JPH05199684A - 同期機のロータとその製造方法 - Google Patents

同期機のロータとその製造方法

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JPH05199684A
JPH05199684A JP4007514A JP751492A JPH05199684A JP H05199684 A JPH05199684 A JP H05199684A JP 4007514 A JP4007514 A JP 4007514A JP 751492 A JP751492 A JP 751492A JP H05199684 A JPH05199684 A JP H05199684A
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裕之 内田
Tomoyoshi Yamamoto
致良 山本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、製造、組立が簡単で、か
つ、回転に伴う遠心力と磁気吸引力の合力によりロータ
コアの表面から貼り付け形永久磁石の剥離、離脱の発生
がない機械的強度を付与可能な機械的ロック構造を有し
た同期機のロータを提供することにある。 【構成】 本発明は、ロータコア33の外周に形成した
凸壁34間に形成される凹形取付座35の座面に向け、
外側から落とし込み式に各永久磁石片36を下面36a
側から設置し、座面上で回転させ、各永久磁石片36が
有するテーパ面を有した切り落とし面36eをロックコ
ア33の凸壁34の相補テーパ面を有した側面34a、
34bに密着、係合させ、以て永久磁石片36とロータ
コア33とを接着固定に加えて、機械的ロック構造によ
る固定構造を有した同期機のロータ30を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同期機、殊に、同期電
動機のロータの構造に関し、回転軸に固定されてヨーク
を成すロータコアの実質的な円筒周面に、固定子の回転
磁界との相互作用により回転トルクを発生する永久磁石
を固定的に配列、具備した構造を有するロータにおける
永久磁石の剥離を防止する改良構造と、そのようなロー
タの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】同期機のロータとしては、ヨークを成す
ロータコアと永久磁石とを円周方向に交互に挟持構造で
配置したラジアル形ロータと、円筒形のロータコアの外
周面に複数の永久磁石片を貼り付け式に固定した表面貼
り付け形ロータの2種類の構造が従来から多用されてい
る。このような2種類の同期機用ロータにおいて、後者
の表面貼り付け形ロータでは一般に複数の永久磁石片を
接着剤を用いて実質的に円筒形をしたロータコアの表面
に接着、貼り付けする固定構造をとっている。この場合
には、ロータの回転に伴う遠心力と固定子の磁界との磁
気的相互作用に基づく磁気吸引力との両作用力を受けた
状態で長時間回転する場合にも永久磁石片がロータコア
の表面から剥離しないためには、接着剤の接着強度が各
永久磁石片に作用する上記の遠心力と磁気吸引力との合
力に充分に勝る強度であることが要求される。このため
に、永久磁石片の固定を接着剤にのみ頼る従来の構造を
改善し、同期モータの長寿命を保証できる永久磁石の固
定方法と手段とが要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図12、図13は、上
述した従来の同期機の表面貼り付け形ロータにおける最
も標準的な構造、つまり、永久磁石片の貼着を全面的に
接着剤の強度に依存した構造を示したものである。即
ち、両図は、ロータの正面図と一方き軸端面側から見た
側面図であり、固定子(ステータ)10の円筒内周面と
空隙を介して回転可能に設けられたロータ11は回転軸
12に固定された円筒形のロータコア13の外周面に変
形六角形をした複数の永久磁石片14の底面側を接着剤
で接着固定し、ロータコア13の軸方向の両端面には端
板15を設けてロータコア13の軸方向位置を固定した
