから燃料噴射
量の設定値が極端に小さい値にまで漸減されてしまうた
め、始動が困難になり、また始動されてもその直後の回
転数の落ち込みが生じる等の問題がある。
【0007】本発明は、上記の事情に鑑み、上記ウエッ
ト補正を行うようにした場合に吸気通路壁付着燃料量お
よび燃料噴射量が大きく変動する始動時にも、吸気通路
壁付着燃料量の推定値が過度に増加する傾向の誤差が生
じた場合の燃料供給量の減少を抑制し、始動性を向上す
ることができるエンジンの燃料制御装置を提供すること
を目的とする。
ト補正を行うようにした場合に吸気通路壁付着燃料量お
よび燃料噴射量が大きく変動する始動時にも、吸気通路
壁付着燃料量の推定値が過度に増加する傾向の誤差が生
じた場合の燃料供給量の減少を抑制し、始動性を向上す
ることができるエンジンの燃料制御装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、インジェクタから噴射された燃料のうち
で直接燃焼室に供給される直入分と、吸気通路壁に付着
した燃料が気化して吸入される持ち去り分とを推定し、
これら直入分および持ち去り分から求められる燃焼室へ
の燃料供給量が要求量となるようにインジェクタからの
燃料噴射量を設定するようにしたエンジンの燃料制御装
置であって、吸気通路壁への付着燃料量を推定演算し、
この付着燃料量推定値に基づいて求められる上記持ち去
り分と上記直入分とによって上記燃料噴射量を設定する
噴射量設定手段と、少なくともエンジン始動時に上記付
着燃料量推定値を制限しつつ上記噴射量設定手段による
燃料噴射量の設定を行わせる制限手段とを備えたもので
ある。
に、本発明は、インジェクタから噴射された燃料のうち
で直接燃焼室に供給される直入分と、吸気通路壁に付着
した燃料が気化して吸入される持ち去り分とを推定し、
これら直入分および持ち去り分から求められる燃焼室へ
の燃料供給量が要求量となるようにインジェクタからの
燃料噴射量を設定するようにしたエンジンの燃料制御装
置であって、吸気通路壁への付着燃料量を推定演算し、
この付着燃料量推定値に基づいて求められる上記持ち去
り分と上記直入分とによって上記燃料噴射量を設定する
噴射量設定手段と、少なくともエンジン始動時に上記付
着燃料量推定値を制限しつつ上記噴射量設定手段による
燃料噴射量の設定を行わせる制限手段とを備えたもので
ある。
【0009】この構成において、上記制限手段は、付着
燃料量推定値についてのガード値をエンジン温度に関連
するパラメータに応じて設定し、付着燃料量推定値を上
記ガード値以下に制限するものであることが好ましい。
燃料量推定値についてのガード値をエンジン温度に関連
するパラメータに応じて設定し、付着燃料量推定値を上
記ガード値以下に制限するものであることが好ましい。
【0010】
【作用】上記構成によると、上記直入分と持ち去り分と
によって燃料噴射量を設定する制御が始動時を含む運転
領域で行われ、この制御において、付着燃料量推定値お
よび燃料噴射量設定値が大きく変化する始動時等に、付
着燃料量推定値が過大になることが避けられることによ
り、上記持ち去り分の推定値の過度の増加とそれに伴う
燃料噴射量の過度の減少が避けられる。
によって燃料噴射量を設定する制御が始動時を含む運転
領域で行われ、この制御において、付着燃料量推定値お
よび燃料噴射量設定値が大きく変化する始動時等に、付
着燃料量推定値が過大になることが避けられることによ
り、上記持ち去り分の推定値の過度の増加とそれに伴う
燃料噴射量の過度の減少が避けられる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は燃料制御装置を備えたエンジンの全体を概略的に
示し、この図において、1はエンジン本体、2は吸気通
路、3は排気通路である。上記エンジン本体1の各気筒
の燃焼室4には吸気通路2の下流端側の吸気ポートおよ
び排気通路の上流端側の排気ポートが開口しており、各
ポートを開閉する吸・排気弁5,6、点火プラグ7等が
エンジン本体1に具備されている。上記吸気通路2に
は、その下流の吸気ポート近傍に、燃料を噴射するイン
ジェクタ8が設けられるとともに、サージタンクの上流
にスロットル弁9およびエアフローメータ10が設けら
れている。排気通路3には触媒コンバータ11が設けら
れている。
図1は燃料制御装置を備えたエンジンの全体を概略的に
示し、この図において、1はエンジン本体、2は吸気通
路、3は排気通路である。上記エンジン本体1の各気筒
の燃焼室4には吸気通路2の下流端側の吸気ポートおよ
び排気通路の上流端側の排気ポートが開口しており、各
ポートを開閉する吸・排気弁5,6、点火プラグ7等が
エンジン本体1に具備されている。上記吸気通路2に
は、その下流の吸気ポート近傍に、燃料を噴射するイン
ジェクタ8が設けられるとともに、サージタンクの上流
にスロットル弁9およびエアフローメータ10が設けら
れている。排気通路3には触媒コンバータ11が設けら
れている。
【0012】さらに、水温センサ12およびクランク角
センサ13がエンジンに具備されており、上記水温セン
サ12によりエンジン温度に関連するパラメータとして
のエンジン冷却水の水温が検出される一方、上記クラン
ク角センサ13によりクランク角が検出され、かつこの
センサ13の信号から周期計測によりエンジン回転数が
検出されるようになっている。またスタータスイッチ1
4が始動系統に具備されている。
センサ13がエンジンに具備されており、上記水温セン
サ12によりエンジン温度に関連するパラメータとして
のエンジン冷却水の水温が検出される一方、上記クラン
ク角センサ13によりクランク角が検出され、かつこの
