JPH05214280A - インク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 色素を多量に含有できコントラストのよい、
かつプリント基板に接着性の良好な圧電ドロップ-オン-
ディマンド システムに好適に使用される非電導性イン
クを提供する。 【構成】 色素及び液相の主成分として、１又は複数の
導電性成分を内部で溶かすことができる重合可能な成分
で構成されている非導電性インク-ジェット-インク。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクおよび、そのイン
クをインクジェット プリンティングに利用することに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】圧電インク-ジェット プリンティング
の概念は電圧がかけられた時の圧電セラミック トラン
スジューサーの動きに基づいている。電圧がかけられる
と、セラミック材の長さが減少し、インクにより充填さ
れる空隙がつくりだされる。電圧が取り除かれると、セ
ラミック材がその元の長さに戻り、過剰なインクが押し
出され、プリントヘッドからインクの水滴が放出され
る。新鮮なインクのしずくが要求に応じて押し出され
る。圧電ドロップ-オン-ディマンド インク-ジェット
プリンティングで使用されるインクは、通常、脂肪
酸、脂肪エステル類、および油溶性染料で構成されてい
る。こうしたインクはノズルの詰まりを防ぐために乾燥
速度はおそくなければならず、この条件は、このプロセ
スがそのインクが吸収を通じて乾燥できるような表面に
対してだけ適しているという制約をもたらしている。非
吸収性表面では、このインクは好ましくない程長時間湿
ったままでいる。米国特許No.4303924は、色素および導
電性成分に加えて、０−90％の単官能性重合可能モノマ
ーおよび５−80％の多重官能性重合可能モノマーで構成
される放射線硬化可能インク-ジェット インクを開示
している。この導電性成分は油溶性である。０％程度の
有機溶剤が存在している可能性が示唆されているが、与
えられている例のすべては、高い含有量の３官能性モノ
マーと合わせて、その導電性成分を溶かすことができる
液相を提供するような溶剤を10％以上含んでいる。溶剤
がなければ、導電性成分を溶かすための媒体が存在しな
いことになり、そのインクの粘性がインク-ジェット
プリンティングに使えるように十分に低いということは
ないであろう。それにも拘らず、有機溶剤の存在は、そ
のインクがオープン ノズル内で乾燥する可能性がある
という問題を提起する。このインクは不活性ガス内で用
いられねばならないことは明らかであり、これはかなり
不利である。EP-A-0407054は、少なくとも実例において
は、少なくとも、必ず有機性溶剤メチルエチルケトンを
含んでいる溶剤で薄められた硬化可能接着剤で構成され
た紫外線ジェット インクを開示している。この組成物
も、そのインクがノズル内で乾燥する可能性があるとい
う問題をかかえている。EP-A-0465039は上に述べられた
ような制約条件を満たすが、揮発性、引火性を有し環境
的に望ましくない溶剤の使用を避け、空気中で利用でき
るインク-ジェット インクについて述べている。この
インクは、色素、偏導電性成分、および少なくとも液相
の主要成分として、ひとつ、あるいは複数の、その導電
性成分を溶かすことができる重合可能モノマーで構成さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明によるインクは
非導電性で、圧電ドロップ-オン-ディマンド システム
での使用に適している。EP-A-0465039に述べられている
インクと比較して、導電性成分は必要ではなく、粘性は
すこし高く、例えば、25℃の温度で40から50cP程度であ
る。したがって、この新しい組成物は色素の含有量をよ
り高くし、コントラストをより明確にし、そして、モリ
マー性、あるいは、濃くしたり、プリントされた基板へ
の接着性を強化するなどの他の機能を有する他の素材を
含むことを可能にする。本発明によるインクは、以下に
示すような、多数の他の望ましい特性や利点を有してい
る。おそらく、最も重要なのは、本発明による発明が、
非揮発性モノマー分子に基づく、あらゆるタイプのイン
ク-ジェット プリンティング、特にバブル-ジェットや
他のドロップ-オン-プリンティング、そして、フレクソ
グラフィックおよびリトグラフィック プリンティング
に適している。こうしたモノマー分子は熱的に安定して
おり、非引火性で、低粘性の液体であり、臭気も低く、
毒性も低い。これらの液体は公知のインク-ジェット方
式で用いられている従来のすべてのタイプの揮発性溶剤
およびバインダーに代わって使われるために調製される
ものである。このインクはこれらの、あるいは広い範囲
の溶剤およびバインダーを使っても調製することができ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によるインク−ジ
ェット調剤は単、２，３、およびより多くの官能性を有
する材料を含めて、異なった程度の官能性を有するモノ
マーの混合物で構成されている。こうした材料は紫外線
を照射することによって硬化することができ、そのため
に、この調剤はフォトイニシエータおよび／またはフォ
トアクチベータを含むことができる。さらに、色素に加
えて、この調剤は安定剤、界面活性剤、および加湿剤な
どの従来の成分を含むこともできる。プリント時、この
インクのしずくは基板面に移され、プリンターの近く
の、プリント エリアに焦点を合わせた外部エネルギー
供給源の作用による架橋、あるいは重合化によって乾燥
したフィルム、あるいは点に変えられる。一例として、
その外部エネルギー供給源は紫外線源であってよい。こ
の紫外線源は重合化プロセスを開始し、このプロセスは
通常0.5秒以下の時間内で行われる。好ましい光源は例
えば、315−400nmの波長でUV-Ａ光だけを放出し、UV-Ｂ
あるいはUV-Ｃ光源で見られるオゾンの発生を防ぐため
の抽出作業の必要性をなくす。

