JPH0520111Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、甘藷等の苗移植機に係り、詳しく
は、トラクタにアタツチメントとして装着するだ
けで、甘藷苗等の植付作業等を確実に行うことが
できる構造の簡単な苗移植機に関するものであ
る。

従来の技術 一般に甘藷苗等に圃場に移植するには、畦面に
向つて回転するプランタに苗を保持させて順次植
付けるようにしたもの等が知られているが、この
種の移植機は、いずれも、エンジン、トランスミ
ツシヨン等を塔載した走行機体にプランタを装着
した専用機しか知られていない。そこで、トラク
タにアタツチメントとして装着するのみで苗を植
付けることができる構造の簡単な移植機の出現が
要望されている。ところが、甘藷苗等を植付ける
ための畦は、その間隔が狭いため、小型のトラク
タしか使用することができず、このようなトラク
タに、アタツチメントとして装着できるように、
プランタを塔載した苗移植機の構造を簡単でしか
も牽引に耐える強固なものとするのは難しく、こ
のためトラクタ牽引形の苗移植機は未だ知られて
いないのが実状である。

本考案が解決しようとする問題点 本考案は上記の如き実状に鑑み、従来の問題点
を解消すべく創案されたものであつて、その目的
とするところは、小型のトラクタにアタツチメン
トとして容易に装着できるようにした構造の簡単
なものでありながら、機体の走行に伴つて、畦の
上面形状を予め整形し、ついで苗植付部が適正な
植付深さに苗を植込むことができ、しかも機体全
体をトラクタの牽引に対応できる強固なものとし
た苗移植機を提供しようとするにある。

問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するため、本考案が採用し
た技術的手段は、左右の走行車輪を備えた機体フ
レームに苗植付部を塔載し、トラクタで牽引する
ようにした苗移植機であつて、上記機体フレーム
をトラクタの連結装置に上下に揺動する揺動体を
介してローリング自在に装着し、少くとも一方の
走行車輪に苗植付部を連動連結して機体の走行に
伴つて苗植付部を駆動可能に構成すると共に、上
記機体フレームの左右対向間に亘つて、畦の上面
形状を整形する巾広の均らし板を架設し、かつ該
均らし板に苗植付部を上下調節自在に連結して苗
の植付深さを規制すべく構成したことを特徴とす
るものである。

考案の作用 したがつて本考案によれば、トラクタで牽引し
て苗を移植するに当り、進行中、トラクタが左右
に傾いても、揺動体が上下に揺動して機体フレー
ムがローリングするので、左右の走行車輪が地面
から離れることなく常に接地して回転し、このた
め少くとも一方の走行車輪に連動連結された苗植
付部は確実に駆動されて苗を植付けることができ
る。そして苗が植付けられる畦面は、その上面形
状を巾広の均らし板が機体の走行に伴つて予め整
形するので、均らし板に連結された上下調節自在
の苗植付部により常に畦面を基準とした正確な植
付深さとすることができ、しかも機体フレームの
左右対向間に亘つて架設された均らし板が、補強
材となつて機体の構造をトラクタの牽引に耐える
強固なものとすることができるものである。

実施例 本考案の実施例を添付した図面に基づいて説明
すれば、１は苗移植機であつて、後部に左右の走
行車輪２，２を備えた機体フレーム３に、苗植付
部４が平行リンク機構５を介して上下動可能に塔
載されている。機体フレーム３の前端部には下方
に拡開した門形のフレームパイプ６が固着されて
おり、該フレームパイプ６の下端部を揺動体７を
介してトラクタ８のロワーリンク９に連結するこ
とにより、苗移植機１はトラクタ８に対してロー
リング自在となつている。すなわち、フレームパ
イプ６の下端１０を上下方向に切断して、側方に
向つて楕円形となつた切断面に取付板１１が、溶
着されており、更にこの取付板１１に、後端側に
取付孔１２が穿設された支持板１３が溶着されて
いる。そして上記取付孔１２にピン１４を介して
揺動体７が上下揺動自在に軸支されており、該揺
動体７の先端側に突設した取付ピン１５をトラク
タ８のロワーリンク９に連結することにより、走
行中トラクタ８が左右に傾いても、上記揺動体７
が揺動して機体がローリングし、左右の走行車輪
２，２が浮上ることなく両輪とも常に地面と接触
するようになつている。

１６は右側の走行車輪２の車軸であつて、該車
軸１６は、走行車輪２の上方に位置して左右方向
に軸架された伝動軸１７とスプロケツト１８，１
９およびチエン２０を介して連動連結されてお
り、伝動軸１７の内側端に設けたスプロケツト２
１と、前記苗植付部４を構成するプランタ２２の
回転軸２３に取付けたスプロケツト２４とにチエ
ン２５を懸回して連動連結することにより、走行
車輪２の回転に連動してプランタ２２が回転し、
プランタ２２に保持させた苗を順次畦に植付ける
ようになつている。また左側の走行車輪２はプラ
ンタ２２と連動連結されることなく、単に遊転自
在に軸支されている。