センサ13の信号から周期計測によりエンジン回転数が
検出されるようになっている。またスタータスイッチ1
4が始動系統に具備されている。
【0013】上記エアフローメータ10および各センサ
12〜14からの信号はコントロールユニット15に入
力され、このコントロールユニット15から上記インジ
ェクタ8に制御信号(噴射パルス)が出力されている。
このコントロールユニット15は、マイクロコンピュー
タ等からなり、後述のフローチャートに示すようなプロ
グラムに従ってインジェクタ8を制御することにより、
インジェクタ8からの燃料噴射量を設定する噴射量設定
手段16と、吸気通路壁への付着燃料量(以下実施例で
はウエット量という)の推定値を制限する制限手段17
とを構成している。上記噴射量設定手段16としては、
ウエット量を推定演算し、このウエット量推定値に基づ
いて、吸気通路壁に付着した燃料が気化して吸入される
持ち去り分を推定するとともに、インジェクタ8から噴
射された燃料のうちで直接燃焼室4に供給される直入分
を推定し、これらに基づいて燃料噴射量を設定する。ま
た制限手段17としては、少なくともエンジン始動時に
上記ウエット量推定値を制限し、具体的にはウエット量
のガード値を水温に応じて設定して、ウエット量がガー
ド値を超えないように制限する構成となっている。
12〜14からの信号はコントロールユニット15に入
力され、このコントロールユニット15から上記インジ
ェクタ8に制御信号(噴射パルス)が出力されている。
このコントロールユニット15は、マイクロコンピュー
タ等からなり、後述のフローチャートに示すようなプロ
グラムに従ってインジェクタ8を制御することにより、
インジェクタ8からの燃料噴射量を設定する噴射量設定
手段16と、吸気通路壁への付着燃料量(以下実施例で
はウエット量という)の推定値を制限する制限手段17
とを構成している。上記噴射量設定手段16としては、
ウエット量を推定演算し、このウエット量推定値に基づ
いて、吸気通路壁に付着した燃料が気化して吸入される
持ち去り分を推定するとともに、インジェクタ8から噴
射された燃料のうちで直接燃焼室4に供給される直入分
を推定し、これらに基づいて燃料噴射量を設定する。ま
た制限手段17としては、少なくともエンジン始動時に
上記ウエット量推定値を制限し、具体的にはウエット量
のガード値を水温に応じて設定して、ウエット量がガー
ド値を超えないように制限する構成となっている。
【0014】ここで、上記ウエット量、直入分、持ち去
り分、燃料噴射量等の求め方を、図2を参照しつつ説明
する。この図に示すように、インジェクタ8から噴射さ
れた燃料は、吸気通路壁に付着する付着分F1 と直接燃
焼室4に供給される直入分F2 とに分かれる。また、吸
気通路壁に付着した燃料F3 は、これが気化して燃焼室
4に吸入される持ち去り分F4 と、気化せずにそのまま
残留する残留燃料分とに分かれる。そして、実際に燃焼
室4に供給される燃料は上記直入分F2 と持ち去り分F
4 とを加えたものである。従って、インジェクタ8から
の噴射燃料のうちの直入分の割合である直入率をα、吸
気通路壁に付着している燃料に対する持ち去り分の割合
である持ち去り率をβとし、燃料噴射量をτe 、ウエッ
ト量(上記F3 と等しい)をτm 、燃料要求量をτa と
すると、実際に燃焼室4に供給される燃料の量を燃料要
求量τa と合致させるための燃料噴射量τe は、 τa=α・τe+β・τm ∴τe=(τa−β・τm)/α …… となる。また、ウエット量τm は τm=(1−α)・τe(i-1)+(1−β)・τm(i-1) …… τe(i-1):τeの前回値 τm(i-1):τmの前回値 となる。
り分、燃料噴射量等の求め方を、図2を参照しつつ説明
する。この図に示すように、インジェクタ8から噴射さ
れた燃料は、吸気通路壁に付着する付着分F1 と直接燃
焼室4に供給される直入分F2 とに分かれる。また、吸
気通路壁に付着した燃料F3 は、これが気化して燃焼室
4に吸入される持ち去り分F4 と、気化せずにそのまま
残留する残留燃料分とに分かれる。そして、実際に燃焼
室4に供給される燃料は上記直入分F2 と持ち去り分F
4 とを加えたものである。従って、インジェクタ8から
の噴射燃料のうちの直入分の割合である直入率をα、吸
気通路壁に付着している燃料に対する持ち去り分の割合
である持ち去り率をβとし、燃料噴射量をτe 、ウエッ
ト量(上記F3 と等しい)をτm 、燃料要求量をτa と
すると、実際に燃焼室4に供給される燃料の量を燃料要
求量τa と合致させるための燃料噴射量τe は、 τa=α・τe+β・τm ∴τe=(τa−β・τm)/α …… となる。また、ウエット量τm は τm=(1−α)・τe(i-1)+(1−β)・τm(i-1) …… τe(i-1):τeの前回値 τm(i-1):τmの前回値 となる。
【0015】上記直入率αおよび持ち去り率βは、燃料
噴射箇所における吸気流速および温度(水温)よって変
化し、例えば温度との関係としては、低温となると燃料
が気化しにくくて吸気通路壁に付着し易くなることか
ら、温度が低くなるほど直入率αおよび持ち去り率βが
小さくなる。これらはウエット量とも関係し、ウエット
量が少ないとき燃料が吸気通路壁に付着し易い。これら
を考慮して直入率αおよび持ち去り率βが予め実験的に
調べられる。
噴射箇所における吸気流速および温度(水温)よって変
化し、例えば温度との関係としては、低温となると燃料
が気化しにくくて吸気通路壁に付着し易くなることか
ら、温度が低くなるほど直入率αおよび持ち去り率βが
小さくなる。これらはウエット量とも関係し、ウエット
量が少ないとき燃料が吸気通路壁に付着し易い。これら
