JPH05229948A - 悪性腫瘍の治療剤または診断剤およびac8007物質の製造法 - Google Patents
悪性腫瘍の治療剤または診断剤およびac8007物質の製造法Info
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- JPH05229948A JPH05229948A JP4150980A JP15098092A JPH05229948A JP H05229948 A JPH05229948 A JP H05229948A JP 4150980 A JP4150980 A JP 4150980A JP 15098092 A JP15098092 A JP 15098092A JP H05229948 A JPH05229948 A JP H05229948A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 AC8007物質またはその非毒性塩を含む
悪性腫瘍の治療剤、診断剤の提供。 【構成】 以下の理化学的性質を有するAC8007物
質またその非毒性塩を含む医薬。 (1)元素分析値:C:約60%、H:5%、N:約8
%、Zn:約8〜10% (2)質量分析値:717(MH+ 、FAB−MSによ
る) (3)分子式:C36H36O8 N4 Zn AC8007物質は下記推定構造式を有し、 アースロバクター属に属するAC8007物質生産菌を
培地に培養し、培養物よりAC8007特質を採取する
ことにより製造する。
悪性腫瘍の治療剤、診断剤の提供。 【構成】 以下の理化学的性質を有するAC8007物
質またその非毒性塩を含む医薬。 (1)元素分析値:C:約60%、H:5%、N:約8
%、Zn:約8〜10% (2)質量分析値:717(MH+ 、FAB−MSによ
る) (3)分子式:C36H36O8 N4 Zn AC8007物質は下記推定構造式を有し、 アースロバクター属に属するAC8007物質生産菌を
培地に培養し、培養物よりAC8007特質を採取する
ことにより製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、AC8007物質また
はその非毒性塩を有効成分とする悪性腫瘍の治療剤また
は診断剤およびAC8007物質の製造法に関する。
はその非毒性塩を有効成分とする悪性腫瘍の治療剤また
は診断剤およびAC8007物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】悪性腫瘍への光化学療法(Photod
ynamic therapy:PDT)が開発されて
数十年を経過し、多数の有効例が確認され、早期悪性腫
瘍の根治治療あるいは診断剤として使用されている。こ
のPDTに使用される代表的光増感剤はポルフイリン誘
導体である。
ynamic therapy:PDT)が開発されて
数十年を経過し、多数の有効例が確認され、早期悪性腫
瘍の根治治療あるいは診断剤として使用されている。こ
のPDTに使用される代表的光増感剤はポルフイリン誘
導体である。
【0003】しかしながら、ポルフイリン誘導体は次の
ような欠点がる。(1)化学的に単一でない、(2)組
織透過性の良い長波領域に吸収を持たない、(3)腫瘍
組織に長く保持されない、(4)正常細胞からの排泄が
遅い、(5)光化学反応量収率が低いなどがあげられ
る。
ような欠点がる。(1)化学的に単一でない、(2)組
織透過性の良い長波領域に吸収を持たない、(3)腫瘍
組織に長く保持されない、(4)正常細胞からの排泄が
遅い、(5)光化学反応量収率が低いなどがあげられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような問題を一
点でも解決できる光増感剤の開発は、将来のPDTに有
効であると期待される。そして、副作用の少ない新規か
つ有用な光増感剤が悪性腫瘍治療のために求めらてい
る。本発明の目的は、AC8007物質またはその非毒
性塩を有効成分とする悪性腫瘍の治療剤または診断剤お
よびAC8007物質の製造法を提供するにある。
点でも解決できる光増感剤の開発は、将来のPDTに有
効であると期待される。そして、副作用の少ない新規か
つ有用な光増感剤が悪性腫瘍治療のために求めらてい
る。本発明の目的は、AC8007物質またはその非毒
性塩を有効成分とする悪性腫瘍の治療剤または診断剤お
よびAC8007物質の製造法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】これまでのPDTにおけ
る光増感剤は、すべて化学的に合成された物質であり、
副作用の面で問題があつた。本発明者らは微生物が生産
する天然の生理活性物質の内から、アースロバクター・
エスピー・TM−1(微工研条寄第3676号)の培養
濾液からAC8007物質(特開平2−234688号
公報参照)と同定される物質を採取し、本物質が亜鉛を
有する物質であることを見出した。更に、本発明者ら
は、本物質が悪性腫瘍のPDTの光感剤としての性質を
有する治療剤として、又、診断剤として有用であること
を見出し、さらに、AC8007物質の良好な製造法を
見出し、本発明を完成した。
る光増感剤は、すべて化学的に合成された物質であり、
副作用の面で問題があつた。本発明者らは微生物が生産
する天然の生理活性物質の内から、アースロバクター・
エスピー・TM−1(微工研条寄第3676号)の培養
濾液からAC8007物質(特開平2−234688号
公報参照)と同定される物質を採取し、本物質が亜鉛を
有する物質であることを見出した。更に、本発明者ら
は、本物質が悪性腫瘍のPDTの光感剤としての性質を
有する治療剤として、又、診断剤として有用であること
を見出し、さらに、AC8007物質の良好な製造法を
見出し、本発明を完成した。
【0006】本発明の有効物質であるAC8007物質
は、少なくとも次に示すような理化学的性質を有する。 (1)元素分析 C:約60%、H:約5%、N:約8%、Zn:約8〜
