JPH05247244A - 軽量化ポリエステルフイルムおよびその製造方法 - Google Patents

軽量化ポリエステルフイルムおよびその製造方法

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JPH05247244A
JPH05247244A JP4081698A JP8169892A JPH05247244A JP H05247244 A JPH05247244 A JP H05247244A JP 4081698 A JP4081698 A JP 4081698A JP 8169892 A JP8169892 A JP 8169892A JP H05247244 A JPH05247244 A JP H05247244A
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Japan
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film
acrylic acid
polyester resin
glass transition
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JP4081698A
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Inventor
Minoru Kishida
稔 岸田
Eiji Yamamoto
英治 山本
Katsuyuki Toma
克行 当麻
Yoshiaki Kozuka
佳明 小塚
Hiroyuki Matsuda
博之 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量性、隠蔽性に優れラベル等に有用なポリ
エステルフイルムおよびその製造方法を提供する。 【構成】 結晶性ポリエステル樹脂(A)が50重量%
以上95重量%未満、および下記構造式〔I〕で表され
る構造単位を25重量%以上含み100℃を越えるガラ
ス転移温度を有するアクリル酸系重合体(B)が5重量
%以上50重量%未満の組成物、例えばPET80重量
%とトリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカニルメタク
リレートとメチルメタクリレートの50/50(重量
%)共重合体20重量%からなるフイルムであって、該
(B)が直径0.1から20μmの粒子状に分散し、微
細なボイドが存在し、見掛け比重が0.3から1.3で
ある軽量化ポリエステルフイルム。また、前記組成物の
押出未延伸フィルムを、該(A)のTg以上、結晶化温
度以下の温度範囲で少なくとも一軸に1.5倍以上延伸
する前記フィルムの製法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微細なボイドを含み低密
度(見かけ比重が小)であり、強度、耐熱性、隠蔽性、
筆記性に優れたポリエステルフイルム及びその製造方法
に関する。本発明の軽量化ポリエステルフイルムはその
優れた特性により、ラベル、情報紙、製図用紙、印刷用
紙等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルムを軽量化する試み
としては、(イ)ガスあるいは気化可能な物質を添加す
る方法(例えば特開昭50−38765号公報、特公昭
57−46456号公報、特開昭57−34931号公
報)、(ロ)化学的反応によりガスを発生する物質を添
加する方法(例えば特開昭52−43871号公報、特
公昭58−50625号公報)、(ハ)溶剤に可溶な物
質を添加し、後にこれを溶剤で抽出する方法(例えば特
開昭51−34963号公報、特公昭52−27666
号公報)などが知られている。しかしこれらの方法はい
ずれもほとんど実用化されていない。その理由として
は、これらの方法によってポリエステルフイルム中にボ
イドを発生せしめることは可能であるが、その大きさの
制御が非常に困難であり、粗大なボイドとなり易いばか
りでなく、その空間的な分布も不均一になりやすいこ
と、従ってポリエステルフイルム中に極端に強度の低い
部分が発生し、延伸時にフイルムの切断が起こり易いこ
と等が挙げられている。さらにかかる方法によって得ら
れるフイルムは、その軽量性、強度、隠蔽性、筆記性及
び性能の均一性に於いて満足できるものではなかった。
【0003】これらの方法に対しボイド形成性ポリマー
をポリエステル樹脂に配合した組成物を溶融押出しして
未延伸フイルムとなし、これを延伸することによってボ
イドを発生する方法が提案されている(例えば特開昭6
3−168441号公報、特開平2−235942号公
報)。そしてかかるボイド形成性ポリマーの具体例とし
ては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリフェニレンオキサイド、液晶性ポリエス
