JPH0519575U - ピストン式流体ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンプロッドの軽量化、ポンプロッドを付勢
するスプリング荷重の低減、ポンプ駆動部にかかる荷重
の偏よりの軽減を実現し、ポンプ性能の長期安定化を図
る。 【構成】 ポンプロッド１０の軸部１０ａとばね受け部
１０ｃを一体形成したことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車等車輛に装備され、エンジン等により駆動されてバキュームポ ンプ等として機能するピストン式流体ポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のポンプとして、ディーゼルエンジンのブレーキブースタに用いるバキ ュームポンプがある。

【０００３】 この種のバキュームポンプは、図２に示すように、作動ピストン６の上下に形 成されたポンプ上室１４とポンプ下室１５とを有し、ピストン６の外周に設けた 環状溝７に嵌合したシール部材がピストン６とシリンダ５との間の摺動部として 機能する。そして車輛エンジンによってこのポンプが駆動されるように、前記ピ ストン６のロッド１０ｅの下端１０ｆに設けたローラ２３が、エンジンに連動す るカム２５によって駆動されて、作動ピストン６が上下動する。

【０００４】 ピストンロッド１０ｅの上端１０ｄはピストン６の中央に固着されており、又 、ピストンロッド１０ｅの下部には、フランジ状のばね受け部３０が嵌合し、こ のばね受け部３０を圧縮スプリング２７が下方に付勢している。

【０００５】 従って、前記カム２５によって駆動されるロッド１０ｅは、スプリング２７に 抗して上方に駆動され、下降時にはスプリング２７の力でカム２５に追従下降す る。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来の技術では、ピストンロッド１０ｅの下部に、ピストンロッド１０ｅ と別体に形成したフランジ状のばね受け部３０が嵌合結合されているため、ピス トンロッド１０ｅとばね受け部３０の両者には、互に結合するための厚肉部と、 それぞれ補強のための厚肉部を必要とし、ポンプロッドとばね受け部の合計質量 が増大し、いわゆるピストン慣性力が大きくなる。

【０００７】 そこで、追従性を確保するために、スプリング２７の荷重を高く設定する必要 があり、カム２５とローラ２３の当接部の面圧過大によるカム、ローラの異常摩 耗が発生するという問題点があった。

【０００８】 又、ピストンロッド１０ｅの下端１０ｆとばね受け部３０が別体で構成されて いるため、両者の同軸度、直角度等の寸法ばらつきが多く、不均一な荷重が作用 し、ローラ２３とカム２５の当接部が偏摩耗するという問題点があった。

【０００９】 そして、ローラやカムが摩耗すると、ピストンストロークが減少し、上死点に おけるピストンとアッパーケーシングとの隙間が増大し、ピストン効率が低下す るため、ピストン性能を長期間安定維持できないという問題点があった。

【００１０】 そこで、本考案は、このような問題点を解消できるピストン式流体ピストンを 提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案のピストン式流体ピストンは、ピストンロッ ド（１０）の軸部（１０ａ）とばね受け部（１０ｃ）を一体形成したことを特徴 とする。

【００１２】 軸部（１０ａ）とばね受け部（１０ｃ）を冷間鍛造で一体形成すると効果的で ある。

【００１３】

【作用】

ピストンロッドの軸部とばね受け部を別体形成したあとで、両者を結合する従 来技術のように余分な補強用等の厚肉部を要しないため、ピストンロッドの薄肉 軽量化が実現でき、その分スプリング荷重も小さくでき、ローラとカムの当接荷 重が小さくなる。

【００１４】 又、冷間鍛造で成形したものでは、鍛造部位は製品形状に沿って整列したファ イバーフローが形成できるため、材料強度が高く、その分部品の薄肉化ができる 。

【００１５】

【実施例】

図１に示す実施例において、１はバキュームピストンで、ロワーケーシング ２とアッパーケーシング３とを備え、ロワーケーシング２の下部においてエンジ ンのシリンダヘッドカバー４に固定されている。

【００１６】 ５はロワーケーシング２に固定されたシリンダ、６はシリンダ５内を上下動す るピストンで、その外周に設けた環状溝７にはＯリング８とテフロンのピストン リング９が嵌合されている。その弾力でピストンリング９をシリンダ５の内周面 に押圧するとともに、温度変化によるピストンリング９の寸法変化を吸収する。

【００１７】 １０はピストンで、ロワーケーシング２に設けた軸受１１により上下に摺動可 能に軸承され、その上端はピストン６の中央に固着されている。 １２はロッド１０に嵌合するようロワーケーシング２に設けられたテフロンの シールリングで、その内周３箇所にオイル通路１２ａが形成されている。

【００１８】 １３はシールリング１２の周りに設けたＯリングで、その弾力によってシール リング１２をピストンロッド１０の外周に押圧するとともに温度変化によるシー ルリング１２の寸法変化を吸収する。

【００１９】 １４と１５はそれぞれピストン６の上下に形成されたポンプ上室とポンプ下室 、１６はロワーケーシング２に固定したパイプで、図示されてないブレーキブー スタに連通される。

