JP4227231B2 - 車両の統合制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は車両の統合制御装置に関し、より詳しくは、車両進行方向の障害物を検知して障害物との接触を回避する制御と、車両の回頭運動を制御して車両の操縦性を確保する制御とを統合的に行うようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、障害物回避技術が種々提案され、例えば特開平6−298022号公報において、前方車などの物体との離間距離を検知し、自動ブレーキ装置(制動装置)を作動させて、障害物との接触を回避する技術が提案されている。
【0003】
それとは別に、車両の4輪の制動力を独立に制御してヨーモーメント(車両の鉛直方向重心軸回りの回転モーメント)を発生させ、車両挙動を制御する技術も提案されている。即ち、車体の滑り角と滑り角速度からオーバーステア傾向を検知すると共に、目標ヨーレートと実際のヨーレートからアンダーステア傾向を検知し、前輪または後輪に制動力を与え、車両のヨーモーメントを制御して旋回時の車両の操縦安定性向上を図る技術も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した障害物回避制御においては、運転者が回避の意志を有しているときに自動ブレーキ装置を作動させると違和感を与えることから、運転者の操作との干渉を回避するために、障害物を検知したときも、接触の可能性が高くなってから自動ブレーキ装置を作動させるように構成され、その際には瞬時に大きな制動力を発生させるので、自動ブレーキ装置の作動時に運転者の操舵に対する車両応答が不足する恐れがある。
【0005】
そのような障害物回避制御に、前記した車両挙動制御を組み合わせ、例えば、アンダーステア傾向見られるときは回頭性を上げるような制御を組み合わせることも考えられるが、車両挙動制御は運転者の操作に対して適合するようになっているため、自動ブレーキ装置の作動により瞬時に大きな制動力が発生した場合には、障害物を回避するに十分な車両の操縦性が得られない恐れがある。
【0006】
従って、この発明の目的は、上記した不都合を解消することにあり、障害物回避制御と車両挙動制御とを組み合わせると共に、それらを統合的に制御し、よって車両の操縦性を確保しつつ、障害物を回避するに十分な車両の挙動を実現するようにした車両の統合制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1項にあっては、車両の進行方向に存在する障害物を検知する障害物検知手段、前記障害物検知手段の出力に基づいて前記車両と前記障害物との接触の可能性を判定する接触可能性判定手段、前記接触可能性判定手段の判定結果に基づいて前記車両の制動装置を作動させる第1の制動制御手段、少なくとも前記車両の挙動を示すパラメータを含む、前記車両の運動状態を検知する車両運動状態検知手段、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと基準値との偏差を求め、少なくとも前記求められた偏差から予め設定された所定の特性を検索し、検索された値に基づいて前記車両の回頭性が上がるように操作量を算出する車両挙動制御手段、前記算出された操作量に基づいて前記車両の車輪ごとに制動装置を作動させる第2の制動制御手段、を備えると共に、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の制動制御手段によって前記車両の制動装置が作動させられる前の警報段階において前記予め設定された所定の特性を変更し、よって前記警報段階において前記操作量を前記車両の回頭性が上がる方向に増加させる如く構成した。また、請求項2にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0008】
これによって、障害物回避制御と車両挙動制御とを統合的に制御し、よって車両の操縦性を確保しつつ、障害物を回避するに十分な車両の挙動を実現することができる。
【0009】
即ち、通常の状況では運転者の操舵との干渉を防止し、かつ、接触可能性が大きい状況では通常の状況よりも効果の高い回頭制御を行うことができ、運転者が回避操舵入力をした場合においても、障害物との接触を確実に回避することができる。また、操作量の算出時期を早めることで、運転者の意図に適合させることができる。また、操作量を増加することで、通常の状況より大きなヨーモーメントを発生させることができ、回頭性を上げて障害物との接触を確実に回避することができる。
【0010】
請求項項にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと基準値との偏差を算出する偏差算出手段、前記算出された偏差を第1のしきい値と比較する比較手段、前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値を減少方向に変更するしきい値変更手段、を備え、よって前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0011】
請求項項にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を算出する偏差算出手段、前記算出された偏差を第1のしきい値と比較する第1の比較手段、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータを第2のしきい値と比較する第2の比較手段、前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるか、あるいは、前記操舵に関するパラメータが第2のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差および前記操舵に関するパラメータに基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値および第2のしきい値の少なくともいずれかを減少方向に変更するしきい値変更手段、を備え、よって前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0012】
