JPH05239726A - 顕在バルキー糸 - Google Patents

顕在バルキー糸

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JPH05239726A
JPH05239726A JP4070074A JP7007492A JPH05239726A JP H05239726 A JPH05239726 A JP H05239726A JP 4070074 A JP4070074 A JP 4070074A JP 7007492 A JP7007492 A JP 7007492A JP H05239726 A JPH05239726 A JP H05239726A
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勝行 笠岡
Nobuo Takahashi
信男 高橋
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久晴 古結
Fumiyoshi Hirano
文義 平野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドライタッチ、ドレープ性、バルキー性並び
に鮮明性に優れた厚地織物を構成するに好適なポリエス
テルマルチフィラメント顕在バルキー糸の提供。 【構成】 酸化チタンなどの無機酸化物微粒子2〜10
重量%を含有するポリエステル未延伸糸を鞘糸成分とし
て、該微粒子2重量%以下を含有するポリエステル半延
伸糸を芯糸成分として用い、該2本の糸を同時交絡した
後、芯糸成分にかる延伸張力を鞘糸成分のそれよりも高
い状態で延伸して、顕在糸足差2〜8%、沸水収縮後の
糸足差5〜25%、鞘糸成分の単繊維デニールが芯糸成
分のそれより大きい糸とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、顕在バルキー糸に関
し、さらに詳しくは、ドライタッチ、ドレープ性、バル
キー性並びに鮮明性を有する厚地織物を得るのに好適な
ポリエステルマルチフィラメント顕在バルキー糸に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に糸にドライ感を付与する方法とし
ては、その構成単繊維デニールを太くするか、強撚を施
すか、異形断面糸を用いるか、またはポリマーに微粒子
を含有させる方法が知られている。
【0003】ドライ感に加えてドレープ性、バルキー性
を付与するのに、薄地織物においては、繊維間および/
または繊維内で収縮差を付与する方法が知られている。
その一例として、特開平3−59130号公報に開示さ
れた方法によると、艶消剤を1.3〜10.0重量%含
有するポリエステルマルチフィラメントを熱処理条件を
変えて延伸し、糸内で収縮差が付与されている。
【0004】しかし、この糸は薄地織物用の糸であって
高々80デニールである。そして、これらの技術は薄地
織物では効果を発揮するが、目付けの多い厚地織物では
繊維拘束力の影響で充分な効果を上げることができない
欠点がある。
【0005】すなわち、薄地織物では、外観上全く糸足
差のないフラットな糸条を用いても糸内に収縮差があれ
ば染色加工工程でバルキー性を発現できる。しかし、厚
地織物では、全体に繊維同士がコンパクトに集束した状
態にあり、多少の収縮差ではバルキー性の発現は難し
い。そこで多く用いられる方法として、タスランノズル
を用いてループを多数付与した顕在バルキー糸とした後
厚地織物とするが、この方法により得られた織物は、ル
ープによるガサ付、ファスナー現像、首巻構造による芯
のある風合いなど多くの欠点を有する。
【0006】その他、仮撚加工糸を用いて厚地織物とす
ると、プラスチックな捲縮風合いが重畳し、高級感には
程遠い厚地織物になるばかりか、仮撚時の繊維変形によ
るグリッターが発生し、品位を大幅に低下させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ドライタッ
