JPH05244900A - 水溶性アルギン酸鉄 - Google Patents

水溶性アルギン酸鉄

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JPH05244900A
JPH05244900A JP4083111A JP8311192A JPH05244900A JP H05244900 A JPH05244900 A JP H05244900A JP 4083111 A JP4083111 A JP 4083111A JP 8311192 A JP8311192 A JP 8311192A JP H05244900 A JPH05244900 A JP H05244900A
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iron
water
alginate
iii
soluble
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JP4083111A
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Katsumi Asano
勝美 浅野
Kimio Hirose
公男 広瀬
Masahiro Omi
真裕 大海
Teruhiro Mizutani
彰宏 水谷
Hidesaburo Kitaguni
秀三郎 北国
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Meito Sangyo KK
Original Assignee
Meito Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 中性ないし酸性領域で水に溶解する水溶性ア
ルギン酸鉄(III)。 【効果】 本化合物は、極めて安全性が高く、摂取や服
用が容易であり、鉄欠乏性貧血の予防及び改善に有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】産業上の利用分野 本発明は、水溶性アルギン酸第二鉄、特に、鉄欠乏性貧
血の予防及び改善に有用な飲用しやすく、しかも飲食物
に配合しやすい水溶性アルギン酸第二鉄、その製造方法
及びそれを含有する鉄補給用飲食物に関する。
【0002】従来技術と課題 鉄欠乏性貧血は、日本では全貧血患者の9割以上を占め
る多い病気である。ある調査によると、成人女性の7%
が鉄欠乏の貧血状態にあり、さらに39%が潜在的鉄欠
乏の状態にあるといわれている。体内の鉄が欠乏する原
因は、偏食や外食、加工食品の過食による鉄の摂取不足
や吸収の障害及び旺盛な肉体的発育、成人女性では、月
経、妊娠、出産、授乳などによる鉄需要の増大、消化器
やその他の部位からの出血などによる鉄の損失がその主
なものである。成人男性の鉄必要量は1日1mg、女性で
1日2mgとされている。普通の食事に含まれる鉄は1日
10〜20mgであるが、食物からの鉄の吸収率は数%程
度と低いので、鉄欠乏状態の改善に、すなわち貧血の予
防及び治療を目的として各種の鉄化合物が使用されてい
る。
【0003】鉄化合物としては、例えば、硫酸鉄、フマ
ル酸鉄、オロチン酸鉄、ピロリン酸第二鉄[以下、第二
鉄を鉄(III)と称することがある]、クエン酸鉄アン
モニウムなどの無機又は有機酸の鉄塩が挙げられる。し
かしながら、これらの鉄化合物を有効成分とする鉄剤は
吸収が悪く、大量に投与すると、吐き気、嘔吐、下痢、
胃痛などの胃腸障害を引き起こし、しかも金属的な味を
避けることができなかつた。このような観点から、安全
で、摂取や服用がしやすく、効果の優れた経口鉄剤の開
発が強く望まれている。
【0004】一方、アルギン酸は褐藻類の細胞壁を形成
する多糖類で、ワカメや昆布などに約14〜34%の濃
度で含まれており、難消化性の食物繊維の機能性食品素
材として注目されている。アルギン酸はセルロースやデ
ンプンと異なり遊離のカルボキシル基を有しているの
で、それ自体は水に不溶性であるが、そのナトリウム塩
やアンモニウム塩を水に溶けやすく、またマグネシウム
及び水銀以外の二価以上の金属とは不溶性塩を生成す
る。
【0005】特開昭51−142546号公報には膨潤
