JPH05228332A - 交差点の環境浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両の交通量が過密で、多くの歩行者が通行す
る交差点における環境浄化を行うために、その区域にお
ける空気汚染の状況を検出して空気汚染値を低減し、歩
行者に新鮮な空気を供給するように環境制御する環境浄
化装置を提供する。 【構成】交差点１又は交差点１付近にグレーチング構造
の空気吸引口１１を少なくとも１つ以上設け、その吸引
口１１を介して、汚染空気を取り込む空気吸引機構２０
と、吸引口１１に接続された空気搬送路２５を通って、
汚染空気を新鮮空気に変換するフィルタ機構３１や、そ
の新鮮空気を歩行者が通る横断歩道８及び交差点１付近
上に送風する新鮮空気供給装置３０を備え、信号機３の
動作に同期して新鮮空気を交差点１を横断する歩行者へ
送風する制御方法と、それらを動作させる制御装置及び
その環境状況を時々刻々と情報表示する大形ディスプレ
イ装置５を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、人間が介在する交差点
での環境を良くするために、その区域における空気汚染
の状況を検出して空気汚染値を低減し、交差点の歩行者
に新鮮な空気を供給するように制御する交差点の環境浄
化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車やトラック等の交通量が多く、か
つ歩行者が頻繁に往来する交差点では、自動車等の排気
ガス（ＣＯ₂，ＣＯ，ＮＯｘ等）による環境悪化が問題
になってきている。特に、交差点等で自動車が渋滞した
場合や信号機の切り替わりに伴って多くのドライバーは
アクセルを踏んで吹かすため、多くの不燃焼ガスが出る
傾向にある。さらに、交差点を多くの人が横断する場合
では環境悪化による健康面での悪影響を及ぼし兼ねな
い。

【０００３】そこで、行政指導により自動車から出る排
気ガスを規制して対処することが行なわれている。しか
し、都市の過密化した場所や風が吹かない状況では、交
差点付近での環境が著しく悪化する傾向にある。このよ
うに、交通量の多い交差点での環境が悪化しないよう
に、交差点付近でのＣＯ₂やＮＯｘなどによる環境を表
示装置に表示し、時々刻々とその情報をドライバーや歩
行者に知らせる環境表示装置等が設置されている。この
種の装置は例えば、特開昭６２−２５４８２３号公報に
示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は歩行者
が横断歩道又は架橋を通り、かつ自動車等の交通量の多
い交差点では、交差点付近での環境を計測し、排気ガス
の状況を表示板に時々刻々と表示しており、もし許容値
以上であれば警告を発する。又、排気ガスを含む環境浄
化に対しては交通量を減らすように規制すること等を実
施しているが、交差点やその付近を通る歩行者に直接及
ぼす弊害についての配慮がなされておらず、過密化する
交通公害を低減することができないといった問題点があ
った。

【０００５】本発明の目的は、交差点及び交差点付近で
の地域環境を浄化し、交差点を横断する歩行者が安心し
て空気汚染の少ない場所を歩けるように、信号機の動作
に同期して汚染空気を吸引し新鮮な空気に変換して供給
すると共に、歩行者が介在する場所に新鮮な空気を送風
する環境浄化装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、交差点、又は交差点付近に設置したグレーチング構
造の吸引口を少なくとも１箇所以上設け、その吸引口と
接続された汚染空気搬送路を介して、汚染空気を新鮮空
気に変換するフィルタ機構やその新鮮空気を歩行者が通
行する交差点の横断歩道及び交差点付近上に送風し、信
号機の動作に同期して、その新鮮空気を歩行者へ送風す
る環境制御方法と、それらを動作させる制御装置及びそ
の環境状況を時々刻々と情報表示する大形ディスプレイ
装置を備えたものである。

