JPH05231225A - 車両のトルク制御装置 - Google Patents

車両のトルク制御装置

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JPH05231225A
JPH05231225A JP3980192A JP3980192A JPH05231225A JP H05231225 A JPH05231225 A JP H05231225A JP 3980192 A JP3980192 A JP 3980192A JP 3980192 A JP3980192 A JP 3980192A JP H05231225 A JPH05231225 A JP H05231225A
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神尾  茂
Hitoshi Tasaka
仁志 田坂
Mitsunori Takao
光則 高尾
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NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転者に加速感を充分体感させると共に、車
両の加速性を良好に向上させることができる車両のトル
ク制御装置を提供する。 【構成】 アクセル操作量,機関回転数等の機関運転状
態に基づき推定トルクを演算する(1010,102
0)。推定トルク補正条件が成立していると(103
0)、機関運転状態からオーバーシュート率を求め(1
040)、推定トルクに一次進み補正を加える(105
0,1060)。更に変速段,サスペンション硬さ等の
運転変数に基づき、推定トルクを車両加速度のハンチン
グを防止しつつオーバーシュートさせる方向に補正して
目標トルクを求め(1070)、それに基づいてスロッ
トル弁を制御する(1080,1090)。この結果ハ
ンチングを防止しつつ、車両加速度を一回だけオーバー
シュートさせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両を駆動する原動機
を制御して車両の出力トルクを制御する車両のトルク制
御装置に関し、特に加速時のハンチングを防止すると共
に加速性を向上させる車両のトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両はサスペンション等によって一種の
振動系を構成するため、急加速時には図33に点線で示
すように加速度がハンチングを起こす。そこで本発明者
は、特開平3−78542号公報に記載のように、アク
セル操作量と機関運転状態とに基づいて車両用内燃機関
に要求される推定トルクを推定し、この推定トルクを、
変速段,サスペンション硬さ等、車両の振動系に関わる
運転変数の値に従って車両加速度のハンチングを防止す
る方向に補正し、このように推定トルクを補正して得ら
れる目標トルクに基づきスロットル弁を制御する車両用
内燃機関の制御装置を提案した。
【0003】この種の車両用内燃機関の制御装置では、
推定トルクを補正することにより加速時等に車両に加わ
る振動を、同図に一点鎖線で示すようにほぼ完全に相殺
することができる。従って運転者は非常に滑らかな加速
感を体感することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところがこの種の車両
用内燃機関の制御装置では、車両加速度のハンチングが
ほぼ完全に防止され、加速度が目標値を越える所謂オー
バーシュートもなくなる。このため、実際の加速性は劣
化していないにも関わらず運転者の体感する加速感が低
下する。また、車両の加速性を更に向上させることも望
まれている。
【0005】そこで本発明は、運転者に加速感を充分体
感させると共に、車両の加速性を良好に向上させること
ができる車両のトルク制御装置を提供することを目的と
してなされた。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達するために
なされた本発明は、図1に例示するように、車両を駆動
する原動機と、アクセルの操作量を検出するアクセル操
作量検出手段と、上記原動機の運転状態を検出する機関
運転状態検出手段と、上記車両の振動系に関わる運転変
数の値を検出する車両運転変数検出手段と、上記アクセ
ル操作量検出手段および上記機関運転状態検出手段の検
出結果に基づき、上記原動機に要求されるトルクを推定
するトルク推定手段と、該トルク推定手段にて推定され
た推定トルクを、上記運転変数の値に基づいて車両加速
度のハンチングを防止する方向に補正するトルク補正手
段と、該トルク補正手段にて上記推定トルクを補正して
得られる目標トルクに基づき、上記原動機を制御する原
動機制御手段と、を備えた車両のトルク制御装置におい
て、上記推定トルクを、一回だけオーバーシュートして
収束するように補正する推定トルク補正手段を備え、該
推定トルク補正手段にて補正後の推定トルクを、上記ト
ルク補正手段が補正することを特徴とする車両のトルク
制御装置を要旨としている。
【0007】
【作用】以上のように構成された本発明は次のように動
作する。先ずトルク推定手段は、アクセル操作量検出手
段にて検出されたアクセルの操作量、および上記機関運
転状態検出手段にて検出された原動機の運転状態に基づ
き、原動機に要求されるトルクを推定する。続いて、推
定トルク補正手段はトルク推定手段にて推定された推定
トルクを、一回だけオーバーシュートして収束するよう
に補正する。更に、トルク補正手段は車両運転変数検出
手段にて検出された車両の振動系に関わる運転変数の値
に基づき、車両加速度のハンチングを防止する方向に上
記補正後の推定トルクを補正する。すると原動機制御手
段は、推定トルクをこのように補正して得られる目標ト
ルクに基づき原動機を制御する。
【0008】車両を駆動する原動機をこのように制御す
ることによって、車両の加速度を一回だけオーバーシュ
ートさせた後、ハンチングを生ずることなくアクセル操