性のアルギン酸第二鉄(III)が整腸剤として記載され
ており、また特開昭60−72817号公報には、水不
溶性のアルギン酸第一鉄[以下、第一鉄を鉄(II)と称
することがある]が鉄の補給剤として記載されている。
しかしながら、これらのアルギン酸鉄はアルカリ性領域
では水に可溶であるが、一般の飲料が呈する中性または
酸性領域ではゲル状または不溶性である。貧血の予防及
び改善のための、鉄補給を目的とした飲料などの飲食物
は中性または酸性で使用することが多いため、水不溶性
では飲料用の素材としての適格性を欠き、はなはだ不都
合である。したがつて、中性または酸性領域でも水に可
溶で、しかも安全でかつ効果の優れた鉄補給剤の開発が
望まれている。
【0006】発明が解決しようとする課題 本発明の目的は、鉄欠乏性貧血の予防及び改善に有用
な、極めて安全性が高く、中性及び酸性領域でも水に可
溶であつて、摂取や服用が容易な新しい鉄補給剤として
の水溶性アルギン酸鉄(III)、その製造方法及びそれ
を含有する飲食物を提供することにある。
【0007】以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】課題を解決するための手段 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた
結果、今回、天然のアルギン酸(重合度300以上)を
酸などで部分的に加水分解して重合度を低下せしめた低
重合度アルギン酸またはその水溶性塩に塩化第二鉄など
の鉄(III)塩を添加した後、アルカリで中和して得た
アルギン酸鉄(III)は、中性ないし酸性領域でも水に
可溶であり、飲食物に配合しやすく、しかも鉄補給効果
の優れたものであることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0009】かくして、本発明は、中性ないし酸性領域
で水に溶解することを特徴とする水溶性アルギン酸鉄
(III)を提供するものである。
【0010】本発明はさらに、低重合度アルギン酸また
はその水溶性塩の水性液に、水溶性鉄(III)塩を添加
した後、アルカリで中和処理することを特徴とする水溶
性アルギン酸鉄(III)の製造方法を提供するものであ
る。
【0011】本発明の水溶性アルギン酸鉄(III)の原
料となる低重合度アルギン酸は、天然のアルギン酸を、
例えば、酸もしくは酵素などで部分的に加水分解して重
合度を低下せしめて得ることができる通常平均重合度が
約100以下、特に約50以下のアルギン酸が好適であ
る。それより高い平均重合度のアルギン酸塩より製造さ
れるアルギン酸鉄(III)は水溶液中でゲル化または析
出しやすく、また鉄吸収性が悪くなる。
【0012】また、低重合度アルギン酸の水溶性塩とし
ては、低重合度アルギン酸の例えばナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属塩;アンモニウム塩;マグネシウ
ム塩;例えばエタノールアミン、メチルアミンなどのア
ミン塩などを用いることができる。
【0013】なお、本明細書におけるアルギン酸の平均
重合度(以下重合度と称する)は、ネルソン法[ジオー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.
Chem.),153,375(1944)]またはピート
らの方法[ジヤーナル・オブ・ケミカル・ソサイアテイ
(J.Chem.Soc.),1956,2258]によつて還
元力を測定して算出される値である。
【0014】また、本発明の水溶性アルギン酸鉄(II
I)の鉄含量は、低過ぎると経口で鉄吸収性がやや悪く
なり、逆に高過ぎると酸性における溶解性が悪くなるの
で、水溶性アルギン酸鉄(III)の粉末における鉄含量
は一般に1−21重量%、好ましくは3〜20重量%の
範囲内であることが望ましい。
【0015】かかる特性を持つ本発明の水溶性アルギン
酸鉄(III)は例えば次のようにして製造することがで
きる。
【0016】上述の低重合度アルギン酸またはその水溶
性塩の0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%
水性液に、アルギン酸の重量に対し鉄として一般に0.
5〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の水溶性液
(III)塩(例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第
二鉄など)またはその0.01〜90重量%水溶液を添
加し、次いでアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、アンモニアなど)でpH4〜12、好ま
しくはpH5〜10の範囲内にpH値が安定するまで中
和すると、アルギン酸鉄(III)の溶液が得られる。その
際の反応温度は通常0〜100℃、好ましくは20〜6
0℃の範囲内を例示することができる。また、天然のア
ルギン酸またはその水溶性塩を塩化第二鉄などの水溶性
鉄(III)塩の存在下、酸などで低重合化した後アルカ
リで処理することによつてもアルギン酸鉄(III)を製
造することができる。
【0017】或いはまた、次のようにイオン交換樹脂を
用いてアルギン酸鉄(III)を製造することもできる。
【0018】陽イオン交換樹脂(例えば、DIAION SKIB,
DIAION PK208, AMBERLITE IR 120B等)を予め塩化第二
鉄などの水溶性鉄(III)塩でFe(III)型とし、これ
に前述の低重合度アルギン酸もしくはその水溶性塩の水
性液を加え、撹拌し、樹脂を除いた後、上記と同様にし
てアルカリで中和することにより、アルギン酸鉄(II
I)の溶液が得られる。
【0019】このようにして得られるアルギン酸鉄(II
I)の水溶液は、必要に応じてメタノール、エタノール
などの水混和性有機溶媒の添加による沈殿法、透析法あ
るいはゲル濾過法などの方法により精製した後、減圧乾
燥、スプレー・ドライ、凍結乾燥などの手段により乾燥
させて粉末とすることができる。
【0020】前述の特開昭51−142546号公報及
び特開昭60−72817号公報に記載されているアル
ギン酸鉄(III)及びアルギン酸鉄(II)は、中性ない
し酸性においてゲル状または水不溶性であるが、本発明
の水溶性アルギン酸鉄(III)は、pH7〜14の範囲
内のアルカリ性ではもちろんのこと、pH2〜7の範囲
内の中性ないし酸性においても溶解するという新規な特
性を有している。
【0021】さらに加えて以下に示す如きいくつかの優
れた特徴を有する。
【0022】 経口で鉄の吸収性がよいので、血清鉄
上昇作用に優れている。
【0023】 一般に鉄吸収を阻害すると言われてい
るタンニン類を含む緑茶やウーロン茶などと一緒に飲ん
でも、鉄の吸収は阻害されない。
【0024】 鉄剤特有の金属味が少ないので、摂取
しやすい。
【0025】 毒性が低く、胃腸障害もないので安全
である。
【0026】したがつて、本発明の水溶性アルギン酸鉄
(III)は、鉄補給用として各種飲料、キヤンデー、チ
ヨコレート、ゼリー菓子、ビスケツト、クツキー、スナ
ツク菓子、チユーインガム、冷菓、パン、そば、うど
ん、スパゲツテイ、パスタなどの飲食物やソース、しょ
うゆ、ケチヤツプなどの調味料に粉末あるいは水溶液と
して容易に配合することができる。
【0027】さらに牛、豚、犬、猫などの動物の飼料に
も配合することもできる。本発明の水溶性アルギン酸鉄
(III)配合飲食物へは、種々の添加物を加えることが
できる。その種類は特に限定されるものではなく、例え
ば小麦粉、米粉、コーンスターチ、バレイシヨデンプ
ン、大豆類、ゼラチン、乳糖などの担体;砂糖、ブドウ
糖、果糖、オリゴ糖、ステビア、アスパルテームなどの
甘味料;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、コハ
ク酸などの酸味料;風味を増すため緑茶、ウーロン茶、
紅茶、コーヒー、リンゴ果汁、オレンジ果汁、レモン果
汁、グレープ果汁、植物エキスなどの天然物抽出物;バ
ニリン、リナロール、天然香料などの香味料;塩化ナト
リウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシ
ウムなどの塩を挙げることができる。なお、カルシウム
塩を添加すると、飲食物が増粘またはゲル化することが
あるので、用途に応じて適宜増減する必要がある。さら
に、本発明のアルギン酸鉄(III)を配合した飲食物に
は、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミン
D、ビタミンEなどのビタミン類を配合することができ
