JPH0525157B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は銀行等の金融機関で自動預金装置とし
て使用される紙幣の入金装置に関する。

（従来の技術） 従来自動預金装置では、顧客が装置に入金した
紙幣の真偽を鑑別し、真と鑑別された紙幣は装置
内の特定の場所に一時的に貯留し、偽と鑑別され
たもの及び鑑別不能なものは装置外に返却してお
り、真と鑑別された紙幣の計数金額を表示して顧
客が取り引き実行の確認又は取り消しの指示を行
なうようになつている。顧客が確認を指示した場
合、自動預金装置は前記の特定の場所から一時貯
留紙幣を取り出して現金収納庫に格納し、取り消
しが指示された場合は、前記特定の場所の一時貯
留紙幣を装置外へ排出して顧客に返却するように
している。

このように入金紙幣を直接現金収納庫へ格納せ
ず、いつたん特定の場所へ貯留するのは、顧客が
取り引き実行の確認指示を与えるまではたとえ装
置内に存在するといえども顧客の現金であるとす
る考え方があり、取り引きの取り消しや障害発生
による装置ダウンの場合に顧客が入金した紙幣そ
のものを返却するためである。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら上記のように入金紙幣の一時貯留
場所を設けることは、装置の大型化をもたらし、
またこの一時貯留場所へ紙幣を送り込んだり、こ
の場所から紙幣を送り出したりする紙幣の搬送機
構が必要となるため、構成の複雑化をもたらして
いる。

この発明は、特別に一時貯留場所を設けること
なく顧客の入金紙幣を装置内に区別して収容でき
るようにし、取り引きの取り消し等があつた場合
これら入金紙幣をそのまま返却することを可能と
し、構成が簡単で小型の紙幣入金装置を提供する
ことを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、投入された紙幣の真偽、金種を鑑別
し、偽と鑑別された紙幣は返却し、真と鑑別され
た紙幣を受入する紙幣入金装置において、受入す
る紙幣の表裏を一枚ずつ検出する表裏検出手段
と、紙幣の表裏を反転する表裏反転部と、受入し
た紙幣を収納する各金種に対応した複数の金庫か
らなる金庫部と、受入した紙幣を前記表裏検出手
段から前記金庫部へ前記表裏反転部を経由して搬
送する第一の搬送路と、受入した紙幣を前記表裏
検出手段から前記金庫部へ直接搬送する第二の搬
送路と、前回までの取り引き紙幣の各金種ごとの
最新の表裏取り揃え方向を記憶する紙幣収納方向
記憶手段と、前記表裏検出手段で検出した今回取
り引きのそれぞれの紙幣の表裏の向きと前記紙幣
収納方向記憶手段に記憶した表裏取り揃え方向を
比較する取り揃え方向比較手段を具備し、前記取
り揃え方向比較手段により、両者が同じ向きであ
ると判別すると受入した紙幣を前記第一の搬送路
によつて前記表裏反転部に搬送し表裏反転して前
記金庫部に収納し、両者の向きが異なると判別す
ると前記第二の搬送路によつてそのままの向きで
前記金庫部に収納することを特徴としている。

（作用） 本発明において、紙幣の表裏検出手段と表裏反
転手段とを有しているため、受入する紙幣の表裏
の向きをいずれか一方に取揃えることが可能であ
り、一つの取り引き中では全ての紙幣の金種ごと
の向きを表又は裏に揃えて金庫部に収納する。次
の取り引きでも同様に紙幣の金種ごとの表裏の向
きを一方向に揃えるが、上記前回取り引き時の表
裏取り揃え方向記憶手段と上記比較手段と上記表
裏反転部によつて前回取り引き時とは違う向きと
なるように揃える。即ち前回取り引き時が表向き
に揃えたとすると今回は裏向きに揃える。

このように一取り引き中の紙幣の金種ごとの表
裏の向きを統一しかつ取り引き毎にその向きを反
転することにより上記金庫部では取り引き単位に
合わせて収納紙幣が表裏の向きを交互に変えて集
積されることになる。したがつて金庫部に収納さ
れた紙幣は取り引き毎に容易に区別できるもので
ある。

