JPH0523873Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はプリンターやタイプライター用のリボ
ンカセツトのリボン駆動軸等に好適な一方向回転
制御機構に関する。

（従来の技術） プリンターやタイプライター用のインクリボン
は機械本体の回転方向の如何を問わず常に一定方
向に供給する必要があるため、従来のリボンカセ
ツトのリボン駆動軸は機械本体に装備された一方
向回転制御機構により一定方向に回転駆動されて
いた。

（考案が解決しようとする課題） 上記従来の一方向回転制御機構は機械本体の寿
命と同等の耐久性を要するためコストが嵩むのみ
ならず、機械本体内に装備されるため機械本体が
大型となるという問題がある。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記問題に対処するため、リボンカセ
ツトに組み込み得る小型、軽量で安価な一方向回
転制御機構を提供しようとするものであつて、そ
の要旨とするところは、正方向又は逆方向に回転
駆動される入力軸に固定された入力歯車と、出力
軸に連結された内歯歯車と、この内歯歯車に常時
噛合するアイドル歯車と、上記入力歯車に常時噛
合しこの入力歯車の正転又は逆転に伴つてこれか
ら力を受けてこの入力歯車の軸芯を中心とする円
弧に沿つて正方向又は逆方向に移動する遊星歯車
を備え、上記入力歯車、アイドル歯車及び遊星歯
車は上記内歯歯車の内側に配設されるとともにこ
れらの歯は一平面内に位置せしめられ、かつ、上
記遊星歯車は上記入力歯車の正転時には上記円弧
に沿つて正方向に移動して上記内歯歯車に噛合
し、上記入力歯車の逆転時には逆方向に移動して
上記アイドル歯車に噛合することを特徴とする一
方向回転制御機構にある。

（作用） 本考案においては、上記構成を具えているた
め、入力軸が正方向に回転駆動されると、入力軸
に固定された入力歯車に常時噛合する遊星歯車が
入力軸の軸芯を中心とする円弧に沿つて正方向に
移動して内歯歯車に噛合するため、入力軸の回転
は入力歯車、遊星歯車をこの順に経て内歯歯車に
伝達され、この内歯歯車に連結された出力軸を正
転させる。一方、入力軸が逆方向に駆動される
と、遊星歯車が上記円弧に沿つて逆方向に移動し
てアイドル歯車に噛合するため、入力軸の回転は
入力歯車、遊星歯車、アイドル歯車をこの順に経
て内歯歯車に伝達され、この内歯歯車に連結され
た出力軸を正転させる。

（実施例） 本考案の１実施例が第１図に示されている。

第１図において、１は正方向又は逆方向に回転
駆動される入力軸、２は入力軸１に固定された入
力歯車、３は図示しない出力軸に連結された内歯
歯車、４は内歯歯車３に常時噛合するアイドル歯
車、５は遊星歯車で、入力歯車２に常時噛合し、
入力軸１の軸芯を中心とする円弧に沿つて移動可
能にセツテイングプレート６に穿設された円弧状
長穴１０に支持されている。７はカバーでこれに
植設された３本のピン８をセツテイングプレート
６のピン穴９に嵌合することによりセツテイング
プレート６と一体化される。１１は入力軸１を軸
支する穴、１２はアイドル歯車４を軸支する穴、
１３は入力軸１が貫通する穴である。

３本のピン８をそれぞれピン穴９に嵌合する
と、入力歯車２、アイドル歯車４及び遊星歯車５
は内歯歯車３とセツテイングプレート６とカバー
７とによつて囲まれる空間内に収納され、入力軸
１は穴１１及び１３によつて回転自在に軸支さ
れ、アイドル歯車４は穴１２によつて回転自在に
軸支され、遊星歯車５は円弧状長穴１０内に嵌合
して回転自在に支持される。そして、この状態で
入力歯車２、アイドル歯車４及び遊星歯車５は内
歯歯車３の内側に位置し、かつ、これらの歯は一
平面内に位置する。

しかして、入力軸１は実線矢印で示す正方向に
回転駆動されると、入力歯車２の正転に伴いこれ
と噛合する遊星歯車５が入力歯車２から力を受け
て入力軸１の軸芯を中心とする円弧に沿つてＡ矢
に示す正方向に移動せしめられて内歯歯車３と噛
合する。かくして、入力軸１の回転力は入力歯車
２、遊星歯車５をこの順に経て内歯歯車３に伝達
され、内歯歯車３に連結された出力軸が正転せし
められる。

