JPH05228570A - 軸受輪体の冷間ローリング成形方法 - Google Patents

軸受輪体の冷間ローリング成形方法

Info

Publication number
JPH05228570A
JPH05228570A JP3725692A JP3725692A JPH05228570A JP H05228570 A JPH05228570 A JP H05228570A JP 3725692 A JP3725692 A JP 3725692A JP 3725692 A JP3725692 A JP 3725692A JP H05228570 A JPH05228570 A JP H05228570A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diameter
mandrel
ring
forming
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3725692A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Kikkai
高 吉開
Hiroyuki Sawai
弘幸 沢井
Toshio Nakamura
敏男 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP3725692A priority Critical patent/JPH05228570A/ja
Publication of JPH05228570A publication Critical patent/JPH05228570A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷間ローリングにより、軸受輪体の圧延拡
径、ミゾ成形等を初期加工から仕上げ加工まで一貫して
能率的に行なう冷間ローリング成形方法を提供する。 【構成】 成形ロール径φD1、マンドレル径φD2、リ
ング素材の外径φD0と内径φDiによって数式1で定義
される寸法関係比βを1.0以下とし、 【数1】 リング素材の内径φDiとローリング後のリング内径φ
DiFとの比である拡径率γ(=φDiF/φDi)を1.
3〜1.8として成形圧にてマンドレルに作用する曲げ
応力を減殺する曲げモーメントを作用させて加工するこ
とを特徴とする軸受輪体の冷間ローリング成形方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軸受輪体の外輪のように
内径側にミゾ形状を有するリングの冷間ローリング成形
方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受の構成輪体の加工製作方法と
して熱間鍛造によって作られた円筒状のワークの冷間ロ
ーリング加工は図10に示すように、成形する輪体4の
内側形状を外周面に有するマンドレル2と成形する輪体
4の外側形状を外周面に有する成形ロール1とによっ
て、円筒環状ワーク3(リング素材)を圧延して拡径加
工する装置によってなされていた。この装置以前は、ボ
ールミゾ5の加工は施削によってなされていたが、この
装置による冷間ローリングによって、施削加工の場合の
ミゾ形状と類似のミゾ形状まで成形できるようになって
きた。
【0003】しかしながら、従来の方法で冷間ローリン
グ加工を行うと、加工精度上問題があるばかりでなく、
図11に示すように、内径側のミゾ5部と内径面との交
叉する部分すなわちミゾ肩部6に微小なクラック7が発
生する。それ故に、軸受の輪体として必要な断面形状に
まで圧延することができず、その形状に類似した形状に
圧延して、その後、別途、施削によって仕上げる一貫性
のない加工法がベストとされていた。このように、一般
に、冷間ローリング成形方法は仕上工程まで一貫して使
用できず、別工程で仕上げ加工を行わざるを得ず、その
効率的な加工システムの確立が望まれている。この対策
として、マンドレル強度を低下させず、内径面ミゾ肩部
にクラックが生じることを抑止する試みを本願出願人が
提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなク
ラック抑制の試みは、対象となる軸受内径寸法が大きい
場合には適用し易いが、該軸受内径寸法が小さくなる
と、マンドレル強度の問題が依然として生じる。
【0005】本発明は、この様な軸受内径寸法が小さい
場合にも適用できるようにするため、更に鋭意研究と実
験を繰り返したところ、先ず、成形ロール径φD1、マ
ンドレル径φD2、リング素材の外径φD0と内径φDi
によって所定の式で定義される寸法関係比βが前記ミゾ
肩部6に発生するクラック7と相関するという新知見を
得、次に、リング素材の内径φDiとローリング後のリ
ング内径φDiFとの比である拡径率γを所定値とすれ
ば、マンドレルの転写が良好で、かつ、前記クラック7
の発生がないという新知見を得、更に、その拡径率γを
所定値とし成形圧にてマンドレル2に作用する曲げ応力
を減殺する曲げモーメントを作用させれば冷間ローリン
グにより軸受輪体4の圧延拡径、ミゾ成形等を初期加工
から仕上げ加工まで一貫して行うことができるという新
知見を得、更にまた、ワークの外周面を支持する成形ロ
ール曲率の中心がワークの曲率中心側にあれば、マンド
レルの大きな食い込み(転写)量を確保できるという新
知見を得、これらの新知見に基づいて完成されたもの
で、冷間ローリングにより軸受輪体4の圧延拡径、ミゾ
成形等を初期加工から仕上げ加工まで一貫して能率的に
行うことができると共に、マンドレル径を相対的に細く
し、ワーク内径部でのマンドレルの食い込みを増大させ
て、内部形状を成形し易くし、ミゾ肩部のクラックの発
生を抑制した冷間ローリング成形方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、冷間リングローリングにおいて、成形ロ
ールとマンドレルによってリング素材を拡径し軸受輪体
を成形する方法であって、成形ロール径φD1、マンド
レル径φD2とリング素材の外径φD0と内径φDiによ
って数式1で定義される寸法関係比βを1.0以下と
し、
【0007】
【数1】 リング素材の内径φDiとローリング後のリング内径φ
DiFとの比である拡径率γ(=φDiF/φDi)を1.