また取り引きの取り消しがあつた場合は、受入
した紙幣の枚数を計数記憶する手段を有している
ため、これに記憶した枚数の紙幣を金庫部から返
却すれば、顧客が投入した紙幣そのものを返却す
ることができる。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例の構成を示すもの
で、１は紙幣の投入受取口、２は一括して投入さ
れた紙幣を１枚ずつ搬送路3aへ繰り出す繰出し
ローラ、４は通過する紙幣の真偽、金種、表裏な
どを光学的、磁気的に鑑別する鑑別部、５は紙幣
の表裏を反転する表裏反転部、６は必要に応じて
全金種の紙幣を収納する一括金庫、７は万円紙幣
を収納する万円金庫、８は５千円紙幣を収納する
５千円金庫、９は千円紙幣を収納する千円金庫、
１０は前記各金庫内の紙幣を金庫外へ繰り出す繰
出しローラ、１１は繰り出された紙幣を１枚ずつ
吸着して搬送路へ送出する分離給送ローラ、１２
は出金紙幣の中で重なつて搬送されたものなどの
排除紙幣を収納するリジエクト紙幣金庫、１３ａ
乃至１３ｈは紙幣の走行を２つの搬送路のいずれ
か一方に案内するように作動される搬送路の切替
えブレードである。

次に上記構成の動作について第２図、第３図の
フローチヤートに従つて説明する。

まず紙幣の入金時は、入金釦等の動作モード指
定手段により入金であることを指定すると紙幣投
入受取口１のシヤツタが開く。顧客又は行員など
の操作者は入金する紙幣を紙幣投入受取口１に一
括して投入する。投入後紙幣投入受取口１に設け
られた光学センサ等の検知手段により紙幣の投入
を検知し、かつ検知後所定時間経過すると、紙幣
の投入が完了したとみて紙幣投入受取口１のシヤ
ツタを閉じる。

次に紙幣投入受取口１内の繰出しローラ２が回
転し、紙幣を１枚ずつ搬送路３ａへ繰り出す。繰
り出された紙幣は搬送路３ａから搬送路３ｂを通
り、鑑別部４に送られる。鑑別部４では紙幣の真
偽、金種、表裏及び汚損の程度を鑑別する。偽と
鑑別された紙幣は切替ブレード１３ａ，１３ｂ，
１３ｃの案内により搬送路３ｂから搬送路３ｃ，
3l，3kを通り、紙幣投入受取口１に集積する。紙
幣投入受取口１は内部が上下２段の構造になつて
おり、これら偽判定の紙幣はその上段側に集積さ
れる。

偽券と判別されない紙幣は各金庫へ収納される
が、この収納動作手順については第３図を参照し
て説明する。

真券と判別された紙幣は、更にその破損、汚れ
などの程度に応じ再流通に適さない損券か否か鑑
別され、更に損券でない紙幣は、万円、５千円、
千円の金種を識別される。そして損券、及び万
円、５千円、千円のいずれもの紙幣が表向きか裏
向きか識別される。この識別は通過する紙幣の模
様読み取りデータに基いて行なわれ、表向きか裏
向きかの識別結果が出ると、前回までの取り引き
で金庫へ収納された各金種紙幣の最新の向きが参
照される。この前回までの収納紙幣の各金種の最
新の向きは第２図に示されるように入金許可につ
づくステツプで各紙幣が金庫に収納されると更新
され、図示せぬ制御部の記憶手段に記憶されてい
る。したがつて、取り引きのあつた金種のみその
方向データが更新されるので、取引きのなかつた
金種の紙幣はそれ以前の取り引きの中の最新の向
きが記憶されている。鑑別部４を通過する紙幣の
向きが前記図示せぬ制御部に記憶された前回まで
の向きと今回の向きとが同じであるときは、鑑別
部４を通過後、紙幣は切替えブレード１３ａの案
内動作により搬送路３ｄを経て全て表裏反転部５
に搬送され、前回までの向きと今回の向きとが異
なる紙幣はそのまま表裏反転されることなく搬送
路３ｃを搬送される。これら表裏反転された紙幣
及び表裏反転されない紙幣は搬送路３ｅを介して
各々の金種別金庫又は一括金庫６へ収納される一
括金庫６は装置が終業時に金種別金庫から紙幣を
一括回収するときに用いるが、業務中は損券紙幣
を収納する金庫として利用される。

