JPH05246953A - 液晶化合物 - Google Patents

液晶化合物

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JPH05246953A
JPH05246953A JP8286392A JP8286392A JPH05246953A JP H05246953 A JPH05246953 A JP H05246953A JP 8286392 A JP8286392 A JP 8286392A JP 8286392 A JP8286392 A JP 8286392A JP H05246953 A JPH05246953 A JP H05246953A
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optically active
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JP8286392A
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Nobuhiro Okabe
伸宏 岡部
Hiroyuki Mogamiya
浩之 最上谷
Noriko Yamakawa
則子 山川
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Showa Shell Sekiyu KK
Original Assignee
Showa Shell Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 三安定状態を示す液晶相S*(3)をもち、
光学応答速度が速く、その温度依存性が小さく、かつ、
メモリー効果が良好であるため、電気光学素子や液晶デ
ィスプレーなどに応用が期待できる新規なカルボニルオ
キシビフェニルカルボニルオキシナフタレン基含有液晶
化合物を提供する点にある。 【構成】 一般式 【化1】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基、R3
はアルキル基又はハロアルキル基を示す。*は光学活性
炭素を示す。)で表わされる三安定状態を示す光学活性
な液晶化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カイラルスメクチック
液晶の電界への応答を利用した電気光学素子に使用する
のに適する液晶物質、特にアルキルカルボニルオキシビ
フェニル基およびナフタレン基を有し、暗部のメモリー
効果が良好で、光学応答時間が極めて短く、光学的応答
時間の温度依存性が小さく、三安定状態を示す液晶物質
に関するものである。
【0002】
【従来技術】液晶表示素子は、1)低電圧作動性、2)
低消費電力性、3)薄形表示、4)受光型などの優れた
特徴を有するため、現在まで、TN方式、STN方式、
ゲスト−ホスト(Gest−Host)方式などが開発
され実用化されている。しかし、現在広く利用されてい
るネマチック液晶を用いたものは、応答速度が数mse
c〜数十msecと遅い欠点があり、応用上種々の制約
を受けている。これらの問題を解決するため、STN方
式や薄層トランジスタなどを用いたアクティブマトリッ
クス方式などが開発されたが、STN型表示素子は、表
示コントラストや視野角などの表示品位は優れたものと
なったが、セルギャップやチルト角の制御に高い精度を
必要とすることや応答がやや遅いことなどが問題となっ
ている。このため、応答性のすぐれた新しい液晶表示方
式の開発が要望されており、光学応答時間がμsecオ
ーダーと極めて短かい超高速デバイスが可能になる強誘
電性液晶の開発が試みられていた。強誘電性液晶は、1
975年、Meyor等によりDOBAMBC(p−デ
シルオキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチ
ルシンナメート)が初めて合成された(Le Jour
nal de Physique,36巻1975,L
−69)。さらに、1980年、ClarkとLaga
wallによりDOBAMBCのサブマイクロ秒の高速
応答、メモリー特性など表示ディバイス上の特性が報告
されて以来、強誘電性液晶が大きな注目を集めるように
なった〔N.A.Clark,etal.,Appl.
Phys.Lett.36.899(1980)〕。し
かし、彼らの方式には、実用化に向けて多くの技術的課
題があり、特に室温で強誘電性液晶を示す材料は無く、
表示ディスプレーに不可欠な液晶分子の配列制御に有効
かつ実用的な方法も確立されていなかった。この報告以
来、液晶材料/デバイス両面からの様々な試みがなさ
れ、ツイスト二状態間のスイッチングを利用した表示デ
バイスが試作され、それを用いた高速電気光学装置も例
えば特開昭56−107216号などで提案されている
が、高いコントラストや適正なしきい値特性は得られて
いない。このような視点から他のスイッチング方式につ
いても探索され、過渡的な散乱方式が提案された。その
後、1988年に本発明者らによる三安定状態を有する
液晶の三状態スイッチング方式が報告された〔A.D.
