JPH05194942A - 蛍光標識用色素、蛍光標識用色素で標識された生物由来物質、及びそれらを含有する試薬 - Google Patents

蛍光標識用色素、蛍光標識用色素で標識された生物由来物質、及びそれらを含有する試薬

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JPH05194942A
JPH05194942A JP959292A JP959292A JPH05194942A JP H05194942 A JPH05194942 A JP H05194942A JP 959292 A JP959292 A JP 959292A JP 959292 A JP959292 A JP 959292A JP H05194942 A JPH05194942 A JP H05194942A
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Mitsuo Katayose
光雄 片寄
Seiji Tai
誠司 田井
Hiroo Watanabe
博夫 渡辺
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】670〜780nm付近に発振波長をもつ小型
半導体レーザを用いて測定するための、種々の抗原・薬
物の分析やDNAの塩基配列の分析等に有用な試薬を提
供する。 【構成】一般式(I)で表される蛍光標識用色素、それ
によって標識されたビタミン、ヌクレオチドもしくはタ
ンパク質等の生物由来物質、又はこれらを含有する試
薬。 【化1】(一般式(I)中、Aはナフタレン環、アンス
ラセン環等であり、MはAl、Si、H2等であり、R1
〜R4はスルホン酸基、アミノ基等であり、k、l、m
及びnは0〜4の整数であり、Yはヒドロキシ基、ハロ
ゲン原子等であり、pは0〜2の整数である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光標識用色素、蛍光
標識用色素で標識された生物由来物質、及びそれらを含
有する試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】フタロシアニン系顔料は、環状共役鎖を
構成する4つの窒素原子によって結合された4個のイソ
インドール部分を有する有機顔料である。これらの顔料
に用いられている化合物としては、フタロシアニン(青
緑)、銅フタロシアニン(青)、塩素置換銅フタロシア
ニン(緑)、スルホン化銅フタロシアニン(緑)等があ
る。フタロシアニン系顔料は、一般に、エナメル、プラ
スチック、リノリウム、インク、壁紙、織物、紙、ゴム
製品などに使用されている。いっぽう、フリーベースフ
タロシアニン、アルミニウム、カドミウム、マグネシウ
ム、シリコン、すず及び亜鉛フタロシアニンが螢光を示
すことが報告された(The Phthalocyan
ines 1:127、1983)。
【0003】また、フタロシアニン類は種々の免疫分析
に使用できることが種々報告されている(US特許第
4,160,645号公報、US特許第4,193,9
83号公報、US特許第4,220,450号公報、U
S特許第4,233,402号公報、US特許第4,2
35,869号公報、US特許第4,256,834号
公報、US特許第4,277,437号公報、US特許
第4,318,707号公報、US特許第4,483,
929号公報、US特許第4,540,660号公報、
US特許第4,540,670号公報、US特許第4,
560,534号公報、US特許第4,650,770
号公報、US特許第4,656,129号公報、US特
許第4,659,676号公報)。
【0004】更に、フタロシアニン類は、化学発光免疫
分析系で触媒として使用されている〔Bull.Che
m.Soc.Jpn.第56巻、2965−2968頁
(1983)、同第56巻、2267−2271頁(1
983)、同第57巻、587−588頁(198
4)、同第57巻、3009−3010頁(198
4)、同第58巻、1299−1303頁(198
5)〕。原らは、ルミノールと過酸化水素とのあいだの
化学発光反応の触媒として鉄フタロシアニンを用いて、
化学発光のシグナル量から、テストサンプル中の分析対
象を定量している。彼らは鉄及びコバルトのフタロシア
ニン並びに鉄、パラジウム、白金、マンガン及びスズの
ポルフィリン錯体について検討し、鉄フタロシアニンが
最も優れた触媒作用を示し、かつ高感度であることを報
告した。
【0005】免疫分析で着色物質のほかに螢光物質が広
く利用されているが、さらに、酵素免疫分析において
も、螢光物質は感度を上げることができるので着色物質
よりも好んで使用されるようになってきている。よく知
られた螢光物質−酵素対はアルカリホスファターゼ(al
