JP3163815B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP3163815B2
JP3163815B2 JP00880693A JP880693A JP3163815B2 JP 3163815 B2 JP3163815 B2 JP 3163815B2 JP 00880693 A JP00880693 A JP 00880693A JP 880693 A JP880693 A JP 880693A JP 3163815 B2 JP3163815 B2 JP 3163815B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パワーデバイスなどと
して用いられるMOS型半導体装置等の構成に関するも
のであり、特に、2つのゲート電極を有するダブルゲー
ト型半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パワー半導体デバイスの性能が急
激に向上している。例えば、バイポーラトランジスタに
ついては、高性能、高耐圧、大電流化が図られ、また、
種々の保護機能を内蔵したインテリジェントモジュール
も登場している。また、IGBT(伝導度変調型トラン
ジスタ)においては、高速応答を可能としたものも登場
している。これらのパワーデバイスは、バッテリーによ
り駆動され持ち運びが簡単なように小型化された電気製
品、また、環境保護の面から採用が検討されている電気
自動車などに採用され、省電力化の一役を担っている。
そして、近年益々増大する電力需要に対応するために、
これらのパワー半導体デバイスに対してもさらに省電力
損失化が要求されている。
【0003】例えば、サイリスタ構造によるオン電圧の
低減、およびMOSゲートデバイスによる高速、低駆動
電力化を目的としたMCT(MOSゲート・コントロー
ル・サイリスタ)が開発されている。このMCTは、図
24,25に示すような構成および等価回路を有するデ
バイスであり、V.A.K.Templeの発表したペーパー(”MO
S controlled thyristors" IEEE International Electr
on Device Meeting Digest 1984 )などに詳しい。MC
T60は、単一のゲート電極61によりコントロールさ
れるON−FET62aとOFF−FET62bとを有
しており、ON−FET62aを導通させると共にOF
F−FET62bを遮断すると、カソード電極63の設
置されたn+ カソード層64、p- ベース層65、nベ
ース層66、アノード電極68の設置されたp+ アノー
ド層67により構成されるnpnpサイリスタがターン
オン状態となる。そして、OFF−FET62bを導通
させると共にON−FET62aを遮断すると、nベー
ス層66とアノード電極68が短絡され、p- ベース層
65、nベース層66、p+ アノード層67により構成
されるpnpトランジスタ69がオフとなるため、この
デバイスはターンオフ状態となる。このように、MCT
60は、MOSによりデバイスをオンとするため、応答
速度が早く、また、サイリスタをオン状態とするため、
オン電圧も1V程度と非常に低い。しかし、図26に示
すように、サイリスタ状態においてはアノード層67お
よびベース層65、66に存在する正孔、および電子の
キャリア密度が高い。従って、このような非常に高いキ
ャリア密度によりターンオフ時間が2〜3μ秒と非常に
長く、この間における損失が問題となる。特に、高周波
応用においてその電力損失を大幅に増大させることとな
る。
【0004】一方、図27に示すIGBTにおいては、
そのターンオフ時の代表的な波形は図28の通りであ
る。図28にて判るように、ターンオフ時の波形には、
第1フェイズ91と第2フェイズ92がある。第1フェ
イズ91は、ゲート87によるチャンネルが消滅し、エ
ミッタ電極88からn- ベース層82への電子電流の供
給が停止するために、その分だけ瞬時に電流が減少する
現象を示している。第2フェイズ92は、n- ベース層
82中に残留したキャリアが、p+ コレクタ層81、n
- ベース層82、pベース層83により構成されるpn
pトランジスタの作用で流れ、キャリアの寿命τによる
再結合消滅により減少する現象を示している。従って、
IGBTのターンオフ時間を短くするためには、正孔電
流の注入レベルを減少させるか、キャリアの寿命τを短
くすれば良い。このため、p+ コレクタ層81とn-
ース層82の間にn+ 層を形成して正孔電流の注入レベ
ルを制御する技術(IEEE, IEDM Technical Digest,4.3
(1983)pp.79〜82参照)、あるいは、コレクタ層81の
濃度を制御する技術が提案されている。また、キャリア
の寿命τを低減する技術としては、電子線照射あるいは
重金属拡散などのライフタイムコントロールプロセスを
