JPH05190835A - Mosアノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子 - Google Patents
Mosアノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子Info
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- JPH05190835A JPH05190835A JP2568592A JP2568592A JPH05190835A JP H05190835 A JPH05190835 A JP H05190835A JP 2568592 A JP2568592 A JP 2568592A JP 2568592 A JP2568592 A JP 2568592A JP H05190835 A JPH05190835 A JP H05190835A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 オン性能とオフ性能のトレードオフの優れ
た、MOSアノードショート補助ゲート構造を有する半
導体素子。 【構成】 アノードpエミッタ層4にエッチング加工を
施し、該エッチング溝12に面するアノードpエミッタ
層4端にn+ ショート層として働くMOSアノードショ
ート層5″を、アノードpエミッタ層4に接し、nバッ
ファ層6には接しないように配置する。該エッチング溝
12からn+ ショート層として働くMOSアノードショ
ート層5″の一部にかかる間をSiO2 膜10上に、ア
ノード電極1に対し、絶縁膜14で絶縁形成されたショ
ート補助ゲート電極13、を設けた上でアノード側全体
に金属を被覆してアノード電極1を形成した、MOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子とし
ての構成を有する。
た、MOSアノードショート補助ゲート構造を有する半
導体素子。 【構成】 アノードpエミッタ層4にエッチング加工を
施し、該エッチング溝12に面するアノードpエミッタ
層4端にn+ ショート層として働くMOSアノードショ
ート層5″を、アノードpエミッタ層4に接し、nバッ
ファ層6には接しないように配置する。該エッチング溝
12からn+ ショート層として働くMOSアノードショ
ート層5″の一部にかかる間をSiO2 膜10上に、ア
ノード電極1に対し、絶縁膜14で絶縁形成されたショ
ート補助ゲート電極13、を設けた上でアノード側全体
に金属を被覆してアノード電極1を形成した、MOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子とし
ての構成を有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速スイッチング・低
損失を要する、バイポーラ型接合を有する電力用半導体
素子としての静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)、
ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、及び絶縁ゲー
トバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar T
ransistor)(IGBT)等において、アノード電極構造
の最適化を図り、ターンオフ性能及びターンオン性能の
トレードオフを改善できる、MOSアノードショート構
造を有する半導体素子の特性を更に改良した、MOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子に関
する。
損失を要する、バイポーラ型接合を有する電力用半導体
素子としての静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)、
ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、及び絶縁ゲー
トバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar T
ransistor)(IGBT)等において、アノード電極構造
の最適化を図り、ターンオフ性能及びターンオン性能の
トレードオフを改善できる、MOSアノードショート構
造を有する半導体素子の特性を更に改良した、MOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、高耐圧化を狙ったオン(on)性能
重視の構造として、アノード側にnバッファ層を設けた
ものが作られている。この構造に対し、オフ性能を向上
させるには、nバッファ層を有さない構造によりオン電
圧を低く保持しつつ、ターンオフ性能の改善できる、静
電誘導効果を利用したアノードショート構造や、nバッ
ファ層をアノード側にn+ 層で短絡した構造がGTOの
例で提案されている。静電誘導効果を利用したアノード
ショート構造は例えば、文献“新形アノードショート構
造のSIサイリスタ”電気学会電子デバイス研究会, ED
D-87-66,pp.37 〜49(1987年10月7日) に開示さ
れている通りである。或いはまた、特開平1−9316
9号公報「電力用半導体素子」に開示されている通りで
ある。またnバッファ層をアノード側にn+ 層で短絡し
たGTOの構造としては、例えば、文献“Nバッファと
新型アノードショート構造を採用した6kVGTOサイ
リスタ”電気学会電子デバイス研究会,EDD-87-65,pp.2
7 〜35(1987年10月7日)において開示されてい
る通りである。後者の構造をSIサイリスタに適用した
例を図14に示す。これらに対し、「MOSアノードシ
ョート構造を有する半導体素子」が本件出願人と同一出
願人により、既に特願平3−280646号に開示され
た。
重視の構造として、アノード側にnバッファ層を設けた
ものが作られている。この構造に対し、オフ性能を向上
させるには、nバッファ層を有さない構造によりオン電
圧を低く保持しつつ、ターンオフ性能の改善できる、静
電誘導効果を利用したアノードショート構造や、nバッ
ファ層をアノード側にn+ 層で短絡した構造がGTOの
例で提案されている。静電誘導効果を利用したアノード
ショート構造は例えば、文献“新形アノードショート構
造のSIサイリスタ”電気学会電子デバイス研究会, ED
D-87-66,pp.37 〜49(1987年10月7日) に開示さ
れている通りである。或いはまた、特開平1−9316
9号公報「電力用半導体素子」に開示されている通りで
ある。またnバッファ層をアノード側にn+ 層で短絡し
たGTOの構造としては、例えば、文献“Nバッファと
新型アノードショート構造を採用した6kVGTOサイ