構造を有している。図示例では、ロータ11の軸方向に
3つの永久磁石片14を相互に接触状態に組にして配列
し、このような3つの永久磁石片14から成る磁石組を
ロータ11の軸回りに複数組、等間隔で設けた標準的な
構造を備えている。勿論、永久磁石片14の変形々状
は、ステータ10との相互磁気作用による出力トルクの
発生時に、同出力トルクに含まれるトルクリップル成分
を極力、低減させて円滑なロータ回転を得るように工夫
されている。この標準的構造の表面貼り付け形ロータ1
1では、上述のように、接着剤の接着強度に全面的に依
存する構造であり、永久磁石の剥離防止に対して充分な
対策を講じているとは言いえない。
【0004】図14、15は、基本的には、上述した図
12、図13に示した従来例と同一の組立原理で構成さ
れた同期機用のロータ21の他の従来例である。即ち、
同ロータ21も回転軸12に固定された円筒形のロータ
コア13の外周面に変形六角形をした複数の永久磁石片
14が接着固定された構造を有している。このロータ2
1と前記のロータ11との相違は、ロータ21の軸方向
に、相互に接触状態で配列した3つの永久磁石片14が
ロータ21の軸回りに、角度θだけずらして設けて1組
の磁石組を形成し、このようにしてずれ角度θを有する
永久磁石片14の組を複数組、軸回りに等間隔で設けた
構造を有している。つまり、各組の永久磁石片14が角
度θのずれを有することにより、ステータ10と相互磁
気作用で回転出力を得る過程におけるトルクリップルの
低減効果を一層、向上させるようにしたものである。然
しながら、本従来例のロータ21も永久磁石の剥離防止
に対しては、やはり充分な対策を講じているとは言いえ
ない。
【0005】依って、本発明の主目的は、上述した従来
の同期機のロータ、即ち、表面貼り付け式のロータにお
ける問題点を解決することにある。本発明の他の目的
は、永久磁石片をロータコアの実質的に外周面に固定す
る表面貼り付け形ロータにおいて、組立工程が従来より
複雑化することなく、つまり工数増加を生ずることなく
組立可能であると共に、回転に伴う遠心力および固定子
磁界との磁気的相互作用時の磁気吸引力によってロータ
コアの表面から剥離ないし離脱を生ずることがない機械
的固定強度を付与可能な構造を有した同期機の表面貼り
付け形ロータを提供せんとすることにある。本発明の更
に他の目的は、永久磁石片をロータコアに形成した凹形
取付座面に装填するとき、従来の挿入方式よりも簡単
に、コア外周の外側からコア外周面の永久磁石片の取付
座面に落とし込み、同座面で、該永久磁石片を取付座面
に対して垂直な軸線回りに回転によりロック状態となる
ように取付可能な同期機の表面貼り付け形ロータの製造
方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した発明
目的に鑑み、同期機の表面貼り付け式ロータを形成する
に当たり、ロータコアの実質的に円筒形表面の周方向に
所定の間隔で、かつ、軸方向に延長する複数の凸壁を形
成し、該複数の凸壁間に形成された永久磁石片の取付座
面を設け、該ロータコアの取付座面に向けて外側から各
永久磁石片をその下面側から落とし込み、次いで、該取
付座面上で、同座面に対して垂直な軸線まわりに永久磁
石片を回転させることにより、該永久磁石片の側面に形
成したテーパ部分を凸壁の側面に形成した相補形状のテ
ーパ部分と密着、係合させてロック構造を形成し、以て
ロータの回転に伴う遠心力および固定子磁界との相互作
用による磁気吸引力の合力が各永久磁石片をロータコア
面から剥離方向に作用するとき、上記ロータ構造により
離脱阻止がなされるようにしたロータを形成するもので
ある。
【0007】即ち、本発明に依れば、固定子の内周に回
転可能に配置され、実質的に円筒形のロータコアの周面
に貼り付け固定された複数の永久磁石片を有した同期機
のロータにおいて、前記の各永久磁石片は、ロータの回
転中心の軸心方向に見て前端面と後端面とを備え、ま
た、それらの両端面と交叉する両側面を備えると共にロ
ータコアの外周に沿う湾曲上下面を備え、前記両側面に
は、前記前端面及び後端面に接して夫々上面側から下面