チ、ドレープ性、バルキー性並びに鮮明色の良好な厚地
織物用顕在バルキー型ポリエステルマルチフィラメント
糸を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、2〜10重量
%の無機酸化物微粒子を含有する未延伸ポリエステルマ
ルチフィラメントを鞘糸成分として、2重量%以下の無
機酸化物微粒子を含有する半延伸ポリエステルマルチフ
ィラメントを芯糸成分として用い、該2本のマルチフィ
ラメントを同時交絡した後、芯糸成分にかかる延伸張力
を鞘糸成分のそれよりも高い状態で延伸して得られた、
顕在糸足差が2〜8%、沸水収縮後の糸足差が5〜25
%で、かつ鞘糸成分の単繊維デニールが芯糸成分の単繊
維デニールより大きいことを特徴とする顕在バルキー糸
である。
【0009】本発明においては、上記のように、未延伸
糸、半延伸糸という延伸性の異なる2本の糸、すなわ
ち、鞘糸成分としての未延伸ポリエステルマルチフィラ
メントと芯糸成分としての半延伸ポリエステルマルチフ
ィラメントを引き揃え交絡する。交絡方法としては、通
常のインターレースノズルまたはタスランノズルを用い
る方法を挙げることができる。この際の圧空圧力は1〜
5kg/cm2 、弛緩率は0.5〜4%で、毛羽、断糸
を誘発しない条件でインターレース度60〜150ケ/
M程度の交絡を行えばよい。
【0010】交絡の効果は、延伸中の鞘糸成分の断糸を
防止すると共に、巻取り後の芯糸成分、鞘糸成分の分離
を防ぐ役目がある。交絡後の糸条は、加熱ローラに3タ
ーンから10ターンさせ、予熱を行う。予熱の温度は、
鞘糸成分がフロー延伸される温度であればよい。それに
は、延伸速度を速くすれば加熱ローラ温度も高くするこ
とが重要である。本発明で用いられる延伸速度として
は、200〜1,000m/分が好ましく、90〜15
0℃の温度が適当である。
【0011】フロー延伸されていない状態では太細糸と
なって濃淡染となるばかりか、沸水収縮斑も単繊維間お
よび糸軸方向に発生し均一な顕在バルキー糸とならな
い。フロー延伸を鞘糸成分だけで行うと加熱ローラに密
着し、ひどくなると加熱ローラに巻き取られ、延伸に至
る前に断糸する。また、応力的に弱いので巻取り時の張
力に耐えきれず伸度斑が発生し、単独では均一物性を得
ることが難しい。
【0012】本発明においては、芯糸成分を同時に延伸
するため何ら問題なく太さ斑、伸度斑、収縮斑もない均
一なフロー延伸された鞘糸成分を得ることができる。当
然ながら巻取り張力にも充分耐えられる。
【0013】この場合、繊維の収縮率をコントロールす
るため、延伸は160〜270℃に加熱した非接触型ヒ
ーターに通し行うことが好ましい。一方、接触型ヒータ
ーを用いる場合はこれより低く120〜250℃とす
る。延伸倍率は、低伸度側、すなわち芯糸成分に合わせ
て行う。同時に延伸される鞘糸成分は充分な延伸が行わ
れず、かつフロー延伸であって巻取り時の弾性回復力も
非常に弱い。反対に芯糸成分は適度な延伸倍率で延伸さ
れ、延伸張力も非常に高く、巻取り時の弾性回復力も大
きいので鞘糸成分との間で糸足差が生じる。すなわち、
顕在糸足差である。当然ながら弾性回復力の大きい方が
短く、弾性回復力の小さいものが長くなる。
【0014】ここで、顕在糸足差の調整は、延伸倍率を
下げると芯糸成分の延伸張力が下がり、これに伴って伸
長弾性回復力も弱まり、鞘糸成分との張力差が少なく、
顕在糸足差は減少する。反対に延伸倍率を上げると張力
が高まり、鞘糸成分との張力差が拡大することにより顕
在糸足差が大きくなる。
【0015】鞘糸成分は、延伸倍率が多少変化しても延
伸張力の変化が少ない領域であって伸長弾性回復力の変
化が殆どないため、このような顕在バルキー糸が得られ
る。
【0016】上記工程において、鞘糸成分となる未延伸
糸と芯糸成分となる半延伸糸を同時に延伸する際、予熱
に用いる加熱ローラと延伸中に収縮セット用に用いるヒ
ーターの温度を調整することにより、芯糸成分を高収縮
率に、鞘糸成分を芯糸成分のそれと同じかまたは低収縮
