JPH05212329A - 回転塗装用搬送台車の塗料付着防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 厚塗り塗装した被塗物を焼付け、乾燥工程に
おいて回転させ乍ら搬送する台車に塗装時の塗料が付着
しないようにするものである。 【構成】 被塗物の回転駆動力を台車の走行によって得
ることにより台車上で被塗物を回転支持する中空支柱体
の中央部位に挟窄部を形成し、該挟窄部の通過を許容す
る通路開口を挟細化した塗料付着防止カバー板を塗装ラ
インに沿って架台上に固設し、台車下半部をカバーした
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被塗物例えば自動車ボ
デー等に厚塗り塗装をしたのち、該被塗物を回転させな
がら焼付け乾燥するに適した搬送台車の塗料付着防止装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】被塗物の塗装工程を短縮し且つ良質の塗
装面を得るために、塗装工程で被塗物に塗料を厚塗り
し、焼付け乾燥工程で厚塗り塗料が被塗物の塗面でダレ
を生じないように被塗物を回転させながら搬送する技術
が開発され、例えば特開昭63-270569 号公報並びに特開
昭63-270570 号公報に開示されているような回転塗装用
搬送台車が使用されている。

【０００３】そして、該台車は被塗物を回転させるため
の駆動手段等を台車上に搭載している。すなわち、図３
および図４に示す如く、台車Ｃの前後端部には箱状支柱
Ｈ，Ｈが立設され、該支柱Ｈ，Ｈ内には被塗物Ｗを回転
させる駆動手段、例えば蓄力スプリング、増速機構その
他多くの駆動機構が収納され、塗装工程において塗料が
これらの駆動機構等に付着しないように、該支柱Ｈ，Ｈ
の頂部には被塗物Ｗを台車Ｃの進行方向の同一軸線を中
心に回転させる被塗物支持回転軸Ｆ，Ｆが軸支され、該
回転軸Ｆ，Ｆは前記箱状支柱Ｈ，Ｈから突出した駆動軸
Ｄ，Ｄによって被動される。

【０００４】したがって、箱状支柱Ｈ，Ｈは、前述の如
く、被塗物Ｗを回転させるための多くの駆動機構を収納
しなければならないので、台車の左右両側方向の巾Ｌが
広くなる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】被塗物Ｗの塗装は、塗
装室内において多量の塗料が被塗物Ｗに対して吹付けら
れる電着塗装であって、噴霧状の塗料は飛散して搬送台
車にも多量に付着する。

【０００６】そして、該台車Ｃに付着した塗料は、焼付
け乾燥工程において被塗物Ｗが回転した際に、台車から
剥離し浮遊塵として被塗物Ｗの表面に付着し或は塗装面
を傷付け、被塗物Ｗの塗面品質を著しく劣化させる原因
となっている。

【０００７】そこで、塗装ラインにおいて台車に塗料が
付着しないように、台車下半部を覆う塗料付着防止板を
塗料ラインに沿って固設することが検討されたが、該塗
料付着防止板を台車が通過しなければならないので、該
防止板には前記広巾Ｌを有する箱状支柱Ｈ，Ｈの通過を
許容する開口通路を設ける必要がある。そして、該開口
通路は、台車上の一対の立設した箱状支柱Ｈ，Ｈの間の
空間においては、多量の噴霧塗料の侵入を許す開口とな
るため、折角の塗料付着防止板もその機能が全く失われ
る結果となるので、塗料付着防止板の配設は断念されて
いた。したがって、被塗物の塗装面品質の低下を防止で
きないという欠点があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
技術の欠点を除去するため、被塗物の回転駆動力を搬送
台車の走行によって得、該駆動力の出力軸（以下、駆動
軸という）を台車の下部に配設し、台車に立設した前後
一対の中空支柱体の上部に配設した被塗物回転支持被動
軸と前記駆動軸との伝動手段、例えば一本の伝動軸又は
伝動チェーンのみを一方の中空支柱内に収納することに
よって、中空支柱体中央部位に台車左右方向の巾を挟窄
化した挟窄部を形成し、中空支柱体の通過を許容する塗
料付着防止板の開口通路を、該中空支柱体中央部位の挟
窄部のみの通過が可能な程度のスリット通路とすること
により、台車の前後一対の中空支柱体間の空間における
スリット通路の開口面を大巾に挟細化して、該通路開口
からの塗料の台車上への侵入付着を防止したものであ
る。