L.Chandani,T.Hagiwara,Y.S
uzuki etal.,Japan.J.ofApp
l.Phys.,27,(5),L729−L732
(1988)〕。前記「三状態を有する」とは第一の電
極基板と所定の間隙を隔てて配置されている第二の電極
基板の間に強誘電性液晶が挾まれてなる液晶電気光学装
置において、前記第一及び第二の電極基板に電界形成用
の電圧が印加されるよう構成されており、図1Aで示さ
れる三角波として電圧を印加したとき、図1Dのように
前記強誘電性液晶が、無電界時に分子配向が第一の安定
状態(図1Dの2)を有し、かつ、電界印加時に一方の
電界方向に対し分子配向が前記第一の安定状態とは異な
る第二の安定状態(図1Dの1)を有し、さらに他方の
電界方向に対し前記第一及び第二の安定状態とは異なる
第三の分子配向安定状態(図1Dの3)を有することを
意味する。三安定状態を示す液晶相S*(3)を相系列
に有する液晶化合物は、本発明者の出願した特開平1−
316367号、特開平1−316372号、特開平1
−316339号、特開平2−28128号及び市橋等
の特開平1−213390号公報があり、また三安定状
態を利用した液晶電気光学装置としては本出願人は特開
平2−40625号、特開平2−153322号、特開
平2−173724号において新しい提案を行っている
が、本発明の液晶化合物は未知のものである。又、メモ
リー効果の良好な三安定状態を示す液晶についての公開
はまだない。三状態スイッチング方式は、液晶分子配向
において従来の双安定状態とは基本的に異なる三安定状
態を示す液晶相S*(3)が示す駆動電圧に対する明確
なしきい特性とヒステリシス特性を応用するものであ
り、単純マトリックス方式で大画面の動画像表示が実現
できる画期的な駆動方法と考えられる。更に、三安定状
態を示す液晶を使用する表示素子の性能は三安定状態液
晶固有の物性であるヒステリシスの形状に大きく依存す
る。図2に示すような形状のヒステリシスでは0Vで理
想的な暗状態を実現できるが、0VよりV1まで電圧を
上げると、又は0Vより−V1まで電圧を下げると光漏
れが生じる。このようなヒステリシスを持つ三安定状態
を示す液晶は暗状態のメモリー効果が悪いと言える。そ
して、この現象は表示素子のコントラストの低下をもた
らす。それに対し、図3に示すようなヒステリシスでは
0Vで実現した理想的な暗状態が電圧V3又は電圧−V3
まで維持されており、暗状態のメモリー効果が良いと言
える。そして、表示素子のコントラストは良好なものと
なる。しかしながら、現実には、なかなか図3に示すよ
うな理想的なヒステリシスカーブを示す液晶化合物を得
ることはできず、図4のようなヒステリシスカーブを示
し、 バイアス電圧Vb0=(V2+V3)÷2 のときの (C)÷(D)×100 を光漏れ率(%)と表現すると、ほとんどの液晶化合物
は光漏れ率が5〜10%の範囲にあり、0〜5%の範囲
の光漏れ率の液晶化合物を見出すことは大へん困難であ
った。また、無電界時の第一の安定状態〔図1(D)の
2〕から電界を印加したときの第二又は第三の安定状態
〔図1(D)の1又は3〕へ転移するときの応答時間(τ
r)、第二安定状態〔図1(D)の1〕から第三安定状態
〔図1(D)の3〕またはその逆に転移するときの応答時
間(τ)は、液晶の温度に大きく依存しており、温度が
下がるにつれて応答時間は大きくなってゆく。このよう
な液晶を使用した表示素子では環境温度により性能が左
右されやすく、特に低い温度で用いる場合は応答速度が
かなり遅くなってしまう。また、表示素子の温度を一定
にするためにヒーター等を用いると、このような問題が
解決されるが、コストが高くついてしまう欠点が生じ
る。現在のところ応答時間の温度依存性が小さい三安定
状態を示す液晶に関する技術についての公開はまだなさ
れていない。
【0003】
【目的】本発明の目的は、(1)三安定状態における暗
状態のメモリー効果がよい、(2)応答速度が液晶の温
度によりあまり変動しない、(3)従来の液晶化合物よ
りも応答速度が速い、新規液晶化合物を提供する点にあ
る。すなわち、本発明の目的は、暗状態のメモリー効果
が良好な三安定状態を示す液晶相S*(3)をもち、か
つ、応答速度が速く、その温度依存性が小さいため、電
気光学素子や液晶ディスプレーなどに応用できる新規な
アルキルカルボニルビフェニルカルボニルナフタレン基
含有液晶化合物を提供する点にある。本発明液晶化合物
は、単独または混合物として使用可能である。
【0004】
【構成】本発明の第1は、一般式
【化11】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基、R3
はアルキル基又はハロアルキル基を示す。*は光学活性
炭素を示す。)で表わされることを特徴とする光学活性
な液晶化合物に関する。本発明の第2は、一般式
【化12】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基を示
す。*は光学活性炭素を示す。)で表わされるメモリー
効果の良好な三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液
晶化合物に関する。本発明の第3は、一般式
【化13】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基を示
す。*は光学活性炭素を示す。)で表わされるメモリー
効果の良好な三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液
晶化合物に関する。本発明の第4は、一般式
【化14】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基を示
す。*は光学活性炭素を示す。)で表わされるメモリー
効果の良好な三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液
晶化合物に関する。
【0005】本発明の化合物の合成法の一例を次に示
す。 (1) 脂肪酸塩化物と4−ヒドロキシビフェニル−
4′−カルボン酸をトリエチルアミンの存在下で反応さ
せ、4−アルキルカルボニルオキシビフェニル−4′−
カルボン酸を得る。次に過剰の塩化チオニルにて、4−
アルキルカルボニルオキシビフェニル−4′−カルボン
酸塩化物を得る。