を考慮して直入率αおよび持ち去り率βが予め実験的に
調べられる。
【0016】後述する制御の具体例では、燃料噴射を吸
気行程と燃焼行程とに分けて行う分割噴射方式を採用し
ていることから、リーディング噴射(吸気行程噴射)お
よびトレーリング噴射(燃焼行程噴射)のそれぞれにつ
いて直入率および持ち去り率が与えられるようにしてい
る。すなわち、リーディング噴射用の直入率αL および
持ち去り率βL とトレーリング噴射用の直入率αT およ
び持ち去り率βT の各基本値αLO,βLO,αTO,β
TOが、図4乃至図7に示すように、それぞれ吸気流速と
水温とに対応して定められている。さらに、直入率およ
び持ち去り率の各補正値γa ,γb が、図8および図9
に示すようにウエット量τm に対応して定められてい
る。これら図4乃至図9のマップはコントロールユニッ
ト15内に記憶されている。そして、上記基本値αLO,
βLO,αTO,βTOと補正値γa ,γb とから、リーディ
ング噴射用の直入率αL および持ち去り率βL とトレー
リング噴射用の直入率αT および持ち去り率βT が設定
されるようになつている。
気行程と燃焼行程とに分けて行う分割噴射方式を採用し
ていることから、リーディング噴射(吸気行程噴射)お
よびトレーリング噴射(燃焼行程噴射)のそれぞれにつ
いて直入率および持ち去り率が与えられるようにしてい
る。すなわち、リーディング噴射用の直入率αL および
持ち去り率βL とトレーリング噴射用の直入率αT およ
び持ち去り率βT の各基本値αLO,βLO,αTO,β
TOが、図4乃至図7に示すように、それぞれ吸気流速と
水温とに対応して定められている。さらに、直入率およ
び持ち去り率の各補正値γa ,γb が、図8および図9
に示すようにウエット量τm に対応して定められてい
る。これら図4乃至図9のマップはコントロールユニッ
ト15内に記憶されている。そして、上記基本値αLO,
βLO,αTO,βTOと補正値γa ,γb とから、リーディ
ング噴射用の直入率αL および持ち去り率βL とトレー
リング噴射用の直入率αT および持ち去り率βT が設定
されるようになつている。
【0017】なお、リーディング噴射とトレーリング噴
射との分割比Rは、例えばエンジン回転数に応じて図3
に示すように予め定められ、このマップもコントロール
ユニット15内に記憶されている。
射との分割比Rは、例えばエンジン回転数に応じて図3
に示すように予め定められ、このマップもコントロール
ユニット15内に記憶されている。
【0018】当実施例の装置による制御の具体例を図1
0のフローチャートによって説明する。このフローチャ
ートの処理がスタートすると、先ずステップS1で、エ
アフローメータ10の出力Q、エンジン回転数N、水温
Tw等が入力され、続いてステップS2で、運転状態が
始動ゾーンにあるか否か、つまりスタータスイッチON
後においてエンジン回転数が始動判定回転数(例えば5
00rpm)より低回転か否かが判定される。
0のフローチャートによって説明する。このフローチャ
ートの処理がスタートすると、先ずステップS1で、エ
アフローメータ10の出力Q、エンジン回転数N、水温
Tw等が入力され、続いてステップS2で、運転状態が
始動ゾーンにあるか否か、つまりスタータスイッチON
後においてエンジン回転数が始動判定回転数(例えば5
00rpm)より低回転か否かが判定される。
【0019】ステップS2の判定がNOのとき、つまり
エンジン回転数が始動判定回転数以上である通常運転中
は、ステップS3〜S13で通常運転時の燃料制御が行
われる。
エンジン回転数が始動判定回転数以上である通常運転中
は、ステップS3〜S13で通常運転時の燃料制御が行
われる。
【0020】すなわち、ステップS3でエアフローメー
タ通過流量の充填効率換算量Ceoが次のように求められ
る。Kaは定数である。
タ通過流量の充填効率換算量Ceoが次のように求められ
る。Kaは定数である。
【0021】Ceo=Ka・Q/N 続いてステップS4で、シリンダの充填効率Ceが、そ
の前回値と充填効率換算量Ceoとから、次のように求め
られる。Kcは定数(0≦Kc<1)である。
の前回値と充填効率換算量Ceoとから、次のように求め
られる。Kcは定数(0≦Kc<1)である。
【0022】Ce=Kc・Ce+(1−Kc)・Ceo さらにステップS5で、上記充填効率Ceに基づいてイ
ンジェクタ位置での吸気流速Qcyl が次のように求めら
れる。
ンジェクタ位置での吸気流速Qcyl が次のように求めら
れる。
【0023】Qcyl =(1/Ka)・Ce・N 次に、ステップS6で、リーディング噴射用の直入率お
よび持ち去り率とトレーリング噴射用の直入率および持
ち去り率の各基本値αLO,βLO,αTO,βTOが、上記吸
気流速Qcyl および水温Twに応じてマップ(図4乃至
図7)から探索されるとともに、補正値γa ,γb がウ
エット量τm に基づいてマップ(図8,図9)から探索
され、上記基本値に補正値を乗じることによりリーディ
ング噴射用の直入率αL および持ち去り率βL とトレー
リング噴射用の直入率αT および持ち去り率βT が求め
られる。またステップS7で、上記充填効率Ceと水温
等に応じた補正値Cwと定数Kとから、燃料要求量に相
当する基本パルス幅τa が次のように求められる。
よび持ち去り率とトレーリング噴射用の直入率および持
ち去り率の各基本値αLO,βLO,αTO,βTOが、上記吸
気流速Qcyl および水温Twに応じてマップ(図4乃至
図7)から探索されるとともに、補正値γa ,γb がウ
エット量τm に基づいてマップ(図8,図9)から探索