【０００９】

【作用】台車の前後端部に対向して立設した中空支柱体
の中央部位内に伝動手段のみを収納することによって、
中空支柱体中央部位の台車左右方向巾を挟窄化して挟窄
部を形成したので、塗装ラインに沿って架台に固設した
台車下半部を覆う塗料付着防止カバー板に開口した前記
中空支柱体の通路を許容する通路を挟細な巾にすること
ができるので、塗装時における塗料が該塗料付着防止カ
バー板のスリット通路開口から該カバー板内に侵入する
ことを著しく抑止するから、該カバー板に覆われた台車
下半部に噴射塗料が付着することを大巾に減少させるこ
とができる。

【００１０】

【実施例】図１および図２は夫々本発明の実施例を示す
正面図および要部側面図であって、台車１には複数の地
上走行用自在車輪Ｗと塗装ラインレールＲ上の走行車輪
Ｗ’とが設けられ、地上走行用自在車輪Ｗの前後には、
台車牽引用コンベヤチェーン２に起倒自在に取付けたプ
ッシャドッグＰに係脱する係合板３が取付けられてい
る。

【００１１】また、搬送ライン全長に亘って無端懸回し
て矢印イ方向に移動する台車牽引用コンベヤチェーン２
に平行に焼付・乾燥ライン全長に亘って並設して矢印ロ
方向に移動する被塗物回転駆動エンドレスチェーン４に
は、後述するスプロケット５が係合し、台車牽引用コン
ベヤチェーン２と被塗物回転駆動用エンドレスチェーン
４とは相対的速度差を有し、本実施例においては、台車
牽引用コンベヤチェーン２と被塗物回転駆動用エンドレ
スチェーン４との移動方向は互いに逆方向になっている
が、同方向に異なった速度で移動しても差支えない。

【００１２】台車１の台枠前端部および後端部には、夫
々中央部位を挟窄した中空支柱体６Ａおよび６Ｂが立設
され、該中空支柱体６Ａ，６Ｂの上端部内には被塗物を
回転支持する被動軸７Ａ，７Ｂが台車の前後方向を指向
する同一軸線上に夫々軸受挿通され、後端部の中空支柱
体６Ｂの下端部の台枠には、台車の進行方向イに直交し
た被塗物回転駆動軸８が挿通軸受され、該回転駆動軸８
の一端には前記スプロケット５が固設されるとともに、
他端には加速レバー９が固設されている。そして、前記
回転駆動軸８の回転は伝動軸１０によって傘歯車を介し
て後端中空支柱体６Ｂ上端部内の前記被動軸７Ｂに伝達
される。被動軸７Ａ，７Ｂの対向端部には、夫々回転腕
１１Ａ，１１Ｂと支持腕１２Ａ，１２ＢをＬ形に形成し
た回転支持部材とが固設され、支持腕１２Ａ，１２Ｂの
先端部には被塗物Ｂの前後端部を取付け支持する取付具
１３Ａ，１３Ｂが設けられ、前記中空支柱体６Ａ，６Ｂ
の頂部は夫々カバー部材６’，６’によって被冠されて
いる。

【００１３】そして、搬送ラインに沿って台車牽引用コ
ンベヤチェーン２に係合して牽引搬送されてきた台車１
が塗装ラインを通過して焼付・乾燥ラインのトンネル内
に進入すると、台車のスプロケット５が焼付・乾燥ライ
ンに沿設した被塗物回転駆動用エンドレスチェーン４に
噛合して回転を始め、スプロケット５の回転は台車後端
部中空支柱体６Ｂの上端部内の被動軸７Ｂに伝動軸１０
を介して伝達されて回転腕１１Ｂを回転させるから、支
持腕１２Ａおよび１２Ｂに固定支持された被塗物Ｂは、
被動軸７Ａ、７Ｂを中心にして回転しながら焼付・乾燥
ラインのトンネル内を台車１に搭載されて前進するが、
台車後端部の中空支柱体の被動軸７Ｂに固定された回転
腕１１Ｂには振子型重錘杆１４が垂設されており、加速
レバー９が図示しない固定カム板に当接して傾動するこ
とにより振子型重錘杆１４が所望角度強制的に上方へ旋
回傾動せしめられ、固定カム板より加速レバー９が外れ
ることにより上方へ旋回傾動せしめられた振子型重錘杆
１４は振子運動により落下回動してスプロケット５の回
転を加速するから、スプロケット５と被塗物回転駆動用
エンドレスチェーン４との初期噛合が円滑に行われる。