テルが挙げられている。この方法ではボイド形成性ポリ
マーはポリエステルフイルム中に微粒子状に分散し、そ
の分散粒子径はボイド形成性ポリマーとポリエステルと
の親和性およびそれらの溶融粘度差に依存する。そして
この組成物からなる未延伸フイルムを少なくとも一軸に
延伸することにより、微粒子状に分散したボイド形成性
ポリマーとポリエステルとの界面に剥離が発生し、ボイ
ドが形成される。ボイド発生の程度は延伸条件に加え
て、ボイド形成性ポリマーのガラス転移温度(Tg)及
びボイド形成性ポリマーとポリエステルとの親和性に依
存する。これらのボイド形成性ポリマーを配合すること
によって軽量化ポリエステルフイルムを得る方法は、上
記(イ)、(ロ)及び(ハ)の方法で挙げた欠点がな
く、よりすぐれた方法である。しかし上記のごとき具体
的に提案されたポリマーをボイド形成性ポリマーとして
用いた軽量化ポリエステルフイルムにおいても、まだそ
の性能は必ずしも満足できるものではない。
【0004】例えばボイド形成性ポリマーとしてポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートお
よびポリメチルペンテン等の比較的低いガラス転移温度
のポリマーを用いた場合、ポリエステル樹脂の溶融押出
し温度におけるこれらボイド形成性ポリマーの溶融粘度
が低いため、組成物を溶融押出しして得た未延伸フイル
ム中のボイド形成性ポリマーは溶融押出し時の剪断応力
により、ポリエステルの流動方向に配向した棒状粒子と
なりやすく、球状粒子に分散しにくい。そのためかかる
組成物からなる未延伸フイルム及び延伸フイルムはいず
れも異方性が大きいという問題点があった。またかかる
組成物からなる未延伸フイルムをポリエステル樹脂のガ
ラス転移温度以上の温度で延伸すると、ボイド形成性ポ
リマーのガラス転移温度が低いために、分散したボイド
形成性ポリマーが塑性変形しやすく、ボイドの発生が阻
害される。加えて延伸フイルム表面の微細な凹凸の程度
が不十分となる。従ってかかる組成物からなるフイルム
は軽量化、隠蔽性、筆記性の点で満足のゆくものではな
い。さらにボイド形成性ポリマーのガラス転移温度が低
いために、かかる組成物からなるフイルムはそれを越え
る温度での性能変化が大きいという問題点も指摘されて
いる。一方ボイド形成性ポリマーとしてポリフェニレン
サルファイドおよびポリフェニレンオキサイドを用いた
場合、これらのポリマーは比較的高いガラス転移温度を
有しているため上記の如き問題点はない。しかしこれら
のポリマーはポリエステルとの親和性が著しく低いた
め、あらたな問題点が発生する。すなわちかかる組成物
からなる未延伸フイルムを延伸すると、微粒子状に分散
したボイド形成性ポリマーとポリエステルとの界面に過
大な剥離が発生し、これがさらに成長しフイルムの破断
に至るという問題点があった。また破断に至らないまで
もフイルムとしての強度が低いという問題点があった。
さらにポリフェニレンサルファイドおよびポリフェニレ
ンオキサイドはそれ自体着色しており、かかる組成物か
らなるフイルムは白色度に劣るという欠点がある。
【0005】ボイド形成性ポリマーとして液晶性ポリエ
ステルを用いる方法では、それが未延伸フイルム中で流
動方向に配向した棒状粒子となりやすいことに伴う問題
点、およびポリエステルとの親和性が著しく低いため生
じる問題点がことごとく発生する。また白色度に劣るこ
ともいうまでもない。
【0006】以上の如くボイド形成性ポリマーをポリエ
ステル樹脂に配合する方法においても適切なボイド形成
性ポリマーが発見されていないため、満足な特性を有す
る軽量化ポリエステルフイルムは得られていなかったの
が実状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情から、本発
明の課題はポリエステル樹脂との適度な親和性と溶融粘
度差とを有するボイド形成性ポリマーを見い出し、これ
を用いて低密度で、強度、耐熱性、隠蔽性、筆記性にす
ぐれたポリエステルフイルム及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、結晶性ポリエス
テル樹脂(A)とアクリル酸系重合体(B)との組成物
からなり、特定の構造を有するポリエステルフイルムが
本発明の課題をことごとく満足することを見出し、本発
明に到達したものである。
【0009】すなわち本発明の要旨は、(1)結晶性ポ
リエステル樹脂(A)が50重量%以上95重量%未
満、および下記構造式〔I〕で表される構造単位を25
重量%以上含み100℃を越えるガラス転移温度を有す
るアクリル酸系重合体(B)が5重量%以上50重量%
未満((A)と(B)の合計は100重量%)の組成物
からなるポリエステルフイルムであって、該ポリエステ
ルフイルム中に該アクリル酸系重合体(B)が直径0.