作量に対応する所定値に収束させることができる。
【0009】
【実施例】次に本発明の実施例を図面と共に説明する。
図2は自動車用内燃機関1に適用された実施例の車両の
トルク制御装置を表す概略構成図である。内燃機関(以
下単にエンジンという)1は、火花点火式の4気筒ガソ
リンエンジンであって、車両に搭載されている。エンジ
ン1には吸気管3および排気管5が接続されている。吸
気管3は図示しないエアクリーナに接続された集合部3
aと、この集合部3aと接続されたサージタンク3b
と、サージタンク3bからエンジン1の各気筒に対応し
て分岐した分岐部3cとからなる。
【0010】集合部3aにはエンジン1に吸入される空
気量を制御してエンジン1で発生される出力(トルク)
を制御するためのスロットル弁7が設けられている。こ
のスロットル弁7の弁軸はこのスロットル弁7の開度を
調節するステップモータ9とスロットル弁7の開度θa
を検出し、それに比例した電圧信号を発生するスロット
ルセンサ11とに連結されている。
【0011】尚、ステップモータ9にはモータ9の全閉
位置を検出するモータ全閉センサ9aが設けられてい
る。また、集合部3aのスロットル弁7の上流位置に吸
気温度を検出する吸気温センサ13が設けられている。
【0012】サージタンク3bにはスロットル弁7にて
調節される吸気管3内の圧力Pmを検出する吸気管圧力
センサ14が設けられており、また各分岐部3cには分
岐部3c内に燃料を噴射する電磁式燃料噴射弁15が各
々設けられている。また、エンジン1には各気筒に対応
して吸入された混合気を点火するための点火プラグ17
が設けられている。この点火プラグ17は高圧コードを
介してディストリビュータ19と接続されており、この
ディストリビュータ19はイグナイタ21と電気的に接
続されている。そして、上記ディストリビュータ19に
はエンジン回転に同期した信号を出力する回転センサ1
9aが設けられている。
【0013】また、さらにエンジン1にはエンジン1を
冷却する冷却水の温度THを検出する水温センサ23が
設けられている。そして、エンジン回転数Neはこの回
転センサ19aの信号により検出され、エンジン回転数
Ne、吸気管圧力Pm、水温TH等に基づいて燃料噴射
量の基本量が演算される。
【0014】エンジン1のトルクはスロットル弁7の開
度により決定される。エンジン1で発生されたトルク
は、クラッチ25、変速機27、ディファレンシャルギ
ヤ29等を介して駆動輪をなす右後輪31、左後輪33
に伝えられる。そして、上記変速機27にはそのギヤ位
置に対応したギヤ位置信号を出力するギヤ位置センサ2
7aが備えられており、また、右後輪31、左後輪33
および従動輪をなす右前輪35、左前輪37にはそれぞ
れトラクション制御、オートクルース制御に必要なパラ
メータである車輪回転速度を検出するための車輪速度セ
ンサ31a、33a、35a、37aが設けられてい
る。
【0015】ステアリング39の軸部には舵角センサ3
9aが設けられ、ステアリング39の操作で変化する前
輪35、37の舵角SAを検出する。排気管5には、空
燃比センサ62が取り付けられ、空燃比(A/F)を検
出する。
【0016】また、後部座席ダュボードの下部に前後方
向の車両加速度(車両G)を検出するGセンサ63が取
り付けられている。各車輪31〜37と図示しない車体
との間にはサスペンション60a,60b,60c,6
0dが設けられている。各サスペンション60a〜60
cは、サスペンション用油圧制御装置61によってサス
ペンションの油圧をコントロールし、ダンパ特性(ショ
ックアブソーバの減衰力)を制御できる。又、左前輪サ
スペンション60bには、サスペンションのたわみ量を
検出するサスペンションたわみ(ストローク)センサ6
4が取り付けられている。このストロークセンサ64に
て検出されたサスペンションのたわみ量で車両の積載荷
重を予測できる。
【0017】左従動輪37にはタイヤの空気圧を検出す
るタイヤ空気圧センサ65が設けられている。後輪ブレ
ーキ66a、66bは、ブレーキ油圧制御装置67によ
りブレーキ油圧をコントロールできる。
【0018】吸気管3内には、機械式過給機68が設け
られている。過給機68を迂回する通路71には、過給
圧コントロール用ウエストゲートバルブ70があり、こ
のバルブ70はステップモータ69により制御される。
排気管5に設けられた排気圧制御用バルブ72は、ステ
ップモータ73により駆動され、排気圧力をコントロー
ルする。
【0019】吸気管3と排気管5との間には、排気再循
環(EGR)システムを構成する通路74が設けられ、
そのEGR量をコントロールするバルブ75は、ステッ
プモータ76で駆動される。再循環される排気は排気管
5から通路74を通って、スロットル弁7の下流部に流
れる。
【0020】エンジン1の各気筒近傍には、図示しない
吸排気バルブのバルブタイミングおよびリフト量をコン
トロールする可変バルブタイミング装置(VVT)77
が設けられている。VVTについては、特開昭64−3
214号公報にて知られている。
【0021】そして、上述の各センサおよびアクセルペ
ダル41の操作量に対応した信号Apを出力するアクセ
ル操作量センサ41a、アクセルペダル41が解放され
て、アクセル全閉となっている状態を検出するアクセル
全閉センサ41b、ブレーキペダル43が踏み込まれた
ときにオンするブレーキセンサ43a、クラッチペダル
42が踏まれた時にONするクラッチセンサ42aの信
号は、電子制御ユニット(ECU)50に入力され、E
CU50はこれらの信号に基づき上記スロットル弁のス
テップモータ9、噴射弁15、イグナイタ21他、各制
御装置69,61,67,73,76,77を駆動する
ための信号を出力する。またECU50は、CPU,R
OM,RAM等を中心とする周知の電子制御回路として
構成されている。
【0022】また、運転席にはオートクルーズスイッチ
81,スポーツモードスイッチ82が設けられている。
オートクルーズスイッチ81はオートクルーズ制御を行
う時に運転者がONするスイッチである。一方スポーツ