リスタ”電気学会電子デバイス研究会,EDD-87-65,pp.2
7 〜35(1987年10月7日)において開示されてい
る通りである。後者の構造をSIサイリスタに適用した
例を図14に示す。これらに対し、「MOSアノードシ
ョート構造を有する半導体素子」が本件出願人と同一出
願人により、既に特願平3−280646号に開示され
た。
【0003】図14において、1はアノード電極、2は
ゲート電極、3はカソード電極、4はアノードpエミッ
タ層(pE )層、5はn+ ショート層、6はnバッファ
層、7は高抵抗半導体層、8はpゲート層、9はパッシ
ベーション膜、8′はカソードnエミッタ層(nE )層
である。図14においてはnバッファ層6の厚さと不純
物濃度を所定の値に設定することによって、高抵抗半導
体層7中に広がる空乏層中の電界を高い値に保持できる
ため、高耐圧を比較的得やすい構造である。しかし、n
バッファ層6中に蓄積される電子の蓄積効果のためアノ
ードpエミッタ層4からの過剰な正孔注入を引き起こ
す。nバッファ層6中に蓄積される電子の流出を助ける
ために図14においてはn+ ショート層5を設けた構造
となっている。
ゲート電極、3はカソード電極、4はアノードpエミッ
タ層(pE )層、5はn+ ショート層、6はnバッファ
層、7は高抵抗半導体層、8はpゲート層、9はパッシ
ベーション膜、8′はカソードnエミッタ層(nE )層
である。図14においてはnバッファ層6の厚さと不純
物濃度を所定の値に設定することによって、高抵抗半導
体層7中に広がる空乏層中の電界を高い値に保持できる
ため、高耐圧を比較的得やすい構造である。しかし、n
バッファ層6中に蓄積される電子の蓄積効果のためアノ
ードpエミッタ層4からの過剰な正孔注入を引き起こ
す。nバッファ層6中に蓄積される電子の流出を助ける
ために図14においてはn+ ショート層5を設けた構造
となっている。
【0004】しかし、従来のnバッファ層(6)を有す
るアノードショート構造は、耐圧を確保することが主目
的であり、nバッファ層(6)の濃度を増加した場合、
アノードショート率を上昇してオフ性能を向上させるこ
とは難しい。アノードショート率を上昇し過ぎた場合、
オン電圧が急上昇し、ひいてはサイリスタがオンに至る
ラッチアップ動作が不可能となり、トランジスタ動作に
なるといった不具合が生ずる。この場合、オフロス(of
f-loss)は下がるがオンロス(on-loss)は急上昇する。
オン(on)性能とオフ(off)性能とのトレードオフを改
善し、両性能ともに改善し、両立させることは従来のn
バッファ構造を有する半導体素子においては極めて難し
い。
るアノードショート構造は、耐圧を確保することが主目
的であり、nバッファ層(6)の濃度を増加した場合、
アノードショート率を上昇してオフ性能を向上させるこ
とは難しい。アノードショート率を上昇し過ぎた場合、
オン電圧が急上昇し、ひいてはサイリスタがオンに至る
ラッチアップ動作が不可能となり、トランジスタ動作に
なるといった不具合が生ずる。この場合、オフロス(of
f-loss)は下がるがオンロス(on-loss)は急上昇する。
オン(on)性能とオフ(off)性能とのトレードオフを改
善し、両性能ともに改善し、両立させることは従来のn
バッファ構造を有する半導体素子においては極めて難し
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、nバ
ッファ層を有するサイリスタ構造において、オン性能と
オフ性能とのトレードオフの優れた、MOSアノードシ
ョート補助ゲート構造を有する半導体素子を提供するこ
とにある。
ッファ層を有するサイリスタ構造において、オン性能と
オフ性能とのトレードオフの優れた、MOSアノードシ
ョート補助ゲート構造を有する半導体素子を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の構成の一例は下
記に示す通りである。即ち、本発明は、既に開示された
カソードnエミッタ層(8′)とpベース層もしくはp
ゲート層(8)と、高抵抗半導体層(7)と、nバッフ
ァ層(6)と、及びアノードpエミッタ層(4)からな
る層が積層化形成されたバイポーラ型の半導体素子にお
いて、アノードpエミッタ層(4)にエッチング加工を
施し、該エッチング溝(12)に面するアノードpエミ
ッタ層(4)端にn+ ショート層として働くMOSアノ
ードショート層(5″)を、アノードpエミッタ層
(4)には接し、nバッファ層(6)には接しないよう
に配置し、該エッチング溝(12)からn+ ショート層
として働くMOSアノードショート層(5″)の一部に
かかる間をSiO2 膜(10)で被った上でアノード側
全体に金属を被覆してアノード電極(1)を形成した、
MOSアノードショート構造を有する半導体素子に対
し、該エッチング溝(12)内SiO2 膜(10)に沿
って、アノード電極(1)に対し、絶縁膜(14)によ
り絶縁形成された、ショート補助ゲート電極(以降SA
G(Short Assist Gate)電極と称す)(13)を付加し
たMOSアノードショート補助ゲート構造を有する半導
体素子としての構成を有する。
記に示す通りである。即ち、本発明は、既に開示された
カソードnエミッタ層(8′)とpベース層もしくはp
ゲート層(8)と、高抵抗半導体層(7)と、nバッフ
ァ層(6)と、及びアノードpエミッタ層(4)からな
る層が積層化形成されたバイポーラ型の半導体素子にお
いて、アノードpエミッタ層(4)にエッチング加工を
施し、該エッチング溝(12)に面するアノードpエミ
ッタ層(4)端にn+ ショート層として働くMOSアノ
ードショート層(5″)を、アノードpエミッタ層
(4)には接し、nバッファ層(6)には接しないよう
に配置し、該エッチング溝(12)からn+ ショート層
として働くMOSアノードショート層(5″)の一部に
かかる間をSiO2 膜(10)で被った上でアノード側
全体に金属を被覆してアノード電極(1)を形成した、
MOSアノードショート構造を有する半導体素子に対
し、該エッチング溝(12)内SiO2 膜(10)に沿
って、アノード電極(1)に対し、絶縁膜(14)によ
り絶縁形成された、ショート補助ゲート電極(以降SA
G(Short Assist Gate)電極と称す)(13)を付加し
たMOSアノードショート補助ゲート構造を有する半導
体素子としての構成を有する。
【0007】或いはまた、本発明は、エッチング溝の底
部にはn+ ショート補助層(5′)を設けたことを特徴
とする、MOSアノードショート構造を有する半導体素
子としての構成を有する。
部にはn+ ショート補助層(5′)を設けたことを特徴
とする、MOSアノードショート構造を有する半導体素
子としての構成を有する。
【0008】
【作用】図9乃至図12は本発明によるMOSアノード