請求項項にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を算出する偏差算出手段、前記算出された偏差を第1のしきい値と比較する第1の比較手段、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータを第2のしきい値と比較する第2の比較手段、前記検知された運動状態に基づいて得られる車体滑り角に関するパラメータを第3のしきい値と比較する第3の比較手段、前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるか、あるいは前記操舵に関するパラメータが第2のしきい値以上と判断されるか、あるいは前記車体滑り角に関するパラメータが第3のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差、前記操舵に関するパラメータ、および前記車体滑り角に関するパラメータに基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、を備えると共に、前記障害物接触判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値、第2のしきい値、および第3のしきい値の少なくともいずれかを減少方向に変更するしきい値変更手段、を備え、よって前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0014】
請求項6にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を求め、少なくとも前記偏差から予め設定された第1の所定の特性を検索する第1の検索手段、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータから予め設定された第2の所定の特性を検索する第2の検索手段、前記第1の検索手段および第2の検索手段の検索値に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の所定の特性および第2の所定の特性の少なくともいずれかを操作量が増加する方向に変更する特性変更手段、を備え、よって前記操作量を車両の回頭性が上がる方向に増加させる如く構成した。
【0015】
請求項7項にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を求め、少なくとも前記偏差から予め設定された第1の所定の特性を検索する第1の検索手段、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータから予め設定された第2の所定の特性を検索する第2の検索手段、前記検知された運動状態に基づいて得られる車体滑り角に関するパラメータから予め設定された第3の所定の特性を検索する第3の検索手段、前記第1、第2、第3の検索手段の検索値に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の所定の特性、第2の所定の特性および第3の所定の特性の少なくともいずれかを操作量が増加する方向に変更する特性変更手段、を備え、よって前記操作量を車両の回頭性が上がる方向に増加させる如く構成した。
【0016】
請求項8項にあっては、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記基準値を変更する基準値変更手段、を備え、よって前記操作量の算出時期を早めるか、あるいは前記操作量を増加させる如く構成した。
【0017】
請求項9項にあっては、前記基準値変更手段は、前記車両の伝達特性を変更して前記基準値を変更する如く構成した。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1はこの出願に係る車両の統合制御装置を全体的に示す概略図である。
【0020】
図1において、符号10は車両を示し、その前部には内燃機関Eが搭載されると共に、その出力を入力して変速する変速機Mが搭載される。変速機Mの出力はディファレンシャル機構Dを介して車輪W、即ち、左右の前輪WFL,WFRを駆動し、左右の後輪(従動輪)WRL, WRRを従動させて車両10を走行させる。
【0021】
4個の車輪Wにはキャリパ型のディスクブレーキが装着され、ブレーキキャリパB、即ち、左右の前輪WFL,WFRおよび左右の後輪WRL, WRRにそれぞれ配置されたブレーキキャリパBFL, BFR, BRL, BRRの制動パッドによってブレーキディスクを押圧し、各車輪Wを制動する。
【0022】
ブレーキキャリパBは、アクチュエータ12を介してマスタシリンダ14に接続される。マスタシリンダ14は、車両10の運転席16の床面のブレーキペダル18に接続されたマスタバック20に接続され、その中のリザーバ(図示せず)から倍力された踏み込み力に応じた制動圧に調圧されたブレーキオイルがアクチュエータ12に送られる。
【0023】
図2は、アクチュエータ12の詳細を示す回路図である。
【0024】
アクチュエータ12は図示の如き、切換弁22,24,26などの油圧機構からなる。その油圧機構において、前記したマスタシリンダ14の一方の室14aは、油路30を介して切換弁22の入力ポートに接続される。
【0025】
通常のブレーキ作動時には3個の切換弁22,24,26のソレノイド22a,24a,26aはオフされて図示の位置にあり、油路30は油路32,34に接続され、マスタシリンダ14内の圧油は油路30,32,34を介して4輪のうちの左前輪のブレーキキャリパBFL,右後輪のブレーキキャリパBRRに送られ、左前輪WFL,右後輪WRRを制動する。これにより、運転者がブレーキペダル18を踏み込んだとき、その踏み込み量に応じた制動力(ブレーキ力)が各車輪に作用する。
【0026】
尚、マスタシリンダ14の他方の室14bは、油路36を介して同種構造の油路機構を介して4輪のうちの右前輪WFR,左後輪WRL用のブレーキキャリパBFR,BRLに送られるが、図示と説明は省略する。
【0027】
後述する如く、運転者のブレーキ操作とは別に、1つの車輪を他の車輪と独立に制動力を与える場合、切換弁22のソレノイド22aはオンされ、油路30はドレーンポートに接続される。例えば、右後輪WRRが制動されるとすると、右後輪のブレーキキャリパBRR用の切換弁24のソレノイド24aはオフされ、左前輪のブレーキキャリパBFL用の切換弁26のソレノイド26aはオンされる。
【0028】
従って、油圧ポンプ38から圧送される圧油が油路40を介して右後輪のブレーキキャリパBRR用に作用し、右後輪WRRはそれに応じた制動力で制動される。他方、左前輪のブレーキキャリパBFL用の切換弁26のソレノイド26aはオンされてドレーンポートに接続されるので、制動力は作用しない。
【0029】
図示は省略したが、他方の右前輪WFR,左後輪WRLについても同様であり、このように、切換弁22のソレノイド22aをオンすると共に、制動力を作用させるべき車輪のブレーキキャリパ用の切換弁のみをオフし、残余の切換弁をオンすることで、任意の車輪にのみ制動力を与えることができる。言い換えれば、任意の車輪のみから制動力を解除することができる。