kaline phosphatase)と4−メチルウムベリフェリルホ
スフェート(4-methylumbelliferyl phosphate)、β−
ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)と4−メチルウ
ムベリフェリル−D−ガラクトピラノシド(4-methylum
belliferyl-D-galactopyranoside)、西洋ワサビのパー
オキシダーゼ(horse radish peroxidase)とp−ヒド
ロキシフェニル酢酸(p-hydroxyphenyl acetic acid)
等があり、これらの系の検出感度は10-15 Mである。
しかし検出感度をさらに上げようとしても生成する螢光
体の分析特性には限界がある。
【0006】最近、螢光量子収率が高く、水に対して高
い溶解性を示すフタロシアニン類を用いた試薬が提案さ
れた(WO特許第88/04777号公報、WO特許第
90/02747号公報、特開平1−233222号公
報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしフタロシアニン
類は、ほぼ等価な骨格をもつ4つの芳香環を有するの
で、水等の極性溶媒中で容易に会合体を形成し、検出感
度が低下する。更に、フタロシアニン類は、そのQ−バ
ンドの吸収域及び蛍光発光域が波長650〜700nm
の領域にあり、生体の血液中に存在するヘム等の吸収域
(<700nm)と重なるので、その妨害を受ける欠点
がある。
【0008】また、放射線光源は今後安価で小型の半導
体レーザ(670〜780nm)が主流になると考えら
れるが、670〜690nmの半導体レーザで励起する
場合に、フタロシアニンは螢光発光領域がこれと同様の
波長域にあるため、照射レーザ光からの散乱光と螢光発
光を区別することが困難であるだけでなく、700〜7
80nmの半導体レーザで励起する場合には、フタロシ
アニンは光を吸収できないため励起されず、したがって
検出薬としての役目を果たさない。
【0009】本発明は、将来主流になると予想される安
価で小型の半導体レーザ(670〜780nm)を用い
て測定でき、また水等の極性溶媒中で容易に会合体を形
成しないため高い感度を示し、更に血液中に存在するヘ
ム等の生体内物質に影響されない、抗原・薬物の分析や
あるいはDNAの塩基配列の分析等に有用な試薬又は臨
床検査試薬を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は下記(1)〜
(6)に関する。すなわち、 (1)一般式(I)
【化3】 〔一般式(I)中、Aは、次のいずれかの構造式(化
4)で表される芳香環を示し、
【化4】 Mは、H2 、Al、Si、P、Ga、Ge、Cd、S
c、Mg、Sn又はZnを示し、R1 、R2 、R3 及び
4 は、それぞれ独立に、−XQW、−QW、−W又は
水素原子を示し、(ここで、Xは、酸素原子、窒素原
子、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、
CR56 (ただし、R5 及びR6 は、それぞれ独立
に、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル
基であり、R56 としてカルボニル酸素でもよ
い。)、又はフェニレン基を示し、Qは、XとWを結合
する基を示し、Wは−OH、−CO2H、−CO2 - 、−
OCH2CO2H、−OCH2CO2 - 、−PO4 2- 、−P
3 - 、−SO3 - 、−SO2 -、−SO2Cl、−SO4 2
- 、−NH2 、−NHR7 、−NR89 又は−N
(+)R101112(ただし、R7 〜R12は、それぞれ
独立にC1 〜C10のアルキル基、C6 〜C12のアリール
基又はC6 〜C12のアラルキル基である。)を示す。)
k、l、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数を示
し、Yは、ハロゲン原子、−OR13又は−NR14 2 (た
だし、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、親
水性置換基を有するものであってもよいアルキル基、親
水性置換基を有するものであってもよいアシル基、親水
性置換基を有するものであってもよいシリル基又は親水
性置換基を有するものであってもよいリン原子含有基で
ある。)を示し、pは、YのMへの結合数を表わす0〜
2の整数を示す。〕で表される蛍光標識用色素。 (2)上記(1)の蛍光標識用色素を含有する試薬。 (3)上記(1)の蛍光標識用色素で標識された生物由
来物質。 (4)上記(3)の標識された生物由来物質を含有する