モードスイッチ82は、運転者が特に加速時の立上がり
の鋭いスポーティ走行を選択したい場合にONとするス
イッチであり、このスポーツモードスイッチ82のON
により、後述するスロットル弁7の制御の加速時の立上
がり特性を変更できる。
【0023】次に、上述の装置において、運転者の操作
するアクセルペダルの操作量がスロットル弁7の開度に
変換されるまでの過程について詳述する。先ず図3は本
実施例のECU50にて実行される車両のトルク制御の
メインルーチンを表すフローチャートである。このルー
チンは所定時間毎に実行される処理で、処理が開始され
ると先ずステップ1010にて運転者によるアクセル操
作量Ap、およびエンジン回転数Ne,車輪速度等の機
関運転状態を読み込む。そして次のステップ1020で
は、アクセル操作量Apとエンジン回転数Neとからエ
ンジン1に必要なトルクを推定し、これをスロットル弁
7を駆動するパラメータの源となる推定トルクとして算
出する。次のステップ1030は、その推定トルクを補
正して後述の目標トルクを算出するための条件が成立し
ているか否かを判断するステップである。
【0024】ステップ1030にて肯定判断されるとス
テップ1040へ移行する。ステップ1040では推定
トルクに対する最大トルクの割合によって表現されるオ
ーバーシュート率を演算する。続くステップ1050で
はそのオーバーシュート率に基づいて後述する一次進み
フィルタを設定し、ステップ1060ではその一次進み
フィルタによって推定トルクを変換する。次にステップ
1070では、変換後の推定トルクを更に、車両の振動
系に関わる運転変数の値に基づいて、車両加速度のハン
チングが防止されるように補正して、目標トルクを演算
する。続くステップ1080では目標トルクに基づいて
スロットル弁7の目標開度を演算する。そして最後にス
テップ1090にてステップモータ9へ駆動信号を出力
し、スロットル弁7を上記目標開度となるように駆動し
て処理を終了する。
【0025】一方、ステップ1030にて否定判断され
るとステップ1100へ移行する。ステップ1100で
は、ステップ1020にて求められた推定トルクに基づ
いて目標スロットル開度をそのまま演算する。続いてス
テップ1090へ移行し、前述したようにスロットル弁
7を駆動して処理を終了する。
【0026】以下、図3のフローチャートの各処理につ
いて更に詳細に述べる。まず、ステップ1020にて、
運転者の要求するエンジントルク(推定トルク)TT
は、運転者によるアクセルペダル41の操作量Apとそ
のときのエンジン回転数Neとから、図4のマップに基
づいて推定される。図4のマップを逆変換したものと同
じ形のマップを図5に示す。従来は、この推定トルクT
T をそのまま図5のマップを用いて逆変換して、目標ス
ロットル開度θを決定していたため、図33に点線で示
すように運転者がアクセルを急加速操作を実行したよう
な場合は、車両の前後方向の加速度Gが前後に大きくハ
ンチングし、乗心地が悪かった。そこで本例では、後述
するステップ1040〜1070で推定トルクTT を補
正することによりハンチングを防止している。
【0027】なお、図4のマップに対し、さらに過給機
が作動しているか否かで推定トルクを補正するのが望ま
しい。即ち、過給機作動中は推定トルクTT を高めに設
定する。また、VVT77、図示しない吸排気コントロ
ール装置についても同様、トルクを上昇させる時ほどT
T を高めの値に設定する。この他、大気圧Pa、水温T
Hによってもエンジントルクは異なるため、TT を図
6,図7のマップおよび次式にて補正する方が良い。即
ち、図4で求めたTT に補正係数Ka,Kwをかけ合わ
せたTT ・Kw・Kaを新たな推定トルクTT とすれば
よい。
【0028】なお、前述の推定トルクTT としては、ト
ルクそのものでなくとも同等のパラメータ、例えば吸気
管圧力Pmあるいはエアフローメータを備えたシステム
では、機関1回転あたりの吸入空気量Qe/Neであっ
てもよい。また、推定トルクTT の算出にあたっては、
図3のマップに依存せずとも、以下の計算式から求めれ
ばよい。
【0029】
【数1】
【0030】K1 〜K5:正の定数 なお、過給付エンジンの車両では過給量が大きいほどK
1,K2 を大きくとればよい。次に、図29を用いて図
3のステップ1030にて判定される条件について説明
する。
【0031】ステップ4001:前述したように、路面
外乱による車両の前後振動によって、ドライバーのペダ
ル操作量が変動することもあるので、運転者に加速や減
速の意思がない定常走行時には不成立とする。定常走行
の判定は、図30のフローチャートに示す処理に従って
行なう。
【0032】ここで図30のフローチャートについて詳
述する。尚、図30のフローチャートの実行の様子を図
31に示す。即ち、図30において、ステップ7000
で検出されるアクセル操作量ApおよびAp前回値から
所定時間あたりのアクセル操作量の変化量Ap′を算出
する。次のステップ7001で、|Ap′|≧所定値A
p0 (Ap0 >0)のとき加速開始と判断し、ステップ
7003に進む。ステップ7003でステップ1040
の実行フラグXFをONとし、次のステップ7004で
カウンタCFのセット(CF=0)を行う。
【0033】ステップ7001で|Ap′|<Ap0 と
判定され、かつステップ7002で実行フラグXF=O
FFのときにはハンチングを生じない定常時、もしくは
緩加速時であって、ステップ1040以下の処理による
トルク補正を必要としない状態であると判断し、XF=
OFFのままとする。|Ap′|<Ap0 かつXF=O
Nのときには、まだ加速中の可能性があるのでステップ
7005に進み、加速中かどうかの判断をする。ステッ
プ7005では、アクセルを|Ap′|≧Ap0 の速さ
で操作してから所定時間T0 (例えば0.5S)の間は
加速中、所定時間T0 すでに経過しているときには加速
中でないと判断する。つまり、ステップ7005でカウ
ンタCXFをT0 に対応するKCXFとを比較し、CX
