JPH05194759A - 帯電防止性を有する熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

帯電防止性を有する熱可塑性樹脂フィルム

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JPH05194759A
JPH05194759A JP947992A JP947992A JPH05194759A JP H05194759 A JPH05194759 A JP H05194759A JP 947992 A JP947992 A JP 947992A JP 947992 A JP947992 A JP 947992A JP H05194759 A JPH05194759 A JP H05194759A
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成夫 上拾石
Masashi Takeda
正志 武田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 帯電防止性にすぐれ、ブリードおよびブロッ
キングの発生がない熱可塑性樹脂フィルムを提供するこ
と。 【構成】 オレフィン構造単位45〜98.5モル%、アクリ
レート構造単位0〜15モル%、アルキルマレイミド構造
単位0.5 〜5モル%、およびカチオン化マレイミド構造
単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量
平均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂を0.3
〜50重量%含有したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂フィルムに
関する。さらに詳しくは、たとえば包装用材料などとし
て好適に使用しうる帯電防止性にすぐれた熱可塑性樹脂
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱可塑性樹脂フィルムは、疎水
性が大きいため、静電気の発生が著しい。したがって、
このようなフィルムをたとえば包装用材料として用いた
ばあいには、埃が付着し、内容物の商品価値の低下、印
刷不良、巻取時の端部の不揃いなどを生じたり、静電気
の放電により人体にショックを与えることがあり、また
可燃性有機溶剤を使用する雰囲気中においては引火など
の問題があった。
【0003】そこで、従来から発泡体に帯電防止性を付
与するために、アニオン系、カチオン系または両性界面
活性剤を添加したり、塗布する方法が採用されている。
【0004】しかしながら、前記方法では、界面活性剤
は、その分子量がたかだか500 〜600 程度と比較的小さ
いものであるため、フィルムの製造中に揮散したり、ま
たフィルム化したあとには経時とともにブリードアウト
し、フィルムの表面を汚染し、ブロッキングを発生した
り、接着性、印刷性や蒸着性などを悪化させるという問
題がある。また、前記界面活性剤を用いた熱可塑性樹脂
フィルム以外にも帯電防止性にすぐれた熱可塑性樹脂フ
ィルムとして、熱可塑性樹脂に1種または2種以上の特
定の官能基をもつ樹脂、特殊変性樹脂(特開昭62-12171
7 号公報、特公平1-29820 号公報)を添加し、フィルム
にしたものが知られている。
【0005】しかしながら、前記樹脂はいずれもアクリ
レート構造またはマレイミド構造を有するポリオレフィ
ン系樹脂ではないため、熱可塑性樹脂との相溶性がわる
く、透明性が悪化したりボイドが発生し、表面性におと
るという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、帯電防止性にすぐれる
ことは勿論のこと、ブリードやブロッキングの発生など
がない熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I) :
【0008】
【化9】
【0009】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示す)で表わされるオレフィン構造単位45〜98.5モル
%、一般式(II):
【0010】
【化10】
【0011】(式中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す)で表わされるアクリレート構造単位0〜15モル
%、一般式(III) :
【0012】
【化11】
【0013】(式中、R3 は炭素数8〜18のアルキル基
または炭素数8〜18のアリール基を示す)で表わされる
アルキルマレイミド構造単位0.5 〜5モル%および一般
式(IV):
【0014】
【化12】
【0015】(式中、R4 は炭素数2〜8のアルキレン
基、R5 およびR6 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、R7 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の
アリールアルキル基、アルキル基で置換されていてもよ
い炭素数2〜4のエポキシ基または炭素数6〜12の脂環
アルキル基、Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 または
2 5 OSO3 を示す)で表わされるカチオン化マレ
イミド構造単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配
列した重量平均分子量1000〜50000 のオレフィン系樹
脂、および一般式(I) :
【0016】
【化13】
【0017】(式中、R1 は前記と同じ)で表わされる
オレフィン構造単位45〜98.5モル%、一般式(II):
【0018】
【化14】
【0019】(式中、R2 は前記と同じ)で表わされる
アクリレート構造単位0〜15モル%、一般式(V) :
【0020】
【化15】
【0021】(式中、R1 およびR3 は前記と同じ、m
は0または1を示す)で表わされるアルキルマレイミド
構造単位0.5 〜5モル%および一般式(VI):
【0022】
【化16】
【0023】(式中、R1 、R4 、R5 、R6 、R7
Xおよびmは前記と同じ)で表わされるカチオン化マレ
イミド構造単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配