【0030】
尚、切換弁22のソレノイド22aがオンされ、切換弁24,26のソレノイド24a,26aがオフされると、車輪WFL,WRRは共に制動される。図示しない油圧機構を介して他方の右前輪WFR,左後輪WRLについても同様の処理がなされると、全輪が制動され、自動ブレーキがなされる。
【0031】
切換弁22,24,26のソレノイド22a,24a,26aは、マイクロコンピュータからなるECU(電子制御ユニット)44に接続され、図示しない駆動回路を介してオン・オフされる。より詳しくは、これらソレノイドはECU44によりデューティ制御され、各々のブレーキキャリパを圧油源であるマスタバック20や油圧ポンプ38に連通される状態とリザーバに連通される状態とを切り換えることにより、加圧もしくは減圧を行うことができ、それによって任意の車輪に任意の制動力が与えられる。
【0032】
図1の説明に戻ると、車両10において運転席16にはステアリングホイール50が設けられる。ステアリングホイール50はギヤ機構(図示せず)を介して前輪WFL, WFRに連結され、前輪を所望の方向に転舵させる。ステアリングホイール50の付近には操舵角センサ52が設けられて運転者が入力した操舵角θHに応じた信号を出力すると共に、ギヤ機構との経路の適宜位置には操舵トルクセンサ54が設けられ、操舵トルクTHに応じた信号を出力する。
【0033】
車両10の中央位置付近には、横加速度センサ56が設けられて車両10に進行方向に直交する横方向から作用する横加速度YGに応じた信号を出力すると共に、ヨーレートセンサ58が設けられ、車両10に作用するヨーレート(車両10の鉛直重心回りの角速度)φドットに比例した信号を出力する。
【0034】
また、各車輪Wの付近には車輪速センサ60がそれぞれ設けられ、各車輪の回転速度に応じた信号を出力する。これらセンサの出力は、前記したECU44に送られる。車輪速センサ60の出力はECU44でカウントされ、車両10が走行する速度(車速)が検出される。
【0035】
尚、車両10の運転席16の適宜位置には警報装置64(アラーム、インディケータなど)が設けられ、ECU44の出力に応じて警報を発生し、運転者に接触の可能性が高いことを報知する。
【0036】
また、車両10のフロントバンパ付近の適宜位置にはレーザレーダ66が設けられ、車両10の進行方向に向けてレーザ光(電磁波)を発射し、進行方向に存在する前方車などの物体からのレーザ光の反射波を受信して物体を検知する。
【0037】
レーザレーダ66の出力は同様にマイクロコンピュータからなるレーダ出力処理ECU(図示せず)に送られ、そこでレーザ光を発射してから反射光を受信するまでの時間が測定されて物体までの相対距離(離間距離)が測定され、相対距離を微分することで物体の相対速度が求められる。また、反射波の入射方向から物体の方位が検知される。レーダ出力処理ECUの出力もECU44に入力される。
【0038】
図3はECU44の構成を機能的に示すブロック図である。ECU44はABS(Antilock Brake System)制御手段44a、制動力左右配分制御手段44b、および自動ブレーキ制御手段44cからなる。
【0039】
自動ブレーキ制御手段44cにおいては、前記したレーダ出力処理ECUを介して前方障害物を検知して接触の可能性を判断し、接触回避のための自動ブレーキ制御を行う。自動ブレーキ制御手段44cは接触可能性信号発生手段44dを備え、前方障害物との接触可能性が大であるとき、接触可能性信号を発生(出力)する。
【0040】
制動力左右配分制御手段44bは、しきい値変更手段44eと制御マップ(特性)変更手段44fを備え、接触可能性信号を受信した場合、接触可能性信号に応じ、しきい値と制御マップを変更する。
【0041】
ABS(Antilock Brake System)制御手段44a、制動力左右配分制御手段44b、および自動ブレーキ制御手段44cの出力はそれぞれ独立してアクチュエータ制御手段44gを介して前記アクチュエータ12に出力され、各車輪のブレーキ力が制御される。
【0042】
尚、ヘッドユニット制御手段44hはレーダ出力処理ECUを介してレーザレーダ66に接続され、レーザレーダ66を駆動、制御する。また、検出部44iは、A/D変換などの処理を行う。
【0043】
以下、図示の装置の動作をさらに詳細に説明する。
【0044】
尚、ABS制御手段44aは車輪速センサ60の出力などから車輪スリップ率を目標範囲に制御するが、それは公知の制御であり、この発明の要旨とは直接の関連を有しないため、以下においてはABS制御手段44aの動作の説明を省略する。
【0045】
図4は自動ブレーキ制御手段44cの動作を示すフロー・チャートである。
【0046】
以下説明すると、S10において車両進行方向前方を探索し、S12に進んで障害物(前方車など)が存在するか否か判断する。S12で否定されるときは以下の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS14に進み、障害物の走行状態、より具体的には相対距離(自車(車両10)と障害物との離間距離)、相対速度(自車の車速と障害物の移動速度の差)、障害物の減(加)速度などを検出する。
【0047】
次いでS16に進み、障害物が複数個存在する(探索された)か否か判断し、肯定されるときはS18に進み、最も接触の可能性が高い障害物をターゲット障害物とする。尚、S16で否定されるときはS20に進む。
【0048】
次いでS20に進んで自車(車両10)の走行状態、例えば車速などを検出し、S22に進んで障害物との接触の可能性が大きいか否か判断する。この判断は具体的には、相対速度と相対距離から予め設定されたマップを検索して行う。
【0049】
図5にそのマップの特性を示す。図示の如く、相対距離(相対速度について設定)に対して運転者に接触可能性が大であることを報知するために警報装置を作動させる境界線(警報ライン)と、接触回避のためにブレーキ機構を自動的に作動させる境界線(自動ブレーキ作動ライン)が設定される。
【0050】
警報ラインは自動ブレーキ作動ラインよりも相対距離が大きい側に設定され、先ず警報がなされ、さらに相対距離が減少して障害物に接近したときブレーキ作動がなされるように設定される。
【0051】
S22においては(相対速度に対する相対距離)が境界線(警報ライン)を下回るか否か判断し、否定されるときは以下の処理をスキップする。他方、相対距離が警報ラインを下回り、従って接触可能性大と判断されるときは肯定されてS24に進み、警報装置64を介して運転者に警報を発し、同時に接触可能性信号を発生(出力)し、制動力左右配分制御手段のしきい値変更手段44eと制御マップ変更手段44fに送信する。
