JPH05260686A - 永久磁石式回転子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、製作が容易で永久磁石の動きや割れ
を確実に防止できる永久磁石式回転子を提供することを
目的をする。 【構成】外周近傍に複数の磁石挿入用開口部４を設けた
鉄心抜板２を多数枚積層して鉄心積層体３を形成し、前
記磁石挿入用開口部４に永久磁石８を挿着するととも
に、前記鉄心積層体３の両端面に端板を設け、前記鉄心
積層体３と端板とに形成した複数のリベット挿通穴５に
リベット１２を挿通してかしめ固定してなる永久磁石式
回転子において、前記リベット１２のかしめ時の径方向
の膨らみに対応して前記磁石挿入用開口部４の内周壁面
７の一部を内方に突出変形させて変形部１３を形成さ
せ、その変形部１３で永久磁石８を押圧できるように、
前記リベット挿通穴５を前記磁石挿入用開口部の近傍に
設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電動機の回転子、特に永
久磁石を有する回転子の鉄心および永久磁石等の構成部
材の固定構造を改良した永久磁石式回転子に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の永久磁石を有する永久磁
石式回転子としては、例えば特開昭６０−１０９７４９
号公報が知られている。この回転子は図１１に示すよう
に半径方向外方に複数の磁石挿入用開口部３０とこれよ
り内方に積層時に用いる複数のかしめ突起３１を設けた
鉄心抜板３２を多数枚積層して鉄心積層体３３を形成
し、前記磁石挿入用開口部３０に磁極の異なる永久磁石
３４を交互に挿入し、さらに前記鉄心積層体３３の両端
面に端板３５を配置して構成している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的
に永久磁石３４の製作寸法精度が十分でなく前記磁石挿
入用開口部３０の内壁面と永久磁石３４との間に若干の
隙間ができ、回転子の回転時に永久磁石３４が動いて振
動が生じたり、永久磁石３４が割れてしまうことがあ
り、これを防ぐために前記隙間に樹脂などを充填してい
たが、この充填作業が面倒で、回転子の製作に多大の手
間を要するという問題があった。本発明は上記のような
問題点を解消し、製作が容易で永久磁石の動きや割れを
確実に防止できる永久磁石式回転子を提供することを目
的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、本発明では、外周近傍に複数の磁石挿入用開口部を
設けた鉄心抜板を多数枚積層して鉄心積層体を形成し、
前記磁石挿入用開口部に永久磁石を挿着するとともに、
前記鉄心積層体の両端面に端板を設け、前記鉄心積層体
と両端板とに形成した複数のリベット挿通穴にリベット
を挿通してかしめ固定してなる永久磁石式回転子におい
て、前記リベットのかしめ時の径方向の膨らみに対応し
て前記磁石挿入用開口部の内周壁面の一部を内方に突出
変形させるよう前記リベット挿通穴を前記磁石挿入用開
口部の近傍に設けて構成している。

