JPH05230694A - 溶接性、加工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板とその製造方法 - Google Patents
溶接性、加工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板とその製造方法Info
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- JPH05230694A JPH05230694A JP10810792A JP10810792A JPH05230694A JP H05230694 A JPH05230694 A JP H05230694A JP 10810792 A JP10810792 A JP 10810792A JP 10810792 A JP10810792 A JP 10810792A JP H05230694 A JPH05230694 A JP H05230694A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】溶接性およびプレス加工性を維持しつつ従来の
ティンフリースチール表面と同等の色調を有する溶接缶
用表面処理鋼板およびその製造方法を提供することにあ
る。 【構成】鋼板と、鋼板上に形成されたクロムめっき層第
1層とクロムめっき層第4層と、その外側に形成された
それぞれ錫量の異なる錫めっき層第2層と錫めっき層第
5層と、更にその外側に形成されたそれぞれクロム量の
異なるクロム水和酸化物層第3層とクロム水和酸化物層
第6層からなっており、鋼板の両面において皮膜構成の
異なるいわゆるデファレンシャルめっき(差厚めっき)
鋼板。
ティンフリースチール表面と同等の色調を有する溶接缶
用表面処理鋼板およびその製造方法を提供することにあ
る。 【構成】鋼板と、鋼板上に形成されたクロムめっき層第
1層とクロムめっき層第4層と、その外側に形成された
それぞれ錫量の異なる錫めっき層第2層と錫めっき層第
5層と、更にその外側に形成されたそれぞれクロム量の
異なるクロム水和酸化物層第3層とクロム水和酸化物層
第6層からなっており、鋼板の両面において皮膜構成の
異なるいわゆるデファレンシャルめっき(差厚めっき)
鋼板。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接性、加工性に優れ、
更に良好な表面色調を有した溶接缶用表面処理鋼板に関
するものである。
更に良好な表面色調を有した溶接缶用表面処理鋼板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼板上にクロムめっきを施しその
上層に錫めっき層を中間層として形成し、更にその上に
クロメート層を有した溶接缶用表面処理鋼板について次
の技術が知られている。すなわち、鋼板表面上に30〜
300mg/m2のクロムめっき層、その上部に10〜
500mg/m2の錫めっき層またはNi含有率20〜
60重量%のSn・Ni合金めっき層と、更にその上に
クロム換算で2〜18mg/m2のクロム水和酸化物層
を形成したことを特徴とする溶接缶用表面処理鋼板(特
公昭63−35718号公報)、鋼板表面上に5〜50
0mg/m2の金属クロム層を有し、その上に50〜1
000mg/m2の金属錫層を有し、更にその上に3〜
20mg/m2の金属クロムとクロム換算で3〜30m
g/m2のクロム水和酸化物から構成されるクロメート
皮膜層を有することを特徴とする溶接性に優れた表面処
理鋼板(特公平3−68949号公報)、鋼板の少なく
とも1つの表面上に形成された5〜200mg/m2の
付着量の下層としての金属クロム層と、前記金属クロム
層の上に形成された30〜800mg/m2の付着量の
中間層としての錫めっき層と、前記錫めっき層の上に形
成された、クロム換算で3〜30mg/m2の付着量の
上層としてのクロメート層とからなり、前記金属クロム
層に、2×105個/mm2以上の密度で粒状突起が形
成されていることを特徴とする、耐食性、溶接性および
表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板(特開平2−
267300号公報)、鋼板表面に、下層から順に金属
クロム換算で10〜200mg/m2のクロムめっき
層、平均被覆量が20〜500mg/m2で、かつ局所
的な凸部を有する錫叉は銅、ニッケルめっき層、更に金
属クロム換算で5〜30mg/m2のクロメート被覆量
の以上3層から構成されるシーム溶接性に優れた製缶用
表面処理鋼板(特開昭62−139898号公報)、お
よび鋼板表面に、片面当たり金属クロム換算で30〜5
00mg/m2のクロムめっき処理を施し、引き続きク
ロムめっき層ピンホールの素地鋼露出部に銅叉は錫を析
出させた事を特徴とする溶接性に優れた低コスト表面処
理鋼板(特開昭63−53288号公報)等が開示され
ている。
上層に錫めっき層を中間層として形成し、更にその上に
クロメート層を有した溶接缶用表面処理鋼板について次
の技術が知られている。すなわち、鋼板表面上に30〜
300mg/m2のクロムめっき層、その上部に10〜
500mg/m2の錫めっき層またはNi含有率20〜
60重量%のSn・Ni合金めっき層と、更にその上に
クロム換算で2〜18mg/m2のクロム水和酸化物層
を形成したことを特徴とする溶接缶用表面処理鋼板(特
公昭63−35718号公報)、鋼板表面上に5〜50
0mg/m2の金属クロム層を有し、その上に50〜1
000mg/m2の金属錫層を有し、更にその上に3〜
20mg/m2の金属クロムとクロム換算で3〜30m
g/m2のクロム水和酸化物から構成されるクロメート
皮膜層を有することを特徴とする溶接性に優れた表面処
理鋼板(特公平3−68949号公報)、鋼板の少なく
とも1つの表面上に形成された5〜200mg/m2の
付着量の下層としての金属クロム層と、前記金属クロム
層の上に形成された30〜800mg/m2の付着量の
中間層としての錫めっき層と、前記錫めっき層の上に形
成された、クロム換算で3〜30mg/m2の付着量の
上層としてのクロメート層とからなり、前記金属クロム
層に、2×105個/mm2以上の密度で粒状突起が形
成されていることを特徴とする、耐食性、溶接性および
表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板(特開平2−
267300号公報)、鋼板表面に、下層から順に金属
クロム換算で10〜200mg/m2のクロムめっき
層、平均被覆量が20〜500mg/m2で、かつ局所
的な凸部を有する錫叉は銅、ニッケルめっき層、更に金
属クロム換算で5〜30mg/m2のクロメート被覆量
の以上3層から構成されるシーム溶接性に優れた製缶用
表面処理鋼板(特開昭62−139898号公報)、お
よび鋼板表面に、片面当たり金属クロム換算で30〜5
00mg/m2のクロムめっき処理を施し、引き続きク
ロムめっき層ピンホールの素地鋼露出部に銅叉は錫を析
出させた事を特徴とする溶接性に優れた低コスト表面処
理鋼板(特開昭63−53288号公報)等が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術は従来の
クロム酸処理鋼板、いわゆるティンフリースチール(以
下TFS−CTという。)材料の代替としてエッジクリ
ーニングなしで溶接でき、安価な溶接缶用材料として開
発された技術であり、特公昭63−35718号公報に
基づいて製造された表面処理鋼板は、現在溶接缶用とし
て胴材や蓋材に採用されているが実用上次の様な問題が
ある。すなわち上記溶接缶用表面処理鋼板はめっき皮膜
の中間層に錫めっき層が形成されているため、従来のT
FS−CT材料の表面色調と異なった表面色調(TFS
−CT材料の表面色調が青白色系なのに対して、上記溶
接缶用表面処理鋼板は黄色味を帯びている。)となり、
