JP2701069B2 - 抗腫瘍性アントラサイクリン系化合物 - Google Patents

抗腫瘍性アントラサイクリン系化合物

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JP2701069B2 JP15052989A JP15052989A JP2701069B2 JP 2701069 B2 JP2701069 B2 JP 2701069B2 JP 15052989 A JP15052989 A JP 15052989A JP 15052989 A JP15052989 A JP 15052989A JP 2701069 B2 JP2701069 B2 JP 2701069B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は抗腫瘍作用を有する新規なアントラサイクリ
ン系化合物に関する。さらに詳しくは下記式 式中、Rは水素原子又は水酸基を表わし、Xはロドサミ
ニル基、N−メチルダウノサミニル基又はダウノサミニ
ル基を表わす、 で示される化合物及びその薬理学的に許容しうる酸付加
塩に関する。
[従来の技術] 抗腫瘍作用をもつアントラサインクリン系の化合物と
して、従来、ダウノマイシン(米国特許第3,616,242号
明細書参照)及びアドリアマイシン(米国特許第3,590,
028号明細書参照)が知られており、これらの化合物は
臨床的に広く用いられているが、心毒性、骨髄抑制作用
等の重篤な副作用があるため、抗腫瘍剤として決して満
足できるものではない。
そのため、かかる副作用が少なく且つ抗腫瘍作用の優
れた薬剤の開発が強く望まれており、従来から、醗酵
法、微生物変換法、化学合成法等の各種の手段で創製さ
れたアントラサインクリン系化合物が幾つか提案されて
いる。例えば、アクラシノマイシンA及びB(特公昭51
−34914号公報参照)、ロドマイシン群抗生物質(特開
昭56−15299号公報参照)、4−O−テトラヒドロピラ
ニルアドリアマイシン(特公昭57−13558号公報参照)
等がその例である。さらにまた、ダウノマイシン及びア
ドリアマイシンの誘導体についてはTopics in Antibiot
ic Chemistry、Vol.12、102〜279頁(Ellis Horwood Li
mited 発行)及びThe Chemistry of Antitumor Antibio
tics、Vol.1、63〜132頁(Wileyluterscienc 発行)に
紹介されている。
[発明が解決しようとする課題] 抗腫瘍剤としてのアントラサイクリン系抗生物質に
は、前記の如く各種の類縁化合物が提案され、その中に
は既に臨床的にも使用されているものや治験中のものも
あるし、しかしながら、それらは毒性、抗腫瘍作用のい
ずれの面でも充分に満足できるものではない。
しかも抗腫瘍剤は試験管内試験及び動物試験の成績が
必ずしもヒト癌に対する制癌作用と直接相関しないこと
が多く、多角的な研究が要求される。そのため抗腫瘍剤
として一応の評価がなされているアントラサインクリン
系抗生物質についても、臨床薬としてさらに有効な新薬
の開発が強く望まれているというのが実情である。
かくして、本発明の主たる目的は、低毒性で且つ抗腫
瘍活性に優れた新規なアントラサインクリン系化合物を
提供することである。
[課題を解決するための手段] アントラサイクリン系抗生物質は一般に4位の水酸基
をメチル化すると毒性が低下するという現象があること
に着目し、各種のアントラサインクリン系化合物の4−
O−メチル化について鋭意研究を行なっている過程で、
特異的な4−O−メチル化能を有する微生物変異株の育
種に成功し、その微生物特異株を用いる変換法により、
低毒性で且つ抗腫瘍作用に優れた前記式(I)の化合物
を取得し、本発明を完成するに至った。