3〜1.8として成形圧にてマンドレルに作用する曲げ
応力を減殺する曲げモーメントを作用させて加工するこ
とを特徴とする。
【0008】
【作用】上記構成によれば、拡径する際に内径側が圧縮
状態でリング素材を拡径し、外径側の圧下量Δh1によ
る圧下体積が内径側の圧下量Δh2による圧下体積より
も小さく、輪体の内側は外側に引きづられて拡径しない
ため内径ミゾ肩部にクラックが発生せず、また、冷間ロ
ーリングにより成形圧による曲げモーメントを減殺する
モーメントがトラニオンを中心に加圧シリンダによって
発生することで、マンドレルが折損することなく軸受輪
体の圧延拡径、ミゾ成形等を初期加工から仕上げ加工ま
で一貫して行うことができる。
【0009】
【実施例】
[実施例1]以下、本発明の第1の実施例を図面を参照
しながら詳細に説明する。なお、従来の冷間ローリング
成形方法に使用した冷間ローリング装置と共通する構成
部分には同一符号を使用するものとする。
【0010】図4は、冷間ローリングにおいて、成形ロ
ール1とマンドレル2によってリング素材3を拡径し軸
受輪体4を成形する方法の第1実施例説明図である。
【0011】先ずこの第1実施例における本発明の成形
方法では、図中、成形ロール径φD1、マンドレル径φ
2とリング素材3の外径φD0と内径φDiによって数
式1で定義される寸法関係比βを1.0以下とする。
【0012】
【数1】 このようにβ≦1とするのは、下記の理由からである。
【0013】図12に示すように、リング素材3の内周
側と外周側とでは、マンドレル径φD2と成形ロール径
φD1とが一致しないことにより、圧延状態に差が生じ
る。リング素材3の肉厚は左側のロール入口でHである
が、ロールを通過後にH′と薄くなり該リング素材3の
径は拡径されて軸受輪体4へと加工されていく。
【0014】このように、一対の成形ロール1とマンド
レル2によって軸受輪体4を圧延加工する場合、リング
素材3の内側にマンドレル2を入れるのでマンドレル径
φD2が成形ロール径φD1より小さい。そのため、成形
ロール1はリング素材3の外径φD0をΔh1だけ圧下
し、マンドレル2は該リング素材3の内径φDiをΔh2
だけ圧下するものとすれば、圧延状態に差が出てΔh1
とΔh2とが異なる。
【0015】リング素材3はロール間を通過するときに
断面が塑性変形状態となって変形していくので、すべり
線場解法によって断面が塑性状態となる可容速度場を仮
定すると、Δh1とΔh2はリング寸法およびロール径の
函数として数式2、数式3のように示されることが知ら
れている(J.mech. sci. Vol.15, 1973, P.P.873〜89
3)。
【0016】
【数2】
【0017】
【数3】 但し、l1とl2は図12のように成形ロール1とワーク
であるリング素材3の外周との、及び該リング素材3の
内周とマンドレル2との、夫々の接触する長さを示す。
ここで、Δh1とΔh2の比を考え、β値を下記の数式4
で定義する。
【0018】
【数4】 数式4の意味するところは、ロールによって圧下される
量の内外比は、ロール径とワーク寸法に依存しているこ
とを示している。
【0019】さて、輪体(リング)であるが故に、リン
グの内外径で圧下された体積はリングの径を増大させる
結果となり、冷間ローリングによりいわゆる拡径が行わ
れる。
【0020】その際、β>1で冷間ローリングの拡径加
工を行うと内径ミゾ肩部6にクラック7が発生する(図
11)。
【0021】これは、内径側が拡径する際に引張塑性ひ
ずみ、すなわち、外径側の圧下量Δh1による圧下体積
が内径側の圧下量Δh2による圧下体積よりも大きく、
輪体の内側は外側に引きづられて拡径していくため、ク
ラック7の発生となる。
【0022】一方、β≦1でその拡径加工を行うと、内
径ミゾ肩部6にクラック7の発生が認められない。
【0023】これは内径側が圧縮の状態で拡径するため
である。すなわち、軸受の素材として知られている軸受
鋼では引張伸びを与えると20%程度の低い伸びで破断
するが、圧縮状態では破断しにくいことによる。
【0024】従って、数式4即ち数式1で定義するβを
1.0以下になるように成形ロール径φD1、マンドレ
ル径φD2、リング寸法(リング素材の外径φD0と内径