【0052】
次いでS26に進み、さらに接触可能性が増加したか否か、具体的には相対距離が自動ブレーキ作動ラインを下回るか否か判断する。S26で否定されるときは以下の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS28に進んでアクチュエータ12を介して自動ブレーキを作動させる。この場合には、切換弁22のソレノイド22aがオン、切換弁24,26のソレノイド24a,26aが共にオフされ、4輪の全てが制動される。
【0053】
図6は制動力左右配分制御手段44bの動作を示すフロー・チャートである。
【0054】
以下説明すると、S100においてしきい値を変更あるいは決定する。
【0055】
図7はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートであり、前記したしきい値変更手段44eによってなされる。
【0056】
以下説明すると、S200において接触可能性信号が入力(受信)されたか否か判断し、肯定されるときはS202に進んで3種のしきい値、即ち、ヨーレート偏差Δφドット0、車体滑り角β0、操舵速度θドットH0の値を、ΔφドットB,βB,θドットHBと変更(決定)する。
【0057】
他方、S200で否定されるときはS204に進み、3種のしきい値を、ΔφドットN,βN,θドットHNと変更(決定)する。
【0058】
ヨーレート偏差Δφドット0は、運転者がステアリング操作を行うことによって発生させようとするヨーレートφドットSと、ヨーレートセンサ出力値φドットの差(φドット−φドットS)から求める。車体滑り角β0は、車両10が横方向に滑る角度を示し、検出された車速、横加速度およびヨーレートから算出する。操舵速度(正確には操舵角速度)θドットH0は検出された操舵角度の微分値であり、検出値の1階差分値から求める。尚、同様の意味でθドットHも用いる。
【0059】
尚、しきい値は後で述べる如く、車両挙動制御のための左右制動力配分が必要か否かを決定するための基準値である。ここで、ΔφドットB,βB,θドットHBは、ΔφドットN,βN,θドットHNに比較して小さい値に設定される。従って、S200で肯定(接触可能性大)のときは、車両挙動制御の開始時期が、S200で否定される場合に比し、早められるように設定される。
【0060】
図6フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS102に進み、制御マップを変更あるいは決定する。
【0061】
図8はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートであり、前記した制御マップ変更手段44fによってなされる。
【0062】
以下説明すると、S300において接触可能性信号が入力(受信)されたか否か判断し、肯定されるときはS302に進んで3種の制御マップ、即ち、今述べた3種のパラメータ(ヨーレート偏差Δφドット0、車体滑り角β0、操舵速度θドットH0)に基づいて検索される制御マップの特性を、接触可能性が大きい場合の特性に変更(決定)すると共に、S300で否定されるときはS304に進んで制御マップの特性を通常の制御用の特性に変更(決定)する。
【0063】
図9などにそれらの制御マップの特性を示す。図において、実線が通常の制御用の特性を、破線が接触可能性が大きい場合の特性を示す。
【0064】
図6フロー・チャートの説明に戻ると、S104に進んで車速、横加速度、ヨーレートなど自車の状態を検出し、S106に進んで基準車両状態、具体的には制動力左右配分制御を行う際の基準車両状態を算出する。
【0065】
より具体的には、検出したヨーレートφドットから、基準ヨーレートφドットSを減算し、以下のようにヨーレート偏差Δφドットを求めることで行う。
Δφドット=φドット−φドットS
【0066】
上式でΔφドットとφドットSとが異符号のときはヨーレート不足(アンダーステア)であり、そのときは回頭制御を行う。同符号のときはヨーレート過剰であり、車両挙動の乱れを修正する安定制御を行うことになる。
【0067】
基準ヨーレートφドットSは車両10が出力すべきヨーレートを示し、操舵角度および車速に基づいて予め実測し、車両10の所定の伝達関数特性から求める。尚、この伝達関数特性の詳細は、第2の実施の形態で説明する。S106では同時に、車体滑り角β、操舵速度θドットHを算出する。
【0068】
次いでS108に進み、算出あるいは検出したヨーレート偏差Δφドット、車体滑り角β、操舵速度θドットHを、前記した3種のしきい値(ΔφドットB,βB ,θドットHB)とそれぞれ比較し、検出値(算出値)の全て、あるいは少なくともそのいずれかが、対応するしきい値以上か否か判断する。
【0069】
S108で3種のパラメータのいずれもがしきい値以上ではないと判断され、否定されるときは以下の処理をスキップすると共に、3種のパラメータのいずれかがしきい値以上と判断され、肯定されるときはS110に進み、(必要)制動力差ΔBを図示の如く算出する。図示の式において、右辺第1項はヨーレート偏差成分、第2項は車体滑り角成分、第3項は操舵速度成分である。
【0070】
ヨーレート偏差成分は、図9の制御マップに示す如く、ヨーレート偏差Δφドットの絶対値に応じて増加する係数ΔB1と、図10に示す前後加速度(車両10の進行方向加速度。検出車速の1階差分値)の絶対値に応じて増加する係数K1の積を算出することで求める。
【0071】
係数ΔB1は、アンダーステアでは回頭制御用の値(正値)が、オーバーステアでは安定制御用の値(負値)が使用される。
【0072】
車体滑り角成分は、図11の制御マップに示す、車体滑り角βの絶対値に応じて設定される係数ΔB2と、図12に示す車体滑り角速度βドット(微分値。検出滑り角βの1階差分値)の絶対値に応じて設定される係数K2の積を算出することで求める。
【0073】
係数ΔB2も、アンダーステアでは回頭制御用の値(正値)が、オーバーステアでは安定制御用の値(負値)が使用される。
【0074】
操舵速度成分は、図9の制御マップに示したヨーレート偏差Δφドットの絶対値に応じて増加する係数ΔB1と、図13に示す操舵速度θドットHに応じて増加する係数K3の積を算出することで求める。ヨーレート偏差に応じて増加するΔB1を再び用いることで、基準ヨーレートへの追従制御の応答性を上げることができる。
【0075】
上記のようにして算出されたΔB1,ΔB2,ΔB1と係数K1,K2,K3の積を合算し、左右輪の制動力差(操作量)ΔBが算出される。即ち、通常時に比して回頭性が上がるように、制動力差が増加させられる。
【0076】