率ないし自己伸長性のものにすることができる。
【0017】このような沸水収縮率の相違する顕在バル
キー糸を得る方法について、具体的に図面を用いて説明
する。図1は、後掲の実施例1の糸使いにおいて、延伸
倍率を1.8倍、収縮セット用の非接触ヒーター温度を
220℃にしたときの、加熱ローラ温度と沸水収縮率の
関係を示すものである。図1に示すとおり、加熱ローラ
温度90℃で芯糸成分と鞘糸成分の沸水収縮率が逆転す
る。従って加熱ローラ温度90℃以上で芯糸成分の沸水
収縮率の方が高いバルキー糸の調製が可能となる。
【0018】図2は、延伸倍率を1.8倍、加熱ローラ
温度を90℃に一定にしたときの、収縮セット用非接触
ヒーターの温度と沸水収縮率の関係を示すものである。
収縮用非接触ヒーターの温度変化による沸水収縮率の低
下率は、加熱ローラ温度の影響より小さいことがわか
る。
【0019】このようにして得られた顕在バルキー糸
は、糸足差が2〜8%、沸水収縮後の糸足差が5〜25
%で、かつ鞘糸成分の単繊維デニールが芯糸成分のそれ
よりも大きいもの、好ましくは1〜5デニール大きいも
のとする。
【0020】
【作用】本発明の顕在バルキー糸において、2〜10重
量%の無機酸化物微粒子を含有し、通常2,000m/
分、好ましくは1,000m/分の紡糸速度で得た未延
伸ポリエステルマルチフィラメントを鞘糸成分として用
いた場合、無機酸化物微粒子の一部が鞘糸の表層部に分
散し突出して凹凸を形成し、ドライタッチ風合いのバル
キー糸が得られる。
【0021】さらにアルカリ減量などの薬品処理を受け
ると微粒子の一部脱落が起きるが、残留微粒子もあり、
その間で凹凸差が拡大する。また、該処理により微粒子
を含まないフラットな表層部も薬品の影響を受けて粗面
となり、ヌメリの多いプラスチック的な触感から乾いた
砂に触れたような感覚に変わる。すなわち、ドライタッ
チを表現できる。
【0022】鞘糸成分に含有される無機酸化物微粒子の
量は、繊維の重量に対して2〜10重量%である。無機
酸化物の含量が2重量%未満では表層を荒らし凹凸を拡
大する効果が少なく、ドライタッチを感ずるまでに至ら
ない。一方、10重量%を超えると凹凸は非常に大きい
ものとなり、強いドライタッチとなるものの、紡糸・延
伸性が劣り、毛羽が多発する。また、ダル傾向が強くな
り鮮明性を出すことが難しくなる。この点から、ドライ
感、鮮明性と紡糸・延伸性とのバランスを考慮すると、
該微粒子の添加量は2.5〜5重量%が好ましい。
【0023】無機酸化物微粒子の典型的な例は酸化チタ
ンである。その粒径は、通常艶消剤として使用される
0.5μm以下が好ましいが、さらに好ましくは0.3
μm以下である。
【0024】他方、芯糸成分としては、2重量%以下の
無機酸化物微粒子を含有し、通常2,500〜4,00
0m/分の紡糸引取速度で得られた半延伸ポリエステル
マルチフィラメントを用いることにより、芯糸全体の強
力保持を受持つ。この場合、無機酸化物微粒子の添加量
が多くなると、紡糸・延伸性の低下、発色性の低下、鞘
糸成分との同色性の低下が生じるので、芯糸成分中の無
機酸化物微粒子の量は2重量%以下、好ましくは0.2
〜0.5重量%に保持すべきである。
【0025】そして、これら少なくとも2糸条間の延伸
による弾性回復差を利用して生じる顕在バルキー糸形態
は、鞘糸成分の各フィラメントが個々に異なる振幅で糸
表面に張り出したマイクロウエーブ状のものであって、
ループのあるタスラン糸でも仮撚糸でもないフラットヤ
ーンタイプのものであって癖のないものである。つま
り、ノングリッター効果の大きい糸足差の大なる鞘糸成
分は円弧状のものが多く、円弧状の繊維は芯糸成分と交
絡されていて糸ズレがなく、取扱い性のよい顕在バルキ
ー糸である。
【0026】ここで、2〜8%の顕在糸足差の要件が果
たす役割は、織物中にあって繊維同士の密着を防ぎ、繊
維空隙を作り出す役目をする。これは、拘束力の強い厚
地織物中にあっても繊維の動きを容易にすることにあ
る。また、織物表面に位置する一部鞘糸成分は、より動
