JPH05238290A - 車両の自動制動装置 - Google Patents

車両の自動制動装置

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JPH05238290A
JPH05238290A JP4078355A JP7835592A JPH05238290A JP H05238290 A JPH05238290 A JP H05238290A JP 4078355 A JP4078355 A JP 4078355A JP 7835592 A JP7835592 A JP 7835592A JP H05238290 A JPH05238290 A JP H05238290A
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JP
Japan
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brake
engine
automatic
braking
slip
Prior art date
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Pending
Application number
JP4078355A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Murashige
和宏 村重
Toshihiro Ishikawa
敏弘 石川
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低い路面摩擦経緯数の道路を走行している場
合でも走行安定性を損なうことなく自動制動制御を実行
する。 【構成】 自車と障害物との間の距離及び相対速度を検
出する検出手段と、検出された距離及び相対速度から、
障害物に接触する可能性の有無を判断する接触可能性判
断手段と、可能性があると判断された場合に、自動的に
エンジン出力を低下させて、エンジンブレーキを発生さ
せるエンジンブレーキ自動発生手段S22及び、油圧系
に作用して、ブレーキ力を発生させるブレーキ力自動発
生手段と、前記ブレーキ力が車輪に作用した際に、夫々
の車輪のロック防止手段と、駆動輪のスリップ検出手段
と、このスリップ検出手段において駆動輪のスリップを
検出すると、エンジンブレーキをキャンセルし、前記ブ
レーキ力自動発生手段によるブレーキ力のみを制動力と
して作用させる制御手段S24とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自車の障害物との間
の距離及び相対速度を検出し、その検出結果から、接触
の可能性を判断して、自動的に制動力を発生させる様に
なされた車両の自動制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の車両の自動制動装置
として、例えば、特公昭39−2565号公報及び特公
昭39−5668号公報に開示される様に、光学的方法
または超音波等を用いて、自車と前方の障害物との間の
距離及び相対速度を連続的に検出すると共に、その検出
された自車と前方障害物との間の距離及び相対速度から
接触の可能性があるか否かを判断し、接触の可能性があ
ると判断された場合には、アクチュエータを作動させて
各車輪のブレーキを自動的にかけ、接触を防止する様に
構成されたものは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】所で、車両が凍結路面
等の路面摩擦係数が低い道路を走行している際におい
て、自動制動制御が開始され、エンジンブレーキが発生
される様にスロットル弁を閉塞方向に駆動されると、路
面摩擦係数が低い為に駆動輪にスリップが発生し、走行
安定性を損なう虞がある。この発明は、上述した事情に
鑑みなされたもので、この発明の目的は、低い路面摩擦
経緯数の道路を走行している場合においても、走行安定
性を損なうことなく自動制動制御を実行する事のできる
車両の自動制動装置を提供する事である。
【0004】
【課題を解決する為の手段】上述した課題を解決し、目
的を達成する為、請求項1に記載のこの発明に係わる車
両の自動制動装置は、自車と障害物との間の距離及び相
対速度を検出する検出手段と、この検出手段で検出され
た自車と障害物との間の距離及び相対速度から、自車が
障害物に接触する可能性の有無を判断する接触可能性判
断手段と、この判断手段で接触の可能性があると判断さ
れた場合に、自動的にエンジン出力を低下させて、エン
ジンブレーキを発生させるエンジンブレーキ自動発生手
段及び、ブレーキ装置の油圧系に作用して、ブレーキ力
を発生させるブレーキ力自動発生手段と、前記ブレーキ
装置の油圧系で発生したブレーキ力が車輪に作用した際
に、夫々の車輪がロックする事を防止するロック防止手
段と、駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段
と、このスリップ検出手段において駆動輪のスリップを
検出すると、前記エンジンブレーキ自動発生手段による
エンジンブレーキをキャンセルし、前記ブレーキ力自動
発生手段によるブレーキ力のみを制動力として作用させ
る制御手段とを具備する事を特徴としている。
【0005】また、請求項2に記載のこの発明に係わる
車両の自動制動装置において、前記制御手段は、前記エ
ンジンブレーキ自動発生手段によるエンジンブレーキが
キャンセルされた状態での前記ブレーキ力自動発生手段
によるブレーキ力を、従動輪また、請求項3に記載のこ
の発明に係わる車両の自動制動装置は、路面摩擦係数を
検出する摩擦係数検出手段を更に具備し、前記制御手段
は、この摩擦係数検出手段で路面摩擦係数が低いと判断
された場合に、前記エンジンブレーキ自動発生手段によ
るエンジンブレーキをキャンセルし、前記ブレーキ力自
動発生手段によるブレーキ力のみを制動力として作用さ
せる事を特徴としている。
【0006】また、請求項4に記載のこの発明に係わる
車両の自動制動装置において、前記制御手段は、前記エ
ンジンブレーキのキャンセルを、エンジンの駆動力を駆
動輪に接続/切断自在に伝達するクラッチ手段を切断状
態となす様に構成されている事を特徴としている。ま
た、請求項5に記載のこの発明に係わる車両の自動制動
装置は、前記駆動輪のスリップ率を演算する演算手段を
更に具備し、前記制御手段は、前記エンジンブレーキ自
動発生手段によるエンジンブレーキのみが制動力として
作用している場合に、前記スリップ率を所定の目標値に
維持する様に制御する事を特徴としている。また、請求
項6に記載のこの発明に係わる車両の自動制動装置にお
いて、前記制御手段は、スロットル開度を調整する事に
より、前記スリップ率を所定の目標値に維持する事を特
徴としている。
【0007】
【作用】以上の様に構成する事により、請求項1に記載
の発明によれば、駆動輪のスリップが検出されると、エ
ンジンブレーキがキャンセルされ、ブレーキ装置の油圧
系によるブレーキ力のみが制動力として作用する事にな
る。このようにブレーキ装置の油圧系によるブレーキ力
のみが制動力として作用した場合において、ロック防止
手段が作動するので、車輪のスリップが発生せず、走行
安定性は良好に保たれた状態で、危険回避の為の減速が
実行される事になる。また、請求項2に記載の発明によ
れば、ブレーキ装置の油圧系によるブレーキ力は、従動
輪にのみ作用する様に設定されている。この結果、危険
回避の為の減速は達成されるものの、駆動輪へのブレー
キ力の作用が禁止され、走行安定性が担保される事とな
る。
【0008】また、請求項3に記載の発明によれば、滑
り易い路面を走行中において、危険回避動作を減速動作
により達成しようとする場合に、例え、エンジンブレー
キとブレーキ装置によるブレーキ力とが共に作用してい
る場合においても、エンジンブレーキをキャンセルし
て、ブレーキ装置によるブレーキ力のみを作用させる。
この結果、駆動輪におけるスリップの発生が抑制される
事となる。また、請求項4に記載の発明によれば、クラ
ッチ手段を切断状態とする事により、エンジンの駆動力
が駆動輪に伝達されない様になし、この結果、エンジン
ブレーキが駆動輪に作用しない様になしている。このよ
うに機械的な操作によりエンジンブレーキをキャンセル
しているので、このキャンセル動作は簡単、且つ、確実
に達成される事になる。
【0009】また、請求項5に記載の発明によれば、エ
ンジンブレーキのみが制動力として作用している場合に
おけるスリップの発生に対して、スリップ率を目標値に
維持する様に制御する。この結果、少なくともスリップ
が増大する事が、防止される事になる。また、請求項6
に記載の発明によれば、スリップ率を目標値に維持する
事をスロットル開度を調整する事により実行している。
この結果、この維持動作は確実に実行される事になる。
【0010】
【実施例】以下に、この発明に係わる車両の自動制動装
置の一実施例の構成を、添付図面を参照して、詳細に説
明する。尚、この一実施例においては、車両は、自動変
速機を備えるものとする。図1に示す様に、この一実施
例の自動制動装置10が備えられた車両Aは、左右の前
輪12FL、12FRが従動輪とされ、左右の後輪12
RL、12RRが駆動輪とされている。即ち、車体前部
に搭載されたエンジン14で発生した駆動トルクが、自
動変速機16、プロペラシャフト18、デファレンシャ
ルギヤ20を順次経た後、左右の駆動軸22L、22R
を夫々介して、左右の後輪12RL、12RRに夫々伝
達される様に構成されている。
【0011】上述した自動変速機16は、トルクコンバ
ータ24と多段式の変速歯車機構26とから構成されて
いる。この自動変速機16における変速動作は、変速歯
車機構26の油圧回路に組み込まれた複数のソレノイド
28の励磁と消磁との組み合わせを変更する事により実
行される。また、トルクコンバータ24は、油圧作動式
のロックアップクラッチ30を備えており、このロック
アップクラッチ30の油圧回路に組み込まれたソレノイ
ド32の励磁と消磁とを切り換える事により、ロックア
ップクラッチ30の締結と締結解除とが夫々実行され
る。
【0012】一方、上述したソレノイド28,32は、
自動変速機16を制御する為の自動変速機制御ユニット
(CAT)33に接続され、これにより制御されるよう
になされている。この自動変速機制御ユニット(CA
T)33は、既知の様に変速特性とロックアップ特性と
を予め記憶した状態で有しており、これら特性に基づい
て、変速制御とロックアップ制御とを自動変速機16に
おいて実行させる様に制御する。この制御の為に、この
自動変速機制御ユニット(CAT)33には、図2に示
す様に、メインスロット弁34のスロットル開度を検出
するメインスロットル開度センサ36と、サブスロット
ル弁38の開度を検出するサブスロットル開度センサ4
0と、車速を検出する車速センサ42とが接続され、こ
れらからメインスロットル開度信号、サブスロットル開
度信号、及び、車速信号とが夫々入力される様に構成さ
れている。尚、この一実施例においては、車速センサ4
2は、プロペラシャフト18の回転数に基づき、現在車
速を演算する様に構成されている。
【0013】ここで、図1に示す様に、上述したサブス
ロットル弁38及びメインスロットル弁34は、吸気通
路44内に、吸入空気の流通方向に沿って順次介設され
ており、即ち、サブスロットル弁38は図示しないエア
ークリーナ側に、また、メインスロットル弁34はエン
ジン14側に夫々配設されている。そして、メインスロ
ットル弁34は、アクセルペダル46に機械的に接続さ
れており、運転者のアクセルペダル46の踏み込み量に
応じて、メインスロットル弁34が開放駆動され、吸気
通路44が開放される様に、換言すれば、メインスロッ
トル開度が大きくなる様に設定されている。一方、サブ
スロットル弁38は、サブスロットル弁コントローラ4
8に接続され、これにより駆動制御される様になされて
いる。そして、このサブスロットル弁コントローラ48
は、この一実施例の自動制動装置10の制御系を司る自
動制動制御ユニット(CAB)49に接続され、これに
より駆動制御される様に構成されている。即ち、サブス
ロットル弁38は、メインスロットル弁34と独立した
状態で、サブスロットル弁コントローラ48を介して自
動制動制御ユニット(CAB)49の制御の下で電気的
に駆動制御される様になされている。
【0014】即ち、この自動制動制御ユニット(CA
B)49は、その制御手順を後に詳細に説明するが、基
本的には、運転者によるブレーキペダル50の踏み込み
動作とは無関係に、ブレーキ油圧系52に介設されたブ
レーキ圧調整機構54を駆動制御するものであり、その
基本自動制動制御に加えて、運転状態に基づく燃料噴射
制御とは無関係に、燃料噴射弁56を駆動する噴射弁コ
ントローラ58を駆動制御し、また、サブスロットル弁
コントローラ48を介して、サブスロットル弁38のス
ロットル開度を変更制御し、更に、上述した自動変速機
制御ユニット(CAT)33を介して、自動変速機16
の変速動作を制御する様に構成されている。
【0015】尚、自動制動制御ユニット(CAB)49
による自動制動制御動作時における自動変速機制御ユニ
ット(CAT)33の制御に際しては、変速ギヤ位置に
応じた制御動作を実行する為に、一旦、自動変速機制御
ユニット(CAT)33から現在出されている走行レン
ジ位置情報及び変速ギヤ位置情報を読み取った上で、こ