F≧KCXFのときはステップ7006に進み、加速中
でないと判断してXF=OFFとする。そして、ステッ
プ7007のカウンタの更新(インクリメント)をす
る。
【0034】以上の図30の手順によって定常走行かど
うかを判定し、定常走行時実行しないようにすれば、路
面外乱の影響で瞬間的に|Ap′|が大きな値となるの
を加速中と判断する誤判定を防止できる。 ステップ4002:路面の摩擦係数μが所定値μ0 より
小さい時は、条件不成立とする。
【0035】減速の時、ペダル操作がないにもかかわら
ず、スロットルを開けるのは危険である。μの検出は、
吸気温センサによる吸気(大気)温で代用して吸気温≦
所定値のときμが小さいと判断してもよい。又、駆動輪
スリップ時の駆動輪加速時で代用し、即ち駆動輪のスリ
ップ時の加速度が所定値よりも大きい時はμ<μ0 とし
てもよい。
【0036】ステップ4003:路面凹凸が所定値より
も大きい(例えば砂利道等)には図3のステップ104
0以下の処理の実行が振動を大きくしてしまう可能性が
あるため、条件は不成立とする。それは、図3のステッ
プ1080で実行されるTF→θ変換ブロックでスロッ
トル弁をオーバーシュートさせているため、路面外乱
(凹凸)によりペダルが同期して動いてしまう時、車両
定常安定性を損なうことがあるためである。路面凹凸
は、Gセンサによる車両Gで判断する。車両Gが高周波
でハンチングしている時、そのハンチング振幅の大きさ
を凹凸の大きさとする。
【0037】ステップ4004:オートクルーズ自動低
速走行制御)制御時(オートクルーズスイッチ81がO
N)は、条件不成立とする。なぜなら、Ap=0となる
ためである。 ステップ4005:トラクション実行時も条件は不成立
とする。スリップ抑制を優先的に行う必要があるからで
ある。
【0038】ステップ4006:ペダルセンサ、スロッ
トルボディ等のフェイル時も優先してフェイル処理を行
わせるため、条件は不成立とする。 ステップ4007:通常は、A/F(空燃比)に応じて
エンジントルクは変化するので、A/Fに応じた補正を
行い推定トルクTT を決定したり、リーンのときは単に
燃料増量あるいは非同期噴射、リッチのときは減量補正
をすることが好ましい。しかし、もしも10≦A/F≦
20にないときは、推定トルクTT が図4のようになら
ない可能性があるので、実トルクのばらつくことで乗心
地が悪くなることを避けるため、本ステップを挿入し
て、A/Fが所定範囲外のときは条件を不成立とする。
【0039】ステップ4008:前述したように、エン
ジン温度に応じた推定トルクTT が既に定められている
が、本ステップを挿入して冷却水温TH≦所定値TH0
では実トルクのばらつくおそれがあるため、条件を不成
立としても良い。 ステップ4009:車両振動に無関係である無負荷時は
不成立とする。無負荷時の検出はクラッシュセンサ42
aのON/OFFおよびギヤ位置センサ27aからのギ
ヤ位置信号から行う。即ち、クラッチを踏んだ時(クラ
ッチセンサON)、およびギヤ位置信号がニュートラル
状態のとき無負荷と判定する。
【0040】ステップ4010:ブレーキ操作時も不成
立とする。減速制御によりスロットル弁7が開くと危険
である。ブレーキ操作の検出は、ブレーキセンサ43a
で行う。 ステップ4011:図3のトルク補正条件判定スイッチ
1030における条件が成立としたとみなす。このこと
により図3ではステップ1040に移行する。
【0041】ステップ4012:トルク補正条件が成立
していないとみなす。このことにより図3ではステップ
1070に移行する。通常の制御ステップ1070で
は、スロットル弁の目標開度θは、図5のマップよりア
クセル操作量Apと回転数Neから求められたものとな
る。なお、θについてはトラクション制御実行時はトラ
クション用目標開度、オートクルーズ制御時は前述した
クルーズ用目標開度θcとなる。
【0042】次にステップ1040〜1070にて実行
される推定トルクTT より目標トルクTF を算出する処
理を順次説明する。前述のようにオーバーシュート率
は、推定トルクTT (大きさをAとする)に対する最大
トルクBの割合(B/A)で表現される(図33参
照)。ステップ1040では、アクセル操作量Apとエ
ンジン回転数Neとに基づいて、図12に示すマップに
よりオーバーシュート率B/Aを求める。
【0043】ここで図12のマップは、次のようにして
設定されている。即ち、エンジン1の出力トルクとアク
セル操作量Apとの間には図13に示すような対応関係
がある。アクセル操作量Apが増加するに従って出力ト
ルクも増加する。そしてアクセル操作量Apを更に増加
させていくと、出力トルクはエンジン回転数Neに対応
する所定値に収束する。この所定値に対する出力トルク
が50%未満となるアクセル操作量Ap(エンジン回転
数が2000r.p.m.の場合はAp<Aplとなる範囲)
では、オーバーシュート率B/Aを2とする。同様に、
出力トルクが上記所定値の50%以上67%未満となる
範囲(Apl≦Ap<Aph)ではB/A=1.5、出
力トルクが上記所定値の67%以上となる範囲(Aph
≦Ap)ではB/A=1.0、とする。このような設定
をあらゆるエンジン回転数に対して行うことにより図1
2のマップを設定することができる。
【0044】ここでオーバーシュートをさせる領域を広
げてより加速感を向上させたい場合は、図14に示すよ
うな非線形関数によって、アクセル操作量Apを補正ア
クセル操作量Appに変換し、その後で図12のマップ
によってオーバーシュート率を算出すればよい。
【0045】続くステップ1050では、ステップ10
40にて算出されたオーバーシュート率B/Aに基づい
て、
【0046】
【数2】
【0047】T0 :所定時間 なる伝達関数で表現される一次進みフィルタを設定す
る。尚この一次進みフィルタのボード線図を図15に示
す。このような一次進みフィルタによって、図16
(a)に例示するステップ状の波形を変換すると、図1
6(b)に示すように、一旦所定値Bまでオーバーシュ
ートした後徐々に減少して所定値Aに収束する波形が得