き易く、ヌメリ感や平滑感を取り除く役目をする。併せ
て、顕在糸足差が2%未満では製織工程における張力に
より消滅するかまたは減少し、バルキー性の不充分な織
物しか得られない。一方、8%を超えると高速製織性が
劣るばかりか、部分的に糸離れが起こり、品位低下を招
く恐れがある。
【0027】そして、この顕在バルキー糸は、前記図1
〜図2に示した処方により沸水収縮後の糸足差がさらに
5〜25となるように調整される。この理由は、沸水収
縮後の糸足差が5%未満では、巻取り時に付与した顕在
糸足差による織物空隙の向上がみられず、一方、該糸足
差が25%を超えると張り、腰が減少し、厚地織物に必
要な重厚感が減少し、薄地シルキー織物にみられる軽い
フワフワとしたものとなる。鞘糸成分の沸水収縮率と芯
糸成分の沸水収縮率に差があれば巻き取ったときに顕在
化した糸足差をより一層拡大することができる。その
際、芯糸成分の沸水収縮率の方が鞘糸成分のそれより高
いことが必要である。他方、鞘糸成分の沸水収縮率はよ
り低いかまたは自己伸長性のものにすればよい。このよ
うな沸水収縮率の差の利用はあくまで顕在糸足差があっ
てのみ有効に生かせるものである。
【0028】本発明の顕在バルキー糸は、これまで説明
してきたとおり、鞘糸成分の構成単繊維が個々にマイク
ロウエーブ状ないし円弧状の振幅で芯糸を包絡してい
る。この構造的特徴は、無機酸化物微粒子を用いたこと
による弊害をも克服する。つまり、無機酸化物微粒子を
含有した糸で構成される生機は、リラックス染仕上げ工
程で織物と設備または織物同士のこすれによる“あた
り”欠点を発生する。しかし、本発明においては、鞘糸
成分が延伸により中間配向状態にあるので、柔らかくて
“あたり”の発生がなく、従って、歩留りが高く、殆ど
の染色設備に対応できる。
【0029】また、無機酸化物微粒子の量が増加すると
ダル化傾向が強くなり、鮮明性が低下するのが一般的で
ある。本発明の顕在バルキー糸においては、鞘糸成分が
中間配向状態にあり染料吸着も大きく、繊維内部まで染
色されるため、無機酸化物微粒子の量が従来糸に比べて
多くても良好な鮮明性が得られる。
【0030】さらに、芯糸成分と鞘糸成分では鞘糸成分
の方が染色速度が早く、芯糸成分が後れて染まり始める
ため、鞘糸成分が無機酸化物微粒子を多く含有していて
も、芯糸成分以上に鮮明に染色されることも本発明の特
徴の一つである。
【0031】また、鞘糸成分の単繊維デニールが芯糸成
分の単繊維デニールより大きいため、乱反射を極力抑
え、ダル化傾向を防止することができる。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。なお、各種特性値の測定は下記に従った。インターレース度の測定 1mの試長の中の交絡点を数えるが、試長に掛ける初荷
重は1/30g/dとし、試料に差し込む針状フックに
は1/30g/dの荷重を取りつける。この針状フック
を上から差し込み、止まった回数をインターレース度
(ケ/M)とする。
【0033】糸足差の測定 顕在バルキー糸10cmを採集し、この顕在バルキー糸
の下部糸端に1/30g/dの荷重を吊した後、上から
2cmの所と上から7cmの所でカットし、実質5cm
の試長でサンプリングする。得られた単繊維の一本一本
に荷重1/30g/dを掛けてその長さを測定し、次の
計算式で糸足差を求める。 糸足差(%)=〔(鞘糸成分単繊維の平均長さ−芯糸成
分単繊維の平均長さ)/芯糸成分単繊維の平均長さ〕×
100
【0034】沸水収縮後の糸足差の測定 顕在バルキー糸を適当なカセとし、ガーゼに包んで沸水
中に20分間浸漬後、ガーゼから取り出し、濾紙で軽く
水分を切った後、24時間風乾させ、に述べた方法で
行う。
【0035】沸水収縮率の測定 顕在バルキー糸の中から芯糸成分または鞘糸成分の単繊
維を10本引抜き、10cmにカットし、各々の単繊維
にデニールあたり1/30gの初荷重を吊るし、5cm
間隔でマーキングを行う。その後、沸騰中の熱水の中に
フリーで10分間浸漬し、処理したのち取り出し、室温
