JPH05198105A - ピックアップのスライド送り機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ネジ部の食い込み回避の利点を残し、併せて
衝撃等によるピックアップの勝手な移動を阻止するこ
と。 【構成】 ストッパ１２を機種毎の設定によって予め定
められているピックアップ２の待機すべき停止位置であ
るディスクの最内周又は最外周側の何れか一方に設け、
プレーヤ本体の搬送時にプレーヤ本体に外部振動等が加
わり、ハーフナット部３Ａが送りネジ１から離れようと
した場合にはストッパ１２によってその回動を所定距離
離れた位置で阻止させるとともに、コイルバネ４の付勢
力によってハーフナット部３Ａを送りネジ１側に素早く
戻すようにした。 【効果】 ハーフナット部３Ａと送りネジ１との噛合の
離脱を瞬時にして防止することができることから、ピッ
クアップ２が比較的重量のある場合でも確実に固定して
おくことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シャフト状の送りネジ
に半欠け状のハーフナット部を噛み合わせ、駆動モータ
の駆動力により送りネジを正転又は逆転させてハーフナ
ット部を移動させることにより光学式のピックアップを
ディスクの半径方向に送るピックアップのスライド送り
機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】光学式のピックアップは、コンパクトデ
ィスク（ＣＤ）やレーザディスク（ＬＤ）等の光ディス
クに記録されている情報を再生したり、フォーカスエラ
ー信号やトラッキングエラー信号を生成したりする機能
を有している。

【０００３】このようなピックアップは、光ディスクに
記録されている情報を順次読取る場合、スライド送り機
構によって光ディスクの内周側から外周側に所定の速度
で送り出される。

【０００４】図１は、たとえばＬＤプレーヤに搭載され
ているピックアップのスライド送り機構の一例を示すも
のであり、ピックアップ２の一端部側に設けられている
筒状のナット部３がシャフト状の送りネジ１に螺合され
ている。ピックアップ２の他端部側は送りネジ１と平行
に配置された図示省略のガイドシャフトによって支持さ
れている。

【０００５】そして、図示省略の駆動モータの駆動力に
より送りネジ１が正転又は逆転動作を行うことによって
ナット部３がピッチ送りされる。これにより、ピックア
ップ２は上記のガイドシャフトにガイドされつつ光ディ
スクの半径方向に沿って移動する。

【０００６】ピックアップのスライド送り機構の他の例
として、図２に示すものはたとえばＣＤプレーヤに搭載
されているものであり、送りネジ１には半欠け状のハー
フナット部３Ａが送りネジ１の上方から螺合されてい
る。ハーフナット部３Ａの螺合力は、コイルバネ４の付
勢力によって得ている。

【０００７】そして、上記同様に送りネジ１が正転又は
逆転動作を行いナット部３をピッチ送りすることによ
り、ピックアップ２が光ディスクの半径方向に沿って移
動する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このように、図１に示
したＬＤプレーヤにおけるピックアップのスライド送り
機構では、送りネジ１に螺合されているナット部３が筒
状であることからＬＤプレーヤに外部振動等が加わった
場合でもナット部３が送りネジ１から外れることがな
く、しかもナット部３と送りネジ１との螺合力によって
ピックアップ２の移動が阻止されているため、衝撃に対
しても強いという長所がある。

【０００９】その反面、ピックアップ２を光ディスクの
内周側又は外周側に移動させた後、それぞれの逆方向に
ピックアップ２を移動させようとした場合、送りネジ１
の両端部はねじ切されていないものが多く、ナット部３
が勢いあまって送りネジ１のいずれかの端部側に送り出
されると、ナット部３のネジ部が送りネジ１の端部に食
い込んでしまうおそれがある。このような場合には、ピ
ックアップ２をそれぞれの移動方向に対して逆行させる
ことができなくなってしまうという欠点がある。

【００１０】一方、図２に示したＣＤプレーヤにおける
ピックアップのスライド送り機構では、ハーフナット部
３Ａをコイルバネ４の付勢力によって送りネジ１に螺合
させた構成であるため、上記のようにハーフナット部３
Ａのネジ部が食い込むことなく、ハーフナット部３Ａを
コイルバネ４の付勢力に抗して送りネジ１から逃すこと
ができるという長所がある。