られる。またその波形の所定値Aへの収束は、ほぼ時間
T0 後となる。
【0048】続くステップ1060では、ステップ10
20にて求めた推定トルクTT を前述の一次進みフィル
タによって変換する。この結果、アクセル操作量Apが
急峻に増加した場合、変換後の推定トルクTT (以下オ
ーバーシュート推定トルクTp と記載)は推定トルクT
T のB/A倍に一旦オーバーシュートした後、ほぼ時間
T0 で推定トルクTT に収束するようになる。
【0049】さて、次にオーバーシュート推定トルクT
p を目標トルクTF に変換する図3のステップ1070
についての第1の例を説明する。前述したごとく、トル
クがステップ的に変化すると、車両は図33に点線で示
すようにハンチングを発生する。
【0050】このハンチングの発生は、トルクと車両の
前後方向の加速度(車両G)とが、サスペンションによ
る2次のバネマス系であることに起因する。車両Gを伝
達関数で表すと、
【0051】
【数3】
【0052】ωn :周波数,Aξ:減衰率 となり、その周波数特性は、図17に示されるものとな
る。図17中の固有振動数f0 成分の増幅がハンチング
の原因となっている。Aξは減衰量であり、大きいほど
ハンチングが発生しやすい。
【0053】この図17の周波数特性の逆特性のフィル
タ、即ち図18の特性のフィルタをオーバーシュート推
定トルクTp にかければ、ハンチングを防止できる。即
ち、図18に示すフィルタ特性により、固有振動数f0
を減衰させると共に、減衰量Aξを小さくできる。
【0054】本実施例ではさらに、スロットルアクチュ
エータの応答性を変更したり、路面外乱に同期して車両
が前後方向に動くことにより、ドライバーのペダル操作
量が変動することに対しても、車両安定性を補償するた
めに、高周波領域f1 以上で減衰する図19に示す特性
のフィルタを図18のフィルタに対し、直列に入れて合
成してある。従って、最終的には図20のような特性の
フィルタを生成して、オーバーシュート推定トルクTp
に印加する。
【0055】なお、この図20のフィルタの固有振動数
f0 および減衰信号は、次のように表される。
【0056】
【数4】
【0057】ξ:減衰率,k:車両バネ定数,M:重
量,G:ダンパ特性 ここで、バネ定数kは、サスペンション硬さ(エアダン
パの場合)で変化する。重量Mは、車両重量および車輪
側から駆動系を見たときの慣性質量の和で定まる。この
慣性質量は、変速比により変わる。即ち変速比が大きい
ほど車輪側に対する駆動系の慣性質量は大きい。
【0058】又、ダンパ特性Gは、サスペンション硬
さ、タイヤ空気圧で変わる。以上から、変速段(ギヤ位
置)、サスペンションの硬さ、車両質量、タイヤ空気圧
等の運転変数の値に応じ、フィルタ特性を変えればよい
ことがわかる。次に、図21,22,23のフローチャ
ートで、ステップ1070にて変換後のオーバーシュー
ト推定トルクTp をフィルタリングする手順を説明す
る。図21のように、フィルタリングは大きく2つのル
ーチンから成る。ステップ100は図20のフィルタ特
性を設定するルーチンであり、ステップ200は設定さ
れたフィルタ特性で、実際に計算するルーチンである。
【0059】図22に、ステップ100のフィルタ特性
設定ルーチンを示す。ステップ101,102のエンジ
ンが無負荷状態であるかどうかの特定をする。仮に、加
速時のような有負荷運転時に図20の特性に切換えると
車両ショックの原因となるので、変速時、車両停止時の
ようにクラッチセンサ42aがON又は変速機27がニ
ュートラルにある時のような無負荷時のみに切換えを行
う。そして、無負荷状態であればステップ103に進
み、変速段、サスペンション硬さ(エアダンパの場
合)、車両質量に応じて固有振動数f0 を設定する。こ
の振動数f0 以上の周波数領域においてのみ、ハンチン
グが発生するので、このハンチング領域ではオーバーシ
ュート推定トルクTp を減衰させればよい。いま、f0
=f0 ´・kf1 ・f2 (f0 ´:基本固有振動数、k
f1 :車両質量から定まるf0 の補正係数、kf2 :サ
スペンション硬さで定まるf0 の補正係数)とする。な
お、f0´,kf1 ,kf2 はそれぞれ図24(a),
(b),(c)のように設定してある。つまり、ローギ
ヤほど、または車両質量が大きいほどまたはサスペンシ
ョンの硬さがソフトなほど、固有振動数f0 は小さく設
定される。
【0060】次に、ステップ104に進み減衰信号を設
定する。減衰率ξは、予め車両足回り系(サスペンショ
ン、ダンパ等)の弾性で定まる特有の基本減衰信号ξ´
を記憶してあり、この基本減衰率ξ´をタイヤの空気
圧、サスペンション硬さ、車両質量等の運転変数の値に
応じてそれぞれ図25(a),(b),(c)に示され
た補正係数により補正する。減衰率ξは、ξ=ξ´・k
ξ1 ・kξ2 ・kξ3 (kξ1 :タイヤ圧で定まるξの
補正係数、kξ2 :サスペンションの硬さで定まるξの
補正係数、kξ3 :車両質量で定まるξの補正係数)の
式により演算される。つまり、タイヤ圧が小さいほど、
又はサスペンションの硬さがソフトなほど、車両質量が
軽い、即ち、積載量が少ないほど、減衰信号ξ′は小さ
く設定される。なお、減衰率ξが小さいほど、減衰量A
ξは大きくなる。
【0061】次に、ステップ105に進み、ステップ1
03,104で求めた固有振動数f0 、減衰率ξに応じ
て図26に示されるマップにより、9種類のフィルタ特
性Fi (i=1,……9)のうち1つを選択する。それ
ぞれのフィルタ特性Fi は、次に述べるフィルタリング
計算を行う際の5つの係数KF0 〜KF4 を定めるもので
あり、Fi は予めROM50dに記憶されている。
【0062】なお、図22のルーチンによれば、有負荷
時にはフィルタ特性の設定変更の実行は禁止される。以
上で図21のフィルタ特性設定ルーチン100は終了す
る。図23は、図21のフィルタリング計算ルーチン2
00についての詳細な手順が示されている。フィルタリ
ング計算は、2回前までのオーバーシュート推定トルク