【０００５】材料の選択は広い範囲で行うことができ、
また、必要な性質に応じて変えることができる。その原
理を明確に示すために、インク-ジェット調剤は比較的
大きな割合の機能性モノマーを組み入れて、一度硬化す
れば、高度に橋かけ結合が行われて不溶性のフィルムを
つくることにより、高度の溶剤抵抗をつくりだすことが
できる。例えば、アクリル性、ビニル、あるいはエポキ
シ官能性を有するモノマー、フォトイニシエータ、およ
びフォトアクチベータなど、市販されているいろいろな
モノマーが利用可能で、紫外線光による重合が可能なイ
ンク−ジェット調剤における使用に適している。この反
応は付加重合を通じて進行させることができ、すべての
反応物質は最終的にはポリマー性バインダーに形質転換
され、副産物や液体の痕跡はとどめない。この反応はフ
リー-ラジカル メカニズムか、あるいはカチオン種の
形成の２つの方法で進行させることができる。

【０００６】フリー-ラジカル メカニズムで硬化する
適切な単官能性モノマーはビニル組成物および（メタ）
アクリル酸エステル類を含む。特殊な例としてはオクチ
ルアクリレート、デシル アクリレート、ノニルフェノ
ール エトキシレート アクリレート、Ｎ-ビニルピロ
リドン、エチル ジグルコール アクリレート、イソボ
ルニル アクリレート、エチルヘキシル アクリレー
ト、ラウリル アクリレート、ブタノジオール モノア
クリレート、β-カルボキシエチル アクリレート、イ
ソブチル アクリレート、ポリプロピレン グリコール
モノメタクリレート、および２-ヒドロキシエチル
メタクリレートを含んでいる。カチオン性メカニズムで
硬化する適切な単官能性モノマーはビニル エーテル
類、単官能性シクロアリファチック エポキシド類、お
よびα-エピキシド類を含んでいる。特殊な例として
は、イソデシル グリシジル エーテルである。一部の
単官能性モノマーは、そうした物質の粘性が低いので、
新しいインクに含まれるのが好ましい。しかしながら、
インクを急速に乾燥させるための重合化の進行のために
一定の橋かけ結合が必要なので、こうした物質は通常唯
一の成分ではない。調剤における単官能性モノマーの含
有量は重量ベースで最大70％、例えば25−60％までの範
囲である。

【０００７】一定のバランスの属性を提供するために、
新しいインクはほとんどすべての場合に、重量ベース
で、その調剤の最大70％、好ましくは20−60％、より好
ましくは30−50％の２官能性物質を含むことになる。２
官能性モノマーの含有量がより低い場合は、インクの乾
燥時間が長くなる。フリー-ラジカル メカニズムで硬
化する適切な２官能性モノマーは、例えば、ヘキサンエ
ジオル ジ（メタ）アクリレート、テトラエチレン グ
リコールジアクリレート、トリプロピレン グリコール
ジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ポ
リエチレン グルコール ジアクリレート、およびトリ
エチレン グルコール ジメタクリレートを含んでい
る。カチオン性メカニズムで硬化する適切な２官能性モ
ノマーは、トリエチレン グリコール ジビニル エー
テル、１，４-シクロヘキサンジメタノール ジビニル
エーテル、ブタンエジオール ジグリシジル エーテ
ルおよび２官能性シクロアリファティック エポキシド
樹脂などがある。