【化15】 (2) 6−ベンジルオキシ−2−ナフトエ酸塩化物と
光学活性な1,1,1−トリフルオロ−2−アルカノー
ルとをトリエチルアミンの存在下にて、1,1,1−ト
リフルオロ−2−アルキル 4−ベンジルオキシベンゾ
エートを得る。これを水素化分解反応して、1,1,1
−トリフルオロ−2−アルキル 6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸エステルを得る。
【化16】 (3) (1)で得た塩化物と(2)で得たフェノール
とをトリエチルアミンの存在下にて反応し、4′−アル
キルカルボニルオキシビフェニル−4−カルボン酸 6
−(1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルオキシカ
ルボニル)ナフタレン−2−エステルを得る。
【化17】 次に実施例を挙げて本発明を説明するが、これに限定さ
れるものではない。
【0006】
【実施例】
実施例1 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ
カルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化18】 1) 1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル 6−
ベンジルオキシ−2−ナフトエ酸エステルの合成。
【化19】 6−ベンジルオキシ−2−ナフトエ酸クロリド5.3g
を塩化メチレン50mlに溶解させ、次いで光学活性な
1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノール2.9g
とジメチルアミノピリジン0.6gとトリエチルアミン
1.7gとを塩化メチレン50mlに溶解した溶液を氷
冷下にて少量づつ加えた。反応混合物を室温に戻し、一
昼夜反応させ、反応液を氷水に投入し、塩化メチレンに
て抽出し塩化メチレン相を希塩酸、水、1N炭酸ナトリ
ウム水溶液、水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム
にて乾燥して溶媒を留去し、粗生成物を得た。これをト
ルエン−シリカゲルカラムクロマトグラフで処理し、さ
らにエタノールにて再結晶して目的物3.8gを得た。 2) 1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル 6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルの合成
【化20】 1)で得られた化合物をメタノール100mlに溶解
し、10%担持Pd−カーボン0.4gを加え、水素雰
囲気下水素化分解反応を行ない、目的化合物2.8gを
得た。 3) 4′−n−ノナノイルオキシビフェニル−4−カ
ルボン酸の合成
【化21】 4′−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3.5g
とトリエチルアミン2.4gとをジクロロメタン30m
lに溶解する。ノナノイルクロライド4.3gとジメチ
ルアミノピリジン0.2gとを加え、室温にて約20時
間かきまぜる。希塩酸を加え、分液ロートにて有機層を
分離する。溶媒を留去し、残査物をn−ヘキサンにて洗
浄した後、乾燥させ、目的化合物約5gを得る。 4) 4′−n−ノナノイルオキシビフェニル−4−カ
ルボン酸クロライドの合成
【化22】 3)で合成した4′−n−ノナノイルオキシビフェニル
−4−カルボン酸5.0gを10gの塩化チオニル中に
入れ、極く少量のN,N−ジメチルホルムアミドを加
え、4時間還流する。過剰の塩化チオニルを留去して目
的化合物5.2gを得た。 5)4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン
酸 6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオ
キシカルボニル)ナフタレン−2−エステルの合成
【化23】 2)で合成した1,1,1−トリフルオロ−2−オクチ
ル 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル0.5g
とトリエチルアミン0.16gとを30mlの塩化メチ
レン中に溶解する。4)で合成した4′−n−ノナノイ
ルオキシビフェニル−4−カルボン酸クロライド0.7
gを30mlの塩化メチレンに溶解し、それを少しずつ
滴下する。さらに、ジメチルアミノピリジン0.05g
を加え、室温にて一昼夜かきまぜる。反応混合物を水中
に入れ、溶液を中性に調整した後、塩化メチレン層を分
離する。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、塩化メチ
レンを留去する。残査物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)に
て精製し、目的化合物0.11gを得る。ホットステー
ジ付偏光顕微鏡観察による相転移温度(℃)は次の通り
である。
【表1】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。本化合物
の赤外線吸収スペクトルを図4に示す。
【0007】実施例2 6−デカノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸 6
−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシカ
ルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化24】 実施例1の3)でノナノイルクロライドのかわりにデカ
ノイルクロライドを用いて実施例1と同様に合成をして
目的物を得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察による
相転移温度(℃)は次の通りである。
【表2】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図5に示す。
【0008】実施例3 4′−ウンデカノイルオキシビフェニル−4−カルボン
酸 6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオ
キシカルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化25】 実施例1の3)でノナノイルクロライドのかわりにウン
デカノイルクロライドを用いて実施例1と同様に合成を
して目的物を得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察に
よる相転移温度(℃)は次の通りである。
【表3】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図6に示す。
【0009】実施例4 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカ
ルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化26】 実施例1の1)で1,1,1−トリフルオロ−2−オク
タノールのかわりに1,1,1−トリフルオロ−2−デ
カノールを用いて実施例1と同様に合成をして目的物を
得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察による相転移温
度(℃)は次の通りである。
【表4】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図7に示す。
【0010】実施例5 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(2−オクチルオキシカルボニル)ナフタレン−2
−エステル
【化27】 実施例1の1)で1,1,1−トリフルオロ−2−オク
タノールのかわりに2−オクタノールを用いて実施例1
と同様に合成をして目的物を得た。ホットステージ付偏
光顕微鏡観察による相転移温度(℃)は次の通りであ
る。
【表5】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図8に示す。
【0011】実施例6 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1,2,2,2−ペンタフルオロ−3−
ウンデシルオキシカルボニル)ナフタレン−2−エステ
【化28】 実施例1の1)で1,1,1−トリフルオロ−2−オク
タノールのかわりに1,1,1,2,2,2−ペンタフ
ルオロ−3−ウンデカノールを用いて実施例1と同様に
合成をして目的物を得た。ホットステージ付偏光顕微鏡
観察による相転移温度(℃)は次の通りである。
【表6】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図9に示す。
【0012】実施例7 ラビング処理したポリイミド配向膜をITO電極基板上
に有するセル厚1.6μmの液晶セルに実施例1で得ら
れた液晶化合物4′−ノナノイルオキシビフェニル−4
−カルボン酸 6−(1,1,1−トリフルオロ−2−
オクチルオキシカルボニル)ナフタレン−2−エステル
をIsotropic相において充填し、液晶薄膜セル
を作成した。作成した液晶セルを2枚の偏光板を直交さ
せたフォトマルチプライヤー付き偏光顕微鏡に、電圧0
Vの状態で暗視野となるように配置する。この液晶セル
を0.1〜1.0℃/1分間の温度勾配にて、SA相ま
で徐冷する。さらに冷却してゆき、135.5℃〜5
0.7℃の温度範囲において、図10(a)に示す±4
0V、1Hzの三角波電圧を印加する。115.5℃で
の印加電圧と透過率との関係から、図10(b)のよう
なヒステリシスが得られた。0→+V1までは暗状態を
保ち+V1で急峻な立上りの後、明状態になる。+40
→+V3までは明状態を保ち、+V3で急激に暗状態にな
る。0→−V1まで暗状態を保ち、−V1で急峻な立上り
の後、明状態になる。−40V→−V3までは明状態を
保ち、−V3で急激に暗状態になる。印加電圧が+40
V→−40Vに変化するときスイッチングを伴った明→
暗→明の、3つの状態に変化していることが観察され、
三つの安定な液晶分子の配向状態があることを確認し
た。他の実施例の化合物についても同様のS*(3)相
において同一の効果が確認された。比較例として、上記
と同様の方法にて下記の3つの化合物(A)(B)(C)
〔(B)は中央のカルボキシル基、(C)は左方のカル
ボキシル基の方向に注意!〕のS*(3)相における印加
電圧と透過率を調べた。S*(3)相になる温度TCAから
−20℃での温度の前記化合物(A),(B),(C)のヒ
ステリシスを図11(a),(b),(c)に示す。
【化29】 また、図3のようなヒステリシス曲線において次のよう
にしきい値電圧を定めた。 V1:明状態から電圧を減少したとき相対光透過率10
%となる電圧 V2:明状態から電圧を減少したとき相対光透過率90
%となる電圧 V3:暗状態から電圧を増加したとき相対光透過率10
%となる電圧 V4:暗状態から電圧を増加したとき相対光透過率90
%となる電圧 そこで、 バイアス電圧Vb0=(V2+V3)÷2 での暗状態の相対光透過率〔図4の(C)〕と明状態の
相対光透過率〔図4の(D)〕の比(C)/(D)×1
00を光漏れ率として求めた。なお、TCAは、SAまた
はS*(2)相からS*(3)相へ転移する温度であ
り、Tは測定温度である。これらの結果を次の表に示
す。 (以下余白)
【表7】
【0013】
【考察】光漏れ率については、比較例の化合物(A)に
較べて実施例6を除いて実施例1のものは、約3.8
倍、実施例2のものは、約2.0倍、実施例3のもの
は、約3.2倍、実施例4のものは、約1.8倍、実施
例5のものは、約1.9倍改良されている。
【0014】実施例8 実施例7と同様の方法で、±40V、1Hzの三角波電
圧のかわりに、図12(a)に示す±40Vのパルス電
圧を印加し、光学応答時間を調べた。印加電圧0Vでの
透過光強度を相対透過率0%、印加電圧±40Vでの透
過光強度を相対透過率100%とする。+40又は−4
0Vのパルス電圧を印加した時、相対透過率0%から9
0%になるまでの応答時間をτrとし、−40Vのパル
ス電圧、40Vのパルス電圧を連続したとき、透過光は
明→暗→明になるが、そのときの相対透過率90%から
90%までの応答時間をτとする。パルス電圧とその時
の相対透過率と応答時間τr、τの関係を図12(b)
に示す。このように実施例1〜5の化合物についてのτ
