JPH0520987U - クローラ型運搬車のクローラ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 〔目的〕 クローラ型運搬車が曲がった階段を登坂する
とき、左右のクローラの踏面が全長に亘って接地するよ
うにする。 〔構成〕 クローラを巻き掛けて主輪の前後に従輪と副
輪を配し、従輪を支持するフレームを主輪を中心に左右
独立して回動可能に構成し、主輪、従輪および副輪にか
けてのクローラが１８０°から鋭角の範囲に変更可能に
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、クローラ型運搬車のクローラ構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

小型簡易の自走式のクローラ型運搬車が知られており、このような運搬車は小 回りがきくから、これに家庭用品等を積んで階段等を登ることがある。

【０００３】 図２はこの運搬車の側面図であるが、車体１０に対して強制駆動される主輪１ ２を設け、この主輪１２の前後に従輪１４と副輪１６を配してこれら主輪１２、 従輪１４および副輪１６にクローラ１８を巻き掛けているものである。これによ り、クローラ１８の踏面は複数の階段に跨がることができるから、階段走行も可 能になるのである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、真っ直ぐな階段ではこれでよいのであるが、曲がっている階段では 内側と外側では傾斜角が異なることになってクローラの踏面のうち、接地しない 部分が生ずる。 図５は階段の平面図、図６は側面図であるが、階段の外側Ｏは内側Ｉよりも傾 斜角度は小さくなる。したがって、クローラの内側の踏面を接地させると、外側 の踏面の前方部分が浮き、逆に外側の踏面を接地させると、内側の踏面の後方部 分が浮くことになり、いずれも車体の不安定さは免れない。 この考案は、このような課題を解決するものであって、要は、左右のクローラ の踏面の角度をそれぞれ独立して変更できるようにしたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このような課題を解決するため、この考案は、強制駆動される主輪の前後に従 輪と副輪を配し、これら主輪、従輪および副輪にクローラを巻き掛けたクローラ 型運搬車において、前記従輪を支持するフレームを前記主輪を中心に左右独立し て回動可能に構成し、前記主輪、従輪および副輪にかけての前記クローラの踏面 が１８０°から鋭角の範囲に変更可能にしたことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】

以上の手段をとることにより、フレームの回動角度を変えることで、クローラ の踏面の角度は左右別々に変更できる。しかも、従輪と副輪とにおよぶクローラ の踏面を１８０°にすると、踏面の長さは延長される。

【０００７】

【実施例】

図１はクローラの踏面を変更する構成の説明図であるが、左右の主輪１２の中 心からそれぞれフレーム２０を前延させ、このフレーム２０の先端に従輪１４を 取り付ける。そして、各フレーム２０と車体１０との間には各々油圧シリンダ２ ２を介設し、この油圧シリンダ２２を伸縮させることで、フレーム２０の回動角 度が変更できるようにするのである。なお、主輪１２、従輪１４および副輪１６ で形成されるクローラ１８の踏面の角度は１８０°から鋭角の範囲に変更される ようにしておく。

【０００８】 以上により、平地走行の場合には、油圧シリンダ２２を縮短させて従輪１４を 上げ、クローラ１８は主輪１２と従輪１４間とが踏面となる鋭角に設定して走行 する（図２参照）。これに対して直行階段を登坂するときには、油圧シリンダ２ ２を伸長させて従輪１４を下げ、クローラ１８の踏面は従輪１４、主輪１２およ び副輪１６に亘ってほぼ一直線に設定して走行する（図３参照）。

【０００９】 ところで、このような従輪１４の上げ下げは、ハンドル２４に設けられる変更 レバー２６によって行う。すなわち、油圧シリンダ２２を制御する方向切換弁２ ８をレバー３０を動かすことで切り換えるようにしておき、このレバー３０を変 更レバー２６とワイヤ等３２で連結されるアーム３４で作動させるようにしてお くのである。これにより、変更レバー２６を上、または下位置にすると、その動 きはアーム３４およびレバー３０を動かして方向切換弁２８を作動させ、油圧シ リンダ２２を縮伸させるのである（アーム３４とレバー３０とはスプリング３６ を介挿するワイヤ３８で繋がっている）。

【００１０】 さらに、この考案では、従輪１４の上げ下げはハンドル２４に設けられる操向 レバー４０の握り操作でもできるようになっている。具体的には、一方の操向レ バー４０を握ると、ミッション４２に設けられたレバー４４を回動して当該側の 動力伝達を切断するのであるが、このときのレバー４４の動きは前記したレバー ３０にも伝えられるようになっているのである。すなわち、操向レバー４０の一 方を握ってこちら側に旋回しようとすると、その動きはワイヤ等４５等によって アーム３０を回動させ、同時にワイヤ等４６等を介してレバー３０を動かし、こ ちら側の方向切換弁２８を切り換えて油圧シリンダ２２を縮短させて従輪１４を 上げるようになっているのである。これにより、旋回内側のクローラ１８の前方 が持ち上がるから、これに伴って後部が相対的に下がり、内側、外側のクローラ １８とも全長に亘って接地するようになるのである（図４参照）。なお、平地走 行のときにこのような動きをすると具合が悪いので、解除レバー４８やリンク５ ０によってワイヤ４６（アウタワイヤ４６ａ）の働きを減殺し、操向レバー４０ を握っても従輪１４は上下しないようにしておく。

【００１１】

【考案の効果】

以上、この考案は前記したものであるから、曲がった階段を登坂するとき、左 右のクローラは全長に亘って接地し、車体の安定性が向上する。また、クローラ に一部不接地があると、車体は振動して操縦者が疲労し、積載物も揺れるが、そ のようなこともない。さらに、不接地部分があると、車体の剛性が要求され、重 量の重いものにならざるを得ないが、このように全面接地に近い構造になると、 その必要もなくなり、車体を軽量化できる利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】クローラの踏面の角度を変更する構造の説明図
である。

【図２】運搬車の側面図である。

【図３】運搬車の側面図である。

【図４】運搬車の側面図である。

【図５】階段の平面図である。

【図６】階段の側面図である。

【符号の説明】

１２ 主輪 １４ 従輪 １６ 副輪 １８ クローラ ２０ フレーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 強制駆動される主輪（１２）の前後に従
   輪（１４）と副輪（１６）を配し、これら主輪（１
   ２）、従輪（１４）および副輪（１６）にクローラ（１
   ８）を巻き掛けたクローラ型運搬車において、前記従輪
   （１４）を支持するフレーム（２０）を前記主輪（１
   ２）を中心に左右独立して回動可能に構成し、前記主輪
   （１２）、従輪（１４）および副輪（１６）にかけての
   前記クローラ（１８）の踏面が１８０°から鋭角の範囲
   に変更可能にしてなるクローラ型運搬車のクローラ構
   造。