の読み取った走行レンジ位置情報に及び変速ギヤ位置情
報に応じて、エンジン自動制動制御動作を実行する様に
構成されている。尚、このエンジン自動制動制御動作
は、後に詳細に説明する。
【0016】次に、上述したブレーキ油圧系52の構成
と、このブレーキ油圧系に接続されたブレーキ圧調整機
構54の構成とを、図1と図2とを夫々参照して説明す
る。先ず、図1に示す様に、各車輪12FL,12F
R,12RL,12RRには、ブレーキ装置60FL,
60FR,60RL,60RRが夫々設けられている。
各ブレーキ装置60FL,60FR,60RL,60R
Rは、対応する車輪12FL,12FR,12RL,1
2RRと一体回転する様に取り付けられたブレーキディ
スク62FL,62FR,62RL,62RRを夫々挟
持して、油圧により制動力を発揮するキャリパ(ブレー
キシリンダ)64FL,64FR,64RL,64RR
を夫々備えている。これらキャリパ64FL,64F
R,64RL,64RRには、ブレーキ油圧系52を介
して、所定のブレーキ圧を有するブレーキオイルが供給
される様になされている。
【0017】即ち、このブレーキ油圧系52は、ブレー
キペダル50に接続され、これの踏み込み力を倍力する
為のハイドリックブースタを用いた倍力装置66と、こ
の倍力装置66に接続され、ここで倍力された踏み込み
力が伝達され、ブレーキオイルを加圧する為のタンデム
型のマスターシリンダ68とを備えている。このマスタ
ーシリンダ68は、合計で4個の吐出口70FL,70
FR,70RL,70RRを有している。また、このブ
レーキ油圧系52は、4個の吐出口70FL,70F
R,70RL,70RRとキャリパ64FL,64F
R,64RL,64RRとを夫々連結し、マスターシリ
ンダ68からの所定のブレーキ圧に調圧されたブレーキ
オイルを対応するブレーキ装置60FL,60FR,6
0RL,60RRに夫々供給する為のブレーキオイル配
管72FL,72FR,72RL,72RRを更に備え
ている。
【0018】上述した倍力装置66には、供給配管74
とリターン配管76とが接続されており、エンジンオイ
ルは供給配管74を介してリザーバタンク78からポン
プ80の駆動により倍力装置66に供給され、ここで余
剰となされたブレーキオイルはリターン配管76を介し
てリザーバタンク78へ戻される様に構成されている。
【0019】一方、上述したブレーキ圧調整機構54
は、ブレーキオイル配管72FL,72FR,72R
L,72RRに夫々介設された自動制動バルブユニット
82FL,82FR,82RL,82RRと、ABS
(アンチスキッドブレーキ装置)バルブユニット84F
L,84FR,84RL,84RRとを夫々備え、マス
ターシリンダ68からのブレーキオイルは、自動制動バ
ルブユニット82FL,82FR,82RL,82RR
に先ず供給され、その後、ABSバルブユニット84F
L,84FR,84RL,84RRを通って、対応する
車輪12FL,12FR,12RL,12RRのブレー
キ装置60FL,60FR,60RL,60RRに供給
される様に構成されている。
【0020】ここで、以下に、自動制動バルブユニット
82FL,82FR,82RL,82RRと、ABSバ
ルブユニット84FL,84FR,84RL,84RR
との構成を詳細に説明するが、各自動制動バルブユニッ
ト82FL,82FR,82RL,82RRは夫々同一
に構成され、また、ABSバルブユニット84FL,8
4FR,84RL,84RRも夫々同一に構成されてい
るので、以下の説明においては、左前輪12FLに対応
した自動制動バルブユニット82FL及びABSバルブ
ユニット84FLを代表した状態で説明し、他の説明を
省略する。
【0021】図2に示す様に、自動制動バルブユニット
82FLは、マスターシリンダ68とブレーキ装置60
FLとの間を接続するブレーキオイル配管72FLの連
通状態を遮断可能なシャッタバルブ86FLと、このシ
ャッタバルブ86FLをバイパスする様に、一端をブレ
ーキオイル配管72FLにおける自動制動バルブユニッ
ト82FLとABSバルブユニット84FLとの間の部
分に接続され、他端をマスターシリンダ68に接続され
た増圧用バイパス配管88FLと、この増圧用バイパス
配管88FLに介設され、ブレーキ装置60FLへ供給
されるブレーキオイルのオイル圧を高める為の増圧バル
ブ90FLと、上述したシャッタバルブ86FLをバイ
パスする様に、一端を増圧用バイパス配管88FLにお
ける、これの一端及び増圧バルブ90FLとの間の部分
に接続され、他端をマスターシリンダ68に接続された
減圧用バイパス配管92FLと、この減圧用バイパス配
管92FLに介設され、ブレーキ装置60FLへ供給さ
れるブレーキオイルのオイル圧を低める為の減圧バルブ
94FLとを備えている。
【0022】これら3種類のバルブ86FL,90F
L,94FLは、何れも電磁式の2ポート2位置切り換
えバルブから構成されている。また、上述した増圧用バ
イパス配管88FLにおける増圧バルブ90FLとマス
ターシリンダ68との間には、モータ96FLにより駆
動される油圧ポンプ98FLがマスターシリンダ68側
に、また、この油圧ポンプ98FLから吐出されるブレ
ーキオイルを貯留して一定圧に保持する為のアキュムレ
ータ100FLが増圧バルブ90FL側に夫々介設され
ている。
【0023】ここで、上述したシャッタバルブ86FL
が開位置にある場合には、ブレーキペダル50の踏み込
み力に応じて、対応するブレーキ装置60FLにブレー
キ圧が作用し、通常の制動動作が実行される。一方、シ
ャッタバルブ86FLが閉位置にある場合において、マ
スターシリンダ68からのブレーキ圧が対応するブレー
キ装置60FLに作用しない状態となる。この状態で、
増圧バルブ90FLを開位置に、また、減圧バルブ94
FLを閉位置に夫々切り換える事により、上述したアキ
ュムレータ100FLからのブレーキ圧が対応するブレ
ーキ装置60FLに作用して、自動制動動作が実行され
る事となる。また、この状態で、増圧バルブ90FLを
閉位置に、また、減圧バルブ94FLを開位置に夫々切
り換える事により、対応するブレーキ装置60FLから
ブレーキオイルが戻されて、制動力が弱められる事とな
る。
【0024】上述した3つのバルブ86FL,90F
L,94FLの切り換え動作は、夫々に接続されたアク
チュエータ(図示せず)により実行され、これらアクチ
ュエータは、自動制動制御ユニット(CAB)49から
の制御信号に基づき駆動制御される様になされている。
【0025】一方、上述したABSバルブユニット84
FLは、ブレーキオイル配管72FLに介設された3ポ
ート2位置切り換え弁からなるシャッタバルブ102F
Lを備えており、このシャッタバルブ102FLはトラ
クション制御ユニット(CTR)103に接続され、こ
れにより、制動時(運転者がブレーキペダル50を踏み
込む事による通常制動時、及び、ブレーキペダル50の
踏み込みとは無関係に行われる自動制動時を含む)にお
いて、このシャッタバルブ102FLを開位置と閉位置
との間で適宜切り換え制御される事により、対応するブ
レーキ装置60FLに印加される制動圧を調整して、対
応する車輪12FLがロックしない様になされている。
【0026】ここで、このABSのシステム構成は、本
願発明とは直接関係がないので詳述しないが、上述した
シャッタバルブ102FLの他に、モータ駆動式の油圧
ポンプ104FL及び一対のアキュムレータ106F
L,108FL等を備えて構成されている。尚、上述し
たトラクション制御ユニット(CTR)103は、上述
したサブスロットルコントローラ48にも接続されてお
り、詳細は省略するが、トラクション制御時に、エンジ
ン発生トルクを調整する為に、後述する全体制御ユニッ
ト(TCU)113を介してサブスロットル弁38を開
閉制御する様になされている。
【0027】また、このトラクション制御ユニット(C
TR)103には、上述したメインスロットル開度セン
サ36と、サブスロットル開度センサ40と、車速セン
サ42とが接続されると共に、アクセルペダル46の踏
み込み量を検出する為のアクセル開度センサ110と、
各車輪12FL,12FR,12RL,12RRの回転
速度を検出する車輪回転速度センサ112FL,112
FR,112RL,112RR(図1に示す。)と、路
面の摩擦係数を検出する路面μセンサ114とが接続さ
れており、これらからメインスロットル開度信号と、サ
ブスロットル開度信号と、車速信号と、アクセル開度信
号と、各車輪12FL,12FR,12RL,12RR
の回転速度信号と、路面摩擦係数信号とが夫々入力され
る様に構成されている。そして、トラクション制御ユニ
ット(CTR)は、各車輪12FL,12FR,12R
L,12RRの回転速度信号に基づき車輪のスリップ状
態を検出し、メインスロットル開度信号、サブスロット
ル開度信号、車速信号、アクセル開度信号、及び、路面
摩擦係数信号に応じて、所定のトラクション制御を実行
する様になされている。
【0028】ここで、トラクション制御ユニット(CR
T)103に入力されたメインスロットル開度信号、サ
ブスロットル開度信号、車速信号、アクセル開度信号、
各車輪12FL,12FR,12RL,12RRの回転
速度信号、及び路面摩擦係数信号等は、後述する全体制
御ユニット(TCU)113に伝送され、これを介して
自動制動制御ユニット(CAB)49に転送される様に
なされている。
【0029】尚、上述した自動変速機制御ユニット(C
AT)33、自動制動制御ユニット(CAB)49、及
び、トラクション制御ユニット(CTR)103は、全
体制御ユニット(TCU)113に接続されており、こ
の全体制御ユニット(TCU)113により、相互間を
適宜調整制御される様になされている。即ち、この全体
制御ユニット(TCU)は、噴射弁コントローラ58に
接続されており、現在の運転状態に最適な燃料噴射量が
燃料噴射弁56から噴射される様に、この噴射弁コント
ローラ58を駆動制御する基本制御動作を実行する様に
なされている。一方、この全体制御ユニット(TCU)
113は、この基本制御動作を実行するほかに、後に詳
細に説明する自動制動制御ユニット(CAB)49にお
いて前方障害物との相対関係が所定の危険状態に陥った
と判断された場合には、自動制動制御ユニット(CA
B)からの指令(割り込み起動信号)に基づき、自動制
動制御動作をこの基本制御動作に対して割り込み実行さ
せると共に、自動変速機制御ユニット(CAT)の自動
変速制御動作に対しても割り込み実行させる様に構成さ
れている。
【0030】ここで、前方障害物とは、自車の直前方に
存在する物体を指すものであり、自車が走行する車線と
同一車線を同方向に向けて(即ち、前方に向けて)走行
する車両は勿論の事、同一車線を自車に向けて走行して
くる車両や、同一車線上に停止している車両や車両以外
の物体を指すものであり、前方を走行する車両との間に
例えばわき道から他の車両が自車の走行車線に入り込ん
できた場合には、この入り込んできた車両が自車にとっ
ての前方障害物として認識される様に更新される。
【0031】次に図3を参照して、自車と前方障害物と
の間の距離及び両者の相対速度を検出する検出機構11
6の構成を説明する。即ち、この検出機構116は、車
体の前部に設けられた超音波レーダユニット118を備
えている。この超音波レーダユニット118は、詳細は
図示されていないが、周知の様に、超音波を超音波発信
部から自車の前方に位置する車両等の前方障害物に向け
て発信すると共に、この前方障害物に当って反射してく
る反射超音波を超音波受信部で受信するように構成され
ている。この超音波レーダユニット118には、演算ユ
ニット120が接続されている。この演算ユニット12
0は、超音波レーダユニット118からの検出結果を受
けて、超音波レーダ受信波の送信時点からの遅れ時間
(ドップラーシフト)に基づき、自車と前方障害異物と
の間の距離及び両者の相対速度を演算する様に構成され
ている。
【0032】一方、上述した検出機構116は、車体前
部の左右に夫々設けられる一対のレーザレーダユニット
122,124を備えている。各レーザレーダユニット
122,124は、所定波長を有するパルスレーザ光を
レーザ発信部から発信すると共に、上述した前方障害物
に当って反射してくる反射レーザ光をレーザ光受信部で
受信する様に構成されている。各レーザレーダユニット
122,124は、信号処理ユニット126を介して上
述した演算ユニット120に接続されており、この演算
ユニット120は、受信レーザ光の送信時点からの遅れ
時間に基づき、自車と前方障害物との間の距離及び両者
の相対速度を演算する様に構成されている。
【0033】ここで、この演算ユニット120は、一対
のレーザレーダユニット122,124の系統による距
離及び相対速度の演算結果を基本的に用い、前方障害物
との間の距離が、所定距離以下(例えば、約10m以
下)となった場合や、霧等の悪気象条件下における走行
状態で、発信されたレーザ光が散乱して検出精度が保証
されない場合に、超音波レーダユニット118の系統に
よる距離及び相対速度の演算結果を用いる様になされて
いる。
【0034】上述した各レーザレーダユニット122,
124は、各々のレーザ光の発信方向を水平面内で互い
に同期した状態で変更可能に設けられており、各レーザ
レーダユニット122,124を水平面内で移動駆動す
る為に、駆動モータ128が取り付けられている。この