側へ末広な所定のテーパ付き切欠き面を備えた多角形の
永久磁石片から成り、前記円筒形のロータコアは、その
周面に、周方向に所定の間隔で配設され、かつ、軸方向
に延設された複数の凸壁と、該複数の凸壁間に形成さ
れ、前記各永久磁石片を前記ロータコアの周面の外側か
ら落とし込むことにより、遊嵌する凹形取付座面と、前
記各凸壁の側面に形成されると共に前記各永久磁石片の
切欠き面が有するテーパと相補形のテーパを有し、か
つ、該各永久磁石片の落とし込み設置に応じて、該永久
磁石片の前記両側面が該凹形取付座面に遊嵌後、該凹形
取付座面に対して垂直な軸線回りに前記各永久磁石片を
回転させたとき、前記テーパ付き切欠き面が密着、係合
する略蟻溝状の凹所とを具備して成り、以て前記永久磁
石片の切欠き面と前記ロータコアの蟻溝状の凹所との密
着、係合により機械的ロック構造が形成され、前記各永
久磁石片の前記ロータコアの周面からの剥離、離脱を阻
止する構成とした同期機のロータが提供される。
【0008】また、本発明に依れば、固定子の内周に回
転可能に配置され、実質的に円筒形のロータコアの周面
に貼り付け固定された複数の永久磁石片を有する同期機
のロータの製造方法であって、ロータの回転中心の軸心
方向に見て前端面と後端面とを有し、また、それらの両
端面と交叉する両側面を有すると共にロータコアの外周
に沿う湾曲上下面を備え、前記両側面には、前記前端面
及び後端面に接して夫々上面側から下面側へ末広な所定
のテーパ付き切欠き面を有した実質的に多角形の永久磁
石片により、前記各永久磁石片を形成し、前記円筒形の
ロータコアの周面に、周方向に所定の間隔で配設され、
かつ、軸方向に延設された複数の凸壁を形成し、それに
より、該複数の凸壁間に形成され、前記各永久磁石片を
前記ロータコアの周面の外側から落とし込むことによ
り、遊嵌可能な凹形取付座面を形成し、また、前記ロー
タコアの前記各凸壁の側面に、前記各永久磁石片の切欠
き面が有するテーパと相補形のテーパを有した略蟻溝状
の凹所を形成し、前記ロータコアの凹形取付座面に前記
各永久磁石片を落とし込み設置すると共に該永久磁石片
の前記両側面が該凹形取付座面に遊嵌後、該凹形取付座
面に対して垂直な軸線回りに前記各永久磁石片を回転さ
せて前記テーパ付き切欠き面を前記凸壁の蟻溝状凹所に
密着、係合させてロックし、以て前記各永久磁石片の前
記ロータコアの表面からの剥離、離脱を阻止するように
した同期機のロータの製造方法が提供される。以下、本
発明を添付図面に示す実施例に基づいて更に、詳細に説
明する。
【0009】
【実施例】図1の(a),(b)は、本発明による同期
機用ロータの第1の実施例における永久磁石片の組立工
程を説明するための正面図、図2は同第1の実施例にお
ける図1の(b)の2−2矢視線から見た側面図、図3
は、永久磁石片がロータコアの取付座面に設置され、凸
壁と密着、係合してロック構造を形成している状態を説
明した拡大端面図、図4(a),(b)は永久磁石片の
形状を示す平面図と端面図、図5は第1の実施例におけ
るロータコアと永久磁石片との組立工程を説明する拡大
斜視図、図6は、本発明による同期機のロータの第2の
実施例を示した正面図、図7は、同第3の実施例による
同期機のロータの構造を示す正面図、図8は、同第3の
実施例に適用される永久磁石片の平面図、図9は、本発
明による同期機のロータの第4の実施例を示した正面
図、図10は同側面図、図11は同第4の実施例におけ
るロータコアに対する永久磁石片の落とし込み、回転設
置方法を説明する拡大斜視図である。
【0010】図1〜図5を参照すると、本発明の第1実
施例に係る同期機のロータが図示されている。先ず、図
1、図2を参照すると、本実施例によるロータ30は、
従来のロータと同様に固定子(ステータ)10(図2参
照)の円筒内周面の内側に空隙を介して回転可能なモー
タ要素である点においては同じであり、同ロータ30
は、回転軸32に楔着又は接着固定された実質的に円筒
形のロータコア33を備え、このロータコア33の形状
は、外周面に周方向に等間隔で配設された複数の凸壁3
4が具備している。そして、この複数の凸壁34は軸方
向に延設されており、かつ、周方向に隣り合った2つの