入力軸１が白抜矢印で示す逆方向に回転駆動さ
れると、入力歯車２の逆転に伴いこれから力を受
けて遊星歯車５が円弧に沿つてＢ矢に示す逆方向
に移動せしめられてアイドル歯車４と噛合する。
かくして、入力軸１の回転力は入力歯車２、遊星
歯車５、アイドル歯車４をこの順に経て内歯歯車
３に伝達され、内歯歯車３に連結された出力軸を
入力軸１に逆転に拘らず正転せしめる。

なお、出力軸を正方向に回転駆動した場合には
入力軸１は回転しないが、入力軸を逆方向に回転
駆動すると、入力軸１は逆方向に回転する。しか
し、入力軸１の負荷が大きいときは回転しない。

上記実施例においては、入力軸１の正方向又は
逆方向の回転に拘らず出力軸を図において左まわ
りに正転させているが、出力軸を右まわりに正転
させる場合には各部材を第２図に示すように第１
図と軸対称に配置すれば良い。また、出力軸の入
力軸に対する回転比は各歯車２，３，４，５の歯
数を適宜選定することにより任意に設定すること
ができ、また、遊星歯車５、アイドル歯車４を２
段ギヤとし、これら２段目の歯車を相互に噛合せ
てその歯数比を変更することにより多数の回転比
を得ることもできる。

（考案の効果） 本考案においては、正方向又は逆方向に回転駆
動される入力軸に固定された入力歯車と、出力軸
に連結された内歯歯車と、この内歯歯車に常時噛
合するアイドル歯車と、上記入力歯車と、上記入
力歯車に常時噛合せしめられ上記入力歯車の正転
時には上記入力軸の軸芯を中心とする円弧に沿つ
て正方向に移動して上記内歯歯車に噛合し、上記
入力歯車の逆転時には上記円弧に沿つて逆方向に
移動して上記アイドル歯車に噛合する遊星歯車と
を具えているため、入力軸が正方向に回転駆動さ
れた場合には遊星歯車が内歯歯車と噛合して出力
軸を正転せしめることができ、入力軸が逆方向に
回転駆動された場合には遊星歯車がアイドル歯車
に噛合して出力軸を正転せしめることができるの
で、入力軸の回転方向の如何に拘らず出力軸を一
定の方向に回転させることができる。

そして、上記入力歯車、アイドル歯車及び遊星
歯車は上記内歯歯車の内側に配設されるとともに
これらの歯は一平面内に位置するので、この一方
向回転制御機構は全体として薄く、かつ、内歯歯
車と略等径の円盤状となり、小型、かつ、軽量と
しうるので薄板状のリボンカセツト内に容易に組
み込むことが可能となる。また、遊星歯車は常時
入力歯車と噛合し、入力歯車からの力を受けて円
弧に沿つて正方向又は逆方向に移動するので、遊
星歯車を円弧に沿つて移動させるための操作力又
はこれを発生させるスプリングの磁気コイル、レ
バー、ハンドル等を要せず、従つて、部品点数が
少なく、かつ、構造が簡単となるので、安価に製
造することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の１実施例を示す分
解斜視図で、第１図は出力軸の回転方向を左まわ
りとした場合、第２図は出力軸の回転方向を右ま
わりとした場合の配置をそれぞれ示している。 入力軸……１、入力歯車……２、内歯歯車……
３、アイドル歯車……４、遊星歯車……５。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 正方向又は逆方向に回転駆動される入力軸に固
   定された入力歯車と、出力軸に連結された内歯歯
   車と、この内歯歯車に常時噛合するアイドル歯車
   と、上記入力歯車に常時噛合しこの入力歯車の正
   転又は逆転に伴つてこれから力を受けてこの入力
   歯車の軸芯を中心とする円弧に沿つて正方向又は
   逆方向に移動する遊星歯車を備え、上記入力歯
   車、アイドル歯車及び遊星歯車は上記内歯歯車の
   内側に配設されるとともにこれらの歯は一平面内
   に位置せしめられ、かつ、上記遊星歯車は上記入
   力歯車の正転時には上記円弧に沿つて正方向に移
   動して上記内歯歯車に噛合し、上記入力歯車の逆
   転時には逆方向に移動して上記アイドル歯車に噛
   合することを特徴とする一方向回転制御機構。