【０００５】

【作用】このような構成により、前記リベットのかしめ
時のリベットの径方向の膨らみに対応して前記磁石挿入
用開口部の内周壁面の一部が内方に突出変形し、その変
形部分で永久磁石を押圧することになり、永久磁石が前
記磁石挿入用開口部内に強固に挿着保持される。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００７】図１は本発明の一実施例に係る永久磁石式
回転子の縦断面図、図２は同回転子横断面を表す図１の
Ａ−Ａ断面図、図３は同回転子の端板の平面図、図４は
端板の押圧部の拡大断面図を示す。１は永久磁石式回転
子であり、円板状の鉄心抜板２を多数枚積層して形成さ
れた鉄心積層体３を有し、この鉄心積層体３の外周近傍
に複数の略扇形の磁石挿入用開口部４が、またこの磁石
挿入用開口部４の近傍には複数のリベット挿通穴５が、
さらに中心部には回転軸挿着穴６がそれぞれ設けられて
いる。前記磁石挿入用開口部４には、その内周壁面７と
わずかな隙間が生じる程度の大きさの磁極の異なる永久
磁石８が交互に挿入されている。また、前記鉄心積層体
３の両端面に設けられた端板９は、リベット挿通穴１０
および回転軸貫通穴１１を有し、前記磁石挿入用開口部
４および永久磁石８の両端部を覆うように円板状の鉄板
により形成されている。そして、この両端板９はリベッ
ト挿通穴５，１０に挿通した複数のリベット１２の両端
部をかしめることによって前記鉄心積層体３に一体的に
かしめ固定され、永久磁石式回転子１を構成している。
前記鉄心積層体３に設けられたリベット挿通穴５は、リ
ベット１２のかしめ時に生じるリベット１２の両端部の
所定長さＬに相当する部分の径方向ヘの膨らみに対応し
て前記磁石挿入用開口部４の内周壁面７の一部が内方に
突出変形して変形部１３を形成するように、前記磁石挿
入用開口部４にできるだけ近付け、かつ隣合う前記磁石
挿入用開口部４間の略中間部に設けられている。なお、
予め前記リベット１２は、かしめ時に径方向の膨らみ、
その膨らみの軸線方向の所定長さＬおよびリベット１２
の頭部等が形成できるように所定の長さおよび外径寸法
を有し、かつ所定深さのかしめ用の軸線穴１４が両端部
に設けられており、この軸線穴１４を使用して所定のか
しめ作業を行うようになっている。

【０００８】また、前記両端板９には図３および図４に
示すように永久磁石８の両端面に対向する凸部１５から
なる押圧部１６を設けている。さらに前記鉄心積層体３
のリベット挿通穴５と回転軸挿着穴６との間には、リベ
ット１２の径方向への膨らみに対応して生ずる応力を吸
収するよう円弧状の長穴１７を設けている。

【０００９】以上のように構成したので、前記鉄心積層
体３と両端板９とをリベット１２でかしめ固定する際に
生ずるリベット１２の両端部の所定長さＬ相当分の径方
向への膨らみに対応して前記磁石挿入用開口部４の内周
壁面７の一部が内方に突出変形し、その変形部１３で永
久磁石８を押圧することになり、リベット１２のかしめ
作業のみで前記磁石挿入用開口部４の内周壁面７に永久
磁石８を強固に挿着保持でき、製作容易で永久磁石８の
動きをや割れを確実に防止できる。

【００１０】また、リベット挿通穴５を鉄心積層体３の
隣合う前記磁石挿入用開口部４間の略中間部に設けたの
で１本のリベット１２の径方向の膨らみで隣合う２個の
永久磁石８をそれぞれ同時に押圧保持でき、製作が容易
になる。リベット挿通穴５と回転軸挿着穴６との間には
円弧状の長穴１７を設け、リベット１２の径方向への膨
らみに対応して生じる応力をここで吸収するようにした
ので、回転軸挿着穴６の変形を確実に防止できる。端板
９には永久磁石８の端面に対向する凸部１５からなる押
圧部１６を設けたので永久磁石８の軸線方向の動きを固
定でき、回転時の振動や永久磁石８の割れの発生を確実
に防止できる。この押圧部１６は両端板９に設けてもよ
く、必要に応じていずれか一方の端板９に設けるだけで
もよい。上記実施例では、図２に示すように４個のリベ
ット挿通穴５の全てを前記磁石挿入用開口部４の内周壁
面７の一部が内方に突出変形するよう４個の前記磁石挿
入用開口部４の近傍に設けたが、図５に示すように互い
に対向する一対のリベット挿通穴５ａだけを前記磁石挿
入用開口部４の近傍に設け、これと直交して対向する他
の一対のリベット挿通穴５ｂを前記磁石挿入用開口部４
から離して設けてもよく、また図６に示すように互いに
対向する２個のリベット挿通穴５ａだけを設け、これを
前記磁石挿入用開口部４の近傍に設けたものでもよい。

【００１１】さらに、図７および図８は、前記図１およ
び図２に示す永久磁石式回転子にリベット１２でバラン
サ２０を取付けたバランサ付き永久磁石式回転子の実施
例を示し、また図９および図１０は前記図６に示す回転
子にやはりリベット１２でバランサ２１を取付けたバラ
ンサ付き永久磁石式回転子の実施例をそれぞれ示すもの
で、いずれも両端板９の上下に互いに方向を１８０度ず
らせて設けた略Ｕ字状のバランサ２０，２１を隣合う複
数のリベット１２で一緒に固定したもので、これによれ
ば、バランサ２０，２１をも一緒に固定できるので製作
がより簡単になる。

