JPH06262610A - 埋設型枠板及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 埋設型枠板とこれに打込まれるコンクリート
との結合力を向上させる。 【構成】 埋設型枠板１には、型枠本体２の内面２ａか
ら突出する多数のアンカーピン３を埋設しておく。該埋
設型枠板１を３枚又は４枚組み合わせて型枠を作りコン
クリートを打込むと、アンカーピン３の突出部分は、打
込まれたコンクリート内に埋没して、該コンクリートと
埋設型枠板１は強固に結合する。 【製法】 モルタル中にアンカーピン３を埋設し、モル
タル上面に遅延剤を散布し、下層が硬化したのち表層を
洗い流す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンクリートを打込む
ときには型枠として使用され、コンクリートが硬化した
ときは該コンクリートと一体となって構造物の一部とな
るようにした、モルタル板で作られる埋設型枠板に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】埋設型枠板は、外面が構造物の表面にな
るため、骨材として硅砂を用いて緻密に作られるのが一
般である。ところが、組織が緻密であるために、打込ま
れるコンクリートとの付着力が低く、該コンクリートと
一体となって荷重を負担させることは困難であり、型枠
及び外装材としてだけの利用にとどまる場合が多い。

【０００３】そこで、表面にワイヤブラシをかけたり、
砂を噴射して表面を荒したりするグリーンカットの手段
を施しても、微細な硅砂の表面が出るだけであるから、
粗度は低く、付着力の増大はさほど期待できない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、打込まれる
コンクリートが強固に結合できる埋設型枠板を得ること
を課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の埋設型枠板の構成は、請求項１に記載したとおり、多
数の結合筋の各一部分を型枠本体の内部に埋設し、該結
合筋の他部材を型枠本体の内面から突出させて設けたこ
とを特徴とする。

【０００６】また、前記の埋設型枠板の製造方法は、請
求項２に記載したとおり、成形中のモルタル層に、一端
が該モルタル層の表面に達する多数の結合筋を埋設し、
モルタル層の表面に遅延剤を塗布して該遅延剤を表層に
浸透させ、下層のモルタルが硬化したのち表層のモルタ
ルを洗い流すことを特徴とする。

【０００７】

【作用】前記の埋設型枠板においては、結合筋が突出し
た面を内面として用いることにより、打込まれる生コン
クリート内に結合筋が埋没し、埋設型枠板と打込まれた
コンクリートは強固に結合する。

【０００８】また、前記の製造方法によれば、遅延剤は
不均一に浸透するため、硬化遅延部分を洗い流すと、硬
化した粗い凹凸面が現われ、かつ結合筋の一部が露出し
て、結合性のよい埋設型枠板が得られる。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。

【００１０】図１において１は本発明の埋設型枠板で、
２はモルタルで作られた型枠本体、３は結合筋として作
用するアンカーピンである。この埋設型枠板１は、アン
カーピン３が露出した面を内面２ａとし、反対面を外面
２ｂとし使用されるものであり、各アンカーピン３は、
ネット４に編み込んだり接着等の手段で固定されてお
り、その下半部が型枠本体２中に埋込まれる。この埋設
型枠板１は、例えば図２に示すように角筒体５として組
合わせ、その内部にコンクリート６を打ち込んで該コン
クリート６と角筒体５が一体になった柱を構成させ、埋
設型枠板１は該柱の一部となると共に外装体となる。

【００１１】前記アンカーピン３は、図３に示すように
両端に頭部３ａ、３ｂをもつ両頭ピンとするのが好まし
く、一方の頭部３ｂが型枠本体２に埋没し、他方の頭部
３ａが内面２ａ上に露出する。したがって、角柱体５内
にコンクリート６が打込まれると、該コンクリート６
は、型枠本体２の内面２ａに付着力で結合すると共に頭
部３ａを含むアンカーピン３を埋没させ、型枠本体２に
強固に結合し、強度の高い柱体が形成される。