φDi)を選ぶことにより、軸受輪体4にクラック7を
発生させることなく拡径加工することができる。
【0025】次に、この第1実施例における本発明の成
形方法では、図4に示すように、リング素材3の内径φ
Diとローリング後のリング内径φDiFとの比である拡
径率γ(=φDiF/φDi)を1.3〜1.8とする。
【0026】軸受輪体4ではボールミゾ5を成形する必
要があるが、該軸受輪体4が外輪である場合、成形すべ
きリングの内側形状を外周面に形成したマンドレル2に
よって成形する。すなわち、図4において、マンドレル
2の外周面の形状をリングの内側面に転写することでボ
ールミゾ5が成形されることになるが、その転写は拡径
率γの範囲毎の実験で下記の結果が得られた。
【0027】γ<1.3…マンドレル2の外周面形状が
完全に転写されない。
【0028】1.3≦γ≦1.8…ボールミゾ5の形状
によって差異があるものの、軸受輪体4でこの範囲であ
れば転写される。
【0029】γ>1.8…γが1.8までで転写が完了
するので、1.8以上でも転写される点では同じである
が、さらに、加工をせねばならぬことや、あまり拡径率
が大きくなると、再びクラックの心配が出てくる。
【0030】従って、拡径率γは1.3〜1.8が最適
である。
【0031】さらに、第1実施例における本発明の成形
方法では、図1に示すように、成形圧にてマンドレル2
に作用する曲げ応力を減殺する曲げモーメント(F
3)を作用させる。
【0032】従来マンドレル2は強度の面からリング素
材3の内径に支障なく挿入できる範囲で、できる限り径
を大きく選択することが常識である。
【0033】前述のβを1.0以下にするにはマンドレ
ル2の径を小さくすることが最も効果的であるが、反
面、マンドレル2の強度の問題が残る。
【0034】このような問題に対処すべく、成形圧によ
る曲げ応力を減殺するような機能を図1に示す構成によ
り、発揮させることができる。
【0035】すなわち、図においては、成形ロール1と
マンドレル2によって輪体ワークたるリンク素材3をロ
ーリングするに当って、該マンドレル2は両端を軸受箱
8によって回転可能に支持されている。該軸受箱8は、
図2に示すように、上下のトラニオン9によって支持ベ
ース11に支持され、該軸受箱8の各側端は加圧シリン
ダ10によって押されることにより、前記トラニオン9
を中心に回転して、マンドレル2に成形圧によって発生
するモーメントPl1と逆方向にモーメントFl3をかけ
る構造となっている。12は支持ロールである。
【0036】このような構造によれば、図3のモーメン
ト図に示すように、成形圧による曲げモーメントPl1
を減殺するモーメントFl3が作用して、マンドレル応
力は小さくなり、従って、径を小さくしたマンドレル2
の折損が防止できる。
【0037】(第1実施例に対応する実験例)図5に示
すように、 リング素材寸法φD0×φDi×d=φ71.4×φ51.5×25.1 なるリング素材3に対し、マンドレル径φ35のマンド
レル2と成形ロール径φ200の成形ロール1を使用し
て、拡径率γ=1.65、寸法関係比β=0.92とい
う条件で軸受輪体寸法φD0F×φDiF×d=φ101×
φ85×25.1の軸受輪体4を加工した。
【0038】加工された軸受輪体4は、ボールミゾ肩部
6にクラック7の発生はなく、しかも、ボールミゾ5の
形状は完全に転写され、従って、冷間ローリング後の別
工程によって仕上げる必要もなく、冷間ローリングのみ
によって、初期加工から仕上げ加工まで一貫して効率的
に提供された。
【0039】以上述べたように、本発明の第1実施例に
よれば、成形ロール径φD1、マンドレル径φD2および
ワーク(リング)φDo,φDiの径によって定義される
β(寸法関係比)が1.0を越えないので、圧延中リン
グ内径にクラック7が発生することなく成形が進展し、
かつ、リング素材径内径を1.3〜1.8倍拡径して、
軸受輪体4として要求される寸法に冷間ローリングする
ことができるので後加工で仕上げをする必要もない。
【0040】また、マンドレル2には、成形圧による曲
げ応力を減殺するモーメントを作用させているので、該
マンドレルが折損することもない。
【0041】従って、軸受輪体を経済的に加工できる。
【0042】[実施例2]前述したβについて更に検討