され、上記基本値に補正値を乗じることによりリーディ
ング噴射用の直入率αL および持ち去り率βL とトレー
リング噴射用の直入率αT および持ち去り率βT が求め
られる。またステップS7で、上記充填効率Ceと水温
等に応じた補正値Cwと定数Kとから、燃料要求量に相
当する基本パルス幅τa が次のように求められる。
【0024】τa=K・Cw・Ce さらにステップS8で、分割比Rがエンジン回転数に応
じて設定される。
じて設定される。
【0025】そして、上記基本パルス幅τa と、後記演
算で求められるウエット量τm と、リーディング噴射用
の直入率αL および持ち去り率βL と、分割比Rとか
ら、リーディング噴射パルス幅τeLが τeL=(1−R)・(τa −βL ・τm )/αL と演算され(ステップS9)、さらにこのパルス幅τeL
にバッテリ電圧に応じた無効噴射時間τv を加えた値が
最終リーディング噴射パルス幅τendLとされ、このパル
ス幅τendLをもってリーディング噴射タイミングで噴射
が実行される(ステップS10)。続いて、基本パルス
幅τa と、ウエット量τm と、トレーリング噴射用の直
入率αT および持ち去り率βT と、分割比Rとから、ト
レーリング噴射パルス幅τeTが τeT=R・(τa −βT ・τm )・αT と演算され(ステップS11)、さらにこのパルス幅τ
eTに無効噴射時間τv を加えた値が最終トレーリング噴
射パルス幅τendTとされ、このパルス幅τendTをもって
トレーリング噴射タイミングで噴射が実行される(ステ
ップS12)。
算で求められるウエット量τm と、リーディング噴射用
の直入率αL および持ち去り率βL と、分割比Rとか
ら、リーディング噴射パルス幅τeLが τeL=(1−R)・(τa −βL ・τm )/αL と演算され(ステップS9)、さらにこのパルス幅τeL
にバッテリ電圧に応じた無効噴射時間τv を加えた値が
最終リーディング噴射パルス幅τendLとされ、このパル
ス幅τendLをもってリーディング噴射タイミングで噴射
が実行される(ステップS10)。続いて、基本パルス
幅τa と、ウエット量τm と、トレーリング噴射用の直
入率αT および持ち去り率βT と、分割比Rとから、ト
レーリング噴射パルス幅τeTが τeT=R・(τa −βT ・τm )・αT と演算され(ステップS11)、さらにこのパルス幅τ
eTに無効噴射時間τv を加えた値が最終トレーリング噴
射パルス幅τendTとされ、このパルス幅τendTをもって
トレーリング噴射タイミングで噴射が実行される(ステ
ップS12)。
【0026】次に、ステップS13で、上記リーディン
グ噴射パルス幅τeLおよびトレーリング噴射パルス幅τ
eTと、リーディング噴射用,トレーリング噴射用の各直
入率αL ,αT および各持ち去り率βL ,βT と、前回
のウエット量τm とから、ウエット量τm が次のように
求められる。
グ噴射パルス幅τeLおよびトレーリング噴射パルス幅τ
eTと、リーディング噴射用,トレーリング噴射用の各直
入率αL ,αT および各持ち去り率βL ,βT と、前回
のウエット量τm とから、ウエット量τm が次のように
求められる。
【0027】 τm=(1-αL)・τeL+(1-R)・(1-βL)・τm+(1-αT)・τeT+R・(1-βT)・τm ステップS9,S11での噴射パルス幅の演算およびス
テップS13でのウエット量の演算は、前記式、式
を分割噴射に応用したものである。
テップS13でのウエット量の演算は、前記式、式
を分割噴射に応用したものである。
【0028】ステップS13までの処理が行われれば、
後記ステップS19〜S21によるウエット値制限の処
理を経て、リターンされる。
後記ステップS19〜S21によるウエット値制限の処
理を経て、リターンされる。
【0029】また、上記ステップS2で始動ゾーンであ
ることが判定されたときは、ステップS14以降で始動
時の燃料制御が行われる。
ることが判定されたときは、ステップS14以降で始動
時の燃料制御が行われる。
【0030】すなわち、ステップS14で、始動時の基
本噴射パルス幅τa が設定され、この場合、エアフロー
メータによる流量検出が難しい始動時には予測される充
填効率に見合うように燃料噴射量が設定される。続いて
ステップS16で、直入率αおよび持ち去り率βが設定
される。この場合、例えば始動時はトレーリング側噴射
によるものとすると、上記直入率αおよび持ち去り率β
は、その時の温度等に応じて求められるトレーリング噴
射用の直入率および持ち去り率をもって設定される。そ
して、噴射パルス幅τe が τe=(τa−β・τm)/α と演算され(ステップS16)、このパルス幅τe に無
効噴射時間τv を加えた最終パルス幅τend をもって噴
射が実行される(ステップS17)。次にステップS1
8で、ウエット量τm が τm=(1−α)・τe+(1−β)・τm と演算される。
本噴射パルス幅τa が設定され、この場合、エアフロー
メータによる流量検出が難しい始動時には予測される充
填効率に見合うように燃料噴射量が設定される。続いて
ステップS16で、直入率αおよび持ち去り率βが設定
される。この場合、例えば始動時はトレーリング側噴射
によるものとすると、上記直入率αおよび持ち去り率β
は、その時の温度等に応じて求められるトレーリング噴
射用の直入率および持ち去り率をもって設定される。そ
して、噴射パルス幅τe が τe=(τa−β・τm)/α と演算され(ステップS16)、このパルス幅τe に無
効噴射時間τv を加えた最終パルス幅τend をもって噴
射が実行される(ステップS17)。次にステップS1