本発明により提供される前記式(I)の化合物には次
の6種の化合物が包含される。
(本化合物を以下“MC−1"という) (本化合物を以下“MC−2"という) (本化合物を以下“MC−3"という) (本化合物を以下“MC−4"という) (本化合物を以下“MC−5"という) (本化合物を以下“MC−6"という) 本発明の式(I)の化合物は塩基性のアミノ糖を含有
するため、薬理学的に許容しうる酸付加塩の形で存在す
ることができ、そのような酸付加塩の例には、硫酸、塩
酸、硝酸などの無機酸との塩;酢酸、クエン酸、コハク
酸、洒石酸、フマール酸、マレイン酸、プロピオン酸、
リンゴ酸、シユウ酸、ステアリン酸、リノレイン酸、ラ
ウリルスルホン酸などの有機酸との塩;グルタミン酸、
アスパラギン酸等のアミノ酸との塩;パントテン酸塩、
アルコルビン酸塩等が挙げられる。
本発明の化合物は、それ自体優れた抗腫瘍活性を有し
抗腫瘍剤としての有用性が期待されるのみならず、糖鎖
の結合、低分子又は高分子活性物質との結合等の化学的
修飾を施しさらに活性の高い誘導体を合成するための中
間体としても有用である。
本発明の前記式(I)の化合物は例えば、 (a)下記式 式中、Rは前記定義のとおりである、 で示される化合物を基質とし、4−O−メチル化能を有
する微生物を培養することによりMC−1又はMC−4化合
物を製造し、そして (b)得られるMC−1又はMC−4化合物を光照射による
脱メチル化反応に付すことにより、MC−2、MC−3、MC
−5又はMC−6化合物を生成せしめることにより製造す
ることができる。
出発原料として使用される上記式(II)の化合物、す
なわちY262−3物質[R=Hである式(II)の化合物]
及びβ−ロドマイシン−I[R=OHである式(II)の化
合物)]は、例えば、Y262−1及びY262−3物質生産菌
として提案されているストレプトミセス・ピオラセグス
(Streptomyees violaceus)A262、SC−7菌株(微工研
条寄第1331号)を培養することにより調製することがで
きる(特開昭63−66194号公報参照)。
また、特異的な4−O−メチル化能を有する微生物
は、例えば、アクチノミセス属に属するダウノマイシ
ン、カルミノマイシン又はバウマイシン類及びその類縁
化合物を生産する能力を有する微生物菌株(これは新た
に土壌から分離した菌株であってもよく、或いは公知菌
株であってもよい)を、変異源として例えば紫外線又は
N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NT
G)を用いる通常の変異処理に付し、そしてアントラサ
イクリン系色素非生産性で且つ前記式(II)の化合物の
4−O−メチル化能を有する変異菌株を単離することに
より取得することができる。
そのような4−O−メチル化能を有する微生物変異菌
株の具体例には、特願昭60−185797号公報に記載された
アントラサイクリン抗生物質D788−5生産菌株、ストレ
プトミセス・スピーシス(Streptomyces species)D78
8、4L−660菌株(微工研菌寄第7459号)をNTG処理する
ことにより得られる変異菌株DKN−1株が挙げられる。
本菌株は平成元年4月1日付で工業技術院微生物工業研
究所に微生物菌寄第10643号として寄託されている。
以下に上記DNK−1株の菌学的性状を示す。
(i) 形態 分岐した基中菌糸より、直線状の気中菌糸を伸長し、
輪生枝は認められない。成熟した胞子鎖は10ヶ以上の胞
子の連鎖が認められ胞子の大きさは0.6〜0.8×0.9〜2.5
ミクロン位で胞子の表面は平滑である。子のう胞子、鞭
毛胞子などは認められない。
(ii) 各種培地における生育状態 下記第1表に示す。色の記載について( )内に示す
標準はH.D,Tresner & E.J.Backus著、System of Color
