JPH05222767A - 鉄骨コンクリート梁の仕口機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄骨コンクリート梁を柱材に対し的確且つ安
定に接続施工することのできる仕口機構の提供。 【構成】 頂部に長さ方向に沿った頂面開口部２０を形
成し、底面を閉塞した梁材２と鋼管柱１を接合したもの
で、鋼管柱１に上下にフランジ部３１を形成したリング
部材３を溶接し、フランジ部３１間に梁材２の端部開口
に接合されるブラケット部３２を設け、頂面開口部２０
から梁材２及びブラケット部３２内にコンクリートを充
填する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は鉄骨コンクリート梁仕口
機構に係り、鉄骨コンクリート梁を柱材に対し的確且つ
安定に接続施工することのできる仕口機構を提供しよう
とするものである。

【０００２】

【従来の技術】断面Ｕ字型鋼材などは従来から知られて
おり、またそうしたＵ形鋼の内部に適宜コンクリートを
充填するようなことも現場的には適宜に実施されている
ところであるが、それらは各個且つ部分的なことであっ
て、鉄骨梁として鉄骨材の全長においてコンクリートと
の合成部材としたものは見当らず、又鉄骨構造体におけ
る柱材と梁材との連結について好ましい手法は未だ知ら
れていない。

【０００３】即ち、上記のような場合に従来採用されて
いる柱材と梁材との接合は原則的に梁材と柱材とを溶接
し、あるいはボルトなどを用い、更には連結用金具など
を用いて接続する方法を用い、梁材の補強鉄筋などを柱
材に挿通して柱内にアンカーするようなことが採用され
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記したような従来技
術によるものは鉄骨構造体の基幹部材において鋼部材と
コンクリートとの有効な結合が得られない。即ち鋼材に
は他の部材に求められない引張強度などの特性を有し、
一方コンクリートにおいても鋼部材などに求めることの
できない耐圧縮性などの有利性が認められるところ、こ
れらの特性を構造体の基幹部材において適切に結合して
採用することができない。

【０００５】前記したような鋼材とコンクリートとの有
機的結合を図る上において柱材に対する梁材連結部の構
成が重要となるが、従来のものでは該連結部の強度を充
分に得ることが困難である。又コンクリート充填梁材を
用いたような場合においては鋼管柱などの柱材との連結
が容易でなく、特に鋼構造とコンクリート構造との合体
された有利な構成条件下における接続を適切に得難い。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解消することについて検討を重
ね、鋼管柱のような柱材に対し特定のリング部材を採用
することにより形鋼Ｕ形梁を強度部材と共に型枠として
利用し接続部において鋼構造とコンクリート構造とを有
機的に結合せしめた有利な特性を得しめることに成功し
たものであって、以下の如くである。

【０００７】（１） 頂部に長さ方向にそった頂面開口
部を形成すると共に底面を閉塞した梁材と鋼管柱とを接
合するようにしたものにおいて、前記鋼管柱に上下にフ
ランジ部を形成したリング部材を溶接し、該リング部材
のフランジ部間に上記した梁材の端部開口に接合される
ブラケット部を設け、前記頂面開口部から上記梁材およ
びブラケット部内にコンクリートを充填するようにした
ことを特徴とする鉄骨コンクリート梁の仕口機構。

【０００８】（２） 頂面開口部を形成すると共に底面
を閉塞した梁材内に該梁材の長さ方向にそった耐火用心
鉄筋を配設し、鋼管柱のリング部材間に設けられた連結
鉄筋と上記耐火用心鉄筋とを接続し充填コンクリート中
に埋装することを特徴とした前記（１）項に記載の鉄骨
コンクリート梁の仕口機構。

【０００９】

【作用】頂部に長さ方向にそった頂面開口部を形成する
と共に底面を閉塞した鉄骨梁材と鋼管柱とを接合するよ
うにしたものにおいて、前記鋼管柱に上下にフランジ部
を形成したリング部材を溶接したことにより梁材は該リ
ング部材を介して鋼管柱の全周において接続され、且つ
該梁材の頂面開口部からリング部材部分にもコンクリー
トを充填可能とする。