8で、ウエット量τm が τm=(1−α)・τe+(1−β)・τm と演算される。
【0031】続いて、上記ウエット量を制限する制限手
段の処理として、ステップS19でウエット量のガード
値τmgが設定される。このガード値τmgは、エンジン温
度に関連するパラメータに応じて設定され、例えば水温
に応じた値f(Tw)をもって設定されるもので、水温Tw
が高くなるにつれて小さくなるように、この値f(Tw)の
水温に対する特性が予め定められ、コントロールユニッ
ト15内にテーブルとして記憶されており、このテーブ
ルから読み出される。そして、演算されたウエット量τ
m がガード値τmgと比較され、ガード値τmg以下のとき
は演算されたウエット量τm がそのまま保持されるが、
ガード値τmgより大きくなったときは、ウエット量τm
がガード値τmgで置き換えられる。
段の処理として、ステップS19でウエット量のガード
値τmgが設定される。このガード値τmgは、エンジン温
度に関連するパラメータに応じて設定され、例えば水温
に応じた値f(Tw)をもって設定されるもので、水温Tw
が高くなるにつれて小さくなるように、この値f(Tw)の
水温に対する特性が予め定められ、コントロールユニッ
ト15内にテーブルとして記憶されており、このテーブ
ルから読み出される。そして、演算されたウエット量τ
m がガード値τmgと比較され、ガード値τmg以下のとき
は演算されたウエット量τm がそのまま保持されるが、
ガード値τmgより大きくなったときは、ウエット量τm
がガード値τmgで置き換えられる。
【0032】なお、始動時の処理において、上記ステッ
プS15〜S18では、トレーリング噴射等の非分割噴
射によるものとして演算等を簡単化しているが、始動時
にも分割噴射を行ってもよく、この場合、分割比を設定
した上で、前記のステップS10〜S13と同様の処理
を行うようにすればよい。
プS15〜S18では、トレーリング噴射等の非分割噴
射によるものとして演算等を簡単化しているが、始動時
にも分割噴射を行ってもよく、この場合、分割比を設定
した上で、前記のステップS10〜S13と同様の処理
を行うようにすればよい。
【0033】以上のような当実施例の装置によると、直
入率α(αL ,αT )および持ち去り率β(βL ,
βT )が、水温、吸気流速ならびにウエット量に応じて
図4乃至図9のようなマップから求められ、これらと前
回ウエット量とから今回のウエット量τm が推定演算さ
れるとともに、これら直入率、持ち去り率、ウエット量
等に基づき、直入分と持ち去り分とを加えた値が要求量
となるようにインジェクタからの燃料噴射量が設定され
る。そして、このような直入分、持ち去り分を考慮した
燃料制御である所謂ウエット補正は、エンジンの始動時
にも行われる。
入率α(αL ,αT )および持ち去り率β(βL ,
βT )が、水温、吸気流速ならびにウエット量に応じて
図4乃至図9のようなマップから求められ、これらと前
回ウエット量とから今回のウエット量τm が推定演算さ
れるとともに、これら直入率、持ち去り率、ウエット量
等に基づき、直入分と持ち去り分とを加えた値が要求量
となるようにインジェクタからの燃料噴射量が設定され
る。そして、このような直入分、持ち去り分を考慮した
燃料制御である所謂ウエット補正は、エンジンの始動時
にも行われる。
【0034】図11はこのウエット補正による始動時の
噴射パルス幅の変化(実線)と、従来の一般的な始動燃
料制御による始動時の噴射パルス幅の変化(破線)と
を、比較して示している。この図のように、従来の一般
的な始動燃料制御では、始動時に水温等に応じて設定さ
れた噴射パルス幅τs が始動完了まで固定的に維持さ
れ、この制御によると、始動時用噴射パルス幅τs は吸
入空気量に見合う要求量よりは大きな値に設定されてい
るものの、冷間時における始動開始直後は噴射燃料が吸
気通路壁に付着し易くて直入分および持ち去り分が少な
いため、燃焼室への燃料供給量は不足ぎみとなり、この
燃料不足が解消されて初爆、完爆へと至るまでに相当の
時間を要する。このような始動開始直後の燃料不足を避
けるように燃料噴射量(噴射パルス幅)を大幅に増大す
れば初爆、完爆に至るまでの時間の短縮が期待できる
が、この噴射量が維持されると、クランキングが進むに
つれて上記直入分および持ち去り分が増加することによ
り燃焼室への燃料供給量が過剰となり、オーバーリッチ
による始動性の悪化を招く。
噴射パルス幅の変化(実線)と、従来の一般的な始動燃
料制御による始動時の噴射パルス幅の変化(破線)と
を、比較して示している。この図のように、従来の一般
的な始動燃料制御では、始動時に水温等に応じて設定さ
れた噴射パルス幅τs が始動完了まで固定的に維持さ
れ、この制御によると、始動時用噴射パルス幅τs は吸
入空気量に見合う要求量よりは大きな値に設定されてい
るものの、冷間時における始動開始直後は噴射燃料が吸
気通路壁に付着し易くて直入分および持ち去り分が少な
いため、燃焼室への燃料供給量は不足ぎみとなり、この
燃料不足が解消されて初爆、完爆へと至るまでに相当の
時間を要する。このような始動開始直後の燃料不足を避
けるように燃料噴射量(噴射パルス幅)を大幅に増大す
れば初爆、完爆に至るまでの時間の短縮が期待できる
が、この噴射量が維持されると、クランキングが進むに
つれて上記直入分および持ち去り分が増加することによ
り燃焼室への燃料供給量が過剰となり、オーバーリッチ
による始動性の悪化を招く。
【0035】これに対し、当実施例によると前記ステッ
プS16で演算される噴射パルス幅τe が直入率α、持
ち去り率βおよびウエット量τm によって変化するた