従来から使用していた食缶、ペール缶、181缶および
オイル缶等缶用材料の代替としてそのまま使用するには
問題がある。それはこれらの缶の外観は内容物の商品価
値を決定するほどの重要性を有するからであり、缶製造
メーカーは缶の意匠性を高めるため缶表面にどのような
印刷模様を施すか、あるいはどのような塗装をするかを
研究している。例えばクリヤー塗装や透かし印刷を施し
た場合には表面処理鋼板の表面の色調は缶の意匠性上特
に大きな影響を及ぼすからである。このように缶の意匠
性が商品価値上重要性を帯びるにしたがって表面処理鋼
板の表面色調も重要視されるようになり、上記溶接缶用
表面処理鋼板は従来のTFS−CT材料と明らかに色調
が異なるためそのまま代替するには問題があった。そこ
で本発明の目的は、溶接性およびプレス加工性を維持し
つつ従来のティンフリースチール表面と同等の色調を有
する缶用表面処理鋼板およびその製造方法を提供するこ
とにある。
クロム酸処理鋼板、いわゆるティンフリースチール(以
下TFS−CTという。)材料の代替としてエッジクリ
ーニングなしで溶接でき、安価な溶接缶用材料として開
発された技術であり、特公昭63−35718号公報に
基づいて製造された表面処理鋼板は、現在溶接缶用とし
て胴材や蓋材に採用されているが実用上次の様な問題が
ある。すなわち上記溶接缶用表面処理鋼板はめっき皮膜
の中間層に錫めっき層が形成されているため、従来のT
FS−CT材料の表面色調と異なった表面色調(TFS
−CT材料の表面色調が青白色系なのに対して、上記溶
接缶用表面処理鋼板は黄色味を帯びている。)となり、
従来から使用していた食缶、ペール缶、181缶および
オイル缶等缶用材料の代替としてそのまま使用するには
問題がある。それはこれらの缶の外観は内容物の商品価
値を決定するほどの重要性を有するからであり、缶製造
メーカーは缶の意匠性を高めるため缶表面にどのような
印刷模様を施すか、あるいはどのような塗装をするかを
研究している。例えばクリヤー塗装や透かし印刷を施し
た場合には表面処理鋼板の表面の色調は缶の意匠性上特
に大きな影響を及ぼすからである。このように缶の意匠
性が商品価値上重要性を帯びるにしたがって表面処理鋼
板の表面色調も重要視されるようになり、上記溶接缶用
表面処理鋼板は従来のTFS−CT材料と明らかに色調
が異なるためそのまま代替するには問題があった。そこ
で本発明の目的は、溶接性およびプレス加工性を維持し
つつ従来のティンフリースチール表面と同等の色調を有
する缶用表面処理鋼板およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上述した問
題点を解決するため、溶接性およびプレス加工性を維持
しつつしかも表面色調に優れた缶用表面処理鋼板を開発
すべく、鋭意研究を重ねた結果次のような知見を得た。
すなわち (1)鋼板上にクロムめっき層および中間層として錫め
っき層を有し、更に最外層にクロメート皮膜層を形成さ
せた缶用表面処理鋼板は溶接性に優れている。これは錫
めっき層の下層にクロム層を有しているため塗装焼付の
際に地鉄と錫の合金化が起こり難く、軟らかい錫めっき
層が溶接の際に最上部のクロメート皮膜層を容易に破壊
して溶接部の電気抵抗を下げ、更に溶接時に発生するジ
ュール熱により錫が溶融して接触面積を増加させるため
に、局部的な発熱が起こらずスプラッシュ、ブローホー
ル等が防止されると考えられる。本発明者等はこの溶接
特性向上現象について更に研究を重ねた結果、クロムめ
っき層上の錫めっき層は、板の片面側のみに60〜50
0mg/m2の錫めっき層を有しておれば、反対面の錫
層は1〜30mg/m2あれば良好な溶接性を得ること
がわかった。 (2)鋼板上にクロムめっき層を下層に有し、中間層に
錫めっき層を形成させた缶用表面処理鋼板は錫めっき層
の効果により、板表面の滑り性が良好となり、プレス加
工時の成形性が優れ、ワックスを使用しないで良好なプ
レス加工ができることがわかった。更に研究を重ねた結
果、クロムめっき上の錫めっき層は片面側に6〜500
mg/m2、反対面側には1〜30mg/m2の錫めっ
き層が形成されていれば良好な加工性をもつことがわか
った。また、1〜30mg/m2の錫めっき層は均一に
形成させる必要はなくクロムめっき層上に部分的に存在
していれば良いこともわかった。。 (3)クロムめっき層上に形成された錫めっき層は溶錫
処理をしない場合、無光沢であり、最上部のクロメート
皮膜との相乗効果により黄色を呈する。溶錫処理をした
場合は、錫の金属光沢を得ることができるがTFS−C
T系材料とは異なった表面色調になる。本発明者等は錫
めっき量と表面色調の関係について研究を重ねた結果、
クロムめっき上に形成される錫めっき層が1〜30mg
/m2、その上部のクロム水和酸化物がクロム換算で1
〜10mg/m2の範囲にあればTFS−CT系材料と
同等な表面色調を呈することがわかった。 すなわち、本発明は鋼板上の両面に片面当たり30〜3
00mg/m2のクロムめっき層第1層およびクロムめ
っき層第4層が形成され、該両クロムめっき層上の片面
側には1〜30mg/m2の錫めっき層第2層と反対面
側には60〜500mg/m2の錫めっき層第5層とが
形成され、更に錫めっき層第2層上にはクロム換算で1
〜10mg/m2のクロム水和酸化物層第3層と、錫め
っき層第5層上には6〜18mg/m2のクロム水和酸
化物層第6層が形成されたことを特徴とする溶接性、加
工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板、および
清浄化処理した鋼板上にクロムめっき層第1層およびク
ロムめっき層第4層を形成させた後、引き続いて硫酸換
算で全酸度5〜30g/lを含有し且つ錫イオンを1〜
10g/l含有する酸性錫めっき浴中で片面側に1〜3
0mg/m2の錫めっき層第2層を形成させ、反対面側
に60〜500mg/m2の錫めっき層第5層を形成
し、更に錫めっき層第2層上にクロム換算で1〜10m
g/m2のクロム水和酸化物層第3層と、錫めっき層第
5層上に6〜18mg/m2のクロム水和酸化物層第6
層を形成させることを特徴とする溶接性、加工性および
表面色調に優れた缶用表面処理鋼板の製造方法、によっ
て構成される。
題点を解決するため、溶接性およびプレス加工性を維持
しつつしかも表面色調に優れた缶用表面処理鋼板を開発
すべく、鋭意研究を重ねた結果次のような知見を得た。
すなわち (1)鋼板上にクロムめっき層および中間層として錫め
っき層を有し、更に最外層にクロメート皮膜層を形成さ
せた缶用表面処理鋼板は溶接性に優れている。これは錫
めっき層の下層にクロム層を有しているため塗装焼付の
際に地鉄と錫の合金化が起こり難く、軟らかい錫めっき
層が溶接の際に最上部のクロメート皮膜層を容易に破壊
して溶接部の電気抵抗を下げ、更に溶接時に発生するジ
ュール熱により錫が溶融して接触面積を増加させるため
に、局部的な発熱が起こらずスプラッシュ、ブローホー
ル等が防止されると考えられる。本発明者等はこの溶接
特性向上現象について更に研究を重ねた結果、クロムめ
っき層上の錫めっき層は、板の片面側のみに60〜50
0mg/m2の錫めっき層を有しておれば、反対面の錫
層は1〜30mg/m2あれば良好な溶接性を得ること
がわかった。 (2)鋼板上にクロムめっき層を下層に有し、中間層に
錫めっき層を形成させた缶用表面処理鋼板は錫めっき層
の効果により、板表面の滑り性が良好となり、プレス加
工時の成形性が優れ、ワックスを使用しないで良好なプ
レス加工ができることがわかった。更に研究を重ねた結
果、クロムめっき上の錫めっき層は片面側に6〜500
mg/m2、反対面側には1〜30mg/m2の錫めっ
き層が形成されていれば良好な加工性をもつことがわか
った。また、1〜30mg/m2の錫めっき層は均一に
形成させる必要はなくクロムめっき層上に部分的に存在