1から20μmの粒子状に分散しており、かつ微細なボ
イドが存在し、見掛け比重が0.3から1.3であるこ
とを特徴とする軽量化ポリエステルフイルム、および
(2)結晶性ポリエステル樹脂(A)が50重量%以上
95重量%未満、および下記構造式〔I〕で表される構
造単位を25重量%以上含み100℃を越えるガラス転
移温度を有するアクリル酸系重合体(B)が5重量%以
上50重量%未満((A)と(B)の合計は100重量
%)の組成物を溶融押出しして得られる未延伸ポリエス
テルフイルムを、該結晶性ポリエステル樹脂(A)のガ
ラス転移温度以上、結晶化温度以下の温度の範囲で少な
くとも一軸に1.5倍以上延伸することを特徴とする前
記(1)の軽量化ポリエステルフイルムの製造方法に存
ずる。
【化3】
【0010】本発明において結晶性とは、示差熱分析計
を用いて20℃/分の昇温速度で測定した結晶の融解熱
が1cal/g以上の値を示すことを意味する。また結
晶化温度は、同じく示差熱分析計を用いて20℃/分の
昇温速度で測定した際の結晶化温度ピークとして定義さ
れる。ガラス転移温度は一般に定義されているようにポ
リマー主鎖の熱運動の凍結開始温度を意味する。このガ
ラス転移温度も示差熱分析計を用いて測定することがで
きる。
【0011】本発明において用いられる結晶性ポリエス
テル樹脂(A)は芳香族ジカルボン酸残基と脂肪族ジオ
ール残基および/あるいは脂環式ジオール残基とを主な
構成成分とするポリエステルである。かかる芳香族ジカ
ルボン酸の代表例としてはテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸等がある。これらの芳香族
ジカルボン酸の芳香族環はハロゲン、アルキル基あるい
はその他の置換基で置換されていてもよい。脂肪族ジオ
ールあるいは脂環式ジオールの代表例としてはエチレン
グリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキシレンジメタノール等がある。これらの芳香
族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよび/あるいは脂環
式ジオールはそれぞれ2種類以上混合して用いることも
可能である。
【0012】本発明において特に好適な結晶性ポリエス
テル樹脂(A)としては、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキ
シレンジメチレンテレフタレート(PCT)がある。示
差熱分析計を用いて測定したこれら結晶性ポリエステル
樹脂のガラス転移温度(Tg)と結晶化温度(Tc)お
よび結晶融解温度(Tm)は以下の通りである。 PET(Tg=70℃、Tc=160℃、Tm=263
℃) PBT(Tg=45℃、Tc=130℃、Tm=220
℃) PEN(Tg=115℃、Tc=220℃、Tm=27
2℃) PCT(Tg=90℃、Tc=180℃、Tm=295
℃)
【0013】本発明においては、かかる結晶性ポリエス
テル樹脂を2種類以上混合して用いてもよいし、またそ
の他の成分を共重合した結晶性ポリエステル樹脂を用い
てもよい。
【0014】これらの結晶性ポリエステル樹脂(A)
は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールおよび/ある
いは脂環式ジオールとを直接反応させて製造されるほ
か、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルと脂肪族ジ
オールおよび/あるいは脂環式ジオールとをエステル交
換反応させた後、重縮合させるかあるいは芳香族ジカル
ボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法
によって製造される。
【0015】本発明において用いられる結晶性ポリエス
テル樹脂(A)の分子量については、特に制限はなく、
フイルム形成能があれば足りるが、フェノール/テトラ
クロルエタン=1/1(重量比)の混合溶媒で25℃で
測定した固有粘度が0.4(dl/g)以上であること
が好ましい。
【0016】本発明において用いられるアクリル酸系重
合体(B)は、前記構造式〔I〕で表される構造単位を
25重量%以上含む単独重合体または共重合体(以下単
に「重合体」と呼ぶことがある。)であり、かつ100
℃を越えるガラス転移温度を有するものである。一般式
〔I〕で示される構造単位の含量が25重量%未満の場
合は該構造単位の特徴とするところの耐熱性効果が共重
合体に得られないため使用できない。最も好ましい該構
造単位の含量の範囲は30〜80重量%である。共重合