列した重量平均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系
樹脂の少なくとも1種を0.3 〜50重量%含有したことを
特徴とする帯電防止性を有する熱可塑性樹脂フィルムに
関する。
【0024】
【作用および実施例】本発明は、前記したように、(A)
一般式(I) :
【0025】
【化17】
【0026】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示す)で表わされるオレフィン構造単位45〜98.5モル
%、一般式(II):
【0027】
【化18】
【0028】(式中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基
を示す)で表わされるアクリレート構造単位0〜15モル
%、一般式(III) :
【0029】
【化19】
【0030】(式中、R3 は炭素数8〜18のアルキル基
またはアリール基を示す)で表わされるアルキルマレイ
ミド構造単位0.5 〜5モル%および一般式(IV):
【0031】
【化20】
【0032】(式中、R4 は炭素数2〜8のアルキレン
基、R5 およびR6 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、R7 は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の
アリールアルキル基、アルキル基で置換されていてもよ
い炭素数2〜4のエポキシ基または炭素数6〜12の脂環
アルキル基、Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 または
2 5 OSO3 を示す)で表わされるカチオン化マレ
イミド構造単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配
列した重量平均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系
樹脂(以下、ポリオレフィン系樹脂Aという)、および
(B) 前記一般式(I) で表わされるオレフィン構造単位45
〜98.5モル%、前記一般式(II)で表わされるアクリレー
ト構造単位0〜15モル%、一般式(V) :
【0033】
【化21】
【0034】(式中、R1 およびR3 は前記と同じ、m
は0または1を示す)で表わされるアルキルマレイミド
構造単位0.5 〜5モル%および一般式(VI):
【0035】
【化22】
【0036】(式中、R1 、R4 、R5 、R6 、R7
Xおよびmは前記と同じ)で表わされるカチオン化マレ
イミド構造単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配
列した重量平均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系
樹脂(以下、ポリオレフィン系樹脂Bという)の少なく
とも1種を0.3 〜50重量%含有したことを特徴とする帯
電防止性を有する熱可塑性樹脂フィルムである。
【0037】まず、前記ポリオレフィン系樹脂Aおよび
その中間体について説明する。
【0038】前記ポリオレフィン系樹脂A中の前記一般
式(I) で表わされるオレフィン構造単位の割合は45〜9
8.5モル%である。該オレフィン構造単位の割合が45モ
ル%未満であるばあいには、前記ポリオレフィン系樹脂
Aのガラス転移点が高くなり、ポリオレフィン系樹脂本
来の可撓性を損うばかりでなく、カチオン性基が多く存
在するにもかかわらず帯電防止性がそれほど良好にはな
らず、また98.5モル%をこえるばあいには、前記ポリオ
レフィン系樹脂Aの帯電防止性が小さくなりすぎるよう
になる。
【0039】前記オレフィン構造単位において、R1
水素原子またはメチル基であり、これらの基は1分子中
に混在していてもよい。前記オレフィン構造単位の割合
は、帯電防止性およびガラス転移点の釣り合いの点か
ら、85〜97モル%であることが好ましい。
【0040】前記ポリオレフィン系樹脂A中の前記一般
式(II)で表わされる前記アクリレート構造単位の割合は
0〜15モル%である。該アクリレート構造単位の割合が
15モル%をこえるばあいには、前記ポリオレフィン系樹
脂Aの軟化点が低くなり、タックやベタツキが生じる。
本発明において、前記アクリレート構造単位が含まれて
いるばあいには、強靭性および耐衝撃性が付与されるの
で好ましい。なお、本発明においては、前記アクリレー
ト構造単位の割合は、軟化点と強靭性および耐衝撃性と
の釣り合いの点から、1〜15モル%、なかんづく3〜7
モル%であることがとくに好ましい。
【0041】前記アクリレート構造単位において、R2
は炭素数1〜4のアルキル基である。かかるR2 の具体
例としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基な
どがあげられ、これらの基は1分子中に混在していても
よい。なお、これらの基のなかでは、メチル基およびエ
チル基は前記ポリオレフィン系樹脂Aの軟化点を維持す
るうえでとくに好ましいものである。
【0042】前記ポリオレフィン系樹脂A中の前記一般
式(III) で表わされるアルキルマレイミド構造単位の割
合は0.5 〜5モル%である。該アルキルマレイミド構造
単位は、その他のポリオレフィン樹脂に対する相溶性を
向上させる性質を有し、前記ポリオレフィン系樹脂Aの
可撓性を向上し、帯電防止性が環境湿度に依存されにく
くする性質を付与するものである。前記アルキルマレイ
ミド構造単位の割合が0.5 モル%未満であるばあいに
は、とくに熱可塑性樹脂に対する相溶性がわるくなり、
また5モル%をこえるばあいには帯電防止性が小さくな
る。したがって前記アルキルマレイミド構造単位の割合
は、相溶性と帯電防止性の釣り合いの点から、1〜3モ
ル%であることが好ましい。
【0043】前記一般式(III) で表わされるアルキルマ
レイミド構造単位において、R3 は炭素数8〜18のアル
キル基または炭素数8〜18のアリール基であるが、前記
ポリオレフィン系樹脂Aと、熱可塑性樹脂との相溶性の
点から炭素数16〜18の長鎖アルキル基が好ましい。
【0044】前記ポリオレフィン系樹脂A中の前記一般
式(IV)で表わされるカチオン化マレイミド構造単位の割
合は1〜35モル%である。該カチオン化マレイミド構造
単位の割合が1モル%未満のばあいには帯電防止性が小