凸壁34の間に凹形取付座35を形成し、同凹形取付座
35内には複数の永久磁石片36が植設、配置される。
ここで、上記の凹形取付座35の周方向に見た幅寸法
は、後述のように、永久磁石片36をロータコア33の
周面の外側、つまり、円筒形のロータコア33の周面に
向けてラジアル方向に見た外方から永久磁石片36を落
とし込むように取付けたときに、同凹形取付座35内に
遊嵌状態で着座される適正寸法を有している。
【0011】更に、ここで図5に明示されるように、上
記の各凸壁34はその両側面34a、34bの各々が、
ラジアル方向に見て内奥に向け傾斜したテーパ面を成
し、従って、ロータコア33の周方向に離隔した2つの
凸壁34の対向するテーパ側面34a、34b間に形成
された各凹形取付座35は、同ロータコア33の軸方向
の一端面側から見たとき、あたかも蟻溝形の凹所の形状
を有している。なお、ロータコア33の軸方向の両端に
は端板部材38、38が取付けられている点は従来のロ
ータと同様である。
【0012】他方、図4(a)、(b)に明示されるよ
うに、永久磁石片36は各々、ロータコア33の外周面
の曲率に対応した下面36a、固定子10との磁気的相
互作用条件を考慮した設計条件に従って決定されたラジ
アル方向への膨出、湾曲形状を有する上面36b、ロー
タ30の回転中心に対して垂直な平面と略平行に形成さ
れた軸方向の両端面36c、36c、これらの端面36
c、36cの両側にある両側面36d、36d及びこれ
らの両側面36d、36dが両端面36c、36cと交
叉する部分に形成された切り落とし面36e、36eと
を有し、しかも後者の切り落とし面36e、36eは、
ロータコア33の凹形取付座35を形成する凸壁33の
テーパ側面34a、34bと相補形状に末広がり状のテ
ーパ面形状を有するように形成された湾曲板状の永久磁
石部材として形成されている。
【0013】ここで、本実施例に係る永久磁石片36の
両側面36d、36dの最大幅は、それが、取付けられ
るロータコア33の各凹形取付座35の周方向に見た最
大幅寸法より僅かに小さく形成されており、故に、図1
(a)又は図5の図示から理解できるように、各永久磁
石片36を、ロータコア33の凹形取付座35に対して
ラジアル方向に見た外側から同座35の座面に向けて落
とし込むと、遊嵌状態で永久磁石片36を同座面上に植
設することができる。図1(a)と図5に図示された磁
石片(イ)は、このようにして植設された直後の状態を
示している。次いで、永久磁石片36を凹形取付座35
の座面上で、同座面に立てた垂線の回りに矢印Rのよう
に回転に回転させる。即ち、図5の(ロ)の永久磁石片
36は、このような回転状態を図示したものである。
【0014】このような回転を永久磁石片36に付与す
ると、永久磁石片36のテーパ面形状を有した切り落と
し面36e、36eが、ロータコア33の凸壁34の側
面に形成されたテーパ側面34a、34b内に密着、係
合するように嵌入する。即ち、図1(b)と図5の
(ハ)の永久磁石片36は、こうしてロータコア33の
凸壁34の側面に形成されたテーパ側面34a、34b
内に密着、係合した状態に有る永久磁石片36を示して
いる。この結果、永久磁石片36はロータコア33に対
する密着、係合により、同ロータコア33の凹形取付座
35に対してあたかも機械的なロック構造を形成して植
設、取付が完了するのである。なお、このような永久磁
石片36の取付過程で、その下面36a又は取付座35
の座面ないし両者の面には予め従来と同様に接着剤が塗
布され、接着固定も行われる。勿論、永久磁石片36の
切り落とし面36e、36eやロータコア33の凸壁3
4の側面に形成されたテーパ側面34a、34bにも接
着剤を塗布しておいても良いことは言うまでもない。か
くして、上記機械的ロック構造と接着固定との両固定手
段によって永久磁石片36をロータコア33に強固に組
み立てるようにしたものである。
【0015】故に、ロータ30の高速回転時に作用する
ラジアル方向の遠心力と固定子10の回転磁界と各永久
磁石片36との間で作用するラジアル方向の磁気吸引力
との両力の合力が各永久磁石片36に作用しても、永久