状態で24時間放置して風乾した後、初荷重を吊るし、
長さを読み取り、次の式により求めた。
【0036】沸水収縮率(%)=〔(処理前の長さ)−
(処理後の長さ)/処理前の長さ〕×100 芯糸成分および鞘糸成分の沸水収縮率は上記式で各々求
めた沸水収縮率の10本の平均で表した。
【0037】実施例1 鞘糸成分として、平均粒径0.3μmの酸化チタン3重
量%を含有するポリエステルを紡速1,000m/分で
紡糸して得られた、複屈折率(Δn)0.004の未延
伸糸(150デニール/24フィラメント)を、芯糸成
分として、平均粒径0.3μmの酸化チタン0.3重量
%を含有するポリエステルを紡速3,300m/分で紡
糸して得られた、複屈折率(Δn)0.04の半延伸糸
(120デニール/36フィラメント)を準備し、この
2本のマルチフィラメントを延伸機に用意し、両糸を引
き揃えた後、453m/分の周速度で回転するコットロ
ーラに通し、デユポンインターレースノズル、タイプX
−33に通し、圧空圧力3.0kg/cm2 で交絡させ
ながら、444m/分の周速度で回転する加熱ローラに
6ターンさせ予熱した。この際の加熱ローラの温度は1
10℃、インターレース度は95ケ/Mであった。予熱
後、220℃にセットされた非接触ヒーターに通し、延
伸セットを行った。この際の延伸倍率は1.8倍で巻き
取った。
【0038】得られた顕在バルキー糸は、152デニー
ル/60フィラメント、インターレース度34ケ/M、
顕在糸足差は7%、鞘糸成分の複屈折率(Δn)は0.
08、沸水収縮率は4%、芯糸成分の複屈折率(Δn)
は0.165、沸水収縮率は6%であり、沸水収縮後の
糸足差は9%と大きいものであった。また、鞘糸成分の
単繊維デニールは3.5デニール、芯糸成分の単繊維デ
ニールは2.0デニールであり、鞘糸成分が大であっ
た。
【0039】この顕在バルキー糸にS撚1,000T/
Mの撚数で加撚し、70℃、30分の撚り止めセットを
真空乾燥機で行い、これをタテ糸、ヨコ糸に用いて2/
2綾織物を製織した。生機上がりにおけるタテ密度は1
34本/インチ、ヨコ密度80本/インチであった。製
織は、ウオータジェットルームを用い、450rpmで
実施したが、なんら問題のない製織性能を示した。
【0040】この生機を水洗し、25℃で風乾させた
後、タテ糸を取り出し、顕在糸足差を測長した結果、わ
ずかながら減少し、4%であった。表面タッチは鞘糸成
分の浮き構造によるさわやかなタッチと、酸化チタン含
有の効果によるドライ感が良好であった。また、張り、
腰も充分で、かつドレープ性、バルキー性も充分であっ
た。
【0041】この生機を100℃の沸水中で15分間、
予備リラックス処理し、サーキュラで120℃、40分
リラックスしたのち、風乾し、185℃のピンテンター
でタテ、ヨコ方向に各々5%の弛緩で45秒間セットし
た。このセット後の織物をカセイソーダ3.5%溶液、
100℃の中で20分処理し、減量率15%の処理布を
作り、このカセイソーダを中和後、イーストマンポリエ
ステルブルー2GL染料を布重量に対し、6%染液と
し、130℃の高圧で45分間染色した後、水洗、風乾
後、再びピンテンターに弛緩率タテ、ヨコ方向各5%
で、160℃、45秒セットし、目付け200g/m2
の製品を得た。
【0042】この製品から、タテ糸をほぐし、芯糸成分
と鞘糸成分に分離し、糸足差を測長したところ、15%
と、生機段階で測長した沸水収縮後の糸足差9%に比べ
大幅に糸足差が向上した。これは、精練処理、プレセッ
ト、高温染色と熱履歴を受けたため鞘糸成分が収縮状態
から自己伸長したことによるものである。
【0043】このように、顕在バルキー糸でありなが
ら、染仕上げ工程を通ることにより、生機における繊維
空隙がさらに拡大し、製品あがりではその空隙のために
発現するドレープ性、バルキー性が非常に大きく、表面
タッチも減量効果によりドライ感の強いものとなった
が、単に硬いだけでなく、糸足差が大きいことによるし
なやかさも加わって、ドライタッチでありながら手触感