さくなりすぎ、また35モル%をこえるばあいには、前記
ポリオレフィン系樹脂Aを熱可塑性樹脂に配合したとき
に吸湿性を生じ、かつ該熱可塑性樹脂に対する相溶性が
わるくなる。前記カチオン化マレイミド構造単位の好ま
しい割合は3〜15モル%である。
【0045】前記一般式(IV)で表わされるカチオン化マ
レイミド構造単位において、R4 の具体例としては、た
とえばエチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレン基、
ネオペンチレン基などがあげられ、これらの基は1分子
中に混在していてもよい。なお、これらの基のなかでは
前記ポリオレフィン系樹脂Aの製造の容易性、経済性な
どの点からエチレン基およびプロピレン基が好ましい。
5 およびR6 は炭素数1〜4のアルキル基であり、か
かるR5 およびR6 の具体例としては、たとえばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基があげられ、これ
らの基は1分子中に混在していてもよい。これらの基の
なかでは、充分な帯電防止性を付与するためにはメチル
基およびエチル基が好ましい。R7 は炭素数1〜12のア
ルキル基、炭素数6〜12のアリールアルキル基、アルキ
ル基で置換されていてもよい炭素数2〜4のエポキシ基
または炭素数6〜12の脂環アルキル基である。前記R7
のなかでは、前記ポリオレフィン系樹脂Aの耐熱性を向
上させるためには、直鎖アルキル基、アリールアルキル
基が好ましい。とくに好ましいR7 としては、メチル基
およびエチル基があげられる。Xは、たとえばCl、B
r、Iなどのハロゲン原子、CH3 OSO3 またはC2
5 OSO3 であり、これらは1分子中に混在していて
もよい。なお、これらのなかでは、帯電防止性の点から
Cl、CH3 OSO3 およびC2 5 OSO3 が好まし
い。
【0046】なお、前記一般式(III) で表わされるアル
キルマレイミド構造単位と前記一般式(IV)で表わされる
カチオン化マレイミド構造単位の割合(アルキルマレイ
ミド構造単位/カチオン化マレイミド構造単位:モル
比)は、前記ポリオレフィン系樹脂Aに充分な帯電防止
性を付与するために、1/70〜1/2、なかんづく1/
70〜1/43であることが好ましい。
【0047】前記ポリオレフィン系樹脂Aの重量平均分
子量は、1000〜50000 である。該重量平均分子量が1000
未満であるばあいには、分子量が小さくなりすぎて加熱
したときに揮散し、また50000 をこえるばあいには、熔
融したときの粘度が大きくなりすぎ、作業性がわるくな
る。好ましい重量平均分子量は、3000〜35000 である。
【0048】なお、本明細書でいう重量平均分子量と
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定した単分散のポリスチレン換算の重量平均分
子量をいう。
【0049】前記ポリオレフィン系樹脂Aは、テトラヒ
ドロフラン(THF)やキシレンなどの通常のゲルパー
ミエーションの溶離液に難溶であるので容易には測定す
ることができないが、超高温GPC法(絹川、高分子論
文集、44巻、2号、139 〜141 頁(1987 年))にしたが
って測定することができる。
【0050】前記ポリオレフィン系樹脂Aおよびその中
間体である一般式(I) で表わされるオレフィン構造単位
45〜98.5モル%、一般式(II)で表わされるアクリレート
構造単位0〜15モル%、一般式(III) で表わされるアル
キルマレイミド構造単位0.5〜5モル%および一般式(VI
I) :
【0051】
【化23】
【0052】(式中、R4 、R5 およびR6 は前記と同
じ)で表わされるジアルキルアミノマレイミド構造単位
1〜35モル%からなる不規則に配列した重量平均分子量
1000〜50000 の共重合体(以下、中間体Aという)は、
たとえば以下の方法によってえられる。
【0053】まず、前記中間体Aの原料としては、とく
に限定はなく、たとえばオートクレーブ中にベンゼン、
トルエンなどを溶媒として用い、アクリレート、無水マ
レイン酸および過酸化ベンゾイルなどのラジカル重合開
始剤を溶解させ、オレフィンを該溶液に所定量吹きこ
み、50〜80℃で8〜12時間反応させ、その後オートクレ
ーブ中の内容物を大量のたとえばエーテルなどの溶媒中
に投入する方法などの公知の方法によってえられるオレ
フィン−アクリレート−無水マレイン酸共重合体などが
あげられる。ここでそれぞれの単量体の仕込モル比は、
目的とする共重合体の構造単位の割合にほぼ等しくな
る。
【0054】前記原料から前記ポリオレフィン系樹脂A
およびその中間体Aを製造する方法についてはとくに限
定はないが、以下にその一例について説明する。
【0055】前記原料をたとえばベンゼン、トルエン、
キシレン、シクロヘキサノン、デカン、クメン、シメン
などの芳香族または脂肪族炭化水素、ケトンなどの不活
性溶媒に溶解し、まず一般式(III) に相当するマレイミ
ド構造をうるべく炭素数8〜18のアルキルアミンを添加
し、130 〜180 ℃にて反応させて無水マレイン酸構造単
位に含まれる酸無水物基をアルキルイミド基に変換す
る。つぎにジアルキルアミノアルキルアミンを添加し、
130 〜180 ℃にて反応させて残りの無水マレイン酸構造
単位のすべてをジアルキルアミノアルキルマレイミド構
造単位に変換して中間体Aとする。前記アルキルアミン
の使用量は、アルキルマレイミド構造単位を0.5 〜5モ
ル%とするために、無水マレイン酸構造単位の酸無水物
基に対して1.4 〜83モル%、好ましくは1.4 〜30モル%
である。また前記ジアルキルアミノアルキルアミンの使
用量は、ジアルキルアミノアルキルマレイミド構造単位
を1〜35モル%とするために、残存する無水マレイン酸
構造単位に対して100 〜150モル%、好ましくは100 〜1
10 %モルである。
【0056】えられた中間体Aをさらにたとえばアルキ
ルハライド、ジアルキル硫酸、エピクロロヒドリンなど
の公知の4級化剤でカチオン変性することにより、ジア
ルキルアミノアルキルマレイミド構造単位がカチオン化
マレイミド構造単位に変換され、前記ポリオレフィン系
樹脂Aがえられる。
【0057】つぎに、前記ポリオレフィン系樹脂Bおよ
びその中間体について説明する。
【0058】前記ポリオレフィン系樹脂Bは、前記した
ように、一般式(I) で表わされるオレフィン構造単位45
