JPH05234729A - 希土類−鉄−窒素系磁石粉末及びその製造方法 - Google Patents

希土類−鉄−窒素系磁石粉末及びその製造方法

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JPH05234729A
JPH05234729A JP4085126A JP8512692A JPH05234729A JP H05234729 A JPH05234729 A JP H05234729A JP 4085126 A JP4085126 A JP 4085126A JP 8512692 A JP8512692 A JP 8512692A JP H05234729 A JPH05234729 A JP H05234729A
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powder
particles
magnet powder
plating
electrolytic plating
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Toshio Mukai
俊夫 向井
Tatsuo Fujimoto
辰雄 藤本
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耐食性が良くて高保磁力を有する
Sm−Fe−N系磁石粉末とその製造方法を提供する。 【構成】 本発明は、ZnとCuからなる電解めっき膜
でSm−Fe−N粒子の表面を覆うことにより表面改質
の行われた磁石粉末に関するものである。本発明によ
り、従来よりも約5倍大きい粒子径(〜20μm)の磁
石粉末においても高保磁力が得られる。Znの均一被着
は、まずCuを磁石粒子に被着し、その上に電解めっき
法を用いて行うことにより可能である。表面改質は、熱
処理によるめっき膜と磁石粒子表面の反応により行われ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気特性と耐食性が改
善されたR−Fe−N系磁石粉末(ただし、RはSmを
主体とする希土類元素)及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】金属間化合物SmFe17を窒化する
ことにより、高い異方性磁界を有する一軸異方性の窒化
化合物SmFe17(x〜3)が生成される(特
開平2−57663号公報,ヨーロッパ特許公報EP0
369097−A1,又はJ.M.D.Coey an
d H.Sun,J.Magn.Magn.Mat,8
7(1990)L251)。
【0003】この際の窒化は、アンモニアガス(N
)、窒素ガス(N)、もしくはそれらのどちらか
のガスと水素ガス(H)の混合ガスの雰囲気中で、3
00〜600℃の温度で加熱することにより行われる
(NHを窒化に用いると、Hがわずかに窒化化合物中
に残存し、正確にはSm−Fe−N−H系になるが、こ
こではそれもSm−Fe−N系に含める)。
【0004】生成された窒化化合物は通常の機械的な粉
砕により容易に粉末にすることができる。ここで、粉末
粒子の大きさを小さくするに従い、粉末の固有保磁力
(以下、単に保磁力と記す)が大きくなることが知られ
ている。例えば、前記の特許公報EP0369097−
A1においては、粉末の平均粒子径を4μm程度にする
と、保磁力が5〜7kOeになることが示されている。
【0005】上記のようにして作製された粒子径4μm
の粉末は、エポキシ等の樹脂を加え、混練ののちに、プ
レス成形することにより、ボンド磁石にすることができ
る。粉末粒子が単結晶であれば、磁場中でプレス成形す
ることにより異方性ボンド磁石を作製することができ
る。
【0006】ここで問題になるのは、磁石粉末の耐食性
である。一般に、希土類元素と鉄を主成分とする合金は
酸化され易く、5μm以下の微粒子にすると、室温ない
し100℃程度の磁石の使用環境においても安定性が良
くない。上記のSm−Fe−N粉末の場合にも、2μm
の粉末では、125℃における放置実験で時間の経過と
ともに著しく保磁力が低下することが示されている(米
山他,日本金属学会分科会シンポジウム予稿集(199
1)p.40)。
【0007】したがって、上記のような5μm以下の粉
末を成形してボンド磁石を作製したとしても、耐食性の
面から実用に供することはできない。この問題を解決す
る技術は現在のところ提供されていない。
【0008】耐食性を上げるには粉末の粒子径を大きく
すればよい。例えば、特許公報EP0369097−A
1において示されているように、平均粒子径が40μm