体を構成する他の構造単位としては、下記一般式〔II〕
および〔III〕式で示されるものが好ましく使用でき
る。
【化4】 (ここで、R1はH、CH3、F、Cl、CF3を示し、
2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のフル
オロアルキル基あるいは炭素数8〜20のシクロアルキ
ル基を示す。但し、一般式〔II〕が一般式〔I〕と同一
となるものを除く。)
【化5】 (ここで、R3は下記一般式〔IV〕で示され、式中Xお
よびYはそれぞれH、CH3、F、ClおよびCF3を表
し、pおよびqは0〜5までの整数であってp+q=5
を満足するものである。)
【化6】 前記一般式〔I〕で示される構造単位は、トリシクロ
〔5.2.1.02,6〕デカニルメタクリレートのビニ
ル重合により形成することができ、一般式〔II〕および
〔III〕で示される構造単位は、対応する(メタ)アク
リレートおよびスチレン誘導体のビニル重合より形成す
ることができる。
【0017】かかる重合体の分子量は、浸透圧法により
数平均分子量を測定して、2万〜50万の範囲が好まし
い。数平均分子量で2万以下であると重合体の溶融粘度
が低くなり、ボイド形成ポリマーとして用いた場合、マ
トリックスポリマーである結晶性ポリエステル樹脂
(A)により、未延伸フイルム中で流動方向に配向した
棒状粒子となりやすくなり、ひいては延伸時にボイド形
成能が低下するといった問題点がある。数平均分子量が
50万以上であると重合体の溶融粘度が高くなりすぎる
ため、結晶性ポリエステル樹脂(A)中の分散が困難と
なる。
【0018】本発明において用いられるアクリル酸系重
合体のガラス転移温度は100℃を越えるものである
が、アクリル酸系重合体のガラス転移温度が結晶性ポリ
エステル樹脂(A)のそれと同等かそれより低い場合に
は、組成物からなるフイルムを延伸するとアクリル酸系
重合体が塑性変形しボイドの生成が阻害されるので好ま
しくない。加えて延伸フイルムの表面の微細な凹凸の程
度が不十分となる。かかるガラス転移温度の低いアクリ
ル酸系重合体を用いた場合には、結果として得られる延
伸ポリエステルフイルムの軽量性、隠蔽性、筆記性は満
足のいくものではない。
【0019】本発明の軽量化ポリエステルを構成する組
成物の(A)成分である結晶性ポリエステル樹脂の配合
量は50重量%以上から95重量%未満であり、好まし
くは70重量%以上90重量%以下であり、(B)成分
のアクリル酸系重合体のそれは5重量%以上50重量%
未満であり、好ましくは10重量%を越え、30重量%
未満である。(B)成分のアクリル酸共重合体の配合量
が5重量%未満では、得られる最終的な延伸ポリエステ
ルフイルム中の微細なボイドの生成量が少なく、軽量
性、隠蔽性及び筆記性が不十分となる。逆にそれが50
重量%を越える量ではフイルムの強度が低下し、延伸時
の破断が起こりやすくなるばかりでなく、組成物の溶融
押出し時の熱安定性が低下し、熱分解等が発生するので
好ましくない。
【0020】本発明の軽量化ポリエステルフイルムにお
いて、(B)成分のアクリル酸系重合体は(A)成分で
ある結晶性ポリエステル樹脂からなるマトリックス中に
直径が0.1から20μmの粒子状に分散することが必
要であり、好ましくは1〜15μの範囲である。この場
合アクリル酸系重合体(B)の微粒子はできるだけ球形
であることが好ましい。球形の場合にはフイルムの異方
形が発生しにくく、延伸によって均一なボイドが生成
し、強度に優れたフイルムが得られるので好ましい。ア
クリル酸系重合体(B)の微粒子径が0.1μm未満の
場合には延伸ポリエステルフイルム中のボイドの生成量
が少なく、軽量性、隠蔽性及び筆記性が不十分となる。
逆にそれが20μmを越える場合にはボイドの生成量が
多く、軽量性及び隠蔽性には優れるものの、フイルムの
強度が低下し、延伸時の破断が起こりやすくなるので好
ましくない。
【0021】本発明において、未延伸フイルムは結晶性
ポリエステル樹脂(A)とアクリル酸系重合体(B)と
からなる組成物を溶融押出しして得られる。この場合結
晶性ポリエステル樹脂(A)とアクリル酸系重合体
(B)とを押出機等を用いて溶融混練し、あらかじめ組
成物のペレットとなし、ついでこれを溶融押出しして未
延伸フイルムを得てもよい。あるいは結晶性ポリエステ
ル樹脂(A)とアクリル酸系重合体(B)とをブレンド
し、これを直接溶融押出しして未延伸フイルムを得ても
よい。溶融押出し温度としては、通常結晶性ポリエステ
ル樹脂(A)の結晶融解温度からそれより50℃高い温
度の範囲で選ばれる。溶融された組成物は、たとえばT
ダイやサーキュラーダイから押出され、結晶性ポリエス