紙幣投入受取口１から繰り出される紙幣の１枚
ずつについて以上の動作が繰り返され、その結果
各金庫には前回取り引き時と異なる面を上向きに
して紙幣が集積される。

また鑑別部４では通過する紙幣の枚数を検出
し、この検出信号に基いて図示せぬ制御部では金
種別及び損券、返却券別に計数し、前記図示せぬ
制御部の記憶手段に計数地を記憶する。

紙幣投入受取口１に紙幣がなくなると、偽券と
判別された返却紙幣が紙幣投入受取口１にある場
合はシヤツタを開いて顧客に返却する。顧客が紙
幣を抜き取るとシヤツタが再び閉じ、この装置の
図示せぬ操作案内表示部に偽券を除く受入紙幣の
金額と取り引き実行の許可、不許可を求める文言
が表示され、顧客の操作を待つ。釦操作などによ
り顧客が取引許可を指示すると、装置は既に各金
庫へ収納済みの紙幣をそのままにし、今回取り引
き分の紙幣の向き即ち表又は裏を表わすデータを
第２図に示されるように入金許可につづくステツ
プで各紙幣が金庫に収納されると更新し、図示せ
ぬ制御部の記憶手段に記憶する。この記憶データ
は表又は裏のいずれか一方を示すものであるた
め、取り引きが行なわれるごとに表から裏へ、裏
から表へ反転することになる。

このように取り引き許可の場合、紙幣は既に金
庫へ収納されているため、特に装置が紙幣を一時
貯留場所から金庫へ搬送するような動作を行なう
ことなく、単にそのときの紙幣の向きの記憶デー
タを更新するだけでよい。

取り引き不許可の指示がなされた場合は、まず
万円金庫７から紙幣を繰り出す。万円金庫７をは
じめとして各金庫は紙幣が上から集積され、かつ
上から繰り出されるようになつている。したがつ
て今その金庫に収納された紙幣があれば、その紙
幣が繰り出されることになる。制御部では上述の
ように正券については各金種別の、また損券につ
いてもその収納枚数を記憶しており、取引不許可
が指示されると、万円紙幣の計数記憶データを参
照し、“０”でなければ、万円金庫７の繰出しロ
ーラ１０、分離給送ローラ１１を作動させて万円
紙幣を金庫から１枚ずつ搬送路３ｆへ送出する。
この紙幣は搬送路３ｆから搬送路３ｇ，３ｈ，３
ｂを通り、鑑別部４に搬送され、ここで金種と表
裏が鑑別される。金種が万円で紙幣の表裏が合つ
ていることを制御部で確認すると、万円紙幣の上
記計数記憶値を減算し、次の紙幣を繰り出すべく
繰出しローラ１０、分離給送ローラ１１を作動す
る。

鑑別部４を通過した紙幣は搬送路３ｃ，３ｌ，
３ｋを通り、紙幣投入受取口１へ放出される。

以下この動作を繰り返し、万円紙幣の計数記憶
値が“０”になると、５千円紙幣の返却動作に移
る。５千円紙幣も上記と同様の動作で返却され、
これが終了すると千円紙幣の返却動作に移る。千
円紙幣の返却動作も同様である。

更に投入された紙幣の中に損券がある場合は、
一括金庫６の繰出しローラ１０、分離給送ローラ
１１が作動し、金庫内の紙幣を搬送路３ｉに送出
する。これらの損券紙幣は更に搬送路３ｆ，３
ｇ，３ｈ，３ｂを通り、鑑別部４に搬送される。
その後の動作は上記各金種の紙幣の返却動作と同
様である。

以上の様にして各金庫に収納した全ての受入紙
幣を紙幣投入受取口１に返却したことを上記計数
記憶値にて確認すると、紙幣投入受取口１のシヤ
ツタが開き、顧客に紙幣を返却する。顧客が紙幣
を抜き取るとシヤツタは再び閉じ、次の取引に備
える。

なおこの実施例では、取り引きの取り消しを指
示した場合、紙幣を各金庫から返却する途中鑑別
部４を通して金種、枚数等の確認を行なうように
したが、各金庫の紙幣送出搬送路に紙幣通過検出
器を設け、この検出器にて金庫からの送出枚数を
計数してその計数値と紙幣受入時に鑑別部４にて
検出した計数値とを比較照合することにより紙幣
全部の返却を確認するようにしてもよい。