10% (2)質量分析 717(MH+ , FAB−MSによ
る) (3)分子式 C38H36O8 N4 Zn (4)可視部吸収スペクトル:図1(中性条件)、図2
(酸性条件)
は、少なくとも次に示すような理化学的性質を有する。 (1)元素分析 C:約60%、H:約5%、N:約8%、Zn:約8〜
10% (2)質量分析 717(MH+ , FAB−MSによ
る) (3)分子式 C38H36O8 N4 Zn (4)可視部吸収スペクトル:図1(中性条件)、図2
(酸性条件)
【0007】
【化4】 少なくとも386(肩)(750)、406(352
5)、538(185)、574(190)nm付近に
特徴的な吸収を有する
5)、538(185)、574(190)nm付近に
特徴的な吸収を有する
【0008】
【化5】 少なくとも386(肩)(1275)、402(469
0)、560(175)、591(60)nm付近に特
徴的な吸収を有する。
0)、560(175)、591(60)nm付近に特
徴的な吸収を有する。
【0009】(5)赤外線吸収スペクトル(KBr
法):図3 少なくとも3420、2920、1705、1400、
1275、1130、940、835cm-1付近に特徴的
な吸収を有する。 (6)溶剤に対する溶解性 メタノール、酢酸エチル、酢酸、ジメチルスルホキシド
に可溶性、水、ヘキサン、ベンゼンに不溶性
法):図3 少なくとも3420、2920、1705、1400、
1275、1130、940、835cm-1付近に特徴的
な吸収を有する。 (6)溶剤に対する溶解性 メタノール、酢酸エチル、酢酸、ジメチルスルホキシド
に可溶性、水、ヘキサン、ベンゼンに不溶性
【0010】(7)呈色反応 過マンガン酸カリウム反応、ヨード反応は陽性、塩化第
二鉄反応、ドラーゲンドルフ反応、ニンヒドリン反応は
陰性 (8)塩基性、酸性、中性の区別 酸性物質 (9)物質の色 暗赤色 (10)1H−NMR(400MHz、27℃、d6 DM
SO中で測定):図4
二鉄反応、ドラーゲンドルフ反応、ニンヒドリン反応は
陰性 (8)塩基性、酸性、中性の区別 酸性物質 (9)物質の色 暗赤色 (10)1H−NMR(400MHz、27℃、d6 DM
SO中で測定):図4
【0011】(11)13C−NMR(100MHz、2
7℃、DMSO中で測定):少なくとも下記に示したシ
グナルが認められた。174.20(s)、147.6
2(s)、147.54(s)、146.83(s)、
146.77(s)、146.73(s)、139.4
4(s)、139.30(s)、136.65(s)、
136.54(s)、97.06(d)、96.95
(d)、37.41(t)、21.63(t)、21.
59(t)、11.46(q)
7℃、DMSO中で測定):少なくとも下記に示したシ
グナルが認められた。174.20(s)、147.6
2(s)、147.54(s)、146.83(s)、
146.77(s)、146.73(s)、139.4
4(s)、139.30(s)、136.65(s)、
136.54(s)、97.06(d)、96.95
(d)、37.41(t)、21.63(t)、21.
59(t)、11.46(q)
【0012】(12)薄層クロマトグラフイー(東京化
成社製、スポツトフイルムシリカゲルf使用) Rf=0.45〔展開溶媒:クロロホルム−メタノール
酢酸(10:1.5:0.1)〕 Rf=0.37〔展開溶媒:ブタノール−エタノール−
クロロホルム−アンモニア水(4:5:2:4)〕
成社製、スポツトフイルムシリカゲルf使用) Rf=0.45〔展開溶媒:クロロホルム−メタノール
酢酸(10:1.5:0.1)〕 Rf=0.37〔展開溶媒:ブタノール−エタノール−
クロロホルム−アンモニア水(4:5:2:4)〕
【0013】AC8007物質は、以上の性質を有する
ことから、次式で表される構造であると推定される。
ことから、次式で表される構造であると推定される。
【0014】
【化6】
【0015】本発明の有効成分であるAC8007物質
を生産するには、微生物の培養による醗酵法が最も適切
である。生産に好適な微生物としては、アースロバクタ
ー・エスピー TM−1(Arthrobacter
sp.TM−1:微工研条寄第3676号)を挙げるこ
とができる。本菌は、滋賀県甲賀郡甲賀町の白菜畑の土
壌より分離した細菌TM−1株であり、本発明に最も有
効に使用される菌株の一例であって、本菌株の菌学的性
質を示すと次の通りである。
を生産するには、微生物の培養による醗酵法が最も適切
である。生産に好適な微生物としては、アースロバクタ
ー・エスピー TM−1(Arthrobacter
sp.TM−1:微工研条寄第3676号)を挙げるこ
とができる。本菌は、滋賀県甲賀郡甲賀町の白菜畑の土
壌より分離した細菌TM−1株であり、本発明に最も有
効に使用される菌株の一例であって、本菌株の菌学的性
質を示すと次の通りである。
【0016】尚、本菌株の同定に当たって、同定試験は
「医学細菌同定の手引き、第2版、1974」や、「M
icrobiological Methods 3
巻」等に準じて実施した。実験結果を、「医学細菌同定
の手引き、第2版、1974」「Bergey’s M
annual of Systematic Bact
eriology Vol .1(1984),Vol .
2(1986),Vol.3(1989)」等に対比し
て同定した。培養温度は28〜30℃で行った。(+:
陽性、(+):弱陽性、−:陰性、NT:未試験、N
D:文献に記載が無い、NC:変化しない)
「医学細菌同定の手引き、第2版、1974」や、「M
icrobiological Methods 3
巻」等に準じて実施した。実験結果を、「医学細菌同定
の手引き、第2版、1974」「Bergey’s M
annual of Systematic Bact
eriology Vol .1(1984),Vol .