駆動モータ128には、上述した演算ユニット120が
接続されており、駆動モータ128の作動はこの演算ユ
ニット120により実行される様になされている。一
方、この駆動モータ128には、その駆動回転角度を検
出する為の角度センサ130が取り付けられている。こ
の角度センサ130は演算ユニット120に接続されて
いる。この演算ユニット120は、この角度センサ13
0からの検出結果に基づき、各レーザレーダユニット1
22,124におけるレーザ光の送受信方向を検知する
ことができる様になされている。即ち、演算ユニット1
20によるレーザレーダユニット122,124の系統
における距離及び相対速度の演算には、パルスレーザ光
の送受信方向が加味される様になされている。
【0035】この演算ユニット120は、上述した自動
制動制御ユニット(CAB)49に接続され、ここに、
演算結果としての自車と前方障害物との間の距離情報及
び両者の相対速度情報を出力する様になされている。こ
の自動制動制御ユニット(CAB)49は、図1を参照
して上述した様に、ブレーキ圧調整機構54、詳細に
は、各車輪12FL,12FR,12RL,12RRに
対応して設けられた自動制動バルブユニット82FL,
82FR,82RL,82RRに接続されると共に、全
体制御ユニット(TCU)113を介してサブスロット
ル弁コントローラ48と噴射弁コントローラ58と自動
変速機制御ユニット(CAT)とに接続されており、上
述した演算結果に基づき、後述する制御手順に従い、自
動制動制御動作を実行する様に構成されている。
【0036】尚、自動制動制御ユニット(CAB)49
には、図3に示す様に、入力された所の自車と前方障害
物との間の距離情報に基づき、それを表示する離間距離
表示パネル132と、前方障害物との相対関係が危険状
態と判断される場合に警報が発せられる警報ブザー13
3とが接続されており、これら離間距離表示パネル13
2と警報ブザー134とは、共に、車室内のインスツル
メントパネル(図示せず)に取り付けられた警報表示ユ
ニット136内に配設されている。これらの配設によ
り、運転者は前方障害物と自車との間の距離を離間距離
表示パネル132に表示された数値より認識することが
できると共に、運転者による前方障害物への注意が向け
られていない場合においても、この前方障害物と自車と
の間の距離が所定の危険状態と判断される状態に陥る
と、警報ブザー133が鳴ることにより、前方障害物と
の関係が所定の危険状態にある事を認識することができ
る事になる。
【0037】次に、図4乃至図11を参照して、自動制
動制御ユニット(CAB)における自動制動制御動作の
制御手順を説明する。先ず、図4に示す様に、所定の起
動タイミングで、前方障害物との接触防止の為の自動制
動制御動作が開始される。ここで、この一実施例におい
ては、上述した説明から明らかな様に、ブレーキ油圧系
52に設けられたブレーキ圧調整機構54として、自動
制動用の自動制動バルブユニット82FL,82FR,
82RL,82RRを、トラクション制御用のABSバ
ルブユニット84FL,84FR,84RL,84RR
と夫々直列に配設する様に構成している関係上、両者の
作動の釣合を取る為、自動制動制御動作は、トラクショ
ン制御動作と同様に、例えば7msecの周期で繰り返し起
動される様に設定されている。
【0038】即ち、この自動制動制御動作が起動される
と、先ず、ステップS10において、自動制動動作を実
行するに必要な各種の入力情報の読み込み動作が実行さ
れる。尚、この入力情報としては、演算ユニット120
で演算された所の自車の前方障害物との間の離間距離情
報Lxと両者の相対速度情報Vxとを含むほか、全体制
御ユニット(TCU)113を介して路面μセンサ11
4からの路面摩擦係数情報μや、自動変速機制御ユニッ
ト(CAT)からの走行レンジ位置情報RI及び変速ギ
ヤ位置情報GIを含むものである。
【0039】この後、ステップS12において、ステッ
プS10で読み込んだ各種情報に基づき、自動制動制御
動作を実行するに必要となる各種の閾値L0 ,L0 ′,
11 ,L2 ,L2 ′を設定する。ここで、全ての閾
値は、距離として表されるものであり、特に、閾値L0
は、自車が前方障害物に接触する可能性があり、接触防
止の為に自動制動動作の中でブレーキ油圧系52に基づ
く制動力の発動を開始する基準となる値を示している。
また、閾値L0 ′は、自車が前方障害物に接触する可能
性があり、接触防止の為に自動制動動作の中でエンジン
ブレーキに基づく制動力の発動を開始する基準となる値
を示している。尚、この一実施例においては、この閾値
0 ′は、図5に示すマップに基づき規定されるもので
ある。このマップは、後に詳細に説明する。また、閾値
0 は、この一実施例においては閾値L0 ′の80%に
なる様に設定されている。
【0040】即ち、この一実施例においては、後述する
が、基本的には、先ず、エンジンブレーキによる制動力
が発動され、その後、ブレーキ油圧系52による制動力
が発動される様になされている。一方、閾値L1 は、こ
の自動制動動作の開始に先立ち、上述した警報ブザー1
34を介して運転者に警報を発する動作を開始する基準
となる値を示している。尚、この閾値L1 は、閾値L
0 ′よりも所定量だけ長く設定されている。即ち、この
閾値L1 が、この自動制動制御を実施するに際して、自
車と前方障害物との間の距離が危険状態となった事を判
断する為の基準値として用いられる事になる。また、閾
値L2 は、自動制動動作を開始した後において、前方障
害物との接触の可能性がなくなってブレーキ油圧系52
による自動制動動作を解除する際の基準となる値を示し
ており、閾値L2 ′は、同様な条件におけるエンジンブ
レーキに基づく自動制動動作を解除する際の基準となる
値を示している。ここで、閾値L2 は、この一実施例に
おいては閾値L2 ′の80パーセントに設定されてい
る。即ち、この一実施例においては、後述するが、基本
的には、先ず、ブレーキ油圧系52による制動力が解除
され、その後、エンジンブレーキによる制動力が解除さ
れる様になされている。尚、この閾値L2 ,L2 ′は、
上述した閾値L0 ,L0 ′よりも夫々所定量だけ長い長
さに設定されている。
【0041】即ち、この一実施例においては、各閾値
は、以下の不等式で表される大小関係に設定されてい
る: L2 ′>L2 >L0 ′>L01 >L0
【0042】ここで、図5を参照して、閾値L0 ′を決
定する手順について説明する。先ず、図5における線A
は第1の閾値線を示しており、この第1の閾値線Aは、
前方障害物たる車両が、その車両の前方障害物に接触し
て停車した場合に、自車がその車両と接触する事を防止
する為に必要な車間距離を示しており、相対速度Vx
大小に拘らず、常に、前方障害物が停止物である時(即
ち、相対速度Vx が自車の走行速度V0 と同一である
時)と同じ値く、数値式V0 2/2μgで表させる数値を
とる。また、図5における線Bは第2の閾値線を示して
おり、この第2の閾値線Bは、前方障害物たる車両がフ
ル制動をかけた際に、この車両との接触を防止する為に
必要な車間距離を示しており、数値式Vx ・(2V0
x )/2μgで表される数値をとる。
【0043】一方、図5における線Cは第3の閾値線を
示しており、この第3の閾値線Cは、前方障害物たる車
両が減速度μ/2gの緩制動をかけた場合に、この車両
との接触を防止する為に必要な車間距離を示している。
更に、図5における線Dは第4の閾値線を示しており、
この第4の閾値線Dは、前方車両が一定車速を保った場
合に、この車両との接触を防止する為に必要な車間距離
を示しており、数値式Vx /2μgで示される数値をと
る。また、図5における線Eは、の閾値線を示してお
り、この′の閾値線Eは、自車が自動制動をかけても前
方障害物たる車両との接触を防止できないが、接触時に
おける衝撃力をある程度緩和する事のできる車間距離を
示している。この一実施例においては、図示しないモー
ド切り換えスイッチを介して第2の閾値線Bが選択され
ているものとし、この第2の閾値線Bを用いて、現時点
における相対速度Vx に対応する閾値L0 ′が求められ
る事になる。
【0044】この様に、ステップS12において、各種
の閾値L0 ,L0 ′,L11 ,L2 ,L2 ′が設定さ
れた後、ステップS14において、自車と前方障害物と
の間の相対速度Vx が0以上であるか否かが判別され
る。ここで、この一実施例においては、相対速度Vx
は、プラスの値をとる場合に、両者が互いに接近してい
る状態を示し、マイナスの値をとる場合に、両者が互い
に離間している状態を示すものとする。このステップS
14においてYESと判断される場合、即ち、相対速度
x がプラスの値をとり両者が互いに近接している状態
にあると判断される場合、以降、制動力の自動発動ルー
チンが実行される。
【0045】即ち、引き続くステップS16において、
自車と前方障害物との間の距離(以下、単に離間距離と
呼ぶ。)Lx が上述した閾値L1 よりも小さいか否かが
判断される。このステップS16においてNOと判断さ
れる場合、即ち、離間距離Lx が不等式Lx ≧L1 で規
定される範囲内にあり、未だ危険状態を規定する領域に
達しておらず、警報ブザー134を鳴らす必要がないと
判断される場合には、自動制動制御動作を実行しなくて
もよいので、制動力の自動発動ルーチンを具体的に実行
することなく、今回の制御手順を終了し、7msec後に設
定された次回の制御手順の起動を待つ。
【0046】一方、このステップS16においてYES
と判断される場合、即ち、離間距離が不等式Lx <L1
で規定される範囲内にあり、危険状態に陥ったと判断さ
れる場合には、ステップS18に進み、警報ブザー13
4を鳴動させ、運転者に前方障害物との離間距離Lx
危険状態に陥った事を報知する。この後、ステップS2
0において離間距離Lx が閾値L0 ′よりも小さいか否
かが判断される。このステップS20においてNOと判
断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L0 ′≦L
x <L1 で規定される範囲内にあり、警報動作を継続す
る必要はあるものの、自動制動動作を実行するまでの事
はないと判断される場合には、今回の制御手順を終了
し、7msec後に設定された次回の制御手順の起動を待
つ。
【0047】ここで、ステップS20においてYESと
判断される場合、即ち、離間距離L x が不等式Lx <L
0 ′で規定される範囲内にあり、自動制動動作を実行す
る必要があると判断される場合には、ステップS22に
進み、エンジン14においてエンジンブレーキを発生さ
せ、このエンジンブレーキによる制動力を発動させるべ
く、全体制御ユニット(TCU)113に割り込み起動
信号を出力し、ここにおいて割り込みルーチンとして規
定されるエンジン自動制動制御を起動する。尚、このエ
ンジン自動制動制御の制御手順は、後に図6を参照して
詳細に説明する。
【0048】このステップS22においてエンジン自動
制動制御を起動させた後、引き続くステップS24にお
いて、走行中に駆動輪にスリップが発生した場合に、こ
の発生したスリップを抑制する為のスリップ制御動作が
実行される。尚、このスリップ制御動作は、サブルーチ
ンとして後に図7を参照して詳細に説明する。このステ
ップS24において、スリップ制御を実行した後、引き
続くステップS26において、離間距離Lx が閾値L0
よりも小さいか否かが判断される。このステップS26
においてNOと判断される場合、即ち、離間距離Lx
不等式L0 ≦Lx <L0 ′で規定される範囲内にあり、
エンジンブレーキによる制動力のみで、危険回避動作と
して充分な制動力がかけられていると判断される場合に
は、今回の制御手順を終了し、7msec後に設定された次
回の制御手順の起動を待つ。
【0049】一方、上述したステップS26においてY
ESと判断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L
x <L0 で規定される範囲にあり、強力な制動力が必要
であると判断された場合には、ステップS28に進み、
ステップS24で実行しているスリップ制御を解除す
る。このスリップ制御解除動作は、サブルーチンとして
後に図8を参照して詳細に説明する。そして、引き続く
ステップS30において、割り込みルーチンとして規定
される所のブレーキ油圧系52による第1のブレーキ自
動制動制御動作を起動する。尚、このブレーキ自動制動
動作の制御手順は、後に図9を参照して詳細に説明す
る。そして、ステップS32において第1のブレーキ自
動制動制御動作が実行されている事を示す第1のフラグ
F1を「1」にセットし、引き続くステップS34にお
いて、路面摩擦係数(μ)に応じて自動制動制御動作の
制御内容を補正する補正動作(μ補正動作)を実行し、
7msec後に設定された次回の制御手順の起動を待つ。こ
のμ補正動作は、サブルーチンとして後に図10を参照
して詳細に説明する。
【0050】尚、ステップS30における第1のブレー
キ自動制動制御動作は、メインルーチンから独立した割
り込みルーチンとして実行されるものであり、一旦起動
されると、対応する解除動作が実行されない限り、その
制御動作は実行し続ける様に設定されている。一方、上
述したステップS14においてNOと判断される場合、
即ち、相対速度Vx がマイナス値であると判断され、前
方障害物が自車から徐々に遠ざかっていると判断される
