JP2017141792A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エミッション抑制性能を確保しつつ、加速レスポンスを向上させること。
【解決手段】EGR装置と燃料噴射装置とを備えるエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するエンジンの制御装置であって、アクセルペダルの踏込操作を検出するアクセル操作検出手段と、アクセルペダルの踏込操作を含む車両の運転状態に基づき目標燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、燃料噴射装置による燃料噴射量が目標燃料噴射量となるように燃料噴射装置を制御する燃料噴射制御手段と、運転状態に基づきEGRバルブの開度を制御するEGR制御手段とを備え、EGR制御手段は、アクセルペダルの踏込操作後、この踏込操作に基づき燃料噴射量算出手段が算出した目標燃料噴射量に基づいて燃料噴射制御手段が燃料噴射装置を制御する前にEGRバルブの開度を閉じる方向に制御することを開始する。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に、エミッション抑制性能を確保しつつ、加速レスポンスを向上させることができるエンジンの制御装置に関する。
従来、ディーゼルエンジンの加速性能を向上させるために、過給機を備えたディーゼルエンジンが開発されている。この種のディーゼルエンジンでは、アクセル開度が小さい状態で加速を開始する場合には、過給遅れにより燃焼室内が一時的に酸素不足となり、スモークが発生しやすい傾向がある。
この問題を解消するための技術が特許文献1に開示されている。特許文献1には、燃料噴射量の上限値を設定してその上限値以下に燃料噴射量を制限する燃料噴射制限手段を備えたディーゼルエンジンの制御装置が開示されている。上記燃料噴射制限手段は、アクセル開度が小さいときには、大きいときに対して、上記上限値をリーン側に設定する。
この制御装置によれば、燃料噴射制限手段により、アクセル開度が小さいときには、大きいときに対して、燃料噴射量の上限値がリーン側に設定されているため、酸素不足が生じやすい低アクセル開度での加速時に燃料噴射量を十分に抑制し、これにより、スモークの発生を抑制することができる。
特開2008−240682号公報
しかしながら、特許文献1に記載の制御装置によれば、スモークの発生を抑制できるものの、燃料噴射量に制限がかかることで加速レスポンスが低下する虞がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、エミッション抑制性能を確保しつつ、加速レスポンスを向上させることができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、排気通路内の排気ガスを吸気通路に還流させるEGR通路およびこのEGR通路を通過する排気ガスの流量を調節するEGRバルブを有するEGR装置と、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置とを備えるエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するエンジンの制御装置であって、アクセルペダルの踏込操作を検出するアクセル操作検出手段と、アクセルペダルの踏込操作と、気筒内に導入される吸気の酸素状態と、を含む車両の運転状態に基づき目標燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、前記燃料噴射装置による燃料噴射量が前記目標燃料噴射量となるように前記燃料噴射装置を制御する燃料噴射制御手段と、前記運転状態に基づき目標EGRバルブ開度を算出するEGRバルブ開度算出手段と、前記EGRバルブの開度が前記目標EGRバルブ開度となるように前記EGRバルブを制御するEGR制御手段とを備え、前記EGR制御手段は、前記アクセルペダルの踏込操作後、この踏込操作に基づき燃料噴射量算出手段が算出した目標燃料噴射量に基づいて前記燃料噴射制御手段が燃料噴射装置を制御する前に、前記EGRバルブの開度を前記アクセルペダルの踏込操作後の運転状態に対応した目標EGRバルブ開度とするべく前記EGRバルブの開度を閉じる方向に制御することを開始することを特徴とする、エンジンの制御装置を提供する。
本発明によれば、EGR制御手段によるEGRバルブを閉じる方向のバルブ開度制御が、アクセルペダルの踏込操作後、燃料噴射制御手段がアクセルペダルの踏込操作に応じた目標燃料噴射量となるよう噴射量燃料噴射装置を制御する前に開始されるので、燃焼室内の酸素濃度を速やかに上昇させることができ、これに伴って燃料噴射量を速やかに増加させることができ、これにより、加速レスポンスを向上させることができるとともに、全体としてのエミッション抑制性能を確保することができる。
詳しく説明すると、気筒内に導入される吸気の酸素が不足している状態で多量の燃料を噴射すると、すすが発生するため、吸気の酸素状態に応じて燃料噴射量が多くなりすぎないように燃料噴射弁を制御する必要があるが、EGR装置は、排気通路内の排気ガスを吸気通路に還流させることにより、新気とEGRガスとを合流させて気筒に送り込むものであるために、EGRバルブの開度が制御(調節)されてからその効果が現れるまでの時間、つまりEGRバルブの開度制御がなされてから、目標EGRバルブ開度に対応した気筒内の酸素濃度になるまでには時間遅れが発生する。このため、アクセルペダルの踏込操作後、燃料噴射量を増加できる吸気の酸素状態とするべく、EGRバルブを閉弁方向に制御したとしても、実際に吸気の酸素濃度が増加するまでの間は、燃料噴射量を増加させることが出来ず、これが、加速レスポンスの低下につながる。