次いで、S112に進んで左側の車輪WFL,WRLと、右側の車輪WFR,WRRとの間に算出された制動力差ΔBが生じるように各輪への配分が決定される。より詳しくは、前後加速度、旋回による車輪(タイヤ)接地加重変化、制動力、駆動力、横力などから、車輪(タイヤ)の余裕度を考慮して各輪への配分が決定される。
【0077】
具体的には、車両10がアンダーステア傾向を示すときの回頭制御にあっては、旋回内輪側の車輪の制動力が旋回外輪側の車輪の制動力よりも大きくなるように左右の制動力差を与える。また、車両10がオーバーステア傾向を示すときの安定制御にあっては、旋回内輪側の車輪の制動力が旋回外輪側の車輪の制動力よりも小さくなるように左右の制動力差を与える。
【0078】
次いでS114に進んで制動油圧、即ち、左側の車輪WFL,WRLと、右側の車輪WFR,WRRのブレーキキャリパに供給される油圧を決定し、S116に進んでアクチュエータ12を制御する。
【0079】
このとき、図8フロー・チャートのS300で肯定(接触可能性大)されるときはS302において図9、図11、図13に示す制御マップの特性が実線から破線に変更されることから、検索されるΔB1,ΔB2,ΔB3の値は増大する。従って、左右の駆動力差ΔBの値(操作量)も大きく設定され、回頭制御量が増加される。
【0080】
この実施の形態は上記の如く構成したことにより、障害物回避制御と車両挙動制御とを統合的に制御し、よって車両の操縦性を確保しつつ、障害物を回避するに十分な車両の挙動を実現することができる。
【0081】
具体的には、通常の状況では運転者の操舵との干渉を防止し、かつ、接触可能性が大きい状況では通常の状況よりも効果の高い回頭制御を行うことができ、運転者が回避操舵入力をした場合においても、障害物との接触を確実に回避することができる。また、操作量の算出時期を早めることで、運転者の意図に適合させることができる。また、操作量を増加することで、通常の状況より大きなヨーモーメントを発生させることができ、回頭性を上げて障害物との接触を確実に回避することができる。
【0082】
即ち、接触可能性が高い場合、運転者が操舵入力をしたとき、制動力左右配分制御手段が、自動ブレーキの作動に適合した制御で作用するため、アンダーステア傾向を示すときは、より早期に車両の操縦性および回頭性を確保することができる。
【0083】
このように、運転者が操舵を行うとき、制動力左右配分制御が迅速に行われ、その結果、回頭性を向上することができる。
【0084】
このとき、運転者が制御を強く感じても、接触可能性が大きいことを報知されているため、違和感をいだくことが少ない。また、自動ブレーキ作動時に大きく減速して操縦性が損なわれるような場合にも、制動力左右配分制御が迅速に機能することで、車両の操縦性が保たれる。同時に、障害物との接触を確実に回避することができる。
【0085】
図14はこの発明に係る車両の統合制御装置の第2の実施の形態を示す、図3の部分ブロック図である。
【0086】
図示の如く、第2の実施の形態においては、制動力左右配分制御手段は、基準ヨーレート変更手段44jを備える。基準ヨーレート変更手段jは、接触可能性信号に応じて基準ヨーレートの算出を変更する。
【0087】
図15はその基準ヨーレート変更手段の動作を示すフロー・チャートである。
【0088】
以下説明すると、S400において接触可能性信号を受信(入力)したか否か判断し、肯定されるときはS402に進み、基準ヨーレート算出のための伝達特性のゲインGと時定数Trを、GB、TrBと変更(決定)する。
【0089】
他方、S400で否定されるときはS404に進み、基準ヨーレート算出のための伝達特性のゲインGと時定数Trを、GN,TrNと変更(決定)する。このゲインGNと時定数TrNは、実測して求めた値に基づいており、第1の実施の形態で使用した値と同一である。ゲインGBはGNより大きく、時定数TrBはTrNより大きく設定される。
【0090】
次いでS406に進み、基準ヨーレートφドットSを図示の式に従って算出する。従って、S402で変更(設定)されたゲインおよび時定数に基づいて算出される基準ヨーレートは、S404で変更(設定)されたゲインおよび時定数に基づいて算出される値より大きい値となる。
【0091】
その結果、接触可能性が大きい場合、それ以外の場合に比して基準ヨーレートの値が速くかつ大きく立ち上がり、大きなヨーレート偏差がより早い時点で発生する。従って、より早い段階でヨーレート偏差のしきい値を超え、接触可能性が高くない場合に比較して制御開始時期を早めることができる。
【0092】
また、ヨーレート偏差が比較的大きくなることから、S110で算出される必要制動力差ΔBが増大し、回頭制御量が増大し、制御応答性が向上する。尚、残余の構成および効果は第1の実施の形態のそれらと異ならない。
【0093】
尚、図示の式において、伝達関数の中のω1,ω2は車両10の振動特性に関係する定数であり、接触可能性信号の受信の有無を問わず、同一値を用いる。
【0094】
また、第2の実施の形態にあっては、ある車両状態における接触可能性が高い場合とそうではない場合での基準ヨーレートの算出の変更を示したが、操舵角度に対するヨーレートの出力特性は車速によって変わるので、第1の実施の形態で触れた如く、基準ヨーレートは、操舵角度および車速に基づいて算出する。
【0095】
これらの実施の形態においては上記の如く、車両10の進行方向に存在する障害物を検知する障害物検知手段(レーザレーダ66,S10からS18)、前記障害物検知手段の出力に基づいて前記車両と前記障害物との接触の可能性を判定する接触可能性判定手段(S22)、前記接触可能性判定手段の判定結果に基づいて前記車両の制動装置を作動させる第1の制動制御手段(S26,S28)、少なくとも前記車両の挙動を示すパラメータ(ヨーレートφドット)を含む、前記車両の運動状態を検知する車両運動状態検知手段(ヨーレートセンサ58など、S20)、前記検知された車両の挙動を示すパラメータ(ヨーレートφドット)と基準値(基準ヨーレートφドットS)との偏差(ヨーレート偏差Δφドット)を求め、求められた偏差から予め設定された所定の特性を検索し、検索された値に基づいて前記車両の回頭性が上がるように操作量ΔBを算出する車両挙動制御手段(S100からS110)、前記算出された操作量に基づいて前記車両の車輪Wごとに制動装置(ブレーキキャリパB)を作動させる第2の制動制御手段(S112からS116)、を備えると共に、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の制動制御手段によって前記車両の制動装置が作動させられる前の警報段階において前記予め設定された所定の特性を変更し、よって前記警報段階において前記操作量を前記車両の回頭性が上がる方向に増加させる(S302)如く構成した。また、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記操作量の算出時期を早める(S202)如く構成した。