Tp の値と、第22図のステップ105で求めたフィル
タ特性係数の値に基づいて実行される。ステップ201
では入力であるオーバーシュート推定トルクTp の前回
値の更新および今回のTp の取込みをする。ステップ2
03は出力である目標トルクTF の前回値更新を実行す
るものである。
【0063】そして、オーバーシュート推定トルクTp
から目標トルクTF への変換は、ステップ202におい
て実行される。即ち、 TF=KF0Tp0+KF1Tp1+KF2Tp2+KF3TF1+KF4TF2 で計算される。係数KF0〜KF4は、ステップ105のフ
ィルタ特性設定ステップで設定される値である。
【0064】このフィルタリング計算によって、入力と
なるオーバーシュート推定トルクTp の特定周波数成分
は減衰率ξで減衰され、この減衰された出力TF を目標
トルクとしてスロットル制御を実行すれば、車両Gにハ
ンチングを起こさせることなく、一回だけオーバーシュ
ートして収束させることができる。
【0065】前述したように、本実施例では高周波領域
f1 以上で減衰する図19の特性のフィルタを含んでい
る。このf1 を小さくすると、車両Gの立上がりがなま
され、逆に大きくすると立上がりが急になる。よって、
f1 を変えることにより、立上がりの鋭いスポーティー
な乗心地や、立上がりは多少なまるものの、高級感のあ
るゆったりとした乗心地を自由に選択することができ
る。これは、運転者の手元のスポーツモードスイッチ8
2の操作で切り換え可能としてある。
【0066】また、すべりやすい路面での急加速防止の
ために、路面の摩擦係数μを検出してμに応じて図26
のようにf1 を設定してもよい。図26の特性から明ら
かなように、μが大きいほどf1 は大きな帯とするのが
好ましい。この他、路面凹凸に応じて図27のように凹
凸が大きな荒い路面ほどf1 を小さくするよう特性を切
り換え、緩加速と急加速を自動選択できるようにしても
よい。なお、路面の摩擦計数μあるいは路面の凹凸等の
環境変数の検出については後述する。
【0067】なお、固有振動数f0 (ハンチング周波
数)は、環境変化とかエンジン又は車両の経時変化や特
性変化により変化していくので、学習するとさらによい
制御性を実現できる。学習方法としては、前述した車両
の前後方向の加速度GをGセンサにより検出し、ハンチ
ング周期を算出し、f0 に反映させるようにすればよ
い。図28にハンチング周期の算出処理を表すフローチ
ャートを示す。ステップ6000では、検出した車両G
からハンチング振幅AGを算出し、AGが所定値以上か
どうか(ハンチングしているかどうか)を判定する。A
G≧所定値のとき、ステップ6001に進み、過去3回
のハンチング周期T1 ,T2 ,T3 を算出する。ステッ
プ6002で算出されたハンチング周期T1 ,T2 ,T
3 の平均値TH を求め、TH からf0 を算出する(f0
=1/TH )。
【0068】さて、ステップ1040〜1070で推定
トルクTT を補正した結果、目標トルクTF が決定され
ると、次のステップ1080にてこの目標トルクTF に
基づいて目標スロットル開度θを算出してこの開度θに
スロットル弁7を駆動してやればよいことになる。
【0069】しかし、図5のマップをそのまま用いて目
標トルクTF をスロットル開度に変換したのでは、車両
加速度を一回だけオーバーシュートさせることができ
ず、やはり車両加速度のハンチングが発生する。という
のは、図5のマップは単に図4のマップの逆変換である
ため、スロットル弁を通過する吸気流の遅れ分が何ら考
慮されていないからである。
【0070】今、吸気系には一般的に以下の基本条件が
成立する。
【0071】
【数5】
【0072】Gin :1秒あたりにスロットル弁7を通
過する空気の質量(g/s) Go :1秒あたりにエンジン1に吸入される空気の質
量(g/s) A(θ) :スロットル開度θに対応する開口面積 K1 〜K5 :正の定数 以上の〜を解くと、スロットル弁7の下流の吸気管
圧力Pmとスロットル開度θとの間には、以下の関係が
得られる。即ち、
【0073】
【数6】
【0074】トルクTと吸気管圧力Pmとの間には、一
般に図8のステップ2000に示すマップ特性がある。
従って、このステップ2000のマップにより目標トル
クTF に対応する吸気管圧力Pmを算出し、Pmを算出
した後、〜式により目標スロットル開度θを算出す
る。なお、〜式によるPm→θ変換については、演
算が複雑であるからCPU50aの負担が大きいため、
図8のフローチャートに示したマップ検索の方が有利で
あるといえる。即ち、ステップ2000で目標トルクT
F を吸気管圧力Pmに変換した後は、式の代わりにス
テップ2001に示すマップによりAS を検索し、次に
ステップ2002に進み、AS の差分より要求されるス
ロットル開口面積Ad を計算する(Ad =AS +f(P
m ).dAS /dt)。このとき、f(Pm)も式に
代えて図示しないマップ検索で算出されている。なお、
AS は定常的な(スロットル弁が静止しているときの)
スロットル弁の開口面積を示しており、Ad は定常的な
スロットル弁の開口面積に、加速・減速等の過渡補正を
加えた最終的に要求されるスロットル弁の開口面積であ
る。次に、ステップ2003に進み、マップを使用して
開口面積Ad から目標スロットル開度θを求める。な
お、ステップ2003ではマップの代わりに直接演算式
【0075】
【数7】
【0076】(K,K´は定数)を用いてθを求めても
よい。以上の方式で計算することにより、吸気系の遅れ
を見込んだTF →θ変換を実現できる。なお、上記実施
例において、アクセル操作量センサ41aがアクセル操
作量検出手段に、スロットルセンサ11,吸気温センサ
13,回転センサ19a,水温センサ23,吸気管圧力
センサ14が機関運転状態検出手段に、ギヤ位置センサ
27a,ストロークセンサ64,およびタイヤ空気圧セ
ンサ65が車両運転変数検出手段に、それぞれ相当す
る。また、図3の処理において、ステップ1020がト