のSm−Fe−N粉末は、空気中150℃における放置
でも磁気特性の劣化は少ない。ところが、粉末粒子径を
5μm以上にすると、従来のSm−Fe−N粉末では保
磁力が小さくなり、ボンド磁石用の粉末として供するこ
とができない。
【0009】例えば、粒子径が20μm程度のSm−F
e−N粉末の保磁力は0.5kOe程度である。ボンド
磁石として実用に供するには、粒子の保磁力は2kOe
以上、望ましくは4kOe以上が必要である。以上のよ
うに、耐食性と磁気特性の両方を満足する磁石粉末は、
Sm−Fe−N系では得られていないのが現状である。
【0010】特許公報EP0369097−A1又は特
開平3−153852号公報においては、Zn粉末をS
m−Fe−N粉末に添加し、機械的に混合の後にホット
プレスすることにより、保磁力の高い焼結磁石が得られ
ることが示されている。また、Zn粉末とSm−Fe−
N粉末の混合物を冷間でプレス成形し、その成形体を4
00〜500℃で熱処理することが試みられている(鈴
木他,粉体粉末冶金協会,平成3年春季大会,概要集
p.278)。その結果、成形体の保磁力がSm−Fe
−N粉末単体のそれよりも高くなることが示されてい
る。
【0011】以上の結果は、Sm−Fe−N粒子にZn
を被着し、熱処理すれば、保磁力が上がることを示唆す
るものである。しかしながら、Zn粉末とSm−Fe−
N粉末とを機械的に混合する従来の方法では、微細なS
m−Fe−N粒子の表面に均一に薄くZnを被着するこ
とは不可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】R−Fe−N系(ただ
し、RはSmを主体とする希土類元素)の磁石粉末の耐
食性は、粉末粒子径を大きくすれば改善される。本発明
で解決しようとする課題は、粒子径の大きいR−Fe−
N系磁石粉末において高保磁力を得ることである。
【0013】本発明は、電解めっき法により、Sm−F
e−N粒子の表面に、Znを被着することを特徴とす
る。金属の微細粒子に電解めっきすることは、電導性の
良いCu,Wなどの粒子については成功している(竹島
他,表面技術Vol.41(1990)p.65)。し
かしながら、希土類と鉄を含む合金については報告がな
い。一般に、希土類と鉄を含む合金の粉末は、粉末粒子
表面に酸化膜が容易に形成されるために電導性が悪く、
電解めっきが困難である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、R−Fe−N粒子の表面改質を選び、
それによる保磁力向上を図った。その結果、ZnとCu
からなる電解めっき膜をR−Fe−N粒子の表面上に形
成し、表面を改質することにより、高保磁力が得られる
という知見をもつに至った。
【0015】本発明は、かかる知見にもとづいてなされ
たもので、R−Fe−N系磁石粉末において、上記粉末
の粒子の表面がZnとCuからなる電解めっき膜で覆わ
れていることに特徴を有する。
【0016】本発明の磁石粉末においては、粒子径が5
〜50μmであっても2kOe以上の保磁力を得ること
ができる。また、ZnとCuからなる電解めっき膜の被
着量が、被着後の磁石粉末の重量の1%以上、20%以
下であれば、高い飽和磁化を有する磁石粉末を得ること
ができる。
【0017】本発明の製造方法は、R−Fe−N系磁石
粉末の粒子表面上にCuを被着の後にZnを電解めっき
法により被着し、ついでその被着粉末を300〜600
℃の温度で熱処理することに特徴を有する。
【0018】本発明による磁石粉末は、樹脂で結合して
ボンド磁石となし、小型モータ等の電子機器に応用して
有用である。
【0019】
【作用】希土類−鉄系の合金を粉砕して微粒子にする
と、粒子の表面は凹凸のある破壊面になり、その表面に
は格子歪みが生じている可能性がある。また、希土類−
鉄系合金は化学的に活性であるので、大気中においては
粉砕後の粒子の表面には酸化膜(又は水酸化膜)が形成
されていると考えるのが妥当である。
【0020】R−Fe−N系(ただし、RはSmを主体
とする希土類元素)の磁石粉末においては、上記のよう
な表面層の変質が粉末の保磁力を下げていると予想され
る。これをミクロにみると、粒子の表面の変質部からは
逆磁区が発生し易くなり、そのために保磁力が低くなる
と考えることができる(逆磁区とは、ある方向に粒子を
磁化した後に、その方向と反対方向に磁場をかけたとき
に生じる逆方向の磁化をもった領域を言い、それが発生
しにくいほど保磁力は高い)。
【0021】本発明者らは、従来のR−Fe−N系磁石
粉末では、粒子表面から逆磁区が発生しやすく、本来期
待されるべき保磁力が得られていないと推察した。