場合には、制動力の自動解除ルーチンが実行される。
【0051】即ち、先ずステップS36に進み、ここ
で、離間距離Lx が閾値L2 よりも大きいか否かが判断
される。このステップS36においてNOと判断される
場合、即ち、離間距離Lx が不等式Lx ≦L2 で規定さ
れる範囲内にあり、依然として、前方障害物との関係が
危険状態にあり、自動制動制御動作を継続する必要があ
ると判断される場合には、制動力の自動解除ルーチンを
具体的に実行することなく、今回の制御手順を終了し、
7msec後に設定された次回の制御手順の起動を待つ。即
ち、このステップS36においてNOと判断される場合
においても、事前にステップS22またはステップS3
0において、エンジン自動制動制御が起動され、また
は、ブレーキ自動制動制御が起動されている場合には、
これらが実行され続ける事となる。
【0052】また、上述したステップS36においてY
ESと判断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L
x >L2 で規定される範囲内にあり、ブレーキ油圧系5
2による制動力が不要であると判断される場合には、ス
テップS38に進み、ここで、ブレーキ油圧系52にお
ける第1のブレーキ自動制動制御動作を解除させる第1
のべくブレーキ自動制動制御解除信号を出力する。この
後、ステップS40に進み、ここで、第1のブレーキ自
動制動制御動作が実行されている事を示す第1のフラグ
F1を「0」にリセットし、第1のブレーキ自動制動制
御動作が解除されている事を示す。そして、ステップS
42において、離間距離Lx が閾値L2′よりも大きい
か否かが判断される。このステップS42においてNO
と判断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L2
x ≦L2 ′で規定される範囲内にあり、依然として、
前方障害物との関係が危険状態にあるが、ブレーキ油圧
系52による強力なブレーキ力は不必要であるものの、
尚、エンジン自動制動制御動作を継続する必要があると
判断される場合には、今回の制御手順を終了し、7msec
後に設定された次回の制御手順の起動を待つ。
【0053】一方、上述したステップS42においてY
ESと判断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L
x >L2 ′で規定される範囲内にあり、エンジンブレー
キによる制動力をも不要であると判断される場合には、
ステップS44に進み、ここで、エンジン自動制動制御
動作を解除させるべくエンジン自動制動制御解除信号を
全体制御ユニット(TCU)113に出力する。この全
体制御ユニット(TCU)113は、このエンジン自動
制動制御解除信号を受ける事により、サブスロットル弁
コントローラ48を介してのサブスロットル弁38の閉
塞動作を中止し、これを全開状態に復帰させる。この
後、ステップS46に進み、警報動作を解除する警報動
作解除信号を出力し、即ち、警報ブザー134における
鳴動動作を停止して、一連の制御手順を終了し、7msec
後に設定された次回の制御手順の起動を待つ。この様に
して、自動制動制御動作のメインルーチンにおける一連
の手順を終了する。
【0054】以上詳述した様に、この一実施例において
は、自車と前方障害物との間の関係が危険状態に入った
と判断された場合に、自動制動制御が開始される事にな
るが、この自動制動制御動作においては、先ず、警報動
作が起動され、運転者に前方障害物との間で危険状態に
入った事を報知せしめる。この報知動作にも拘らず、前
方障害物に対する危険度が増した場合には、先ず、エン
ジンブレーキを発動させるべくエンジン自動制動制御手
順を実行し、自車の速度を低下させる。このエンジンブ
レーキの発動によっても、更に前方障害物に対する危険
度が増し、衝突の危険性が高まった場合には、更にブレ
ーキ装置によるブレーキ力を発動させるべく第1のブレ
ーキ自動制動制御手順を実行してフル制動をかけ、自車
の速度を実質的に停止する状態まで低下させる。
【0055】この様に、この一実施例では、自動制動制
御に際して、先ず、エンジンブレーキを発動させ、この
エンジンブレーキによる制動力のみでは危険性を回避す
ることができない場合に、ブレーキ装置によるブレーキ
力を発動させてフル制動をかける様に構成されている。
この様にして、自動制動制御が実行されたとしても、当
初はエンジンブレーキによる緩やかな制動力のみがかけ
られるので、運転者が感じる減速感は少なくて済み、運
転者に違和感やショック・恐怖心を与える虞が可及的に
減少させる事のできる効果を得ることができる。また、
急激な減速感により運転者がショック・恐怖心を受けた
場合には、運転者が慌てて間違った危険回避動作を行
い、別の危険性が発生する虞があるが、上述した様に、
この一実施例においては、緩やかな減速動作が実行され
るので、運転者に対してショック・恐怖心を与える虞が
少なく、この様な別の危険性が発生する虞がない。
【0056】次に、図6を参照して、上述したステップ
S22におけるエンジン自動制動制御動作の制御手順
を、全体制御ユニット(TCU)113における割り込
みルーチンとして説明する。先ず、ステップS22にお
いてエンジン自動制動制御動作が起動されると、ステッ
プS22Aにおいて、第1のブレーキ自動制動制御が発
動されている事を示す第1のフラグF1に「1」がセッ
トされているか否かが判断される。このステップS22
Aにおいて、NOと判断される場合、即ち、予め第1の
ブレーキ自動制動制御が発動されていないと判断される
場合には、現在の走行レンジ位置または変速ギヤ位置に
応じたエンジンブレーキ制御量EBC(後に詳細に説明
する。)を設定する制御手順が実行される。
【0057】即ち、引き続くステップS22Bにおい
て、ステップS10で予め読み込んだ走行レンジ位置情
報RIに基づき、自動変速機16において現在設定され
ている走行レンジ位置が判別される。このステップS2
2Bにおいて、自動変速機16において現在設定されて
いる走行レンジ位置が「L」(即ち、変速ギヤ位置が1
速に固定)であると判断される場合には、ステップS2
2Cにおいて、エンジンブレーキ制御量EBCを最小値
(MIN)に設定する。そして、引き続くステップS2
2Dにおいて、この最小のエンジンブレーキ制御量EB
Cで、サブスロットル弁コントローラ48を介して、サ
ブスロットル弁38を閉塞駆動する。ここで、最小のエ
ンジンブレーキ制御量EBCが設定される事により、サ
ブスロットル弁コントローラ48は、吸気通路44が緩
やかな閉塞速度で閉じられる様に、換言すれば、徐々に
エンジンブレーキが発動される様にサブスロットル弁3
8を駆動する。
【0058】一方、上述したステップS22Bにおい
て、自動変速機16において現在設定されている走行レ
ンジ位置が「S」(即ち、変速ギヤ位置が1速または2
速に設定)であると判断される場合には、ステップS2
2Eにおいて、エンジンブレーキ制御量EBCを中間値
(MED)に設定する。そして、上述したステップS2
2Dに進み、この中間のエンジンブレーキ制御量EBC
で、サブスロットル弁コントローラ48を介して、サブ
スロットル弁38を閉塞駆動する。ここで、中間値のエ
ンジンブレーキ制御量EBCが設定されると、サブスロ
ットル弁コントローラ48は、吸気通路44が通常(中
程度)の閉塞速度で閉じられる様に、サブスロットル弁
38を駆動する。
【0059】更に、上述したステップS22Bにおい
て、自動変速機16において現在設定されている走行レ
ンジ位置が「D」(即ち、変速ギヤ位置が走行状態に最
適の任意の位置に設定)であると判断される場合には、
ステップS22Fにおいて、自動変速機16におけるシ
フトアップ動作を禁止するため、換言すれば、現在の変
速ギヤ位置を一定に保つ為に、自動変速機16における
ワンウエイクラッチ(図示せず)を固定する。即ち、ド
ライブレンジ「D」において吸気通路44を閉じた場合
には、通常、車両はワンウエイクラッチの作用により、
慣性走行状態となる。この慣性走行状態においては、運
転者は前方に引かれる様な不安感のあるフィーリングと
なる。しかしながら、ステップS22Fにおいてワンウ
エイクラッチを固定する事により、現在の変速ギヤ位置
に固定され、エンジンブレーキが確実に発動されると共
に、運転者に対する前に引かれるような不安感を除去す
ることができる事となる。
【0060】そして、引き続くステップS22Gにおい
て、ステップS10で予め読み込んだ変速ギヤ位置情報
GIに基づき、現在の変速ギヤ位置がどこにあるかが判
断される。即ち、このステップS22Gにおいて変速ギ
ヤ位置が「一速」に設定されていると判断される場合に
は、上述したステップS22Cに進み、エンジンブレー
キ制御量EBCを最小値(MIN)に設定し、ステップ
S22Dに進んで、この最小のエンジンブレーキ制御量
EBCでサブスロットル弁38を緩やかに閉塞駆動す
る。一方、ステップS22Gにおいて、変速ギヤ位置が
「二速」に設定されていると判断される場合には、上述
したステップS22Eに進み、エンジンブレーキ制御量
EBCを中間値(MED)に設定し、ステップS22D
に進んで、この中間のエンジンブレーキ制御量EBCで
サブスロットル弁38を通常の閉塞速度で閉塞駆動す
る。
【0061】一方、ステップS22Gにおいて、変速ギ
ヤ位置が「三速」、または、「四速」(オーバトップを
含む)に設定されていると判断される場合には、ステッ
プS22Hにおいて、エンジンブレーキ制御量EBCを
最大値(MAX)に設定し、この後、上述したステップ
S22Dに進んで、この最大のエンジンブレーキ制御量
EBCでサブスロットル弁38を急激に閉塞駆動する。
【0062】ここで、上述したステップS22Aにおい
て、YESと判断される場合、即ち、第1のブレーキ自
動制動制御が発動されていると判断される場合には、現
在の走行レンジ位置または変速ギヤ位置に拘らず、エン
ジンブレーキ制御量EBCを最大値に設定する制御手順
を実行する。即ち、ステップS22AにおいてYESと
判断されると、即座にステップS22Hに飛び、エンジ
ンブレーキ制御量EBCを最大値(MAX)に設定し
て、変速ギヤ位置が何れにあろうともサブスロットル弁
38を急激に閉塞駆動して、エンジンブレーキを強力に
発動する。即ち、この様に強力なエンジンブレーキを第
1のブレーキ自動制動制御と同時に発動させる事によ
り、全体として極めて強い制動力で車両を減速させて、
確実な危険回避動作が達成される様にする。
【0063】上述した様にステップS22Dにおいて、
所定のエンジンブレーキ制御量EBCでサブスロットル
弁38を閉塞駆動する動作が実行されると、引き続くス
テップS22Iにおいて、エンジン自動制動制御解除信
号が出力されているか否かが判断される。このステップ
S22IにおいてNOと判断される場合、即ち、上述し
たステップS38が実行されずに、エンジン自動制動制
御解除信号が出力されていないと判断される場合には、
上述したステップS22Aに戻り、再びエンジン自動制
動制御を起動させる。一方、このステップS22Iにお
いてYESと判断される場合、即ち、上述したステップ
S44においてエンジン自動制動制御解除信号が出力さ
れたと判断される場合には、このエンジン自動制動制御
動作を終了させ、これら一連のエンジン自動制動制御の
制御手順を終了する。
【0064】また、上述した一実施例においては、エン
ジン自動制動制御の実行に際して、設定された変速ギヤ
位置に応じた閉塞速度てサブスロットル弁38を閉塞動
作し、エンジンブレーキの発動の程度を変化させてい
る。具体的には、変速ギヤ位置が低い場合、即ち、「一
速」にある場合に、急激にサブスロットル弁38を閉塞
駆動すると、急激にエンジンブレーキがきいて、急激な
減速感を運転者に与え、上述した問題を発生させる事に
なが、この一実施例においては、変速ギヤ位置が「一
速」にあると判断される場合には、最も緩やかな閉塞速
度でサブスロットル弁38を閉塞駆動し、急激な減速感
を運転者に与えない様に配慮されている。
【0065】また、変速ギヤ位置が中位の場合、即ち、
「二速」にあると判断される場合には、通常の閉塞速度
でサブスロットル弁38を閉塞駆動する様に設定されて
いる。更に、変速ギヤ位置が高い場合、即ち、「三速」
または「四速」にあると判断される場合には、エンジン
ブレーキがききにくい状態にあるので、最も早い閉塞速
度でサブスロットル弁38を閉塞駆動して、エンジンブ
レーキが有効に発動する様に設定されている。
【0066】更に、上述した一実施例においては、ブレ
ーキ装置による制動力を発動させるべく第1のブレーキ
自動制動制御が起動された場合には、強力な制動力が要
求される事になるので、エンジン自動制動制御手順にお
いては、上述したような変速ギヤ位置に応じた閉塞速度
でサブスロットル弁38を閉塞駆動する動作を中断し、
いかなる変速ギヤ位置にあろうとも、第1のブレーキ自
動制動制御が起動された時点から最も早い閉塞速度でサ
ブスロットル弁38を閉塞駆動して、強力なエンジンブ
レーキを発動する様に設定されている。このように、ブ
レーキ装置における制動力とエンジンブレーキにおける
強力な制動力とが合わされた状態で、フル制動をかける
ことが可能となり、前方障害物との間の危険性を有効に
回避することができる事になる。
【0067】次に、図7を参照して、上述したステップ
S24におけるスリップ制御動作の制御手順を、サブル