ショート補助ゲート構造を有する半導体素子の動作原理
説明図である。各図中において、それぞれエネルギーバ
ンド図、キャリアの動き、V−I特性(アノード・カソ
ード間の電圧−電流特性)に対応する模式図を含んでい
る。半導体素子として、SIサイリスタの各動作におけ
る各構造の作用を説明する。
ショート補助ゲート構造を有する半導体素子の動作原理
説明図である。各図中において、それぞれエネルギーバ
ンド図、キャリアの動き、V−I特性(アノード・カソ
ード間の電圧−電流特性)に対応する模式図を含んでい
る。半導体素子として、SIサイリスタの各動作におけ
る各構造の作用を説明する。
【0009】図9は点弧特性である。このとき、SAG
電極(13)とアノード電極(1)間はショート状態に
しておく。図9において印加順方向電圧VD 約25V程
度で低い場合を示している。この時MOSチャンネル
(11)はほとんど働いていない。つまり、この状態で
はMOSアノードショートが存在しない場合のような動
作となり、逆阻止形サイリスタの動作となる。
電極(13)とアノード電極(1)間はショート状態に
しておく。図9において印加順方向電圧VD 約25V程
度で低い場合を示している。この時MOSチャンネル
(11)はほとんど働いていない。つまり、この状態で
はMOSアノードショートが存在しない場合のような動
作となり、逆阻止形サイリスタの動作となる。
【0010】図10はターンオン特性である。このと
き、SAG電極(13)とアノード電極(1)間はショ
ート状態にしておく。VD としては、例えば、順方向耐
圧の1/2として、約1250Vと高い場合を示してい
る。この時、MOSチャンネル(11)は、カソードn
エミッタ層(8′)よりの電子注入、つまりnバッファ
層(6)を介して流れ込む動作をする。また、これに伴
ない正孔はアノードpエミッタ層(4)よりnMOSチ
ャネル(11)をさけて注入が始まる。つまりSIサイ
リスタがオン動作に移行するので、VD は急激に下がり
MOSチャネル(11)は消滅し、正孔注入は更に多量
に生ずる。つまり再び逆阻止形サイリスタ動作と近くな
る。
き、SAG電極(13)とアノード電極(1)間はショ
ート状態にしておく。VD としては、例えば、順方向耐
圧の1/2として、約1250Vと高い場合を示してい
る。この時、MOSチャンネル(11)は、カソードn
エミッタ層(8′)よりの電子注入、つまりnバッファ
層(6)を介して流れ込む動作をする。また、これに伴
ない正孔はアノードpエミッタ層(4)よりnMOSチ
ャネル(11)をさけて注入が始まる。つまりSIサイ
リスタがオン動作に移行するので、VD は急激に下がり
MOSチャネル(11)は消滅し、正孔注入は更に多量
に生ずる。つまり再び逆阻止形サイリスタ動作と近くな
る。
【0011】図11は導通特性である。このとき、SA
G電極(13)とアノード電極(1)間はショート状態
にしておく。VD は導通時のためオン電圧程度で2.5
V程度と低い場合を示している。この時MOSチャンネ
ル(11)は動作していない。つまり逆阻止形サイリス
タの動作となり、オン電圧は従来のアノードショート構
造を有するサイリスタのものよりも低い。
G電極(13)とアノード電極(1)間はショート状態
にしておく。VD は導通時のためオン電圧程度で2.5
V程度と低い場合を示している。この時MOSチャンネ
ル(11)は動作していない。つまり逆阻止形サイリス
タの動作となり、オン電圧は従来のアノードショート構
造を有するサイリスタのものよりも低い。
【0012】図12はターンオフ特性である。ゲート電
極(2)より正孔電流を引き出す場合、ゲート電極
(2),カソード電極(3)間に逆バイアスがかかり、
キャリアが激減しpゲート層(8)の周囲が空乏化して
いく。pゲート層(8)とカソードnエミッタ層
(8′)間に広がる空乏層形成により、カソードnエミ
ッタ層(8′)からの電子注入が停止し、アノード・カ
ソード間電圧VD が上昇するに伴ない、SAG電極(1
3)をアノード電極(1)に対し正バイアスすること
で、MOSチャネル(11)が積極的に導通することに
なり、高抵抗半導体層(7)中及びnバッファ層(6)
中に浮遊残留する電子はn+ ショート補助層(5′)か
らMOSチャネル(11)を介してMOSアノードショ
ート層(5″)に導通し、アノード電極(1)へと掃き
出される。この動作時においては、ターンオン動作の時
とは異なり、電子注入がカソードnエミッタ層(8′)
から生じていないため、正孔注入の再結合過程は残留電
子との再結合が主となり、nバッファ層(6)とアノー
ドpエミッタ層(4)との間がキャリア再結合過程の起
こりやすい場所となる。ターンオフ後期のテイル電流を
積極的に低減化処理できることになる。つまり、ターン
オフ動作ではMOSチャネル(11)が積極的に動作し
続けるため、アノードショートの効果が強力に効くこと
になり、ターンオフタイムが短縮化され、テイル電流の
低減化特性が得られる。
極(2)より正孔電流を引き出す場合、ゲート電極
(2),カソード電極(3)間に逆バイアスがかかり、
キャリアが激減しpゲート層(8)の周囲が空乏化して
いく。pゲート層(8)とカソードnエミッタ層
(8′)間に広がる空乏層形成により、カソードnエミ
ッタ層(8′)からの電子注入が停止し、アノード・カ
ソード間電圧VD が上昇するに伴ない、SAG電極(1
3)をアノード電極(1)に対し正バイアスすること
で、MOSチャネル(11)が積極的に導通することに
なり、高抵抗半導体層(7)中及びnバッファ層(6)
中に浮遊残留する電子はn+ ショート補助層(5′)か
らMOSチャネル(11)を介してMOSアノードショ
ート層(5″)に導通し、アノード電極(1)へと掃き
出される。この動作時においては、ターンオン動作の時
とは異なり、電子注入がカソードnエミッタ層(8′)
から生じていないため、正孔注入の再結合過程は残留電
子との再結合が主となり、nバッファ層(6)とアノー
ドpエミッタ層(4)との間がキャリア再結合過程の起
こりやすい場所となる。ターンオフ後期のテイル電流を
積極的に低減化処理できることになる。つまり、ターン
オフ動作ではMOSチャネル(11)が積極的に動作し
続けるため、アノードショートの効果が強力に効くこと
になり、ターンオフタイムが短縮化され、テイル電流の
低減化特性が得られる。
【0013】以上説明したように、本発明の動作原理は
MOSアノードショート補助ゲート構造において、ター
ンオフ時に、SAG電極(13)を正バイアスすること
でMOSチャネルが働き、電子の掃き出しが活性化する
特性を利用したものである。これによって、オン動作で
は逆阻止形サイリスタの動作に近く、オン性能が優れ、
オフ動作では強力なアノードショート型の如くオフ性能
の優れるデバイス特性が得られる。
MOSアノードショート補助ゲート構造において、ター