Wheels for Streptomyces Taxonomy(J.Appl.Microbio
l.11巻、335〜338頁、1963年)を用い、補足的に日本色
彩研究所出版の「色の標準」を用いた。
(iii) 生理的性質 (1) 成育温度(イースト、麦芽寒天培地を使用、pH
6.0で20℃、28℃、33℃、37℃42℃の各温度で実験):20
℃〜37℃までは生育が認められた。
(2) ゼラチンの液化(グルコース、ペプトン、ゼラ
チン培地を使用し、20℃で培養):陽性 (3) スターチの加水分解(スターチ、無機塩寒天培
地):陽性 (4) 脱脂牛乳の凝固及びペプトン化:僅かに凝固及
びペプトン化は陽性 (5) メラニン様色素の生成(トリプトン、イースト
エキス、鉄寒天培地):陽性 (iv)各種炭素源の利用性(プリドハム、マドリーブ寒
天培地上): L−アラビノース + D−キシロース + D−グルコース + D−フラクトース ± シユクローズ ± イノシトール + L−ラムノース + ラフイノース ± D−マンニット ± +は良く生育 ±僅かに生育 かかるO−メチル化能を有する微生物を用いる式(I
I)の化合物からのMC−1又はMC−4化合物の製造は、
例えば次のようにして行なうことができる。
先ず、YS寒天斜面培地で培養しそして約6〜7℃で保
存された上記のO−メチル化能を有する菌株、例えばDK
N−14株菌を、例えば炭素源としてデンプン、グリセリ
ン、グルコース、マルトーズなど;窒素源として大豆
粉、肉エキス、酵母エキス、ペプトン、コーンスチープ
リカー、綿実粕、魚粉などの窒素含有有機物及び/又は
硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム
或いはリン酸アンモニウムなどの無機体窒素;及び無機
塩類よりなる培地に接種し、25〜35℃、好ましくは28℃
で1〜5日間、好ましくは約3日間振盪又は撹拌培養を
行い、これに基質として前記式(II)の化合物のメタノ
ール溶液を最終濃度が10〜500μg/ml、好ましくは約50
μg/mlとなるように添加し、更に1〜3日間、好ましく
は約2日間振盪培養を続けて微生物変換を完結せしめ
る。なお、醗酵中の発泡を抑制するため、消泡剤として
アデカノール(旭電化工業社製)、シリコーン(信越化
学工業社製)等を適宜添加することができる。
この培養物より本発明のMC−1又はMC−4化合物を採
取するには、例えば培養液を菌体と濾液に分離し、菌体
及び濾液から該化合物を含有する粗色素の抽出、精製を
行う。抽出には例えばアセトン、メタノール、クロロホ
ルム、酢酸エチル、トルエン、薄い鉱酸、酸性緩衝液等
を用いることができる。精製にはシリカゲル、交叉結合
デキストランゲル[例えば、セフアデツクスLH−20(フ
アルマシア社製)]、弱酸性イオン交換樹脂、その他合
成吸着樹脂(例えば、HP−20(三菱化成社製))、等を
用いてカラム及び薄層クロマトグラフィー、適当な溶媒
を用いた液体クロマトグラフィー及び向流分配法等の常
法を適宜組み合わせることにより有利に行うことができ
る。
また、上記の如くして得られるMC−1又はMC−4化合
物の光照射による脱メチル化反応によるMC−2、MC−
3、MC−5又はMC−6化合物の製造は、例えば、本発明
者らが先に開発し特開昭64−2659号公報において提案し
た方法により行なうことができる。
例えば、上記で得られるMC−1又はMC−4化合物を、
クロロホルム、アセトン、メタノール、酢酸エチル等又
はこれらの混合物よりなる溶媒中に溶解し、透明な半密
閉ガラス容器に入れ、太陽光線又は適当な人口光源、例
えば好ましくは3500Å付近の波長の紫外線を発生しうる
高圧水銀ランプで光照射処理する。
この処理は一般に約0〜約30℃、好ましくは25℃付近
の温度で約0.5〜約5時間行なうことができる。