る。
【0028】本発明の水溶性アルギン酸鉄(III)の飲
食物や飼料への配合量は、特に制限されるものではなく
任意の量を配合することができるが、一般には人の場
合、1日分の飲食物中の鉄として0.1〜50mgの範囲
内が好ましい。以下に、実施例を掲げて本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明はこれら具体例のみに限定
されるものではない。比較例及び実施例において用いる
天然のアルギン酸ナトリウムの重合度は、300以上で
あつた。また、%は特にことわらない限り重量%であ
る。
【0029】
【実施例】
比較例1 アルギン酸ナトリウム10gを水600mlに溶解し、撹
拌しながら鉄濃度2%の塩化第二鉄溶液100mlを加
え、4時間撹拌した。ゲル状の沈殿物を遠心分離、水洗
を3回行い、減圧下乾燥して、鉄含量7.6%の水不溶
性アルギン酸鉄(III)9.6gを得た。
【0030】比較例2 アルギン酸ナトリウム20gを新たに煮沸して気体を除
去した水600mlに溶解し、撹拌しながら鉄濃度10%
の塩化第一鉄溶液42mlを加え、窒素雰囲気下6時間撹
拌した。ゲル状の沈殿物を遠心分離、次いで気体を除去
した水で水洗、減圧下乾燥して、鉄含量10.2%の水
不溶性アルギン酸鉄(II)17.0gを得た。
【0031】実施例1 アルギン酸ナトリウム5gを水500mlに溶解し、撹拌
しながら濃塩酸5mlを加え、2時間還流加熱する(冷後
この一部をとり、中和、エタノール沈殿して得たアルギ
ン酸ナトリウムの重合度は15であつた)。これに鉄濃
度2%の硫酸第二鉄溶液40mlを滴下、5時間混合し、
20%水酸化ナトリウムでpH6.5とした後、メタノ
ールを加えて沈殿物を得る。沈殿物を水に溶解し、凍結
乾燥して、鉄含量11.5%の水可溶性アルギン酸鉄(I
II)4.5gを得た。IR(cm-1):1615、141
4。
【0032】実施例2 アルギン酸ナトリウム10gを水500mlに溶解し、撹
拌しながら濃塩酸20mlを加え、4時間還流加熱する
(重合度:5)。冷却後、鉄濃度2%の塩化第二鉄溶液
30mlを加え、1時間混合し、20%水酸化ナトリウム
でpH5.5とした後、濃縮し、メタノールを加えて沈
殿物を得る。この沈殿物を水に溶解し、凍結乾燥して、
鉄含量6.1%の水可溶性アルギン酸鉄(III)6.3g
を得た。IR(cm-1):1614、1414。
【0033】実施例3 アルギン酸ナトリウム20gを水1000mlに溶解す
る。これに撹拌しながら濃塩酸20mlを加え、4時間還
流加熱する(重合度:10)。冷却後、鉄濃度19%の
塩化第二鉄溶液20mlを加え、1時間撹拌する。20%
水酸化ナトリウムでpH7.0とした後、メタノールを
加えて沈殿物を得る。この沈殿物を水に溶解し、メタノ
ールを加え沈殿物を得る。生じた沈殿物を再び水に溶解
し、凍結乾燥して鉄含量16.9%の水可溶性アルギン
酸鉄(III)18.6gを得た。この2%水溶液はpH
6.1であつた。IR(cm-1):1610、1412。
【0034】実施例4 アルギン酸ナトリウム10gを水500mlに溶解する。
これに撹拌しながら濃塩酸10mlを加え、2時間還流加
熱する(重合度:20)。冷却後、鉄濃度2%の塩化第
二鉄溶液60mlを加え、30分間撹拌する。20%水酸
化ナトリウムでpH7.5に中和した後、メタノールを
加えて沈殿物を得る。この沈殿物を水に溶解し、メタノ
ールを加える。生じた沈殿物を水に溶解し、塩酸を加え
てpH3.5とし、遠心分離して不溶物を除去する。遠
心上清を水酸化ナトリウムでpH7.0とした後、メタ
ノールを加えて沈殿物を得る。沈殿物を減圧乾燥して鉄
含量9.3%の水可溶性アルギン酸鉄(III)8.5gを
得た。IR(cm-1):1609、1415。
【0035】実施例5 アルギン酸ナトリウム20gを水500mlに溶解する。
これに撹拌しながら濃塩酸21ml及び鉄濃度10%の塩
化第二鉄溶液8mlを加え、4時間還流加熱する(重合
度:10)。冷却後、20%水酸化ナトリウムでpH
7.0に中和し、遠心分離して不溶物を除去し、メタノ
ールを加えて沈殿物を得る。この沈殿物を水に溶解し、
凍結乾燥して鉄含量3.9%の水可溶性アルギン酸鉄(I
II)12.1gを得た。IR(cm-1):1611、140
8。
【0036】実施例6 低重合度アルギン酸ナトリウム(重合度:90)10g
を水500mlに溶解する。
【0037】これに撹拌しながら濃塩酸5ml及び鉄濃度