【０００８】本発明で用いることができる３官能性モノ
マーはエポキシ化トリメチロルプロパン トリアクリレ
ートなどがある。（上に述べたような理由から）、存在
していれば、トリ、あるいはより高次の官能性成分は通
常、重量ベースでその調剤の最大10％まで含まれる。よ
り低い官能性モノマーは少なくとも液相の半分以上を構
成する。インク内の重合可能モノマーの総含有量は、通
常、重量ベースで、その調剤の50−90％の間、例えば、
少なくとも70％、そして多くは少なくとも80％である。
特にフリー ラジアル硬化のために適したフォトイニシ
エータは、２-ヒドロキシ-メチル-１-フェニルプロパン
-１-ワン、アクリル酸ケトン、１-ヒドロキシシクロヘ
キシル フェニル ケトン、２-メチル-１-（４-（メチ
ルチオ）フェニル）-２-モルホリニルプロパノン、２，
２-ジメトキシ-１，２-ジフェニルエタン-１-ワン、ベ
ンゾフェノン、イソプロピルチオキサントンおよびｐ-
フェニルベンゾフェノンなどである。カチオン性硬化メ
カニズムのために適しているフォトイニシエータはトリ
アリルスルホニウム ヘキサフロロアンチモネート塩で
ある。適切なフォトアクチベータおよび光合成促進作用
物質はエチル ４-（ジメチルアミノ）ベンゾエート、
Ｎ-メチルジエタノールアミンおよび２-エチルヘキシル
ジメチルアミノベンゾエートである。こうした物質は
通常、フリー-ラジカル硬化のためにだけ用いられる。

【０００９】モノマーに基づくインク-ジェット イン
クのための色素の選択は重要であるが、本発明による染
料に基づくインクあるいは分散顔料モノマーに基づくイ
ンクを作り出すことができる。顔料の使用によりより急
速な乾燥が可能になり、より高速のプリントおよび溶剤
抵抗の増大が可能になる。黒を含むいろいろな色素をつ
くりだすことができる。黒の紫外線硬化インクの問題点
は硬化や重合化を良好にするのを妨げる強い吸収度であ
る。本発明による黒インクは種々の色素の混合物で構成
することが可能であり、それによって個々の波長の紫外
線が貫通して重合化を開始し、黒色のフィルムを作り出
すことを可能にする。適切な色素としてはカーボン ブ
ラック顔料、二酸化チタニウム顔料、金属アゾ複合体染
料および着色染料の混合物などを含むインク-ジェット
染料などが含まれる。この色素は、必要であれば、例え
ば液相成分と共存できるポリマーなどの物質でコーティ
ングされた粒子形態で分散させることができる。さら
に、色素に加えて、この調剤は安定剤、界面活性剤、加
湿剤、ポリマー、および粘性調節剤などの通常の成分を
含むこともできる。