反応液からの生成する本発明の化合物の単離、精製
は、前述した培養ブロスからのMC−1又はMC−4化合物
の単離、精製について述べたと同様にして行なうことが
できる。
かくして得られる本発明の化合物は、必要に応じて、
それ自体既知の方法により、前述した如き無毒性の酸と
適当な溶媒中で反応させ、凍結乾燥するか、又は酸付加
塩が僅かしか溶けない溶媒を用いて沈澱させる方法等に
より酸付加塩に変えることができる。
本発明の化合物は以下に示す試験によって明らかなと
おり、優れた抗腫瘍活性を有しており、抗腫瘍剤として
の有用性が期待される。
マウス白血病L1210培養細胞に対する増殖及び核酸合成
阻害作用 20%仔牛血清を含むRPMI1640培地(日水製薬社製)に
L1210細胞を5×104ケ/ml接種し、これに本発明の被験
化合物を最終濃度0.005〜10.0μg/mlになるように添加
し、37℃にて炭酸ガス培養器中(3.5%炭酸ガス混入空
気)で2日間培養し、無添加の対照区に対する50%増殖
阻害濃度を求めた。更に、上記のL1210培養細胞を10%
仔牛血清を含むRPMI 1610培地へ5×105ケ/mlとなるよ
うに懸濁し、37℃にてガス培養器中で1時間培養を行っ
た後、本発明の化合物を0.1〜100μg/mlになるように添
加し、15分後更に14C−ウリジン(0.05μC/ml)または
14C−チミジン(0.05μg/ml)を添加して、直ちに37℃
で60分間培養した。
次いで、培養液に冷10%トリクロロ酢酸(TCA)を添
加して反応を中止すると同時に、酸不溶物として培養細
胞を沈澱させた。冷5%TCAにて沈澱物を2回洗浄した
後、ギ酸に溶解、放射活性を測定した。かくして、無添
加対照区に対する放射能取込み率から50%取込み阻害を
生ずる濃度を求めた。第2表にその結果を示す。
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1:Y262−3及びβ−ロドマイシン−Iの調製 ストレプトミセス・ピオラセウスA262、SC−7金株
(微工研条菌寄第1331号)のYS(0.3%酵母エキス、1
%可溶性デンプン、1.5%寒天、pH7.2)斜面培養より一
白金耳を採り、下記の種母培地100mlを分注殺菌した500
ml容三角フラスコに接種し、28℃でロータリーシエーカ
ー(200回転/分)にて、3日間振盪培養して種母を作
成した。
種母培地: 可溶性デンプン 0.5W/v% グルコース 0.5 エスサンミート(大豆粉、味の素社製) 1.0 酵母エキス 0.1 食塩 0.1 第二リン酸カリ 0.1 硫酸マグネシウム(含7H2O) 0.1 水道水 pH7.4 (殺菌前) 次いで、下記組成の生産培地15lを入れ殺菌した30l容
ジヤーフアーメンター1基に上記の種母培養液を750ml
(5%に相当)添加接種した。
生産培地: 可溶性デンプン 4.0W/V% pH8.2(殺菌前) エスサンミート 2.5 酵母エキス 0.1 食塩 0.25 炭酸カルシウム 0.3 ミネラル混液 0.2 水道水で15とする CuSO4・5H2O 2.8g、FeSO4・7H2O 0.4g MuSO4・4H2O 3.2g、ZnSO4・2H2O 0.8g 蒸留水500mlに溶解したもの。
通気量15/分、撹拌300回転/分で28℃、130時間培
養した。培養液を集め6N塩酸でpH1.0に調整し、65℃で
2時間穏やかに加温した後、濾過助剤を2%添加し、濾
過した。菌体区分にアセトン10を加え、1時間撹拌抽
出、濾過し、アセトン抽出液を得た。およそ2程度に
減圧濃縮し、4N苛性ソーダーでpHを8.0に調整し、クロ
ロホルム(総量4)で抽出した。一方上清区分は4N苛
性ソーダーでpH8.0に調整した後、クロロホルム3で
抽出した。得られた両クロロホルム抽出層を混合、飽和
食塩水で洗浄し、茫硝を添加して乾燥させた。クロロホ