2(1986),Vol.3(1989)」等に対比し
て同定した。培養温度は28〜30℃で行った。(+:
陽性、(+):弱陽性、−:陰性、NT:未試験、N
D:文献に記載が無い、NC:変化しない)
【0017】実験結果 1.生育の特徴 普通寒天斜面培地 周辺はギザギザ状の丸い集落を形成し、中央が凸状に盛
り上がる。半透明、湿潤で灰白色〜淡黄土色を呈する
が、可溶性色素は産生しない。 普通寒天平面培地 生育は、悪いが線状に生育する。半透明、湿潤で灰白色
〜淡黄土色を呈するが、可溶性色素は産生しない。 液体培地(ペプトン水) 一様に混濁する。 リトモスミルク培地 アルカリになりペプトン化する。
り上がる。半透明、湿潤で灰白色〜淡黄土色を呈する
が、可溶性色素は産生しない。 普通寒天平面培地 生育は、悪いが線状に生育する。半透明、湿潤で灰白色
〜淡黄土色を呈するが、可溶性色素は産生しない。 液体培地(ペプトン水) 一様に混濁する。 リトモスミルク培地 アルカリになりペプトン化する。
【0018】2.DNAのGCmol % NT 3.主たるイソプレノイドキノン NT 4.形態の特徴 培養前期には長桿状を示し、彎曲し、大きさは0.8×
4〜5μmでV字状を示すものもある。培養後期には
1.2×1.5μmの短桿状〜球状に変化する細菌。
4〜5μmでV字状を示すものもある。培養後期には
1.2×1.5μmの短桿状〜球状に変化する細菌。
【0019】 5.生理・化学的性状 グラム染色 + KOH反応 − 抗酸性染色 − カプセル形成 −
【0020】 OFテスト(Hugh−Leifson) NT OFテスト(N源にNH4 H2 PO4 ) O 好気での生育 + 嫌気での生育 + 生育温度 42℃ − 37℃ + 20℃ + 10℃ NT
【0021】 食塩耐性 0% + 0.5% + 3.0% NT 5.0% NT 生育pH 4.7 − 5.6 + 9.0 + 10.0 −
【0022】 ゲラチン分解 − デンプン分解 − カゼイン分解 + エスクリン分解 NT セルロース分解 − チロシン分解 NT Tween80分解 NT アルギニン分解 NT カタラーゼ産生 − オキシダーゼ産生 NT
【0023】 レシチナーゼ産生 − ウレアーゼ産生(SSR) NT ウレアーゼ産生(Chris.) NT インドール産生 − 硫化水素産生(lead acetate paper) + アセトイン産生(K2 HPO4 ) − アセトイン産生(NaCl ) − MRテスト − 硝酸塩還元テスト(ガス産生) − (NO2 - の検出) − (NO3 - の検出) +
【0024】 シモンズ培地での利用性(アルカリ産生) クエン酸塩 − リンゴ酸塩 + マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 (+) コハク酸塩 +
【0025】 クリステンゼン培地での利用性(アルカリ産生) クエン酸塩 + リンゴ酸塩 + マレイン酸塩 + マロン酸塩 + プロピオン酸塩 + グルコン酸塩 +
【0026】 コハク酸塩 + グルコースよりガスの産生 − 糖より酸の産生(窒素源にNH4 H2 PO4 ) アドニトール − L(+)−アラビノース − セロビオース − ズルシトール − メリ−エリスリトール − フラクトース +
【0027】 D−ガラクトース − D−グルコース + グリセリン + イノシトール − イヌリン − ラクトース − マルトース − マンニトール −
【0028】 マンノース − メレジトース − メリビオース − ラフィノース − L(+)−ラムノース − D−リボース − サリシン − L−ソルボース − ソルビトール −
【0029】 スタ−チ − サッカロース + トレハロース (+) D−キシロース +
【0030】6.その他の分析(化学分析等) 本菌株TM−1の主性状 グラム陽性菌の細菌で短時間培養菌では桿状を示し、定
常期の細胞は球状〜短桿状になる。また、V、Y字形の
細胞も観られる。運動性なし、カタラーゼ非産生、グル
コースを酸化的に分解し、酸を産生する。
常期の細胞は球状〜短桿状になる。また、V、Y字形の
細胞も観られる。運動性なし、カタラーゼ非産生、グル
コースを酸化的に分解し、酸を産生する。
【0031】本菌株TM−1の同定 グラム陽性の細菌で桿状細胞から球状細胞に変化し、
V、Y字形(擬分岐)等の配列を示す菌属は、Cory
neform群のArthrobacter属がある。
本菌株の主性状から判断しArthrobacter属
に属するものと判断した(他のCoryneform群
も検索したが該当する菌属の記載はなかった)。
V、Y字形(擬分岐)等の配列を示す菌属は、Cory
neform群のArthrobacter属がある。
本菌株の主性状から判断しArthrobacter属
に属するものと判断した(他のCoryneform群
も検索したが該当する菌属の記載はなかった)。
【0032】本菌株TM−1の諸性状とArthrob
acter属の各菌種の諸性状を対比した結果A.si
mplexが糖よりの酸産生パターンは似ているが、澱
粉の分解能、カタラーゼ産生能及びリトモスミルク培地
での生育の特徴が、一致しなかった。よって、本菌株を
アースロバクター・エスピー TM−1(Arthro
bacter sp.TM−1)と同定命名した。本
菌、アースロバクター・エスピー(Arthrobac
ter sp.)TM−1株は工業技術院微生物工業技
術研究所に寄託した(微工研条寄第3676号、FER
M BP−3676)。
acter属の各菌種の諸性状を対比した結果A.si
mplexが糖よりの酸産生パターンは似ているが、澱
粉の分解能、カタラーゼ産生能及びリトモスミルク培地
での生育の特徴が、一致しなかった。よって、本菌株を
アースロバクター・エスピー TM−1(Arthro
bacter sp.TM−1)と同定命名した。本
菌、アースロバクター・エスピー(Arthrobac
ter sp.)TM−1株は工業技術院微生物工業技
術研究所に寄託した(微工研条寄第3676号、FER
M BP−3676)。