r、τを測定し、測定温度TとSA又はS*(2)相から
S*(3)相へ転移する温度TCAとの差TCA−Tに対し
てプロットしたところ、図13〜図17が得られた。比
較例として化29の3つの化合物(A),(B),(C)を
同様に測定して図13〜図17にプロットした。図13
〜図17より、本発明の実施例と比較例を比べると、本
発明の方が応答時間が短く、その温度依存性が小さいこ
とがわかる。つまり、本発明の実施例の液晶化合物の応
答速度が速く、その温度依存性が小さいことが明確であ
る。
【0015】
【発明の効果】
1.本発明の光学活性液晶化合物において、強誘電性液
晶性または反強誘電性液晶性を示すものは、単体または
他の液晶化合物との混合で液晶表示素子等へ利用可能で
ある。また、液晶性の低いものでも、他の液晶化合物と
共に混合して液晶組成物を構成することができる。 2.さらに、本発明の光学活性液晶化合物のS*(3)
相を示す反強誘電性液晶は三状態を利用した電気光学装
置、表示デバイス、スイッチング素子等の用途を有す
る。 3.さらに、本発明の光学活性液晶化合物のS*(3)
相を示す反強誘電性液晶の三状態を利用した液晶表示装
置は、高いコントラストを示すことができる。 4.さらに、本発明の光学活性液晶化合物のS*(3)
相を示す反強誘電性液晶の三状態を利用した液晶表示装
置は応答速度が速く、さらに温度変化による物性の変動
が少なく広い温度範囲において使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aが印加される三角波を、Bが市販ネマチック
液晶の、Cは二状態液晶の、Dは三状態液晶の、それぞ
れの光学応答特性を示す。
【図2】三状態液晶に関する暗部のメモリー効果の良く
ないヒステリシスを示す。
【図3】三状態液晶に関する暗部のメモリー効果の良い
理想のヒステリシスを示す。
【図4】光漏れ率を説明するためのヒステリシスを示
す。
【図5】本発明実施例1の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。赤外線吸収スペクトルは縦軸が透過率、
横軸が波数を示す。
【図6】本発明実施例2の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図7】本発明実施例3の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図8】本発明実施例4の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図9】本発明実施例5の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図10】本発明実施例6の液晶化合物の赤外線吸収ス
ペクトルを示す。
【図11】実施例7における実施例1の三状態液晶化合
物が示すヒステリシスを示したものであり、(a)は印
加した三角波電圧を、(b)は印加した三角波電圧に対
する実施例2の化合物の光透過率変化のヒステリシスを
示したものである。
【図12】(a)印加した三角波電圧に対する比較例液
晶化合物(A)の光透過率変化のヒステリシスを示した
ものである。 (b)印加した三角波電圧に対する比較例液晶化合物
(B)の光透過率変化のヒステリシスを示したものであ
る。 (c)印加した三角波電圧に対する比較例液晶化合物
(C)の光透過率変化のヒステリシスを示したものであ
る。
【図13】実施例8における光学応答時間τr、τにつ
いて、(a)は印加されるパルス電圧の波形を、(b)
は印加したパルス電圧に対する三状態液晶化合物の光透
過率変化のヒステリシスを、τr、τについて示したも
のである。
【図14】本発明実施例1の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図15】本発明実施例2の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図16】本発明実施例3の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図17】本発明実施例4の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図18】本発明実施例5の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図19】本発明実施例6の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】本発明の化合物の合成法の一例を次に示
す。 (1) 脂肪酸塩化物と4−ヒドロキシビフェニル−
4′−カルボン酸をトリエチルアミンの存在下で反応さ
せ、4−アルキルカルボニルオキシビフェニル−4′−
カルボン酸を得る。次に過剰の塩化チオニルにて、4−
アルキルカルボニルオキシビフェニル−4′−カルボン
酸塩化物を得る。
【化15】 (2) 6−ベンジルオキシ−2−ナフトエ酸塩化物と
光学活性な1,1,1−トリフルオロ−2−アルカノー
ルとをトリエチルアミンの存在下にて、1,1,1−ト
リフルオロ−2−アルキル 6−ベンジルオキシ−2−
ナフトエ酸エステルを得る。これを水素化分解反応し
て、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキル 6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸エステルを得る。
【化16】 (3) (1)で得た塩化物と(2)で得たフェノール
とをトリエチルアミンの存在下にて反応し、4′−アル
キルカルボニルオキシビフェニル−4−カルボン酸 6
−(1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルオキシカ
ルボニル)ナフタレン−2−エステルを得る。
【化17】 次に実施例を挙げて本発明を説明するが、これに限定さ
れるものではない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【実施例】 実施例1 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ
カルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化18】 1) 1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル 6−
ベンジルオキシ−2−ナフトエ酸エステルの合成。
【化19】 6−ベンジルオキシ−2−ナフトエ酸クロリド5.3g
を塩化メチレン50mlに溶解させ、次いで光学活性な
1,1,1−トリフルオロ−2−オクタノール2.9g
とジメチルアミノピリジン0.6gとトリエチルアミン
1.7gとを塩化メチレン50mlに溶解した溶液を氷
冷下にて少量づつ加えた。反応混合物を室温に戻し、一
昼夜反応させ、反応液を氷水に投入し、塩化メチレンに
て抽出し塩化メチレン相を希塩酸、水、1N炭酸ナトリ
ウム水溶液、水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム
にて乾燥して溶媒を留去し、粗生成物を得た。これをト
ルエン−シリカゲルカラムクロマトグラフで処理し、さ
らにエタノールにて再結晶して目的物3.8gを得た。 2) 1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル 6−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステルの合成
【化20】 1)で得られた化合物をメタノール100mlに溶解
し、10%担持Pd−カーボン0.4gを加え、水素雰
囲気下水素化分解反応を行ない、目的化合物2.8gを
得た。 3) 4′−n−ノナノイルオキシビフェニル−4−カ
ルボン酸の合成
【化21】 4′−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3.5g
とトリエチルアミン2.4gとをジクロロメタン30m
lに溶解する。ノナノイルクロライド4.3gとジメチ
ルアミノピリジン0.2gとを加え、室温にて約20時
間かきまぜる。希塩酸を加え、分液ロートにて有機層を
分離する。溶媒を留去し、残査物をn−ヘキサンにて洗
浄した後、乾燥させ、目的化合物約5gを得る。 4) 4′−n−ノナノイルオキシビフェニル−4−カ
ルボン酸クロライドの合成
【化22】 3)で合成した4′−n−ノナノイルオキシビフェニル
−4−カルボン酸5.0gを10gの塩化チオニル中に
入れ、極く少量のN,N−ジメチルホルムアミドを加
え、4時間還流する。過剰の塩化チオニルを留去して目
的化合物5.2gを得た。 5)4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン
酸 6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオ
キシカルボニル)ナフタレン−2−エステルの合成
【化23】 2)で合成した1,1,1−トリフルオロ−2−オクチ
ル 6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル0.5g
とトリエチルアミン0.16gとを30mlの塩化メチ
レン中に溶解する。4)で合成した4′−n−ノナノイ
ルオキシビフェニル−4−カルボン酸クロライド0.7
gを30mlの塩化メチレンに溶解し、それを少しずつ
滴下する。さらに、ジメチルアミノピリジン0.05g
を加え、室温にて一昼夜かきまぜる。反応混合物を水中
に入れ、溶液を中性に調整した後、塩化メチレン層を分
離する。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、塩化メチ
レンを留去する。残査物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)に
て精製し、目的化合物0.11gを得る。ホットステー
ジ付偏光顕微鏡観察による相転移温度(℃)は次の通り
である。
【表1】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。本化合物
の赤外線吸収スペクトルを図5に示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】実施例2 4′−デカノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ
カルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化24】 実施例1の3)でノナノイルクロライドのかわりにデカ
ノイルクロライドを用いて実施例1と同様に合成をして
目的物を得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察による
相転移温度(℃)は次の通りである。
【表2】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図6に示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】実施例3 4′−ウンデカノイルオキシビフェニル−4−カルボン
酸 6−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオ
キシカルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化25】 実施例1の3)でノナノイルクロライドのかわりにウン
デカノイルクロライドを用いて実施例1と同様に合成を
して目的物を得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察に
よる相転移温度(℃)は次の通りである。
【表3】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図7に示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】実施例4 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカ
ルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化26】 実施例1の1)で1,1,1−トリフルオロ−2−オク
タノールのかわりに1,1,1−トリフルオロ−2−デ
カノールを用いて実施例1と同様に合成をして目的物を