テル樹脂(A)のガラス転移温度以下に冷却され、実質
的に無定形のフイルムを得る。この未延伸フイルムには
実質的にボイドの生成はなく、多くの場合透明あるいは
半透明である。
【0022】ついでこの未延伸フイルムは、少なくとも
一軸方向に延伸される。延伸は結晶性ポリエステル樹脂
(A)のガラス転移温度以上、結晶化温度以下の範囲の
温度で行われる。この温度範囲で延伸することにより、
マトリックスを形成する結晶性ポリエステル樹脂(A)
が配向結晶化すると同時に、微粒子を形成するアクリル
酸系重合体(B)との界面でボイドが効果的に生成され
る。延伸倍率は得られるフイルムの特性に大きな影響を
与える。延伸倍率が大きい程得られるフイルムの軽量
性、隠蔽性、強度は向上する。目的に応じて延伸倍率を
選定することは可能であるが、本発明の目的を達成する
ためには少なくとも一軸に1.5倍以上に延伸すること
が必要である。さらに縦横2軸に延伸することも可能で
ある。この場合にはさらに特性の向上を図ることができ
る。この場合にもそれぞれの方向に1.5倍以上延伸す
ることが好ましい。
【0023】延伸後のポリエステルフイルムは必要に応
じて熱固定される。この処理により延伸ポリエステルフ
イルムの寸法安定性はさらに高まる。通常熱固定の温度
は結晶性ポリエステル樹脂(A)の結晶融解温度より約
10℃から30℃低い温度で行われる。
【0024】本発明の軽量化ポリエステルフイルムは、
前記延伸を行うことによりその見掛け比重は1.3以下
となる。延伸倍率をさらに高めることにより見掛け比重
を0.3以下とすることも可能である。しかし延伸フイ
ルムの生産性や強度の低下が生じるので軽量化ポリエス
テルフイルムの見掛け比重は0.3から1.3の範囲に
あることが好ましい。生産性や性能の面から最も好まし
い比重の範囲は0.5から1.0である。
【0025】なお本発明の結晶性ポリエステル樹脂
(A)とアクリル酸系重合体からなる前記組成物には、
その特性を大きく損なわない範囲で必要に応じて他のポ
リマーを配合してもよい。かかるポリマーとしてはたと
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、
ポリメチルペンテン、ポリメチルメタクリレート、AB
S樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリアリレート、ポリエチレングリコー
ル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、
フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、液晶ポリエステル、フッソ樹脂、フェノール樹脂、
メラミン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂などがある。
【0026】また本発明の組成物にはその特性を大きく
損なわない範囲で、必要に応じてシリカ、酸化チタン、
炭酸カルシウム、アルミナ、カオリン、マイカ、タルク
などの無機質充填材や顔料を配合することも可能であ
る。
【0027】またその他の添加剤を配合することも可能
である。かかる例としては酸化防止剤、耐熱剤、帯電防
止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などがある。
【0028】本発明の軽量化ポリエステルフイルムは単
独で、あるいは塗装、印刷、メタライジング等の処理を
施した上で包装用材料、ラベル、情報誌、製図用紙、印
刷用紙等に用いられる。また本発明の軽量化ポリエステ
ルフイルムは多層構造体の構成成分の一つとして用いる
ことも可能である。このような多層構造体の例としては
ラミネートフイルム、複合シート、コンポジットなどが
ある。
【0029】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0030】(参考例)ジシクロペンタジエン1000
重量部と9N硫酸を混合して、2時間還流した。有機相
を分離し、減圧蒸留により5mmHgで96〜98℃の
留分を回収することによりトリシクロ〔5.2.1.0
2,6〕−3−デセン−8(又は9)−オール(a)51
1重量部を得た。このヒドロキシ化物(a)500重量
部をシクロヘキサン500重量部に溶解し、パラジウム
5%を担持したカーボン50重量部を触媒に用いて、水
素圧70Kg/cm2の下で、100℃2時間水添を行
った。触媒を濾別した後、減圧蒸留により4mmHgで
92〜96℃の留分を回収することによりトリシクロ
〔5.2.1.02,6〕デカン−8(または9)−オー
ル(b)492重量部を得た。得られた水素化物(b)