ルム抽出層を濾別し、少量まで減圧濃縮し、これにn−
ヘキサンを過剰に添加して沈澱せしめ、濾過集積し、真
空乾燥してβ−ロドマイシン−I及びY262−3を含有す
る粗粉末10.9gを得た。
この粗粉末10.9gをクロロホルムに溶解し、予めクロ
ロホルムで充填したシリカゲルカラム(径35mmカラム:
ワコーゲルC−200(和光純薬工業社製)、105gに吸着
させた。最初にクロロホルム/メタノール(100/1)混
液で展開し、アグリコン類を含む夾雑物を除去した後、
同(10/1)混液で展開してβ−ロドマイシン−I及びY2
62−3を抽出した。減圧濃縮乾固し、β−ロドマイシン
−1の単一組成標品及びY262−3の部分精製標品を得
た。
Y262−3の部分精製物に関しては、分取用シリカゲル
薄層(20×20cm:PF254シリカゲル、メルク社製)を用い
て精製した。即ち薄層プレートの下端より15mmの位置に
クロロホルム/メタノール(15/1)混液に溶解した溶液
を横線状に塗布し、風乾後クロロホルム/メタノール/
ギ酸(4/1/0.1)系で展開した。Y262−3相当分画をか
き集め、クロロホルム/メタノール(7/1)混液で抽出
した。抽出後に適当量の水を添加、4N苛性ソーダーで水
層のpHを8.0に調整、振盪して、分離する下層を分取、
減圧濃縮乾固して、Y262−3の単一組成標品を得た。
次いで、各標品を適当量の0.1M酢酸緩衝液(pH3.0)
にそれぞれ溶解し、1/2量のトルエンで2回抽出洗浄し
た。水層に飽和重炭酸ソーダー水を添加してpH7.5に調
整し、クロロホルムで抽出した。各クロロホルム抽出液
を水洗し、芒硝で乾燥させたのち、濾別、少量まで減圧
濃縮し、これにヘキサンを過剰に加え沈澱させた。濾過
集積、真空乾燥して、β−ロドマイシン−I及びY262−
3の95%以上純度の粉末をそれぞれ5200mg及び110mgを
得た。
実施例1 ストレプトマイセス・スピーシス(Streptomyces s
p.)D788、DKN−1(微工研菌寄第10643号)のYS(0.3
%酵母エキス、1%可溶性デンプン、1.5%寒天、pH7.
2)斜面培養より一白金耳を採り、下記の種母培地の100
mlを分注、殺菌した500ml容三角フラスコに接種し、28
℃で3日間ロータリー振盪培養して種母を作成した。
種母培地: 可溶性デンプン 0.5W/V% グルコース 0.5 大豆粉(エ スサンミート、味の素社製) 1.0 食塩 0.1 第二リン酸カリ 0.1 硫酸マグネシウム(7含水物) 0.1 酵母エキス 0.1 水道水 pH7.4(殺菌前) 次いで下記組成の生産培地50mlを分注、殺菌した500m
l容三角フラスコに上記種母培養1mlを接種した。
生産培地: 可溶性デンプン 5.0W/V% マルトーズ 3.0 乾燥酵母 2.0 綿実粕 2.0 魚粉 1.0 酵母エキス 0.2 食塩 0.1 硫酸マグネシウム(7含水物) 0.1 炭酸カルシウム 0.2 ミネラル溶液 0.05(V/V%) 水道水 pH8.0(殺菌前) CuSO4、5H2O 2.8g FeSO4、7H2O 0.4g MuCl2、4H2O 3.2g ZuSO4、2H2O 0.8g 以上を弱塩酸水500mlに溶解したもの 28℃で3日間振盪培養(220rpm)したのち、これに基
質としてβ−ロドマイシン−I、またはY262−3のメタ
ノール溶液(5mg/ml)を、基質毎にフラスコ170本(培
養液8.5)用意し、フラスコ当り0.5ml(基質量2.5m
g)ずつ添加し、2日間培養を継続した。
変換基質毎に、培養液を回収し、遠心操作にて菌体を
分取した。これにアセトン6を加え30分間撹拌抽出し
たのち、濾過にてアセトン抽出液を得た。およそ1.5
まで減圧濃縮したのち、水道水3を加え、濃リン酸で
pHを2.0に調整し、合成吸着樹脂HP20(三菱化成社製)
カラム(径42mm×300mm)を通過吸着させた。次いでpH