ーチンとして説明する。このステップS24でスリップ
制御が起動されると、先ず、ステップS24Aにおい
て、駆動輪(この一実施例においては、左右の後輪12
RL,12RR)においてスリップが発生したか否かが
判断される。この判断においては、トラクション制御ユ
ニット(CTR)103に入力された各車輪12FL,
12FR,12RL,12RRに各々対応する車輪回転
速度センサ112FL,112FR,112RL,11
2RRからの車輪回転速度情報に基づき、各車輪12F
L,12FR,12RL,12RRにおける所定の相対
関係を有するもの間において、所定の速度差が発生した
場合に、スリップ状態が発生したものと判断する様に設
定されている。
【0068】ここで、このステップS24AにおいてN
Oと判断された場合、即ち、スリップが発生していない
と判断された場合には、ステップS24Bに進み、ここ
で、所定のスリップ抑制動作が具体的に実行されて、ク
ラッチがオフされ第2のブレーキ自動制動制御動作が実
行されている事を示す第2のフラグF2が「1」にセッ
トされているか否かが判断される。このステップS24
BにおいてNOと判断された場合、即ち、第2のフラグ
F2が「0」にリセットされており、前回の制御手順で
所定のスリップ抑制動作が具体的に実行されていない、
換言すれば、スリップ抑制が具体的に実行されていない
状態が継続されていると判断される場合には、この時点
で、このスリップ制御動作の制御手順を終了して、元の
メインルーチンに復帰する。即ち、スリップが発生して
いない状態が継続している場合には、何ら具体的なスリ
ップ抑制動作を実行することなく、ステップS24は単
に通過されるに留まる事となる。
【0069】一方、上述したステップS24Aにおいて
YESと判断される場合、即ち、駆動輪にスリップが発
生したと判断される場合には、以降において、具体的な
スリップ抑制動作が実行される。即ち、ステップS24
Cにおいて、エンジンの駆動力を駆動輪に断続自在に伝
達する為のクラッチをオフ(断)とする。これにより、
エンジンの駆動力は駆動輪に伝達されない状態となり、
従って、エンジンブレーキが発揮されない状態、換言す
れば、エンジン自動制動制御動作が機械的にキャンセル
された状態となる。このようにエンジン自動制動制御動
作を強制的にキャンセルした状態において、引き続くス
テップS24Dにおいて、割り込みルーチンとして規定
された第2のブレーキ自動制動制御動作を起動させる。
尚、この第2のブレーキ自動制動制御動作は、後に図1
1を参照して詳細に説明する。そして、引き続くステッ
プS24Eにおいて、所定のスリップ抑制動作が具体的
に実行されて、クラッチがオフされ第2のブレーキ自動
制動制御動作が実行されている事を示す第2のフラグF
2に「1」をセットし、元のメインルーチンに復帰す
る。
【0070】このようにして、このスリップ抑制動作に
おいては、クラッチをオフする事によりエンジン自動制
動制御動作を機械的にキャンセルし、代わりに、上述し
たメインルーチンにおけるステップS30で実行される
第1のブレーキ自動制動制御動作とは異なる制御手順が
実行される様に設定された第2のブレーキ自動制動制御
動作を実行して、発生したスリップを効果的に抑制する
様になされている。ここで、このようなスリップ抑制動
作が実行される事により、スリップ抑制の為の制動力
は、ブレーキ装置60を介してのブレーキ油圧系52か
らのブレーキ力からのみ規定される事となる。この結
果、このようにブレーキ油圧系52からのブレーキ力が
ブレーキ装置60に作用する状態においては、ABSバ
ルブユニット84がトラクション制御ユニット(CT
R)の制御の下で、周知な様に、車輪12がスリップし
ない様な制御動作が実行される事となる。このようにし
て、このスリップ抑制動作においては、スリップが確実
に減少する方向に制御が実行される事となる。
【0071】一方、上述したステップS24Bにおいて
YESと判断される場合、即ち、第2のフラグF2に
「1」がセットされていて、前回の制御手順においてス
リップ抑制動作が実行されていたと判断される場合に
は、このスリップ抑制動作の実行に伴い、スリップが消
滅したと判断されるので、以降、スリップ抑制動作の解
除動作が実行される。
【0072】即ち、ステップS24Fにおいて、第2の
ブレーキ自動制動制御動作を解除する解除信号が出力さ
れ、これにより割り込みルーチンとして実行されていた
第2のブレーキ自動制動制御動作が終了する。そして、
引き続くステップS24Gにおいてクラッチをオン(接
続)状態とし、第2のフラグF2に「0」をリセットし
て元のメインルーチンに復帰する。このようにして、ス
リップ抑制動作の終了に際しては、第2のブレーキ自動
制動制御動作の代わりに、エンジン自動制動制御動作が
復帰する事となり、従前の様に、スリップが消滅した状
態でエンジンブレーキによる危険回避の為の減速動作が
再開されることとなる。
【0073】次に、図8を参照して、上述したメインル
ーチンにおけるステップS28のスリップ制御解除動作
を詳細に説明する。このスリップ制御解除動作は、スリ
ップが発生していると判断されたままの状態で、ステッ
プS26においてYESと判断され、危険度が高まった
と判断され、強力な生動力を発揮させて自車を急停止さ
せる必要があると判断される場合に、ブレーキ装置60
を介してのブレーキ力を発動させる事になるが、このブ
レーキ力の発動を実行するためのステップS30での第
1のブレーキ自動制動制御動作の実行に先立ち、スリッ
プ抑制動作を強制的に終了させるべく実行される制御動
作である。
【0074】このステップS28でスリップ制御解除動
作が起動されると、先ず、ステップS28Aにおいて、
第2のフラグF2に「1」がセットされているか否かが
判断される。このステップS28AにおいてNOと判断
される場合、即ち、第2のフラグF2に「0」がリセッ
トされており、ステップS24におけるスリップ制御動
作においてスリップ抑制動作が具体的に実行されていな
いと判断される場合には、このスリップ制御解除動作を
具体的に実行させる必要がないので、制御手順を終了し
て、元のメインルーチンに復帰する。
【0075】一方、ステップS28AにおいてYESと
判断される場合、即ち、第2のフラグF2に「1」がセ
ットされていて、スリップ抑制動作が具体的に実行され
た状態のままで、危険度の高い危険回避の為にフル制動
をかけて自車を急停止させる必要があると判断される場
合には、先ず、ステップS28Bにおいて、第2のブレ
ーキ自動制動制御動作を解除させるべく第2の解除信号
を出力し、ステップS28Cにおいてクラッチをオン
し、ステップS28Dにおいて第2のフラグF2に
「0」をリセットして、元のメインルーチンに復帰す
る。
【0076】即ち、このスリップ制御解除動作において
は、スリップ抑制動作において実行されていた第2のブ
レーキ自動制動制御動作の代わりに、エンジン自動制動
制御動作を効かせて、エンジンブレーキを発動させ、後
述するステップS30における第1のブレーキ自動制動
制御動作の実行に伴い発揮される強力なブレーキ力をあ
いまって、フル制動が即座に発生する様になしている。
次に、図9を参照して、ステップS30における第1の
ブレーキ自動制動制御動作の制御手順を、自動制動制御
ユニット(CAB)における割り込みルーチンとして説
明する。
【0077】先ず、第1のブレーキ自動制動制御動作が
実行される前の状態においては、ブレーキ圧調整機構5
4における自動制動バルブユニット82FL,82F
R,82RL,82RRの夫々のシャッタバルブ86F
L,86FR,86RL,86RRは、全て開放状態に
あり、また、増圧バルブ90FL,90FR,90R
L,90RRと減圧バルブ94FL,94FR,94R
L,94RRとは、共に、閉塞状態にある。この様にし
て、ブレーキペダル50の踏み込みによりマスタシリン
ダ68で発生したブレーキ圧が、各車輪12FL,12
FR,12RL,12RRに夫々作用して、マニュアル
制動動作が実行され得る様になされている。
【0078】この様な第1のブレーキ自動制動制御動作
の実行される前の状態から、ステップS30において第
1のブレーキ自動制動制御動作が起動されると、ステッ
プS30Aにおいて、ブレーキ圧調整機構54における
自動制動バルブユニット82FL,82FR,82R
L,82RRの夫々のシャッタバルブ86FL,86F
R,86RL,86RRが閉塞駆動される。これによ
り、ブレーキペダル50の踏み込みによるブレーキ圧は
各車輪12FL,12FR,12RL,12RRのブレ
ーキ装置60FL,60FR,60RL,60RRに作
用し得ない状態となり、換言すれば、これにより第1の
ブレーキ自動制動制御動作が可能な状態となる。
【0079】この後、ステップS30Bにおいて、各車
輪12FL,12FR,12RL,12RRのブレーキ
装置60FL,60FR,60RL,60RRに作用す
るブレーキ圧が所定圧に達しているか否かが判断され
る。このステップS30BにおいてNOと判断される場
合、即ち、現在、ブレーキ装置60FL,60FR,6
0RL,60RRに作用するブレーキ圧が不足している
と判断される場合には、ステップS30Cにおいて、増
圧バルブ90FL,90FR,90RL,90RRが開
放駆動され、引き続くステップS30Dにおいて、減圧
バルブ94FL,94FR,94RL,94RRが閉塞
駆動される。この結果、アキュムレータ100FR,1
00FR,100RL,100RRに蓄圧されていたブ
レーキ圧が、各車輪12FL,12FR,12RL,1
2RRのブレーキ装置60FL,60FR,60RL,
60RRに作用して、所定のブレーキ動作が実行される
事となる。
【0080】一方、上述したステップS30Bにおいて
YESと判断される場合、即ち、現在、ブレーキ装置6
0FL,60FR,60RL,60RRに作用するブレ
ーキ圧が充分であると判断される場合には、ステップS
30Eにおいて、増圧バルブ90FL,90FR,90
RL,90RRが閉塞駆動され、引き続くステップS3
0Fにおいて、減圧バルブ94FL,94FR,94R
L,94RRが開放駆動される。この結果、アキュムレ
ータ100FR,100FR,100RL,100RR
に蓄圧されていたブレーキ圧がブレーキ装置60FL,
60FR,60RL,60RRに作用しなくなり、反対
に、ブレーキ装置60FL,60FR,60RL,60
RRのブレーキ圧が減圧バルブ94FL,94FR,9
4RL,94RRを介して減じられる事になる。
【0081】この様な制御手順を繰り返す事により、各
車輪12FL,12FR,12RL,12RRのブレー
キ装置60FL,60FR,60RL,60RRに作用
するブレーキ圧は、ブレーキペダル50の踏み込みに拘
らず、所定の値に一定に保持される事となる。一方、上
述したステップS30DまたはステップS30Fが実行
されると、ステップS30Gに進み、ここで、第1のブ
レーキ自動制動制御解除信号が出力されているか否かが
判断される。このステップS30GにおいてNOと判断
される場合、即ち、上述したステップS32が実行され
ずに、第1のブレーキ自動制動制御解除信号が出力され
ていないと判断される場合には、上述したステップS3
0Bに戻り、ここから再び第1のブレーキ自動制動制御
を起動させる。一方、このステップS30GにおいてY
ESと判断される場合、即ち、上述したステップS32
において第1のブレーキ自動制動制御解除信号が出力さ
れたと判断される場合には、この第1のブレーキ自動制
動制御動作を終了させ、これら一連の第1のブレーキ自
動制動制御の制御手順を終了する。
【0082】以上詳述した様に、この一実施例において
は、このように危険度の高い危険状態を回避する為にフ
ル制動をかけた場合においても、この車両Aは、各車輪
12FL,12FR,12RL,12RRに対してAB
Sバルブユニット84FL,84FR,84RL,84
RRを備えているおり、これらがトラクション制御ユニ
ット(CTR)103により各車輪12FL,12F
R,12RL,12RRがロックしない様に制御されて
いるので、安定した状態で車両Aを停止させることがで
きる事になる。
【0083】特に、駆動輪にスリップが発生した場合に
は、これをそのまま放置すれば自車の走行安定生が損な
われる事になるが、この一実施例においては、エンジン
ブレーキのみを制動力として減速動作を実行している場
合においては、エンジンブレーキの代わりにブレーキ装
置60を介してのブレーキ力を作用させ、トラクション
制御ユニット(CRT)103の制御の下で、各車輪1
2FL,12FR,12RL,12RRがロックしない
様に制御されているので、スリップを解消させつつ安定
した状態で車両Aを減速させることができる事になる。
【0084】また、エンジンブレーキとブレーキ装置6
0を介してのブレーキ力の両方を制動力として自車を急
減速させている場合において、駆動輪にスリップが発生
した場合には、エンジンブレーキのみを制動力として減
速動作を実行している場合のスリップ制御、即ち、エン
ジンブレーキをキャンセルしてブレーキ装置を介しての
ブレーキ力のみを効かせる制御動作を解除して、両者が
確実に発動させる様にして、より強力な生動力が発揮さ
れる様になされている。このようにして、エンジンブレ
ーキ及びブレーキ装置60を介してのブレーキ力の両方
を制動力として自車を急減速させている最中に、駆動輪
にスリップが発生したとしても、上述した様に、トラク