磁石片36は、接着固定に加えて機械的ロック構造を形
成していることから、ラジアル方向に剥離、脱落するこ
とはないのである。ここで、図3を参照すると、永久磁
石片36に、作用する離脱力Fが、同永久磁石片の両側
面とロータコア33の凸壁34との密着、係合部におい
てテーパ角γに基づく機械的ロック構造によって阻止さ
れる様子が説明されている。
【0016】なお、上述の図1〜図5には図示されてい
ないが、ロータ30の組立が完成した時点では、ロータ
コア33の各凹形取付座35内に2つ又はそれ以上の複
数の永久磁石片36が機械的ロック構造で植設され、固
定子10と磁気的に相互作用を行って出力トルクを発生
する同期機を形成するものである。
【0017】図6は、本発明に係る同期機用のロータの
他の実施例を示したもので、この実施例が上述した第1
実施例と相違する点は、ロータコア33に設けられた各
凸壁が同ロータコア33の軸心の方向に一本の直線状の
凸壁として形成されたものでなく、3つの部分直線状の
凸壁34a、34b、34cに分離されている点であ
る。即ち、この第2実施例のロータコア33では各部分
直線状の凸壁34a、34b、34cが相互にロータコ
ア33の周方向に角度θだけずれた状態で設けられてい
る。従って、ロータコア33の外周には、これらの部分
直線状の凸壁34a〜3cから成る1組の凸壁が周方向
に、複数組、形成された構造にある。そして、これらの
複数組の凸壁34a〜34cにおける周方向に隣り合っ
た2組の凸壁の間に凹形取付座35a、35b、35c
が形成れ、各凹形取付座35a、35b、35c内に夫
々、永久磁石片36が既述の第1実施例の構造と全く同
一のロック構造を形成して植設、取付されているのであ
る。
【0018】すなわち、上述したずれ角θを設けたこと
により、周知のごとく、固定子の内周面にコイル装填溝
として形成されているスロットに起因したトルクリップ
ルを低減させるものである。そして、このように、ずれ
角θの付与により、永久磁石片36を周方向に順次にず
らせて配列し、トルクリップルの低減を図る構造を備え
た表面貼り付け形ロータ30においても、本発明による
ラジアル方向における外側からロータコア33の凹形取
付座35a〜35cの座面に向けて、落とし込みと回転
による取付方法で永久磁石片36を嵌合、植設する組立
法をとることが可能であることが理解できよう。
【0019】依って、各永久磁石片36がロータコア3
3の外周に接着固定と共に機械的ロック構造を形成して
取付けられ、故に、高速回転時における永久磁石片36
の剥離、離脱が阻止される効果を得られる点では、第1
実施例と全く同様である。
【0020】図7及び図8は、本発明による同期機のロ
ータの第3の実施例を示している。同実施例において
は、ロータコア33の外周に形成される各凸壁134が
軸方向に1本の直線状である点では、図1〜図5に示し
た第1実施例と同様であるが、本第3実施例では、各凸
壁134がロータコア33の軸心と平行な軸線に対して
所定の傾き角(スキュー角)θ1を設けて配設され、従
って、周方向に隣合った2つの凸壁134、134の間
に形成される永久磁石片136の凹形取付座135も第
1実施例の平面図上で長方形の形状を有した凹形取付座
35に対して本第3実施例では、図7の図示から明らか
なように、平面図上で平行四辺形の形状を有しているの
である。
【0021】このようなロータコア33の凹形取付座1
35に装填、植設される永久磁石片136は、図8に示
すように、上下面136a、136b(下面136aは
図に現れない)、軸方向の両端面136c、136c、
両側面136d、136d、テーパ面を有した切り落と
し面136e、136eを有した構造を備えた湾曲形状
の永久磁石部材として形成されている。この永久磁石片
136が、図4に示した第1実施例の永久磁石片36と
相違する点は、ロータコア33の凹形取付座135が既
述のように平行四辺形平面を有することから、これに相
補する形状で両側面136d、136dが傾き角を有し
ている点であり、ロータコア33の凸壁134の側面1
34a、134bが有するテーパ面と相補的なテーパ面
を有した切り落とし面136e、136eは、第1実施