2%の塩化第二鉄溶液50mlを加え、40℃にて1時間
撹拌する。20%水酸化ナトリウムでpH8.5とし、
濃縮し、流水で透析する。これを凍結乾燥して鉄含量
7.5%の水可溶性アルギン酸鉄(III)10.0gを得
た。IR(cm-1):1617、1419。
【0038】実施例7 アルギン酸ナトリウム10gを水500mlに溶解する。
これに撹拌しながら濃塩酸0.5mlを加え、2時間還流
加熱する(重合度:50)。冷却後、鉄濃度2%の硝酸
第二鉄溶液30mlを加え、30分間撹拌する。20%水
酸化ナトリウムでpH9.0とした後、メタノールを加
えて沈殿物を得る。この沈殿物を水に溶解し、メタノー
ルを加えて沈殿物を得る。この沈殿物を再び水に溶解
し、凍結乾燥して鉄含量4.5%の水可溶性アルギン酸
鉄(III)9.6gを得た。この2%水溶液はpH7.8
であつた。IR(cm-1):1611、1415。
【0039】なお、本発明のアルギン酸鉄(III)の赤
外線吸収スペクトルのチヤートを、実施例4で得た化合
物を例にとり示せば、第1図のとおりである。
【0040】試験例1:血清鉄上昇作用(1) 6週齢のwistar系雄性ラツトを前日より18時間絶食さ
せた後、各試料をFeとして3.0mg/kg経口投与し
た。試料投与3時間後にエーテル麻酔下、腹部大動脈よ
り採血し、血清鉄を血清鉄測定キツト(エフイーテスト
ワコー:バソフエナントロリン法)で測定した。その結
果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】上記表1に示すとおり、本発明の水溶性ア
ルギン酸鉄(III)は経口投与で有意に血清鉄濃度を増
加させた。しかもその作用は比較化合物1及び2の不溶
性アルギン酸鉄(III)及び不溶性アルギン酸鉄(II)
より強かったので、鉄補給剤(鉄貧乏性貧血の予防また
は改善剤)として有用であると認められる。
【0043】試験例2:血清鉄上昇作用 茶タンニンが本発明化合物の血清鉄上昇作用に及ぼす影
響について、試料を緑茶またはウーロン茶に溶解し、試
験例1と同様にして検討した。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】上記表2に示す結果から明らかなように、
本発明化合物はタンニン類を含む緑茶やウーロン茶と一
緒に投与した時、鉄の吸収は阻害されなかつた。
【0046】試験例3:水溶性試験(1) 水または0.1%クエン酸水溶液(pH2.96)5ml
に、Feとして5mgの試料を溶解し室温にて、析出物の
有無を観察した。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】本発明化合物は中性及び酸性水溶液中にお
いて、析出物を認めず安定であつたが、比較化合物は共
に不溶性であつた。
【0049】試験例4:水溶性試験(2) クエン酸及びビタミンCを、それぞれ0.1%溶解した
酸性水溶液(pH2.94)100mlに、Feとして5m
gの試料を溶解し室温にて、析出物の有無を観察した。
その結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】本発明化合物はクエン酸及びビタミンCを
含む酸性水溶液中において、析出物を認めず無色透明で
安定であつたが、比較化合物は共に不溶性であつた。
【0052】試験例5:毒性試験 体重約25gのdd系雄性マウスを18時間絶食し、投与可
能な濃度に調整した各試料を、1群5匹に、鉄として1
g/kg経口投与した。投与後1週間の生死及び胃腸障害
の有無を調べた。なお、薬物投与後は普通試料を自由に
摂取させた。その結果を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】上記表5の結果から明らかなように、本発
明化合物は極めて低毒性で、胃腸障害もなく安全であつ
た。しかし比較化合物1は膨潤性であつて、分散性が悪
いため固まりを生じ、経口ゾンデによる強制投与が困難
であつた。比較化合物2は膨潤性のため、投与2時間以
内に胃が破裂して全例死亡した。また、試験に供した市
販の経口鉄剤では下痢症状を起こした。
【0055】実施例8:(飲料への配合例) ────────────────────── 成 分 添加量 ────────────────────── 本発明化合物4 0.7(g) グラニユー糖 100 含水結晶ブドウ糖 30 ビタミンC 2 クエン酸 2 クエン酸ナトリウム 0.5 塩化ナトリウム 1.5 香料 適量 着色料 適量 ────────────────────── 上記成分を水に溶解し1Lとし、pH3.2の透明飲料