そこで、本発明では、ドライバの加速要求(アクセルペダルの操作)に応じたEGRバルブの開度制御(バルブを閉じる方向の制御)を、アクセルペダルの操作後の目標燃料噴射量に基づいて燃料噴射装置を制御する前に、開始することで、燃焼室内の酸素濃度を速やかに増加させて、燃料噴射量を速やかに増加させることができるようにして、加速レスポンスを向上させる。
このとき、燃焼室内の酸素濃度を上昇させることを早めるため、アクセル操作踏込後の初期においては、NOガスの発生量が増加する可能性があるが、アクセル踏込操作に対応したエンジン出力に速やかに到達する、言い換えると、エンジンの過渡状態が速やかに終了し、早期に定常状態に移行するため、全体としてのNOx発生量を抑制して、エミッション抑制性能を確保することができる。すなわち、本発明によれば、加速レスポンスを向上させつつ、エミッション性能を確保することが可能となる。
本発明においては、前記EGR制御手段は、前記アクセル操作検出手段による踏込操作の検出より後で、かつ、前記燃料噴射量算出手段による前記目標燃料噴射量の算出以前に行われる処理のいずれかと並行して前記EGRバルブの開度を制御することが好ましい。
この構成によれば、アクセルペダルの踏込操作の検出より後で、かつ、目標燃焼噴射量の算出以前のいずれかの処理と並行して、EGRバルブの開度制御が行われるので、EGRバルブの開度制御を燃料噴射制御よりも早いタイミングで行わせることが容易となる。
本発明においては、前記燃料噴射制御手段による燃料噴射制御のタイミングを遅らせる遅延処理手段をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、遅延処理により、燃料噴射制御のタイミングを遅らせるので、EGRバルブの開度制御を燃料噴射制御よりも確実に早いタイミングで行うことができる。
本発明においては、前記運転状態に基づき目標エンジントルクを算出する目標エンジントルク算出手段と、この目標エンジントルク算出手段により算出された目標エンジントルクの時間変化を平滑化する平滑化処理手段とをさらに備え、前記燃料噴射量算出手段は、前記平滑化処理手段により平滑化された目標エンジントルクに基づいて燃料噴射量を算出することが好ましい。
この構成によれば、目標エンジントルクの時間変化を平滑化するので、スムーズな加速が可能となり、運転がし易くなる(運転性の確保)。しかも、請求項1に係る発明による効果と相まって、運転のし易さと加速レスポンスの向上とを両立させることができる。
本発明においては、前記目標エンジントルク算出手段により算出された前記目標エンジントルクに基づき気筒内の目標吸気酸素濃度を算出する目標酸素濃度算出手段をさらに備え、前記EGR制御手段は、燃焼室内の酸素濃度が前記目標酸素濃度算出手段により算出された目標酸素濃度となるように前記EGRバルブの開度を制御することが好ましい。
この構成よれば、目標エンジントルクに基づき気筒内の目標吸気酸素濃度が算出され、燃焼室内の酸素濃度がこの目標吸気委酸素濃度となるようにEGRバルブの開度制御が行われるので、EGRバルブの開度制御を燃料噴射制御よりも確実に早いタイミングで行うことができる。具体的に説明すると、燃料噴射制御手段による燃料噴射制御は、目標エンジントルクの時間変化の平滑化と、この平滑化した目標エンジントルクに基づく燃料噴射量の算出とを経て行われる。一方、本構成においては、目標エンジントルクの時間変化の平滑化を経ずにEGRバルブの開度制御が行われるので、その分、EGRバルブの開度制御のタイミングが早くなり、その結果、EGRバルブの開度制御を燃料噴射制御よりも確実に早いタイミングで行うことができる。
本発明は、前記エンジンの排気経路内の酸素濃度に基づいて前記目標燃料噴射量の上限値を設定する燃料噴射量制限手段を備えたエンジンに特に有用である。
詳しく説明すると、上記燃料噴射量制限手段は、目標燃料噴射量の上限値を設定することにより、エンジンからスモーク(煤)を多く含む排気ガスが出るのを抑制するためのものである。しかしながら、このような燃料噴射制限手段を備えたエンジンでは、車両加速時に燃料噴射量に制限がかかるため、加速レスポンスが低下する虞がある。一方、燃料噴射量制限手段を備えるエンジンに請求項1に係る発明を適用すれば、EGRバルブの開度制御のタイミングを早めることにより、燃料噴射量の上限値を高めることができる。これにより、燃料噴射制限を受けることを回避しながら、加速レスポンスを向上させることができる。
本発明は、過給機を備えたエンジンに特に有用である。
過給機を備えるエンジンに請求項1に係る発明を適用すれば、ドライバの加速要求に応じたEGRバルブの開度制御(開度を相対的に小さくする)を燃料噴射制御よりも前に行うことで、燃焼室内がドライバの加速要求に応じた酸素濃度に調節されてから燃料噴射が行われることになる。従って、燃焼室内でドライバの加速要求に応じた燃焼が行われ、その結果、ドライバの加速要求に伴って、排気ガスの流量が順調に増加するので、過給機の回転数が順調に増加して加速レスポンスを向上させることができる。なお、EGRバルブの開度を相対的に小さくすれば、NOの生成量が多くなる可能性があるが、ドライバの加速要求が終了した後に、EGRバルブの開度を相対的に大きくすれば、NOの生成が抑制されるため、排気ガスをトータルで見ると、NOの生成量は悪化しない。
本発明は、複数の過給機を備えたエンジンに特に有用である。
