JPH0523327Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は多数個の密閉室を形成してなる合成樹
脂気泡フイルムに係り、特に透明性、緩衝性、電
磁波遮蔽性、静電気障害防止性に優れる導電性気
泡フイルムに関するものである。

（従来の技術） 多数の凹部を有する合成樹脂フイルムに平坦な
合成樹脂フイルムを展着して多数個の密閉室を形
成する合成樹脂気泡フイルムは知られている。該
気泡フイルムは断熱性、緩衝性にすぐれるものと
して広く使用されている。

導電性を付与するために、下記のような従来技
術が知られている。

例えば合成樹脂フイルム内に炭素粉、金属粉を
含有するものや、金属酸化物や導電性有機化合物
をフイルムの表面にコートしたもの等が上げられ
る。

しかし炭素粉、金属粉を含有する導電性フイル
ムは比較的安価に製造し得るが透明性にかける。
フイルムに金属酸化物や導電性有機化合物をコー
トした導電性フイルム中には透明性を有するもの
もあるがフイルムに塗布後導電材の溶剤あるいは
分散剤の除去のため乾燥等の工程が必要なので製
品が高価になる欠点を持つ。更にこれら導電性フ
イルムは、比較的安価な導電性紙と比較して耐水
性、強度の点ですぐれているが、静電気を嫌う
ICプリント回路実装基板、電子機器等の包装に
使用した場合、被包装物を外部応力から保護する
緩衝性において紙よりすぐれているとは言えな
い。

一方、前記合成樹脂気泡フイルムとしてフイル
ム中に帯電防止剤を練り込み表面抵抗値10⁹ない
し10¹⁰Ω程度の帯電防止性を与えたものや、炭素
粉を含有せしめたものは採用されている。しかし
ながら界面活性剤系の帯電防止剤を練りこんだフ
イルムの表面抵抗値は湿度依存性が大きく、低湿
度になると表面抵抗値は上昇し帯電防止効果が低
下するという欠点を持つほかに、電子機器を外部
からの電波騒音より守る電磁波の遮蔽効果はほと
んど示さない。また炭素粉を含むものは包装物の
内容品がまつたく見えず、フイルムの商品価値は
小さい。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は前記事情に鑑みてなされたものであ
り、緩衝性、断熱性にすぐれる合成樹脂気泡フイ
ルムに更に透明性、導電性、帯電防止性を付与せ
しめ、広範囲の用途に供し得る導電性気泡フイル
ムを提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案はこのために、多数の凹部を形成してな
る合成樹脂フイルムに平坦な合成樹脂フイルムを
展着して多数個の密閉室を有する合成樹脂気泡フ
イルムを形成するに際し、前記合成樹脂フイルム
のうちの少なくとも一枚の合成樹脂フイルムは、
透視可能な導電性アクリル繊維含有フイルムより
なり、該透視可能な導電性アクリル繊維含有フイ
ルムを用いない前記合成樹脂フイルムは、非導電
性合成樹脂フイルム又は帯電防止性合成樹脂フイ
ルムよりなり、これ等により合成樹脂気泡フイル
ムを成形すべくした導電性気泡フイルムを手段と
したものである。第１図に本考案により製造され
た導電性気泡フイルムを示す。多数の凹部１を形
成する合成樹脂フイルム２は例えば帯電防止性合
成樹脂フイルムを用い、平坦な合成樹脂フイルム
３は導電性アクリル繊維含有フイルムから形成さ
れる。合成樹脂フイルム２，３は既に特公昭38−
330、特公昭52−44357等に示される気泡フイルム
製造方法に基づき一体的に融着形成される。すな
わち真空源から真空が供給され多数個の凹部を持
つ加熱ロール（以下Ａロールという）と、これと
微小間隙をへだてて対峙する加熱加圧ロール（以
下Ｂロールという）および加熱ロール（以下Ｃロ
ールという）とから形成され成形機Ｄにより容易
に製造することができる。すなわちフイルム送り
機よりフイルムはＢロール、Ｃロールにそれぞれ
供給される。Ｃロールで加熱されＡロールに供給
されたフイルムは、Ａロールに供給される真空の
作用によりＡロールに密着し凹部が形成される。