ション制御ユニット(CRT)103の制御の下で、各
車輪12FL,12FR,12RL,12RRがロック
しない様に制御されているので、スリップを解消させつ
つ安定した状態で車両Aを急停止させることができる事
になる。
【0085】次に、図10を参照して、ステップS34
における路面摩擦係数(μ)に応じて自動制動制御動作
の制御内容を補正する補正動作(μ補正動作)を詳細に
説明する。ステップS34でμ補正動作が起動される
と、先ず、ステップS34Aにおいて、路面μセンサ1
14からの検出結果に基づき、路面摩擦係数(μ)を推
定する。そして、引き続くステップS34Bにおいて、
この推定された路面摩擦係数(μ)が極低い値であるか
否か、即ち、現在走行中の路面が極めて滑り易い状態に
あるか否かが判断される。このステップS34Bにおい
てNOと判断される場合、即ち、現在走行中の路面が極
めて滑り易い状態には無いと判断される場合には、μ補
正動作を実行する必要がないので、制御手順を終了し
て、元のメインルーチンに復帰する。
【0086】一方、ステップS34BにおいてYESと
判断される場合、即ち、現在走行中の路面が極めて滑り
易い状態にあると判断される場合には、ステップS34
Cに進み、ここで、クラッチをオフ(断)する。これに
より、エンジン自動制動制御動作が実行された場合にお
いても、エンジンブレーキは作用しなくなり、駆動輪の
滑る状態が未然に防止される事となる。尚、この制御手
順により、極めて滑り易い路面を走行する場合におい
て、前方障害物との間の危険度が増した場合には、エン
ジンブレーキの発動のみが禁止されるのであり、ブレー
キ装置60を介してのブレーキ力の発動は許容されたま
まであるので、上述したメインルーチンにおけるステッ
プS26でYESと判断され、危険度が高まったと判断
された場合に、ブレーキ自動制動制御動作が起動され、
フル制動がかけられる様になる。ここで、このブレーキ
力を介してのフル制動においては、上述した様に、AB
Sが作動するので、各車輪のロックが未然に防止された
状態でのフル制動が可能となる。
【0087】次に図11を参照して、上述したステップ
S24におけるスリップ制御動作の中でのステップS2
4Dでの第2のブレーキ自動制動制御動作の制御手順
を、自動制動制御ユニット(CAB)における割り込み
ルーチンとして詳細に説明する。この第2のブレーキ自
動制動制御動作においては、上述した説明から明らかな
様に、エンジンブレーキの作用の代わりにブレーキ力を
作用させる事が実行されるものであり、ブレーキ圧の目
標値は緩制動が達成されるに充分な値に設定されてい
る。
【0088】ステップS24Dで第2のブレーキ自動制
動制御動作が起動されると、先ず、ステップS24D1
において、ブレーキ圧調整機構54における自動制動バ
ルブユニット82FL,82FR,82RL,82RR
の夫々のシャッタバルブ86FL,86FR,86R
L,86RRが閉塞駆動される。これにより、ブレーキ
ペダル50の踏み込みによるブレーキ圧は各車輪12F
L,12FR,12RL,12RRのブレーキ装置60
FL,60FR,60RL,60RRに作用し得ない状
態となり、換言すれば、これにより第1のブレーキ自動
制動制御動作が可能な状態となる。
【0089】この後、ステップS24D2において、各
車輪12FL,12FR,12RL,12RRのブレー
キ装置60FL,60FR,60RL,60RRに作用
するブレーキ圧が所定圧に達しているか否かが判断され
る。このステップS24D2においてNOと判断される
場合、即ち、現在、ブレーキ装置60FL,60FR,
60RL,60RRに作用するブレーキ圧が不足してい
ると判断される場合には、ステップS24D3におい
て、従動輪12FL,12FRに対応する増圧バルブ9
0FL,90FRのみが開放駆動され、引き続くステッ
プS24D4において、駆動輪12RL,12RRに対
応する増圧バルブ90RL,90RRが閉塞駆動され
る。この後、ステップS24D5において、全ての減圧
バルブ94FL,94FR,94RL,94RRが閉塞
駆動される。この結果、アキュムレータ100FR,1
00FR,100RL,100RRに蓄圧されていたブ
レーキ圧が、従動輪12FL,12FRのブレーキ装置
60FL,60FRに作用して、所定のブレーキ動作が
実行され、緩減速が達成される事となる。
【0090】一方、上述したステップS24D2におい
てYESと判断される場合、即ち、現在、ブレーキ装置
60FL,60FR,60RL,60RRに作用するブ
レーキ圧が充分であると判断される場合には、ステップ
S24D6において、全ての増圧バルブ90FL,90
FR,90RL,90RRが閉塞駆動され、引き続くス
テップS24D7において、全ての減圧バルブ94F
L,94FR,94RL,94RRが開放駆動される。
この結果、アキュムレータ100FR,100FR,1
00RL,100RRに蓄圧されていたブレーキ圧がブ
レーキ装置60FL,60FR,60RL,60RRに
作用しなくなり、反対に、ブレーキ装置60FL,60
FR,60RL,60RRのブレーキ圧が減圧バルブ9
4FL,94FR,94RL,94RRを介して減じら
れる事になる。
【0091】この様な制御手順を繰り返す事により、各
車輪12FL,12FR,12RL,12RRのブレー
キ装置60FL,60FR,60RL,60RRに作用
するブレーキ圧は、ブレーキペダル50の踏み込みに拘
らず、緩制動を達成する所定の値に一定に保持される事
となる。一方、上述したステップS24D5またはステ
ップS24D7が実行されると、ステップS24D8に
進み、ここで、第2のブレーキ自動制動制御解除信号が
出力されているか否かが判断される。このステップS2
4D8においてNOと判断される場合、即ち、上述した
ステップS24Fが実行されずに、第2のブレーキ自動
制動制御解除信号が出力されていないと判断される場合
には、上述したステップS24D2に戻り、ここから再
び第2のブレーキ自動制動制御を起動させる。一方、こ
のステップS24D8においてYESと判断される場
合、即ち、上述したステップS24Fにおいて第2のブ
レーキ自動制動制御解除信号が出力されたと判断される
場合には、この第2のブレーキ自動制動制御動作を終了
させ、これら一連の第2のブレーキ自動制動制御の制御
手順を終了する。
【0092】このように、この一実施例においては、第
2のブレーキ自動制動制御動作が実行されるので、エン
ジンブレーキの代わりにブレーキ装置を介してのブレー
キ力により緩制動が達成され、且つ、その際において、
ブレーキ力は駆動輪12RL,12RRでは無く従動輪
12FL,12FRにのみ作用する様に設定されている
ので、走行状態を安定に保持したままでの緩減速が可能
となる。この発明は、上述した一実施例の構成に限定さ
れることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々
変形可能である。
【0093】以下に、この発明に係わる車両の自動制動
装置の他の実施例の構成を、添付図面の図12乃至図1
5を参照して、詳細に説明する。尚、この他の実施例に
おいては、上述した一実施例における図1乃至図3に示
される機械的な構成は同一であり、自動制動制御ユニッ
ト(CAB)49における制御内容が異なるものであ
る。そして、以下の説明において、上述した一実施例の
自動制動制御ユニット(CAB)49における制御手順
と同一のステップには、同一のステップ番号を付して、
その説明を省略する。
【0094】先ず、図12を参照して、他の実施例にお
ける自動制動制御ユニット(CAB)49の制御手順の
メインルーチンを説明する。このメインルーチンにおい
ては、ステップS10乃至ステップS20までは、上述
した一実施例と同様である。そして、ステップS20に
おいてYESと判断される場合、即ち、離間距離Lx
不等式Lx <L0 ′で規定される範囲にあり、自動制動
動作を実行する必要があると判断される場合には、ステ
ップS21−1に進み、第2のフラグF2に「1」がセ
ットされているか否かが判断される。ここで、第2のフ
ラグF2は、第2のブレーキ自動制動制御動作の実行に
関するフラグであり、これが実行されていると「1」が
セットされ、実行されていないと「0」にリセットされ
る様に設定されている。
【0095】このステップS21−1においてYESと
判断される場合、即ち、第2のフラグF2が「0」にリ
セットされており、第2のブレーキ自動制動制御動作が
実行されていないと判断される場合には、引き続くステ
ップS21−2に進む。このステップS21−2では、
第3のフラグF3に「1」がセットされているか否かが
判断される。ここで、この第3のフラグF3は、後述す
るスリップ制御の実行に関するフラグであり、これが実
行されていると「1」がセットされ、実行されていない
と「0」にリセットされる様に設定されている。このス
テップS21−2においてNOと判断される場合、即
ち、第3のフラグF3が「0」にリセットされており、
スリップ制御が実行されていないと判断される場合に
は、ステップS22に進み、上述した一実施例と同様な
エンジン自動制動制御動作が実行され、エンジンブレー
キにのみよる緩制動が実行される。そして、この後、上
述した一実施例と同じ内容に設定されたステップS26
を実行する様に設定されている。
【0096】一方、上述したステップS21−1におい
てYESと判断される場合、即ち、第2のフラグF2に
「1」がセットされており、第2のブレーキ自動制動制
御動作が実行されていると判断される場合には、ステッ
プS21−2を実行することなく直接ステップS22に
進み、エンジン自動制動制御動作を実行する。また、上
述したステップS21−2においてYESと判断される
場合、即ち、第3のフラグF3に「1」がセットされて
おり、スリップ制御動作が実行されていると判断される
場合には、ステップS22におけるエンジン自動制動制
御動作を実行することなく、直接ステップS26に進
む。
【0097】換言すれば、この制御手順においては、緩
制動が必要と判断された場合に、予めスリップ制御動作
が実行されている場合には、エンジン自動制動制御動作
をスキップして、これを実行しない様に設定され、ま
た、第2のブレーキ自動制動制御動作が既に実行されて
いる場合には、スリップ制御動作が実行されているかい
ないかに拘らず、エンジン自動制動制御動作を実行し、
ブレーキ装置を介してのブレーキ力と共にエンジンブレ
ーキが同時に作用して、強力な生動力が達成される様に
設定されている。
【0098】そして、上述したステップS26において
NOと判断された場合、即ち、離間距離Lx が不等式L
0 ≦Lx <L0 ′で規定される範囲内にあり、エンジン
ブレーキによる制動力のみで、危険回避動作として充分
な制動力が掛けられていると判断される場合には、ステ
ップS27に進み、ここで、スリップ制御動作を実行す
る。このスリップ制御動作を実行する目的は、上述した
一実施例のスリップ制御動作の目的と同一であるが、そ
の具体的な制御手順が異なっており、後に図13を参照
して詳細に説明する。
【0099】一方、上述したステップS26においてY
ESと判断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L
x <L0 で規定される範囲内にあり、危険度の高い危険
状態を回避する為に強力な制動力が必要であると判断さ
れた場合には、ステップS29に進み、第3のフラグF
3が「1」にセットされているか否かを判断する。この
ステップS29においてNOと判断される場合、即ち、
第3のフラグF3が「0」にリセットされており、スリ
ップ制御動作が事前に実行されていないと判断される場
合には、上述した一実施例と同一のステップS30に進
み、ここで、第1のブレーキ自動制動制御動作を実行
し、引き続くステップS32において、第1のブレーキ
自動制動制御動作が実行されている事を示す第1のフラ
グF1に「1」をセットして、一連の制御手順を終了す
る。
【0100】また、上述したステップS29においてY
ESと判断される場合、即ち、第3のフラグF3に
「1」がセットされており、スリップ制御動作が事前に
実行されていると判断される場合には、ステップS31
に進み、上述した一実施例の第2のブレーキ自動制動制
御動作とは異なる制御内容に設定された第2のブレーキ
自動制動制御動作を実行する。尚、この実施例における
第2のブレーキ自動制動制御動作は、後に図15を参照
して詳細に説明する。このステップS31で第2のブレ
ーキ自動制動制御動作を実行した後、引き続くステップ
S33において第2のブレーキ自動制動制御動作が実行
されている事を示す第2のフラグF2を「1」にセット
して、一連の制御手順を終了する。
【0101】一方、上述したステップS36においてY
ESと判断される場合、即ち、離間距離Lx が不等式L
x >L2 で規定される範囲内にあり、ブレーキ油圧系5
2によるブレーキ力が不要であると判断される場合に
は、引き続くステップS37に進み、ここで、第1のフ
ラグF1が「1」にセットされているか否かが判断され
る。このステップS37においてYESと判断される場
合、即ち、第1のフラグF1が「1」にセットされてお
り第1のブレーキ自動制動制御動作が実行されていると
判断される場合には、上述した一実施例と同じステップ
S38に進み、第1のブレーキ自動制動制御動作を解除
する為に、第1のブレーキ自動制動制御解除信号を出力