【００２０】 １７、１８は吸収弁で、夫々パイプ１６とポンプ上室１４との間と、パイプ１ ６とポンプ下室１５との間に配設されている。ポンプ上室１４とポンプ下室１５ は、夫々吐出弁１９、２０を経てヘッドカバー４内の空間に連通している。

【００２１】 ２１はピストンロッド１０の下端部１０ｂに固定されたピン、２２はピン２１ に回動可能に嵌合された小径ローラ、２３は小径ローラ２２の外周に嵌合する大 径ローラで、ローラ２３はエンジンのカムシャフトに形成されたカム２５に当接 している。

【００２２】 １０ｃはピストンロッド１０の軸部１０ａ下端近くに一体形成されたフランジ 状のばね受け部、２７はばね受け部１０ｃとロワーケーシング２との間に配設さ れた圧縮スプリングで、ピストンロッド１０を下方に付勢してローラ２３をカム ２３に押圧当接している。

【００２３】 このように構成されたローラ２３は、カム２５に従動するピストン駆動部とし て機能する。 ２４は軸受１１の下方に位置する軸受開口部で、この軸受開口部２４とローラ ２３の外周面とに、図示されてない潤滑オイル供給手段から潤滑オイルを供給す る構造になっている。

【００２４】 軸受開口部２４に供給された潤滑オイルは、軸受１１とピストンロッド１０の 隙間を通り、オイル通路１２ａを経てピストン下室１５へ吸入される。 上記実施例で、エンジンに連動してカム２５が回転すると、カム２５がピスト ン駆動部であるローラ２３を駆動して、ピストンロッド１０とピストン６を上下 動させる。

【００２５】 ピストン６が上昇すると、ポンプ上室１４内の空気が吐出弁１９を経てヘッド カバー４内の空間に吐出され、ポンプ下室１５には図示されてないブレーキブー スタからパイプ１６、吸入弁１８を経て空気が吸入される。同時に、潤滑オイル が、ポンプ下室１５の負圧によって、連通軸受開口部２４、軸受１１とポンプロ ッド１０との隙間、及びオイル通路１２ａを経てピストン下室１５内に吸入され 、ポンプ下室１５内に拡散する。

【００２６】 ピストンが上下に往復動を繰り返すことにより、ポンプ下室１５内に充分の潤 滑オイルが流入し、ピストンリング９とシリンダ５との摺動面に付着し、良好な 摺動状態を維持する。

【００２７】 ピストン６の下降時には、ポンプ下室１５内の空気は吐出弁２０を経てヘッド カバー４内の空間を吐出され、ポンプ上室１４には、ブレーキブースタからパイ プ１６と吸入弁１７を経て空気が吸入される。又、ポンプ下室１５側のシリンダ ５とピストンリング９付近に付着した潤滑オイルは、ピストン上室１４の負圧に よりピストン下室１５からピストン上室１４側へ流入し、ポンプ上室１４内に拡 散する。

【００２８】 そして、ピストン６が往復動を繰り返すことにより、さらにポンプ上室１４に 潤滑オイルが流入して、ピストンリング９とシリンダ５の摺動面に付着し、良好 な摺動状態を維持する。このようにして、ピストン摺動面の潤滑が良好に行なわ れる。

【００２９】 ポンプロッド１０の軸部１０ａ、下端１０ｂ及びばね受け部１０ｃは冷間鍛造 等の製造法で一体成形することで、製品形状に沿って整列したファイバーフロー が形成できるため材料強度が高くなり、その分部品の薄肉軽量化ができる。又、 ピン２１、ローラ２２、２３を装着する部分は冷間鋳造等の塑性加工後に切削加 工で必要精度を確保するよう対処する。

【００３０】

【考案の効果】

本考案のピストン式流体ピストンは上述のように構成されているので、ポンプ ロッドの薄肉軽量化とスプリング荷重の低減が可能となる結果、ローラとカムの 摩耗を軽減できる。

【００３１】 又、ポンプロッドが一体で形成されるため、その軸部、ばね受け部、下端ピス トン駆動部へ均一に作用させられる結果、ローラとカムの当接部の偏摩耗が防止 できる。

【００３２】 更に又、ローラとカムの摩耗が低減されることにより、ピストンストロークの 減少や、ピストン上死点における隙間の増大が未然に防止できるため、長期間に わたり安定したピストン性能を維持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の縦断面図。

【図２】従来技術の縦断面図。

【符号の説明】

１０ ポンプロッド １０ａ 軸部 １０ｂ 下端部 １０ｃ ばね受け部

フロントページの続き (72)考案者 安藤 一也 愛知県大府市共和町一丁目１番地の１ 愛 三工業株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポンプロッド（１０）の軸部（１０ａ）
   とばね受け部（１０ｃ）を一体形成したことを特徴とす
   るピストン式流体ポンプ。
2. 【請求項２】 軸部（１０ａ）とばね受け部（１０ｃ）
   を冷間鍛造で一体形成したことを特徴とするピストン式
   流体ポンプ。