する。図10に示すような通常の冷間ローリングでは、
マンドレル径を相対的に小さくすることによってβを小
さくする。これは、ロール形状をワークに転写するため
に必要なワークの拡径率をある程度大きくする必要があ
るため、素材リング寸法での自由度は少ないことと、成
形ロール径を大きくするとβを小さくできるが、その効
果は少なく、又、成形ロールコストが高くなるので実用
的でないためである。しかし、マンドレル径を細くして
βを小さくする方法だと、対象とする軸受寸法が小さく
なると、マンドレルの強度の問題が生じ、適用に限界が
あり、前述した第1実施例より、更に、進展した冷間ロ
ーリング加工方法が望まれる。
【0043】そこで、このような要望に応え、以下に述
べる本発明の第2の実施例が開発された。図6ないし図
9は本発明の第2実施例を示す。
【0044】図6は同上第2実施例に係る本発明の冷間
ローリング装置の圧延終了時における要部の破断平面
図、図7は図6VII−VII断面図であり、ここで、13は
一体型ハウジング、14はロールである。前記ロールと
一体ハウジング13とは共に焼入れされて十分な硬度を
持っていて、前記一体ハウジング13がロール14によ
って回転駆動され、前記一体ハウジング13とマンドレ
ル2との間で、ワーク4を圧延加工するようになってい
る。前述のように前記ロール14と一体ハウジング13
とが十分な硬度を持っていることから、ワーク4の加工
力によって、その接触部において塑性変形せず、ワーク
4のみが、一体ハウジング13とマンドレル2との間で
圧延加工される。
【0045】この時のマンドレル2、一体型ハウジング
13のワーク4への食い込みの様子を図8に示す。
【0046】図8において、外径側の食い込み量をΔh
1、内径側の食い込み量をΔh2、一体型ハウジング13
の内径をD1′とすると、(2)、(3)式で成形ロー
ル径D1をD1=−D1′とすればよいから、次式が成り
立つ:
【0047】
【数5】 これによりΔh1とΔh2との比β値(=Δh1/Δh2
は数式(4)と同様にして数式(7)のように求まる。
【0048】
【数6】 数式(4)のβと比較して数式(7)では、同一ロール
径、同一リング寸法にした時、βをより小さくできるこ
とが下記の理由によって理解できる。
【0049】即ち、Do,Diはリング(素材)の外径、
内径、D2はマンドレル径で第1、第2の各実施例では
同一視でき、相違するのは成形ロール径D1、一体型ハ
ウジング内径D1′のみであり、仮に他の部分を一定部
分とみなし定数K,k1,C0,C2とし、D1,D1′の
β4,β7への影響をみると、
【0050】
【数7】 1=Di−D1,C0=D0,C2=D2,従って、(4)
式は
【0051】
【数8】 (7)式は
【0052】
【数9】 と簡略化できる。ここで、|D1|=|D1′|だから、
β7の分子が小さくなるので、β4>β7となり、従っ
て、第2実施例のβが第1実施例のβより小さい。
【0053】このように、ワーク外周の圧延に一体型ハ
ウジング13を用いることによって、さらに、βを1以
下にでき、クラック7の発生を抑制できる。
【0054】[第2の実施例に対応する実験例]以下
に、成形ロールを利用した従来の冷間ローリング成形例
(対称例)を第2の実施例である本発明の冷間ローリン
グ成形例(供試例)と対比する実験を行い、下表の結果
を得た。
【0055】
【表1】 なお、φDoはリング素材外径、φDiは同内径、φDoF
は軸受輪体外径、φDiFは同内径、φD1は成形ロール
径、φD2はマンドレル径、φD1′は一体型ハウジング
内径である。
【0056】このように、一体型ハウジングを利用して
冷間ローリングを行なうと、マンドレル径φD2を細く
することなしにβを1以下にして、輪内径ミゾ肩部のク
ラックの発生を抑制することができ、そのβを小さくで
きる度合はマンドレルロールを利用するもの(対称例
2)よりも著しい。
【0057】そして、この第2の実施例は、ハウジング
が一体型なるが故に、ワーク外周がハウジング全面に当
る前に、加工を終了し、これにより、ワーク外周にチャ
ンファーを精度よく成形できる。
【0058】また、前記ハウジング内周にワークを張り
つかせないため、冷間ローリング時のワーク内部の材料