試薬。 (5)生物由来物質がビタミン、アルカロイド又はヌク
レオチドである上記(3)の標識された生物由来物質。 (6)生物由来物質がビタミン、アルカロイド又はヌク
レオチドである上記(4)の試薬。
【0011】本発明の一般式(I)の化合物において、
1〜R4中のX中のR5 及びR6 のアルキル基の具体例
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、sec−
プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基等があり、アリール基
の例としては、フェニル基、チエニル基、フリル基、ピ
ロリル基、トリル基、アニシル基、4−アミノフェニル
基等があり、アラルキル基としては、べンジル基、2−
フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニ
ルプロピル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニル
プロピル基等がある。
【0012】また、Y中のR13及びR14の親水性置換基
を有するものであってもよいアルキル基の具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデ
シル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基等
の直鎖、分枝及び脂環状の基があり、親水性置換基を有
するものであってもよいアシル基の例としては、ホルミ
ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレ
リル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル
基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基等があ
り、親水性置換基を有するものであってもよいシリル基
としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、
トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリアミ
ルシリル基、トリヘキシルシリル基、t−ブチルジメチ
ルシリル基、ジ(t−ブチル)メチルシリル基、ジメチ
ルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリ
フェニルシリル基等があり、親水性置換基を有するもの
であってもよいリン原子を含む置換基としては、−P
(=O)R78、−P(=O)(NR9102 、−P
11 2 (ただし、R7〜R11は、それぞれ独立に、アル
キル基、アリール基、アシル基、シクロアルキル基、ア
ルコキシル基、アリールオキシル基、ポリエーテル基、
ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示し、それらは種々
の置換基を持っていてもよい。)等がある。
【0013】R1〜R4中のQはXとWを結合する基で、
1〜C8の飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状又は環状の
結合基、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレ
ン基、テトラメチレン基、プロピレン基、ビニレン基、
プロペニレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレ
ン基、シクロヘキシレン基等のほか、ポリエーテル、ポ
リアミン、ポリアルコール等の基がある。
【0014】W中、R7 〜R12のC1〜C10のアルキル
基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ノニル基、デ
シル基の直鎖状、分枝状及び環状の基があり、C6〜C
12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、アニ
シル基、ナフチル基、ビフェニル基等があり、C6〜C
12のアラルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル
エチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピ
ル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルプロピル
基等がある。
【0015】一般式(I)中、Yが−OR13又は−NR
14 2 (R13及びR14は、アルキル基、アシル基及びシリ
ル基を示す)であり、pが1又は2である化合物は、一