【0033】本発明の有効成物AC8007物質を得る
には、まず、上記の微生物またはAC8007物質を採
取し得る量でAC8007物質を生産し得る能力を有す
る変異株又は変種を常法にしたがって培地中で好気的に
培養する。本発明で例示する培地としては、上記アース
ロバクター属に属するAC8007物質生産菌を、イオ
ン交換純水1l あたり、イソプロピルアルコール10m
l、酵母エキス0.3g、ペプトン3.0g、硝酸アン
モニウム3.0g、リン酸カリウム0.4g、リン酸二
ナトリウム1.5g、硫酸マグネシウム0.5g、硫酸
マンガン10mg、硫酸亜鉛10mg、硝酸銅50μg、三
酸化モリブデン10μg、炭酸カルシウム5.0gを含
有する殺菌した培地100mlを収容した500ml容三角
フラスコに植菌して、30℃で3日間振とう培養すれば
よい。この培養物を、上記同様の培地100mlを含む5
00ml容三角フラスコに、1ml植菌して、30℃で5日
間振とう培養すればよい。
には、まず、上記の微生物またはAC8007物質を採
取し得る量でAC8007物質を生産し得る能力を有す
る変異株又は変種を常法にしたがって培地中で好気的に
培養する。本発明で例示する培地としては、上記アース
ロバクター属に属するAC8007物質生産菌を、イオ
ン交換純水1l あたり、イソプロピルアルコール10m
l、酵母エキス0.3g、ペプトン3.0g、硝酸アン
モニウム3.0g、リン酸カリウム0.4g、リン酸二
ナトリウム1.5g、硫酸マグネシウム0.5g、硫酸
マンガン10mg、硫酸亜鉛10mg、硝酸銅50μg、三
酸化モリブデン10μg、炭酸カルシウム5.0gを含
有する殺菌した培地100mlを収容した500ml容三角
フラスコに植菌して、30℃で3日間振とう培養すれば
よい。この培養物を、上記同様の培地100mlを含む5
00ml容三角フラスコに、1ml植菌して、30℃で5日
間振とう培養すればよい。
【0034】このようにして得られた培養物からAC8
007物質を採取するには、AC8007物質が主に培
養濾液中に存在するため、例えば培養物を濾過し、その
濾過液に非水溶性有機溶媒、たとえば酢酸エチル、ブタ
ノール、酢酸ブチルなどを加え、酸性pHにて抽出し、次
いでアルカリpHで水に転溶し、さらに酸性pHで溶媒抽出
すればよい。これをさらに、シリカゲル、アルミナ、合
成吸着剤などによるクロマトグラフイーに付して、分離
生成するか、また、高速液体クロマトグラフイーなどを
用いて分離取得することもできる。また、得られたAC
8007物質は、公知の方法によりナトリウム塩などの
アルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のア
ルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、公知の非毒性有機
アミンとの塩などの塩とすることもできる。このように
して得られたAC8007物質は、前記したような理化
学的性質を有する。本発明のAC8007物質は、以下
に示す作用を有する。
007物質を採取するには、AC8007物質が主に培
養濾液中に存在するため、例えば培養物を濾過し、その
濾過液に非水溶性有機溶媒、たとえば酢酸エチル、ブタ
ノール、酢酸ブチルなどを加え、酸性pHにて抽出し、次
いでアルカリpHで水に転溶し、さらに酸性pHで溶媒抽出
すればよい。これをさらに、シリカゲル、アルミナ、合
成吸着剤などによるクロマトグラフイーに付して、分離
生成するか、また、高速液体クロマトグラフイーなどを
用いて分離取得することもできる。また、得られたAC
8007物質は、公知の方法によりナトリウム塩などの
アルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のア
ルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、公知の非毒性有機
アミンとの塩などの塩とすることもできる。このように
して得られたAC8007物質は、前記したような理化
学的性質を有する。本発明のAC8007物質は、以下
に示す作用を有する。
【0035】(1)抗腫瘍作用 1)Sarcoma−180に対する光増感治療効果 一群5匹のICRマウス20g(雄)の背部一ケ所にs
arcoma−180(1×108 cells/ml)を
0.05ml皮内接種した。2日後にAC8007物質、
ヘマトポルフイリン(HpD;シグマ社製)をそれぞれ
15mgを3mlの0.1mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
4)を加えた生理食塩水に溶解し、0.2mlをマウス腹
腔内に投与した。
arcoma−180(1×108 cells/ml)を
0.05ml皮内接種した。2日後にAC8007物質、
ヘマトポルフイリン(HpD;シグマ社製)をそれぞれ
15mgを3mlの0.1mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
4)を加えた生理食塩水に溶解し、0.2mlをマウス腹
腔内に投与した。
【0036】10分後にペントバルビタール麻酔を行
い、さらに10分後にハロゲンランプ(JR15V15
0WB)を使用したルミナエースL−150S(林時計
製)により光照射を10分間、腫瘍部位に熱が伝わらな
いように行つた。3日目から腫瘍の長径と短径を測定
し、以下の式に基き計算した値を腫瘍の大きさとした。 結果 AC8007物質は、50mg/kg腹腔内投与後、20分
に光を照射することにより表1および図5に示すとおり
著名なsarcoma−180の増殖を抑制した。
い、さらに10分後にハロゲンランプ(JR15V15
0WB)を使用したルミナエースL−150S(林時計
製)により光照射を10分間、腫瘍部位に熱が伝わらな
いように行つた。3日目から腫瘍の長径と短径を測定
し、以下の式に基き計算した値を腫瘍の大きさとした。 結果 AC8007物質は、50mg/kg腹腔内投与後、20分
に光を照射することにより表1および図5に示すとおり
著名なsarcoma−180の増殖を抑制した。