【００１１】その反面、ハーフナット部３Ａは半欠け状
であり、送りネジ１側にコイルバネ４によって付勢され
ている構成であることから、衝撃等によりハーフナット
部３Ａがコイルバネ４の付勢力に抗して送りネジ１から
離れると、送りネジ１との螺合力がなくなってしまい、
ピックアップ２が勝手に移動してしまうという欠点があ
る。但し、ＣＤプレーヤにおけるピックアップ２は比較
的軽いものであるため、上記のように勝手に移動してし
まうということは希である。

【００１２】このように両者のピックアップのスライド
送り機構には、それぞれ一長一短があり、後者のネジ部
の食い込みを回避することができるという利点を有した
機構に着目し、これを前者のＬＤプレーヤの機構に適用
しようとすると、ＬＤプレーヤにおけるピックアップ２
が比較的重量があることから、衝撃等によりＬＤプレー
ヤにおけるピックアップ２が勝手に移動してしまうとい
う不具合を生じる。

【００１３】本発明は、このような事情に対処してなさ
れたもので、ネジ部の食い込みを回避することができる
機構を比較的重量のあるピックアップを送るものに適用
しようとするに際し、ネジ部の食い込み回避の利点を残
し、併せて衝撃等によるピックアップの勝手な移動を阻
止することができるピックアップのスライド送り機構を
提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明のピックアップ送
り装置は、上記目的を達成するために、駆動モータの駆
動力により回転動作を行うシャフト状の送りネジと、ピ
ックアップに対して回動自在に設けられるとともに、前
記送りネジに噛合う半欠け状のハーフナット部と、この
ハーフナット部を前記送りネジ側に付勢する付勢手段
と、前記ハーフナット部の少なくとも回動範囲内に設け
られ、前記付勢手段に抗して前記ハーフナット部が前記
送りネジから離れる方向に回動した際にこのハーフナッ
ト部の回動を所定の余裕をもって阻止する回動阻止部材
とを具備することを特徴とする。

【００１５】

【作用】本発明のピックアップ送り装置では、送りネジ
及びハーフナット部のネジ部に発生する食い込みを回避
させるとともに、比較的重量のあるピックアップの衝撃
等による勝手な移動を阻止しようとするものであり、回
動阻止部材によってハーフナット部の回動を所定の余裕
をもって阻止するようにしたものである。

【００１６】これにより、ハーフナット部の回動が僅か
なものとされるため、ハーフナット部が送りネジから離
れる方向に回動しても付勢手段の付勢力によりハーフナ
ット部を送りネジ側に素早く戻すことができ、ハーフナ
ット部と送りネジとの噛合の離脱を阻止することができ
る。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例の詳細を図面に基づい
て説明する。なお、以下に説明する図において、図２と
共通する部分には同一符号を付し重複する説明を省略す
る。

【００１８】図３乃至図５は、本発明のピックアップの
スライド送り機構を、比較的重量のあるピックアップを
搭載しているＬＤプレーヤに適用した場合の一実施例を
示すもので、半欠け状のハーフナット部３Ａがコイルバ
ネ４の付勢力により下方側から送りネジ１に押し当てら
れている。

【００１９】ピックアップヘッド１０を有したピックア
ップ２は、垂直片５を有した支持プレート６に搭載され
ている。支持プレート６の下面側には、ガイドシャフト
７によりガイドされるガイド部材８が取付けられてい
る。垂直片５には、支持軸９が取付けられており、この
支持軸９に上記のコイルバネ４が取付けられている。

【００２０】プレーヤ本体のシャーシ１１の内面側に
は、ストッパ１２が設けられている。ストッパ１２は、
たとえばシャーシ１１の一部をしぼり出すことによって
形成されている。ストッパ１２の配置箇所にあっては、
機種毎の設定によって予め定められているピックアップ
２の待機すべき停止位置である光ディスクの最内周側又
は最外周側の何れか一方とされている。