2.0リン酸水2及び40%メタノール水(pH2.0)1で
順次洗浄したのち、80%メタノール水(pH2.0)1
で、100mlずつの分画溶出を行った。
薄層クロマトグラフイー[溶媒系:CHCl3−MeOH−H2O
−酢酸−濃アンモニア水(120:50:5:1:1);シリカゲル
プレート:F254(メルク社製)]で分析し、主変換成分
を含むおよそ300mlを集めた。これに水100mlを添加し、
苛性ソーダー溶液でpHを8.0としたのち、クロロホルム
で抽出し、濃縮乾涸した(265mg)。
次いで逆相用シリカゲル(ODS−シリカゲル60Å;山
村科学社製)を充填したカラム(径30mm×22mm)に全量
を吸着し、15%及び20%アセトニトリル水(pH2.0、リ
ン酸でpH調整)を200ml及び400mlで順次溶出した。主変
換生成物の純粋画分を集め(およそ250ml)、4N−苛性
ソーダーでpH8.0に調整したのち、クロロホルム200mlで
抽出した。1%酢酸水100mlで抽出転溶させ、これをト
ルエン100mlで1回抽出洗浄した。水層をpH8.0とし、再
びクロロホルム200mlで抽出し、芒硝で乾燥させたの
ち、減圧し濃縮し、過剰のn−ヘキサン及びエーテルを
添加して精製物を沈澱させた。室温で一夜真空乾燥し、
β−ロドマイシン−I基質の変換ブロスよりMC−1物質
の173mgを取得した。同様にY262−3基質の変換ブロス
よりMC−4物質の128mgを取得した。
MC−1物質の理化学的性状: (1)性状 赤橙色粉末 (2)融点 182〜186゜(分解) (3)▲[α]23 D▼ +317゜(c0.02、CHCl3) (4)マス(EIMS) m/z 557(M+) (5)紫外部及び可視部吸収スペクトル ▲λ90%MeOH max▼ nm(▲E1% 1cm▼) 205(408)、234(792)、251(444)、288(16
8)、 481(249)、497(245)、530s(130) (6)IRスペクトル(▲νKBr max▼ cm-1) 3400、2920、1625、1610、1580、1435、1400、 1280、1235、1205、1010、980 (7)1H−NMRスペクトル(CDCl3:δppm) 1.11(t、3H)、1.39(d、3H)、1.6〜(m、4
H) 2.1〜2.3(、2H)、2.21(s、6H)、3.69(b、 1H)、2.9〜4.2(、1H)、4.10(s、3H)、4.8 9(s、1H)、5.14(b、1H)、5.51(b、1H)、
7. 39(d、1H)7.78(t、1H)、8.01(d、1H) MC−4物質の理化学的性状: (1)性状 赤茶色粉末 (2)融点 140〜143゜(分解) (3)▲[α]23 D▼ +180゜(c0.02、CHCl3) (4)マス(SIMS) 542(M+H) (5)紫外部及び可視部吸収スペクトル ▲λ90%MeOH max▼ nm(▲E1% 1cm▼) 205(406)、231(788)、257(512)、290(16
0)、 435(242) (6)IRスペクトル(▲νKBr max▼ cm-1) 3400、2920、1605、1580、1450、 1280、1235、1205、1010、980 (7)1H−NMRスペクトル(CDCl3:δppm) 1.11(t、3H)、1.39(d、3H)、1.6〜(m、4
H) 2.2(b、2H)、2.21(s、6H)、2.3(m、1H)、 6.39(b、1H)、4.0〜4.2(−、1H)、4.10(s、 3H)、4.93(b、1H)、4.95(s、1H)、5.40
(b、 1H)、7.38(d、1H)、7.77(t、1H)、7.93
(s、 1H)、8.00(d、1H) 実施例2 MC−1 100mgをクロロホルム5mlに溶解し、ガラス試
験管に入れ、10cm間隔で並置した高圧水銀ランプ(理工
科学産業社製、UVL−400H−300型)で側面より光照射を