般式(I)中、Yが−OH又は−NH2 である化合物
を、相当するアルコール、アシルクロリド、シラノー
ル、クロロシラン、クロロホスフィン、クロロホスファ
イト又はホスフォリルクロリドなどと反応させることに
よって合成できる。
【0016】一般式(I)中、Yが−OH又は−NH2
であり、pが1又は2である化合物は、一般式(I)
中、Yがハロゲン原子であり、pが1又は2である化合
物を加水分解又は加アンモニア分解することによって得
ることができる。
【0017】一般式(I)中、Yがハロゲン原子であり
pが1又は2である化合物、及びpがゼロでYをもたな
い化合物は、次の2つの経路により合成することができ
る。第1の経路は文献(Zh. Obsch. Khim.、第39巻、25
54-2558頁(1969年))記載の方法に準じて、式(II)
【化5】 で表される化合物と式(III)
【化6】 〔式(III)中、Aは一般式(I)中と同じ意味を示
す。〕で表される化合物とをクロスカップリングさせる
ことにより、次式(IV)
【化7】 〔式(IV)中、A、M及びpは一般式(I)中と同じ
意味を示し、Y’は−OH又は−NH2を示す。〕で表
される化合物を得、次にこれに、一般式(I)におい
て、置換基R1、R2、R3又はR4を形成しうるようなR
1、R2、R3又はR4部位含有の化学種を反応させて得る
方法である。
【0018】第2の経路は、文献(Monatsh. Chem., 10
3巻、150-155頁(1972年)及び同105巻、405-418頁(1974
年))記載の方法を参考にして得られる次式(V)
【化8】 と前記の式(III)で示される化合物とを、文献(J. A
m. Chem. Soc., 112巻、9640-9641頁(1990年))記載の方
法に準じて反応させることにより式(IV)で示される
化合物を得たのち、更に一般式(I)で表される化合物
を得る方法である。
【0019】一般式(I)で表される化合物の例を次の
表1及び表2に示す。
【表1】 表1 一般式(I)で表される化合物の例(その1) ──────────────────────────────────── No. A M−Yp R1234 ──────────────────────────────────── 1 化9 H2 SO3Na SO3Na SO3Na SO3Na 2 〃 〃 〃 〃 〃 − 3 〃 Mg 〃 〃 〃 − 4 〃 AlCl 〃 〃 〃 − 5 〃 Si〔OCH2CH2OH〕2 〃 〃 〃 − 6 〃 Si〔OC(CH2OH)32 〃 〃 〃 − 7 化10 AlCl PO3Na PO3Na PO3Na PO3Na 8 〃 Si〔OCH2CH(CH2OH)22 SO3Na SO3Na SO3Na SO3Na 9 化11 〃 〃 〃 〃 〃 10 化12 〃 〃 〃 〃 〃 11 〃 Ge〔OC(CH2OH)32 CO2Na CO2Na CO2Na CO2Na 12 〃 〃 SCH2OH SCH2OH SCH2OH SCH2OH 13 化13 〃 − CONH2 CONH2 CONH2 14 〃 Zn − 〃 〃 〃 15 化9 〃 SC3H7 SO3Na SO3Na SO3Na 16 化13 〃 NH2 〃 〃 〃 17 化10 〃 SO3Na NHCO2Na NHCO2Na NHCO2Na 18 化9 〃 化14 化14 化14 化14 19 〃 Al-OH 〃 〃 〃 〃 20 〃 化15 〃 〃 〃 〃 ────────────────────────────────────
【表2】 表2 一般式(I)で表される化合物の例(その2) ──────────────────────────────────── No. A M−Yp R1234 ──────────────────────────────────── 21 化9 Mg 化14 化14 化14 化14 22 〃 〃 化16 化16 化16 化16 23 〃 〃 化17 SO3Na SO3Na SO3Na 24 〃 〃 化18 化14 化14 化14 25 〃 Zn 化17 化17 化17 化17 26 〃 〃 化18 化18 化18 化18 ──────────────────────────────────── ただし、表1及び表2において、k、l、m及びnはい
ずれも1であり、化9〜化18とあるのは次の化学式を
示す。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】−S−Ph−SO3Na (ただし、Phは
ベンゼン環を示す)
【化18】
【0020】本発明において用いられる生物由来物質と
しては、動物、植物、微生物(ウイルスを含む)等の生
物から得られるタンパク質・ペプチド、ヌクレオチド、
糖類、脂質、ホルモン、ビタミン、アルカロイド、抗生