【0096】
また、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータ(ヨーレートφドット)と基準値(基準ヨーレートφドットS)との偏差(ヨーレート偏差Δφドット)を算出する偏差算出手段(S104,S106)、前記算出された偏差を第1のしきい値(Δφドット0)と比較する比較手段(S108)、前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段(S110)、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値を減少方向に変更するしきい値変更手段(S200,S202)、を備え、よって前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0097】
また、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差(ヨーレート偏差Δφドット)を算出する偏差算出手段(S104,S106)、前記算出された偏差を第1のしきい値(Δφドット0)と比較する第1の比較手段(S108)、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータ(操舵速度θドットH)を第2のしきい値(θドットH0) と比較する第2の比較手段(S108)、前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるか、あるいは、前記操舵に関するパラメータが第2のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差および前記操舵に関するパラメータに基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段(S110)、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値および第2のしきい値の少なくともいずれかを減少方向に変更するしきい値変更手段(S200,S202)、を備え、よって前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0098】
また、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差(ヨーレート偏差Δφドット)を算出する偏差算出手段(S104,S106)、前記算出された偏差を第1のしきい値(Δφドット0)と比較する第1の比較手段(S108)、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータ(操舵速度θドットH)を第2のしきい値(θドットH0) と比較する第2の比較手段(S108)、前記検知された運動状態に基づいて得られる車体滑り角βに関するパラメータを第3のしきい値(β0 )と比較する第3の比較手段(S108)、前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるか、あるいは前記操舵に関するパラメータが第2のしきい値以上と判断されるか、あるいは前記車体滑り角に関するパラメータが第3のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差、前記操舵に関するパラメータ、および前記車体滑り角に関するパラメータに基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段(S110からS114)、を備えると共に、前記障害物接触判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値、第2のしきい値、および第3のしきい値の少なくともいずれかを減少方向に変更するしきい値変更手段(S200,S202)を備え、よって前記操作量の算出時期を早める如く構成した。
【0100】
また、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差(ヨーレート偏差Δφドット)を求め、少なくとも前記偏差から予め設定された第1の所定の特性を検索する第1の検索手段(S104,S106)、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータ(操舵速度θドットH)から予め設定された第2の所定の特性を検索する第2の検索手段(S104,S106)、前記第1の検索手段および第2の検索手段の検索値に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段(S110からS114)、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の所定の特性および第2の所定の特性の少なくともいずれかを操作量が増加する方向に変更する特性変更手段(S300,S302)、を備え、よって前記操作量を車両の回頭性が上がる方向に増加させる如く構成した。
【0101】
また、前記車両挙動制御手段は、前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差(ヨーレート偏差Δφドット)を求め、少なくとも前記偏差から予め設定された第1の所定の特性を検索する第1の検索手段(S104,S106)、前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータ(操舵速度θドットH)から予め設定された第2の所定の特性を検索する第2の検索手段(S104,S106)、前記検知された運動状態に基づいて得られる車体滑り角に関するパラメータβから予め設定された第3の所定の特性を検索する第3の検索手段(S104,S106)、前記第1、第2、第3の検索手段の検索値に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段(S110からS114)、を備えると共に、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の所定の特性、第2の所定の特性および第3の所定の特性の少なくともいずれかを操作量が増加する方向に変更する特性変更手段(S300,S302)、を備え、よって前記操作量を車両の回頭性が上がる方向に増加させる如く構成した。
【0102】