【００１０】リング部材のフランジ間に上記した梁材の
端部開口に接合されるブラケット部を設けたことによ
り、リング部材部分におけるコンクリート充填域を規制
し、ブラケット部間に密実なコンクリート充填を図らし
めると共に該ブラケット部を利用して梁材の適切な接続
連結を得しめる。

【００１１】梁材において上記のように形成された頂面
開口部から該梁材およびブラケット部内にコンクリート
を充填するようにしたことによって充填コンクリートを
介して梁材、リング部材およびブラケット部の全体を凝
結一体化した鋼材とコンクリートとの有機的結合による
連結を図る。

【００１２】頂面開口部を形成すると共に底面を閉塞し
た梁材内に該梁材の長さ方向にそった耐火用心鉄筋を配
設し、鋼管柱のリング部材間に設けられた連結鉄筋と上
記耐火用心鉄筋とを接続し充填コンクリート中に埋装す
ることにより充填成形コンクリート中に鉄筋が連結して
セットされ鉄骨鋼材の焼損条件下においても鉄筋コンク
リートとしての強度性を発揮し、形成された構造物など
の倒壊などをなからしめる。

【００１３】

【実施例】前記したような本発明によるものの具体的な
実施態様を添附図面に示すものについて説明すると、図
１には本発明による１つの実施形態が示され、柱材１に
対し梁材２を取付けるに当って、梁材２としては頂部に
頂面開口部２０が長さ方向にそって形成されると共に底
部が閉塞されて断面的にＵ形をなした強度部材が型枠部
材を兼ねたものとして準備され、一方柱材１には上下に
フランジ部３１，３１を形成したリング部材３が溶接３
０などで取付けられている。前記のような梁材２は開口
部２０の両側にフランジ２２、２２を形成し、それらの
フランジ２２、２２および底部２３は比較的厚肉とする
ことが好ましい。

【００１４】リング部材３においては前記のような上下
のフランジ部３１，３１間にブラケット部３２，３２を
設け、これらのブラケット部３２，３２に対し、前記梁
材２の端部が突き合わされ、該突き合わせ部に対し両側
に側面継ぎ板４を添設すると共に、上下にも平面継ぎ板
７を添設し、ボルトナットまたはリベットのような連結
手段６によって連結したものである。フランジ部３１，
３１とブラケット部３２より成るリング部材は工場また
は現場において適宜に柱材１に対し溶接して取付けられ
る。

【００１５】梁材２の断面構造については前記のように
Ｕ形のものの外、Ｖ形、Ｗ形などを適宜に採用すること
ができ、圧延、折曲プレス加工などによる一体成形のも
のの外、一旦形鋼や帯材または板材として製造されたも
のを適宜に組合せて溶接その他により結合されたものを
採用されるが、何れにしても頂面の長さ方向に沿った開
口部を形成し、底面を閉塞してコンクリート５を充填成
形し得るようにすることは前記の如くである。

【００１６】なお、前記梁材２には心鉄筋２１が内装さ
れ、コンクリート５が該梁材２に充填凝結されて心鉄筋
２１と梁材２とが一体化成形されているが、上記のよう
な心鉄筋２１に対しては前記柱材１またはリング部材３
から連結用の鉄筋１１が設けられ、該鉄筋１１と心鉄筋
２１とはカップラー９などで接続されていて、同じくコ
ンクリート５中に埋装されている。

【００１７】図２には、本発明によるもう１つの実施態
様が平面的に示されている。即ち柱材１として断面円形
のものが採用され、又リング部材３としてもそのフラン
ジ部３１は円形に近い状態として形成されており、その
他の構成関係は前記した図１のものと同様である。

【００１８】図３と図４には本発明による更に別の実施
態様が示されている。即ちフランジ部を含むリング部材
３としては前記した図１のものと同様であるが、該リン
グ部材３に設けられたブラケット部３２はリング部材３
のフランジ部３１より長く延出し、しかもブラケット部
３２とフランジ部３１との間に連結部３３が形成されて
ブラケット部３２が適切な強度を得しめるように成って
おり、従ってフランジ部３１から適当に突出した位置に
おいて側面継ぎ板４による梁材２との接続が図られるよ
うに成っている。