していれば良いこともわかった。。 (3)クロムめっき層上に形成された錫めっき層は溶錫
処理をしない場合、無光沢であり、最上部のクロメート
皮膜との相乗効果により黄色を呈する。溶錫処理をした
場合は、錫の金属光沢を得ることができるがTFS−C
T系材料とは異なった表面色調になる。本発明者等は錫
めっき量と表面色調の関係について研究を重ねた結果、
クロムめっき上に形成される錫めっき層が1〜30mg
/m2、その上部のクロム水和酸化物がクロム換算で1
〜10mg/m2の範囲にあればTFS−CT系材料と
同等な表面色調を呈することがわかった。 すなわち、本発明は鋼板上の両面に片面当たり30〜3
00mg/m2のクロムめっき層第1層およびクロムめ
っき層第4層が形成され、該両クロムめっき層上の片面
側には1〜30mg/m2の錫めっき層第2層と反対面
側には60〜500mg/m2の錫めっき層第5層とが
形成され、更に錫めっき層第2層上にはクロム換算で1
〜10mg/m2のクロム水和酸化物層第3層と、錫め
っき層第5層上には6〜18mg/m2のクロム水和酸
化物層第6層が形成されたことを特徴とする溶接性、加
工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板、および
清浄化処理した鋼板上にクロムめっき層第1層およびク
ロムめっき層第4層を形成させた後、引き続いて硫酸換
算で全酸度5〜30g/lを含有し且つ錫イオンを1〜
10g/l含有する酸性錫めっき浴中で片面側に1〜3
0mg/m2の錫めっき層第2層を形成させ、反対面側
に60〜500mg/m2の錫めっき層第5層を形成
し、更に錫めっき層第2層上にクロム換算で1〜10m
g/m2のクロム水和酸化物層第3層と、錫めっき層第
5層上に6〜18mg/m2のクロム水和酸化物層第6
層を形成させることを特徴とする溶接性、加工性および
表面色調に優れた缶用表面処理鋼板の製造方法、によっ
て構成される。
【0005】
【作用】次に、この発明を、図を参照しながら説明す
る。図1は本発明の缶用表面処理鋼板の模式断面図であ
る。図1に示すように本発明の缶用表面処理鋼板は、鋼
板1と、鋼板上に形成されたクロムめっき層第1層10
とクロムめっき層第4層40と、その外側に形成された
それぞれ錫量の異なる錫めっき層第2層20と錫めっき
層第5層50と、更にその外側に形成されたそれぞれク
ロム量の異なるクロム水和酸化物層第3層30とクロム
水和酸化物層第6層60とからなっており、鋼板の両面
において皮膜構成の異なるいわゆるデファレンシャルめ
っき(差厚めっき)鋼板である。クロムめっき層第1層
10とクロムめっき層第4層40に形成されるクロムめ
っき層はその皮膜量は30〜300mg/m2の範囲が
適当である。その理由は30mg/m2以下では耐食性
が劣り、且つ溶錫処理および塗装焼付の際に中間層に形
成された錫と地鉄が反応して、合金化を促進させ溶接性
を損なうためである。一方、クロムめっき層の皮膜量が
300mg/m2以上では耐食性に対する効果が収束
し、溶接性、加工性に対してはかえって不利となるため
である。クロムめっき層の皮膜量は、好ましくは70〜
150mg/m2の範囲が畝、
る。図1は本発明の缶用表面処理鋼板の模式断面図であ
る。図1に示すように本発明の缶用表面処理鋼板は、鋼
板1と、鋼板上に形成されたクロムめっき層第1層10
とクロムめっき層第4層40と、その外側に形成された
それぞれ錫量の異なる錫めっき層第2層20と錫めっき
層第5層50と、更にその外側に形成されたそれぞれク
ロム量の異なるクロム水和酸化物層第3層30とクロム
水和酸化物層第6層60とからなっており、鋼板の両面
において皮膜構成の異なるいわゆるデファレンシャルめ
っき(差厚めっき)鋼板である。クロムめっき層第1層
10とクロムめっき層第4層40に形成されるクロムめ
っき層はその皮膜量は30〜300mg/m2の範囲が
適当である。その理由は30mg/m2以下では耐食性
が劣り、且つ溶錫処理および塗装焼付の際に中間層に形
成された錫と地鉄が反応して、合金化を促進させ溶接性
を損なうためである。一方、クロムめっき層の皮膜量が
300mg/m2以上では耐食性に対する効果が収束
し、溶接性、加工性に対してはかえって不利となるため
である。クロムめっき層の皮膜量は、好ましくは70〜
150mg/m2の範囲が畝、
【0006】第1層クロムめっき層10の上部には、1
〜30mg/m2範囲の錫めっき層第2層20が形成さ
れており、また反対側のクロムめっき層第4層40の上
部には60〜500mg/m2範囲の錫めっき層第5層
50が形成されている。錫めっき層第2層20の錫付着
量をクロムめっき層第4層40の錫付着量よりも少なく
したのは、この表面処理鋼板は特に色調を問題とする用
途に採用されるからである。図2は、錫めっき層のめっ
き付着量と、表面処理鋼板の外観の表面色調である黄色
度(YI値)との関係をグラフに示したものである。図
2より錫めっき層のめっき付着量が多くなると表面色調
が黄色味を増してくる傾向があり、錫めっき量が30m
g/m2を越すとYI値が−10を越え、人間の視覚上
黄色味を感ずるようになる。なお錫めっき層第2層20
の錫めっき層を存在させるのは溶接性、加工性を保持さ
せることを目的としており、均一厚みに形成されていな
くてもよく、クロムめっき層第1層10上に部分的に存
在していれば良い。例えば島状に形成されていても良
い。溶接性、加工性等の観点から好ましくは3〜20m
g/m2の範囲が良い。錫めっき層第5層50の錫めっ
き層は溶接性、加工性を向上させることを目的としてお
り、錫めっき量が多い程有利である。しかしながら、経
済性、溶接性の観点から好ましくは、100〜250m
g/m2の範囲が望ましい。さらに 前述の両錫めっき
層の上部に、クロム水和酸化物層第3層30およびクロ
ム水和酸化物層第6層60のクロム水和酸化物皮膜が形
成されている。クロム水和酸化物層第3層30のクロム
水和酸化物皮膜の皮膜量は、クロム換算で1〜10mg
/m2の範囲にある。この理由は、錫めっき層第2層2
0の錫めっき量が微量であるため錫めっきによる溶接性
の向上が期待できず、溶接時の溶接抵抗を下げ溶接性を
確保するためにクロム水和酸化物量を1〜10mg/m
2の範囲に限定した。クロム水和酸化物量が低すぎると
一般的には塗料密着性が悪くなるが、中間層としての錫
めっき層第2層20の錫めっき層が部分的に形成されて
いるために、その上のクロム水和酸化物が直接最下層の
クロムめっき層上に電着されるという状態が生ずるの
で、塗料密着性は結果的には悪くならない。クロム水和
酸化物層第6層60のクロム水和酸化物皮膜は錫めっき
層第5層50の錫めっき層上に形成されており、皮膜量
はクロム換算で6〜18mg/m2の範囲に限定され
る。クロム水和酸化物層第6層60のクロム水和酸化物
は、下層に60〜500mg/m2の錫めっき層第5層
50を有しているため、クロム水和酸化物量を増加させ
ても溶接性を阻害しない。しかしながら、あまりにクロ
ム水和酸化物量が多くなりすぎると溶接性を損ない、少
なすぎると耐食性、塗料密着性に対して不利となるため
上記範囲に限定した。
〜30mg/m2範囲の錫めっき層第2層20が形成さ
れており、また反対側のクロムめっき層第4層40の上
部には60〜500mg/m2範囲の錫めっき層第5層
50が形成されている。錫めっき層第2層20の錫付着
量をクロムめっき層第4層40の錫付着量よりも少なく
したのは、この表面処理鋼板は特に色調を問題とする用
途に採用されるからである。図2は、錫めっき層のめっ
き付着量と、表面処理鋼板の外観の表面色調である黄色
度(YI値)との関係をグラフに示したものである。図
2より錫めっき層のめっき付着量が多くなると表面色調
が黄色味を増してくる傾向があり、錫めっき量が30m
g/m2を越すとYI値が−10を越え、人間の視覚上
黄色味を感ずるようになる。なお錫めっき層第2層20
の錫めっき層を存在させるのは溶接性、加工性を保持さ