また、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記基準値を変更する基準値変更手段(基準ヨーレート変更手段44j)、を備え、よって前記操作量の算出時期を早めるか、あるいは前記操作量を増加させる(S400からS402)如く構成した。
【0103】
また、前記基準値変更手段は、前記車両の伝達特性を変更して前記基準値を変更する(S400からS402)如く構成した。
【0104】
また、図5において2つの境界線は相対速度および相対距離が増加するにつれて増加、換言すれば、障害物との速度差が大きく、離間距離が大きいほど警報および自動ブレーキが作動されないように設定したが、図示の特性を車両10が走行する路面の摩擦係数μに応じて複数個設定し、検出された操舵角、操舵トルクおよび車速に基づいて摩擦係数μを推定し、それで選択するように構成しても良い。
【0105】
また、しきい値として操舵速度を用いたが、操舵トルクを用いても良く、緊急操舵を確実に検知するため、操舵角度と操舵速度を共に用いても良い。
【0106】
また、図5の警報ラインを下回った時点で接触可能性信号を発生(出力)するようにしたが、その信号発生時に警報を発生することにより、運転者に接触の可能性が大きいことが伝えられていれば良いので、自動ブレーキ作動ラインとの間の任意の距離で接触可能性信号を発生しても良い。
【0107】
また、接触可能性信号が発生されたとき、しきい値の全てを変更すると共に、制御マップの全ての特性を変更するようにしたが、一部のみ変更しても良い。
【0108】
また、自動ブレーキが作動する際に、制動力左右配分制御を変更し、自動ブレーキに適合した車両挙動制御を行う場合を示したが、その他の車両挙動制御で行っても良い。例えば、4輪操舵(4WS)制御において、後輪の操舵角を前輪と逆相に操舵することで回頭制御を、同相に制御することで安定制御を実現しても良い。
【0109】
また、接地荷重制御において、後輪側のロール剛性配分を大きめにすることで回頭制御を、小さめにすることで安定制御を行うことができる。従って、制動力左右配分の左右制動力差を後輪操舵角、あるいは後輪側ロール剛性配分に置き換えることで、この発明を実現することができ、同様の効果を得ることができる。
【0110】
物体をレーザレーダ66から検知したが、CCDカメラなどの視覚手段を用いて検知しても良い。
【0111】
【発明の効果】
障害物回避制御と車両挙動制御とを統合的に制御し、よって車両の操縦性を確保しつつ、障害物を回避するに十分な車両の挙動を実現することができる。
【0112】
即ち、通常の状況では運転者の操舵との干渉を防止し、かつ、接触可能性が大きい状況では通常の状況よりも効果の高い回頭制御を行うことができ、運転者が回避操舵入力をした場合においても、障害物との接触を確実に回避することができる。また、操作量の算出時期を早めることで、運転者の意図に適合させることができる。また、操作量を増加することで、通常の状況より大きなヨーモーメントを発生させることができ、回頭性を上げて障害物との接触を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る車両の統合制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1装置の中のアクチュエータの詳細を示す油圧回路図である。
【図3】図1装置の中のECUの構成を機能的に示すブロック図である。
【図4】図3のECUの中の自動ブレーキ制御手段の動作を示すフロー・チャートである。
【図5】図4フロー・チャートの接触可能性判断を行うときに使用するマップの特性の説明グラフである。
【図6】図3のECUの中の制動力左右配分制御手段の動作を示すフロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートの中のしきい値変更作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図8】図6フロー・チャートの中の制御マップ変更作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。
【図9】図6フロー・チャートの中の必要制動力差算出作業で用いる制御マップの特性を示す説明グラフである。
【図10】図6フロー・チャートの中の必要制動力差算出作業で用いる係数マップの特性を示す説明グラフである。
【図11】図6フロー・チャートの中の必要制動力差算出作業で用いる制御マップの特性を示す説明グラフである。
【図12】図6フロー・チャートの中の必要制動力差算出作業で用いる係数マップの特性を示す説明グラフである。
【図13】図6フロー・チャートの中の必要制動力差算出作業で用いる係数マップの特性を示す説明グラフである。
【図14】この発明の第2の実施の形態を示す、ECUの構成を機能的に示す、部分ブロック図である。
【図15】図14のECUの中の基準ヨーレート変更手段の動作を示すフロー・チャートである。
【符号の説明】
10 車両
12 アクチュエータ
44 ECU(電子制御ユニット)
52 操舵角センサ
54 操舵トルクセンサ
56 横加速度センサ
58 ヨーレートセンサ
60 車輪速センサ
64 警報装置
66 レーザレーダ(障害物検知手段)
B ブレーキキャリパ(制動装置)
W 車輪

Claims (9)

  1. a.車両の進行方向に存在する障害物を検知する障害物検知手段、
    b.前記障害物検知手段の出力に基づいて前記車両と前記障害物との接触の可能性を判定する接触可能性判定手段、
    c.前記接触可能性判定手段の判定結果に基づいて前記車両の制動装置を作動させる第1の制動制御手段、
    d.少なくとも前記車両の挙動を示すパラメータを含む、前記車両の運動状態を検知する車両運動状態検知手段、
    e.前記検知された車両の挙動を示すパラメータと基準値との偏差を求め、少なくとも前記求められた偏差から予め設定された所定の特性を検索し、検索された値に基づいて前記車両の回頭性が上がるように操作量を算出する車両挙動制御手段、
    f.前記算出された操作量に基づいて前記車両の車輪ごとに制動装置を作動させる第2の制動制御手段、
    を備えると共に、前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の制動制御手段によって前記車両の制動装置が作動させられる前の警報段階において前記予め設定された所定の特性を変更し、よって前記警報段階において前記操作量を前記車両の回頭性が上がる方向に増加させることを特徴とする車両の統合制御装置。
  2. 前記車両挙動制御手段は、前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記操作量の算出時期を早めることを特徴とする請求項1項記載の車両の統合制御装置。