〜98.5モル%、一般式(II)で表わされるアクリレート構
造単位0〜15モル%、一般式(V) で表わされるアルキル
マレイミド構造単位0.5 〜5モル%、および一般式(VI)
で表わされるカチオン化マレイミド構造単位1〜35モル
%からなる線状に不規則に配列した重量平均分子量1000
〜50000 のポリオレフィン系樹脂である。
【0059】前記ポリオレフィン系樹脂B中の前記一般
式(I) で表わされるオレフィン構造単位の割合は45〜9
8.5モル%である。該オレフィン構造単位の割合が45モ
ル%未満であるばあいには、前記ポリオレフィン系樹脂
Bのガラス転移点が高くなり、熱可塑性樹脂に配合した
ときに樹脂本来の可撓性を損うばかりでなく、カチオン
性基が多く存在するにもかかわらず帯電防止性がそれほ
ど良好にはならず、また98.5モル%をこえるばあいに
は、前記ポリオレフィン系樹脂Bの帯電防止性が小さく
なりすぎるようになる。前記オレフィン構造単位におい
て、R1 は水素原子またはメチル基であり、これらの基
は1分子中に混在していてもよい。前記オレフィン構造
単位の割合は、帯電防止性およびガラス転移点の釣り合
いの点から、85〜97モル%であることが好ましい。
【0060】前記ポリオレフィン系樹脂B中の前記一般
式(II)で表わされる前記アクリレート構造単位の割合は
0〜15モル%である。該アクリレート構造単位の割合が
15モル%をこえるばあいには、前記ポリオレフィン系樹
脂Bの軟化点が低くなり、熱可塑性樹脂に配合したとき
にタックやベタツキが生じる。本発明において、前記ア
クリレート構造単位が含まれているばあいには、熱可塑
性樹脂に配合したときに強靭性および耐衝撃性が付与さ
れるので好ましい。なお、本発明においては、前記アク
リレート構造単位の割合は、軟化点と強靭性および耐衝
撃性との釣り合いの点から、1〜15モル%、なかんづく
3〜7モル%であることがとくに好ましい。
【0061】前記アクリレート構造単位において、R2
は炭素数1〜4のアルキル基である。かかるR2 の具体
例としては、前記ポリオレフィン系樹脂Aのアクリレー
ト構造単位と同じものがあげられる。
【0062】前記ポリオレフィン系樹脂B中の前記一般
式(V) で表わされるアルキルマレイミド構造単位の割合
は0.5 〜5モル%である。該アルキルマレイミド構造単
位は、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性を向上させ
る性質を有し、前記ポリオレフィン系樹脂Bの可撓性を
向上し、帯電防止性が環境湿度に依存されにくくする性
質を付与するものである。前記アルキルマレイミド構造
単位の割合が0.5 モル%未満であるばあいには、とくに
熱可塑性樹脂に対する相溶性がわるくなり、また5モル
%をこえるばあいには帯電防止性が小さくなる。したが
って前記アルキルマレイミド構造単位の割合は、相溶性
と帯電防止性の釣り合いの点から、1〜3モル%である
ことが好ましい。
【0063】前記一般式(V) で表わされるアルキルマレ
イミド構造単位において、R3 は炭素数8〜18のアルキ
ル基または炭素数8〜18のアリール基であるが、前記ポ
リオレフィン系樹脂Bと、熱可塑性樹脂との相溶性の点
から炭素数16〜18などの長鎖アルキル基が好ましい。
【0064】前記ポリオレフィン系樹脂B中の前記一般
式(VI)で表わされるカチオン化マレイミド構造単位の割
合は1〜35モル%である。該カチオン化マレイミド構造
単位の割合が1モル%未満のばあいには帯電防止性が小
さくなりすぎ、また35モル%をこえるばあいには、吸湿
性を生じ、かつ熱可塑性樹脂に対する相溶性がわるくな
る。前記カチオン化マレイミド構造単位の好ましい割合
は3〜15モル%である。
【0065】前記一般式(VI)で表わされるカチオン化マ
レイミド構造単位において、前記R4 、R5 、R6 、R
7 およびXの具体例としては、前記ポリオレフィン系樹
脂Aの一般式(IV)で表わされるカチオン化マレイミド構
造単位と同じものがあげられる。
【0066】なお、前記一般式(V) で表わされるアルキ
ルマレイミド構造単位と前記一般式(VI)で表わされるカ
チオン化マレイミド構造単位の割合(アルキルマレイミ
ド構造単位/カチオン化マレイミド構造単位:モル比)
は、前記ポリオレフィン系樹脂Bに充分な帯電防止性を
付与するために、1/70〜1/2、なかんづく1/70〜
1/43であることが好ましい。
【0067】前記ポリオレフィン系樹脂Bの重量平均分
子量は、1000〜50000 である。該重量平均分子量が1000
未満であるばあいには、分子量が小さくなりすぎて前記
ポリオレフィン系樹脂Bを熱可塑性樹脂に配合し、加熱
したときに揮散し、また50000 をこえるばあいには、前
記ポリオレフィン系樹脂Bを熔融したときの粘度が大き
くなりすぎ、作業性がわるくなる。好ましい重量平均分
子量は、3000〜35000である。
【0068】なお、前記ポリオレフィン系樹脂Bの重量
平均分子量は前記ポリオレフィン系樹脂Aと同様にして
測定することができる。
【0069】前記ポリオレフィン系樹脂Bおよびその中
間体(以下、中間体Bという)は、たとえば以下の方法
によってえられる。
【0070】前記中間体Bの原料である無水マレイン酸
グラフト−オレフィン−アクリレート共重合体の製造方
法にはとくに限定がないが、たとえば通常市販されてい
る低分子量のポリプロピレン−エチルアクリレート共重
合体を過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物の存在下で
無水マレイン酸をグラフト重合することによりえられ
る。
【0071】このようにしてえられた無水マレイン酸が
グラフトされたオレフィン−アクリレート共重合体に前
記ポリオレフィン系樹脂Aの方法と同様の方法でアルキ
ルアミンおよびジアルキルアミノアルキルアミンを反応
させることにより、一般式(I) で表わされるオレフィン
構造単位45〜98.5モル%、一般式(II)で表わされるアク
リレート構造単位0〜15モル%、一般式(V) で表わされ
るアルキルマレイミド構造単位0.5 〜5モル%および一
般式(VIII):
【0072】
【化24】
【0073】(式中、R1 、R4 、R5 、R6 およびm
は前記と同じ)で表わされるジアルキルアミノマレイミ
ド構造単位1〜35モル%からなる線状に不規則に配列し
た重量平均分子量1000〜50000 の中間体Bがえられる。
【0074】前記アルキルアミンの使用量は、アルキル