【０００７】

【作用】空気汚染検出器により検出された信号を環境情
報として、大形ディスプレイ装置に表示すると共に、そ
の検出値が許容値を越えたならば、送風機を作動させて
吸引口から交差点上の排気ガス等の汚染空気を取り込
み、空気搬送路を通ってフィルタ機構へ送り、フィルタ
機構を介して新鮮な空気に変換し、新鮮な空気を新鮮空
気供給装置から信号機の切り替え動作に同期させ、進行
方向に対する横断歩道上又は交差点付近の歩行者に向か
って供給させることにより、環境浄化が行われ、歩行者
が安心して健康を損なうことなく歩行することができ
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１〜図５に示
す。図１は本発明による交差点の環境浄化方法及びその
装置の全体構成図、図２は吸引口から新鮮空気供給装置
までの構成を示す図である。図示したように、交差点１
は歩行者７や車両６が信号機３の点滅動作に基づいて、
横断歩道８や優先道路２上を通る場所である。この場
合、車両６は信号機３の状態により前方に進むか、又は
横断歩道８の前で止まるかの動作を行っている。同様
に、歩行者７も横断歩道８の前で同じことを行ってい
る。又、交差点１は優先道路２とそうでない一般道路９
が直交している所でもあり、車両６の交通量が多い所で
ある。優先道路２は一般道路９よりも幅が広い傾向にあ
り、車両６の通過量が多い。このため車両６のスタート
動作による排気ガスが多く出る。信号機３は交差点１の
四隅にそれぞれ１台ずつ設置されており、時差作動する
が対角方向に設置されているものどうしが同じ作動を行
っている。コントローラ４は後述する空気汚染検出器１
０の検出信号を入力し、交差点１内の環境状況を計算し
て推定し、大形ディスプレイ装置５に現状の環境情報を
表示させる信号を出力する制御装置である。大形ディス
プレイ装置５はコントローラ４からの出力信号により、
交差点１内での環境情報（天候，温度，湿度，排気ガ
ス；ＣＯ，ＣＯ₂，ＮＯｘ）を時々刻々と車両６や歩行
者７に知らせるために、優先道路２や一般道路９に沿っ
て設けられている。

【０００９】空気汚染検出器１０は交差点１内の環境情
報を検出するための検出器であり、それぞれの信号機３
の付近に取り付けられている。吸引口１１は交差点１内
中央に設けられており、アルミニュウム材で構成された
グレーチング構造の蓋で覆われている。空気吸引機構２
０は、吸引口１１に通じる空気搬送路２５内に設けてあ
り、吸引シャッタ２２の開閉により汚染空気１３の取り
込みを行っている。緊急スイッチ１２は信号機３や空気
汚染検出器１０が作動しなくなった時に使用するもので
あり、手動で空気吸引機構２０や新鮮空気供給装置３０
を動作させるものである。その新鮮空気供給装置３０は
信号機３の近傍に位置しており、空気吸引機構２０によ
り取り込まれた汚染空気１３をフィルタ機構３１を介し
て新鮮空気１４に変換し、信号機３の切り替え動作に同
期して交差点１や横断歩道８等にその新鮮空気１４を供
給するものである。

【００１０】上記コントローラ４は、空気汚染検出器１
０と温湿度検出器１５からの検出信号を入力するインタ
ーフェイス（１）４ａと、それらの検出信号を演算し判
定等を行うＣＰＵ４ｂと、ＣＰＵ４ｂからの環境情報の
制御信号を大形ディスプレイ装置５に出力するための表
示用インターフェイス４ｃと、同様に制御信号を空気吸
引機構２０に出力するためのインターフェイス（２）４
ｄから構成されている。なお、吸引口１１は交差点１の
道路表面に合うように一段掘り下げられて取り付けられ
ている。空気吸引機構２０は、吸引口１１より取り込ま
れる汚染空気１３や土砂，水などを分離するために設け
られた円錐形状の吸引コーン２１と、汚染空気１３を空
気搬送路２５に取り込むための開閉動作を行う吸引シャ
ッタ２２と、吸引シャッタ２２により取り込んだ汚染空
気１３をフィルタリングする吸引フィルタ２３と、それ
らの動作をやり易くするために設けた吸引ファン２４か
ら成っている。又、吸引口１１から取り込まれた土砂や
水を排出する排出管２６が空気吸引機構２０の下に設け
られており、交差点１の近くにある下水道に接続されて
いる。