ンオフ時に、SAG電極(13)を正バイアスすること
でMOSチャネルが働き、電子の掃き出しが活性化する
特性を利用したものである。これによって、オン動作で
は逆阻止形サイリスタの動作に近く、オン性能が優れ、
オフ動作では強力なアノードショート型の如くオフ性能
の優れるデバイス特性が得られる。
【0014】
【実施例1】図1は本発明のMOSアノードショート補
助ゲート構造を有する半導体素子としての実施例を示
し、MOSアノードショート補助ゲート構造を有する静
電誘導サイリスタの模式的断面構造図を示す。図1にお
いて、1はアノード電極、2はゲート電極、3はカソー
ド電極である。4はアノードpエミッタ層、5′はn+
ショート補助層、5″は従来例(図7)におけるn+ シ
ョート層(5)と同様に働くMOSアノードショート層
である。6はnバッファ層、7は高抵抗半導体層であ
る。8はpゲート層もしくはpベース層であり、8′は
カソードnエミッタ層である。9はゲート・カソード間
のパッシベーション膜である。10はMOSアノードシ
ョート構造の絶縁膜として働くSiO2 膜である。11
はMOSアノードショート構造におけるMOSチャネル
を示す。13はショート補助ゲート電極であり、絶縁膜
14によりアノード電極1に対し、電気的に絶縁され、
外部に引き出される。
助ゲート構造を有する半導体素子としての実施例を示
し、MOSアノードショート補助ゲート構造を有する静
電誘導サイリスタの模式的断面構造図を示す。図1にお
いて、1はアノード電極、2はゲート電極、3はカソー
ド電極である。4はアノードpエミッタ層、5′はn+
ショート補助層、5″は従来例(図7)におけるn+ シ
ョート層(5)と同様に働くMOSアノードショート層
である。6はnバッファ層、7は高抵抗半導体層であ
る。8はpゲート層もしくはpベース層であり、8′は
カソードnエミッタ層である。9はゲート・カソード間
のパッシベーション膜である。10はMOSアノードシ
ョート構造の絶縁膜として働くSiO2 膜である。11
はMOSアノードショート構造におけるMOSチャネル
を示す。13はショート補助ゲート電極であり、絶縁膜
14によりアノード電極1に対し、電気的に絶縁され、
外部に引き出される。
【0015】製造方法を簡単に説明すると以下の通りで
ある。SIサイリスタ(図1)に適用すべく、アノード
pエミッタ層(pE 層)4をnバッファ層6に至るまで
局部的にエッチング除去し、エッチング溝12を形成
し、形成された島状アノードpエミッタ層(pE 層)4
の端にアノードpエミッタ層4よりも薄い、n+ ショー
ト層と同じ役割をするMOSアノードショート層5″を
設ける。また、上記のエッチングした場所の中央にn+
ショート補助層5′を設けても良い。MOSアノードシ
ョート層5″とn+ ショート補助層5′に至るまでのア
ノードpエミッタ層(pE 層)4領域表面にMOSチャ
ネル11を形成してMOS動作を生じさせる、SiO2
膜10を設ける。このエッチング溝12,SiO2 膜1
0に沿い、SAG電極13を蒸着選択形成し絶縁ポリイ
ミド膜を形成する。この上にアノード電極1を蒸着す
る。カソード側の構造の製造方法は図14の従来例と同
様である。
ある。SIサイリスタ(図1)に適用すべく、アノード
pエミッタ層(pE 層)4をnバッファ層6に至るまで
局部的にエッチング除去し、エッチング溝12を形成
し、形成された島状アノードpエミッタ層(pE 層)4
の端にアノードpエミッタ層4よりも薄い、n+ ショー
ト層と同じ役割をするMOSアノードショート層5″を
設ける。また、上記のエッチングした場所の中央にn+
ショート補助層5′を設けても良い。MOSアノードシ
ョート層5″とn+ ショート補助層5′に至るまでのア
ノードpエミッタ層(pE 層)4領域表面にMOSチャ
ネル11を形成してMOS動作を生じさせる、SiO2
膜10を設ける。このエッチング溝12,SiO2 膜1
0に沿い、SAG電極13を蒸着選択形成し絶縁ポリイ
ミド膜を形成する。この上にアノード電極1を蒸着す
る。カソード側の構造の製造方法は図14の従来例と同
様である。
【0016】以下、MOSアノードショート補助ゲート
構造を有する半導体素子としての実施例の特徴を述べ
る。図1において、アノード電極1とSiO2 膜10と
アノードpエミッタ層4によってMOS構造が形成さ
れ、nショート補助層5′もしくはnバッファ層内のキ
ャリアがMOSチャネル11の導通によって、MOSア
ノードショート層5″へ導かれると云う動作を行なって
いる。
構造を有する半導体素子としての実施例の特徴を述べ
る。図1において、アノード電極1とSiO2 膜10と
アノードpエミッタ層4によってMOS構造が形成さ
れ、nショート補助層5′もしくはnバッファ層内のキ
ャリアがMOSチャネル11の導通によって、MOSア
ノードショート層5″へ導かれると云う動作を行なって
いる。
【0017】このMOSアノードショート構造によって
等価的に形成されるnチャネルMOSFETはMOSア
ノードショート層5″をソースと見ることができ、基板
として働くアノードpエミッタ層4は上記の等価的なソ
ースに短絡されている。等価的にドレインとして働くn
バッファ層6もしくはn+ ショート補助層5′の電位
は、上記の等価的なソースの電位、即ち、アノード電極
1の電位に比較して、零もしいは負電位であり、nバッ
ファ層6内に蓄積される電子の量が多ければ多い程、負
電位の値は大きくなる。しかし、この電位差は高々シリ
コンの場合で約1Vであり、極めて低い。MOSアノー
ドショート構造によって形成される上記の等価的なnチ
ャネルMOSFETはMOSアノード短絡動作を実行中
は、ソースに比べてドレインの電位が負電位であること
から、等価的なnチャネルMOSFETの逆バイアス動
作となる。そして、この逆バイアスは1V程度以下であ
り、MOSアノード短絡の抵抗値を下げることがMOS
アノードショートの性能上、極めて重要である。この等
価的なnチャネルMOSFETのチャネル長、絶縁膜で
あるSiO2 膜10の厚さ、MOSチャネル11部分に
おけるチャネルの不純物密度あるいはチャネルドーピン
グのレベル、全体としてのチャネル幅及びMOSアノー
ドショートの総チャネル数(もしくはMOSアノードシ
ョートの形成のピッチ)及びMOSチャネル11を形成
する面方位として例えば100面を採用すること等がM
OSアノードショートの抵抗を決定する要因であり、通
常のMOSFETのオン抵抗を下げるための手段が同様
に有効に働くと云える。
等価的に形成されるnチャネルMOSFETはMOSア
ノードショート層5″をソースと見ることができ、基板
として働くアノードpエミッタ層4は上記の等価的なソ
ースに短絡されている。等価的にドレインとして働くn
バッファ層6もしくはn+ ショート補助層5′の電位
は、上記の等価的なソースの電位、即ち、アノード電極