【0037】
【表1】
【0038】2)Sarcoma−180に対する作用 上記1)と同様の方法で、ICRマウスを1群3匹使用
した。AC8007物質、ヘマトポルフイリンジハイド
ロクロライド(NO.H−1875、純度約75%、シ
グマ社製)、ヘマトポルフイリン(NO.H−551
8、純度約50%、シグマ社製)を、それぞれ25mg/
kg、12.5mg/kg、6.3mg/kgとなるよう5mg/2
ml、2.5mg/2ml、1.25mg/2ml溶液を0.1M
トリス塩酸緩衝液(pH7.4)を加えた生理食塩水で調
製した。この混合溶液0.2mlをマウスの腹腔内に投与
し、治療効果を検べた。結果は、表2および図6に示す
とおりで、AC8007物質は、対照薬として使用した
ヘマトポルフイリンおよびヘマトポルフイリン2・HC
l よりも効果が優れていることが確認された。
した。AC8007物質、ヘマトポルフイリンジハイド
ロクロライド(NO.H−1875、純度約75%、シ
グマ社製)、ヘマトポルフイリン(NO.H−551
8、純度約50%、シグマ社製)を、それぞれ25mg/
kg、12.5mg/kg、6.3mg/kgとなるよう5mg/2
ml、2.5mg/2ml、1.25mg/2ml溶液を0.1M
トリス塩酸緩衝液(pH7.4)を加えた生理食塩水で調
製した。この混合溶液0.2mlをマウスの腹腔内に投与
し、治療効果を検べた。結果は、表2および図6に示す
とおりで、AC8007物質は、対照薬として使用した
ヘマトポルフイリンおよびヘマトポルフイリン2・HC
l よりも効果が優れていることが確認された。
【0039】
【表2】
【0040】(2)腫瘍診断への応用 ICRマウスの背部一ケ所にSarcoma−180
(1×108 cells/ml)を0.05ml皮内接種し
た。2日後にAC8007物質50mg/kg投与し、光ガ
イドを通じて照射すると、腫瘍は蛍光により局所決定が
できる。
(1×108 cells/ml)を0.05ml皮内接種し
た。2日後にAC8007物質50mg/kg投与し、光ガ
イドを通じて照射すると、腫瘍は蛍光により局所決定が
できる。
【0041】(3)抗腫瘍作用 1)B−16メラノーマに対する光増感治療効果 一群3匹のBDF1 マウス20g(雄)の背部一ケ所に
B−16メラノーマ(2×107 cells/ml)を
0.05ml皮内接種した。7日後にAC8007物質、
ヘマトポルフイリン(HpD;シグマ社製)をそれぞれ
50mg/kg、25mg/kg、12.5mg/kgとなるように
10mg/2ml、5mg/2ml、2.5mg/2ml溶液を0.
1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を加えた生理食塩水
に溶解し、0.2mlをマウス腹腔内に投与した。10分
後にペントバルビタール麻酔を行い、さらに10分後に
ハロゲンランプ(JR15V150WB)を使用したル
ミナエースL−150S(林時計製)により光照射を1
0分間、腫瘍部位に熱が伝わらないように行った。8日
目から腫瘍の長径と短径を測定し、以下の式に基き計算
した値を腫瘍の大きさとした。
B−16メラノーマ(2×107 cells/ml)を
0.05ml皮内接種した。7日後にAC8007物質、
ヘマトポルフイリン(HpD;シグマ社製)をそれぞれ
50mg/kg、25mg/kg、12.5mg/kgとなるように
10mg/2ml、5mg/2ml、2.5mg/2ml溶液を0.
1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を加えた生理食塩水
に溶解し、0.2mlをマウス腹腔内に投与した。10分
後にペントバルビタール麻酔を行い、さらに10分後に
ハロゲンランプ(JR15V150WB)を使用したル
ミナエースL−150S(林時計製)により光照射を1
0分間、腫瘍部位に熱が伝わらないように行った。8日
目から腫瘍の長径と短径を測定し、以下の式に基き計算
した値を腫瘍の大きさとした。
【0042】結果 AC8007物質は、50mg/kg、25mg/kg腹腔内投
与後、20分に光を照射することにより表3および図8
に示すとおり著名なB−16メラノーマの増殖を抑制
し、HpDの光照射による光増感治療は表3および図9
に示した。
与後、20分に光を照射することにより表3および図8
に示すとおり著名なB−16メラノーマの増殖を抑制
し、HpDの光照射による光増感治療は表3および図9
に示した。
【0043】
【表3】
【0044】以上のSarcoma−180、B−16
メラノーマを用いた腫瘍形成マウスに対し、AC800
7物質はPDTにより治療効果が認められ、ヒト肺由来
悪性腫瘍A549株、ヒト大腸由来悪性腫瘍AZ521
株、ヒトメラノーマG361株やヒト子宮頸部由来He
la細胞などのヒト由来腫瘍に対しても有効であると認
められる。
メラノーマを用いた腫瘍形成マウスに対し、AC800
7物質はPDTにより治療効果が認められ、ヒト肺由来
悪性腫瘍A549株、ヒト大腸由来悪性腫瘍AZ521
株、ヒトメラノーマG361株やヒト子宮頸部由来He
la細胞などのヒト由来腫瘍に対しても有効であると認
められる。
【0045】(3)急性毒性 AC8007物質をマウスに400mg/kg腹腔内投与し
ても死亡例はみられなかつた。 (4)マウス急性光毒性実験 光増感剤は生体に取り込まれ、直射日光にあたると光過
敏症を引き起こす。症状は初めヒフの紅斑と痛痒で始ま
り、その後水腫が発生し、数日後腫脹はひくがヒフの壊
死が観察される。重篤な場合、昏睡状態になり死亡する
例もある。 1)実験方法 ICR(♂、22〜25g)マウス(1群3匹)にAC
8007、HpDをそれぞれについて100mg/kg、5
0mg/kgとなるように、腹腔内投与を行った。投与直後
からマウスの上部からハロゲンランプ(ルミナエース、
林時計(株)、JCR15V、150WB)により2時
間(25〜28℃温度条件に維持)照射した。この時、
32000ルックスであった。その後普通飼育し、マウ
ス体重と生死を観察した。 2)実験結果 その結果を表4に示す。