せることを目的としており、均一厚みに形成されていな
くてもよく、クロムめっき層第1層10上に部分的に存
在していれば良い。例えば島状に形成されていても良
い。溶接性、加工性等の観点から好ましくは3〜20m
g/m2の範囲が良い。錫めっき層第5層50の錫めっ
き層は溶接性、加工性を向上させることを目的としてお
り、錫めっき量が多い程有利である。しかしながら、経
済性、溶接性の観点から好ましくは、100〜250m
g/m2の範囲が望ましい。さらに 前述の両錫めっき
層の上部に、クロム水和酸化物層第3層30およびクロ
ム水和酸化物層第6層60のクロム水和酸化物皮膜が形
成されている。クロム水和酸化物層第3層30のクロム
水和酸化物皮膜の皮膜量は、クロム換算で1〜10mg
/m2の範囲にある。この理由は、錫めっき層第2層2
0の錫めっき量が微量であるため錫めっきによる溶接性
の向上が期待できず、溶接時の溶接抵抗を下げ溶接性を
確保するためにクロム水和酸化物量を1〜10mg/m
2の範囲に限定した。クロム水和酸化物量が低すぎると
一般的には塗料密着性が悪くなるが、中間層としての錫
めっき層第2層20の錫めっき層が部分的に形成されて
いるために、その上のクロム水和酸化物が直接最下層の
クロムめっき層上に電着されるという状態が生ずるの
で、塗料密着性は結果的には悪くならない。クロム水和
酸化物層第6層60のクロム水和酸化物皮膜は錫めっき
層第5層50の錫めっき層上に形成されており、皮膜量
はクロム換算で6〜18mg/m2の範囲に限定され
る。クロム水和酸化物層第6層60のクロム水和酸化物
は、下層に60〜500mg/m2の錫めっき層第5層
50を有しているため、クロム水和酸化物量を増加させ
ても溶接性を阻害しない。しかしながら、あまりにクロ
ム水和酸化物量が多くなりすぎると溶接性を損ない、少
なすぎると耐食性、塗料密着性に対して不利となるため
上記範囲に限定した。
【0007】次に、この発明の缶用表面処理鋼板の製造
方法について述べる。まず、鋼板表面を脱脂、酸洗す
る。その後、無水クロム酸を主体とした浴に、めっき助
剤として少量の硫酸、硫酸塩、弗酸、弗化物、硅弗化物
のうち1種以上添加した電解クロム酸浴中で、鋼板を陰
極としてクロムめっき層第1層10とクロムめっき層第
4層40を析出させる。このクロムめっき層第1層10
とクロムめっき層第4層40のクロムめっき層上には金
属クロム析出過程の中間還元生成物であるクロム水和酸
化物が必然的に形成されるが、このクロム水和酸化物
は、錫めっき層第2層20と錫めっき層第5層50であ
る錫めっきの電着性を阻害するので極力少なくするよう
にクロムめっき条件を設定しておく必要がある。公知の
クロムめっき技術においてクロム水和酸化物を少なくす
るめっき条件は経験上次のことが良く知られており実施
も容易である。
方法について述べる。まず、鋼板表面を脱脂、酸洗す
る。その後、無水クロム酸を主体とした浴に、めっき助
剤として少量の硫酸、硫酸塩、弗酸、弗化物、硅弗化物
のうち1種以上添加した電解クロム酸浴中で、鋼板を陰
極としてクロムめっき層第1層10とクロムめっき層第
4層40を析出させる。このクロムめっき層第1層10
とクロムめっき層第4層40のクロムめっき層上には金
属クロム析出過程の中間還元生成物であるクロム水和酸
化物が必然的に形成されるが、このクロム水和酸化物
は、錫めっき層第2層20と錫めっき層第5層50であ
る錫めっきの電着性を阻害するので極力少なくするよう
にクロムめっき条件を設定しておく必要がある。公知の
クロムめっき技術においてクロム水和酸化物を少なくす
るめっき条件は経験上次のことが良く知られており実施
も容易である。
【0008】(1)無水クロム酸濃度:通常のクロムめ
っきは50〜600g/lで行われているが、濃度を高
め(80〜300g/l)にした方が、クロム水和酸化
物の生成は少ない。 (2)添加助剤の種類および濃度:代表的な助剤として
硫酸を使用する。その他、弗酸、硅弗酸、ホウ弗酸やそ
れらのアルカリ金属塩の単独または硫酸との併用添加も
行われる。一般に弗素系の助剤の方が硫酸系の助剤より
もクロム水和酸化物の生成を少なくする傾向がある。助
剤の量は、その種類により若干異なってくるが、クロム
酸濃度の1〜5重量%程度が適当である。 (3)浴温度:通常30〜60℃で行われているが、5
0〜60℃と高めにした方がクロム水和酸化物の生成は
少ない傾向にある。 (4)陰極電流密度:通常10〜100A/dm2で行
われるが、30〜100A/dm2と高めの方がクロム
水和酸化物の生成は少ない傾向にある。
っきは50〜600g/lで行われているが、濃度を高
め(80〜300g/l)にした方が、クロム水和酸化
物の生成は少ない。 (2)添加助剤の種類および濃度:代表的な助剤として
硫酸を使用する。その他、弗酸、硅弗酸、ホウ弗酸やそ
れらのアルカリ金属塩の単独または硫酸との併用添加も
行われる。一般に弗素系の助剤の方が硫酸系の助剤より
もクロム水和酸化物の生成を少なくする傾向がある。助
剤の量は、その種類により若干異なってくるが、クロム
酸濃度の1〜5重量%程度が適当である。 (3)浴温度:通常30〜60℃で行われているが、5
0〜60℃と高めにした方がクロム水和酸化物の生成は
少ない傾向にある。 (4)陰極電流密度:通常10〜100A/dm2で行
われるが、30〜100A/dm2と高めの方がクロム
水和酸化物の生成は少ない傾向にある。
【0009】以上述べた公知のクロムめっき技術におい
て、クロム水和酸化物の生成が少なくなる条件を選定す
ることにより、更に必要に応じてクロムめっき通電終了
後に、同浴中で数秒間浸漬保持することにより、クロム
水和酸化物は直ちに溶解を開始するので、クロム水和酸
化物を3〜10mg/m2程度にする事は容易である。
このようにして、本発明のクロムめっきは鋼板上のクロ
ムめっき層第1層10とクロムめっき層第4層40が施
される。クロムめっきに引き続いて、錫めっき層第2層
20と錫めっき層第5層50を形成するため錫めっきが
施される。前述したように錫めっき層第2層20の錫め
っき量は1〜30mg/m2が適正範囲であり、錫めっ
き層第5層50の錫めっき量は60〜500mg/m2
が適正範囲である。板の両面でめっき量が異なるいわゆ
るデファレンシャルめっきにおいては、厚めっき側の電
流が薄めっき側に流れ、薄めっき側のエッジ部に局部的
に錫めっき量過多の、いわゆるヘビーエッジが発生する
ことがある。ヘビーエッジ部は錫めっき量が多いために
表面色調が変わり製品価値が損なわれる。したがって、
めっき電流の裏回りを防止するため、公知の技術として
エッジマスクの使用、更にはラジアルセルによるめっき
法を使用することもできる。本発明における錫めっきの
実施は、ぶりき製造において使用されている公知の錫め
っき浴の錫イオン濃度を通常濃度の約1/3以下に選定
する。即ち、錫めっき浴としての酸濃度や添加剤の種類
などは基本的に公知の錫めっき浴である硫酸第一錫浴、
塩化第一錫浴などと同じであるが、錫イオン濃度を下げ
ることにより錫析出電流効率を約60%以下とする必要
がある。電流効率を下げることによりクロムめっき表面
での水素発生が激しくなり、クロム水和酸化物が剥離し
てクロムめっき表面は著しく活性化されることにより錫
の良好な電着がクロムめっき層上に達成されると推定さ
れる。例えば、硫酸第一錫浴の場合は通常錫イオン濃度
として20〜30g/l以上で使用されているが、クロ
ムめっき上に適用するに際しては錫濃度を10g/l以
下とすることにより実施でき、めっき条件としては例え
ば、下記の通りである。
て、クロム水和酸化物の生成が少なくなる条件を選定す
ることにより、更に必要に応じてクロムめっき通電終了
後に、同浴中で数秒間浸漬保持することにより、クロム
水和酸化物は直ちに溶解を開始するので、クロム水和酸
化物を3〜10mg/m2程度にする事は容易である。
このようにして、本発明のクロムめっきは鋼板上のクロ