のすこぶる良好な高級布帛となった。また、鞘成分が鮮
明な色彩を示し、芯糸成分よりも濃色に染色されてい
て、酸化チタンを多量に含有する繊維に特有のダル傾向
を全く感じさせない鮮明性良好な布帛を得ることができ
た。
【0044】実施例2 鞘糸成分として、平均粒径0.3μmの酸化チタン6重
量%を含有するポリエステルを紡速1,800m/分で
紡糸して得られた、複屈折率(Δn)0.008の未延
伸糸(150デニール/16フィラメント)を、芯糸成
分として、平均粒径0.3μmの酸化チタン0.03重
量%を含有するポリエステルを紡速4,500m/分で
紡糸して得られた、複屈折率(Δn)0.092の半延
伸糸(100デニール/36フィラメント)を用意し、
この2本のマルチフィラメントを延伸機に掛けて、両糸
を引き揃えた後、645m/分の周速度で回転するコッ
トローラに通し、引き続いて、デユポンタスランノズ
ル、T−42に通し、圧空圧力5kg/cm2 で交絡さ
せながら、615m/分の周速度で回転する加熱ローラ
に8ターンさせ予熱した。この際の加熱ローラの温度は
140℃、インターレース度は120ケ/Mであった。
予熱後、引き続いて、延伸と熱セットを同時に行った。
延伸倍率は1.3倍、加熱プレート温度240℃とし
た。
【0045】得られた顕在バルキー糸は、195デニー
ル/52フィラメント、インターレース度45ケ/M、
顕在糸足差は6%、鞘糸成分の約半数のフィラメントが
円弧状にたるんだ状態であった。鞘糸成分の複屈折率
(Δn)は0.011、沸水収縮率は3%、一方、芯糸
成分の複屈折率(Δn)は0.170、沸水収縮率は3
%であり、沸水収縮後の糸足差は8%と大きく、鞘糸成
分の単繊維デニールは7.2デニール、芯糸成分の単繊
維デニールは2.2デニールであり、鞘糸成分のデニー
ルが芯糸成分のそれの約3倍と大きいものであった。
【0046】この顕在バルキー糸にS方向150T/M
の撚を施し、これをタテ糸、ヨコ糸に用いてウオータジ
ェットルームで平織物を製織し、タテ密度98本/イン
チ、ヨコ密度100本/インチの生機を得た。
【0047】この生機を実施例1と同じ染色仕上げ工程
を通し、染色された製品を得た。目付けは180g/m
2 であった。この製品から、タテ糸をほぐし、芯糸成分
と鞘糸成分に分離し、糸足差を測長したところ、11%
であり、生機あがりにおける糸足差5%に対し、大幅に
増加した。この糸足差の増加は、染仕上げ工程を通るう
ちに芯糸成分は益々収縮し、反対に、鞘糸成分は中間配
向糸の性質である自己伸長することにより、染仕上げ後
の製品における糸足差が生機に比し拡大した結果であ
る。
【0048】得られた製品は、鞘糸の単繊維デニールが
7.2デニールと大きく、ドライタッチを非常に強く感
ずるものであり、また、太デニールの割には中間配向糸
の柔らかさも有し、ゴツゴツ感の殆ど感じられないもの
であった。また、張り、腰の強い、それでいて、鞘糸成
分は酸化チタンの多含量にもかかわらず、芯糸に比べて
も鮮明性良好で、全体に鮮明性良好な重厚で、かつバル
キー性に富んだ厚地織物であった。
【0049】比較例1 鞘糸成分として、平均粒径0.3μmの酸化チタン3重
量%を含有するポリエステルを紡速1,000m/分で
紡糸して得られた、複屈折率(Δn)0.004の未延
伸糸(300デニール/24フィラメント)を、芯糸成
分として、平均粒径0.3μmの酸化チタン0.3重量
%を含有するポリエステルを紡速1,000m/分で紡
糸して得られた、複屈折率(Δn)0.004の未延伸
糸(300デニール/48フィラメント)を用意し、該
2本のマルチフィラメントを延伸機に掛けて、加熱ロー
ラ温度90℃、収縮セット用非接触ヒーター温度220
℃、延伸倍率3.0倍に設定したのち、同時に加熱ロー
ラに通し、鞘糸成分は収縮セットし、一方、芯糸成分は
収縮セットせずに延伸を終えた後、実施例1で用いたと
同じインターレースノズルを用いて、圧空圧力3kg/
cm2 、弛緩率1.5%で交絡させた後、巻き取って異