し、引き続くステップS40において、第1のブレーキ
自動制動制御動作が実行されていない事を示す為に第1
のフラグF1を「0」にリセットする。
【0102】また、上述したステップS37においてN
Oと判断される場合、即ち、第1のフラグF1が「1」
にセットされておらず、第2のフラグF2が「1」にセ
ットされていると判断される場合には、ステップS39
に進み、ここで、第2のブレーキ自動制動制御動作を解
除すべく、第2のブレーキ自動制動制御解除信号を出力
し、引き続くステップS41において、第2のブレーキ
自動制動制御動作が実行されていない事を示す為に第2
のフラグF2を「0」にリセットする。そして、ステッ
プS40またはステップS41を実行した後に、上述し
た一実施例と同じくステップS42乃至ステップS46
が実行され、エンジン自動制動制御動作の解除の可否が
判断される。
【0103】このように、この実施例は構成されている
ので、スリップが発生したと判断される場合のスリップ
制御動作は、エンジンブレーキのみが効いての緩制動時
にのみ実行され、一旦このスリップ制御動作が実行され
ると、エンジンブレーキを発動させる為のエンジン自動
制御動作は解除され、後述するがブレーキ装置を介して
のブレーキ力のみの作用の下での緩制動が実施される事
となる。また、スリップ制御が実行されているか否かに
より、ブレーキ装置を介してのブレーキ力の発動の手順
が異なる様に設定されており、スリップ制御が実行され
ている場合にはそれに最適な状態でブレーキ力が発動さ
れ、また、スリップ制御が実行されていない場合には、
それに最適な状態でブレーキ力が発動される様になされ
ている。
【0104】次に、図13を参照して、上述したメイン
ルーチンにおけるステップS27で実行されるスリップ
制御動作の具体的手順をサブルーチンとして説明する。
このステップS27でスリップ制御が起動されると、先
ず、ステップS27Aにおいて、駆動輪(この一実施例
においては、左右の後輪12RL,12RR)において
スリップが発生したか否かが判断される。この判断にお
いては、上述した一実施例と同様にトラクション制御ユ
ニット(CTR)103に入力された各車輪12FL,
12FR,12RL,12RRに各々対応する車輪回転
速度センサ112FL,112FR,112RL,11
2RRからの車輪回転速度情報に基づき、各車輪12F
L,12FR,12RL,12RRにおける所定の相対
関係を有するもの間において、所定の速度差が発生した
場合に、スリップ状態が発生したものと判断する様に設
定されている。
【0105】ここで、このステップS27AにおいてN
Oと判断された場合、即ち、スリップが発生していない
と判断された場合には、ステップS27Bに進み、ここ
で、所定のスリップ抑制動作が具体的に実行されて、エ
ンジン自動制動制御動作を解除して、スロットル制御を
実行して、第2のブレーキ自動制動制御動作が実行され
ている事を示す第3のフラグF3が「1」にセットされ
ているか否かが判断される。このステップS27Bにお
いてNOと判断された場合、即ち、第3のフラグF3が
「0」にリセットされており、前回の制御手順で所定の
スリップ抑制動作が具体的に実行されていない、換言す
れば、スリップ抑制が具体的に実行されていない状態が
継続されていると判断される場合には、この時点で、こ
のスリップ制御動作の制御手順を終了して、元のメイン
ルーチンに復帰する。即ち、スリップが発生していない
状態が継続している場合には、何ら具体的なスリップ抑
制動作を実行することなく、ステップS27は単に通過
されるに留まる事となる。
【0106】一方、上述したステップS27Aにおいて
YESと判断される場合、即ち、駆動輪にスリップが発
生したと判断される場合には、以降において、具体的な
スリップ抑制動作が実行される。即ち、ステップS27
Cにおいて、エンジン自動制動制御動作を解除すべく、
エンジン自動制御動作解除信号を出力する。これによ
り、エンジンブレーキの発動は停止され、換言すれば、
エンジン自動制動制御動作が制御上キャンセルされた状
態となる。このようにエンジン自動制動制御動作を強制
的にキャンセルした状態において、引き続くステップS
27Dにおいて、全体制御ユニット(TCU)113に
おける割り込みルーチンとして規定されたスロットル制
御を実行し、スリップ率が所定の値に維持される様にス
ロットル開度を制御する。尚、このスロットル制御の制
御手順は、後に、図14を参照して詳細に説明する。
【0107】この後、引き続くステップS27Eにおい
て、自動制動制御ユニット(CAB)49における割り
込みルーチンとして規定された第2のブレーキ自動制動
制御動作を起動させる。尚、この第2のブレーキ自動制
動制御動作は、メインルーチンにおけるステップS31
での第2のブレーキ自動制動制御動作と同一であり、後
に図15を参照して詳細に説明するので、ここでの説明
を省略する。そして、引き続くステップS27Fにおい
て、所定のスリップ抑制動作が具体的に実行されて、エ
ンジン自動制動制御動作が解除され、スロットル制御が
実行され、そして、第2のブレーキ自動制動制御動作が
実行されている事を示す第3のフラグF3に「1」をセ
ットし、元のメインルーチンに復帰する。
【0108】このようにして、このスリップ抑制動作に
おいては、エンジン自動制動制御動作を制御上にキャン
セルし、代わりに、スロットル制御を実行してスリップ
率を所定の値に維持させると共に、上述したメインルー
チンにおけるステップS30で実行される第1のブレー
キ自動制動制御動作とは異なる制御手順が実行される様
に設定された第2のブレーキ自動制動制御動作を実行し
て、発生したスリップを効果的に抑制する様になされて
いる。ここで、このようなスリップ抑制動作が実行され
る事により、スリップ抑制の為の制動力は、ブレーキ装
置60を介してのブレーキ油圧系52からのブレーキ力
からのみ規定される事となる。この結果、このようにブ
レーキ油圧系52からのブレーキ力がブレーキ装置60
に作用する状態においては、ABSバルブユニット84
がトラクション制御ユニット(CTR)の制御の下で、
周知な様に、車輪12がスリップしない様な制御動作が
実行される事となる。このようにして、このスリップ抑
制動作においては、スリップが確実に減少する方向に制
御が実行される事となる。
【0109】一方、上述したステップS27Bにおいて
YESと判断される場合、即ち、第3のフラグF3に
「1」がセットされていて、前回の制御手順においてス
リップ抑制動作が実行されていたと判断される場合に
は、このスリップ抑制動作の実行に伴い、スリップが消
滅したと判断されるので、以降、スリップ抑制動作の解
除動作が実行される。
【0110】即ち、ステップS27Gにおいて、スロッ
トル制御動作を解除させる為のスロットル制御解除信号
が出力され、引き続くステップS27Hにおいて、エン
ジン自動制動制御動作が再開され、ステップS27Iに
おいて、第2のブレーキ自動制動制御動作を解除べく第
2のブレーキ自動制動制御解除信号が出力され、これに
より割り込みルーチンとして実行されていた第2のブレ
ーキ自動制動制御動作が終了する。そして、引き続くス
テップS27Jにおいて第3のフラグF3を「0」にリ
セットして元のメインルーチンに復帰する。このように
して、スリップ抑制動作の終了に際しては、第2のブレ
ーキ自動制動制御動作の代わりに、エンジン自動制動制
御動作が復帰する事となり、従前の様に、スリップが消
滅した状態でエンジンブレーキによる危険回避の為の緩
制動による減速動作が再開されることとなる。
【0111】次に、図14を参照して、上述したステッ
プS27におけるスリップ制御においてステップS27
Dで実行されたスロットル制御の制御手順を詳細に説明
する。ステップS27Dにおいてスロットル制御動作が
起動されると、先ず、ステップS27D1において、車
速センサ42の検出結果に基づき、現在車速Vが読み込
まれる。そして、引き続くステップS27D2におい
て、駆動輪12RL,12RRに夫々取り付けられた車
輪回転速度センサ112RL,112RRからの検出結
果に基づき、駆動輪12RL,12RRの車輪速Vw
算出する。この後、ステップS27D3において、スリ
ップ率Sを算出する。このスリップ率Sは、 式:S=(Vw ーV)/V・100 (単位%) により演算される値から規定されるものである。
【0112】そして、引き続くステップS27D4にお
いて、算出したスリップ率Sが20%より大きいか否か
が判断される。このステップS27D4においてNOと
判断される場合、即ち、スリップ率が20%以下である
と判断される場合には、引き続くステップS27D5に
おいて、スリップ率が5%より小さいか否かが判断され
る。このステップS27D5においてNOと判断される
場合、即ち、スリップ率Sが不等式5≦S≦20で表さ
せる範囲内にあると判断される場合には、ステップS2
7D6に進み、ここで、全体制御ユニット(TCU)1
13に対して、サブスロットル弁38のスロットル角度
を現在の位置に保持する様に制御する様に、制御信号を
出力し、一連の制御手順を終了して、元のステップS2
7Dにおけるサブルーチンに復帰する。即ち、スリップ
率Sが不等式5≦S≦20で表させる範囲内にあると判
断される場合には、スリップ状態が許容される範囲内に
あると判断されるので、このままの状態を維持する様に
設定されている。
【0113】一方、上述したステップS27D4におい
てYESと判断される場合、即ち、スリップ率Sが20
%よりも大きいと判断される場合には、ステップS27
D7に進み、ここで、スリップ率Sに応じたスロットル
開度までサブスロットル弁38を開く方向に駆動する様
に、即ち、サブスロットル弁38のスロットル開度が大
きくなる方向に、全体制御ユニット(TCU)113に
向けて制御信号を出力する。換言すれば、スリップ率S
が大きいと判断される場合には、この状態でエンジンブ
レーキを介しての緩減速動作を実行すると、更にスリッ
プ状態が悪化する事になるので、逆にサブスロットル弁
38を開放駆動して、駆動力を増して、スリップが解消
される方向に制御動作を実行する。尚、スリップ率Sが
大きければ大きい程、スロットル開度は大きくなる様に
設定されている。
【0114】また、上述したステップS27D8におい
てYESと判断される場合、即ち、スリップ率Sが5%
よりも小さいと判断される場合には、ステップS27D
8に進み、ここで、スリップ率Sに応じたスロットル開
度までサブスロットル弁38を閉じる方向に駆動する様
に、即ち、サブスロットル弁38のスロットル開度が小
さくなる方向に、全体制御ユニット(TCU)113に
向けて制御信号を出力する。換言すれば、スリップ率S
が小さいと判断される場合には、この状態でエンジンブ
レーキを介しての緩減速動作を実行してもスリップ状態
が悪化する事にならないので、更にサブスロットル弁3
8を閉塞駆動して、駆動力を減じて、エンジンブレーキ
が更に発動される様に制御動作を実行する。尚、スリッ
プ率Sが小さければ小さい程、スロットル開度は小さく
なる様に設定されている。
【0115】このように、この実施例においては、上述
した一実施例でスリップ状態が検出された場合にエンジ
ンブレーキをキャンセルしてブレーキ装置によるブレー
キ力に移行する様に制御する事とは基本的に異ならない
ものの、サブスロットル弁38のスロットル開度がスリ
ップ率に応じた値となる様に、スロットル制御を実行す
る様になされている。このようにして、スリップ状態が
無理の無い状態で徐々に解消される事となる。
【0116】次に、図15を参照して、この実施例にお
けるステップS31(または、ステップS27E)にお
いて実施される第2のブレーキ自動制動制御動作、即
ち、スリップ制御手動作が実行されている際におけるブ
レーキ自動制動制御動作の制御手順を詳細に説明する。
尚、この第2のブレーキ自動制動制御動作においては、
上述した一実施例におけるステップS24D1乃至ステ
ップS24D7が全く同一な状態で実行される事になる
為、説明の重複を避ける為、ステップS31A乃至ステ
ップS31GをステップS24D1乃至ステップS24
D7に夫々対応させた状態でナンバリングし、その説明
を省略する。
【0117】ここで、この実施例における特有の制御手
順についてであるが、ステップS24D5に対応するス
テップS31Eが実行されると、引き続くステップS3
1Hにおいて、エンジン回転数がアイドリング回転数付
近まで低下したか否かが判断される。このステップS3
1HにおいてNOと判断される場合、即ち、エンジン回
転数がアイドリング回転数付近まで低下しておらず、エ
ンストの虞が無いと判断される場合には、一実施例にお
けるステップS24D8に対応したステップS31Iに
進み、ここで、第2のブレーキ自動制動制御解除信号が
出力されたか否かが判断される。そして、このステップ
S31IにおいてNOと判断される場合には、上述した
ステップS31Bに戻り、再び、第2のブレーキ自動制
動制御動作の制御手順を実行する。また、このステップ
S31IにおいてYESと判断される場合には、この制
御手順を終了する。
【0118】一方、上述したステップS31Hにおいて
YESと判断される場合、即ち、エンジン回転数がアイ
ドリング回転数付近まで低下して、エンストの虞がある
と判断される場合には、ステップS31Jに進み、サブ
スロットル弁38を全閉駆動し、引き続くステップS3
1Kにおいて、駆動輪12RL,12RRRに対応する