一方紙幣投入受取口１に投入された紙幣の入金
処理動作途中で取り引きの許可を指示する前に装
置が搬送路での紙幣詰まりなどの異常原因で動作
を即時停止する場合がある。この場合その取り引
きで顧客が投入した紙幣の枚数を確認したり、場
合によつては既に金庫へ収納済みの紙幣をいつた
ん顧客に返却するなどのことが必要となる。これ
らの確認や作業は装置の扉等を開いて第１図に示
す機構部を露出させ、係員が搬送路中に残留する
紙幣を探して取り出したり、金庫内の紙幣を調べ
て取り出すことにより行なわれる。このとき搬送
路中に残留する紙幣はその取引で受入されたもの
とわかる。また金庫内の紙幣も表裏が前回までの
取り引きの各紙幣の収納方向とは違つた向きで収
納されているため紙幣収納方向記憶手段のデータ
を参照することにより今回の取り引き紙幣を容易
に区別することができ、前回の取り引き紙幣と誤
ることなく枚数の確認や取り出しを行なうことが
できる。

また取り引きの取り消し指示によりいつたん各
金庫に収納した紙幣を返却する動作過程でも上記
の様な紙幣詰まりが生じたり、また紙幣の二重搬
送などが起こることがある。紙幣の二重搬送の場
合は計数ミスの原因となるため、顧客の投入枚数
分返却したか否かの確認計数不能となる紙幣詰ま
りと同様に装置の動作をただちに停止する。この
場合も紙幣の表裏の状態と前回取り引きまでの各
金種紙幣の最新の紙幣収納方向データとによつて
どこまでが顧客の紙幣か容易に識別でき上記と同
様の作業を行なつて誤りなく紙幣を顧客に返却で
きる。

（発明の効果） 以上実施例に基いて説明したように本発明によ
れば、入金紙幣の表裏を鑑別し、前回取り引き時
と同じ向きで金庫に収納されることになる向きの
紙幣は前回取り引き紙幣と反対向きとなるよう紙
幣の表裏反転部にて表裏反転したのち金庫へ収納
するようにしたため、その取り引きにおいては紙
幣の表裏の向きが揃つて金庫へ収納されることに
なりかつ金庫内では前回取り引き分と表裏の向き
が違つて集積されることになる。

したがつて、金庫内では今回取り引き分の紙幣
がどこまでかその表裏によつて明確に区別するこ
とができるので、紙幣入金装置に特別な一時貯留
場所を設けなくとも前回までの受入紙幣と今回の
入金紙幣を装置内に区別して収納でき、金庫の形
状が簡単で小型の紙幣入金装置を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成を示す側面
図、第２図、第３図は本発明の一実施例の動作手
順を示すフローチヤートである。 １……紙幣投入受取口、４……鑑別部、５……
表裏反転部、６……一括金庫、７……万円金庫、
８……５千円金庫、９……千円金庫。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 投入された紙幣の真偽、金種を鑑別し、偽と
   鑑別された紙幣は返却し、真と鑑別された紙幣を
   受入する紙幣入金装置において、 受入する紙幣の表裏を一枚ずつ検出する表裏検
   出手段と、 紙幣の表裏を反転する表裏反転部と、 受入した紙幣を収納する各金種に対応した複数
   の金庫からなる金庫部と、 受入した紙幣を前記表裏検出手段から前記金庫
   部へ前記表裏反転部を経由して搬送する第一の搬
   送路と、 受入した紙幣を前記表裏検出手段から前記金庫
   部へ直接搬送する第二の搬送路と、 前回までの取り引き紙幣の各金種ごとの最新の
   表裏取り揃え方向を記憶する紙幣収納方向記憶手
   段と、 前記表裏検出手段で検出した今回取り引きのそ
   れぞれの紙幣の表裏の向きと前記紙幣収納方向記
   憶手段に記憶した表裏取り揃え方向を比較する取
   り揃え方向比較手段を具備し、 前記取り揃え方向比較手段により、両者が同じ
   向きであると判別すると受入した紙幣を前記第一
   の搬送路によつて前記表裏反転部に搬送し表裏反
   転して前記金庫部に収納し、両者の向きが異なる
   と判別すると前記第二の搬送路によつてそのまま
   の向きで前記金庫部に収納することを特徴とする
   紙幣入金装置。