め、冷間時における始動開始直後は燃料噴射量が大幅に
増大されて初爆、完爆に至る時間が短縮され、かつ、ク
ランキングが進むにつれて燃料噴射量が少なくなって、
オーバーリッチ状態になることが避けられる。
プS16で演算される噴射パルス幅τe が直入率α、持
ち去り率βおよびウエット量τm によって変化するた
め、冷間時における始動開始直後は燃料噴射量が大幅に
増大されて初爆、完爆に至る時間が短縮され、かつ、ク
ランキングが進むにつれて燃料噴射量が少なくなって、
オーバーリッチ状態になることが避けられる。
【0036】また、上記ウエット量τm にガード値τmg
が設けられているため、始動時において上記ウエット補
正が行われる場合の過補正による始動性等の悪化が防止
される。この作用を図12および図13によって説明す
る。これらの図は、始動時におけるウエット量および噴
射パルス幅の時間的変化を、エンジン回転数の時間的変
化とともに示したものであって、図12は速やかに完爆
した場合、図13は速やかに完爆しなかった場合をそれ
ぞれ示し、またこれらの図において、破線は上記ウエッ
ト量τm にガード値を設けない場合の傾向、実線はウエ
ット量τm にガード値を設けた当実施例による場合の傾
向を例示している。図中、NI はアイドル回転数、NS
は完爆判定回転数である。
が設けられているため、始動時において上記ウエット補
正が行われる場合の過補正による始動性等の悪化が防止
される。この作用を図12および図13によって説明す
る。これらの図は、始動時におけるウエット量および噴
射パルス幅の時間的変化を、エンジン回転数の時間的変
化とともに示したものであって、図12は速やかに完爆
した場合、図13は速やかに完爆しなかった場合をそれ
ぞれ示し、またこれらの図において、破線は上記ウエッ
ト量τm にガード値を設けない場合の傾向、実線はウエ
ット量τm にガード値を設けた当実施例による場合の傾
向を例示している。図中、NI はアイドル回転数、NS
は完爆判定回転数である。
【0037】これらの図に示すように、始動開始時点t
o におけるウエット量τm は0、噴射パルス幅τe の初
期値はτa /αであり、この状態から燃料噴射が繰り返
されると、ある程度までは、前記ステップS18で推定
演算されるウエット量τm が次第に増加し、かつこのウ
エット量τm に応じた補正係数γb の変化で持ち去り率
βも増加することにより、前記ステップS16での演算
式(前記式)の中での持ち去り分β・τm の増加に対
応して、噴射パルス幅が次第に減少する。
o におけるウエット量τm は0、噴射パルス幅τe の初
期値はτa /αであり、この状態から燃料噴射が繰り返
されると、ある程度までは、前記ステップS18で推定
演算されるウエット量τm が次第に増加し、かつこのウ
エット量τm に応じた補正係数γb の変化で持ち去り率
βも増加することにより、前記ステップS16での演算
式(前記式)の中での持ち去り分β・τm の増加に対
応して、噴射パルス幅が次第に減少する。
【0038】この場合に、上記直入率αおよび持ち去り
率βを設定するための基本値(図4乃至図7参照)およ
び補正係数(図8および図9参照)の特性は予め実験的
に定められるが、クランキング中の状況に適合した正確
な直入率αおよび持ち去り率βを得ることは難しく、多
少の誤差は避けがたい。そして上記ウエット量τm にガ
ード値を設けなければ、上記誤差によって上記ウエット
量τm の推定値が過大に増加されることがあって、この
場合にクランキング途中で噴射パルス幅が著しく小さい
値(極端な場合は無噴射状態)にまで減少し、燃料不足
を招く。この状態となると、完爆したとしても、通常運
転状態への移行した上で燃料供給状態が安定するまでの
間に、エンジン回転数が落ち込む等の不安定な状態が生
じ(図12中の破線)、また初爆後に速やかに完爆しな
ければ、燃料不足の状態が長く続いて連爆性能が悪くな
り、始動困難となる(図13中の破線)。
率βを設定するための基本値(図4乃至図7参照)およ
び補正係数(図8および図9参照)の特性は予め実験的
に定められるが、クランキング中の状況に適合した正確
な直入率αおよび持ち去り率βを得ることは難しく、多
少の誤差は避けがたい。そして上記ウエット量τm にガ
ード値を設けなければ、上記誤差によって上記ウエット
量τm の推定値が過大に増加されることがあって、この
場合にクランキング途中で噴射パルス幅が著しく小さい
値(極端な場合は無噴射状態)にまで減少し、燃料不足
を招く。この状態となると、完爆したとしても、通常運
転状態への移行した上で燃料供給状態が安定するまでの
間に、エンジン回転数が落ち込む等の不安定な状態が生
じ(図12中の破線)、また初爆後に速やかに完爆しな
ければ、燃料不足の状態が長く続いて連爆性能が悪くな
り、始動困難となる(図13中の破線)。
【0039】これに対し、当実施例によると、始動中
(および始動後も)、ステップS19〜S21による処
理で、ウエット量τm の演算推定値がガード値τmg以上
となる場合はウエット量τm がガード値τmgに規制さ
れ、これにより、上記誤差に起因した噴射パルス幅τe
の著しい減少が避けられ、燃料不足が防止される。従っ
て、完爆が容易となるとともに、完爆後のエンジン回転
数が安定し(図12中の実線)、また、たとえ初爆後す
ぐに完爆しない場合でも連爆性能が確保され、始動性が
向上されることとなる(図13中の実線)。
(および始動後も)、ステップS19〜S21による処
理で、ウエット量τm の演算推定値がガード値τmg以上
となる場合はウエット量τm がガード値τmgに規制さ
れ、これにより、上記誤差に起因した噴射パルス幅τe