増圧バルブ90RL,90RRを開いて、上述したステ
ップS31Cとあいまって、結果として、全部の増圧バ
ルブ90FL,90FR,90RL,90RRを開放さ
せる。これにより制動力をフルに発動させる事とする。
この後、ステップS31Lにおいてエンストを防止する
為にクラッチをオフ(断)し、エンジンの駆動力が駆動
輪12RL,12RRに伝達されない様にする。このよ
うにして、エンジン12のエンストが確実に防止される
と共に、スリップ制御動作が実行されている際における
ブレーキ装置を介してのブレーキ力が強力に発動される
事となり、自車はフル制動された状態で停止する事とな
る。
【0119】尚、ステップS31における第2のブレー
キ自動制動制御動作においては、上述した様に、自車を
フル制動させるに充分なブレーキ圧が、ステップS31
Bにおける目標圧として設定されるが、ステップS27
Eにおける第2のブレーキ自動制動制御動作において
は、エンジン自動制動制御動作に替わって緩制動を実施
する為に実行されるものであり、ステップS31Bにお
ける目標圧としては、緩制動するに充分な値が設定され
る様になされている。
【0120】以上詳述した様に、この他の実施例におい
ても、スリップ制御を加味した状態で、危険度が低いと
判断される危険状態にあると自車と前方障害物との相対
関係が判断された場合に、緩制動が実施されるものであ
るが、エンジンブレーキのみによる緩制動が実施されて
いる場合において、駆動輪がスリップしたと判断される
と、エンジンブレーキを発動させているエンジン自動制
動制御動作に替わって、ブレーキ装置を介してのブレー
キ力が発動されるブレーキ自動制動制御動作が実行され
る事になる。このようにして、駆動輪にスリップが発生
したとしても、自車を走行安定性を保持した状態で、軽
度の危険回避の為に緩減速させる事が可能となる。ま
た、上述した一実施例においては、車両Aは自動変速機
16を備える様に説明したが、この発明は、このような
構成に限定されることなく、手動式変速機を備える車両
にも適用することができるものである。
【0121】また、上述した一実施例においては、走行
レンジ位置や変速ギヤ位置を自動変速機制御ユニット
(CAT)33から自動変速機16に出力される走行レ
ンジ位置情報RIや変速ギヤ位置情報GIに基づき認識
する様に説明したが、この発明は、このような構成に限
定されることなく、自動変速機16において実際に設定
されている走行レンジ位置や変速ギヤ位置を検出する検
出手段を用いて、その検出手段における検出結果に基づ
き、自動変速機16で現在設定されている走行レンジ位
置や変速ギヤ位置を認識する様に構成してもよい。
【0122】また、上述した一実施例においては、各種
の閾値を不等式で表される関係に設定される様に説明し
たが、この発明は、このような関係に限定されることな
く、種々の態様で規定されるものである。例えば、上述
した一実施例においては、閾値L2 は閾値L0 よりも大
きく(L2 >L0 )、また、閾値L2′は閾値L0 ′よ
りも大きい(L2 ′>L0 ′)と説明しがた、このよう
な制約に限定されることなく、閾値L2 は閾値L0 以下
(L2 ≦L0 )であってもよいし、また、閾値L2 ′は
閾値L0 ′以下(L2 ′≦L0 ′)であってもよい。
【0123】また、上述した一実施例においては、エン
ジン出力を低下させてエンジンブレーキを発生させる為
に、サブスロットル弁38を駆動して吸気通路44を閉
塞動作させる様に説明したが、この発明は、このような
構成に限定されることなく、燃料噴射弁56に接続され
た噴射弁ドライバ58を駆動制御して、エンジン14へ
の燃料供給を減少またはカットする事により、エンジン
出力を低下させてエンジンブレーキを発動する様に構成
してもよいし、また、サブスロットル弁38による吸気
通路44の閉塞制御と、燃料噴射弁56による燃料噴射
量の減少制御とを同時に実行する様に制御してもよい。
このように両者を同時に実行させる事により、エンジン
ブレーキはより確実に発揮される事となる。
【0124】尚、このように燃料噴射量を制限する事に
よりエンジン出力を低下させてエンジンブレーキを発動
させる場合において、エンジンブレーキ制御量EBC
は、燃料噴射量の減少速度を示すものであり、このエン
ジンブレーキ制御量EBCが小さい程、燃料噴射量の減
少速度が遅く設定され、また、大きい程速く設定されて
いる。
【0125】
【発明の効果】以上詳述した様に、この発明に係わる車
両の自動制動装置は、自車と障害物との間の距離及び相
対速度を検出する検出手段と、この検出手段で検出され
た自車と障害物との間の距離及び相対速度から、自車が
障害物に接触する可能性の有無を判断する接触可能性判
断手段と、この判断手段で接触の可能性があると判断さ
れた場合に、自動的にエンジン出力を低下させて、エン
ジンブレーキを発生させるエンジンブレーキ自動発生手
段及び、ブレーキ装置の油圧系に作用して、ブレーキ力
を発生させるブレーキ力自動発生手段と、前記ブレーキ
装置の油圧系で発生したブレーキ力が車輪に作用した際
に、夫々の車輪がロックする事を防止するロック防止手
段と、駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段
と、このスリップ検出手段において駆動輪のスリップを
検出すると、前記エンジンブレーキ自動発生手段による
エンジンブレーキをキャンセルし、前記ブレーキ力自動
発生手段によるブレーキ力のみを制動力として作用させ
る制御手段とを具備する事を特徴としている。
【0126】また、この発明に係わる車両の自動制動装
置において、前記制御手段は、前記エンジンブレーキ自
動発生手段によるエンジンブレーキがキャンセルされた
状態での前記ブレーキ力自動発生手段によるブレーキ力
を、従動輪にのみ作用させる事を特徴としている。ま
た、この発明に係わる車両の自動制動装置は、路面摩擦
係数を検出する摩擦係数検出手段を更に具備し、前記制
御手段は、この摩擦係数検出手段で路面摩擦係数が低い
と判断された場合に、前記エンジンブレーキ自動発生手
段によるエンジンブレーキをキャンセルし、前記ブレー
キ力自動発生手段によるブレーキ力のみを制動力として
作用させる事を特徴としている。
【0127】また、この発明に係わる車両の自動制動装
置において、前記制御手段は、前記エンジンブレーキの
キャンセルを、エンジンの駆動力を駆動輪に接続/切断
自在に伝達するクラッチ手段を切断状態となす様に構成
されている事を特徴としている。また、この発明に係わ
る車両の自動制動装置は、前記駆動輪のスリップ率を演
算する演算手段を更に具備し、前記制御手段は、前記エ
ンジンブレーキ自動発生手段によるエンジンブレーキの
みが制動力として作用している場合に、前記スリップ率
を所定の目標値に維持する様に制御する事を特徴として
いる。また、この発明に係わる車両の自動制動装置にお
いて、前記制御手段は、スロットル開度を調整する事に
より、前記スリップ率を所定の目標値に維持する事を特
徴としている。
【0128】従って、この発明によれば、低い路面摩擦
経緯数の道路を走行している場合においても、走行安定
性を損なうことなく自動制動制御を実行する事のできる
車両の自動制動装置が提供される事になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる車両の自動制動装置の一実施
例の構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】自動制動装置に適用されるブレーキ油圧系の構
成を示す油圧回路図である。
【図3】自車と前方障害物との間の距離及び両者の相対
速度を検出する為の検出機構の構成を示すブロック図で
ある。
【図4】この一実施例の自動制動制御ユニットにおける
自動制動制御動作の全体的な制御手順を示すフローチャ
ートである。
【図5】図5に示す自動制動制御動作において用いられ
る閾値設定用のマップを示す線図である。
【図6】図5に示す自動制動制御動作におけるエンジン
自動制動制御動作の制御手順を示すフローチャートであ
る。
【図7】図5に示す自動制動制御動作におけるスリップ
制御動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】図5に示す自動制動制御動作におけるスリップ
制御解除動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】図5に示す自動制動制御動作における第1のブ
レーキ自動制動制御動作の制御手順を示すフローチャー
トである。
【図10】図2に示す自動制動制御動作におけるμ補正
動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図11】図7に示すスリップ制御動作における第2の
ブレーキ自動制動制御動作の制御手順を示すフローチャ
ートである。
【図12】この発明に係わる他の実施例の自動制動制御
ユニットにおける自動制動制御動作の全体的な制御手順
を示すフローチャートである。
【図13】図12に示す他の実施例の自動制動制御動作
おけるスリップ制御動作の制御手順を示すフローチャー
トである。
【図14】図13に示すスリップ制御動作におけるスロ
ットル制御動作の制御手順を示すフローチャートであ
る。
【図15】図12に示す自動制動制御動作における第2
のブレーキ自動制動制御動作の制御手順を示すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
A 車両、 10 自動制動装置、 33 自動変速機制御ユニット(CAT)、 38 サブスロットル弁、 48 サブスロットル弁コントローラ、 49 自動制動制御ユニット(CAB)、 54 ブレーキ圧調整機構、 56 燃料噴射弁、 60 ブレーキ装置、 72 ブレーキ配管、 82 自動制動バルブユニット、 84 ABSバルブユニット、 103 トラクション制御ユニット(CTR)、 112 車輪回転数センサ、 113 全体制御ユニット、 114 μセンサ、 116 検出機構である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自車と障害物との間の距離及び相対速度
    を検出する検出手段と、 この検出手段で検出された自車と障害物との間の距離及
    び相対速度から、自車が障害物に接触する可能性の有無
    を判断する接触可能性判断手段と、 この判断手段で接触の可能性があると判断された場合
    に、自動的にエンジン出力を低下させて、エンジンブレ
    ーキを発生させるエンジンブレーキ自動発生手段及び、
    ブレーキ装置の油圧系に作用して、ブレーキ力を発生さ
    せるブレーキ力自動発生手段と、 前記ブレーキ装置の油圧系で発生したブレーキ力が車輪
    に作用した際に、夫々の車輪がロックする事を防止する
    ロック防止手段と、 駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、 このスリップ検出手段において駆動輪のスリップを検出
    すると、前記エンジンブレーキ自動発生手段によるエン
    ジンブレーキをキャンセルし、前記ブレーキ力自動発生
    手段によるブレーキ力のみを制動力として作用させる制
    御手段とを具備する事を特徴とする車両の自動制動装
    置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記エンジンブレーキ
    自動発生手段によるエンジンブレーキがキャンセルされ
    た状態での前記ブレーキ力自動発生手段によるブレーキ
    力を、従動輪にのみ作用させる事を特徴とする請求項1
    に記載の車両の自動制動装置。
  3. 【請求項3】 路面摩擦係数を検出する摩擦係数検出手
    段を更に具備し、 前記制御手段は、この摩擦係数検出手段で路面摩擦係数
    が低いと判断された場合に、前記エンジンブレーキ自動
    発生手段によるエンジンブレーキをキャンセルし、前記
    ブレーキ力自動発生手段によるブレーキ力のみを制動力
    として作用させる事を特徴とする請求項1に記載の車両
    の自動制動装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記エンジンブレーキ
    のキャンセルを、エンジンの駆動力を駆動輪に接続/切
    断自在に伝達するクラッチ手段を切断状態となす様に構
    成されている事を特徴とする請求項2または3に記載の
    車両の自動制動装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動輪のスリップ率を演算する演算
    手段を更に具備し、 前記制御手段は、前記エンジンブレーキ自動発生手段に
    よるエンジンブレーキのみが制動力として作用している
    場合に、前記スリップ率を所定の目標値に維持する様に
    制御する事を特徴とする請求項1に記載の車両の自動制
    動装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、スロットル開度を調整
    する事により、前記スリップ率を所定の目標値に維持す
    る事を特徴とする請求項5に記載の車両の自動制動装
    置。
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