流動に対して、円周方向の拘束を行わないので、加工力
が不要に高くなることがなく、良好なマンドレル寿命が
達成出来る。又、このように、ハウジングを利用し、ワ
ーク内径側をより圧縮の状態にしてローリングすること
は、ワーク内径側の形状を早期に成形することの助けと
もなり、軸受外輪のシール溝を容易に成形することが可
能である。
【0059】図9は、本発明に係る冷間ローリング法の
第2の実施例に使用する変形冷間ローリング装置の横断
平面図である。この冷間ローリング装置は一体型ハウジ
ング13を使用し、又、前述した図1に示したと同様の
マンドレル強化装置(8,9,10)により、細い径の
マンドレル2を組み合せて利用できるよう構成したもの
である。
【0060】すなわち、図9において、一体型ハウジン
グ13とマンドレル2によって輪体ワークたるリング素
材4をローリングするに当って、該マンドレル2は両端
を軸受箱8によって回転可能に支持されている。該軸受
箱8は、上下のトラニオン9によって支持ベース11に
支持され(図2参照)、該軸受箱8の各側端は加圧シリ
ンダ10によって押されることにより、前記トラニオン
9を中心に回転して、マンドレル2に成形圧によって発
生するモーメントPl1と逆方向にモーメントFl3をか
ける構造となっている。
【0061】このような構造において、リング素材4の
成形圧による曲げ応力を減殺するようにしてマンドレル
2に生じる応力を小さくするものであり、これによっ
て、マンドレル2の強度が問題となる更に小さな寸法の
軸受に対しても、βを1以下にして、クラックの生じな
い冷間ローリング加工が出来る。そして、径の小さいマ
ンドレル2の折損が防止できる。
【0062】以上述べた、本発明の第2実施例によれ
ば、一体型ハウジング13を利用するため、ハウジング
内径φD1′、マンドレル径φD2、およびワーク(リン
グ)の径φDo、φDiによって定義される寸法関係比β
が、マンドレル径φD2を細くせずに1以下にできるの
で、圧延中、リング内径に、クラック7が発生すること
なく成形が進展し、かつ、リング素材内径を1.3〜
1.8倍拡径して、軸受輪体4として要求される寸法に
冷間ローリングすることができるので、後加工で仕上げ
をする必要もない。
【0063】従って、マンドレル強度を低下させず、内
径面ミゾ肩部にクラックを生じさせることを抑止した冷
間ローリング加工方法が提供できるに至った。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、成
形ロール径(一体型ハウジング内径を含む)、マンドレ
ル径およびワーク(リング)の径によって定義されるβ
(寸法関係比)が1.0を越えないので、圧延中リング
内径にクラックが発生することなく成形が進展し、か
つ、リング素材内径を1.3〜1.8倍拡径して、軸受
輪体として要求される寸法に冷間ローリングすることが
できるので後加工で仕上げをする必要もない。
【0065】また、マンドレルには、成形圧による曲げ
応力を減殺するモーメントを作用させているので、該マ
ンドレルが折損することもない。
【0066】従って、軸受輪体を形状の大小を問わず経
済的に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷間ローリング法の第1の実施例
に使用する冷間ローリング装置の横断平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】(a)は同上ローリング装置のモーメント分布
図の根拠となるマンドレルに対する作用力の等価モデル
である。(b)は同上ローリング装置の成形圧による曲
げモーメント図である。(c)は同上ローリング装置の
加圧シリンダによる応力減殺モーメント図である。
(d)は同上ローリング装置の合成曲げモーメント図で
ある。
【図4】(a)は同上ローリング装置の圧延開始時にお
けるロールとワークの寸法関係図である。(b)は同上
ローリング装置の圧延終了時におけるロールとワークの
寸法関係図である。
【図5】本発明に係る冷間ローリング成形方法の第1実
施例の効果確認に供したリング素材、軸受輪体、成形ロ
ール、マンドレルの寸法関係を示す説明図である。
【図6】本発明に係る冷間ローリング法の第2の実施例
に使用する冷間ローリング装置の要部の横断平面図であ