収縮混繊糸を得た。この混繊糸は200デニール/70
フィラメント、鞘糸成分の沸水収縮率が6%、芯糸成分
の沸水収縮率が16%であり、顕在糸足差は0.5%で
あった。
【0050】この異収縮混繊糸に150T/MのS撚を
掛けた後、これをタテ糸およびヨコ糸に用いて織密度が
タテ密度99本/インチ、ヨコ密度100本/インチの
平織物とした。この平織物を実施例1と同様の工程を通
し、染色された製品を得た。この製品の仕上がり時の目
付けは178g/m2 であった。
【0051】この製品は、表面がつるりとしたプラスチ
ックタッチでドライ感が小さく、ドレープ性、バルキー
性の小さい織物であった。また、ダル傾向が非常に強
く、鮮明性に著しく欠けるものであった。念のため、こ
の製品よりタテ糸をほぐし、芯糸成分と鞘糸成分の糸足
差を測長したところ2%であった。
【0052】
【発明の効果】本発明の顕在バルキー糸は、その集合体
の特徴、鞘糸成分が半延伸状態にあることから、鞘糸成
分に多量の無機酸化物微粒子を含有させることによる不
利益を排除しつつ、ドライタッチを表現できる。また、
顕在糸足差を有するため、得られる織物中に空隙をもた
せることができ、さらに染仕上げ工程でその空隙を拡大
させることにより、従来の厚地織物に不足していたドレ
ープ性、バルキー性を同時に満足する厚地織物を得るこ
とができる。
【0053】また、無機酸化物微粒子を多量に含有する
繊維の欠点であるダル化傾向を解消しつつ、従来技術に
おいては難しいとされていた鮮明性とドライタッチを両
立させることのできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】延伸倍率1.8倍、収縮セット用の非接触ヒー
ター温度220℃に一定にしたときの、加熱ローラ温度
と沸水収縮率の関係を示すグラフである。
【図2】延伸倍率1.8倍、加熱ローラ温度90℃に一
定にしたときの、収縮セット用非接触ヒーター温度と沸
水収縮率の関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/00 K R 1/22 P D03D 15/00 Z 7199−3B (72)発明者 平野 文義 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2〜10重量%の無機酸化物微粒子を含
    有する未延伸ポリエステルマルチフィラメントを鞘糸成
    分として、2重量%以下の無機酸化物微粒子を含有する
    半延伸ポリエステルマルチフィラメントを芯糸成分とし
    て用い、該2本のマルチフィラメントを同時交絡した
    後、芯糸成分にかかる延伸張力を鞘糸成分のそれよりも
    高い状態で延伸して得られた、顕在糸足差が2〜8%、
    沸水収縮後の糸足差が5〜25%で、かつ鞘糸成分の単
    繊維デニールが芯糸成分の単繊維デニールより大きいこ
    とを特徴とする顕在バルキー糸。
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KR100460002B1 (ko) * 1998-01-03 2005-01-17 주식회사 새 한 드라이감이 우수한 방모조 폴리에스터 이수축 혼섬사
KR100487169B1 (ko) * 1998-09-10 2005-07-18 주식회사 새 한 소모직물과 같은 질감을 갖는 무광택 폴리에스테르 직물의제조방법
CN102493050A (zh) * 2011-11-22 2012-06-13 浙江龙源纺织股份有限公司 一种前纺超重定量的棉纺纱线纺纱工艺

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JPS57199832A (en) * 1981-05-27 1982-12-07 Teijin Ltd Production of bulky yarn
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