例における切り落とし面36e、36eと同様に上記の
凸壁134の側面134a、134bに密着、係合して
ロック構造を形成する点では全く同一の構造、作用原理
に従って形成されている。
【0022】従って、この第3の実施例によるロータ3
0においても、各永久磁石片136は、ロータコア33
のラジアル方向の外側から凹形取付座135の座面に向
けて落とし込んで着座させ、次いで、同座面に立てた垂
線の回りに回転させることにより、ロータコア33に対
してロック構造を形成して強固に植設、取付する組立工
程に従うのである。
【0023】本実施例の同期機用ロータ30は、上述の
説明から明らかなように、ロータコア33の凸壁134
間に形成凹形取付座135に配設される永久磁石片13
6が上記凸壁134のスキュー角構造により、所定のス
キュー角θ1を有する配列で設けられるから、固定子と
の磁気的相互作用で回転出力を発生するとき、出力トル
ク中に混入されたトルクリップル成分を低減させること
ができるのである。
【0024】図9〜図11は、本発明の第4実施例によ
る同期機用ロータ30を示したものである。同実施例
は、上述した第3の実施例におけるロータコア33の外
周に形成されたスキューによる傾きθ1を有した直線状
の凸壁134を3つの部分直線状の凸壁134a、13
4b、134cに分割してロータ軸方向に1組として列
設し、このとき、1組の凸壁134a、134b、13
4cは、図9及び図11から明らかなように、ロータ3
0の周方向には相互に角度θ2だけずらせた配列で設け
たものである。従って、ロータコア33の外周に形成さ
れる永久磁石片の凹形取付座も図示のように135a〜
135cのように周方向に相互に角度θ2ずつずれた関
係で配列されている。
【0025】然しながら、これらの凹形取付座135a
〜135cに植設、取付される永久磁石片の構造、形状
は、図8に示した前述の永久磁石片136が、そのまま
適用可能であることは容易に理解できよう。そして、こ
のような各永久磁石片136をロータコア33の外周の
各凹形取付座135a〜135c内に植設、組み込む組
立工程は既述の第1実施例から第3実施例で説明した場
合と同様に、ロータコア33のラジアル方向の外側から
各取付座内に落とし込みにより着座させ、その後に図
9、図11の矢印Rで示すように、回転により、ロータ
コア33の凸壁134a、134b、134cの側面に
形成されたテーパ面に密着、係合して機械的ロータ構造
を得る組立工程に従うものである。
【0026】この第4の実施例も永久磁石片136がス
キュー配列と周方向にずらした配列とで設けられること
により、固定子のスロットに起因したトルクリップルを
低減させ得るものである。つまり、トルクリップルの低
減効果を向上させた構造の表面貼り付け形同期機用のロ
ータ30が得られるのである。なお、上述した第3、第
4実施例に適用する永久磁石片136では、ロータコア
33の凹形取付座135又は135a〜135cがスキ
ュー角θ1を有していることから、取付座面上で回転さ
せる場合に軸方向に前後した永久磁石片同志が干渉を起
こさないように、軸方向の両端136c、136cに適
宜の面取り部136fを設けることが好ましい。
【0027】
【発明の効果】以上の諸実施例に基づく説明から明らか
なように、本発明によれば、同期機のロータ、殊に、永
久磁石片をロータコアの実質的に円筒形の外周面に貼り
付けた形式のロータにおいて、ロータコアに形成した凸
壁間に形成される鳩尾凹状の取付座の座面に向けてモー
タ回転軸心に関してラジアル方向に見た外側から落とし
込むようにして着座させ、次いで座面に立てた垂線回り
に回転させることにより、永久磁石片を凸壁のテーパ面
と密着、係合させて機械的なロータ構造を得る組立法を
取ることが可能な構造を有する。故に、各永久磁石片は
ロータコアに対して接着固定に加えて上記の機械的ロッ
ク構造による固定が付与されるから、同期機のロータの
回転時に遠心力と磁気吸引力との合力が永久磁石片に剥
離力を作用しても、この剥離力に強固に対抗し、永久磁
石の剥離、離脱を阻止する作用が得られる。依って、同
期機における貼り付け形ロータの剥離、離脱に対する機