物質、それらの複合物等があり、これらは、天然から抽
出したもの、人工的に完全合成したもの、あるい人工的
に半合成したもののいずれであってもよい。
【0021】タンパク質・ペプチドの具体例としては、
血清アルブミン、IgG・IgA・IgM・IgD・I
gE等の免疫グロブリン、種々のタンパク質や白血球の
膜抗原に対するモノクローナル抗体、パーオキシダー
ゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ
等の酵素等が挙げられ、ヌクレオチドの具体例としては
DNA、RNA、合成オリゴヌクレオチド、合成ポリヌ
クレオチド、ATP、CTP、GTP、TTP、UT
P、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、dUT
P、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddTT
P、ddUTP、あるいはそれらの誘導体等が挙げら
れ、糖類の具体例としては、グリコーゲン、デンプン、
マンナン等の多糖類のほかオリゴ糖やグルコース、マン
ノース等の単糖類が挙げられ、脂質としては、ホスファ
チジルコリン、ホスファチジルエタノラミン、脂肪、脂
肪酸等が挙げられ、ホルモンとしてはインシュリン、成
長ホルモン、オキシトシン、バソプレッシン、セクレチ
ン、上皮細胞成長因子、ガストリン、グルカゴン、カル
シトニン等のペプチド性ホルモン、アンドロゲン、エス
トロゲン、ハイドロコーチゾン等のステロイドホルモ
ン、アドレナリン、ノルアドレナリン等のカテコラミン
類等が挙げられ、ビタミンとしてはビタミンA、ビタミ
ンB1、B2、B6、B12、p−アミノ安息香酸(PAB
A)、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタ
ミンE等の各種ビタミンが挙げられ、アルカロイドとし
てはモルフィン等のアヘンアルカロイド、アトロピン、
スコポラミン等のトロパンアルカロイド、ビンブラスチ
ン、ビンクリスチン等のインドールアルカロイド、オウ
レン等のイソキノリンアルカロイド等が挙げられ、抗生
物質としては、ペニシリン、セファロスポリン、カナマ
イシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール等が
挙げられる。
【0022】生物由来物質に蛍光標識用色素を結合させ
るためには、生物由来物質中のアミノ基、水酸基等の官
能基と蛍光標識用色素中のカルボキシル基、スルフォン
基等の官能基を利用して直接、イオン結合的又は共有結
合的に直接結合させるか、あるいは蛍光標識用色素が反
応できるように、生物由来物質の一部に結合基(リンカ
ー)を付加する等の化学修飾を施したのち、反応させれ
ばよい。蛍光標識用色素で標識された生物由来物質はク
ロマトグラフィー、再結晶等の慣用の分離手段により精
製することができる。
【0023】3個のベンゼン環に加え、Q吸収帯を長波
長へシフトさせる役割をもつ芳香環が縮環したことによ
り、一般式(I)で表される化合物の吸収及び蛍光発光
波長はフタロシアニン類に比べ長波長域(700nm以
上)に移動し、また非対称の分子構造となるため水中で
の会合体の形成が抑制される。そのため、一般式(I)
で表される化合物を用いれば、血中ヘム等のスペクトル
的妨害因子の影響を免れることができ、しかも検出感度
の高い分析・検査試薬とすることができるので、生体中
の種々の抗原、薬物の分析やあるいはDNAの塩基配列
の分析等に有用に利用できる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により更に具体的に本発明を説
明する。なお、化合物のNo.は表1及び表2の番号に符
合する。 実施例1 化合物No.4の合成 文献〔Monatsh. Chem., 105巻、405-418頁(1974年)〕記
載の方法を参考にして合成したサブフタロシアニン
(1.2g)及び1,3−ジイミノベンゾ〔f〕イソイン
ドリン(3.2g)を、文献〔J. Am. Chem. Soc., 112
巻、9640-9641頁(1990年)〕記載の方法を参考にして反
応させたのち、キノリン(300ml)中、220℃で
塩化アルミニウム(3.0g)を反応させ、クロロアル
ミニウムフタロナフタロシアニン(3.6g)を得た。
次に、これをクロロスルホン酸(20ml)中、65℃
で6時間撹拌した。放冷後、内容物を氷水(1kg)に
注ぎ、固体を濾取し、水、続いてメタノールで洗浄後、
減圧乾燥した。得られた固体(2.9g)に1N−Na
OH(40ml)を加え、室温で24時間撹拌した。反
応物をクロマトグラフィー(展開溶媒:10重量%NH
4OH/メタノール)により精製し、黒緑色固体(1.
