JPH05208411A

JPH05208411A - 中空コンクリートスラブ用基板の構造および製造方法

Info

Publication number: JPH05208411A
Application number: JP1719092A
Authority: JP
Inventors: Terumaro Nagai; 照麿永井
Original assignee: Sekisui Plastics Co Ltd
Current assignee: Sekisui Kasei Co Ltd
Priority date: 1992-01-31
Filing date: 1992-01-31
Publication date: 1993-08-20

Abstract

(57)【要約】【構成】コンクリート打設により成型されたコンクリ
ート基板３を硬化させた後、この硬化したコンクリート
基板３表面に、接着剤５を介して埋込材４を張り付け固
定する。【効果】蒸気養生中は、コンクリート基板３表面は何
ものにも覆われていない均一平面の状態で均一に乾燥硬
化されるので、コンクリート基板３の乾燥むらはなくな
るとともに、コンクリート基板３の乾燥速度も速くな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂製の発泡成形
品からなる埋込材をコンクリート基板に連結固定させる
ことにより得られる中空コンクリートスラブ用基板の製
造方法および構造に関し、特に、コンクリート基板の硬
化後に、埋込材を接着剤を介してコンクリート基板に取
り付けるようにした中空コンクリートスラブの製造方法
および構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の床材、天井材として構成される
コンクリートスラブの施工法として、軽量化、遮音効果
を向上させる目的で、材料を中空化したり軽量の埋込材
をコンクリート内部に埋込んで使用することが一般に広
く知られている。しかしながら、このような施工法では
中空部の製作に手数を要したり、埋込材の取付施工が容
易でないという欠点があった。

【０００３】従来、これらの問題点を解決する技術とし
て、特公昭５７ー４７００８号に示されるように、合成
樹脂の発泡成形品からなる埋込材をコンクリート基板が
未硬化の養生過程中において配設するとともに係止具を
用いて埋込材をコンクリート基板に定着させ、コンクリ
ート基板の固化によって埋込材をコンクリート基板と連
結固定させるようにすることが考えられている。図６
は、そのような従来の中空コンクリートスラブ用基板構
造を模式的に示すものである。

【０００４】図６において、中空コンクリートスラブ用
基板を組み立てるには、まず載置台（図示省略）上にト
ラス筋０１が固設された格子状の鉄筋０２をセットし、
その鉄筋０２で囲まれた枠の中に混練されたコンクリー
トを打設することによりコンクリート基板０３を成型す
る。次に、コンクリート基板０３が未硬化のうちに合成
樹脂製の発泡成形品からなる下面開口の箱状の埋込材０
４を所定の位置に配置し、係止具０５を用いて埋込材０
４をコンクリート基板０３に定着させる。こうして埋込
材０４とコンクリート基板０３とで囲まれた中空部０６
が形成される。そして、蒸気養生過程を経てコンクリー
トが硬化し、埋込材０４はコンクリート基板０３に堅固
に一体化される。このようにして製造した中空コンクリ
ートスラブ用基板を現場に搬入し所定の位置にセットし
た後、スラブ上端筋を配筋し現場打ちコンクリートを打
設して完了する。

【０００５】このような構造および製造方法により、コ
ンクリート基板０３と埋込材０４とを一体化させて運搬
でき、埋込材０４の運搬費が節約できる。また、後打ち
コンクリート打設時に埋込材０４の浮き上がりがなくな
り、中空部が所定の位置に確実に形成される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の中空コンクリートスラブ用基板では、コンクリート
基板０３が未硬化のうちに埋込材０４を所定の位置に配
置し、係止具０５を用いてコンクリート基板０３に取り
付けているので、埋込材０４のコンクリート基板０３へ
の取付部位０７において押圧力が作用し、埋込材０４が
未硬化のコンクリート基板０３に埋め込まれた分だけコ
ンクリート基板０３表面に盛り上がり部分が形成され
る。

【０００７】このように、前記従来技術においては、埋
込材０４のコンクリート基板０３への圧着取付作業は施
工者の経験に頼らざるを得なかったので、コンクリート
基板０３上に形成される前記盛り上がり部分の大きさ
は、埋込材０４毎に異なることが多く、その表面の平面
均一さ及び製品均質さを欠き、コンクリート基板０３の
乾燥むらを生じさせていた。また、コンクリート用基板
乾燥のための蒸気養生工程中において、埋込材０４とコ
ンクリート基板０３とで囲まれた中空部０６は閉空間と
なっているので、この箇所においてコンクリートの乾燥
（硬化）が遅れていた。