1の電位に比較して、零もしいは負電位であり、nバッ
ファ層6内に蓄積される電子の量が多ければ多い程、負
電位の値は大きくなる。しかし、この電位差は高々シリ
コンの場合で約1Vであり、極めて低い。MOSアノー
ドショート構造によって形成される上記の等価的なnチ
ャネルMOSFETはMOSアノード短絡動作を実行中
は、ソースに比べてドレインの電位が負電位であること
から、等価的なnチャネルMOSFETの逆バイアス動
作となる。そして、この逆バイアスは1V程度以下であ
り、MOSアノード短絡の抵抗値を下げることがMOS
アノードショートの性能上、極めて重要である。この等
価的なnチャネルMOSFETのチャネル長、絶縁膜で
あるSiO2 膜10の厚さ、MOSチャネル11部分に
おけるチャネルの不純物密度あるいはチャネルドーピン
グのレベル、全体としてのチャネル幅及びMOSアノー
ドショートの総チャネル数(もしくはMOSアノードシ
ョートの形成のピッチ)及びMOSチャネル11を形成
する面方位として例えば100面を採用すること等がM
OSアノードショートの抵抗を決定する要因であり、通
常のMOSFETのオン抵抗を下げるための手段が同様
に有効に働くと云える。
【0018】本発明は、このMOSアノードショート構
造を更に効果的に働かすため、ショート補助ゲート電極
13を付加した。このためMOSアノードショートは、
チャネル形成がよりスムーズになり、ターンオフ時のキ
ャリア引き出しは高速になる。
造を更に効果的に働かすため、ショート補助ゲート電極
13を付加した。このためMOSアノードショートは、
チャネル形成がよりスムーズになり、ターンオフ時のキ
ャリア引き出しは高速になる。
【0019】図1に示した実施例ではMOSアノードシ
ョート補助ゲート構造を有する静電誘導サイリスタを例
として説明したが、他の構造の半導体デバイスとして、
例えば、ゲートターンオフサイリスタや、絶縁ゲートバ
イポーラトランジスタ(IGBT)、或いは平面ゲート
形SIサイリスタ、埋込みゲート形SIサイリスタ等に
おいても本発明に係るMOSアノードショート補助ゲー
ト構造を適用することは容易に考えられる拡張例であ
る。
ョート補助ゲート構造を有する静電誘導サイリスタを例
として説明したが、他の構造の半導体デバイスとして、
例えば、ゲートターンオフサイリスタや、絶縁ゲートバ
イポーラトランジスタ(IGBT)、或いは平面ゲート
形SIサイリスタ、埋込みゲート形SIサイリスタ等に
おいても本発明に係るMOSアノードショート補助ゲー
ト構造を適用することは容易に考えられる拡張例であ
る。
【0020】
【実施例2】図2は本発明の別の実施例(実施例2)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。ショート補助ゲート電極1
3はほぼ台形状に形成された例である。シリコン面に対
して異方性エッチングの手法を用いて、特定の面方位を
有する傾斜したテーパー状のエッチング面を形成し、そ
のテーパー状のシリコン面15にMOSチャネル11を
形成している。MOSチャネル11を特定の面方位に形
成することができ、またテーパーの厚さの制御も容易な
ため、単なるメサエッチングによりMOSチャネル用の
溝を形成する場合に比べて、等価的なMOSFETのチ
ャネル長の制御が容易となり、MOSアノードショート
の効果を安定に保持することができるという特徴を有す
る。尚、図2において、図1と同等の働きをする構成要
素については同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。ショート補助ゲート電極1
3はほぼ台形状に形成された例である。シリコン面に対
して異方性エッチングの手法を用いて、特定の面方位を
有する傾斜したテーパー状のエッチング面を形成し、そ
のテーパー状のシリコン面15にMOSチャネル11を
形成している。MOSチャネル11を特定の面方位に形
成することができ、またテーパーの厚さの制御も容易な
ため、単なるメサエッチングによりMOSチャネル用の
溝を形成する場合に比べて、等価的なMOSFETのチ
ャネル長の制御が容易となり、MOSアノードショート
の効果を安定に保持することができるという特徴を有す
る。尚、図2において、図1と同等の働きをする構成要
素については同一の参照番号を付してある。
【0021】
【実施例3】図3は本発明の別の実施例(実施例3)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。ショート補助ゲート電極1
3は図2(実施例2)の場合とは逆の台形状に形成され
ている。図3の例では図2に比べてショート補助ゲート
電極13が逆の台形状となっていることから、MOSア
ノードショート層5″を相対的に小さい領域に形成する
ことができ、結果的にアノードpエミッタ層4の領域を
広く取ることができる。図2及び図3のアノード側形状
は、従来公知の誘電体分離プロセスや、多結晶シリコン
の単結晶化プロセス、異方性エッチングプロセス或いは
シリコン基板のはり合わせ技術等を組み合わせることに
より形成することができる。実施例2及び3においては
アノード電極1を平坦に形成できる点も特徴である。
尚、図3においても、図1,図2と同等の働きをする構
成要素については同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。ショート補助ゲート電極1
3は図2(実施例2)の場合とは逆の台形状に形成され
ている。図3の例では図2に比べてショート補助ゲート
電極13が逆の台形状となっていることから、MOSア
ノードショート層5″を相対的に小さい領域に形成する
ことができ、結果的にアノードpエミッタ層4の領域を
広く取ることができる。図2及び図3のアノード側形状
は、従来公知の誘電体分離プロセスや、多結晶シリコン
の単結晶化プロセス、異方性エッチングプロセス或いは
シリコン基板のはり合わせ技術等を組み合わせることに
より形成することができる。実施例2及び3においては
アノード電極1を平坦に形成できる点も特徴である。
尚、図3においても、図1,図2と同等の働きをする構
成要素については同一の参照番号を付してある。
【0022】
【実施例4】図4は本発明の別の実施例(実施例4)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。実施例4の構造的特徴は、
n+ ショート補助層5′,MOSチャネル11及びMO
Sアノードショート層5″がほぼ平坦なシリコン面(ア
ノード面)上に形成され、従って、ショート補助ゲート
電極13もプレーナ形状に極めて容易に形成できる構造
となっている点である。このために、n+ ショート補助
層5′をアノード側シリコン面まで延長して形成してい
る。図4のような構造を採用することによって、MOS
プレーナプロセスによるnチャネルMOSFETを形成