9g)を得た。本固体には、約3個のスルホン酸基が導
入されていることが分かった。
【0025】実施例2 化合物No.18の合成 文献〔Monatsh. Chem., 105巻、405-418頁(1974年)〕記
載の方法を参考にして合成したサブフタロシアニン
(1.2g)及び1,3−ジイミノベンゾ〔f〕イソイン
ドリン(3.2g)を、文献〔J. Am. Chem. Soc., 112
巻、9640-9641頁(1990年)〕記載の方法を参考にして反
応させたのち、キノリン(300ml)中、220℃で
塩化亜鉛(3.0g)を反応させ、亜鉛フタロナフタロ
シアニン(3.4g)を得た。次に、これをクロロスル
ホン酸(20ml)中、65℃で6時間撹拌した。放冷
後、内容物を氷水(1kg)に注ぎ、固体を濾取し、
水、続いてメタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られ
た固体(2.8g)を無水クエン酸(10g)とともに
キノリン(300ml)中、180℃で3時間反応させ
たのち、反応液中のキノリンを減圧下で留去した。固体
をメタノール(20ml)でほぐしたのち、トルエン
(100ml)で2回、更にn−ヘキサンで洗浄し、乾
燥した。水を加えてクエン酸を溶かし、不溶性の固体を
濾取した。この固体を炭酸ナトリウム溶液中に投入し、
30分撹拌後、濾過して得た濾液を弱酸性にし調整して
析出させた固体を濾取した。この固体を赤外スペクトル
分析の結果、カルボン酸基が多数導入されていることが
分かった。この固体を炭酸ナトリウム溶液に溶かして、
化合物No.18を得た。
【0026】実施例3 化合物No.15の合成 1,3−ジイミノベンゾ〔f〕イソインドリン及び塩化
アルミニウムの代わりに、それぞれ6−プロピルチオ-
1,3−ジイミノベンゾ〔f〕イソインドリン及び塩化
亜鉛を用いたほかは、実施例1と同様にして、化合物N
o.15を得た。
【0027】実施例4 化合物No.7の合成 1,3−ジイミノベンゾ〔f〕イソインドリン及び塩化
アルミニウムの代わりに、それぞれ下記の化19
【化19】 で表される化合物及び四塩化珪素を用いたほかは、実施
例1と同様にして、M−YpがSi(OH)2である化合
物を得たのち、キノリン中、2−ヒドロキシメチル−
1,3−プロパンジオールと脱水縮合反応させ、化合物
No.7を得た。
【0028】実施例5 化合物No.4のモノ{N−(p−
ヒドロキシカルボニルフェニル)スルファモイル}ジス
ルホン酸ナトリウム塩の合成 実施例1において、1N−NaOH水溶液でナトリウム
塩とする前のトリスルホン酸(200mg)のベンゼン
(2ml)溶液に、25℃でオキザリルクロリド(0.