る。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】同上第2実施例の冷間ローリング装置により冷
間ローリングされていく圧延部の拡大図である。
【図9】同上第2実施例に使用する冷間ローリング装置
の横断平面図である。
【図10】(a)は従来の冷間ローリング成形方法に使
用されるローリング装置の圧延開始時における要部の一
部破断平面図である。(b)は同上ローリング装置の圧
延終了時における要部の一部破断平面図である。(c)
は図6bのXc−Xc線断面図である。
【図11】同上従来のローリング装置により成形された
軸受輪体の冷間ローリングによるクラックを示す平面拡
大図である。
【図12】同上従来のローリング装置により冷間ローリ
ングされていく圧延部の拡大図である。
【符号の説明】
1 成形ロール 2 マンドレル 3 リング素材 4 軸受輪体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【数1】 このようにβ≦1とするのは、下記の理由からである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【数2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】
【数3】 但し、l1とl2は図12のように成形ロール1とワーク
であるリング素材3の外周との、及び該リング素材3の
内周とマンドレル2との、夫々の接触する長さを示す。
ここで、Δh1とΔh2の比を考え、β値を下記の数式4
で定義する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】
【数4】 数式4の意味するところは、ロールによって圧下される
量の内外比は、ロール径とワーク寸法に依存しているこ
とを示している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】図8において、外径側の食い込み量をΔh
1、内径側の食い込み量をΔh2、一体型ハウジング13
の内径をD1′とすると、数式2、数式3で成形ロール
径D1をD1=−D1′とすればよいから、次式が成り立
つ:
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】
【数5】 これによりΔh1とΔh2との比β値(=Δh1/Δh2
は数式と同様にして数式のように求まる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【数6】 数式のβと比較して数式では、同一ロール径、同一
リング寸法にした時、βをより小さくできることが下記
の理由によって理解できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
【数7】 1=Di−2 ,C0=D0,C2=D2,従って、数式4
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】
【数8】 数式7
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】
【数9】 と簡略化できる。ここで、|D1|=|D1′|だから、
β7の分子が小さくなるので、β4>β7となり、従っ
て、第2実施例のβが第1実施例のβより小さい。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】同上ローリング装置のマンドレルに対する作用
力の等価モデル及び各種モーメント概念を使用した作用
の説明図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷間リングローリングにおいて、成形ロ
    ールとマンドレルによってリング素材を拡径し軸受輪体
    を成形する方法であって、成形ロール径φD1、マンド
    レル径φD2とリング素材の外径φD0と内径φDiによ
    って数式1で定義される寸法関係比βを1.0以下と
    し、 【数1】 リング素材の内径φDiとローリング後のリング内径φ
    DiFとの比である拡径率γ(=φDiF/φDi)を1.