【００１２】なお、図５に示す永久磁石式回転子にバラ
ンサを取付けた実施例については、実質的に上記図７お
よび図８に示したものと略同一視できるため省略する。
また図５〜図１０に示すそれぞれの実施例においては、
図１〜図４に示す第一の実施例と同一部分に同一符号を
付し、その説明は省略する。

【００１３】

【発明の効果】本発明の永久磁石式回転子によれば、以
上のように構成されているので、リベットのかしめ時の
リベットの径方向への膨らみに対応して鉄心積層体の磁
石挿入用開口部の内周壁面の一部が内方に突出変形し、
その変形部分で永久磁石を押圧するので、リベットのか
しめ作業のみで永久磁石を前記磁石挿入用開口部内に強
固に挿着保持可能となり、製作が容易であるとともに、
永久磁石の動きや割れを確実に防止できる。また、隣合
う２個の磁石挿入用開口部内の２個の永久磁石を最低１
本のリベットのかしめ作業で保持可能となり、製作がさ
らに容易になる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施例に係る永久磁石式回転子
を示す縦断面図である。

【図２】同回転子の横断面を示す図１のＡ−Ａ断面図で
ある。

【図３】同回転子の端板の平面図である。

【図４】同端板の押圧部を示す要部拡大断面図である。

【図５】本発明の第二の実施例に係る永久磁石式回転子
の図２に相当する横断面図である。

【図６】本発明の第三の実施例に係る永久磁石式回転子
の図２に相当する横断面図である。

【図７】上記第一の実施例に係る永久磁石式回転子にバ
ランサを取付けた状態を示す平面図である。

【図８】同状態の縦断面を示す図７のＢ−Ｂ断面図であ
る。

【図９】上記第三の実施例に係る永久磁石式回転子にバ
ランサを取付けた状態を示す平面図である。

【図１０】同状態の縦断面を示す図９のＣ−Ｃ断面図で
ある。

【図１１】従来の永久磁石式回転子の一部を分解して示
す斜視図である。

【符号の説明】

１…永久磁石式回転子， ２…鉄心抜板， ３…鉄
心積層体，４…磁石挿入用開口部， ５…リベット挿通
穴，６…回転軸挿着穴，７…内周壁面， ８…
永久磁石， ９…端板，１０…リベット挿通穴，
１１…回転軸貫通穴，１２…リベット，１３…変形部，
１４…軸線穴， １５…凸部，１６…押
圧部， １７…長穴， ２０，２１…バ
ランサ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周近傍に複数の磁石挿入用開口部を設
   けた鉄心抜板を多数枚積層して鉄心積層体を形成し、前
   記磁石挿入用開口部に永久磁石を挿着するとともに、前
   記鉄心積層体の両端面に端板を設け、前記鉄心積層体と
   両端板とに形成した複数のリベット挿通穴にリベットを
   挿通してかしめ固定してなる永久磁石式回転子におい
   て、前記リベットのかしめ時のリベットの径方向の膨ら
   みに対応して前記磁石挿入用開口部の内周壁面の一部を
   変形させるよう前記リベット挿通穴を前記磁石挿入用開
   口部の近傍に設けたことを特徴とする永久磁石式回転
   子。
2. 【請求項２】 前記リベット挿通穴を隣合う前記磁石挿
   入用開口部間の略中間部に設けたことを特徴とする請求
   項１記載の永久磁石式回転子。
3. 【請求項３】 前記両端板の少なくとも一方に、前記鉄
   心積層体の前記磁石挿入用開口部内に挿着された永久磁
   石の端面を押圧する押圧部を設けたことを特徴とする請
   求項１記載の永久磁石式回転子。
4. 【請求項４】 前記両端板の外面にバランサを設け、そ
   のバランサを前記リベットで固定したことを特徴とする
   請求項１記載の永久磁石式回転子。