マレイミド構造単位を0.5 〜5モル%とするために、グ
ラフトされた無水マレイン酸構造単位に対して1.4 〜83
モル%、好ましくは1.4 〜30モル%である。また前記ジ
アルキルアミンの使用量は、ジアルキルアミノアルキル
マレイミド構造単位を1〜35モル%とするために、残存
する無水マレイン酸構造単位に対して100 〜150 モル
%、好ましくは100 〜110 モル%である。
【0075】つぎに前記ポリオレフィン系樹脂Aを製造
するときと同様の4級化剤と反応させることにより、前
記一般式(VI)で表わされる、グラフトされたカチオン化
マレイミド構造単位を含有する前記ポリオレフィン系樹
脂Bがえられる。
【0076】かくしてえられる前記ポリオレフィン系樹
脂AおよびBは、いずれもすぐれた帯電防止性を有し、
しかも帯電防止性が環境湿度にあまり大きく左右されな
いというすぐれた性質を有する。このように前記ポリオ
レフィン系樹脂がすぐれた性質を有する理由は定かでは
ないが、前記ポリオレフィン系樹脂AおよびBに含まれ
たカチオン化マレイミド構造単位が空気中の水分を取り
込み、X- がイオン化して電気伝導性を示すため、低い
電気抵抗を示すことに起因するものと考えられる。一
方、前記ポリオレフィン系樹脂AおよびB中のアルキル
マレイミド構造単位が側鎖にも長いアルキル基をもって
いるため、可撓性が向上し、帯電防止性が環境湿度に依
存されにくいというすぐれた特性を示す要因となってい
ると推察される。
【0077】また、本発明においては、カチオン化マレ
イミド構造単位が高温下であっても揮発性を示さず、か
つ前記ポリオレフィン系樹脂中に化学的に組み込まれて
いるので、加工時における揮散がなく、加工後において
はブロッキングの発生などを招くことがないと考えられ
る。
【0078】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、前記ポ
リオレフィン系樹脂AおよびBの少なくとも1種を含有
したものである。前記ポリオレフィン系樹脂Aおよび/
またはBは熱可塑性樹脂と混合して用いることができ
る。
【0079】前記熱可塑性樹脂としては、たとえばポリ
プロピレン、エチレン含量が2〜30重量%のエチレン-
プロピレン共重合体、前記エチレン- プロピレン共重合
体にブテン-1をさらに共重合した三元共重合体、高圧法
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖
状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレ
ン- 酢酸ビニル共重合体、前記エチレン- 酢酸ビニル共
重合体のケン化物、エチレン- (メタ)アクリル酸共重
合体、エチレン- (メタ)アクリル酸エステル共重合
体、エチレン- (メタ)アクリル酸- 無水マレイン酸三
元共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル- 無
水マレイン酸三元共重合体などのポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂な
どがあげられ、これらの樹脂は、単独でまたは2種以上
を混合して用いられる。
【0080】なお、前記ポリオレフィン系樹脂Aおよび
Bの少なくとも1種の使用量は、前記ポリオレフィン系
樹脂と前記熱可塑性樹脂の総量に対して0.3 〜50重量
%、好ましくは 0.5〜20重量%である。かかるポリオレ
フィン系樹脂の使用量は、0.3重量%未満であるばあい
には、分子量が公知の界面活性剤型の帯電防止剤よりも
大きいため、樹脂組成中に占める割合が小さくなり、耐
ブロッキング性の点ではよいが、表面抵抗および電荷の
半減期、すなわち帯電防止性がおとるようになり、また
50重量%をこえるばあいには、前記ポリオレフィン系樹
脂の分子量が、混合する熱可塑性樹脂よりも小さいの
で、帯電防止性の点で好ましいが、えられる熱可塑性樹
脂フィルムの機械的性質がおとるようになる。
【0081】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造法に
ついてはとくに限定がなく、公知の各種の製膜方法を採
用することができる。かかる熱可塑性樹脂フィルムの製
造法の具体例としては、たとえばキャスト法、インフレ
ーション法、チューブラ法、テンター法などがあげられ
る。
【0082】なお、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、
未延伸、縦一軸延伸および二軸延伸のいずれのものであ
ってもよい。
【0083】前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さについて
はとくに限定はなく、えられる熱可塑性樹脂フィルムの
用途に応じて適宜選択すればよいが、通常かかるフィル
ムの厚さは2〜500 μmとされる。
【0084】なお、本発明においては、本発明の目的が
阻害されない範囲内で、たとえば炭酸カルシウム、タル
ク、ガラス単繊維などの無機充填剤、酸化防止剤、難燃
剤、着色剤、多官能モノマーなどの各種助剤などを熱可
塑性樹脂フィルム中に含有せしめてもよい。
【0085】また、本発明においては、前記熱可塑性樹
脂には公知の低分子量の界面活性剤を前記熱可塑性樹脂
に対して30重量%をこえない範囲内で用いてもよい。こ
のように30重量%をこえない範囲内で界面活性剤を用い
たばあいには、えられるフィルムからのブリードが認め
られない。
【0086】また、本発明のフィルムには、さらに少な
くともその片面にコロナ放電処理を施して表面濡れ張力
をあげ、水溶性の各種コーティング剤との接着性を向上
させることができる。またコーティング剤層を設け、各
種フィルム、シート、ヒートシーラント層などを積層し
て複合体とし、各種包装材料、梱包材料として用いるこ
ともできる。また、本発明のフィルムの少なくとも片面
に金属膜を蒸着し、さらにヒートシーラント層を設けて
各種包装材料、梱包材料として用いることもできる。
【0087】つぎに本発明の熱可塑性樹脂フィルムを実
施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに限定されるものではない。
【0088】実施例1 式:−(CH2 −CH2 )−で表わされるオレフィン構
造単位85モル%、式:
【0089】
【化25】
【0090】で表わされるアクリレート構造単位5モル
%、式:
【0091】
【化26】
【0092】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0093】
【化27】
【0094】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位9モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分
子量37300 のポリオレフィン系樹脂を直鎖状低密度ポリ
エチレン樹脂(密度 0.930g/cm3 、メルトインデック
ス 3.7g/10分)100 部に対して20部添加し、ドライブ
レンドしてフィルム用樹脂組成物とした。
【0095】つぎにシリンダー温度180 〜200 ℃、口金
温度200 〜210 ℃に設定されたTダイ法押出し機に導入
したのち、溶融、混練りし、押出して20℃に設定された
冷却ロールを通して厚さが30μm、幅が1200mmの未延伸
フィルムを成形した。
【0096】えられたフィルムの表面比抵抗を下記の方
法にしたがって調べたところ、1.8×1011Ωときわめて
小さく、帯電防止性にすぐれていることがわかった。
【0097】つぎに、えられたフィルムを重ね合わせ、
40℃、80%RH(相対湿度)の雰囲気中に7日間放置した
のちフィルムを剥がしてフィルムの表面を観察したが、
ブリードアウトによるベタツキの発生がなく、またえら
れたフィルム表面上にポリプロピレン用印刷インキを用
いて印刷したが、ブリードアウトによる印刷不良がなか
った。
【0098】つぎに、えられたフィルムの片面にコロナ
放電処理を施し、表面濡れ張力を37dyne/cm以上とし、
各種コーティング剤との接着性を向上させることができ
た。また、コーティング剤層を設け、その他のフィル
ム、シート、発泡体、金属箔、紙と貼り合わせ、または
ヒートシーラント層を設けて各種包装材料、梱包材料に
適用することができた。また、本発明のフィルムの片面
に金属膜を蒸着し、さらにヒートシーラント層を設けて
各種包装材料、梱包材料に適用することができた。
【0099】(表面比抵抗)フィルムを10cm×10cmに切
り出し、20℃、60%RH(相対湿度)にコントロールされ
た恒温恒湿室中に48時間放置してエージングする。
【0100】エージング終了後、前記雰囲気中で表面比
抵抗を測定する。
【0101】測定器:(株)川口電機製作所製の超絶縁
計(VE-40 型)に常温測定箱(RC-02 型)を接続したも
の 測定条件:印加電圧100 V 本器で測定した値を採用する。
【0102】なお、前記表面比抵抗において1×1013Ω
以下、かつ前記電荷の半減期が3分以下のものを帯電防
止性があるとする。
【0103】実施例2 高圧法低密度ポリエチレン(密度:0.92g/cm3 、メル
トインデックス: 5.6g/10分、粒子径:32メッシュパ
ス)85部(重量部、以下同様)と、式:−(CH2 −C
2 )−で表わされるオレフィン構造単位85モル%、
式:
【0104】
【化28】
【0105】で表わされるアクリレート構造単位5モル
%、式:
【0106】
【化29】
【0107】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0108】
【化30】
【0109】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位9モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分
子量41200 のポリオレフィン系樹脂15部を添加し、ドラ
イブレンドして実施例1と同様にして未延伸フィルムを
えた。このフィルムは、厚さが40μmのものであった。
【0110】つぎに、えられたフィルムの物性として表
面比抵抗を実施例1と同様にして、また電荷の半減期、
ブリードアウトおよびブロッキング剪断力を以下の方法
にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0111】(電荷の半減期)表面比抵抗を測定したと
きと同じ雰囲気中でスタチックオネストメーター
((株)宍戸商会製)を用い、試料に10KVの電圧を印加
し、印加された電荷の減衰速度を半減期として求める。
【0112】(ブリードアウト)フィルムを重ね、40
℃、80%RHの雰囲気中に7日間入れたのち、取り出して
フィルムを剥がしてフィルムの表面の付着物の有無を調
べる。
【0113】(ブロッキング剪断力)2枚のフィルムを
幅3cm、長さ4cmにわたって重ね合わせ、この上に550
gの重りをのせ、40℃、80%RHの雰囲気中に7日間入れ
たのち、2枚のフィルムの剪断剥離力をショッパー型引
張り試験機で求める。
【0114】剪断剥離力が1000g以下を合格とする。な
お、好ましくは500 g以下である。 実施例3 低圧法高密度ポリエチレン(密度: 0.955g/cm3 、メ
ルトインデックス: 7.3g/10分)80部と、式:−(C
2 −CH2 )−で表わされるオレフィン構造単位80モ
ル%、式:
【0115】
【化31】
【0116】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0117】
【化32】
【0118】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位19モル%からなる線状に不規則に配列した重合度4900
0 のポリオレフィン系樹脂20部を用い、インフレーショ
ン製膜装置を備えた押出し機に導入し、 210〜 230℃に
加熱溶融、混練してマンドレル型口金を介して未延伸フ
ィルムとし、同時にエアーを吹き込んで冷却と同時に2
軸配向性を付与して2軸延伸フィルムをえた。このフィ
ルムは、全体の厚さが15μmのものであった。
【0119】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表1に示す。
【0120】実施例4 直鎖状低密度ポリエチレン(密度: 0.935g/cm3 、メ
ルトインデックス:8.5 g/10分)88部と、式:−(C
2 −CH2 )−で表わされるオレフィン構造単位80モ
ル%、式:
【0121】
【化33】
【0122】で表わされるアクリレート構造単位1モル
%、式:
【0123】
【化34】
【0124】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0125】