【００２１】ストッパ１２とハーフナット部３Ａとの間
には僅かな隙間が設けられている。これにより、ハーフ
ナット部３Ａのネジ部の食い込みを回避するための逃げ
を阻害することなく、ハーフナット部３Ａと送りネジ１
との噛合の離脱を阻止することができるようになってい
る。なお、ストッパ１２とハーフナット部３Ａとの隙間
は、少なくともハーフナット部３Ａのネジ山分程度とす
ることが好ましい。

【００２２】このような構成のピックアップのスライド
送り機構の基本的な動作は次の通りである。なお、以下
の動作においては、説明の便宜上、たとえばピックアッ
プ２の待機すべき停止位置を光ディスクの最外周側と
し、また図示省略の駆動モータの駆動力により送りネジ
１が逆転動作を行うと、ピックアップ２が光ディスクの
最内周側に移動するものとする。

【００２３】光ディスクを再生しようとすると、送りネ
ジ１が逆転動作を行い、ハーフナット部３Ａをピッチ送
りする。このとき、ハーフナット部３Ａのネジ部による
食い込みが発生することなく、上述したようにハーフナ
ット部３Ａがコイルバネ４の付勢力に抗して送りネジ１
から逃げるので、ピックアップ２の移動を適切に行わせ
ることができる。

【００２４】またハーフナット部３Ａは、垂直片５を介
して支持プレート６に一体に設けられていることから、
ハーフナット部３Ａのピッチ送りに伴ってピックアップ
２がディスクの最外周側から最内周側へ移動する。この
とき、支持プレート６はガイド部材８を介してガイドシ
ャフト７によりガイドされるため、ピックアップ２の移
動が安定した状態で行われる。

【００２５】ピックアップ２がディスクの最内周側に移
動した後、トラック指定の行われない通常の再生モード
では送りネジ１が所定の速度で回転し、上記とは逆の動
作によってピックアップ２を光ディスクの外周側に送り
出す。一方、トラック指定が行われた場合には、送りネ
ジ１の回転速度が上がり、ピックアップ２を所定のトラ
ックまで早送りする。

【００２６】続いて、上記のプレーヤ本体のシャーシ１
１の内面側に設けられているストッパ１２の作用につい
て説明する。

【００２７】まず、完成されたプレーヤ本体を梱包して
輸送する場合やユーザがプレーヤ本体を持ち運んで移動
させる場合等においては、プレーヤ本体の駆動が停止し
ている状態であり、ピックアップ２は上述したように光
ディスクの最外周側の待機位置に停止している。

【００２８】そしてプレーヤ本体の搬送時に、外部振動
等によってハーフナット部３Ａが送りネジ１から離れる
方向に僅かに回動すると、ハーフナット部３Ａの回動が
ストッパ１２によって阻止される。このとき、コイルバ
ネ４の付勢力により、ハーフナット部３Ａが送りネジ１
側に素早く戻される。

【００２９】これにより、ハーフナット部３Ａと送りネ
ジ１との噛合の離脱を瞬時にして阻止することができる
ことから、ピックアップ２の固定が確実に行われる。

【００３０】このように、本実施例では、ストッパ１２
を機種毎の設定によって予め定められているピックアッ
プ２の待機すべき停止位置であるディスクの最内周又は
最外周側の何れか一方に設け、プレーヤ本体の搬送時に
プレーヤ本体に外部振動等が加わり、ハーフナット部３
Ａが送りネジ１から離れようとした場合にはストッパ１
２によってその回動を所定距離離れた位置で阻止させる
とともに、コイルバネ４の付勢力によってハーフナット
部３Ａを送りネジ１側に素早く戻すようにした。

【００３１】したがって、ハーフナット部３Ａと送りネ
ジ１との噛合の離脱を瞬時にして阻止することができる
ことから、ピックアップ２が比較的重量のある場合でも
確実に固定しておくことができる。

【００３２】なお、本実施例では、ストッパ１２の設置
箇所を光ディスクの最内周又は最外周側の何れか一方に
設けた場合について説明したが、この例に限らずピック
アップ２の待機すべき停止位置設定が任意の場合にはそ
れに対応させて設けるようにしてもよい。