２６は畦の上面形状を整形する巾広の均らし板
であつて、長孔２７に挿通した取付ボルト２８に
より、フレームパイプ６の左右対向間に亘つて、
上下方向調節自在に取付固定されており、フレー
ムパイプ６の門形の上端中央部は、トラクタ８の
トツプリンク２９に連結されている。３０は、上
記均らし板２６の上面に溶着された当て板であつ
て、苗植付部４の前端に設けた支持アーム３１に
螺合する上下方向の調節ネジ３２の下端部が当接
し、上記調節ネジ３２を廻すことにより、苗植付
部４を上下動させれば、均らし板２６を基準とし
て苗の植込み深さを調節することができる。

３３はステツプであつて、機体フレーム３から
側方に延出されたパイプ３４に取付固定されてい
る。

３５は、フレームパイプ６の下端１０と、取付
板１１および支持板１３間にわたつて溶着された
補強板、３６は揺動体７の下方ストツパ、３７は
上方ストツパであつて、上方ストツパ３７は取付
板１１と支持板１３とに溶着され補強材を兼ねて
いる。３８は座席である。

上記の如き構成において、いま、苗移植機１を
トラクタ８で牽引し、畦に沿つて走行すれば、接
地抵抗によつて回転する走行車輪２に連動してプ
ランタ２２が回転駆動されるので、座席３８に座
した運転者が、プランタ２２に供給した甘藷苗を
機体の走行に伴つて順次畦上に植込むことができ
る。そしてトラクタ８が左右に傾いても、揺動体
７が揺動して機体がローリングし、走行車輪２，
２が浮上することはなく両輪とも常に接地してい
るので、一方の走行車輪２のみにプランタ２２を
連動させた構造の簡単なものでありながら、プラ
ンタ２２は常に回転駆動されることになり確実に
苗の移植作業を行うことができる。そして苗を植
付ける畦面は、その上面形状から均らし板２６に
より機体の走行に伴つて予め整然と整形されるの
で、調節ネジ３２を廻して苗植付部４を上下動さ
せれば、均らし板２６を基準として苗の植込み深
さを正確に調節することができ、甘藷苗のように
収穫量を増すため浅植えが望ましい場合でも、均
らし板２６で整形した畦面から適正な植付深さに
確実に植込むことができる。そのうえ均らし板２
６は、フレームパイプ６の門形の左右対向間に亘
つて取付固定されているので、楕円形の切断面に
溶着した取付板１１および該取付板１１と支持板
１３間にわたつて溶着された補強板３５等の補強
作用と相俟つて、機体全体をトラクタ８の牽引に
対応することができる強固なものとすることがで
きる。

考案の効果 これを要するに本考案は、左右の走行車輪を備
えた機体フレームに苗植付部を塔載し、トラクタ
で牽引するようにした苗移植機であつて、上記機
体フレームをトラクタの連結装置に上下に揺動す
る揺動体を介してローリング自在に装着し、少く
とも一方の走行車輪に苗植付部を連動連結して機
体の走行に伴つて苗植付部を駆動可能に構成する
と共に、上記機体フレームの左右対向間に亘つて
畦の上面形状を整形する巾広の均らし板を架設
し、かつ該均らし板に苗植付部を上下調節自在に
連結して苗の植付深さを規制すべく構成したか
ら、苗植付部を走行車輪に連動連結し、小型トラ
クタにアタツチメントとして装着できるようにし
た構造の簡単なものでありながら、走行中トラク
タが傾いても機体がローリングするので走行車輪
が地面から離れることはなく確実に苗植付部を回
転駆動させて苗を植付けることができる。そして
苗を植付ける畦面は、巾広の均らし板により上面
形状を整然と整形することができ、しかも苗植付
部は均らし板に対して上下調節できるので、予め
整形された畦の上面に適正な植付深さで苗を正確
に植込むことができる。そのうえ機体フレームの
左右対向間に亘つて架設した均らし板が補強材と
なるので、機体全体をトラクタの牽引に充分対応
する強固なものとすることができる等、極めて有
用な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る苗移植機の実施例を示すも
のであつて、第１図は全体側面図、第２図は要部
の正面図、第３図は要部の背面図、第４図は要部
の平面図、第５図Ａ，Ｂはそれぞれ揺動体の側面
図および分解斜視図、第６図は均らし板の斜視図
である。 図中、１……苗移植機、２……走行車輪、３…
…機体フレーム、４……苗植付部、７……揺動
体、９……ロワーリンク、２６……均らし板であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右の走行車輪を備えた機体フレームに苗植付
   部を塔載し、トラクタで牽引するようにした苗移
   植機であつて、上記機体フレームをトラクタの連
   結装置に上下に搖動する搖動体を介してローリン
   グ自在に装着し、少くとも一方の走行車輪に苗植
   付部を連動連結して機体の走行に伴つて苗植付部
   を駆動可能に構成すると共に、上記機体フレーム
   の左右対向間に亘つて畦の上面形状を整形する巾
   広の均らし板を架設し、かつ該均らし板に苗植付
   部を上下調節自在に連結して苗の植付深さを規制
   すべく構成したことを特徴とする苗移植機。