ムめっき層第1層10とクロムめっき層第4層40が施
される。クロムめっきに引き続いて、錫めっき層第2層
20と錫めっき層第5層50を形成するため錫めっきが
施される。前述したように錫めっき層第2層20の錫め
っき量は1〜30mg/m2が適正範囲であり、錫めっ
き層第5層50の錫めっき量は60〜500mg/m2
が適正範囲である。板の両面でめっき量が異なるいわゆ
るデファレンシャルめっきにおいては、厚めっき側の電
流が薄めっき側に流れ、薄めっき側のエッジ部に局部的
に錫めっき量過多の、いわゆるヘビーエッジが発生する
ことがある。ヘビーエッジ部は錫めっき量が多いために
表面色調が変わり製品価値が損なわれる。したがって、
めっき電流の裏回りを防止するため、公知の技術として
エッジマスクの使用、更にはラジアルセルによるめっき
法を使用することもできる。本発明における錫めっきの
実施は、ぶりき製造において使用されている公知の錫め
っき浴の錫イオン濃度を通常濃度の約1/3以下に選定
する。即ち、錫めっき浴としての酸濃度や添加剤の種類
などは基本的に公知の錫めっき浴である硫酸第一錫浴、
塩化第一錫浴などと同じであるが、錫イオン濃度を下げ
ることにより錫析出電流効率を約60%以下とする必要
がある。電流効率を下げることによりクロムめっき表面
での水素発生が激しくなり、クロム水和酸化物が剥離し
てクロムめっき表面は著しく活性化されることにより錫
の良好な電着がクロムめっき層上に達成されると推定さ
れる。例えば、硫酸第一錫浴の場合は通常錫イオン濃度
として20〜30g/l以上で使用されているが、クロ
ムめっき上に適用するに際しては錫濃度を10g/l以
下とすることにより実施でき、めっき条件としては例え
ば、下記の通りである。
【0010】 硫酸第一錫浴としては 硫酸第一錫(錫イオンとして) 1〜10g/l フエノールスルフォン酸(60%液として) または硫酸 5〜30g/l エトキシ化αナフトールスルフォン酸または エトキシ化αナフトール 2〜8 g/l 浴温度 30〜60℃ 陰極電流密度 3〜20A/dm2 が採用される。 塩化第一錫浴としては 塩化第一錫(錫イオンとして) 1〜10g/l 弗化ナトリウム 20〜30g/l 塩化ナトリウム 40〜50g/l ゼラチン 0.5〜3 g/l 浴温度 50〜60℃ 陰極電流密度 3〜50A/dm2 などが採用される。
【0011】本発明の特徴は錫めっき層がデファレンシ
ャルめっきで構成されていることであり、錫めっき層第
2層20は錫量が、錫めっき層第5層50の錫量60〜
500mg/m2に対して1〜30mg/m2と非常に
少ない。この錫めっき量を制御するためには電流密度を
下げる必要がある。しかし、あまり電流密度を下げすぎ
るとクロム水和酸化物の除去が不十分となり、密着性が
劣る茶褐色のめっき層が形成される。これをさけるため
に、錫めっき層第2層20の錫めっき層の形成には陰極
面積を減少させ電流密度を増加させる方法を採用する必
要がある。その方法としては、錫めっき層第2層20側
のアノード長を短縮する等の方法が採用される。クロム
水和酸化物層第3層30とクロム水和酸化物層第6層6
0のクロム水和酸化物の形成は通常のクロメート処理法
が使用される。例えば、クロム酸、重クロム酸塩(重ク
ロム酸ソーダ、重クロム酸カリ、重クロム酸アンモン)
などの水溶液中で陰極電解する。なお、上記の浴におい
てクロム水和酸化物の析出効率のために、少量の硫酸、
弗化物など通常クロムめっきで使われている助剤を加え
ることもできる。この場合、同時に金属クロムも析出す
るが本発明の特性を阻害するものではない。クロム酸、
重クロム酸塩を使用し、助剤を全く添加しない場合は、
Cr+6濃度5〜30g/l、温度30〜70℃、陰極
電流密度0.1〜20A/dm2、電気量1〜40クー
ロン/dm2で処理される。クロム酸を使用し助剤を添
加する場合は、CrO3濃度を10〜50g/lとし、
助剤はクロム酸濃度に対して0.2〜1重量%添加す
る。浴温度は30〜60℃、陰極電流密度は1〜50A
/dm2、電気量は0.1〜20クーロン/dm2でそ
れぞれ処理される。以上説明したように本発明の缶用表
面処理鋼板は従来のTFS−CT系材料の代替材料とし
て、溶接性、加工性に優れ、更に従来TFS−CT系材
料と同様な表面色調を有しておりユーザーのニーズに適
した材料である。
ャルめっきで構成されていることであり、錫めっき層第
2層20は錫量が、錫めっき層第5層50の錫量60〜
500mg/m2に対して1〜30mg/m2と非常に
少ない。この錫めっき量を制御するためには電流密度を
下げる必要がある。しかし、あまり電流密度を下げすぎ
るとクロム水和酸化物の除去が不十分となり、密着性が
劣る茶褐色のめっき層が形成される。これをさけるため
に、錫めっき層第2層20の錫めっき層の形成には陰極
面積を減少させ電流密度を増加させる方法を採用する必
要がある。その方法としては、錫めっき層第2層20側
のアノード長を短縮する等の方法が採用される。クロム
水和酸化物層第3層30とクロム水和酸化物層第6層6
0のクロム水和酸化物の形成は通常のクロメート処理法
が使用される。例えば、クロム酸、重クロム酸塩(重ク
ロム酸ソーダ、重クロム酸カリ、重クロム酸アンモン)
などの水溶液中で陰極電解する。なお、上記の浴におい
てクロム水和酸化物の析出効率のために、少量の硫酸、
弗化物など通常クロムめっきで使われている助剤を加え
ることもできる。この場合、同時に金属クロムも析出す
るが本発明の特性を阻害するものではない。クロム酸、
重クロム酸塩を使用し、助剤を全く添加しない場合は、
Cr+6濃度5〜30g/l、温度30〜70℃、陰極
電流密度0.1〜20A/dm2、電気量1〜40クー
ロン/dm2で処理される。クロム酸を使用し助剤を添
加する場合は、CrO3濃度を10〜50g/lとし、
助剤はクロム酸濃度に対して0.2〜1重量%添加す
る。浴温度は30〜60℃、陰極電流密度は1〜50A
/dm2、電気量は0.1〜20クーロン/dm2でそ
れぞれ処理される。以上説明したように本発明の缶用表
面処理鋼板は従来のTFS−CT系材料の代替材料とし
て、溶接性、加工性に優れ、更に従来TFS−CT系材
料と同様な表面色調を有しておりユーザーのニーズに適
した材料である。
【0012】
【実例】以下、本発明の実施例及び比較例について詳細
に説明する。 実施例1 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で3
0mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした(ク
ロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4層4
0を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イオン
として)、硫酸20g/l、エトキシαナフトール5g
/l、浴温45℃の浴中で、クロムめっき層第1層10
の上部に電気量0.15クーロン/dm2を通電し5m
g/m2の錫めっき層第2層20と、クロムめっき層第
4層40の上部に電気量15クーロン/dm2を通電し
500mg/m2の錫めっき層第5層50を形成させ
た。更に引き続いて、CrO330g/l、硫酸0.2
0g/l、浴温度60℃の浴を用いて、錫めっき層第2
層20の上部に電気量2.1クーロン/dm2を通電し
3mg/m2のクロム水和酸化物層第3層30と、錫め
っき層第5層50の上部に電気量4.2クーロン/dm
2を通電し6mg/m2のクロム水和酸化物層第6層6
0を形成させた。
に説明する。 実施例1 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で3
0mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした(ク
ロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4層4
0を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イオン
として)、硫酸20g/l、エトキシαナフトール5g
/l、浴温45℃の浴中で、クロムめっき層第1層10
の上部に電気量0.15クーロン/dm2を通電し5m
g/m2の錫めっき層第2層20と、クロムめっき層第
4層40の上部に電気量15クーロン/dm2を通電し
500mg/m2の錫めっき層第5層50を形成させ
た。更に引き続いて、CrO330g/l、硫酸0.2
0g/l、浴温度60℃の浴を用いて、錫めっき層第2
層20の上部に電気量2.1クーロン/dm2を通電し
3mg/m2のクロム水和酸化物層第3層30と、錫め
っき層第5層50の上部に電気量4.2クーロン/dm
2を通電し6mg/m2のクロム水和酸化物層第6層6
0を形成させた。
【0013】実施例2 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3120g/l、HBF40.8g
/l、H2SO4 0.5g/lの浴を用い、浴温度6
0℃、電流密度50A/dm2で30mg/m2の金属
クロムを板の両面にめっきした(クロムめっき層第1層
10およびクロムめっき層第4層40を形成)。その
後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イオンとして)、フェノ
ールスルファン酸20g/l、エトキシ化αナフトール
スルファン酸5g/l、浴温45℃の浴中で、クロムめ
っき層第1層10の上部に電気量0.15クーロン/d
m2を通電し5mg/m2の錫めっき層第2層20と、
クロムめっき層第4層40の上部に電気量15クーロン
/dm2を通電し500mg/m2の錫めっき層第5層
50を形成させた。更に引き続いて、CrO330g/
l、硫酸0.20g/l、浴温度60℃の浴を用いて、
錫めっき層第2層20の上部に電気量3.5クーロン/
dm2を通電し5mg/m2のクロム水和酸化物層第3
層30と、錫めっき層第5層50の上部に電気量12.
6クーロン/dm2を通電し18mg/m2のクロム水
和酸化物層第6層60を形成させた。
酸洗した後、CrO3120g/l、HBF40.8g
/l、H2SO4 0.5g/lの浴を用い、浴温度6
0℃、電流密度50A/dm2で30mg/m2の金属
クロムを板の両面にめっきした(クロムめっき層第1層
10およびクロムめっき層第4層40を形成)。その
後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イオンとして)、フェノ
ールスルファン酸20g/l、エトキシ化αナフトール
スルファン酸5g/l、浴温45℃の浴中で、クロムめ
っき層第1層10の上部に電気量0.15クーロン/d
m2を通電し5mg/m2の錫めっき層第2層20と、
クロムめっき層第4層40の上部に電気量15クーロン
/dm2を通電し500mg/m2の錫めっき層第5層
50を形成させた。更に引き続いて、CrO330g/
l、硫酸0.20g/l、浴温度60℃の浴を用いて、
錫めっき層第2層20の上部に電気量3.5クーロン/
dm2を通電し5mg/m2のクロム水和酸化物層第3
層30と、錫めっき層第5層50の上部に電気量12.
6クーロン/dm2を通電し18mg/m2のクロム水
和酸化物層第6層60を形成させた。
【0014】実施例3 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イ
オンとして)、硫酸20g/l、エトキシαナフトール
5g/l、浴温45℃の浴中で、クロムめっき層第1層
10の上部に電気量0.03クーロン/dm2を通電し
1mg/m2の錫めっき層第2層20と、クロムめっき
層第4層40の上部に電気量15クーロン/dm2を通
電し500mg/m2の錫めっき層第5層を形成させ
た。更に引き続いて、重クロム酸ソーダー30g/l、
浴温度40℃の浴を用いて、クロムめっき層第1層10
の上部に電気量2.1クーロン/dmm2を通電し3m
g/m2のクロム水和酸化物層第3層30と、錫めっき
層第5層50の上部に電気量10.5クーロン/dm2
を通電し15mg/m2のクロム水和酸化物層第6層6
0を形成させた。
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イ
オンとして)、硫酸20g/l、エトキシαナフトール
5g/l、浴温45℃の浴中で、クロムめっき層第1層
10の上部に電気量0.03クーロン/dm2を通電し
1mg/m2の錫めっき層第2層20と、クロムめっき
層第4層40の上部に電気量15クーロン/dm2を通
電し500mg/m2の錫めっき層第5層を形成させ
た。更に引き続いて、重クロム酸ソーダー30g/l、
浴温度40℃の浴を用いて、クロムめっき層第1層10
の上部に電気量2.1クーロン/dmm2を通電し3m
g/m2のクロム水和酸化物層第3層30と、錫めっき
層第5層50の上部に電気量10.5クーロン/dm2
を通電し15mg/m2のクロム水和酸化物層第6層6
0を形成させた。
【0015】実施例4 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イ
オンとして)、硫酸20g/l、エトキシαナフトール
5g/l、浴温45℃の浴中で、クロムめっき層第1層
10の上部に電気量0.6クーロン/dm2を通電し2
0mg/m2の錫めっき層第2層20と、クロムめっき
層第4層40の上部に電気量6クーロン/dm2を通電
し200mg/m2の錫めっき層第5層50を形成させ
た。更に引き続いて、CrO330g/l、硫酸0.2
0g/、浴温度60℃の浴を用いて、錫めっき層第2層
20の上部に電気量3.5クーロン/dm2を通電し5
mg/m2のクロム水和酸化物層第3層30と、錫めっ
き層第5層50の上部に通電量10.5クーロン/dm
2を通電し15mg/m2のクロム水和酸化物第6層6
0を形成させた。
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l(錫イ
オンとして)、硫酸20g/l、エトキシαナフトール
5g/l、浴温45℃の浴中で、クロムめっき層第1層
10の上部に電気量0.6クーロン/dm2を通電し2
0mg/m2の錫めっき層第2層20と、クロムめっき
層第4層40の上部に電気量6クーロン/dm2を通電
し200mg/m2の錫めっき層第5層50を形成させ
た。更に引き続いて、CrO330g/l、硫酸0.2
0g/、浴温度60℃の浴を用いて、錫めっき層第2層
20の上部に電気量3.5クーロン/dm2を通電し5
mg/m2のクロム水和酸化物層第3層30と、錫めっ
き層第5層50の上部に通電量10.5クーロン/dm
2を通電し15mg/m2のクロム水和酸化物第6層6
0を形成させた。
【0016】実施例5 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに塩化第一錫28g/l
(錫イオンとして)、弗化ナトリュウム30g/l、塩
化ナトリュウム50g/l、ゼラチン3g/l、浴温6
0℃の浴中で、クロムめっき層第1層10の上部に電気
量0.6クーロン/dm2を通電し20mg/m2の錫
めっき層第2層20と、クロムめっき層第4層40の上
部に電気量6クーロン/dm2を通電し200mg/m
2の錫めっき層第5層50を形成させた。更に引き続い
てCrO330g/l、硫酸0.20g/、浴温度60
℃の浴を用いて、錫めっき層第2層20の上部に電気量
7クーロン/dm2を通電し10mg/m2のクロム水
和酸化物層第3層30と、錫めっき層第5層50の上部
に通電量12.6クーロン/dm2を通電し18mg/
m2のクロム水和酸化物層第6層60を形成させた。