械的阻止力を著しく向上させることが可能になり、延い
ては、同期機の寿命と作用信頼性とを向上させる効果を
奏することができる。
【0028】また、ロータがトルクリップルの低減効果
のために、その永久磁石片をスキュー配列で設けたり、
或いは周方向に位相角をずらした配列で設けた場合に
も、従来のロータ組立法に比較して、本発明の永久磁石
片の組立方法によれば組立工数を何ら増数すること無
く、組立を遂行でき、依って、ロータの製造組立法がむ
しろ簡単化される効果を奏するのである。以上、本発明
を好実施例に就いて説明したが、本発明の技術思想の範
囲で、更に種々の改変、変更例が実現可能であることは
当業者なら自明であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明による同期機のロータの第1
の実施例において、永久磁石片を落とし込んだ状態を図
示した正面図である。(b)は、同永久磁石片を回転さ
せてロック構造を得た状態を図示した正面図である。
【図2】第1の実施例における図1の(b)の2−2矢
視線から見た側面図である。
【図3】永久磁石片がロータコアの取付座面に設置さ
れ、凸壁と密着、係合してロック構造を形成している状
態を説明した拡大端面図である
【図4】(a)は永久磁石片の形状を示す平面図であ
る。(b)は同永久磁石片の端面図である。
【図5】本発明の第1の実施例によるロータコアと永久
磁石片との組立工程を説明する拡大斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施例による同期機のロータの
構造を示す正面図である。
【図7】本発明の第3の実施例による同期機のロータの
構造を示す正面図である。
【図8】同第3の実施例に適用される永久磁石片の平面
図である。
【図9】本発明の第4の実施例による同期機のロータを
示した正面図である。
【図10】同側面図である。
【図11】同第4の実施例におけるロータコアに対する
永久磁石片の落とし込み、回転設置方法を説明する拡大
斜視図である。
【図12】従来の同期機の貼り付け形ロータの一例の正
面図である。
【図13】同例の側面図である。
【図14】従来の同期機の貼り付け形ロータの他の一例
を示す正面図である。
【図15】同側面図である。
【符号の説明】
10…固定子 30…ロータ 32…回転軸 33…ロータコア 34…凸壁 34a、34b…テーパ面を有した側面 35…凹形取付座 36…永久磁石片 36a…下面 36b…上面 36c…端面 36d…側面 36e…テーパ面を有した切り落とし面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子の内周に回転可能に配置され、実
    質的に円筒形のロータコアの周面に貼り付け固定された
    複数の永久磁石片を有した同期機のロータにおいて、 前記の各永久磁石片は、ロータの回転中心の軸心方向に
    見て前端面と後端面とを備え、また、それらの両端面と
    交叉する両側面を備えると共にロータコアの外周に沿う
    湾曲上下面を備え、前記両側面には、前記前端面及び後
    端面に接して夫々上面側から下面側へ末広な所定のテー
    パ付き切欠き面を備えた多角形の永久磁石片から成り、 前記円筒形のロータコアは、その周面に、周方向に所定
    の間隔で配設され、かつ、軸方向に延設された複数の凸
    壁と、該複数の凸壁間に形成され、前記各永久磁石片を
    前記ロータコアの周面の外側から落とし込むことによ
    り、遊嵌する凹形取付座面と、前記各凸壁の側面に形成
    されると共に前記各永久磁石片の切欠き面が有するテー
    パと相補形のテーパを有し、かつ、該各永久磁石片の落
    とし込み設置に応じて、該永久磁石片の前記両側面が該
    凹形取付座面に遊嵌後、該凹形取付座面に対して垂直な
    軸線回りに前記各永久磁石片を回転させたとき、前記テ
    ーパ付き切欠き面が密着、係合する略蟻溝状の凹所とを
    具備して成り、 以て前記永久磁石片の切欠き面と前記ロータコアの蟻溝
    状の凹所との密着、係合により機械的ロック構造が形成