    3〜1.8として成形圧にてマンドレルに作用する曲げ
    応力を減殺する曲げモーメントを作用させて加工するこ
    とを特徴とする軸受輪体の冷間ローリング成形方法。
JP3725692A 1991-09-05 1992-01-28 軸受輪体の冷間ローリング成形方法 Pending JPH05228570A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3725692A JPH05228570A (ja) 1991-09-05 1992-01-28 軸受輪体の冷間ローリング成形方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-254674 1991-09-05
JP25467491 1991-09-05
JP3725692A JPH05228570A (ja) 1991-09-05 1992-01-28 軸受輪体の冷間ローリング成形方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05228570A true JPH05228570A (ja) 1993-09-07

Family

ID=26376385

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3725692A Pending JPH05228570A (ja) 1991-09-05 1992-01-28 軸受輪体の冷間ローリング成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05228570A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018027572A (ja) * 2017-11-14 2018-02-22 日本精工株式会社 リング状部材の製造装置
JP2018027573A (ja) * 2017-11-14 2018-02-22 日本精工株式会社 リング状部材の製造方法及び製造装置、ラジアル転がり軸受の製造方法及び製造装置、並びに、回転機器の製造方法
JP2018075640A (ja) * 2017-12-15 2018-05-17 日本精工株式会社 リング状部材の製造装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018027572A (ja) * 2017-11-14 2018-02-22 日本精工株式会社 リング状部材の製造装置
JP2018027573A (ja) * 2017-11-14 2018-02-22 日本精工株式会社 リング状部材の製造方法及び製造装置、ラジアル転がり軸受の製造方法及び製造装置、並びに、回転機器の製造方法
JP2018075640A (ja) * 2017-12-15 2018-05-17 日本精工株式会社 リング状部材の製造装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8074482B2 (en) Plug for cold drawing and method for manufacturing of metal pipe
JP2008517766A (ja) 継目無熱間仕上げ鋼管を製造するための方法およびこの方法を実施するための装置
WO2005075121A1 (ja) 冷間仕上げ継目無鋼管
US3434322A (en) Method and apparatus for rolling bearing races
JPWO2006025369A1 (ja) ダイス、段付き金属管の製造方法及び段付き金属管
JPH09504478A (ja) 冷間変形可能な金属から中空の段つきの軸を内部高圧変形する方法
US3063142A (en) Method of making tubing structures
JPH05228570A (ja) 軸受輪体の冷間ローリング成形方法
US3823588A (en) Method and system for straightening large diameter shafts by selective cold rolling
JPH01245914A (ja) 外径真円度の優れた金属管の製造方法
RU2461436C1 (ru) Способ изготовления тонкостенных корпусов переменного сечения
JP2707519B2 (ja) 継目無鋼管圧延用マンドレルバーの表面処理方法
JPH06155287A (ja) 高疲労強度アルミニウム合金コンロッドの製造方法
JPH08243680A (ja) 管のアプセット加工方法
JP3004875B2 (ja) エロンゲータ圧延方法
RU2150342C1 (ru) Способ холодной пилигримовой прокатки труб
JP3920581B2 (ja) 厚肉細径管の製造方法
SU1519804A1 (ru) Способ изготовлени прокатного валка
RU2104113C1 (ru) Способ деформирования концевого участка сварной трубы
JPH08117856A (ja) 鋼管の管端内径矯正方法
JPH06269842A (ja) コイル状鋼管の伸管方法
RU1787625C (ru) Способ раздачи конца трубы
JP2003191011A (ja) 金属管の製造方法
JP3697287B2 (ja) 軸状部材の加工方法
JP2975964B2 (ja) 紡機用リングの製造方法