時々振盪撹拌しながら、7時間実施した。本操作によ
り、脱N−メチル化を段階的に起し、脱N−モノメチル
体(MC−2物質)及び脱N−ジメチル体(MC−3物質)
をほぼ1:1の割合で生成した。
反応液を濃縮したのち、分取用シリカゲル薄層プレー
ト(PF254、メルク社製)、15枚の下端より15mm位に横
線状に塗布しCHCl3−MeOH−水−濃アンモニア水(35:1
0:0.4:0.2)系で展開し、MC−2(Rf値、約0.35)及びM
C−3(Rf値、約0.2)に分離、分割した。各分画をかき
とり、集めて、CHCl3−MeOH(2:1)混液で抽出し、濃縮
した。
MC−2分画は上記と同一の溶媒系で再薄層クロマトグ
ラフイー、MC−3分画はCHCl3−MeOH−H2O−酢酸(35:1
0:0.4:0.2)の展開溶媒で再薄層クロマトグラフイーを
行った。それぞれにつき、主成分分画をかきとり、CHCl
3−MeOH(2:1)混液で抽出し、濃縮乾固した。濃縮残渣
に1%酢酸20mlを加えて溶解し、同量のトルエンで抽出
洗浄したのち、水層のpHを1N苛性ソーダーで8.0とし、
クロロホルム40mlで抽出した。水洗、芒硝で乾燥したの
ち、小量まで減圧濃縮し、これに過剰のn−ヘキサンを
添加して、沈澱させ、濾過集積真空乾燥して、MC−2及
びMC−3の精製粉末21.2mg及び27.1mgを得た。
MC−2物質の理化学的性状: (1)性状 赤橙色粉末 (2)融点 150〜153℃(分解) (3)▲[α]23 D▼ +247゜(c0.02、CHCl3) (4)マス(EIMS) 543(M+) (5)紫外部及び可視部吸収スペクトル ▲λ90%MeOH max▼ nm(▲E1% 1cm▼) 205(385)、233(777)、251(437)、288(16
3)、 480(244)、496(242)、529s(128) (6)IRスペクトル(▲νKBr max▼ cm-1) 3400、2920、1610、1580、1440、1400、 1280、1235、1205、1015、985 (7)1H−NMRスペクトル[CDCl3−CD3OD (10:1):δppm] 1.10(t、3H)、1.34(d、3H)、1.6〜(m、4
H) 2.20(b、2H)、2.32(s、3H)、2.68(m、1
H)、 3.63(b、1H)、4.09(s、3H)、4.1(−、1
H)、 4.86(s、1H)、5.14(b、1H)、5.47(b、1
H)、 7.40(dd、1H)、7.78(t、1H)、7.99(dd、1H) MC−3物質の理化学的性状: (1)性状 赤橙色粉末 (2)融点 162〜165℃(分解) (3)▲[α]23 D▼ +205゜(c0.02、CHCl3) (4)マス(EIMS) m/z 529(M+) (5)紫外部及び可視部吸収スペクトル ▲λ90%MeOH max▼ nm(▲E1% 1cm▼) 205(350)、233(721)、251(401)、288(15
1)、 481(225)、496(223)、530s(119) (6)IRスペクトル(▲νKBr max▼ cm-1) 3400、2920、1610、1580、1440、1400、 1280、1235、1210、1005、980 (7)1H−NMRスペクトル[CDCl3−CD3OD (10:1):δppm] 1.10(t、3H)、1.33(d,3H)、1.6〜(m、4H) 2.20(b、2H)、2.98(m、1H)、3.48(b、1
H)、 4.0〜4.3(−、1H)、4.09(s、3H)、4.87 (s、1H)、5.14(b、1H)、5.47(b、1H)、 7.39(d、1H)、7.77(t、1H)、7.99(d、1H) 実施例3 MC−4 100mgをクロロホルム−メタノール(19:1)
混液10mlに溶解し、100ml容三角フラスコに注入し、約1