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに塩化第一錫28g/l
(錫イオンとして)、弗化ナトリュウム30g/l、塩
化ナトリュウム50g/l、ゼラチン3g/l、浴温6
0℃の浴中で、クロムめっき層第1層10の上部に電気
量0.6クーロン/dm2を通電し20mg/m2の錫
めっき層第2層20と、クロムめっき層第4層40の上
部に電気量6クーロン/dm2を通電し200mg/m
2の錫めっき層第5層50を形成させた。更に引き続い
てCrO330g/l、硫酸0.20g/、浴温度60
℃の浴を用いて、錫めっき層第2層20の上部に電気量
7クーロン/dm2を通電し10mg/m2のクロム水
和酸化物層第3層30と、錫めっき層第5層50の上部
に通電量12.6クーロン/dm2を通電し18mg/
m2のクロム水和酸化物層第6層60を形成させた。
【0017】実施例6 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で3
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l、硫酸
20g/l、エトキシαナフトール5g/l、浴温45
℃の浴中で、クロムめっき層第1層10の上部に電気量
0.6クーロン/dm2を通電し20mg/m2の錫め
っき層第2層20と、クロムめっき層第4層40の上部
に電気量1.8クーロン/dm2を通電し60mg/m
2の錫めっき層第5層50を形成させた。更に引き続い
て、CrO330g/、硫酸0.20g/、浴温度60
℃の浴を用いて、錫めっき層第2層20の上部に電気量
0.7クーロン/dm2を通電し1mg/m2のクロム
水和酸化物層第3層30と、錫めっき層第5層50の上
部に通電量4.2クーロン/dm2を通電し6mg/m
2のクロム水和酸化物層第6層60を形成させた。
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で3
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした
(クロムめっき層第1層10およびクロムめっき層第4
層40を形成)。その後、直ちに硫酸錫5g/l、硫酸
20g/l、エトキシαナフトール5g/l、浴温45
℃の浴中で、クロムめっき層第1層10の上部に電気量
0.6クーロン/dm2を通電し20mg/m2の錫め
っき層第2層20と、クロムめっき層第4層40の上部
に電気量1.8クーロン/dm2を通電し60mg/m
2の錫めっき層第5層50を形成させた。更に引き続い
て、CrO330g/、硫酸0.20g/、浴温度60
℃の浴を用いて、錫めっき層第2層20の上部に電気量
0.7クーロン/dm2を通電し1mg/m2のクロム
水和酸化物層第3層30と、錫めっき層第5層50の上
部に通電量4.2クーロン/dm2を通電し6mg/m
2のクロム水和酸化物層第6層60を形成させた。
【0018】比較例1 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗し、CrO380g/l、HBF40.6g/l、
硫酸0.4g/lの浴を用い、浴温58℃、電流密度4
0A/dm2で120mg/m2の金属クロムとクロム
水和酸化物をを板の両面にめっきした。本比較材は通常
のTFS−CTに相当する。 比較例2 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした。
その後、直ちに硫酸錫5g/l、フェノールスルホン酸
20g/l、エトキシαナフトール5g/lの浴を用
い、浴温45℃、電流密度10A/dm2でクロムめっ
き層上に30mg/m2の錫めっき層を板両面に形成さ
せた。更に引き続いて、CrO330/l、硫酸0.2
0g/l、の浴を用い、浴温度58℃、電流密度10A
/dm2で15mg/m2のクロム水和酸化物層を板の
両面に形成させた。本比較材は特公昭63−35718
号公報に基づいた製造方法であり錫量を下限に設定した
ものである。 比較例3 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした。
その後、直ちに硫酸錫5g/l、フェノールスルホン酸
20g/l、エトキシαナフトール5g/lの浴を用
い、浴温45℃、電流密度10A/dm2でクロムめっ
き層上に200mg/m2の錫めっき層を板両面に形成
させた。更に引き続いて、CrO330g/l、硫酸
0.20g/l、の浴を用い、浴温度58℃、電流密度
10A/dm2で15mg/m2のクロム水和酸化物層
を板の両面に形成させた。本比較材は特公昭63−35
718号公報に基づいた製造方法であり代表的なもので
ある。
酸洗し、CrO380g/l、HBF40.6g/l、
硫酸0.4g/lの浴を用い、浴温58℃、電流密度4
0A/dm2で120mg/m2の金属クロムとクロム
水和酸化物をを板の両面にめっきした。本比較材は通常
のTFS−CTに相当する。 比較例2 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした。
その後、直ちに硫酸錫5g/l、フェノールスルホン酸
20g/l、エトキシαナフトール5g/lの浴を用
い、浴温45℃、電流密度10A/dm2でクロムめっ
き層上に30mg/m2の錫めっき層を板両面に形成さ
せた。更に引き続いて、CrO330/l、硫酸0.2
0g/l、の浴を用い、浴温度58℃、電流密度10A
/dm2で15mg/m2のクロム水和酸化物層を板の
両面に形成させた。本比較材は特公昭63−35718
号公報に基づいた製造方法であり錫量を下限に設定した
ものである。 比較例3 板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂、
酸洗した後、CrO3100g/l、NaF5g/lの
浴を用い、浴温度45℃、電流密度50A/dm2で1
00mg/m2の金属クロムを板の両面にめっきした。
その後、直ちに硫酸錫5g/l、フェノールスルホン酸
20g/l、エトキシαナフトール5g/lの浴を用
い、浴温45℃、電流密度10A/dm2でクロムめっ
き層上に200mg/m2の錫めっき層を板両面に形成
させた。更に引き続いて、CrO330g/l、硫酸
0.20g/l、の浴を用い、浴温度58℃、電流密度
10A/dm2で15mg/m2のクロム水和酸化物層
を板の両面に形成させた。本比較材は特公昭63−35
718号公報に基づいた製造方法であり代表的なもので
ある。
【0019】表1に本発明の実施例1〜6と比較例とを
一覧表にして示した。
一覧表にして示した。
【表1】 表1中の特性評価は次の方法によって行った。評価結果
についても表1に示す。 (1)溶接性 試料を210℃×20分空焼後、実験用切板溶接機で、
周波数60Hz、ラップ巾0.6mm、速度8m/分、
加圧力50daNの条件で溶接を行った後、溶接部の接
合状態を評価した。溶接電流を25Aきざみで上げて行
き、スプラッシュが発生し始める電流を溶接上限とし
た。さらに溶接電流を下げて行き、溶接部の接合強度が
母材の破断強度より低くなる直前の電流を溶接下限とし
て、この電流の差を溶接可能電流範囲とした。この溶接
電流範囲が広い程、溶接性に優れている。表1の結果よ
り本発明実施例記載の表面処理鋼板はいずれも溶接可能
電流範囲が150〜200の値を示し従来材(比較例
3)と変わらない。 (2)加工性 プレス加工の際の滑り性を動摩擦係数により評価した。
装置は新東科学株式会社製のHEIDON−14S型の
表面性測定機を用い、試料を予め210℃×20分空焼
後、試料測定面上に200g荷重のステンレス製ボール
圧子を置き、試料を100mm/分の速度で移動させ動
摩擦係数を測定した。測定値は小さい程金型と板との間
での滑り性が良く、プレス加工性に対して有利である。
表1の結果より本発明実施例はいずれも0.65〜0.