する工程を容易に適用できるという特徴がある。尚、図
4においても図1乃至図3と同等の働きをする構成要素
については同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。実施例4の構造的特徴は、
n+ ショート補助層5′,MOSチャネル11及びMO
Sアノードショート層5″がほぼ平坦なシリコン面(ア
ノード面)上に形成され、従って、ショート補助ゲート
電極13もプレーナ形状に極めて容易に形成できる構造
となっている点である。このために、n+ ショート補助
層5′をアノード側シリコン面まで延長して形成してい
る。図4のような構造を採用することによって、MOS
プレーナプロセスによるnチャネルMOSFETを形成
する工程を容易に適用できるという特徴がある。尚、図
4においても図1乃至図3と同等の働きをする構成要素
については同一の参照番号を付してある。
【0023】
【実施例5】図5は本発明の別の実施例(実施例5)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。実施例5の構造的特徴は、
n+ ショート補助層5′,MOSアノードショート層
5″を等価的なソース/ドレインとするMOSFETが
ほぼ垂直に形成されている点にある。この構造を実現す
るために、実施例5においては、ショート補助ゲート電
極13はその断面はほぼ矩形状となり、実質的にアノー
ドpエミッタ層4内に埋め込まれて形成されている。製
造方法としては、アノードpエミッタ層4に対して、R
IEやECRプラズマエッチ等によってほぼ矩形状の溝
を形成し、MOS界面となるシリコン界面のダメージ層
を除去した後、SiO2 膜10を形成し、ポリシリコン
等によってショート補助ゲート電極13を形成する。図
5により明らかなように実施例5では、アノード電極1
はほぼ平坦に形成することができる点も特徴である。
尚、図5においても図1乃至図4と同等の働きをする構
成要素については同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。実施例5の構造的特徴は、
n+ ショート補助層5′,MOSアノードショート層
5″を等価的なソース/ドレインとするMOSFETが
ほぼ垂直に形成されている点にある。この構造を実現す
るために、実施例5においては、ショート補助ゲート電
極13はその断面はほぼ矩形状となり、実質的にアノー
ドpエミッタ層4内に埋め込まれて形成されている。製
造方法としては、アノードpエミッタ層4に対して、R
IEやECRプラズマエッチ等によってほぼ矩形状の溝
を形成し、MOS界面となるシリコン界面のダメージ層
を除去した後、SiO2 膜10を形成し、ポリシリコン
等によってショート補助ゲート電極13を形成する。図
5により明らかなように実施例5では、アノード電極1
はほぼ平坦に形成することができる点も特徴である。
尚、図5においても図1乃至図4と同等の働きをする構
成要素については同一の参照番号を付してある。
【0024】
【実施例6】図6は本発明の別の実施例(実施例6)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。図5の実施例5とMOSア
ノードショート補助ゲート構造は実質的に同一である。
実施例6の構造的な特徴は、アノードpエミッタ層4内
に高濃度に拡散された領域、即ち、アノードp+ エミッ
タ領域4′を有する点にある。アノードp+ エミッタ領
域4′の働きによってアノードpエミッタ層4とMOS
アノードショート補助層5″との間の横方向の抵抗を低
減化することができ、MOSアノードショートのショー
ト機能を増大することができるという特徴を有する。
尚、図6においても図1乃至図5と同等の働きをする構
成要素については同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。図5の実施例5とMOSア
ノードショート補助ゲート構造は実質的に同一である。
実施例6の構造的な特徴は、アノードpエミッタ層4内
に高濃度に拡散された領域、即ち、アノードp+ エミッ
タ領域4′を有する点にある。アノードp+ エミッタ領
域4′の働きによってアノードpエミッタ層4とMOS
アノードショート補助層5″との間の横方向の抵抗を低
減化することができ、MOSアノードショートのショー
ト機能を増大することができるという特徴を有する。
尚、図6においても図1乃至図5と同等の働きをする構
成要素については同一の参照番号を付してある。
【0025】
【実施例7】図7は本発明の別の実施例(実施例7)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。MOSアノードショート補
助ゲート構造については実施例5や実施例6と実質的に
同一である。アノードp+ エミッタ領域4′を具備する
点も実施例6と実質的に同等である。図7の実施例7の
構造的特徴は、nバッファ層6がn+ n- n+ n- 構造
となっている点にある。nバッファ層6のn- 部分は両
側のn+ 部分から広がる空乏層によって充分空乏化さ
れ、n- 部分の電位は容量結合によって、n+ 部分の電
位によって決定される程度の寸法及び不純物密度を有す
るように設計されている。しかも、前述のアノードp+
エミッタ領域4′の前面にはpE 層4及びn- 部分が配
置されるように構成され、アノードp+ エミッタ領域
4′から注入される正孔は、n- 部分を通過してni層
7に注入されやすい構造となっている。一方、ni層7
内の電子及びn- 部分の電子、或いは、nE 層8′から
の注入電子はnバッファ層6のn+ 部分に主として蓄積
されやすい構造となっている。このような構造的特徴を
有する実施例7では、ターンオフ時のMOSアノードシ
ョートの効果が増大され、また逆にターンオン時のオン
抵抗も下がりやすいという特徴を有する。尚、図7にお
いても図1乃至図6と同等の働きをする構成要素につい
ては同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。MOSアノードショート補
助ゲート構造については実施例5や実施例6と実質的に
同一である。アノードp+ エミッタ領域4′を具備する
点も実施例6と実質的に同等である。図7の実施例7の
構造的特徴は、nバッファ層6がn+ n- n+ n- 構造
となっている点にある。nバッファ層6のn- 部分は両
側のn+ 部分から広がる空乏層によって充分空乏化さ
れ、n- 部分の電位は容量結合によって、n+ 部分の電
位によって決定される程度の寸法及び不純物密度を有す
るように設計されている。しかも、前述のアノードp+
エミッタ領域4′の前面にはpE 層4及びn- 部分が配
置されるように構成され、アノードp+ エミッタ領域
4′から注入される正孔は、n- 部分を通過してni層