【００１２】また、型枠本体２の内面２ａとコンクリー
ト６の付着力は、型枠本体２を次の方法で製造すること
により更に増大させることができる。図４はその製造方
法を示し、図４（ａ）で７は箱形の成形型である。

【００１３】まず、該成形型７にモルタルＭを約半量打
込んだ上にピン付きネット４を載置し、更に半量のモル
タルＭを打込んで成形型７を満たす。

【００１４】次に、モルタルＭの表面に遅延剤を散布し
て、表層８に浸透させる。該表層８の深さは、アンカー
ピン３の高さの約半分までとする。そして、下層が硬化
したのち、成形型７に入れたまま又はこれから取出して
未硬化の表層８を洗い流すと、図４（ｂ）に示すように
アンカーピン３の上半部は、型枠本体２の表面すなわち
内面２ａから露出した状態になり、所望の埋設型枠板１
が得られる。

【００１５】前記の工程中に、遅延剤は、モルタルＭ中
に均等に浸透することはできないので、未硬化の表層８
の厚さは不均一になり、このため内面２ａには粗い凹凸
面が形成される。そして、この凹凸面に更に細骨材の表
面の凹凸が重複するので、複雑で広い付着面が形成さ
れ、埋設型枠板として使用したときコンクリート６との
間に高い付着力が発生する。

【００１６】なお、前記工程において、ピン付きネット
４を埋設する時期は、成形型７にモルタルＭの全量を注
入したのち、表面に遅延剤を散布する前の全体が未硬化
のときであってもよく、モルタルＭの上面にピン付きの
ネット４を置いて各ピン３を加圧板で押すことにより埋
設することができる。

【００１７】また、モルタルＭ上にピン付きネット４を
置いた状態で押出し成形することにより、ピン付きネッ
ト４を埋没させることができる。

【００１８】前記実施例は、結合筋としてアンカーピン
３を用いているが、これに限らず適宜の構造の結合筋を
用いることができる。図５はその１例を示すもので、ネ
ット９から結合筋となる多数のアンカワイヤ９ａが上向
きに突出した構成をもち、該アンカワイヤ９ａの上半部
が型枠本体２の内面２ａから突出するように埋設され
る。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
１の手段によれば、型枠本体から多数の結合筋が突出し
ているので、該結合筋が打込まれるコンクリートの内部
に埋没し、型枠本体は、コンクリートと強固に結合する
ことができ、型枠及び外装材としての役割を果たすと共
に、構造物の一部としての強度部材となって荷重を負担
できる利点を有する。

【００２０】また、請求項２の手段によれば、内面に結
合筋が突出した埋設型枠板を容易に作ることができ、か
つ該内面を、硬化遅延の不均一に基づく粗い凹凸面と、
細骨材の表面の露出によるこまかい凹凸面が重複した複
雑な凹凸面とすることができて、打込まれるコンクリー
トとの間に高い付着力が発生する埋設型枠板が得られる
利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 埋設型枠板の一実施例の斜視図

【図２】 同実施例の使用方法を示す斜視図

【図３】 結合筋の一実施例の側面図

【図４】 埋設型枠板の製造工程説明図

【図５】 結合筋の他の実施例の斜面図

【符号の説明】

１ 埋設型枠板 ２ 型枠本体 ２ａ 内面 ２ｂ 外面 ３ アンカーピン（結合筋） ９ａ アンカーワイ
ヤー（結合筋）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の結合筋の各一部分を型枠本体の内
   部に埋設し、該結合筋の他部材を型枠本体の内面から突
   出させて設けたことを特徴とする埋設型枠板。
2. 【請求項２】 成形中のモルタル層に、一端が該モルタ
   ル層の表面に達する多数の結合筋を埋設し、モルタル層
   の表面に遅延剤を塗布して該遅延剤を表層に浸透させ、
   下層のモルタルが硬化したのち表層のモルタルを洗い流
   すことを特徴とする埋設型枠板の製造方法。