の著しい減少が避けられ、燃料不足が防止される。従っ
て、完爆が容易となるとともに、完爆後のエンジン回転
数が安定し(図12中の実線)、また、たとえ初爆後す
ぐに完爆しない場合でも連爆性能が確保され、始動性が
向上されることとなる(図13中の実線)。
【0040】上記ガード値τmgは水温に応じて適正に調
整される。つまり、水温が低いほど吸気通路壁へ燃料が
付着、累積し易く、水温が高くなると燃料が気化し易く
なることから、ガード値はこれに対応して設定されてい
る。これにより、ウエット量τm の制限が適度に行われ
る。
整される。つまり、水温が低いほど吸気通路壁へ燃料が
付着、累積し易く、水温が高くなると燃料が気化し易く
なることから、ガード値はこれに対応して設定されてい
る。これにより、ウエット量τm の制限が適度に行われ
る。
【0041】
【発明の効果】請求項1に記載の発明は、吸気通路壁へ
の付着燃料量を推定演算し、これに基づいて求められる
持ち去り分と噴射燃料のうちの直入分とによって燃料噴
射量を設定するとともに、少なくともエンジン始動時に
上記付着燃料量推定値を制限しつつ燃料噴射量の設定を
行わせるようにしているため、直入分と持ち去り分とに
よって燃料噴射量を設定する制御を始動時にも行って始
動を促進することができる。特に、この制御による場合
に上記付着燃料量および燃料噴射量設定値が大きく変動
するエンジン始動時に、付着燃料量推定値が過大になる
ことのないように制限しているため、誤差によって付着
燃料量とこれに関連する持ち去り分が実際より多く推定
されることで燃料噴射量設定値が過度に小さくされると
いう事態を防止し、エンジン始動時の燃料制御を良好に
行って、始動性を向上することができる。
の付着燃料量を推定演算し、これに基づいて求められる
持ち去り分と噴射燃料のうちの直入分とによって燃料噴
射量を設定するとともに、少なくともエンジン始動時に
上記付着燃料量推定値を制限しつつ燃料噴射量の設定を
行わせるようにしているため、直入分と持ち去り分とに
よって燃料噴射量を設定する制御を始動時にも行って始
動を促進することができる。特に、この制御による場合
に上記付着燃料量および燃料噴射量設定値が大きく変動
するエンジン始動時に、付着燃料量推定値が過大になる
ことのないように制限しているため、誤差によって付着
燃料量とこれに関連する持ち去り分が実際より多く推定
されることで燃料噴射量設定値が過度に小さくされると
いう事態を防止し、エンジン始動時の燃料制御を良好に
行って、始動性を向上することができる。
【0042】特に請求項2に記載のように、付着燃料量
推定値についてのガード値をエンジン温度に関連するパ
ラメータに応じて設定し、付着燃料量推定値を上記ガー
ド値以下に制限するようにしておくと、上記のような付
着燃料量推定値の制限を、エンジン温度に応じて適度に
調整し、始動時の燃料制御の適正化とそれによる始動性
向上の効果を、高めることができる。
推定値についてのガード値をエンジン温度に関連するパ
ラメータに応じて設定し、付着燃料量推定値を上記ガー
ド値以下に制限するようにしておくと、上記のような付
着燃料量推定値の制限を、エンジン温度に応じて適度に
調整し、始動時の燃料制御の適正化とそれによる始動性
向上の効果を、高めることができる。
【図1】本発明の一実施例による燃料制御装置を備えた
エンジンの概略図である。
エンジンの概略図である。
【図2】燃料の供給状態を模式的に示した説明図であ
る。
る。
【図3】分割噴射を行う場合の分割比のマップを示す図
である。
である。
【図4】吸入行程噴射時の直入率についてのマップを示
す図である。
す図である。
【図5】吸入行程噴射時の持ち去り率についてのマップ
を示す図である。
を示す図である。
【図6】圧縮行程噴射時の直入率についてのマップを示
す図である。
す図である。
【図7】圧縮行程噴射時の持ち去り率についてのマップ
を示す図である。
を示す図である。
【図8】ウエット量に応じた直入率の補正係数のマップ
を示す図である。
を示す図である。
【図9】ウエット量に応じた持ち去り率の補正係数のマ
ップを示す図である。
ップを示す図である。
【図10】燃料制御のフローチャートである。
【図11】エンジン始動時の噴射パルス幅の変化を、当
実施例による場合と一般のエンジンの燃料制御装置によ
る場合とについて示す説明図である。
実施例による場合と一般のエンジンの燃料制御装置によ
る場合とについて示す説明図である。
【図12】エンジン始動時で、かつ速やかに完爆された
場合の、ウエット量および噴射パルス幅の変化ならびに
エンジン回転数の変化を、ガード値を設けた場合と設け
ない場合とについて示す説明図である。
場合の、ウエット量および噴射パルス幅の変化ならびに
エンジン回転数の変化を、ガード値を設けた場合と設け
ない場合とについて示す説明図である。
【図13】エンジン始動時で、かつ速やかに完爆されな
かった場合の、ウエット量および噴射パルス幅の変化な
らびにエンジン回転数の変化を、ガード値を設けた場合
と設けない場合とについて示す説明図である。
かった場合の、ウエット量および噴射パルス幅の変化な
らびにエンジン回転数の変化を、ガード値を設けた場合
と設けない場合とについて示す説明図である。
1 エンジン本体 2 吸気通路 4 燃焼室 8 インジェクタ 15 コントロールユニット 16 噴射量設定手段 17 制限手段
Claims (2)
- 【請求項1】 インジェクタから噴射された燃料のうち
で直接燃焼室に供給される直入分と、吸気通路壁に付着
した燃料が気化して吸入される持ち去り分とを推定し、
これら直入分および持ち去り分から求められる燃焼室へ
の燃料供給量が要求量となるようにインジェクタからの