7に注入されやすい構造となっている。一方、ni層7
内の電子及びn- 部分の電子、或いは、nE 層8′から
の注入電子はnバッファ層6のn+ 部分に主として蓄積
されやすい構造となっている。このような構造的特徴を
有する実施例7では、ターンオフ時のMOSアノードシ
ョートの効果が増大され、また逆にターンオン時のオン
抵抗も下がりやすいという特徴を有する。尚、図7にお
いても図1乃至図6と同等の働きをする構成要素につい
ては同一の参照番号を付してある。
【0026】
【実施例8】図8は本発明の別の実施例(実施例8)と
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。図8の構造的特徴は、実施
例7の構造を横方向に縮めた点にある。nバッファ層6
はn+ n- n+ n- 構造を有し一定のピッチで形成され
ている。nバッファ層6のn+ 部分はn+ ショート補助
層5′として働く。MOSチャネル11の数を増加し、
MOSアノードショートの効果を増大する構造的特徴を
有している。このために、ショート補助ゲート電極13
はアノードpエミッタ層4内にn+ 部分と同一ピッチ
で、しかもn+ 部分と絶縁膜10を介して配置形成され
ている。n+ ショート補助層5′とMOSアノードショ
ート層5″はほぼ垂直に配置され、ショート補助ゲート
電極13によって等価的な縦形MOSFETが多数垂直
に形成されている(細部については拡大図を参照)。M
OSアノードショート層5″とアノードp+ エミッタ領
域4′は接触して形成した構造となっているが、アノー
ド電極1によって両者ともに同電位となるからである。
離隔して形成してもよいことはもちろんである。図8に
示した実施例8の構造では、MOSチャネルの数が実施
例1乃至実施例7と比べて増大しているためMOSアノ
ードショートの効果が増大するという特徴を有する。
尚、図8においても、図1乃至図7と同等の働きをする
構成要素については同一の参照番号を付してある。
してのMOSアノードショート補助ゲート構造を有する
半導体素子の構造例である。図8の構造的特徴は、実施
例7の構造を横方向に縮めた点にある。nバッファ層6
はn+ n- n+ n- 構造を有し一定のピッチで形成され
ている。nバッファ層6のn+ 部分はn+ ショート補助
層5′として働く。MOSチャネル11の数を増加し、
MOSアノードショートの効果を増大する構造的特徴を
有している。このために、ショート補助ゲート電極13
はアノードpエミッタ層4内にn+ 部分と同一ピッチ
で、しかもn+ 部分と絶縁膜10を介して配置形成され
ている。n+ ショート補助層5′とMOSアノードショ
ート層5″はほぼ垂直に配置され、ショート補助ゲート
電極13によって等価的な縦形MOSFETが多数垂直
に形成されている(細部については拡大図を参照)。M
OSアノードショート層5″とアノードp+ エミッタ領
域4′は接触して形成した構造となっているが、アノー
ド電極1によって両者ともに同電位となるからである。
離隔して形成してもよいことはもちろんである。図8に
示した実施例8の構造では、MOSチャネルの数が実施
例1乃至実施例7と比べて増大しているためMOSアノ
ードショートの効果が増大するという特徴を有する。
尚、図8においても、図1乃至図7と同等の働きをする
構成要素については同一の参照番号を付してある。
【0027】
【発明の効果】図13は2500V/300A級素子に
おいてカソード側構造は一定(SIサイリスタ構造)に
して、アノード側構造が従来例(図14)の場合と既に
開示されたMOSアノードショート構造の例と及び本発
明のMOSアノードショート補助ゲート構造の例(図
1)の場合とのターンオンロス(turn-on-loss)Eonと
ターンオフロス(turn-off-loss)Eoff の関係を図示し
たものである。スイッチング条件としては、VD =12
50V、IT =300A、Tj =125℃である。従来
例に比べ、本発明においてはターンオンロスEon及びタ
ーンオフロスEoff のトレードオフが改善され、優れて
いることがわかる。
おいてカソード側構造は一定(SIサイリスタ構造)に
して、アノード側構造が従来例(図14)の場合と既に
開示されたMOSアノードショート構造の例と及び本発
明のMOSアノードショート補助ゲート構造の例(図
1)の場合とのターンオンロス(turn-on-loss)Eonと
ターンオフロス(turn-off-loss)Eoff の関係を図示し
たものである。スイッチング条件としては、VD =12
50V、IT =300A、Tj =125℃である。従来
例に比べ、本発明においてはターンオンロスEon及びタ
ーンオフロスEoff のトレードオフが改善され、優れて
いることがわかる。
【図1】本発明の実施例(実施例1)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図2】本発明の実施例(実施例2)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図3】本発明の実施例(実施例3)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図4】本発明の実施例(実施例4)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図5】本発明の実施例(実施例5)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図6】本発明の実施例(実施例6)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図7】本発明の実施例(実施例7)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図
【図8】本発明の実施例(実施例8)としてのMOSア
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図及びMOSアノ
ードショート補助ゲート構造部分近傍の拡大図
ノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子(静
電誘導サイリスタ)の模式的断面構造図及びMOSアノ
ードショート補助ゲート構造部分近傍の拡大図
【図9】本発明のMOSアノードショート補助ゲート構
造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、点弧
特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,
V−I特性の様子)
造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、点弧