75ml)を滴下した。6時間撹拌後、溶媒を除去し、
トリスルホニルクロリド誘導体を黒緑色固体として得
た。一方、炭酸ナトリウム(75mg)の水(1.5m
l)溶液に、80℃で、p−アミノ安息香酸(PAB
A)(45mg)を加え、5分間撹拌し、トリスルホニ
ルクロリド誘導体(72mg)を加えた。反応液を80
℃で更に6時間撹拌したのち、溶媒を除去し得た固体を
10重量%水酸化アンモニウムを含むメタノールで希釈
し、再度濃縮し、アセトンで粉砕して、化合物No.4のモ
ノ{N−(p−ヒドロキシカルボニルフェニル)スルフ
ァモイル}ジスルホン酸ナトリウム塩を得た。
【0029】実施例6 化合物No.15のモノ{N−(p
−ヒドロキシカルボニルフェニル)スルファモイル}ジ
スルホン酸ナトリウム塩の合成 実施例3において、1N−NaOH水溶液でナトリウム
塩にする前のトリスルホン酸を実施例4と同様に処理
し、化合物No.15のモノ{N−(p−ヒドロキシカルボ
ニルフェニル)スルファモイル}ジスルホン酸ナトリウ
ム塩を得た。
【0030】実施例7 化合物No.15のモノ〔2−
(2’−アミノエトキシ)エチルアミノスルホニル〕ジ
スルホン酸ナトリウム塩の合成 実施例3において、1N−NaOH水溶液でナトリウム
塩とする前のトリスルホン酸(72mg)のベンゼン
(3ml)溶液に、25℃でオキザリルクロリド(1.
0ml)を滴下した。6時間撹拌後、溶媒を除去し、ト
リスルホニルクロリド誘導体を黒緑色固体として得た。
一方、炭酸ナトリウム(30mg)の水(1.2ml)
溶液に、80℃で、2,2’−オキシビス(エチルアミ
ン)ハイドロクロリド(25mg)を加え、5分間撹拌
し、先に調製したトリスルホニルクロリド誘導体を加え
た。反応液を80℃で更に12時間加熱し、化合物No.1
5のモノ〔2−(2’−アミノエトキシ)エチルアミノ
スルホニル〕ジスルホン酸ナトリウム塩を得た。
【0031】実施例8 アンチモルフィンモノクローナ
ル抗体に対する相対免疫親和性 化合物No.4のモノ{N−(p−ヒドロキシカルボニルフ
ェニル)スルファモイル}ジスルホン酸ナトリウム塩か
ら得られる化合物No.4のモノ{N−(p−ヒドロキシカ
ルボニルフェニル)スルファモイル}ジスルホニルクロ
リド(50mg)のトリエチルアミン(0.5ml)溶
液に、0℃で撹拌しながらクロロギ酸エチル(7ml)
を加えた。5分間撹拌後、3−(4−アミノブチル)モ
ルフィン(29mg)を加え、室温で反応混合物を8時
間撹拌し、化合物No.4のモノ{N−(p−ヒドロキシカ
ルボニルフェニル)スルファモイル}ジスルホニルクロ
リドで標識したモルフィンを得た。
【0032】モルフィン、アミノモルフィン及びここで
得た標識化モルフィンについて、アンチモルフィンモノ
クロナール抗体に対する相対免疫親和性を、トリチウム
でラベルしたモルフィンとの競争反応を用いて測定し
た。その結果を表3に示す。
【表3】 表3 アンチモルフィンモノクローナル抗体に対する親和性 ────────────────────────────────── 分子種 相対親和性 ────────────────────────────────── モルフィン 1 アミノモルフィン 1 標識化モルフィン 0.9 ────────────────────────────────── 表3の結果から分子種の違いによる相対親和性の違いは
ほとんでみられず、モルフィンに化合物No.4を結合させ
てもモルフィンとモノクローナル抗体の反応性はほとん
ど変化がないことが分かる。
【0033】実施例9 (1)リンカーが結合したオリゴヌクレオチド・プライ
マーの合成 固相CED−フォスフォラミド法を用いた自動DNA合
成装置によりプライマー(5’−GTTTCCCAGT
CACGAC−3’)を合成した。合成したプライマー
のリン酸化は、50mMトリス−塩酸(pH7.6)、
10mM塩化マグネシウム、10mMジチオスレイトー
ル、3mM ATP、T4−ヌクレオチドカイネースを含
む100μlの反応液中で37℃、1時間保温して行っ
た。リン酸化されたプライマーは、ゲル濾過用カラムを
使用して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分
離し、リン酸化されたプライマーのピークを集め、凍結
乾燥で溶媒を除いた。
【0034】次に、これを250mMの1,2−ジアミ
ノエタン(pH6.0),200mMのエチル−3(3
−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド及び100
mMのN−メチルイミダゾール(pH6.0)を含む反
応液100μl中、25℃で一晩保温して5’末端のグ
アノシンのリン酸部にリンカー〔NH2−(CH2)2−N
H−〕を結合させた。
【0035】(2)化合物No.4で標識されたオリゴヌク
レオチド・プライマーの合成 5’末端グアノシンのリン酸部にリンカーが結合した上
記(1)のオリゴヌクレオチド・プライマーと実施例1で
得た化合物を0.2M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.