456重量部とメタクリル酸クロリド314重量部をト
ルエン1000重量部中で、トリエチルアミン330重
量部の存在下で反応させた。生成した塩を濾別した後、
ハイドロキノン2重量部を加えて減圧蒸留し、5mmH
gで130〜138℃の留分を回収することによりトリ
シクロ〔5.2.1.02,6〕デカニルメタクリレート
(c)427重量部を得た。この単量体(C)50重量
部、メチルメタクリレート50重量部、アゾビスter
t−ブタン(0.001mol/mol)、およびn−
ブチルメルカプタン(0.025mol/mol)をそ
れぞれ減圧蒸留により重合器の中に仕込み、混合し、1
30℃16時間ついで20℃/minの昇温速度で23
0℃迄昇温しアクリル酸系重合体を得た(ア−1)。他
のアクリル酸系重合体も同様にして作成した。これらを
表1に示す。なお実施例で用いた結晶性ポリエステル樹
脂(A)は表2の通りである。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】(実施例1〜6)原料となるペレットをタ
バイ(株)製直熱式真空乾燥機を用い、105℃で48
時間真空乾燥し、水分率が0.001%のアクリル酸系
重合体ペレットを、また同様に120℃48時間真空乾
燥し、水分率が0.001%の、極限粘度が0.78の
ポリエチレンテレフタレートペレットをそれぞれ得た。
これらの所定量をヘンシェルミキサーで混合し、日本製
鋼(株)製50mmφ押出機を用いて280℃の条件で
Tダイにより溶融押し出し、厚さ500μmのシートを
得た。次いで90℃でMD(縦方向)に3倍、TD(横
方向)に3倍延伸し、厚さ55μのフイルムを得た。未
延伸フイルム中のアクリル酸系重合体の分散粒子径と延
伸性と延伸フイルムの見掛け比重、3次元表面粗度、H
z、Tp、G%、白色度、引張強度、筆記性を表3、4
に示す。また結晶性ポリエステル樹脂としてポリシクロ
ヘキシレンジメチレンテレフタレート樹脂を使用した場
合は、製膜温度310℃、延伸温度105℃の条件で実
施した。同様にフイルムの性能を表3、4に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】(比較例1〜8)実施例と同様の方法で、
ペレットを乾燥し溶融押し出しし、500μmのフイル
ムを得た。延伸温度は90℃と、60℃、220℃の条
件で実施した。また延伸倍率は3×3倍以外に1.2×
1.0倍を実施した。また添加ポリマーにアクリル酸系
重合体の比較としてポリフェニレンオキサイド樹脂(長
瀬産業(株)PPOー534)を使用した。得られたフ
イルムの性能を表5、6に示す。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】実施例1〜6、比較例1〜8から次のこと
が判る。トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカニルメ
タクリレート単量体の含有量が25重量%未満のアクリ
ル酸系重合体と結晶性ポリエステル樹脂との組成物から
なるフイルムは、軽量性、マット性、白色性能に欠ける
ことが判る。またアクリル酸系重合体が3重量%の組成
物からなるフイルムは、軽量性、マット性、白色性に欠
けることが判る。またアクリル酸系重合体が55重量%
の組成物からなるフイルムは、分散粒子径が確認され
ず、また延伸性が悪いことが判る。延伸温度に関しては
90℃が良好であるが、60℃ではフイルムが破断し、
延伸性に劣る。220℃で延伸すると、フイルム厚みム
ラが大でフイルム品位が大きく低下していること、また
軽量性、マット性、白色性に欠けることが判る。延伸倍
率についても1.2×1.0倍では軽量性、マット性、
白色性に欠けることが判る。また比較例8においては、
分散粒子が20μmを越えると得られたフイルムの強度
が著しく低下することが判った。
【0040】(測定方法)実施例で用いた測定方法は以
下の通りである。 1.粒子径 日本電子(株)製JSM−15型走査電子顕微鏡を使用
し、試料破断面の電子顕微鏡写真から寸法を読みとる。 2.見掛け比重 JISK6758に準じ水中置換法で測定した。 3.表面粗度 小坂研究所(株)製表面粗さ測定器SE−3AK型を使
用し、JISB−0601−1976の方法に準じて測
定した。触針径2μm、触針圧10mg.SRaは中心
面平均粗さ(μm)を、SPcは山数(個/0.1mm
2)を表す。 4.曇度(Hz)、平行光線透過度(Tp) 東京電色(株)製ヘーズメーターを使用、ASTMD10
03−61に準じて測定した。 5.G% 村上色彩技術研究所(株)Gloss Meter G
M−30型を使用し、入射角20°の光沢度を測定し