を作った。この飲料は1週間後も析出物を認めなかつ
た。
【0056】実施例9:(キヤンデー(100個分)へ
の配合例) ────────────────────── 成 分 添加量 ────────────────────── 本発明化合物3 0.5(g) グラニユー糖 450 水飴 350 コンデンスミルク 400 バター 120 牛乳 適量 ────────────────────── 上記成分を加熱溶解し煮詰めた後、適当な大きさに分
け、放冷してキヤンデーを作った。
【0057】実施例10:(ゼリー(8人分)への配合
例) ────────────────────── 成 分 添加量 ────────────────────── 本発明化合物7 0.5g 粉ゼラチン 大さじ4 砂糖 1/2 カツプ ビタミンC 0.2g りんご果汁 適量 冷水 2.5 カツプ 着色料 適量 ────────────────────── 上記成分を混合し、型の器に流し込んで冷却して、透明
ゼリーを作った。
【0058】実施例11:(ビスケツト(25〜35個
分)への配合例) ────────────────────── 成 分 添加量 ────────────────────── 本発明化合物6 0.1 g 小麦粉 80 g コーンスターチ 80 g ベーキングパウダー 小さじ 1/4 砂糖 40 g おろしチーズ 40 g 卵 1/2 個 バター 70 g 乳酸カルシウム 0.2 g ────────────────────── 上記成分を混合して薄く延ばし、好みの型、大きさにし
た後、天火(弱火)で10分間焼いて、ビスケツトを作
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明化合物4の赤外線吸収スペクト
ル(KBr法)のチヤートである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性ないし酸性領域で水に溶解すること
    を特徴とする水溶性アルギン酸鉄(III)。
  2. 【請求項2】 鉄含量が1−21重量%の範囲内にある
    請求項1記載の水溶性アルギン酸鉄(III)。
  3. 【請求項3】 アルギン酸の平均重合度が約100以下
    である請求項1及び2記載の水溶性アルギン酸鉄(II
    I)。
  4. 【請求項4】 アルギン酸またはその水溶性塩の水性液
    に、水溶性鉄(III)塩を添加した後、アルカリで中和
    処理することを特徴とする水溶性アルギン酸鉄(III)
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルギン酸の平均重合度が約100以下
    である請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 中和処理を水性液のpHが4〜12の範
    囲になるまで行う請求項4及び5の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性
    アルギン酸鉄(III)を含有することを特徴とする鉄補
    給用飲食物。
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JP4083111A Pending JPH05244900A (ja) 1992-03-05 1992-03-05 水溶性アルギン酸鉄

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7090878B2 (en) 2001-05-31 2006-08-15 The Procter & Gamble Company Mineral fortified water
US7279187B2 (en) 2003-02-14 2007-10-09 The Procter & Gamble Company Mineral fortification systems
CN104804109A (zh) * 2014-01-25 2015-07-29 青岛海之林生物科技开发有限公司 一种溶解型可注射海藻酸钙基的制备方法及应用

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