【０００８】そして、前記盛り上がり部分が存在するこ
とにより、埋込材０４とコンクリート基板０３とで囲ま
れた中空部０６の空間が十分確保できず、断熱性および
遮音効果が低下するという問題点があった。さらに、中
空コンクリートスラブ用基板製造時の蒸気養生工程中に
おいて蒸気が埋込材０４とコンクリート基板０３とで囲
まれた中空部０６内に閉じ込められ、蒸気養生工程終了
後もこの蒸気が水滴となって残り、埋込材０４設置部分
の乾燥を遅らせていた。そして、蒸気養生工程中、中空
部０６内の蒸気熱によって埋込材０４が変形することも
あった。そして、上述のように中空部０６内に水分が閉
じ込められた状態の基板が現場で取付施工されると、乾
燥収縮あるいは過載荷重によるスラブのたわみ等のアク
シデントによって基板にひびわれが生じた場合、仕上材
にかびがはえる事もあり得る。

【０００９】本発明は、上記問題点および検討結果に鑑
みてなされたものであって、その目的は、中空コンクリ
ートスラブ用基板の乾燥の遅れを防止するとともに、埋
込材の中空部空間を十分確保して断熱性および遮音性能
を向上させ、簡単な施工で安定した品質の中空コンクリ
ートスラブ用基板の製造方法および構造を提供すること
である。

【００１０】

【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決す
るために案出した本発明の構成を説明するが、本発明の
構成要素には、後述の実施例の構成要素との対応を容易
にするため、実施例の構成要素の符号をカッコで囲んだ
ものを付記している。なお、本発明を後述の実施例の符
号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易に
するためであり、本発明の範囲を実施例に限定するため
ではない。

【００１１】前記課題を解決するために本出願の第１発
明の中空コンクリートスラブ用基板（Ｃ）の製造方法
は、合成樹脂製の発泡成形品からなり下面開口の箱状の
埋込材（４）を、コンクリート基板（３）に連結固定さ
せる中空コンクリートスラブ用基板（Ｃ）の製造方法に
おいて、前記コンクリート基板（３）が十分硬化した後
に、前記コンクリート基板（３）表面に接着剤（５）を
介して前記埋込材（４）を取り付けたことを特徴とす
る。

【００１２】また、本出願の第２発明の中空コンクリー
トスラブ用基板（Ｃ）は、合成樹脂製の発泡成形品から
なり下面開口の箱状の埋込材（４）を、コンクリート基
板（３）に連結固定させた中空コンクリートスラブ用基
板（Ｃ）において、前記コンクリート基板（３）と前記
埋込材（４）とを接着剤（５）を用いて固着したことを
特徴とする。

【００１３】

【作用】前述の製造方法からなる本出願の第１発明の中
空コンクリートスラブ用基板の製造方法において、コン
クリート打設によりコンクリート基板（３）を成型し、
このコンクリート基板（３）を十分硬化させる。次に、
この硬化したコンクリート基板（３）表面に、接着剤
（５）を介して埋込材（４）を張り付け固定する。ここ
で、蒸気養生工程中は、コンクリート基板（３）表面は
何ものにも覆われていない均一平面の状態で均一に乾燥
硬化されるので、コンクリート基板（３）の乾燥むらは
なくなるとともに、コンクリート基板（３）の乾燥速度
も速くなる。

【００１４】また、前述の構造を備えた本出願の第２発
明の中空コンクリートスラブ用基板において、コンクリ
ート打設により成型されたコンクリート基板（３）を十
分硬化させる。そして、十分硬化させたコンクリート基
板（３）の均一平面に、接着剤（５）を介して埋込材
（４）を張り付けることにより両者を連結固定したもの
であるので、埋込材（４）とコンクリート基板（３）と
で囲まれた中空部（６）の空間を十分に確保でき、断熱
性および遮音性能を維持することができる。

【００１５】

【実施例】以下、図面により本発明の実施例を説明す
る。図中、図１〜５は本出願の発明による一実施例を示
すもので、図１はその全体の概略を示す全体斜視図、図
２は図１のII-II 線断面図、図３はコンクリート基板製
造工程の要部断面図、図４は埋込材の表面斜視図、図５
は埋込材の裏面斜視図である。