3)中で混合し、25℃で一晩、暗室で保温したのち、
HPLCで精製することにより、リンカーを介して化合
物No.4が結合したプライマーを得た。
【0036】(3)DNAの塩基配列の分析 既知の塩基配列のDNAをサンプルとし、上記(3)で
得られたリンカーを介して化合物No.4が結合したプライ
マーを用いて、それぞれ4種の塩基でサンガー反応を行
ったのち、それぞれ別々のレーンで電気泳動分離し、7
20nmの発振波長の半導体レーザーを搭載したDNA
シークエンサーで分析した。その結果、DNAの300
塩基までを99%の精度で決定できた。
【0037】
【発明の効果】本発明により、血液中に存在するヘム等
の生体内物質に影響されず、また、将来主流になると予
想される小型の半導体レーザ(670〜780nm)を
用いて測定するための、血液中の種々の抗原、薬物の分
析やあるいはDNAの塩基配列の分析等に有用な試薬又
は臨床検査試薬を提供できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 31/22 122 9015−2J 33/533 8310−2J 33/58 A 7055−2J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 〔一般式(I)中、 Aは、次のいずれかの構造式(化2)で表される芳香環
    を示し、 【化2】 Mは、H2 、Al、Si、P、Ga、Ge、Cd、S
    c、Mg、Sn又はZnを示し、 R1 、R2 、R3 及びR4 は、それぞれ独立に、−XQ
    W、−QW、−W又は水素原子を示し、(ここで、X
    は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ケイ
    素原子、セレン原子、CR56 (ただし、R5 及びR
    6 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリー
    ル基又はアラルキル基であり、R56 としてカルボニ
    ル酸素でもよい。)、又はフェニレン基を示し、 Qは、XとWを結合する基を示し、 Wは−OH、−CO2H、−CO2 - 、−OCH2CO
    2H、−OCH2CO2 - 、−PO4 2- 、−PO3 - 、−S
    3 - 、−SO2 -、−SO2Cl、−SO4 2 - 、−NH
    2 、−NHR7 、−NR89 又は−N(+)R1011
    12(ただし、R7 〜R12は、それぞれ独立にC1 〜C
    10のアルキル基、C6 〜C12のアリール基又はC6 〜C
    12のアラルキル基である。)を示す。)k、l、m及び
    nは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、 Yは、ハロゲン原子、−OR13又は−NR14 2 (ただ
    し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、親水
    性置換基を有するものであってもよいアルキル基、親水
    性置換基を有するものであってもよいアシル基、親水性
    置換基を有するものであってもよいシリル基又は親水性
    置換基を有するものであってもよいリン原子含有基であ
    る。)を示し、 pは、YのMへの結合数を表わす0〜2の整数を示
    す。〕で表される蛍光標識用色素。
  2. 【請求項2】請求項1記載の蛍光標識用色素を含有する
    試薬。
  3. 【請求項3】請求項1記載の蛍光標識用色素で標識され
    た生物由来物質。
  4. 【請求項4】請求項3記載の標識された生物由来物質を
    含有する試薬。
  5. 【請求項5】生物由来物質がビタミン、アルカロイド又
    はヌクレオチドである請求項3記載の標識された生物由
    来物質。
  6. 【請求項6】生物由来物質がビタミン、アルカロイド又
    はヌクレオチドである請求項4記載の試薬。
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