【００１４】中空支柱体６Ａ，６Ｂの中央部位は図２に
示すように台車の左右方向巾の狭い挟窄部１５を形成
し、後端部の中空支柱６Ｂには被塗物回転駆動軸８の回
転駆動力を傘歯車を介して被動軸７Ｂに伝達する伝達主
軸等の伝動手段１０が収納されている。

【００１５】そして、塗装ラインの台車走行レール架台
の両側には、前記中空支柱体６Ａ，６Ｂの中央部位挟窄
部１５，１５の通過を許容するスリット通路１６を有す
る塗料付着防止カバー１７が立設され、台車下半部を覆
っている。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、塗装工程において厚塗り塗装
された被塗物を焼付け乾燥工程で回転させ乍ら搬送する
台車において、該台車の前後端部に対向立設した中空支
柱体内の上部に被塗物を回転支持する被動軸を、また該
被動軸を駆動する被塗物回転駆動軸を前記中空支柱体の
下端部台内枠に、夫々挿通配設し、該中空支柱体内の中
央部位に前記被動軸と被塗物回転駆動軸との伝動手段の
みを収納することにより、被動軸、伝動手段等に直接塗
料が付着しないようにするとともに、中空支柱体中央部
位に台車の左右方向において挟窄化した巾を有する挟窄
部を形成することができるので、塗装工程において台車
に塗料が付着しないように台車の下半部を覆う塗料付着
防止カバー板を台車の移動方向に沿って架台上に固設し
ても、台車の移動を許容するために該カバー板に開設し
た中空支持体の通路開口の巾を、中空支柱体の中央部位
に形成された挟窄部の巾に略々等しくすることにより挟
細化することが可能になるから、該カバー板に開設した
前記通路開口から該カバー板内に噴霧塗料が侵入するこ
とを著しく抑止し、該カバー板で覆れた台車下半部には
殆んど塗料が付着しない。

【００１７】したがって、台車が塗装工程を経て焼付け
乾燥工程に移動し台車上の被塗物が台車上で回転して
も、台車上に塗料は殆んど付着していないので、被塗物
の回転によって従来のように台車に付着した塗料が粉塵
化し浮遊して被塗物の塗装面に付着したり又は傷を付け
たりするおそれが全くなく、最良の塗装面を形成するこ
とができ、被塗物の品質を著しく向上させるものであ
る。

【００１８】さらに、台車下半部に塗料が付着しないこ
とによって、台車走行手段等が円滑に機能して台車搬送
を支障なく遂行させることができ、また、被塗物の回転
駆動も確実に行われる等、その効果は著大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の正面図である。

【図２】本発明の要部側面図である。

【図３】従来例の正面図である。

【図４】従来例の側面図である。

【符号の説明】

１ 台車 ６Ａ，６Ｂ 中空支柱体 ７Ａ，７Ｂ 被塗物回転支持被動軸 ８ 被塗物回転駆動軸 １０ 伝動手段 １５ 中空支柱体挟窄部 １６ スリット通路 １７ 塗料付着防止カバー板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送台車の前後端部に夫々立設した一対
   の中空支柱体の上部に該台車の進行方向の同一軸線上で
   被塗物を回転支持する被動軸を挿通軸受し、前記中空支
   柱体の一方の下部台枠に該台車の進行方向に直交する被
   塗物回転駆動軸を挿通軸受し、該駆動軸と前記被動軸の
   伝動手段のみを前記一方の中空支柱内に収納して、一対
   の中空支柱体の夫々の中央部位の前記搬送台車の左右側
   方向の巾を挟窄化して挟窄部を形成し、該挟窄部の通過
   を許容するスリット通路を有し搬送台車の下半部を覆う
   塗装付着防止カバー板を被塗物の塗装ラインに沿って搬
   送台車走行架台上に固設した回転塗装用搬送台車の塗料
   付着防止装置。