【００１１】新鮮空気供給装置３０は、空気搬送路２５
から送られて来た汚染空気１３を新鮮空気１４に変換す
るフィルタ機構３１（例えば、ＣＯ，ＣＯ₂，ＮＯｘな
どのガスを積層された各々の吸着材プレートを通すこと
により汚染空気１３を新鮮空気１４に変換する機構）
と、その新鮮空気を取り込んで送り出す送風機３２と、
その新鮮空気１４を横断歩道８又は交差点１付近へ送風
する方向を変える分配機構３４と、分配機構３４により
送風方向が決められた新鮮空気１４を送り出す整流板３
３から成る。コントローラ４は新鮮空気供給装置３０や
フィルタ機構３１と同じ箱の中に設けられており、空気
汚染検出器１０や信号機用制御装置１６からの検出又は
動作信号を入力して、環境情報や後述する制御動作を行
うための演算や判断を行った後、吸引シャッタ２２，吸
引ファン２４，送風機３２等に制御信号を出力する。

【００１２】図３は環境情報を表示する大形ディスプレ
イ装置である。この大形ディスプレイ装置５は、空気汚
染検出器１０や温湿度検出器１５から検出信号が時々刻
々とコントローラ４へ入力されることにより、コントロ
ーラ４で変換された後、環境情報の制御信号として与え
られ、現在の環境状況を表示するものである。例えば、
天候，温度，湿度，ＣＯ₂濃度及びＮＯｘの濃度等を定
量的に表示する。

【００１３】以上述べたような構成において、本発明の
動作を図５に示すコントローラの動作フローチャートに
より説明する。まず、コントローラ４はＣＰＵ４ｂ等の
初期値の設定を行った後、交差点１での温度や湿度を検
出し、雨天であると判定したならば以下の動作を行わな
い。もしも、雨天でなければ、空気吸引機構２０や新鮮
空気供給装置３０が正常であるか否かの動作チェックを
行う。

【００１４】次に、汚染空気１３の汚染度の許容値Ａｏ
を設定スイッチによりＣＰＵ ４ｂ内の書き換え可能な
不揮発性メモリに記憶させる。そして、タイマ機能を使
って周期的に空気汚染検出器１０からの検出信号Ａｘを
測定すると共に、大形ディスプレイ装置５に環境情報を
表示する制御信号を出力する。上記検出信号Ａｘが先に
設定した許容値Ａｏ以下であるならば、空気吸引機構２
０や新鮮空気供給装置３０を動作させないようにしてお
り、検出信号Ａｘが許容値Ａｏ以上であるならば、空気
吸引機構２０を動作させ、交差点１上の汚染空気１３を
吸引口１１から取り込むようにする。そして、信号機３
の動作に同期（例えば、信号機３の緑ランプ点灯の進行
方向と平行な方向）して、新鮮空気供給装置３０からの
新鮮空気１４を横断歩道８の歩行者７の方に向かって供
給する。又、信号機３の動作が変わったならば、同様に
新鮮空気１４の供給方向も変化させる。

【００１５】次に、運転終了であれば各装置の動作を停
止させる。運転終了でなければ、温湿度検出器１５の検
出信号を取り込み、雨天であれば同様に各装置の動作を
停止させる。又、雨天でなければ再度、空気汚染検出器
１０の検出信号Ａｘを取り込み、同様に大形ディスプレ
イ装置５に環境情報を表示させる。

【００１６】本実施例によれば、交差点及び交差点付近
の空気汚染度に対応させると共に、信号機の動作に同期
して横断歩行する歩行者に対して新鮮な空気を供給する
ことができるので、歩行者の健康に悪影響を与えること
が少なくなり、安心して交差点を横断することができる
効果がある。