【００３３】また、本実施例では、ストッパ１２の設置
箇所をピックアップ２の待機すべき停止位置に対応させ
て設けた場合について説明したが、この例に限らずスト
ッパ１２をピックアップ２が移動する光ディスクの最内
周側から最外周側にかけて設けてもよい。

【００３４】これは、ピックアップ２による光ディスク
の再生時を想定したものであり、たとえばピックアップ
２が光ディスクの最内周側から最外周側にかけて所定速
度で移動している最中に、外部振動等によってハーフナ
ット部３Ａが送りネジ１から離れようとした場合であっ
ても、上述した理由からハーフナット部３Ａと送りネジ
１との螺合状態が良好に保たれるので、ピックアップ２
を適切な速度で送り出すことができる。

【００３５】更に、本実施例では、シャーシ１１の内面
側に設けたストッパ１２をシャーシ１１の一部をしぼり
出すことによって形成した場合について説明したが、こ
の例に限らず樹脂等の別部材を接着剤等によって固着さ
せるようにしてもよい。

【００３６】更にまた、本実施例では、半欠け状のハー
フナット部３Ａを送りネジ１の下方側から押し当てた場
合について説明したが、この例に限らず図２に示したよ
うにネジ１の上方側からハーフナット部３Ａを押し当て
るようにしてもよく、この場合にはストッパ１２を上記
実施例とは逆にハーフナット部３Ａの上側に配置させ
る。この場合のストッパ１２は、上述したように、ピッ
クアップ２の待機すべき停止位置に対応させて設けても
よく、更にピックアップ２が移動する光ディスクの最内
周側から最外周側にかけて設けてもよい。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のピックア
ップによれば、ハーフナット部のネジ部によって発生す
る食い込みを回避させるとともに、比較的重量のあるピ
ックアップの衝撃等によっての勝手な移動を阻止しよう
とするものであり、回動阻止部材によってハーフナット
部の回動を所定の余裕をもって阻止するようにした。

【００３８】したがって、ハーフナット部の回動が僅か
なものとされるため、ハーフナット部が送りネジから離
れる方向に回動しても付勢手段の付勢力により素早くハ
ーフナット部を送りネジ側に戻すことができ、ハーフナ
ット部と送りネジとの噛合の離脱を阻止することができ
るため、ネジ部の食い込みを回避することができる機構
を比較的重量のあるピックアップを送るものに適用しよ
うとするに際し、ネジ部の食い込み回避の利点を残し、
併せて衝撃等によるピックアップの勝手な移動を阻止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のＬＤプレーヤにおけるピックアップのス
ライド送り機構の一例を示す斜視図である。

【図２】従来のＣＤプレーヤにおけるピックアップのス
ライド送り機構の一例を示す斜視図である。

【図３】本発明のピックアップのスライド送り機構をＬ
Ｄプレーヤに適用した場合の一実施例を示す側面図であ
る。

【図４】図３のピックアップのスライド送り機構を示す
平面図である。

【図５】図４のピックアップのスライド送り機構のＡ部
を拡大して示す平面図である。

【符号の説明】

３Ａ ハーフナット部 ４ コイルバネ １ 送りネジ １０ ピックアップヘッド ２ ピックアップ ５ 垂直片 ６ 支持プレート ７ ガイドシャフト ８ ガイド部材 ９ 支持軸 １２ ストッパ １１ シャーシ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動モータの駆動力により回転動作を行
   うシャフト状の送りネジと、 ピックアップに対して回動自在に設けられるとともに、
   前記送りネジに噛合う半欠け状のハーフナット部と、 このハーフナット部を前記送りネジ側に付勢する付勢手
   段と、 前記ハーフナット部の少なくとも回動範囲内に設けら
   れ、前記付勢手段に抗して前記ハーフナット部が前記送
   りネジから離れる方向に回動した際にこのハーフナット
   部の回動を所定の余裕をもって阻止する回動阻止部材と
   を具備することを特徴とするピックアップのスライド送
   り機構。