ルク推定手段に、ステップ1040〜1060が推定ト
ルク補正手段に、ステップ1070がトルク補正手段
に、ステップ1090が原動機制御手段に、それぞれ相
当する処理である。
【0077】なお、上記実施例ではマニュアルトランス
ミッション(MT)車についての場合を説明したが、オ
ートマチックトランスミッション(AT)車にも本発明
は有効である。ただ、ロックアップ機構を備えない車両
については、トルクコンバータの内部スリップにより車
両振動は起きないので、本発明の必要はない。
【0078】また上記実施例では、図29のステップ4
004にて、オートクルーズ制御時にはトルク補正条件
は不成立としたが、図32のオートクルーズ制御時に実
行するフローチャートの処理により、クルーズ中にもス
テップ1040以下を実行できる。これにより、オート
クルーズ制御開始時や設定車両変更時の車両振動を防止
できる。即ち、ステップ5000では通常通りクルーズ
用目標開度θc を計算する。ステップ5001で、θc
によりスロットル弁7を駆動する。ステップ5002
で、実際に車速が安定した定常走行になったか判断す
る。その方法は、オートクルーズ設定車速との偏差を見
ればよい。低速走行でない時のみ、ステップ5003で
トルク補正条件を成立させ、θc ではなくTF →θ変換
によるθを使用すればよい。
【0079】上述の図3のステップ1040〜1080
の実行によって、推定トルクTT の変化率が大きい時
は、即ちアクセル操作量Apの変化率が大きい時は、自
動的にフィルタリングされ、加速時には図33に実線で
示すような目標トルクTF の特性となる。さらに、ステ
ップ1080を介してスロットル開度が制御されること
で、図33の特性に合わせて、急加速時のスロットル開
度θは、加速時には一旦開度が増大された後で減少し、
再び増大してオーバーシュートする特性となり、車両の
前後方向の加速度Gがほとんどハンチングをせずにアク
セル操作量Apに追従して、一回だけオーバーシュート
して収束することになる。このような加速特性によっ
て、運転者に加速感を充分体感させると共に、車両の加
速性を良好に向上させることができる。また一回だけオ
ーバーシュートさせることにより同時にハンチングも防
止しているので、きわめて優れた乗り心地を提供するこ
とができる。
【0080】次に推定トルクTTをオーバーシュートす
るように補正する図3のステップ1040〜1060に
関する他の例を説明する。上記例では、ステップ104
0で機関運転状態に基づいてオーバーシュート率B/A
を求め、ステップ1050でそのオーバーシュート率B
/Aに基づいてフィルタを設定しているが、これらの処
理を一つの処理で実行してもよい。例えば図34に示す
マップは図12と同様に設定され、その各領域(a)〜
(c)には図35(a)〜(c)に示すフィルタが各々
対応付けられている。このため図34のマップを利用す
れば機関回転数Neとアクセル操作量Apとから直接フ
ィルタを設定することができる。
【0081】また、以下に例示する計算式により、フィ
ルタを設定することなくオーバーシュート推定トルクT
p を求めることができる。即ち、
【0082】
【数8】
【0083】dt:サンプリング時間(演算周期) 1
/TO :所定値(例えば1〜2Hz)この演算を繰り返
すことにより、図16と同様の一次進み補正を行うこと
ができる。続いて、吸気系の遅れを見込んだTF →θ変
換を実現するためのステップ1080の他の例を説明す
る。第2案フローチャートを図9に示す。この方法は、
前述した図5のマップを利用するものであるが、図5の
マップ検索によるTF →θ変換(ステップ3001)の
前に、TF の値を1次進み系で過渡補正(ステップ30
00)するものである。1次進み補正というのは、図1
0のような特性を有し、即ち、目標トルクTF のステッ
プ的な増加入力に対し、オーバーシュート後、定常値に
収束する波形を出力するものである。この1次進み補正
特性は次式により計算できる。
【0084】 T´i =L1(Ti −Ti-1 )−L2(T´i −Ti )+T´i-1 T´i-1 ,T´i :出力前回値および今回値 L1 ,L2 :定数 Ti-1 ,Ti :入力前回値および今回値 又、図10のような1次進み補正特性は、図11のよう
なフィルタだけで実現することもできる。このフィルタ
は、後述する車両特有のハンチング周波数である固有振
動数f0 以上の周波数領域で目標トルクTF を増幅させ
るはたらきのものであり、TF →θ変換における遅れを
見込んで、過渡補正を実行することができる。
【0085】なお、トルクのコントロールはスロットル
だけでなく、燃料制御、点火制御、EGR制御、ブレー
キ制御、抑圧制御、過給圧制御、可変バルブタイミング
制御(VVT)等を併用してもよい。スロットルの応答
性には限界があるため、スロットルだけでは要求トルク
を実現できない時がある。よって、スロットル以外でト
ルクを制御できるシステムは併用した方が良好な制御性
を得る。併用可能なトルク増加制御およびトルク減少制
御としてはそれぞれ以下に示す,のようなものがあ
る。 トルク増加制御 ア)燃料制御:燃料増量によりトルクの増加を図る。
【0086】イ)点火制御:点火時期とトルクの関係は
一般的に図36(a)のようになる。トルクがピークと
なる点火時期に近づけてトルクの増加を図る。 ウ)EGR制御:EGR率とトルクの関係は、図36
(b)のようになる。EGRコントロール用バルブ75
全閉によって、EGRを禁止してトルク増加を図る。
【0087】エ)過給圧制御:過給圧制御用バルブ70
を全閉とすることで過給圧を上げ、トルク増加を図る。 オ)VVT:バルブ開閉時期とトルクの関係は一般的に
図36(c)の如く開時期を進角し、閉時期を遅角する
ほどトルクは増加する。トルクピークの位置に制御す
る。 トルク抑制制御 ア)燃料制御:燃料カットにより大きなトルク抑制がで
きる。又、A/Fをリーン側に制御してもよい。
【0088】イ)点火時期:点火時期の遅角によりトル
クを抑制。 ウ)EGR制御:バルブ75によりEGR率を大きくし