【００１７】図６，図７は本発明の他の実施例を示すも
のである。図６は汚染空気１３を取り込む吸引口１１を
交差点１に隣接した横断歩道８の近傍にそれぞれ１箇所
ずつ設けると共に、図示していないが、新鮮空気供給装
置３０からの新鮮空気１４を交差点１中央付近の吹出口
１７から横断歩道８を歩行する歩行者７に向かって供給
する構成である。この実施例では、交差点で停止して始
動する時に多く自動車から排出される排気ガスを早く吸
引することができるため、空気汚染度の変化に対応して
新鮮な空気を早く供給することができる。

【００１８】さらに、図７は交差点１に隣接した横断歩
道８の全面にわたり、下方に汚染空気１３を取り込む吸
引口１１と、取り込んだ汚染空気１３を新鮮空気１４に
変換し、横断歩道８の上方向全面から供給する吹出口１
７を設けた空気循環設備１８により、横断歩道８上を通
行する時に新鮮空気が供給されるので、歩行者はさらに
空気汚染度が低い領域を歩行することができる。この場
合、信号機３の動作に同期して吹出口１７から新鮮空気
１４が出るが、人間を検出する検出器で横断歩道を通行
する人がいないと判断された場合は、自動的に運転停止
となる。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、交差点の信号機の切り
替え動作に同期して汚染空気を吸引し、新鮮空気に変換
して歩行者が介在する場所へ供給することができるの
で、交差点及び交差点付近での地域環境を浄化し、交差
点を横断する歩行者が安心して空気汚染の少ない場所を
歩くことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全体構成図である。

【図２】本発明の吸引口から新鮮空気供給装置までの構
成図である。

【図３】本発明の大形ディスプレイ装置の環境情報の表
示を示す図である。

【図４】本発明の制御装置の構成を示す図である。

【図５】本発明のコントローラの動作フローチャートを
示す図である。

【図６】本発明の他の実施例を示す全体構成図である。

【図７】本発明の環境浄化装置の構成図である。

【符号の説明】

１…交差点、３…信号機、４…コントローラ、５…大形
ディスプレイ装置、６…車両、７…歩行者、８…横断歩
道、１０…空気汚染検出器、１１…吸引口、１３…汚染
空気、１４…新鮮空気、１５…温湿度検出器、２０…空
気吸引機構、３０…新鮮空気供給装置。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】人間が介在する道路と、該道路を直交する
   交差点と、該交差点内又はその近傍に少なくとも１箇所
   以上設けた空気吸引口と、該空気吸引口を介して汚染空
   気を取り込む空気吸引機構と、該空気吸引機構により取
   り込まれた汚染空気を新鮮な空気に変換して交差点へ供
   給する新鮮空気供給装置とを備え、交差点の信号機の切
   り替え動作に同期して上記空気吸引機構と新鮮空気供給
   装置を作動せしめ、新鮮空気を交差点に送風する制御装
   置と、からなる交差点の環境浄化装置。
2. 【請求項２】請求項１において、空気吸引機構及び新鮮
   空気供給装置は交差点内又はその近傍に少なくとも２つ
   以上設置した空気汚染検出器により検出した検出値が許
   容値以上になった時に動作することを特徴とする交差点
   の環境浄化装置。
3. 【請求項３】請求項１において、空気吸引機構により取
   り込まれた汚染空気を送る空気搬送路と、その汚染空気
   を新鮮な空気に変換するフィルタ機構と、その新鮮な空
   気を歩行者又は交差点の近傍に送風する新鮮空気供給装
   置と、それらを制御する制御装置を設けたことを特徴と
   する交差点の環境浄化装置。
4. 【請求項４】請求項１において、交差点で空気汚染検出
   器からの入力信号により環境情報を表示する大形ディス
   プレイ装置を設けたことを特徴とする交差点の環境浄化
   装置。
5. 【請求項５】請求項３において、制御装置は空気汚染検
   出器，温湿度検出器，手動スイッチ等の入力信号を取り
   込み、予め設定した許容値よりも大であれば空気吸引機
   構や新鮮空気供給装置を作動し、空気汚染値を下げるよ
   うに制御することを特徴とする交差点の環境浄化装置。