【0022】そこで、本発明者らは、R−Fe−N粒子
の表面状態を変えるために、Znを電解めっき法で被着
し、熱処理を行うことを試みた。対象とする粒子が、極
めて酸化性の高い物質で、かつ大きさが50μm以下と
小さいので、粉末めっきそのものが従来技術の範囲を超
えている。
【0023】R−Fe−N粒子は、上述のように表面に
酸化膜が形成されていること、さらに水を溶媒とする電
解液中では表面に水素化物ができやすいことの2つの理
由により、電導性が極めて悪い。また、Zn2+の還元
電位はHのそれよりも卑の方向に大きいので、電解め
っきに際してはHの発生が優先する。このような理由
により、通常の粉末めっき法では、Znの単独めっきは
困難である。
【0024】種々検討の結果、まず少量のCuをR−F
e−N粒子の表面に被着し、ついでZnの電解めっきを
行うと、Znの被着が可能であることを見い出したので
ある。本発明の電解めっき法によれば、めっき浴及びめ
っき条件の選択により、1μm以下の微細なZn粒子か
らなる均一な皮膜が得られる。
【0025】Znの電解めっき膜で覆われたR−Fe−
N粒子を300〜600℃で熱処理することにより、Z
nの関与する表面反応でR−Fe−N粒子の表面状態を
改質することができる。そのメカニズムとしては、被着
Znの一部がR−Fe−N粒子の表面近傍の変質層と反
応し、それを磁気的に無害なものにする作用を想定する
ことができる。
【0026】すなわち、表面の逆磁区発生サイトが減少
し、その結果保磁力が向上する効果を期待することがで
きる。本発明者らは、Cuを下地としたZnの電解めっ
き膜で覆われたR−Fe−N粒子において、上記の熱処
理により高い保磁力が得られることを見い出したのであ
る。Zn皮膜は、鉄鋼材料において経験されるように、
犠牲防食効果があるので、磁石粒子の耐食性を上げるこ
とにも効果がある。
【0027】以下、本発明の詳細を、処理の順に記述す
る。R−Fe−N系磁石粉末におけるRとしては、Sm
が主体であることが必須であるが、Rの一部が他の希土
類元素であっても差し支えない。以下、Sm−Fe−N
系として説明する。
【0028】一軸異方性の窒化化合物SmFe17
はSmFe17粉末を窒化することによって作製で
きる。SmFe17粉末は、通常の溶解法で得たイン
ゴットを溶体化処理の後に粉砕することによって得られ
る。SmFe17粉末の粒子径は、その後の窒化の時
間を短縮するために、100μm以下であることが望ま
しい。
【0029】SmFe17粉末の窒化は、N又はN
のガス中、あるいはそれらのどちらかのガスとH
との混合ガス中で粉末を加熱することによって行われ
る。窒化は、600℃以下の温度で行われるべきであ
る。なぜなら、600℃以上では、窒化化合物Sm
17は不安定で分解するからである。SmFe
17の窒素量を表すxは6まで可変であるが、x=
3近傍のときが最も異方性磁界が大きく、磁石粉末とし
て適する。ここで、窒化粉末の粒子径は、窒化前のSm
Fe17粉末の粒子径で調整してもよいし、窒化後の
粉末をさらに粉砕して調整してもよい。
【0030】本発明においては、Sm−Fe−N粒子に
まずCuを被着し、ついでZnを電解めっき法で被着す
る。まず、Cuの被着であるが、これは無電解めっき
法、電解めっき法のどちらを用いてもよいが、電解めっ
きの方が析出Cu粒子のサイズが細かく好適である。電
解めっきは、アノードをCu板にし、カソード側に粉末
を配置して、電流を流すことにより行われる。ここで、
粉末とカソードが導電性を保つ状態で、粉末を撹拌する
ことにより、全粒子に亘って均一なめっきを行うことが
できる。
【0031】電解めっき浴の組成の選択にあたっては、
浴のpHが6以下であることが必要である。なぜなら
ば、pHが6未満の酸性浴(例えば、硫酸銅を用いる
浴)を用いると、Sm−Fe−N粒子からSm,Feが
浴中に溶出するからである。pHが6以上の浴として
は、シアン化銅(CuCN)を用いる浴、ピロリン酸銅
(Cu・3HO)を用いる浴などがある
が、安全性と汎用性の点からピロリン酸銅を用いる浴が
好適である。
【0032】Cuの被着はZnめっきの下地として行う
ものであるから、被着Cu層はできる限り均一で、析出
粒子のサイズは1μm以下であることが望ましい。ま
た、熱処理時のZnとSm−Fe−N粒子の表面層の反
応が効果的に行われるためには、Cuの被着量は被着Z
n量の1/4以下であることが望ましい。
【0033】次に、Znの電解めっきであるが、これ
は、Cuを被着したSm−Fe−N粒子に対しては、比
較的簡単に行うことができる。なぜならば、Cuに覆わ
れたSm−Fe−N粒子は良好な導電性を示すからであ