30の値を示し、加工性は良好である。一方錫めっき層
のない比較例1は錫めっき層がないため0.8を超える
値を示し、加工性が劣る。 (3)表面色調 JIS K−7103に基づいて試料表面の黄色度(Y
I値)をスガ試験機(株)製のSMカラーコンピュタS
M−4型を用い測定した。錫めっき量を種種変えて黄色
度(YI値)を測定した結果を図2に示す。図2におい
て横軸は錫めっき量で縦軸はYI値を示す。YI値が上
であるほど黄色味を帯びており、下にあるほど青白味を
帯びる。図2に示す結果から錫めっき量が30mg/m
2まではTFS−CT鋼板とほぼ同等のYI値を示し、
30mg/m2を超えるとYI値は−10を越え黄色度
を増す。さらに錫めっき量を増すとYI値も徐徐にでは
あるが増加傾向にある。YI値と肉眼で見た色彩感覚と
は極めて良い相関があり、YI値が−10以上になると
黄色味を感じるようになる。ちなみにTFS−CT鋼板
のYI値は−15〜−18の範囲であったが、肉眼での
感覚も考慮に入れてTFS−CT鋼板の代替材とするた
めにはYI値を−10以下にする必要がある。この値を
錫めっき量にするとほぼ30mg/m2となる。YI値
の求め方は次の式による。 YI値=100(1.28X−1.06Z)÷Y ここでX,Y,Zは試料の三刺激値をいう。表1より本
発明実施例のT側(1,2,3層側)はいずれも大きな
マイナス値を示し、青白味のある色調を示している。
についても表1に示す。 (1)溶接性 試料を210℃×20分空焼後、実験用切板溶接機で、
周波数60Hz、ラップ巾0.6mm、速度8m/分、
加圧力50daNの条件で溶接を行った後、溶接部の接
合状態を評価した。溶接電流を25Aきざみで上げて行
き、スプラッシュが発生し始める電流を溶接上限とし
た。さらに溶接電流を下げて行き、溶接部の接合強度が
母材の破断強度より低くなる直前の電流を溶接下限とし
て、この電流の差を溶接可能電流範囲とした。この溶接
電流範囲が広い程、溶接性に優れている。表1の結果よ
り本発明実施例記載の表面処理鋼板はいずれも溶接可能
電流範囲が150〜200の値を示し従来材(比較例
3)と変わらない。 (2)加工性 プレス加工の際の滑り性を動摩擦係数により評価した。
装置は新東科学株式会社製のHEIDON−14S型の
表面性測定機を用い、試料を予め210℃×20分空焼
後、試料測定面上に200g荷重のステンレス製ボール
圧子を置き、試料を100mm/分の速度で移動させ動
摩擦係数を測定した。測定値は小さい程金型と板との間
での滑り性が良く、プレス加工性に対して有利である。
表1の結果より本発明実施例はいずれも0.65〜0.
30の値を示し、加工性は良好である。一方錫めっき層
のない比較例1は錫めっき層がないため0.8を超える
値を示し、加工性が劣る。 (3)表面色調 JIS K−7103に基づいて試料表面の黄色度(Y
I値)をスガ試験機(株)製のSMカラーコンピュタS
M−4型を用い測定した。錫めっき量を種種変えて黄色
度(YI値)を測定した結果を図2に示す。図2におい
て横軸は錫めっき量で縦軸はYI値を示す。YI値が上
であるほど黄色味を帯びており、下にあるほど青白味を
帯びる。図2に示す結果から錫めっき量が30mg/m
2まではTFS−CT鋼板とほぼ同等のYI値を示し、
30mg/m2を超えるとYI値は−10を越え黄色度
を増す。さらに錫めっき量を増すとYI値も徐徐にでは
あるが増加傾向にある。YI値と肉眼で見た色彩感覚と
は極めて良い相関があり、YI値が−10以上になると
黄色味を感じるようになる。ちなみにTFS−CT鋼板
のYI値は−15〜−18の範囲であったが、肉眼での
感覚も考慮に入れてTFS−CT鋼板の代替材とするた
めにはYI値を−10以下にする必要がある。この値を
錫めっき量にするとほぼ30mg/m2となる。YI値
の求め方は次の式による。 YI値=100(1.28X−1.06Z)÷Y ここでX,Y,Zは試料の三刺激値をいう。表1より本
発明実施例のT側(1,2,3層側)はいずれも大きな
マイナス値を示し、青白味のある色調を示している。
【0020】
【発明の効果】表1に示す特性結果より本発明実施例の
表面処理鋼板はいずれも十分実用可能な溶接性を有し、
加工性に対してもTFS−CTより動マサツ係数が低
く、滑り性が良好であることがわかる。更に表面色調は
片面側のみTFS−CTに近い色調を有している。また
本発明の製造方法により製造した表面処理鋼板は溶接
性、加工性に優れ、かつTFS−CT系材料と同等な表
面色調を有しており、更にぶりきより安価な表面処理鋼
板として広範囲な用途に使用することが可能であり、特
に缶外面の表面色調を重視する用途に適しており、ユー
ザーのニーズを満足させるものである。
表面処理鋼板はいずれも十分実用可能な溶接性を有し、
加工性に対してもTFS−CTより動マサツ係数が低
く、滑り性が良好であることがわかる。更に表面色調は
片面側のみTFS−CTに近い色調を有している。また
本発明の製造方法により製造した表面処理鋼板は溶接
性、加工性に優れ、かつTFS−CT系材料と同等な表
面色調を有しており、更にぶりきより安価な表面処理鋼
板として広範囲な用途に使用することが可能であり、特
に缶外面の表面色調を重視する用途に適しており、ユー
ザーのニーズを満足させるものである。
【図1】本発明の表面処理鋼板の断面模式図である。
【図2】錫めっき量と黄色度との関係を示すグラフであ
る。
る。
10 … クロムめっき層第1層 20 … 錫めっき層第2層 30 … クロム水和酸化物層第3層 40 … クロムめっき層第4層 50 … 錫めっき層第5層 60 … クロム水和酸化物層第6層
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼板上の両面に片面当たり30〜300
mg/m2のクロムめっき層第1層およびクロムめっき
層第4層が形成され、該両クロムめっき層上の片面側に
は1〜30mg/m2の錫めっき層第2層と反対面側に
は60〜500mg/m2の錫めっき層第5層とが形成
され、更に錫めっき層第2層上にはクロム換算で1〜1
0mg/m2のクロム水和酸化物層第3層と、錫めっき
層第5層上には6〜18mg/m2のクロム水和酸化物
層第6層が形成されたことを特徴とする溶接性、加工性
および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板。 - 【請求項2】 清浄化処理した鋼板上にクロムめっき層
第1層およびクロムめっき層第4層を形成させた後、引
き続いて硫酸換算で全酸度5〜30g/lを含有し且つ
錫イオンを1〜10g/l含有する酸性錫めっき浴中で
片面側に1〜30mg/m2の錫めっき層第2層を形成
させ、反対面側に60〜500mg/m2の錫めっき層
第5層を形成し、更に錫めっき層第2層上にクロム換算
で1〜10mg/m2のクロム水和酸化物層第3層と、
錫めっき層第5層上に6〜18mg/m2のクロム水和
酸化物層第6層を形成させることを特徴とする溶接性、
加工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10810792A JPH0794719B2 (ja) | 1992-02-17 | 1992-02-17 | 溶接性、加工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10810792A JPH0794719B2 (ja) | 1992-02-17 | 1992-02-17 | 溶接性、加工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05230694A true JPH05230694A (ja) | 1993-09-07 |
JPH0794719B2 JPH0794719B2 (ja) | 1995-10-11 |
Family
ID=14476070
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10810792A Expired - Fee Related JPH0794719B2 (ja) | 1992-02-17 | 1992-02-17 | 溶接性、加工性および表面色調に優れた缶用表面処理鋼板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0794719B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-17 JP JP10810792A patent/JPH0794719B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0794719B2 (ja) | 1995-10-11 |
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