【化35】
【0126】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位18モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分
子量29700 のポリオレフィン系樹脂12部を用いたほかは
実施例3と同様にして2軸延伸フィルムをえた。このフ
ィルムは、厚さが20μmのものであった。
【0127】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表1に示す。
【0128】実施例5 ポリプロピレン(メルトインデックス: 2.5g/10分)
98部と、式:−(CH2 −CH2 )−で表わされるオレ
フィン構造単位88モル%、式:
【0129】
【化36】
【0130】で表わされるアクリレート構造単位3モル
%、式:
【0131】
【化37】
【0132】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0133】
【化38】
【0134】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位8モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分
子量42300 のポリオレフィン系樹脂2部を用い、テンタ
ー法同時2軸延伸装置を備えた押出し機に導入し、210
〜230 ℃に加熱溶融、混練してTダイ口金より20℃に制
御された冷却ロールに押出し、未延伸フィルムとしたの
ち、連続的に再度150 〜160 ℃に加熱したテンターで縦
延伸倍率5〜9倍、横延伸倍率3〜4倍に同時2軸延伸
配向させて2軸延伸フィルムをえた。えられたフィルム
は、厚さが12μmのものであった。
【0135】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
として調べた。その結果を表1に示す。
【0136】実施例6 ナイロン-6(東レ(株)製、CM1021T、粒子径:32メ
ッシュパス)85部と、式:−(CH2 −CH2 )−で表
わされるオレフィン構造単位85モル%、式:
【0137】
【化39】
【0138】で表わされるアクリレート構造単位5モル
%、式:
【0139】
【化40】
【0140】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0141】
【化41】
【0142】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位9モル%からなる線状に不規則に配列した重量平均分
子量35500 のポリオレフィン系樹脂15部を添加し、ドラ
イブレンドした。
【0143】つぎにシリンダー温度230 〜250 ℃、口金
温度250 〜260 ℃としたほかは、実施例1と同様にして
未延伸フィルムをえた。このフィルムは、厚さが30μm
のものであった。
【0144】えられたフィルムを実施例2と同様にして
調べた。その結果を表1に示す。
【0145】実施例7 ポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製、Tタイ
プ、固有粘度:0.598 、粒子径:32メッシュパス)80部
と、式:−(CH2 −CH2 )−で表わされるオレフィ
ン構造単位80モル%、式:
【0146】
【化42】
【0147】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
1モル%および式:
【0148】
【化43】
【0149】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位19モル%からなる線状に不規則に配列した重合度4900
0 のポリオレフィン系樹脂20部を用い、インフレーショ
ン製膜装置を備えた押出機に導入し、260 〜280 ℃に加
熱溶融、混練してマンドレル型口金を介して未延伸フィ
ルムとし、同時にエアーを吹き込んで冷却と同時に2軸
配向性を付与して2軸延伸フィルムをえた。このフィル
ムは、全体の厚さが15μmのものであった。
【0150】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表1に示す。
【0151】実施例8 実施例1の熱可塑性樹脂フィルムにおいて、実施例1に
用いたアルキルマレイミド構造単位のかわりに式:
【0152】
【化44】
【0153】で表わされるアルキルマレイミド構造単位
を、実施例1で用いたカチオン化マレイミド構造単位の
かわりに式:
【0154】
【化45】
【0155】で表わされるカチオン化マレイミド構造単
位を有するものを用いたほかは実施例1と同様にして未
延伸フィルムをえた。このフィルムは、厚さが25μmの
ものであった。
【0156】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表1に示す。
【0157】実施例9 実施例1の熱可塑性樹脂フィルムにおいて、実施例1に
用いたアルキルマレイミド構造単位の0.5 モル%を実施
例8で用いたアルキルマレイミド構造単位0.5モル%に
かえ、実施例1に用いたカチオン化マレイミド構造単位
の4.5 モル%を実施例8で用いたカチオン化マレイミド
構造単位4.5 モル%にかえたほかは実施例1と同様にし
て未延伸フィルムをえた。このフィルムは、厚さが20μ
mのものであった。
【0158】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表1に示す。
【0159】
【表1】
【0160】比較例1 高圧法低密度ポリエチレン(密度: 0.923g/cm3 、メ
ルトインデックス: 5.6g/10分)99部および帯電防止
剤としてステアリン酸モノグリセライド1部を混合して
フィルム用樹脂組成物をえた。
【0161】つぎに、えられたフィルム用樹脂組成物を
用いて実施例2と同様にしてフィルムをえた。
【0162】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表2に示す。
【0163】比較例2 低圧法高密度ポリエチレン(密度: 0.955g/cm3 、メ
ルトインデックス: 7.3g/10分)99.7部および帯電防
止剤として式:
【0164】
【化46】
【0165】で表わされるベタイン型両性界面活性剤0.