すなわち、複数の過給機を備えるエンジンに請求項1に係る発明を適用すれば、複数の過給機の過給性能を有効に発揮させて、より良好な加速レスポンスを得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、エミッション抑制性能を確保しつつ、加速レスポンスを向上させることができるエンジンの制御装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置によるエンジン制御処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置が大型ターボチャージャーと小型ターボチャージャーによる過給を切り替える運転領域を概念的に示したマップである。 本発明の実施形態におけるエンジンの燃料噴射量の変化を、燃料噴射量ガードと共に模式的に示す図である。 本発明の実施形態におけるエンジンの特性と比較例1のエンジン特性とを示す図であり、(a)は車速の変化を示す図、(b)はアクセル開度の変化を示す図、(c)はNOの排出量の変化を示す図、(d)は燃料噴射量の変化を示す図、(e)は吸気酸素濃度の変化を示す図、(f)は空気充填量を示す図、(g)はEGRバルブ開度の変化を示す図、(h)は過給機の回転数の変化を示す図である。 本発明の実施形態におけるエンジンの加速特性を模式的に示す図である。 本発明の実施形態におけるエンジンの特性を示す図であり、(a)はアクセル開度の変化を示す図、(b)は燃料噴射量の変化を示す図、(c)は過給圧の変化を示す図、(d)はEGRバルブ開度の変化を示す図である。 比較例2におけるエンジンの特性を示す図であり、(a)はアクセル開度の変化を示す図、(b)は燃料噴射量の変化を示す図、(c)は過給圧の変化を示す図、(d)はEGRバルブ開度の変化を示す図である。 本発明の実施形態におけるEGRバルブ開度を決定するためのバルブ開度マップを概略的に示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
<システム構成>
まず、図1により、本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。
図1に示すように、エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出する排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ97〜110と、エンジンシステム200の制御を行うPCM(Power-train Control Module)60と、を備える。
まず、吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有しており、この吸気通路1上には、上流側から順に、外部から導入された空気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を圧縮して吸気圧を上昇させる、ターボ過給機5のコンプレッサと、外気や冷却水により吸気を冷却するインタークーラ8と、通過する吸気流量を調整する吸気シャッター弁7と、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12と、が設けられている。
また、吸気系INにおいて、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5には、吸気の圧力を検出する吸気圧センサ103が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールドにおける吸気の圧力を検出する吸気圧センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をPCM60に出力する。
次に、エンジンEは、吸気通路1(詳しくは吸気マニホールド)から供給された吸気を燃焼室17内に導入する吸気バルブ15と、燃焼室17に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁(本発明の「燃料噴射装置」に相当する)20と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、ピストン23の往復運動により回転されるクランクシャフト25と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41へ排出する排気バルブ27と、を有する。
次に、燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。
次に、排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有しており、この排気通路41上には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記したようにコンプレッサを駆動する、ターボ過給機5のタービンと、排気ガスの浄化機能を有するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)45及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel particulate filter)46とが設けられている。DOC45は、排出ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる触媒であり、DPF46は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタである。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービンの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ109が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアOセンサ110が設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ109及び110は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109及びS110をPCM60に出力する。