ても死亡例はみられなかつた。 (4)マウス急性光毒性実験 光増感剤は生体に取り込まれ、直射日光にあたると光過
敏症を引き起こす。症状は初めヒフの紅斑と痛痒で始ま
り、その後水腫が発生し、数日後腫脹はひくがヒフの壊
死が観察される。重篤な場合、昏睡状態になり死亡する
例もある。 1)実験方法 ICR(♂、22〜25g)マウス(1群3匹)にAC
8007、HpDをそれぞれについて100mg/kg、5
0mg/kgとなるように、腹腔内投与を行った。投与直後
からマウスの上部からハロゲンランプ(ルミナエース、
林時計(株)、JCR15V、150WB)により2時
間(25〜28℃温度条件に維持)照射した。この時、
32000ルックスであった。その後普通飼育し、マウ
ス体重と生死を観察した。 2)実験結果 その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】上記の表4に示す通り、AC8007物質
(100mg/kg、50mg/kg)投与群では死亡例は認め
られなかった。HpD100mg/kg投与群では全例翌日
までに死亡し、50mg/kg投与群では翌日1/3例の死
亡例が認められた。体重変化については図10に示す通
りであり、AC8007物質群は無投与照射コントロー
ル群と同じ様に体重の増加が認められた。HpD50mg
/kg投与群で生き残り2/3例の体重変化は翌日、翌々
日まで体重減少が認められ、72時間後に回復した。以
上のように急性光毒性においてAC8007物質はHp
Dにくらべ高い安全性を認めた。
(100mg/kg、50mg/kg)投与群では死亡例は認め
られなかった。HpD100mg/kg投与群では全例翌日
までに死亡し、50mg/kg投与群では翌日1/3例の死
亡例が認められた。体重変化については図10に示す通
りであり、AC8007物質群は無投与照射コントロー
ル群と同じ様に体重の増加が認められた。HpD50mg
/kg投与群で生き残り2/3例の体重変化は翌日、翌々
日まで体重減少が認められ、72時間後に回復した。以
上のように急性光毒性においてAC8007物質はHp
Dにくらべ高い安全性を認めた。
【0048】以上に述べたように、AC8007物質
を、0.1Mトリス塩酸緩衝液を含む生理食塩水(pH
7.4)に溶解し、腹腔内投与、静脈内投与、経口投与
等により、本物質を投与することにより、腫瘍部位に行
き渡つている期間に、光、レーザー、超音波、X線など
の照射を行うものである。その結果、悪性腫瘍細胞を壊
死にいたらしめ、悪性腫瘍の増殖を抑制することができ
る。したがつて、本発明の有効物質AC8007物質の
投与量としては、1日成人1人当り1〜10mg/kgであ
り、投与方法としては、無菌緩衝液(pH7.4付近)を
加えた生理食塩水に溶解し、静脈内投与、局所投与ある
いは経口投与により行う。
を、0.1Mトリス塩酸緩衝液を含む生理食塩水(pH
7.4)に溶解し、腹腔内投与、静脈内投与、経口投与
等により、本物質を投与することにより、腫瘍部位に行
き渡つている期間に、光、レーザー、超音波、X線など
の照射を行うものである。その結果、悪性腫瘍細胞を壊
死にいたらしめ、悪性腫瘍の増殖を抑制することができ
る。したがつて、本発明の有効物質AC8007物質の
投与量としては、1日成人1人当り1〜10mg/kgであ
り、投与方法としては、無菌緩衝液(pH7.4付近)を
加えた生理食塩水に溶解し、静脈内投与、局所投与ある
いは経口投与により行う。
【0049】
【発明の効果】本発明は、AC8007物質の光増感・
蛍光作用により悪性腫瘍の治療ならびに診断に有効であ
る。
蛍光作用により悪性腫瘍の治療ならびに診断に有効であ
る。
【0050】実施例 1 (1)アースロバクター・エスピー・MT−1(FER
M BP−3676)を、イオン交換純水1l あたり、
イソプロピルアルコール10ml、酵母エキス0.3g、
ペプトン3.0g、硝酸アンモニウム3.0g、リン酸
カリウム0.4g、リン酸二ナトリウム1.5g、硫酸
マグネシウム0.5g、硫酸マンガン10mg、硫酸亜鉛
10mg、硫酸銅50μg、三酸化モリブデン10μg、
炭酸カルシウム5.0gを含有する殺菌した培地100
mlを収容した500ml容三角フラスコに植菌して、30
℃で3日間振とう培養した。この培養物を、上記同様の
培地100mlを含む500ml容三角フラスコに、1ml植
菌して、30℃で5日間振とう培養した。この培養物を
500ml容フラスコ200本を合わせた後、遠心分離に
よって除菌して培養上清約19l を得た。
M BP−3676)を、イオン交換純水1l あたり、
イソプロピルアルコール10ml、酵母エキス0.3g、
ペプトン3.0g、硝酸アンモニウム3.0g、リン酸
カリウム0.4g、リン酸二ナトリウム1.5g、硫酸
マグネシウム0.5g、硫酸マンガン10mg、硫酸亜鉛
10mg、硫酸銅50μg、三酸化モリブデン10μg、
炭酸カルシウム5.0gを含有する殺菌した培地100
mlを収容した500ml容三角フラスコに植菌して、30
℃で3日間振とう培養した。この培養物を、上記同様の
培地100mlを含む500ml容三角フラスコに、1ml植
菌して、30℃で5日間振とう培養した。この培養物を
500ml容フラスコ200本を合わせた後、遠心分離に
よって除菌して培養上清約19l を得た。
【0051】(2)上記(1)で得た培養上清液を酢酸
でpHを2.0に調整後、酢酸エチル8l で有効成分を抽
出した。この抽出液に水4l を加え、水層のpHをアンモ
ニア水で9.0に調整した後、抽出操作を行つた。分液
した水層を約500mlにまで減圧濃縮した。濃縮液を吸
着樹脂(ダイヤイオンHP−20、三菱化成社製)40
0mlのカラムに通した。水3l で洗浄後、水3l および
80%アセトン水3lを用いる直線型濃度勾配により溶
出を行つた。最初の2l を捨て、その後、17gづつの
分画を行うと、フラクションNo.87〜150に有効
成分が溶出された。これらのフラクションを集めて減圧
濃縮して暗赤色粉末を得た。
でpHを2.0に調整後、酢酸エチル8l で有効成分を抽