一方、Ｂロールに供給されたフイルムは加熱さ
れると同時にＡロール上のフイルムの凹部外の部
分に加圧展着され連続的に密閉室を持つ気泡フイ
ルムが製造される。Ａロールの凹部の数、形状、
大きさをかえることにより任意の形状を持つ気泡
フイルムを製造し得る。合成樹脂フイルムとして
は前記の如く、少なくとも一枚の合成樹脂フイル
ムは透視可能な導電性アクリル繊維含有フイルム
よりなり、該透視可能な導電性アクリル繊維含有
フイルムを用いない前記合成樹脂フイルムは、非
導電性合成樹脂フイルム又は帯電防止性合成樹脂
フイルムを用いる。第２図は多数の凹部１を有す
る合成樹脂フイルム２ａの解放側に平坦な合成樹
脂フイルム３ａを展着した二層構造のもので、こ
の双方又はいづれか１つが導電性アクリル繊維含
有フイルムから形成されるものである。第３図は
多数の凹部１を有する合成樹脂フイルム２ｂに平
坦な合成樹脂フイルム３ｂおよび４を展着した三
層構造のもので、合成樹脂フイルム２ｂ，３ｂの
双方又はいづれか１つが非導電性合成樹脂フイル
ム又は帯電防止性合成樹脂フイルムから形成さ
れ、合成樹脂フイルム４を導電性アクリル繊維含
有フイルムから形成せしめたものである。また第
４図は同じく合成樹脂フイルム２ｂ，３ｂを第３
図と同様のものから形成せしめると共に、合成樹
脂フイルム３ｂの上に更に導電性アクリル繊維含
有フイルムからなる平坦な合成樹脂フイルム４を
展着せしめた三層構造のものから形成される。三
層構造のものは二層構造の補強と共に比較的高価
な導電性アクリル繊維含有フイルム４の厚さを減
少せしめ材料費の節減をはかるためのものであ
る。更に第５図は多数の凹部を有する合成樹脂フ
イルム２ｃおよびこれに展着する平坦な合成樹脂
フイルム３ｃを非導電性合成樹脂フイルムから形
成し、その両面に導電性アクリル繊維含有フイル
ム４を展着せしめた四層構造のもので、更に強度
補強をねらつたものである。勿論、合成樹脂フイ
ルムの組合せは前記に限定するものでない。

本考案に使用される導電性アクリル繊維含有フ
イルムとしては導電性アクリル系繊維を含有する
合成樹脂フイルムが採用され、非導電性および帯
電防止性合成樹脂フイルムとしてはポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフイン類、ナイ
ロン、ポリエステル等の合成樹脂が使用される。
いづれも透明性を有するものである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を説明する。

実施例１ 凹部１を有する合成樹脂フイルム（以
下、凹部面用という）として厚さ50μmの帯電
防止剤含有ポリエチレンフイルムを用い、平坦
な合成樹脂フイルム（以下、平坦面用という）
としては厚さ100μmの導電性アクリル繊維含有
ポリエステルフイルムを用い、前記の成形機に
より、直径６mm、高さ５mmの円筒状の多数の密
閉室を持つ第２図に示す構造の気泡フイルムを
製造した。得られた気泡フイルムのJISK−
6911（測定条件23℃、65％RH）及びASTM−
D257（測定条件23℃、48％RH）に準拠した方
法による表面抵抗の測定値は、凹部面用は
3X10¹⁰Ω、平坦面用は5X10²Ωを示した。又
JISK−6717に準拠した方法による全光線透過
率は75％を示した。この気泡フイルムの平坦面
用は良好な導電性を示し、又気泡フイルムは透
視可能であることを示す。

実施例 ２ 低密度ポリエチレンを１原料として特公昭52−
44357に記載された方法により、凹部と平坦部の
融着部の厚さ70μmのポリエチレン気泡フイルム
を製造する過程でフイルム送り機より厚さ30μm
の導電性アクリル繊維含有ポリエチレンフイルム
を供給し、これを気泡フイルムの凹部面に展着し
第３図の形状の気泡フイルムを連続的に製造し
た。なお密閉室の形状は実施例１と同様である。
得られた気泡フイルムの凹部展着面用、平坦面用
の表面抵抗の測定値はそれぞれ5X10²Ω、3X10¹⁶
Ωを示した。又その全光線透過率は78％を示し
た。

実施例 ３ 実施例２と同様にしてポリエチレン気泡フイル
ムを製造する過程で、厚さ30μmの導電性アクリ
ル繊維含有ポリエチレンフイルムをポリエチレン
気泡フイルムの凹部面用、平坦面用の両面に展着
した第５図の形状の気泡フイルムを製造した。得
られた気泡フイルムの両展着面の表面抵抗の測定
値は5X10²Ωを示した。またその全光線透過率は
70％を示した。

（考案の効果） 以下の説明によつて明らかな如く、本考案によ
れば気泡フイルムとしての断熱性、緩衝性を有す
ると共に、導電性、光線透過性、帯電防止性、静
電気障害防止性等のすぐれた特性を付与した合成
樹脂気泡フイルムが形成され、広範囲用途に供し
得る効果が上げられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は合成樹脂気泡フイルムの概要斜視図、
第２図ないし第５図は本考案の二層、三層、四層
構造の気泡フイルムを示す。 １……凹部、２ａ，２ｂ，２ｃ……凹部を有す
る合成樹脂フイルム、３ａ，３ｂ，３ｃ……平坦
な合成樹脂フイルム、４……導電性アクリル繊維
含有フイルム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多数の凹部を形成してなる合成樹脂フイルムに
   平坦な合成樹脂フイルムを展着してなる気泡フイ
   ルムにおいて、前記合成樹脂フイルムのうちの少
   なくとも一枚の合成樹脂フイルムが、透視可能な
   導電性アクリル繊維含有フイルムであることを特
   徴とする導電性気泡フイルム。