更に、本実施形態では、ターボ過給機5は、排気エネルギーが低い低回転域から高回転域まで全域で効率よく高過給を得られる2段過給システムとして構成されている。即ち、ターボ過給機5は、高回転域において多量の空気を過給するための大型ターボチャージャー5aと、低い排気エネルギーでも効率よく過給を行える小型ターボチャージャー5bと、小型ターボチャージャー5bのコンプレッサへの吸気の流れを制御するコンプレッサバイパスバルブ5cと、小型ターボチャージャー5bのタービンへの排気の流れを制御するレギュレートバルブ5dと、大型ターボチャージャー5aのタービンへの排気の流れを制御するウェイストゲートバルブ5eとを備えており、エンジンEの運転状態(エンジン回転数及び負荷)に応じて各バルブを駆動することにより、大型ターボチャージャー5aと小型ターボチャージャー5bによる過給を切り替える。
本実施形態によるエンジンシステム200は、更に、EGR装置43を有する。EGR装置43は、ターボ過給機5のタービンの上流側の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサの下流側(詳しくはインタークーラ8の下流側)の吸気通路1とを接続するEGR通路43aと、EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整するEGRバルブ43bとを有する。
EGR装置43によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下「EGRガス量」と称する)は、ターボ過給機5のタービン上流側の排気圧と、吸気シャッター弁7の開度によって作り出される吸気圧と、EGRバルブ43bの開度とによって概ね決定される。
次に、図2により、本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置の電気的構成を説明する。
本発明の実施形態によるPCM60(ターボ過給機付きエンジンの制御装置)は、上述した各種センサ101〜110の検出信号S101〜S110に加えて、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ97、車速を検出する車速センサ98、外気温を検出する外気温センサ99、及び、大気圧を検出する大気圧センサ100のそれぞれが出力した検出信号S97〜S100に基づいて、ターボ過給機5、燃料噴射弁20、及びEGR装置43に対する制御を行うべく、制御信号S130〜S132を出力する。
PCM60は、アクセルペダルの踏込操作を検出するアクセル操作検出部61と、アクセルペダルの踏込操作と、気筒内に導入される吸気の酸素状態とを含む車両の運転状態に基づき目標燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出部62と、燃料噴射弁20による燃料噴射量が上記目標燃料噴射量となるように燃料噴射弁20を制御する燃料噴射制御部63と、上記運転状態に基づきEGRバルブ開度の制御値(本発明の「目標EGRバルブ開度」に相当する)を算出するEGRバルブ開度算出部69と、EGRバルブ43bの開度が上記EGRバルブ開度の制御値となるようにEGRバルブ43bを制御するEGR制御部64と、燃料噴射制御部63による燃料噴射制御のタイミングを遅らせる遅延処理部65と、上記運転状態に基づき目標エンジントルクを算出する目標エンジントルク算出部66と、目標エンジントルク算出部66により算出された目標エンジントルクの時間変化を平滑化する平滑化処理部67と、目標エンジントルク算出部66により算出された目標エンジントルクに基づき気筒内の目標吸気酸素濃度を算出する目標酸素濃度算出部68とを備えている。
上記EGR制御部64は、上記運転状態に基づきEGRバルブ43bの開度の制御値を算出して車両定速時および車両緩加速時にEGRバルブ43bの開度を制御する基本EGR制御部64aと、車両強加速時に基本EGR制御部43aにより算出された制御値よりも小さい開度となるようにEGRバルブ43bの開度を制御する加速時EGR制御部64bとを備えている。
これらのPCM60の各構成要素は、CPU、当該CPU上で実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
次に、図3乃至図10により、エンジンの制御装置が行う処理について説明する。
図3に示すエンジン制御処理は、車両のイグニッションがオンにされ、エンジンの制御装置に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。
エンジン制御処理が開始されると、図3に示すように、ステップS1において、PCM60は車両の運転状態を取得する。具体的には、PCM60は、アクセル開度センサ97が検出したアクセル開度(アクセルペダルの踏込量および踏込速度)、気筒内に導入される吸気の酸素状態、車速センサ98が検出した車速、車両の変速機に現在設定されているギヤ段等を含む、上述した各種センサ97〜110が出力した検出信号S97〜S110等を運転状態として取得する。
次に、ステップS2において、PCM60の目標エンジントルク算出部66は、ステップS1において取得されたアクセルペダルの操作を含む車両の運転状態に基づき、目標加速度を算出する。具体的には、目標トルク算出部66は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度に対応する目標加速度を算出する。
次に、ステップS3において、目標エンジントルク算出部66は、ステップS2において決定した目標加速度を実現するためのエンジンEの目標エンジントルクを算出する。この場合、目標エンジントルク算出部66は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジンEが出力可能なトルクの範囲内で、目標エンジントルクを算出する。