0cm間隔で並置した高圧水銀ランプ(前出)で側面より
1.5時間光照射を行った。本操作により、脱N−モノメ
チル体(MC−5物質)及び脱N−ジメチル体(MC−6物
質)がほぼ3:1の割合で生成した。
反応液を濃縮したのち、クロロホルム−メタノール
(15:1)に溶解し、分取用シリカゲル薄層プレート(PF
254、メルク社製)20枚の下端15mm位に横直線状に塗布
し、風乾したのち、CECl3−MeOH−水−濃アンモニア水
(35:10:0.4:0.2)で展開した。MC−5及びMC−6分画
部をそれぞれかきとり、CHCl3−MeOH(2:1)混液で抽出
し、濃縮したのち、前者は上記と同一の溶媒系で、後者
はCECl3−MeOH−水−酢酸(35:10:0.4:0.2)系で再薄層
クロマトグラフイーを実施した。
それぞれ精製画分をCHCl3−MeOH(2:1)混液で抽出
し、濃縮乾固したのち、実施例2で行ったと同様の方法
で、1%酢酸に溶解、トルエン洗浄、クロロホルム抽出
し、濃縮、n−ヘキサン添加による沈澱で、MC−5及び
MC−6の精製標品をそれぞれ36.5mg及び12.4mg取得し
た。
MC−5物質の理化学的性状: (1)性状 赤茶色粉末 (2)融点 137〜140℃(分解) (3)▲[α]23 D▼ +125゜(c0.02、CHCl3) (4)マス(SIMS) 528(M+H) (5)紫外部及び可視部吸収スペクトル ▲λ90%MeOH max▼ nm(▲E1% 1cm▼) 205(392)、231(740)、257(502)、290(15
7)、 435(235) (6)IRスペクトル(▲νKBr max▼ cm-1) 3400、2920、1625、1605、1550、1450、 1280、1235、1205、1025、1010、980 (7)1H−NMRスペクトル[CDCl3−CD3OD (10:1):δppm] 1.10(t、3H)、1.35(d,3H)、1.6〜(m、4H) 2.20(b、2H)、2.33(s、3H)、2.7(m、1
H)、 3.62(b、1H)、4.1(−、1H)、4.09(s、3
H)、 4.92(s、1H)、4.93(b、1H)、5.35(b、1
H)、 7.32(d、1H)、7.77(t、1H)、7.92(s、1
H)、 7.99(d、1H) MC−6物質の理化学的性状: (1)性状 赤茶色粉末 (2)融点 142〜146℃(分解) (3)▲[α]23 D▼ +80゜(c0.02、CHCl3) (4)マス(SIMS) 514(M+H) (5)紫外部及び可視部吸収スペクトル ▲λ90%MeOH max▼ nm(▲E1% 1cm▼) 205(385)、231(721)、257(491)、290(15
5)、 435(230) (6)IRスペクトル(▲νKBr max▼ cm-1) 3400、2920、1620、1600、1580、1450、 1280、1235、1210、1030、1010、980 (7)1H−NMRスペクトル[CDCl3−CD3OD (10:1):δppm] 1.10(t、3H)、1.34(d、3H)、1.6〜(m、4
H) 2.20(b、2H)、3.0(m、1H)、3.51(b、1
H)、 4.10(−、1H)、4.09(s、3H)、4.91(s、1
H)、 4.93(b、1H)、5.31(b、1H)、7.39(d、1
H)、 7.77(t、1H)、7.92(s、1H)、7.99(d、1H)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 式中、Rは水素原子又は水酸基を表わし、Xはロドサミ
    ニル基、N−メチルダウノサミニル基又はダウノサミニ
    ル基を表わす、 で示される化合物及びその薬理学的に許容しうる酸付加
    塩。
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