特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,
V−I特性の様子)
【図10】本発明のMOSアノードショート補助ゲート
構造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、タ
ーンオン特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリア
の動き,V−I特性の様子)
構造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、タ
ーンオン特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリア
の動き,V−I特性の様子)
【図11】本発明のMOSアノードショート補助ゲート
構造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、導
通特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動
き,V−I特性の様子)
構造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、導
通特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動
き,V−I特性の様子)
【図12】本発明のMOSアノードショート補助ゲート
構造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、タ
ーンオフ特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリア
の動き,V−I特性の様子)
構造を有する半導体素子の動作原理説明図であって、タ
ーンオフ特性の説明図(エネルギーバンド図,キャリア
の動き,V−I特性の様子)
【図13】本発明のよるMOSアノードショート補助ゲ
ート構造を有する半導体素子と、従来例によるアノード
ショート構造(MOSアノードショート構造を含む)を
有する半導体素子のターンオンロスEonとターンオフロ
スEoff とのトレードオフ関係の比較図
ート構造を有する半導体素子と、従来例によるアノード
ショート構造(MOSアノードショート構造を含む)を
有する半導体素子のターンオンロスEonとターンオフロ
スEoff とのトレードオフ関係の比較図
【図14】本発明の先行技術としての従来形アノードシ
ョート構造を有する静電誘導サイリスタの模式的断面構
造図
ョート構造を有する静電誘導サイリスタの模式的断面構
造図
1 アノード電極 2 ゲート電極 3 カソード電極 4 アノードpエミッタ層(pE 層) 4′ アノードp+ エミッタ領域 5 n+ ショート層 5′ n+ ショート補助層 5″ MOSアノードショート層 6 nバッファ層(nバッファ) 7 高抵抗半導体層(ni 層) 8 pゲート層もしくはpベース層 8′ カソードnエミッタ層(nE 層) 9 パッシベーション膜 10 SiO2 膜 11 MOSチャネル 12 エッチング溝 13 ショート補助ゲート電極 14 絶縁膜 15 テーパー状のシリコン面
Claims (2)
- 【請求項1】 カソードnエミッタ層と、pベース層も
しくはpゲート層と、高抵抗半導体層と、nバッファ層
と、及びアノードpエミッタ層からからなる層が積層化
形成されたパイポーラ型半導体素子において、アノード
pエミッタ層にエッチング加工を施し、該エッチング溝
に面するアノードpエミッタ層端にn+ ショート層とし
て働くMOSアノードショート層を、アノードpエミッ
タ層には接し、nバッファ層には接しないように配置
し、該エッチング溝よりn+ ショート層として働くMO
Sアノードショート層の一部にかかる間をSiO2 膜で
被覆した上でアノード側全体を金属で被覆した半導体素
子において、該エッチング溝内のSiO2 膜に沿って、
アノード電極とは絶縁された金属電極を付加したことを
特徴とするMOSアノードショート補助ゲート構造を有
する半導体素子。 - 【請求項2】 前記エッチング溝の底部には、n+ ショ
ート補助層を設けることを特徴とする前記請求項1記載
のMOSアノードショート補助ゲート構造を有する半導
体素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04025685A JP3124611B2 (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | Mosアノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04025685A JP3124611B2 (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | Mosアノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05190835A true JPH05190835A (ja) | 1993-07-30 |
JP3124611B2 JP3124611B2 (ja) | 2001-01-15 |
Family
ID=12172646
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04025685A Expired - Fee Related JP3124611B2 (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | Mosアノードショート補助ゲート構造を有する半導体素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3124611B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004066391A1 (ja) * | 2003-01-20 | 2004-08-05 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | 半導体装置 |
WO2011001588A1 (ja) * | 2009-06-29 | 2011-01-06 | 株式会社デンソー | 半導体装置 |
JP2020047789A (ja) * | 2018-09-19 | 2020-03-26 | 株式会社東芝 | 半導体装置 |
-
1992
- 1992-01-16 JP JP04025685A patent/JP3124611B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (9)
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