次に、ステップS4において、遅延処理部65は、燃料噴射制御部63による燃料噴射制御のタイミングを遅らせるために、ステップS3の目標トルク算出処理の終了後、所定の時間が経過してから後述のステップS5の平滑化処理が開始されるように、平滑化処理の開始を遅らせる。具体的には、遅延処理部65は、EGRバルブ64bの開度制御がなされてから気筒内の酸素濃度が調節されるまでの時間T1と、燃料噴射弁20が燃料噴射指示を受けてから実際に燃料噴射が行われるまでの時間T2との差分(T1−T2)に相当する時間、次の平滑化処理S5の開始を遅らせる。
次に、ステップS5において、平滑化処理部67は、ステップS4において算出された目標エンジントルクの時間変化を平滑化する。この平滑化の具体的な手法としては、既知の各種手法(例えば、目標エンジントルクの変化率を閾値以下に制限することや、目標エンジントルクの時間変化の移動平均を算出すること等)を用いることができる。
次に、ステップS6において、燃料噴射量算出部62は、ステップS5において平滑化された目標エンジントルクと、エンジン回転数とに基づいて、要求燃料噴射量を算出する。また、ステップS6において、燃料噴射量算出部62は、リニアOセンサ110で検出された酸素濃度N等に基づいて気筒内に導入される吸気の酸素濃度を推定し、この酸素濃度に基づいて要求燃料噴射量の上限値を算出する。この上限値は、スモーク(煤)の発生量が自動車の排気ガス規制に適合するように算出される。以下の説明では、この上限値を「燃料噴射量ガード値Gu1」と称する。この燃料噴射ガード値Gu1(図5参照)は、上記酸素濃度Nが高くなる程、高い値に設定される。つまり、排気通路41における酸素濃度Nが高い程、気筒に流入する吸気の酸素濃度が高いと考えられるので、その分、燃料噴射ガード値Gu1は高い値に設定される。
次に、ステップS7において、燃料噴射量算出部62は、ステップS6において算出された要求燃料噴射量と、燃料噴射量ガード値Gu1とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき燃料噴射量(以下、目標燃料噴射量と称する)を算出する。具体的には、燃料噴射量算出部62は、要求燃料噴射量と燃料噴射量ガード値Gu1との大小関係を判断し、小さい方の値を上記目標燃料噴射量として算出する。
続いて、ステップS8において、燃料噴射制御部63は、ステップS7において算出された目標燃料噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧とを設定する。
次に、ステップS9において、燃料噴射制御部63は、ステップS8において設定された噴射パターン及び燃圧で燃料噴射弁20から上記目標燃料噴射量の燃料が噴射されるように、燃料噴射弁20を制御する。
また、ステップS4〜S9の処理と並行して、ステップS10において、燃料噴射量算出部62は、ステップS3において算出された目標エンジントルクと、エンジン回転数とに基づいて、要求燃料噴射量を算出する。
次に、ステップS11において、目標酸素濃度算出部68は、ステップS10において算出された要求燃料噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、気筒内の目標酸素濃度と、目標吸気温度とを算出する。
次に、ステップS12において、基本EGR制御部64aは、上記運転状態に基づき、ステップS11において算出された目標酸素濃度および目標吸気温度を実現するEGRバルブ43bの開度B12(図示略)、コンプレッサバイパスバルブ5c、レギュレートバルブ5d、及びウェイストゲートバルブ5eの開度を算出する。
バルブ5c、5d、5eについては、例えば、エンジンEの運転状態が始動/半暖機領域(図4参照)であり、大型ターボチャージャー5a及び小型ターボチャージャー5bによる過給を行わない場合には、コンプレッサバイパスバルブ5c、レギュレートバルブ5d、及びウェイストゲートバルブ5eは開状態に設定される。
また、エンジンEの運転状態が低回転領域であり、大型ターボチャージャー5a及び小型ターボチャージャー5bによる2段過給を行う場合には、コンプレッサバイパスバルブ5cは閉状態に設定され、レギュレートバルブ5dは目標過給圧に応じて閉状態と開状態との間で設定され、ウェイストゲートバルブ5eは閉状態に設定される。
また、エンジンEの運転状態が高回転領域であり、大型ターボチャージャー5aによる単段過給を行う場合には、コンプレッサバイパスバルブ5c及びレギュレートバルブ5dは開状態に設定され、ウェイストゲートバルブ5eは目標過給圧に応じて閉状態と半開状態との間で設定される。
また、エンジンEの運転状態がウェイストゲートバルブ5eでの過給圧制御領域であり、過給を行わないか又は大型ターボチャージャー5aによる単段過給を行う場合、コンプレッサバイパスバルブ5c及びレギュレートバルブ5dは開状態に設定され、ウェイストゲートバルブ5eは目標過給圧に応じて閉状態と開状態との間で設定される。
ステップS2〜S3の処理と並行して、ステップS15において、加速時EGR制御部64bは、図10に示されるEGRバルブ開度マップM(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在のアクセルペダル踏込量および踏込速度と、現在のエンジン回転数とに対応するEGRバルブ開度を選択し、選択したEGRバルブ開度B15(図示略)を強加速時のEGRバルブ開度として設定する。以下、このバルブ開度設定について、具体的に説明する。
図10に示されるEGRバルブ開度マップMは、加速要求指標を規定する縦軸と、エンジン回転数を規定する横軸とを有し、これら加速要求指標およびエンジン回転数に応じたEGRバルブ43bの開度が設定されている。具体的には、加速要求指標は、強加速時におけるドライバによる加速要求の度合いを数値化したものであり、アクセルペダルの踏込量と、アクセルペダルの踏込速度とに基づいて設定されている。この加速要求指標の値が大きい程、ドライバの加速要求の度合いが高いことを示している。