【００１９】又この図３のような場合においては梁材２
とリング部材３との連結、および鉄筋１１，２１の連結
部近傍が露出またはそれに近い状態にあり、斯様な場合
には火災時において枢要な連結部が焼損せしめられる可
能性が高い。即ちこのような場合においては別に図４に
示すように接続連結部の近傍に耐火被覆８を施す。斯か
る耐火被覆８は限定された一部のことであるから殊更に
工数増大などを来すことがない。

【００２０】即ち前記のように心鉄筋２１を梁材２内に
セットしてコンクリート５を充填成形した本発明のもの
は火災時において鉄骨形材１が焼損した条件下において
もコンクリート５と心鉄筋２１によって鉄筋コンクリー
トとしての強度特性を維持しており、実質的に無耐火被
覆によって火災時に崩壊することのない鉄骨構造体を得
ることができる。

【００２１】上記のようにして設定された梁材２上に床
板をセットし、又その下方に天井板などを設けることに
よって各階層が形成されることは明かであり、図３のよ
うにリング部材３のフランジ部３１より長く延出したブ
ラケット部３２はそうした床板の下面に位置して床板支
持作用をなし、図４に示すような耐火被覆８は成程それ
なりの大きさを有するものであっても床板と天井板との
間に収容されて外面に露出することがなく、利用上およ
び体裁上の何れにおいても不都合のない好ましい構造体
を得ることができる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したような本発明によるときは
鉄骨構造梁材とコンクリートとがリング部材を介して柱
材部分から完全に一体化したものとして凝結形成される
と共に梁材とリング部材によって安定且つ的確に連繋さ
れ、強度的に充分に措信し得る仕口機構を得しめ、更に
は鉄骨構造梁材を型材として充填したコンクリート中に
心鉄筋を埋装一体化して火災時において鉄骨焼損時にも
なお鉄筋コンクリート部材としての強度を維持せしめて
構造体の倒壊を防止することができ、従って実質的に無
耐火被覆構造体を提供し得るなどの効果を有しており、
工業的にその効果の大きい発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における１つの実施態様を示した斜面図
である。

【図２】本発明の別の実施態様を示した平面図である。

【図３】本発明による更に別の実施態様を示した斜面図
である。

【図４】図３に示したものに耐火被覆を施した斜面図で
ある。

【符号の説明】

１ 柱材 ２ 梁材 ３ リング部材 ４ 側面継ぎ板 ５ コンクリート ６ 連結手段 ７ 平面継ぎ板 ８ 耐火被覆 ９ カップラー １１ 心鉄筋 ２０ 頂面開口部 ２１ 鉄筋 ２２ フランジ ２３ 底部 ３０ 溶接 ３１ フランジ部 ３２ ブラケット部 ３３ 連結部

フロントページの続き (72)発明者 宮尾 俊明 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 頂部に長さ方向にそった頂面開口部を形
   成すると共に底面を閉塞した梁材と鋼管柱とを接合する
   ようにしたものにおいて、前記鋼管柱に上下にフランジ
   部を形成したリング部材を溶接し、該リング部材のフラ
   ンジ部間に上記した梁材の端部開口に接合されるブラケ
   ット部を設け、前記頂面開口部から上記梁材およびブラ
   ケット部内にコンクリートを充填するようにしたことを
   特徴とする鉄骨コンクリート梁の仕口機構。
2. 【請求項２】 頂面開口部を形成すると共に底面を閉塞
   した梁材内に該梁材の長さ方向にそった耐火用心鉄筋を
   配設し、鋼管柱のリング部材間に設けられた連結鉄筋と
   上記耐火用心鉄筋とを接続し充填コンクリート中に埋装
   することを特徴とした請求項１に記載の鉄骨コンクリー
   ト梁の仕口機構。