た。 6.白色度 スガ試験機SM−4型色差計を使用して測定した。 7.強度(引張り強度) 島津(株)DSS−500型オートグラフを使用し、A
STMD882に準じて測定し、縦、横方向の平均値で
表示した。 8.筆記性 鉛筆引っかき値試験用鉛筆三菱(株)製Uniを使用
し、押圧500gで筆記し、字が濃く書けた場合○、非
常に濃く書けた場合◎、薄い場合を×とした。
【0041】
【発明の効果】実施例で具体的に説明したように、本発
明のポリエステルフイルムは特定のボイド形成性ポリマ
ーを用いることにより、きわめて優れた軽量性、強度、
耐熱性、隠蔽性、筆記性および生産性が付与され、これ
らの点において従来の軽量化ポリエステルフィルムの性
能を大きく凌駕する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】(参考例)ジシクロペンタジエン1000
重量部と9N硫酸1000重量部を混合して、2時間還
流した。有機相を分離し、減圧蒸留により5mmHgで
96〜98℃の留分を回収することによりトリシクロ
〔5.2.1.02.6〕−3−デセン−8(又は9)
−オール(a)511重量部を得た。このヒドロキシ化
物(a)500重量部をシクロヘキサン500重量部に
溶解し、パラジウム5%を担持したカーボン50重量部
を触媒に用いて、水素圧70Kg/cmの下で、10
0℃2時間水添を行った。触媒を濾別した後、減圧蒸留
により4mmHgで92〜96℃の留分を回収すること
によりトリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカン−8
(または9)−オール(b)492重量部を得た。得ら
れた水素化物(b)456重量部とメタクリル酸クロリ
ド314重量部をトルエン1000重量部中で、トリエ
チルアミン330重量部の存在下で反応させた。生成し
た塩を濾別した後、ハイドロキノン2重量部を加えて減
圧蒸留し、5mmHgで130〜138℃の留分を回収
することによりトリシクロ〔5.2.1.02.6〕デ
カニルメタクリレート(c)427重量部を得た。この
単量体(C)50重量部、メチルメタクリレート50重
量部、アゾビスtert−ブタン(0.001mol/
mol)、およびn−ブチルメルカプタン(0.025
mol/mol)をそれぞれ減圧蒸留により重合器の中
に仕込み、混合し、130℃16時間ついで20℃/m
inの昇温速度で230℃迄昇温しアクリル酸系重合体
を得た(ア−1)。他のアクリル酸系重合体も同様にし
て作成した。これらを表1に示す。なお実施例で用いた
結晶性ポリエステル樹脂(A)は表2の通りである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33:06) 7921−4J B29K 67:00 105:04 4F B29L 7:00 4F C08L 67:02 (72)発明者 小塚 佳明 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 松田 博之 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリエステル樹脂(A)が50重
    量%以上95重量%未満、および下記構造式〔I〕で表
    される構造単位を25重量%以上含み100℃を越える
    ガラス転移温度を有するアクリル酸系重合体(B)が5
    重量%以上50重量%未満((A)と(B)の合計は1
    00重量%)の組成物からなるポリエステルフイルムで
    あって、該ポリエステルフイルム中に該アクリル酸系重
    合体(B)が直径0.1から20μmの粒子状に分散し
    ており、かつ微細なボイドが存在し、見掛け比重が0.
    3から1.3であることを特徴とする軽量化ポリエステ
    ルフイルム。 【化1】
  2. 【請求項2】 結晶性ポリエステル樹脂(A)が50重
    量%以上95重量%未満、および下記構造式〔I〕で表
    される構造単位を25重量%以上含み100℃を越える
    ガラス転移温度を有するアクリル酸系重合体(B)が5
    重量%以上50重量%未満((A)と(B)の合計は1
    00重量%)の組成物を溶融押出しして得られる未延伸
    ポリエステルフイルムを、該結晶性ポリエステル樹脂
    (A)のガラス転移温度以上、結晶化温度以下の温度の
    範囲で少なくとも一軸に1.5倍以上延伸することを特
    徴とする請求項1記載の軽量化ポリエステルフイルムの
    製造方法。 【化2】
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