このEGRバルブ開度マップMにおいては、エンジン回転数が高い程、EGRバルブ開度が大きい値に設定され、加速要求指標が大きい程、EGRバルブ開度が小さい値に設定されている。従って、図10において、左下側におけるEGRバルブ開度が最も小さい値(例えばゼロ。すなわち全閉状態)に設定され、右上側におけるEGRバルブ開度が最も大きい値に設定されている。従って、加速時EGR制御部64bは、アクセルペダルの操作状態(アクセルペダルの踏込量および踏込速度)に応じて、EGRバルブ43bの開度を変更する。つまり、加速時EGR制御部64bは、加速要求指標の値が大きい程、EGRバルブ開度を大きい値に設定し、エンジン回転数が高い程、EGRバルブ開度を大きい値に設定する。
加速時EGR制御部64bは、アクセルペダルの踏込量と、アクセルペダルの踏込速度とに基づいて加速要求指標を算出し、この加速要求指標が所定値以上である場合、すなわちドライバから強加速要求があった場合に、EGRバルブ43bの開度を算出する。上記所定値は、EGRバルブ開度マップMの縦軸に規定されている最小値である。上記強加速要求時は、エンジンEの状態が図7に示される過給域にある場合に相当する。過給域は、過給機によって過給がなされる強加速領域である。一方、図7に示されるNA領域は、自然吸気によって気筒に吸気が導かれる領域であり、強加速領域よりも加速の程度が低い緩加速領域である。
次に、ステップS13において、EGRバルブ開度算出部69は、EGRバルブの開度を決定する。具体的には、ステップS12において算出されたEGRバルブ開度B12と、ステップS15において算出されたEGRバルブ開度B15とを比較し、開度が大きい方を選択して、その選択した開度をEGRバルブ開度の制御値として決定する。なお、加速要求指標が上記所定値未満である場合には、加速時EGR制御部64bはEGバルブ開度を設定しないので、この場合(緩加速時または定速時)には、EGRバルブ開度算出部69は、ステップS12において算出されたEGRバルブ開度を制御値として決定する。
次に、ステップS14において、基本EGR制御部64aまたは加速時EGR制御部64bは、ステップS13において制御値として決定されたEGRバルブ開度に基づいて、EGRバルブ43bの駆動アクチュエータを制御する。具体的には、ステップS13においてEGRバルブ開度B12が選択された場合には、基本EGR制御部64aがEGRバルブ43bの開度をEGRバルブ開度B12に制御する。一方、ステップS13においてEGRバルブ開度B15が選択された場合には、加速時EGR制御部64bがEGRバルブ43bの開度をEGRバルブ開度B15に制御する。EGRバルブ開度B15に制御する場合には、EGRバルブ43の駆動アクチュエータは、バルブ開度が小さくなる方向(閉方向)に制御される。ステップS14の処理は、ステップS9の処理よりも前に開始される。
また、ステップS14において、図外の過給用バルブ制御部は、ステップS12において算出されたコンプレッサバイパスバルブ5c、レギュレートバルブ5d、及びウェイストゲートバルブ5eの開度に基づいて、これらのバルブ5c、5d、5eのアクチュエータを制御する。
次に、本実施形態の作用効果について、図6を参照しつつ説明する。図6は、本実施形態におけるエンジンの特性(実線のグラフで示す)と比較例1のエンジンの特性(破線のグラフで示す)とを示す図である。なお、比較例1のエンジンは、図3における遅延処理S4と、処理S10〜S14とを行わない上に、図3における要求燃料噴射量算出S6で算出された要求燃料噴射量に基づいて目標吸気酸素濃度算出を行い、この目標吸気酸素濃度に基づいてEGRバルブ開度(制御値)を算出し、このEGRバルブ開度に基づいてEGRバルブを制御するものとする。
本実施形態によれば、EGR制御部64によるEGRバルブ43bを閉じる方向のバルブ開度制御が、アクセルペダルの踏込操作後、燃料噴射制御部63がアクセルペダルの踏込操作に応じた目標燃料噴射量となるよう燃料噴射弁20を制御する前に開始されるので、燃焼室内の酸素濃度を速やかに上昇させることができ、これに伴って燃料噴射量を速やかに増加させることができ、これにより、加速レスポンスを向上させることができるとともに、全体としてのエミッション抑制性能を確保することができる。本実施形態では、アクセルペダルの踏込操作(図6(b)の矢印Sb1参照)がなされた後に、その操作状態に基づいてEGRバルブ43bの開度が閉弁方向に制御され(図6(g)の矢印Sg1参照)、このバルブ開度制御により燃焼室内の酸素濃度が上昇した後に(図6(e)の矢印Se参照)、燃料噴射制御が行われる。
詳しく説明すると、気筒内に導入される吸気の酸素が不足している状態で多量の燃料を噴射すると、すすが発生するため、吸気の酸素状態に応じて燃料噴射量が多くなり過ぎないように燃料噴射弁20を制御する必要があるが、EGR装置43は、排気通路41内の排気ガスを吸気通路1に還流させることにより、新気とEGRガスとを合流させて気筒に送り込むものであるために、EGRバルブ43bの開度が制御されてからその効果が現れるまでの時間、つまりEGRバルブ43bの開度制御がなされてから、EGRバルブ開度の制御値(目標EGRバルブ開度)に対応した気筒内の酸素濃度になるまでには時間遅れが発生する。このため、アクセルペダルの踏込操作後、燃料噴射量を増加できる吸気の酸素状態とするべく、EGRバルブ43bを閉弁方向に制御したとしても、実際に吸気の酸素濃度が増加するまでの間は、燃料噴射量を増加させることが出来ず、これが、加速レスポンスの低下につながる。