トルクを抑制。 エ)ブレーキ制御:ブレーキ油圧を高めることで、車輪
に伝わるトルクを抑制してもよい。
【0089】オ)排圧制御:バルブ73を閉側とするほ
ど排圧を上げることができ、トルクを抑制できる。 カ)VVT:吸換気バルブそれぞれのバルブ開時期を遅
角、閉時期を進角させてトルクを抑制する。
【0090】また、本発明は内燃機関以外の種々の原動
機を用いた車両、例えば電気自動車などにも適用するこ
とができる。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の車両のト
ルク制御装置では、トルク推定手段にて推定された推定
トルクを、推定トルク補正手段にて補正することにより
車両加速度を一回だけオーバーシュートさせることがで
き、更に、補正後の推定トルクをトルク補正手段にて運
転変数の値に基づいて補正することにより車両加速度の
ハンチングを防止することができる。
【0092】この結果、車両の加速度を一回だけオーバ
ーシュートさせた後、アクセル操作量に対応する所定値
に収束させることができる。このため運転者に加速感を
充分体感させると共に、車両の加速性を良好に向上させ
ることができる。また同時にハンチングも防止している
ので、きわめて優れた乗り心地を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成例示図である。
【図2】実施例の内燃機関を表す概略構成図である。
【図3】実施例の車両のトルク制御のメインルーチンを
表すフローチャートである。
【図4】アクセル操作量と推定トルクとの関係を表すマ
ップである。
【図5】従来の推定トルクと目標スロットル開度との関
係を表すマップである。
【図6】大気圧と推定トルクの補正係数との関係を表す
マップである。
【図7】水温と推定トルクの補正係数との関係を表すマ
ップである。
【図8】目標トルクからスロットル開度への変換を表す
フローチャートである。
【図9】目標トルクからスロットル開度への他の変換例
を表すフローチャートである。
【図10】スロットル開度の一時進み補正の特性を表す
波形図である。
【図11】スロットル開度の一時進みフィルタを表すボ
ード線図である。
【図12】機関運転状態とオーバーシュート率との関係
を表すマップである。
【図13】エンジンの出力トルクとアクセル操作量との
関係を表すグラフである。
【図14】オーバーシュート率を変更するために使用さ
れるマップである。
【図15】推定トルクの一時進みフィルタを表すボード
線図である。
【図16】推定トルクの一時進み補正の特性を表す波形
図である。
【図17】ハンチングの周波数特性を表すボード線図で
ある。
【図18】周波数特性の逆特性フィルタを表すボード線
図である。
【図19】車両安定性の補償用フィルタを表すボード線
図である。
【図20】目標トルクを求めるための最終的なフィルタ
を表すボード線図である。
【図21】目標トルクを演算する処理の基本的構成を表
すフローチャートである。
【図22】フィルタ特性設定ルーチンを表すフローチャ
ートである。
【図23】フィルタリングを計算するルーチンを表すフ
ローチャートである。
【図24】運転変数と固有振動数との関係を表すマップ
である。
【図25】運転変数と減衰率の補正係数との関係を表す
マップである。
【図26】固有振動数,減衰率とフィルタ特性との関係
を表すマップである。
【図27】路面状態と高周波領域の設定との関係を表す
マップである。
【図28】ハンチング周期の算出ルーチンを表すフロー
チャートである。
【図29】トルク補正条件の成立判定ルーチンを表すフ
ローチャートである。
【図30】定常走行の判定ルーチンを表すフローチャー
トである。
【図31】定常走行の判定ルーチン実行の様子を表すタ
イムチャートである。
【図32】オートクルーズ時における制御を表すフロー
チャートである。
【図33】加速時のエンジントルク,車両Gの変化を表
すタイムチャートである。
【図34】他の実施例におけるフィルタの設定方法を表
すマップである。
【図35】その実施例におけるフィルタを表すボード線
図である。
【図36】各種トルク制御とエンジントルクとの関係を
表すグラフである。
【符号の説明】
1…エンジン 7…スロットル弁 9…ス
テップモータ 14…吸気管圧力センサ 23…水温センサ 27a
…ギャ位置センサ 31a,33a,35a,37a…車輪速度センサ 41a…アクセル操作量センサ 41b
…アクセル全閉センサ 50…ECU 60a〜60d…サスペンション
62…空燃比センサ 63…Gセンサ 64…サスペンションたわみセンサ 65…タイヤ空気圧センサ 77…可変バルブタイ
ミング装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両を駆動する原動機と、 アクセルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段
    と、 上記原動機の運転状態を検出する機関運転状態検出手段
    と、 上記車両の振動系に関わる運転変数の値を検出する車両
    運転変数検出手段と、 上記アクセル操作量検出手段および上記機関運転状態検
    出手段の検出結果に基づき、上記原動機に要求されるト
    ルクを推定するトルク推定手段と、 該トルク推定手段にて推定された推定トルクを、上記運
    転変数の値に基づいて車両加速度のハンチングを防止す
    る方向に補正するトルク補正手段と、 該トルク補正手段にて上記推定トルクを補正して得られ
    る目標トルクに基づき、上記原動機を制御する原動機制
    御手段と、 を備えた車両のトルク制御装置において、 上記推定トルクを、一回だけオーバーシュートして収束
    するように補正する推定トルク補正手段を備え、 該推定トルク補正手段にて補正後の推定トルクを、上記
    トルク補正手段が補正することを特徴とする車両のトル
    ク制御装置。
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