3 部を混合してフィルム用樹脂組成物をえた。
【0166】つぎに、えられたフィルム用樹脂組成物を
用いて実施例2と同様にしてフィルムをえた。
【0167】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表2に示す。
【0168】比較例3 直鎖状低密度ポリエチレン(密度: 0.935g/cm3 、メ
ルトインデックス:8.5 g/10分)98.5部および帯電防
止剤としてステアリン酸モノグリセライドと式:
【0169】
【化47】
【0170】で表わされるベタイン型両性界面活性剤を
15:85の重量比で混合したもの0.5 部を混合してフィル
ム用樹脂組成物をえた。
【0171】つぎにえられたフィルム用樹脂組成物を用
いて実施例4と同様にしてフィルムをえた。
【0172】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表2に示す。
【0173】比較例4 エチレン含量3重量%のエチレン- プロピレン共重合体
(メルトインデックス: 4.3g/10分)98.5部および帯
電防止剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダとポ
リエチレングリコールを30:70の重量比で混合したもの
1.5 部を混合してフィルム用樹脂組成物をえた。
【0174】つぎにえられたフィルム用樹脂組成物を実
施例5と同様にして逐次2軸延伸フィルムをえた。
【0175】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表2に示す。
【0176】比較例5 ポリプロピレン(メルトインデックス: 2.5g/10分)
99.5部および帯電防止剤としてステアリルジエタノール
アミン0.5 部を混合してフィルム用樹脂組成物をえた。
【0177】つぎに、えられたフィルム用樹脂組成物を
用いて実施例5と同様にしてフィルムをえた。
【0178】えられたフィルムの物性を実施例2と同様
にして調べた。その結果を表2に示す。
【0179】
【表2】
【0180】表1に示した結果から、本発明の熱可塑性
樹脂フィルムは、帯電防止性の指標である表面比抵抗が
1×1013Ω以下でかつ電荷の半減期が180 秒以下とすぐ
れているとともに帯電防止成分のブリードアウトがな
く、したがってブロッキングのない帯電防止性にすぐれ
たフィルムであることがわかる。
【0181】一方、比較例1〜5でえられたフィルム
は、従来の比較的低分子量の界面活性剤型帯電防止剤が
用いられたものであり、表2に示した結果から、帯電防
止性を満足させようとするならば、フィルムから帯電防
止剤がブリードアウトするため、ブロッキングが発生す
るという欠点があることがわかる。
【0182】前記のことから、本発明の熱可塑性樹脂フ
ィルムは、帯電防止性にすぐれ、しかも帯電防止剤のブ
リードアウトがなく、ブロッキングも発生しないため、
たとえば静電気による障害の発生を防止しなければなら
ない分野に好適に使用しうるものであることがわかる。
【0183】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ブリ
ードアウトがないきわめてすぐれた帯電防止性を示すた
め、埃の付着がなく、また静電気の放電により人体にシ
ョックを与えることがないため、ハンドリング性にすぐ
れたフィルムである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) : 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基を示す)で表わ
    されるオレフィン構造単位45〜98.5モル%、一般式(I
    I): 【化2】 (式中、R2 は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
    わされるアクリレート構造単位0〜15モル%、一般式(I
    II) : 【化3】 (式中、R3 は炭素数8〜18のアルキル基または炭素数
    8〜18のアリール基を示す)で表わされるアルキルマレ
    イミド構造単位0.5 〜5モル%および一般式(IV): 【化4】 (式中、R4 は炭素数2〜8のアルキレン基、R5 およ
    びR6 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R7 は炭
    素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアル
    キル基、アルキル基で置換されていてもよい炭素数2〜
    4のエポキシ基または炭素数6〜12の脂環アルキル基、
    Xはハロゲン原子、CH3 OSO3 またはC2 5 OS
    3 を示す)で表わされるカチオン化マレイミド構造単
    位1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量平
    均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂、および
    一般式(I) : 【化5】 (式中、R1 は前記と同じ)で表わされるオレフィン構
    造単位45〜98.5モル%、一般式(II): 【化6】 (式中、R2 は前記と同じ)で表わされるアクリレート
    構造単位0〜15モル%、一般式(V) : 【化7】 (式中、R1 およびR3 は前記と同じ、mは0または1
    を示す)で表わされるアルキルマレイミド構造単位0.5
    〜5モル%および一般式(VI): 【化8】 (式中、R1 、R4 、R5 、R6 、R7 、Xおよびmは
    前記と同じ)で表わされるカチオン化マレイミド構造単
    位1〜35モル%からなる線状に不規則に配列した重量平
    均分子量1000〜50000 のポリオレフィン系樹脂の少なく
    とも1種を0.3 〜50重量%含有したことを特徴とする帯
    電防止性を有する熱可塑性樹脂フィルム。
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