る。また、粒子からのSm,Feの溶出が起こらないた
めに、浴としては酸性浴もアルカリ浴も用いることがで
きる。例えば、硫酸亜鉛(ZnSO・7HO)を用
いる浴、酸化亜鉛(ZnO)を溶かしたジンケート浴、
シアン化亜鉛(Zn(CN))を用いる浴が知られて
いるが、どれを用いても良い。
【0034】Znの電解析出は下地のCu層の上に起こ
るので、Znめっきの質は下地のCu層の質に大きく影
響される。一般に、Cu層が緻密なものであれば、Zn
層も緻密なものができる。均一性の観点から、Znの電
解析出粒子のサイズは1μm以下であることが望まし
い。ここで、Znの被着量は、被着後の磁石粉末の重量
の1%以上、20%以下であることが必要である。Zn
の被着量が1%未満では被着粉末において充分な保磁力
が得られず、20%を超えると飽和磁化の低下を無視で
きなくなる。
【0035】Znを電解めっき後に、300〜600℃
で熱処理を行う。この熱処理により、Znと下地のCu
は合金化する。次に、合金層中のZn(又はZnとCu
の双方)がSm−Fe−N粒子の表面変質層と反応し、
表面を改質する。これにより、処理後の粉末において高
保磁力を得ることができる。
【0036】ここで、熱処理は、Znが酸化もしくは蒸
発をしないように、Ar等の不活性雰囲気で行う必要が
ある。熱処理温度は、300℃以下では表面改質反応が
進行せず、600℃以上ではSm−Fe−N粒子の構造
が不安定になり他の相に分解する。
【0037】
【実施例】実施例1 原子百分率でFe−10.5%Sm(SmFe17
の組成のインゴットを通常の溶解・鋳造法により作製
し、それに1000℃で20時間の溶体化処理を施し
た。溶体化後のインゴットをスタンプミルにより粉砕
し、分級することにより粒子径が22〜26μm(平均
粒径24μm)の粉末を得た。この粉末を窒素ガス中の
500℃で14時間保つことにより、組成がSmFe
172.6の窒化粉末を得た。
【0038】窒化粉末にCuの電解めっきを施し、引き
続きZnの電解めっきを施した。めっき液の組成とめっ
き条件を表1に示す。粉末のめっきは、アノードにCu
又はZnの板を用い、カソード側に粉末を滞留させ、ア
ノードとカソード間に一定の電流を流すことにより行っ
た。ここで、粉末とカソード間で導電性がある状態を維
持しながら、粉末を撹拌した。これにより全粒子に亘っ
て均一なめっきを行うことができた。ここで、Cuのめ
っき時間は5分間にし、Znのめっき時間を60分まで
変化させた。ピロリン酸銅のめっき液中ではCuの電析
速度は非常に遅いので、被着したCu量はわずかであ
る。
【0039】次に、めっきした粉末にアルゴン雰囲気中
で470℃で2時間の熱処理を施した。熱処理後の粉末
につき、振動試料型磁力計(VSM)により磁気測定を
行った。試料は、粉末を樹脂中に浸漬し、磁場を印加す
ることにより粉末粒子を配向させ、そのまま樹脂を硬化
させることにより作製した。測定方向は、配向磁場の方
向である。図1に、飽和磁化σ(emu/g)と保磁
(kOe)を、Znのめっき時間に対して示
す。
【0040】Znの被着量は、Znのめっき時間が30
分間のときに、磁石粉末の重量の約20%である。図か
らわかるように、めっき前の粉末の保磁力が0.3kO
eであるのに対し、めっき後に熱処理を施したものにつ
いては、3kOe近傍の保磁力が得られている。
【0041】図2(a),(b)には、Cuめっき後に
Znめっきを15分間行い、470℃で2時間の熱処理
を施した磁石粒子の外観を示す走査電子顕微鏡(SE
M)による写真を示す。Zn粒子径が1μm以下の電解
めっき膜によってSm−Fe−N粒子が均一に覆われて
いるのがわかる。
【0042】磁石粒子の断面におけるZnとCuとの分
布を、EPMAによって調べた。図3(a)は、SEM
による粒子断面を表す写真、図3(b)と(c)は、そ
れぞれZnとCuの特性X線像である。ZnとCuが同
位置に検出され、Sm−Fe−N粒子を囲む電解めっき
膜がZnとCuの合金になっているのがわかる。
【0043】
【表1】
【0044】実施例2 組成がSmFe172.6で、粒子径が5〜22μ
m(平均粒径14μm)の窒化粉末を、実施例1と同様
の方法で用意した。実施例1と同じめっき浴、めっき条
件を用い、窒化粉末にCuの電解めっきを15分間施
し、引き続きZnの電解めっきを15分間施した。
【0045】次に、めっきした粉末にアルゴン雰囲気中
で470℃で2時間の熱処理を施した。熱処理後の粉末
につき、実施例1と同様の方法で測定試料を作製し、V
SMにより磁気測定を行った。
【0046】測定方向は配向磁場方向である。図4に、