【００１６】図２から明らかなように、この中空コンク
リートスラブ用基板は基本的には従来のものと同様に構
成されている。すなわち、中空コンクリートスラブ用基
板Ｃは、トラス筋１、鉄筋２、コンクリート基板３、お
よび合成樹脂製の発泡成形品からなる埋込材４から構成
されている。そして、コンクリート基板３表面にはトラ
ス筋１および鉄筋２が埋込まれるとともに、埋込材４は
接着剤５を介してこれに取り付け固定されている。

【００１７】この中空コンクリートスラブ用基板Ｃを組
み立てるには、先ず、載置台（図示せず）上にトラス筋
１を固設した格子状の鉄筋２をセットし、その鉄筋２で
囲まれた枠の中に予め混練されたコンクリートを打設す
ることによりコンクリート基板３を成型する（図３）。
次に、このコンクリート基板３を、蒸気養生過程を経て
コンクリートを十分硬化させる。そして、埋込材４を接
着剤５を介してコンクリート基板３に張り付け固定さ
せ、接着剤乾燥の後にこれらは一体化される。

【００１８】図４、５において、埋込材４は合成樹脂製
の発泡成形品から成形され、全体として下面開口の箱状
の形状を成している。この埋込材４の中空内部には格子
状の内脚部４１を設け、強度をもたせている。このよう
にして一体的に形成された中空コンクリートスラブ用基
板Ｃを現場に搬入し所定の位置にセットした後、スラブ
上端筋（図示省略）を配筋し後打ちコンクリートを打設
して完了する。

【００１９】次に、このように製造され、構成された中
空コンクリートスラブ用基板Ｃの作用について説明す
る。蒸気養生工程において、コンクリート基板３の表面
が、何ものにも覆われていない（閉空間のない）均一平
面の状態で均一に乾燥されるので、コンクリート基板３
の乾燥むらはなくなり、乾燥速度も速くなる。そして、
この乾燥硬化したコンクリート基板３の均一表面に接着
剤５を介して埋込材４を張り付け固定しているので、埋
込材４とコンクリート基板３とで囲まれた中空部６の空
間を十分に確保することができ、断熱性および遮音性能
を維持することができる。また、コンクリート基板３表
面が十分に乾燥した後で埋込材４を取り付けているの
で、前記中空部６内に水分が閉じ込められることがな
く、埋込材４取付部位（特に、中空部６）での乾燥遅れ
や、埋込材４の変形を防止することができる。（変更例）以上、本発明の実施例を説明したが、本発明
は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲を逸脱することなく種々の小設計変更を行うことが
可能である。

【００２０】たとえば、埋込材４をコンクリート基板３
に取り付けるのに、接着剤５と併用させて、前記従来技
術に示したような係止具をも用いることも可能である。

【００２１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、埋込材の構造が簡素であり、その取付施工も
容易であるので、中空コンクリートスラブ用基板全体と
しても簡素な構造とすることができ、また、その製造も
容易なものとなる。また、中空コンクリートスラブ用基
板の乾燥の遅れを防止するとともに、蒸気養生工程中で
の埋込材の変形および現場での施工後における中空コン
クリートスラブ用基板の変形やひびわれによるかびの発
生を防止することができ、断熱性および遮音性能を向上
させることができる。したがって、中空コンクリートス
ラブ用基板の製品としての安定的な品質向上を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本出願の中空コンクリートスラブ用基板の全
体の概略を示す全体斜視図。

【図２】図１のII−II 線断面図。

【図３】コンクリート基板製造工程の要部断面図。

【図４】埋込材の表面斜視図。

【図５】埋込材の裏面斜視図。

【図６】従来の中空コンクリートスラブ用基板の要部
断面図。

【符号の説明】

Ｃ…中空コンクリートスラブ用基板、３…コンクリート
基板、４…埋込材、５…接着剤

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】合成樹脂製の発泡成形品からなり下面開
口の箱状の埋込材を、コンクリート基板に連結固定させ
る中空コンクリートスラブ用基板の製造方法において、
前記コンクリート基板が十分硬化した後に、前記コンク
リート基板表面に接着剤を介して前記埋込材を取り付け
たことを特徴とする中空コンクリートスラブ用基板の製
造方法。
【請求項２】合成樹脂製の発泡成形品からなり下面開
口の箱状の埋込材を、コンクリート基板に連結固定させ
た中空コンクリートスラブ用基板において、前記コンク
リート基板と前記埋込材とを接着剤を用いて固着したこ
とを特徴とする中空コンクリートスラブ用基板。