  3. 前記車両挙動制御手段は、
    g.前記検知された車両の挙動を示すパラメータと基準値との偏差を算出する偏差算出手段、
    h.前記算出された偏差を第1のしきい値と比較する比較手段、
    i.前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、
    を備えると共に、
    j.前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値を減少方向に変更するしきい値変更手段、
    を備え、よって前記操作量の算出時期を早めることを特徴とする請求項2項記載の車両の統合制御装置。
  4. 前記車両挙動制御手段は、
    k.前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を算出する偏差算出手段、
    l.前記算出された偏差を第1のしきい値と比較する第1の比較手段、
    m.前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータを第2のしきい値と比較する第2の比較手段、
    n.前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるか、あるいは、前記操舵に関するパラメータが第2のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差および前記操舵に関するパラメータに基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、
    を備えると共に、
    o.前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値および第2のしきい値の少なくともいずれかを減少方向に変更するしきい値変更手段、
    を備え、よって前記操作量の算出時期を早めることを特徴とする請求項2項記載の車両の統合制御装置。
  5. 前記車両挙動制御手段は、
    p.前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を算出する偏差算出手段、
    q.前記算出された偏差を第1のしきい値と比較する第1の比較手段、
    r.前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータを第2のしきい値と比較する第2の比較手段、
    s.前記検知された運動状態に基づいて得られる車体滑り角に関するパラメータを第3のしきい値と比較する第3の比較手段、
    t.前記算出された偏差が前記第1のしきい値以上と判断されるか、あるいは前記操舵に関するパラメータが第2のしきい値以上と判断されるか、あるいは前記車体滑り角に関するパラメータが第3のしきい値以上と判断されるとき、少なくとも前記偏差、前記操舵に関するパラメータ、および前記車体滑り角に関するパラメータに基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、
    を備えると共に、
    u.前記障害物接触判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1のしきい値、第2のしきい値、および第3のしきい値の少なくともいずれかを減少方向に変更するしきい値変更手段、
    を備え、よって前記操作量の算出時期を早めることを特徴とする請求項2項記載の車両の統合制御装置。
  6. 前記車両挙動制御手段は、
    v.前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を求め、少なくとも前記偏差から予め設定された第1の所定の特性を検索する第1の検索手段、
    w.前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータから予め設定された第2の所定の特性を検索する第2の検索手段、
    x.前記第1の検索手段および第2の検索手段の検索値に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、
    を備えると共に、
    y.前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の所定の特性および第2の所定の特性の少なくともいずれかを操作量が増加する方向に変更する特性変更手段、
    を備え、よって前記操作量を車両の回頭性が上がる方向に増加させることを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれかに記載の車両の統合制御装置。
  7. 前記車両挙動制御手段は、
    z.前記検知された車両の挙動を示すパラメータと前記基準値との偏差を求め、少なくとも前記偏差から予め設定された第1の所定の特性を検索する第1の検索手段、
    α.前記検知された運動状態に基づいて得られる操舵に関するパラメータから予め設定された第2の所定の特性を検索する第2の検索手段、
    β.前記検知された運動状態に基づいて得られる車体滑り角に関するパラメータから予め設定された第3の所定の特性を検索する第3の検索手段、
    γ.前記第1、第2、第3の検索手段の検索値に基づいて前記操作量を算出する操作量算出手段、
    を備えると共に、
    δ.前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記第1の所定の特性、第2の所定の特性および第3の所定の特性の少なくともいずれかを操作量が増加する方向に変更する特性変更手段、
    を備え、よって前記操作量を車両の回頭性が上がる方向に増加させることを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれかに記載の車両の統合制御装置。
  8. 前記車両挙動制御手段は、
    ε.前記接触可能性判定手段によって接触の可能性があると判定されるとき、前記基準値を変更する基準値変更手段、
    を備え、よって前記操作量の算出時期を早めるか、あるいは前記操作量を増加させることを特徴とする請求項1項ないし7項のいずれかに記載の車両の統合制御装置。
  9. 前記基準値変更手段は、前記車両の伝達特性を変更して前記基準値を変更することを特徴とする請求項8項記載の車両の統合制御装置。
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