出した。この抽出液に水4l を加え、水層のpHをアンモ
ニア水で9.0に調整した後、抽出操作を行つた。分液
した水層を約500mlにまで減圧濃縮した。濃縮液を吸
着樹脂(ダイヤイオンHP−20、三菱化成社製)40
0mlのカラムに通した。水3l で洗浄後、水3l および
80%アセトン水3lを用いる直線型濃度勾配により溶
出を行つた。最初の2l を捨て、その後、17gづつの
分画を行うと、フラクションNo.87〜150に有効
成分が溶出された。これらのフラクションを集めて減圧
濃縮して暗赤色粉末を得た。
【0052】この粉末を予めブタノール−エタノール−
クロロホルム−アンモニア水(4:5:2:3)の混合
溶媒で充填したシリカゲル(メルク社製、Art773
4、350ml)のカラムにチャージし、上記と同一の混
合溶媒で溶出した。最初の600mlを捨て、その後、1
7gづつの分画を行うと、フラクションNo.11〜4
0に有効成分が溶出された。これらのフラクションを集
めて減圧濃縮してAC8007物質の暗赤色粉末を得
た。
クロロホルム−アンモニア水(4:5:2:3)の混合
溶媒で充填したシリカゲル(メルク社製、Art773
4、350ml)のカラムにチャージし、上記と同一の混
合溶媒で溶出した。最初の600mlを捨て、その後、1
7gづつの分画を行うと、フラクションNo.11〜4
0に有効成分が溶出された。これらのフラクションを集
めて減圧濃縮してAC8007物質の暗赤色粉末を得
た。
【0053】(3)上記(2)で得た暗赤色粉末を、メ
タノール50%酢酸アンモニウム水溶液(55:45)
の混合溶媒2mlに溶解し、これをオクタデシルシリカゲ
ル(山村化学社製、YMC−GEL−ODS、662m
l)のカラムにチャージし、前記と同一混合溶媒で溶出
した。これを20mlづつ分画を行うとフラクションN
o.42〜55に有効成分が溶出された。これらのフラ
クションを集めて減圧下メタノール留去した。残渣を吸
着樹脂(三菱化成社製、ダイヤイオンHP−20、10
0ml)のカラムに通した。水1l で洗浄後、80%アセ
トン水で溶出した。溶出液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エ
チルに溶解した。
タノール50%酢酸アンモニウム水溶液(55:45)
の混合溶媒2mlに溶解し、これをオクタデシルシリカゲ
ル(山村化学社製、YMC−GEL−ODS、662m
l)のカラムにチャージし、前記と同一混合溶媒で溶出
した。これを20mlづつ分画を行うとフラクションN
o.42〜55に有効成分が溶出された。これらのフラ
クションを集めて減圧下メタノール留去した。残渣を吸
着樹脂(三菱化成社製、ダイヤイオンHP−20、10
0ml)のカラムに通した。水1l で洗浄後、80%アセ
トン水で溶出した。溶出液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エ
チルに溶解した。
【0054】この溶液を10mMエチレンジアミンテト
ラアセテート水溶液(pH2)で洗浄した後、酢酸エチル
層を減圧濃縮した。残渣にヘキサンを加え、析出した沈
澱物をガラスフイルター上に集め、減圧乾燥して精製さ
れたAC8007物質(遊離液)を暗赤色粉末として得
た。収量159mg。
ラアセテート水溶液(pH2)で洗浄した後、酢酸エチル
層を減圧濃縮した。残渣にヘキサンを加え、析出した沈
澱物をガラスフイルター上に集め、減圧乾燥して精製さ
れたAC8007物質(遊離液)を暗赤色粉末として得
た。収量159mg。
【0055】(4)上記(3)でAC8007物質(遊
離液)10mgを4Nアンモニア水1mlに溶解した後、凍
結乾燥してAC8007物質のアンモニウム塩を得た。
収量11mg。
離液)10mgを4Nアンモニア水1mlに溶解した後、凍
結乾燥してAC8007物質のアンモニウム塩を得た。
収量11mg。
【0056】実施例 2 一群3匹のICRマウス、20g、雄の背部にsarc
oma−180(1×108 cells/ml)を0.0
5ml皮内に接種し、2日後にAC8007物質を腹腔内
に投与した。10分後にペントバルビタール麻酔を行
い、更にその後、10分後にハロゲンランプ(JCR1
5V150WB)を使用したルミナエースL150s
(林時計製)により光照射を10分間、腫瘍部位に熱が
伝わらないように行つた。腫瘍の大きさを3日目から8
日目にかけて測定し、表1および表2に示すようなAC
8007物質の著名な腫瘍増殖抑制作用が認められた。
oma−180(1×108 cells/ml)を0.0
5ml皮内に接種し、2日後にAC8007物質を腹腔内
に投与した。10分後にペントバルビタール麻酔を行
い、更にその後、10分後にハロゲンランプ(JCR1
5V150WB)を使用したルミナエースL150s
(林時計製)により光照射を10分間、腫瘍部位に熱が
伝わらないように行つた。腫瘍の大きさを3日目から8
日目にかけて測定し、表1および表2に示すようなAC
8007物質の著名な腫瘍増殖抑制作用が認められた。
【0057】実施例 3 AC8007物質を無菌生理食塩水(pH7.5付近に調
整)に5mg/mlとなるよう溶解した。これを0.22μ
mミリポアフイルターで無菌濾過し、注射剤とした。
整)に5mg/mlとなるよう溶解した。これを0.22μ
mミリポアフイルターで無菌濾過し、注射剤とした。
【図1】溶媒としてメタノールを用いたときのAC80
07物質の可視部吸収スペクトルである。
07物質の可視部吸収スペクトルである。
【図2】溶媒として0.1NHCl ・メタノールを用い
たときのAC8007物質の可視部吸収スペクトルであ
る。
たときのAC8007物質の可視部吸収スペクトルであ
る。
【図3】AC8007物質の赤外線吸収スペクトルであ
る。
る。
【図4】AC8007物質のプロトン核磁気共鳴スペク
トルである。
トルである。
【図5】AC8007物質の光増感治療効果を示した曲
線である。
線である。
【図6】AC8007物質の光増感治療効果を示した曲
線である。
線である。
【図7】AC8007物質の蛍光スペクトルである。