得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察による相転移温
度(℃)は次の通りである。
【表4】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図8に示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】実施例5 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(2−オクチルオキシカルボニル)ナフタレン−2
−エステル
【化27】 実施例1の1)で1,1,1−トリフルオロ−2−オク
タノールのかわりに2−オクタノールを用いて実施例1
と同様に合成をして目的物を得た。ホットステージ付偏
光顕微鏡観察による相転移温度(℃)は次の通りであ
る。
【表5】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図9に示す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】実施例6 4′−ノナノイルオキシビフェニル−4−カルボン酸
6−(1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3−ウン
デシルオキシカルボニル)ナフタレン−2−エステル
【化28】 実施例1の1)で1,1,1−トリフルオロ−2−オク
タノールのかわりに1,1,1,2,2−ペンタフルオ
ロ−3−ウンデカノールを用いて実施例1と同様に合成
をして目的物を得た。ホットステージ付偏光顕微鏡観察
による相転移温度(℃)は次の通りである。
【表6】 但し、S*(3)は三安定状態液晶相を示す。目的物の
赤外線吸収スペクトルを図10に示す。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】実施例7 ラビング処理したポリイミド配向膜をITO電極基板上
に有するセル厚1.6μmの液晶セルに実施例1で得ら
れた液晶化合物4′−ノナノイルオキシビフェニル−4
−カルボン酸 6−(1,1,1−トリフルオロ−2−
オクチルオキシカルボニル)ナフタレン−2−エステル
をIsotropic相において充填し、液晶薄膜セル
を作成した。作成した液晶セルを2枚の偏光板を直交さ
せたフォトマルチプライヤー付き偏光顕微鏡に、電圧0
Vの状態で暗視野となるように配置する。この液晶セル
を0.1〜1.0℃/1分間の温度勾配にて、SA相ま
で徐冷する。さらに冷却してゆき、135.5℃〜5
0.7℃の温度範囲において、図11(a)に示す±4
0V、1Hzの三角波電圧を印加する。115.5℃で
の印加電圧と透過率との関係から、図11(b)のよう
なヒステリシスが得られた。0→+V1までは暗状態を
保ち+V1で急峻な立上りの後、明状態になる。+40
→+V3までは明状態を保ち、+V3で急激に暗状態にな
る。0→−V1まで暗状態を保ち、−V1で急峻な立上り
の後、明状態になる。−40V→−V3までは明状態を
保ち、−V3で急激に暗状態になる。印加電圧が+40
V→−40Vに変化するときスイッチングを伴った明→
暗→明の、3つの状態に変化していることが観察され、
三つの安定な液晶分子の配向状態があることを確認し
た。他の実施例の化合物についても同様のS*(3)相
において同一の効果が確認された。比較例として、上記
と同様の方法にて下記の3つの化合物(A)(B)(C)
〔(B)は中央のカルボキシル基、(C)は左方のカル
ボキシル基の方向に注意!〕のS*(3)相における印加
電圧と透過率を調べた。S*(3)相になる温度TCAから
−20℃での温度の前記化合物(A),(B),(C)のヒ
ステリシスを図12(a),(b),(c)に示す。
【化29】 また、図3のようなヒステリシス曲線において次のよう
にしきい値電圧を定めた。 V1:明状態から電圧を減少したとき相対光透過率10
%となる電圧 V2:明状態から電圧を減少したとき相対光透過率90
%となる電圧 V3:暗状態から電圧を増加したとき相対光透過率10
%となる電圧 V4:暗状態から電圧を増加したとき相対光透過率90
%となる電圧 そこで、 バイアス電圧Vb0=(V2+V3)÷2 での暗状態の相対光透過率〔図4の(C)〕と明状態の
相対光透過率〔図4の(D)〕の比(C)/(D)×1
00を光漏れ率として求めた。なお、TCAは、SAまた
はS*(2)相からS*(3)相へ転移する温度であ
り、Tは測定温度である。これらの結果を次の表に示
す。
【表7】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】実施例8 実施例7と同様の方法で、±40V、1Hzの三角波電
圧のかわりに、図13(a)に示す±40Vのパルス電
圧を印加し、光学応答時間を調べた。印加電圧0Vでの
透過光強度を相対透過率0%、印加電圧±40Vでの透
過光強度を相対透過率100%とする。+40又は−4
0Vのパルス電圧を印加した時、相対透過率0%から9
0%になるまでの応答時間をτrとし、−40Vのパル
ス電圧、40Vのパルス電圧を連続したとき、透過光は
明→暗→明になるが、そのときの相対透過率90%から
90%までの応答時間をτとする。パルス電圧とその時
の相対透過率と応答時間τr、τの関係を図13(b)
に示す。このように実施例1〜5の化合物についてのτ
r、τを測定し、測定温度TとSA又はS*(2)相から
S*(3)相へ転移する温度TCAとの差TCA−Tに対し
てプロットしたところ、図14〜図19が得られた。比
較例として化29の3つの化合物(A),(B),(C)を
同様に測定して図14〜図19にプロットした。図14
〜図19より、本発明の実施例と比較例を比べると、実
施例6を除いて本発明の方が応答時間が短く、その温度
依存性が小さいことがわかる。つまり、本発明の実施例
の液晶化合物の応答速度が速く、その温度依存性が小さ
いことが明確である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】Aが印加される三角波を、Bが市販ネマチック
液晶の、Cは二状態液晶の、Dは三状態液晶の、それぞ
れの光学応答特性を示す。
【図2】三状態液晶に関する暗部のメモリー効果の良く
ないヒステリシスを示す。
【図3】三状態液晶に関する暗部のメモリー効果の良い
理想のヒステリシスを示す。