そこで、本実施形態では、ドライバの加速要求(アクセルペダルの踏込操作(図6(b)の矢印Sb1参照)に応じたEGRバルブ43bの開度制御(バルブを閉じる方向の制御(図6(g)の矢印Sg1参照)を、アクセルペダルの操作後の目標燃料噴射量に基づいて燃料噴射弁20を制御する前に開始することで、燃焼室17内の酸素濃度を速やかに増加させて(図6(e)の矢印Se1参照)、燃料噴射量を速やかに増加させることができるようにして、加速レスポンスを向上させることができる(図6(a)の矢印Sa1参照)。このとき、燃焼室17内の酸素濃度を上昇させることを早めるため、アクセル操作踏込後の初期においては、NOの生成量が増加する可能性があるが(図6(c)の矢印Sc参照)、アクセル踏込操作に対応したエンジン出力に速やかに到達する、言い換えると、エンジンEの過渡状態が速やかに終了し、早期に定常状態に移行するため、全体としてのNOx発生量を抑制して、エミッション抑制性能を確保することができる。すなわち、本実施形態によれば、加速レスポンスを向上させつつ、エミッション性能を確保することが可能となる。
図6に示される例では、ドライバの加速要求が終了した後に(図6(b)の矢印Sb2参照)、EGRバルブ43bの開度を開方向に制御することで、NOの生成が抑制されるため(図6(e)の矢印Se2参照)、排気ガスをトータルで見ると、NOの生成量は抑制され、しかも、燃料噴射量ガード値Guを設定することにより、スモーク(煤)の発生も抑制されるので、エミッション性能を確保することができる。一方、比較例に係るエンジンでは、図3に示す遅延処理S4を行わない上に、要求燃料噴射量算出S6で算出された要求燃料噴射量に基づいて目標酸素濃度算出が行われる。このため、EGRバルブを閉じる方向のバルブ開度制御が、アクセルペダルの踏込操作後、燃料噴射弁を制御した後に行われるので(図6(g)の矢印Sg2参照)、燃焼室内の酸素濃度が低い状態で(図6(e)の矢印Se3参照)燃料噴射が行われる。このため、本実施形態と比べて加速レスポンスが悪い状態になる(図6(a)の矢印Sa2参照)。
また、本実施形態によれば、遅延処理S4により、燃料噴射制御のタイミングを遅らせるので、EGRバルブ43bの開度制御を燃料噴射制御よりも確実に早いタイミングで行うことができる。
また、本実施形態によれば、ステップS5において目標エンジントルクの時間変化を平滑化するので、スムーズな加速が可能となり、運転のし易さと加速レスポンスの向上とを両立させることができる。
また、本実施形態によれば、ステップS11において目標エンジントルクに基づき気筒内の目標吸気酸素濃度が算出され、燃焼室17内の酸素濃度がこの目標吸気酸素濃度となるようにEGRバルブ43bの開度制御が行われるので、EGRバルブ43bの開度制御S14を燃料噴射制御S9よりも確実に早いタイミングで行うことができる。すなわち、目標エンジントルクの時間変化の平滑化S5を経ずにEGRバルブ43bの開度制御S14が行われるので、その分、EGRバルブ43bの開度制御のタイミングが早くなり、その結果、EGRバルブ43bの開度制御を燃料噴射制御S9よりも確実に早いタイミングで行うことができる。
また、本実施形態は、燃料噴射量制限を行うエンジンに適用されるので、EGRバルブ43bの開度制御のタイミングを早めることにより、燃料噴射量の上限値(図5の燃料噴射ガード値Gu1)を早期に高めることができる。これにより、図5に示されるように、早い段階から燃料噴射量Fn1を高めて、加速レスポンスを向上させることができる。一方、上記比較例に係るエンジンでは、図3に示す遅延処理S4を行わない上に、要求燃料噴射量算出S6で算出された要求燃料噴射量に基づいて目標酸素濃度算出を行うので、図5に示されるように、気筒内の酸素濃度の上昇が遅くなり、これに伴い、燃料噴射ガード値Gu2の増加が遅くなって、燃料噴射量Fn2の増加も遅れる。このため、加速レスポンスが本実施形態よりも悪くなる。
また、本実施形態は、過給機5を備えるエンジンEに特に有用である。具体的に説明すると、ドライバの加速要求に応じたEGRバルブ43bの開度制御(開度を相対的に小さくする)を燃料噴射制御S9よりも前に開始することで、燃焼室17内がドライバの加速要求に応じた酸素濃度に調節されてから燃料噴射が行われることになる。従って、燃焼室17内でドライバの加速要求に応じた燃焼が行われ、その結果、ドライバの加速要求に伴って、排気ガスの流量が順調に増加するので、過給機5の回転数が順調に増加して加速レスポンスを向上させることができる。
また、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。図8(a)におけるグラフA1〜A6は、本実施形態における6パターンのアクセル開度変化を示している。A1が最もアクセル開度が大きく、下側に位置するグラフA2〜A6は、この順序で次第にアクセル開度が小さくなっている。また、図8(b)のグラフB1〜B6、図8(c)のグラフC1〜C6、図8(d)のグラフD1〜D6は、各々、図8(a)におけるグラフA1〜A6に対応するアクセル開度、燃料噴射量、過給圧、EGRバルブ開度のグラフである。
図9(a)におけるグラフa1〜a6は、比較例2における6パターンのアクセル開度変化を示している。a1が最もアクセル開度が大きく、下側に位置するグラフa2〜a6は、この順序で次第にアクセル開度が小さくなっている。また、図9(b)のグラフb1〜b6、図9(c)のグラフc1〜c6、図9(d)のグラフd1〜d6は、各々、図9(a)におけるグラフa1〜a6に対応するアクセル開度、燃料噴射量、過給圧、EGRバルブ開度のグラフである。
図8、9を用いて効果を説明する。本実施形態では、上述のように、加速時EGR制御部64bは、EGRバルブ開度を、基本EGR制御部64aにより算出されたEGRバルブ開度より小さい開度となるように設定する。これにより、強加速時には、気筒へのEGRガス供給量が定速走行時および緩加速時よりも少なくなり、気筒内の酸素濃度が相対的に高くなる。気筒内の酸素濃度が高くなると、燃料噴射量を増やすことができるため、車両を強く加速させることができる。