【００１０】追加成分は、モノマー ブレンドの粘性を
増大させるために組み入れられたポリマーであってもよ
いし、あるいはプリントされたプリント剤滴の接着性お
よび物理的属性を改良するために用いることもできる。
適切なポリマーの範囲は非常に広く、適切なポリマーと
しては、ポリビニル ブチラル、ニトロセルロース、ポ
リケトン、ポリアミド、ポリエステル、およびアクリル
性物質などを含んでいる。調剤におけるその量は、例え
ば、重量ベースで１から25％、例えば５％程度である。
さらに、本発明のインク-ジェット調剤は低分子量の多
官能性エチレン系不飽和、あるいはエポキシ官能性プレ
ポリマーと種々の官能性を備えた低粘性モノマーの組み
合わせで構成されている。こうした物質は紫外線を照射
して架橋結合させることができ、その目的のために、そ
の調剤はフォトイニシエータおよび／またはフォトアク
チベータを含むことができる。例えば、アクリル基、ビ
ニール基、チオル基、あるいはエポキシ基性などを備え
た種々の市販プレポリマー、フォトイニシエータ、およ
びフォトアクチベータを利用することができる。こうし
た物質はインク-ジェット調剤での使用に適しており、
紫外線による重合化する性質を備えている。この反応は
付加重合を通じて進行させることができる。すべての反
応物質は最終的にポリマー性バインダーに転換され、副
産物や液体の痕跡は残さない。この反応はフリー ラジ
アル メカニズムと、イオン性種の形成の２つの方法の
いずれかで、進行させることができる。フリー ライカ
ル重合反応を通じて反応させることができる適切なプレ
ポリマーはエポキシ アクリレート類、ポリエステル
アクリレート類、およびポリウレタン アクリレート類
を含んでいる。カチオン性メカニズムを通じて架橋結合
する適切なプレポリマーにはシクロアリファティック
エポキシド類、および多重官能性エーテル類を含んでい
る。上に述べたようなタイプのカチオン性重合化調剤
も、連鎖移動剤として作用し、調剤の硬化速度を改良す
ることによって、エポキシ物資と共重合するヒドロキシ
ル含有物質も含んでいる。これらの物質は、最終的な硬
化物質の柔軟性を改良するために用いることができる。
同じ調剤でカチオン性反応物質とフリー ラジカル反応
性物質の使用を組み合わせることも可能である。こうし
たハイブリッド系は純粋なカチオン性システムより硬化
速度を改善してくれる。このハイブリッド系は、フリー
ラジカル系だけの場合より、硬化された状態で、例え
ば、接着性および耐摩耗性などに関してより優れた物理
的性質を有している。本発明を説明するために、EP-A-0
465039に示されているいずれかの例を、KSCNを５％ポリ
ビニル ブチラルと置換することで修正することができ
る。

【００１１】

【発明の効果】本発明は導電性成分を含まず、色素の含
量を多量にできるコントラストがよく、かつプリントさ
れた基板への接着性のよい圧電ドロップ-オン-ディマン
ド システムの使用に適した有用なインクである。

フロントページの続き (72)発明者 アラン ライアネル ハッド イギリス，エスジー８ ８エヌジー ハー ファドシィア，ニューサムステッド，バリ ィ コティジ （番地無し)

Claims (15)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 色素、および液相の主成分としての、ひ
   とつあるいは複数の重合可能モノマーで構成される非導
   電性インク。
2. 【請求項２】 50−95％が重合可能モノマーで構成され
   る、請求項１記載のインク。
3. 【請求項３】 重量ベースで、最大70％の単官能性モノ
   マー、最大70％までの２官能性モノマー、そして０−10
   ％の３あるいはそれ以上の官能性を有するモノマーで構
   成される、請求項１あるいは請求項２記載のインク。
4. 【請求項４】 重量ベースで25−60％の単官能性モノマ
   ーおよび重量ベースで20−60％の２巻能性モノマーで構
   成される、請求項３記載のインク。
5. 【請求項５】 UV-Ａ光で硬化可能な、上記請求項のい
   ずれかに記載のインク。
6. 【請求項６】 フォトイニシエータ、および要すれば、
   フォトアクチベータを含む、上記請求項のいずれか記載
   のインク。
7. 【請求項７】 重量ベースで１−10％のフォトイニシエ
   ータおよび重量ベースで０−５％のフォトアクチベータ
   を含む、請求項６記載のインク。
8. 【請求項８】 粘性を増大するために使用されるポリマ
   ー性または重合可能成分を更に含む、上記請求項のいず
   れか記載のインク。
9. 【請求項９】 カチオンで硬化できる重合可能成分を含
   む、請求項８記載のインク。
10. 【請求項１０】 重量ベースの0.5−５％の色素を含
    む、請求項１〜９のいずれか記載のインク。
11. 【請求項１１】 色素が黒である、請求項１〜10のいず
    れか記載のインク。
12. 【請求項１２】 色素が分散顔料である、請求項１〜11
    のいずれか記載のインク。
13. 【請求項１３】 非重合可能揮発性有機溶剤を大量に含
    んでいない、請求項１〜12のいずれか記載のインク。
14. 【請求項１４】 非揮発性有機溶剤を含んでいない、請
    求項13記載のインク。
15. 【請求項１５】 請求項１〜14のいずれかに記載のイン
    ク-ジェット インクにより、圧電ドロップ-オン-ディ
    マンド プリンティングにより基板をプリントする方
    法。