【図4】光漏れ率を説明するためのヒステリシスを示
す。
【図5】本発明実施例1の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。赤外線吸収スペクトルは縦軸が透過率、
横軸が波数を示す。
【図6】本発明実施例2の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図7】本発明実施例3の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図8】本発明実施例4の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図9】本発明実施例5の液晶化合物の赤外線吸収スペ
クトルを示す。
【図10】本発明実施例6の液晶化合物の赤外線吸収ス
ペクトルを示す。
【図11】実施例7における実施例1の三状態液晶化合
物が示すヒステリシスを示したものであり、(a)は印
加した三角波電圧を、(b)は印加した三角波電圧に対
する実施例1の化合物の光透過率変化のヒステリシスを
示したものである。
【図12】(a)印加した三角波電圧に対する比較例液
晶化合物(A)の光透過率変化のヒステリシスを示した
ものである。 (b)印加した三角波電圧に対する比較例液晶化合物
(B)の光透過率変化のヒステリシスを示したものであ
る。 (c)印加した三角波電圧に対する比較例液晶化合物
(C)の光透過率変化のヒステリシスを示したものであ
る。
【図13】実施例8における光学応答時間τr、τにつ
いて、(a)は印加されるパルス電圧の波形を、(b)
は印加したパルス電圧に対する三状態液晶化合物の光透
過率変化のヒステリシスを、τr、τについて示したも
のである。
【図14】本発明実施例1の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図15】本発明実施例2の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図16】本発明実施例3の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図17】本発明実施例4の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図18】本発明実施例5の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【図19】本発明実施例6の液晶化合物についての、
(a)は応答時間τrの温度TCA−Tに対する、(b)
は応答時間τの温度TCA−Tに対するプロット図であ
る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正内容】
【図18】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基、R3
    はアルキル基又はハロアルキル基、*は光学活性炭素を
    示す。)で表わされる三安定状態を示す光学活性な反強
    誘電性液晶化合物。
  2. 【請求項2】 一般式 【化2】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基、*は
    光学活性炭素を示す。)で表わされるメモリー効果の良
    好な三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合
    物。
  3. 【請求項3】 一般式 【化3】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基、*は
    光学活性炭素を示す。)で表わされるメモリー効果の良
    好な三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合
    物。
  4. 【請求項4】 一般式 【化4】 (式中、R1、R2は炭素数4〜18のアルキル基、*は
    光学活性炭素を示す。)で表わされるメモリー効果の良
    好な三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合
    物。
  5. 【請求項5】 式 【化5】 (*は光学活性炭素を示す。)で表わされる応答速度が
    速く、その温度依存性が小さく、メモリー効果の良好な
    三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合物。
  6. 【請求項6】 式 【化6】 (*は光学活性炭素を示す。)で表わされる応答速度が
    速く、その温度依存性が小さく、メモリー効果の良好な
    三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合物。
  7. 【請求項7】 式 【化7】 (*は光学活性炭素を示す。)で表わされる応答速度が
    速く、その温度依存性が小さく、メモリー効果の良好な
    三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合物。
  8. 【請求項8】 式 【化8】 (*は光学活性炭素を示す。)で表わされる応答速度が
    速く、その温度依存性が小さく、メモリー効果の良好な
    三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合物。
  9. 【請求項9】 式 【化9】 (*は光学活性炭素を示す。)で表わされる応答速度が
    速く、その温度依存性が小さく、メモリー効果の良好な
    三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合物。
  10. 【請求項10】 式 【化10】 (*は光学活性炭素を示す。)で表わされる応答速度が
    速く、その温度依存性が小さく、メモリー効果の良好な
    三安定状態を示す光学活性な反強誘電性液晶化合物。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の光学活性化合物を1種
    類以上含有することを特徴とする液晶組成物。
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