めっき後に熱処理を施した試料の減磁曲線を、めっき前
のものと比較して示す。
【0047】本発明の処理により、保磁力が0.7kO
eから6.8kOeに向上している。めっき後に熱処理
した粉末の残留磁束密度Bは11.8kG、最大エネ
ルギー積(BH)maxは19.1MGOeであった
(粉末粒子の真密度を7.74g/cmとして計
算)。
【0048】実施例3 磁石粉末の耐食性の試験を行った。試験にはSmFe
172.6の組成の粉末を用いた。本発明例として
は、実施例2で記したCu+Znのめっき処理を施した
粉末(平均粒径:14μm)を用い、比較例としては、
めっき処理を施していない平均粒径3μmの粉末を用い
た。両方の粉末の保磁力は同程度である。耐食性試験と
して、大気中、湿度無調整の条件下で、100℃に粉末
を加熱し、その温度で25時間保定する熱処理を施し
た。表2には、その熱処理により生じた粉末の重量増加
と熱処理前後の磁気特性を示す。比較例の粉末は、酸化
によると思われる大きな重量増加を示し、それに対応し
て保磁力が大きく減少した。本発明例の粉末は、重量増
加はほとんど無く、磁気特性の変化も少なかった。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明の実施により、磁気特性と耐食性
が改善されたR−Fe−N系磁石粉末(ただし、RはS
mを主体とする希土類元素)の提供が可能になる。この
磁石粉末を樹脂と混合の後に成形することにより、高性
能のボンド磁石を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気特性とZnの電解めっき時間の関係の図表
である。
【図2】(a)は、電解めっき後に470℃で熱処理を
施した磁石粒子の外観を表す走査電子顕微鏡(SEM)
による組織写真である。(b)は、その一部を拡大した
表面組織写真である。
【図3】(a)は、電解めっき後に470℃で熱処理を
施した磁石粒子の断面を表すSEMによる組織写真であ
る。(b),(c)は、それぞれ、磁石粒子断面におい
て観察したZnとCuの特性X線像である。
【図4】電解めっき前と電解めっき+熱処理後の磁石粉
末の減磁曲線の図表である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】R−Fe−N粒子は、上述のように表面に
酸化膜が形成されていること、さらに水を溶媒とする電
解液中では表面に水酸化物ができやすいことの2つの理
由により、電導性が極めて悪い。また、Zn2+の還元電
位はH+ のそれよりも卑の方向に大きいので、電解めっ
きに際してはH2 の発生が優先する。このような理由に
より、通常の粉末めっき法では、Znの単独めっきは困
難である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/08 A 7371−5E

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Smを主体とする希土類元素(以下、R
    で示す)とFeとNを主成分とするR−Fe−N系磁石
    粉末において、前記磁石粉末の粒子の表面がZnとCu
    からなる電解めっき膜で覆われていることを特徴とする
    R−Fe−N系磁石粉末。
  2. 【請求項2】 粒子径が5〜50μmの磁石粉末で、そ
    の保磁力が2kOe以上であることを特徴とする請求項
    1記載のR−Fe−N系磁石粉末。
  3. 【請求項3】 ZnとCuからなる電解めっき膜の被着
    量が、被着後の磁石粉末の重量の1%以上、20%以下
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のR−Fe
    −N系磁石粉末。
  4. 【請求項4】 Smを主体とする希土類元素(以下、R
    で示す)とFeとNを主成分とするR−Fe−N系磁石
    粉末の製造方法において、上記磁石粉末の粒子の表面に
    Cuを被着の後にZnを電解めっき法により被着し、つ
    いでその被着粉末を300〜600℃の温度で熱処理す
    ることを特徴とするR−Fe−N系磁石粉末の製造方
    法。
JP4085126A 1992-02-21 1992-02-21 希土類−鉄−窒素系磁石粉末及びその製造方法 Withdrawn JPH05234729A (ja)

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Cited By (7)

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