しかも、加速時EGR制御部64bは、アクセルペダルの操作状態に応じてEGRバルブ開度を変更するので(図8(a),(d)参照)、アクセルペダルの操作状態毎にEGRバルブ開度は異なる開度に設定される(図8(a),(d)参照)。これにより、アクセルペダルの操作状態毎に気筒内の酸素濃度を変化させて、その変化に応じて燃料噴射量を変更し(図8(b)参照)、車両の加速度を変更することができる。従って、強加速時に、要求駆動力に応じた加速レスポンスを確保することができる。これは、図8(b)に示されるように、燃料噴射量ガードGu1が設けられている場合に特に有効である。このようなガードGu1が設けられて、このガードGu1を超えるような加速要求がある場合であっても、要求駆動力に応じた加速レスポンスを確保することができるからである。また、過給機5の能力を超えるような加速要求がある場合であっても、同様の作用により、要求駆動力に応じた加速レスポンスを確保することができる。
一方、加速時EGR制御部64bを備えない比較例2のエンジンでは、燃料噴射量ガードGu2が設けられて、このガードGu2を超えるような加速要求がある場合には、加速要求がどのように変化しても、燃料噴射量が燃料噴射ガードGu2に固定されてしまい、要求駆動力に応じた加速レスポンスを確保することができない(図9(b)参照)。
なお、上記実施形態は、ディーゼルエンジンに適用されているが、ガソリンエンジンにも適用可能である。
また、上記実施形態では、平滑化処理S5を設けているが、この処理を省略してもよく、この場合においても、遅延処理S4の遅延時間を延ばすこと等により、加速レスポンスを向上させることができる。
また、上記実施形態では、強加速時EGRバルブ開度算出S15を行っているが、この処理は省略してもよく、この場合においても、加速レスポンスを向上させることができる。
E エンジン
5 過給機
43 EGR装置
43a EGR通路
43b EGRバルブ
61 アクセル操作検出部
62 燃料噴射量算出部
63 燃料噴射制御部
64 EGR制御部
65 遅延処理部
66 目標エンジントルク算出部
67 平滑化処理部
68 目標酸素濃度算出部
69 燃料噴射量算出部

Claims (8)

  1. 排気通路内の排気ガスを吸気通路に還流させるEGR通路およびこのEGR通路を通過する排気ガスの流量を調節するEGRバルブを有するEGR装置と、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置とを備えるエンジンを、車両の運転状態に基づき制御するエンジンの制御装置であって、
    アクセルペダルの踏込操作を検出するアクセル操作検出手段と、
    アクセルペダルの踏込操作と、気筒内に導入される吸気の酸素状態と、を含む車両の運転状態に基づき目標燃料噴射量を算出する燃料噴射量算出手段と、
    前記燃料噴射装置による燃料噴射量が前記目標燃料噴射量となるように前記燃料噴射装置を制御する燃料噴射制御手段と、
    前記運転状態に基づき目標EGRバルブ開度を算出するEGRバルブ開度算出手段と、
    前記EGRバルブの開度が前記目標EGRバルブ開度となるように前記EGRバルブを制御するEGR制御手段とを備え、
    前記EGR制御手段は、前記アクセルペダルの踏込操作後、この踏込操作に基づき燃料噴射量算出手段が算出した目標燃料噴射量に基づいて前記燃料噴射制御手段が燃料噴射装置を制御する前に、前記EGRバルブの開度を前記アクセルペダルの踏込操作後の運転状態に対応した目標EGRバルブ開度とするべく前記EGRバルブの開度を閉じる方向に制御することを開始することを特徴とする、エンジンの制御装置。
  2. 前記EGR制御手段は、前記アクセル操作検出手段による踏込操作の検出後、前記燃料噴射量算出手段による前記目標燃料噴射量の算出のために行われる処理と並行して前記EGRバルブの開度を制御することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記燃料噴射制御手段による燃料噴射制御のタイミングを遅らせる遅延処理手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記運転状態に基づき目標エンジントルクを算出する目標エンジントルク算出手段と、この目標エンジントルク算出手段により算出された目標エンジントルクの時間変化を平滑化する平滑化処理手段とをさらに備え、
    前記燃料噴射量算出手段は、前記平滑化処理手段により平滑化された目標エンジントルクに基づいて燃料噴射量を算出することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記目標エンジントルク算出手段により算出された前記目標エンジントルクに基づき気筒内の目標吸気酸素濃度を算出する目標酸素濃度算出手段をさらに備え、
    前記EGR制御手段は、燃焼室内の酸素濃度が前記目標酸素濃度算出手段により算出された目標酸素濃度となるように前記EGRバルブの開度を制御することを特徴とする、請求項4に記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記燃料噴射量算出手段は、前記エンジンの排気経路内の酸素濃度に基づいて前記目標燃料噴射量の上限値を設定する燃料噴射量制限手段を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記エンジンは、過給機を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記過給機は、複数の過給機を含むことを特徴とする、請求項7に記載のエンジンの制御装置。
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