燃料噴射量を設定するようにしたエンジンの燃料制御装
置であって、吸気通路壁への付着燃料量を推定演算し、
この付着燃料量推定値に基づいて求められる上記持ち去
り分と上記直入分とによって上記燃料噴射量を設定する
噴射量設定手段と、少なくともエンジン始動時に上記付
着燃料量推定値を制限しつつ上記噴射量設定手段による
燃料噴射量の設定を行わせる制限手段とを備えたことを
特徴とするエンジンの燃料制御装置。 - 【請求項2】 上記制限手段は、付着燃料量推定値につ
いてのガード値をエンジン温度に関連するパラメータに
応じて設定し、付着燃料量推定値を上記ガード値以下に
制限するものである請求項1記載のエンジンの燃料制御
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5537192A JPH05256172A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | エンジンの燃料制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5537192A JPH05256172A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | エンジンの燃料制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05256172A true JPH05256172A (ja) | 1993-10-05 |
Family
ID=12996628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5537192A Pending JPH05256172A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | エンジンの燃料制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05256172A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013007303A (ja) * | 2011-06-23 | 2013-01-10 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
WO2019049674A1 (ja) | 2017-09-05 | 2019-03-14 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置および制御方法 |
WO2019049675A1 (ja) | 2017-09-05 | 2019-03-14 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置および制御方法 |
EP3557034A1 (en) | 2018-03-27 | 2019-10-23 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Controller and control method for internal combustion engine |
EP3640460A1 (en) | 2018-10-17 | 2020-04-22 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Controller for internal combustion engine and method for controlling internal combustion engine |
US10961964B2 (en) | 2017-09-05 | 2021-03-30 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal combustion engine control device and control method |
US11002213B2 (en) | 2017-09-05 | 2021-05-11 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal combustion engine control device and control method |
US11028798B2 (en) | 2017-09-05 | 2021-06-08 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Internal-combustion-engine control device and control method |
-
1992
- 1992-03-13 JP JP5537192A patent/JPH05256172A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013007303A (ja) * | 2011-06-23 | 2013-01-10 | Mitsubishi Motors Corp | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
WO2019049674A1 (ja) | 2017-09-05 | 2019-03-14 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置および制御方法 |
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