    され、前記各永久磁石片の前記ロータコアの周面からの
    剥離、離脱を阻止する構成としたことを特徴とする同期
    機のロータ。
  2. 【請求項2】 前記ロータコアが有する前記蟻溝状の凹
    所を有した前記複数の凸壁の各々は、前記回転軸心と平
    行に軸方向に延設された直線状の凸壁から成り、該直線
    状の凸壁により形成された直線状の凹形取付座面内に軸
    方向に1ないし複数の前記永久磁石片が設置されて成る
    請求項1に記載の同期機のロータ。
  3. 【請求項3】 前記ロータコアが有する前記蟻溝状の凹
    所を有した前記複数の凸壁の各々は、前記回転軸心に対
    して所定の傾きを有して軸方向に延設された直線状の凸
    壁から成り、該傾きを有した直線凸壁によって形成され
    た凹形取付座面内に軸方向に複数の前記永久磁石片が設
    置されて成る請求項1に記載の同期機のロータ。
  4. 【請求項4】 前記ロータコアが有する前記複数の凸壁
    の各々は、前記回転軸心に対して所定の傾きを有して軸
    方向に延設された所定長さの複数の部分直線状の凸壁
    を、複数位置で該回転軸心に関して周方向に所定のずれ
    角を設けて連設した非直線状の凸壁から成り、該非直線
    状凸壁によって形成された凹形取付座面内に軸方向に複
    数の前記永久磁石片が設置されて成る請求項1に記載の
    同期機のロータ。
  5. 【請求項5】 前記ロータコアが有する前記蟻溝状の凹
    所を有した前記複数の凸壁の各々は、前記回転軸心と平
    行に軸方向に延設された所定長さの複数の部分直線溝
    を、複数位置で該回転軸心に関して周方向に所定のずれ
    角を設けて連設した非直線状の凸壁から成り、該非直線
    状の凸壁によって形成された直線状の凹形取付座面内に
    軸方向に複数の前記永久磁石片が設置されて成る請求項
    1に記載の同期機のロータ。
  6. 【請求項6】 固定子の内周に回転可能に配置され、実
    質的に円筒形のロータコアの周面に貼り付け固定された
    複数の永久磁石片を有する同期機のロータの製造方法で
    あって、 ロータの回転中心の軸心方向に見て前端面と後端面とを
    有し、また、それらの両端面と交叉する両側面を有する
    と共にロータコアの外周に沿う湾曲上下面を備え、前記
    両側面には、前記前端面及び後端面に接して夫々上面側
    から下面側へ末広な所定のテーパ付き切欠き面を有した
    実質的に多角形の永久磁石片により、前記各永久磁石片
    を形成し、 前記円筒形のロータコアの周面に、周方向に所定の間隔
    で配設され、かつ、軸方向に延設された複数の凸壁を形
    成し、それにより、該複数の凸壁間に形成され、前記各
    永久磁石片を前記ロータコアの周面の外側から落とし込
    むことにより、遊嵌可能な凹形取付座面を形成し、 また、前記ロータコアの前記各凸壁の側面に、前記各永
    久磁石片の切欠き面が有するテーパと相補形のテーパを
    有した略蟻溝状の凹所を形成し、 前記ロータコアの凹形取付座面に前記各永久磁石片を落
    とし込み設置すると共に該永久磁石片の前記両側面が該
    凹形取付座面に遊嵌後、該凹形取付座面に対して垂直な
    軸線回りに前記各永久磁石片を回転させて前記テーパ付
    き切欠き面を前記凸壁の蟻溝状凹所に密着、係合させて
    ロックし、 以て前記各永久磁石片の前記ロータコアの表面からの剥
    離、離脱を阻止するようにしたことを特徴とする同期機
    のロータの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記各永久磁石片の下面と前記ロータコ
    アの凹所の底面との間に接着剤を塗布し、 該接着剤の硬化層を該永久磁石片の下面と凹形取付座面
    との間に形成するようにした請求項6に記載の同期機の
    ロータの製造方法。
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