【図8】AC8007物質の光増感治療効果を示した曲
線である。
線である。
【図9】対照としてのヘマトポルフイリン(HpD)の
光増感治療効果を示した曲線である。
光増感治療効果を示した曲線である。
【図10】AC8007物質およびヘマトポルフィリン
(HpD)のマウス急性光毒性実験における体重変化の
曲線である。
(HpD)のマウス急性光毒性実験における体重変化の
曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:06) 7804−4B
Claims (4)
- 【請求項1】 以下の理化学的性質を有するAC800
7物質またはその非毒性塩を有効成分とすることを特徴
とする悪性腫瘍の治療剤または診断剤。 (1)元素分析値 C:約60%、H:約5%、N:約8%、Zn:約8〜
10% (2)質量分析値 717(MH+ 、FAB−MSによる) (3)分子式 C36H36O8 N4 Zn (4)可視部吸収スペクトル 【化1】 少なくとも386(肩)(750)、406(352
5)、538(185)、574(190)nm付近に
特徴的な吸収を有する 【化2】 少なくとも386(肩)(1275)、402(469
0)、560(175)、591(60)nm付近に特
徴的な吸収を有する (5)赤外線吸収スペクトル(KBr法) 少なくとも3420、2920、1705、1400、
1275、1130、940、835cm-1付近に特徴的
な吸収を有する (6)溶剤に対する溶解性 メタノール、酢酸エチル、酢酸、ジメチルスルホキシド
に可溶性、水、ヘキサン、ベンゼンに不溶性 (7)呈色反応 過マンガン酸カリウム反応、ヨード反応は陽性、塩化第
二鉄反応、ドラーゲンドルフ反応、ニンヒドリン反応は
陰性 (8)塩基性、酸性、中性の区別 酸性物質 (9)物質の色 暗赤色 - 【請求項2】 AC8007物質が下記の推定化学構造
式を有することを特徴とする請求項1記載の悪性腫瘍の
治療剤または診断剤。 【化3】 - 【請求項3】 アースロバクター属に属するAC800
7物質生産菌を培地に培養し、次いで培養物よりAC8
007物質を採取することを特徴とするAC8007物
質の製造法。 - 【請求項4】 アースロバクター属に属するAC800
7物質生産菌が、アースロバクター・エスピー・TM−
1(FERM BP−3676)である請求項3記載の
製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4150980A JPH05229948A (ja) | 1991-12-25 | 1992-06-10 | 悪性腫瘍の治療剤または診断剤およびac8007物質の製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-343670 | 1991-12-25 | ||
JP34367091 | 1991-12-25 | ||
JP4150980A JPH05229948A (ja) | 1991-12-25 | 1992-06-10 | 悪性腫瘍の治療剤または診断剤およびac8007物質の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05229948A true JPH05229948A (ja) | 1993-09-07 |
Family
ID=26480390
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4150980A Pending JPH05229948A (ja) | 1991-12-25 | 1992-06-10 | 悪性腫瘍の治療剤または診断剤およびac8007物質の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05229948A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005084665A1 (ja) * | 2004-03-04 | 2005-09-15 | Makoto Yuasa | 金属ポルフィリン錯体包埋ニオソーム、その製造法およびこれを利用する医薬 |
WO2006075678A1 (ja) * | 2005-01-14 | 2006-07-20 | Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion | 光感受性化合物 |
WO2007086395A1 (ja) * | 2006-01-24 | 2007-08-02 | Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion | 光線力学的療法用キット |
-
1992
- 1992-06-10 JP JP4150980A patent/JPH05229948A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005084665A1 (ja) * | 2004-03-04 | 2005-09-15 | Makoto Yuasa | 金属ポルフィリン錯体包埋ニオソーム、その製造法およびこれを利用する医薬 |
WO2006075678A1 (ja) * | 2005-01-14 | 2006-07-20 | Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion | 光感受性化合物 |
WO2007086395A1 (ja) * | 2006-01-24 | 2007-08-02 | Hamamatsu Foundation For Science And Technology Promotion | 光線力学的療法用キット |
JPWO2007086395A1 (ja) * | 2006-01-24 | 2009-06-18 | 財団法人浜松科学技術研究振興会 | 光線力学的療法用キット |
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