適用する技術(IEEE, Trans. Electron Devices,ED-31
(1984)pp.1790〜1795参照)が提案されている。このよ
うな技術により、ターンオフ時のフォールタイムを〜2
00n秒まで短縮することが可能となり、高周波対応の
可能なデバイスとすることができる。なお、このIGB
Tに関する技術については、本発明者の発表した論
文("New IGBT Modules with Improved Power Loss at
High Frequency PWM Mode" Electronica '90 Munchen)
に詳しい。
【0005】このように、IGBTは、ターンオフ時間
が短いという利点を有している一方、寄生サイリスタが
作動し、このラッチアップ状態となることを防止するた
めに、pベース層83を高濃度化できない等の理由によ
りオン電圧が2V程度と高く、オン損失を低減させるこ
とが難しいデバイスである。なお、IGBTにおいて
は、図27に記載されているように、エミッタ電流はI
E =Ih +IMOS であり、pベース領域83、n- ドリ
フト領域82、p+ コレクタ領域81からなるpnpト
ランジスタの利得をαPNP としたときに、 Ih = (αPNP /(1−αPNP ))×IMOS であり、従って、 IE = ( 1/(1−αPNP ))×IMOS となる。αPNP の値によってIh (正孔電流)が変化
し、つまりIGBTの電流が変化する。また、IMOS
電子電流である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】パワーエレクトロニク
スにおける高性能、小型化、低コスト化などの課題を解
決するための最も重要なキーテクノロジーの1つとし
て、パワーデバイスの低損失化が挙げられる。そのため
には、ターンオフ時間が短く、同時にオン電圧が低いと
いうパワーデバイスの開発が必要である。しかしなが
ら、例えば、上述したMCTにおいて、ターンオフ時間
を短くするために、IGBTと同様の対策、すなわち、
ライフタイムの低減、n+ バッファー層の採用を行う
と、IGBTと同様にオン電圧が上昇してしまう。この
ため、オン電圧が低いというMCTの長所が生かされな
い。さらに、ターンオフ時間を短縮するためには、MC
Tに蓄積されたキャリアを一気に引き抜く必要がある。
しかしながら、このためには、電流引抜き用のMOSゲ
ートを追加する必要があり、また、引き抜くための駆動
電力の増大も問題となる。さらに、大電流を短時間に引
き抜くためには、MOSゲートの低オン抵抗化を達成し
なければならない。このように、現状では、オン電圧が
低いデバイス、ターンオフ時間が短いデバイスというそ
れぞれの特性を生かした高性能化は可能であるが、両者
の特性を合わせ持つデバイスの実現は難しいといえる。
【0007】そこで、本発明においては、上記の問題点
に鑑みて、MCTの有する低オン電圧という特徴と、I
GBTの有する短いターンオフ時間という特徴を生かし
た新しいパワーデバイスを実現することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明においては、オン時にはMCTと同様にサ
イリスタ状態となり、オフ時にはIGBTと同様にトラ
ンジスタ状態とする新しいデバイスを開発した。すなわ
ち、本発明に係る半導体装置は、第1導電型のコレクタ
領域,第2導電型ベース領域,第1導電型ベース領域及
び第2導電型のエミッタ領域とからなるサイリスタ構造
を有する半導体装置において、第2導電型のベース領域
に対してその多数キャリアを注入可能の第1のMISF
ETと、この第1のMISFETとは独立に開閉可能で
あって第1導電型のベース領域からその多数キャリアを
引き抜き可能の第2のMISFETとを備えている。
の半導体装置においては、第2のMISFETとは別
に、前記第1のMISFETのゲート電極を共通とし、
第1導電型のベース領域からその多数キャリアを引き抜
き可能の第3のMISFETを備え。このような等価
回路構成を実現する半導体の作り込み構造としては、第
1導電型のベース領域内にエミッタ電位が共に印加され
る上記第2導電型のエミッタ領域とは別に第1導電型の
エミッタ領域を形成する。具体的には、第1導電型のエ
ミッタ領域を第2導電型のエミッタ領域内に形成する。
第2のMISFETの第2のゲート電極は、第1導電型
のエミッタ領域から第2導電型のエミッタ領域及び第1
導電型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を介して形成
し、第2導電型のエミッタ領域をチャネル領域とする。
また、第1のMISFET及び第3のMISFETの共
通の第1のゲート電極は、第1導電型のエミッタ領域か
ら第2導電型のエミッタ領域,第1導電型のベース領域
及び第2導電型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を介
して形成し、第1導電型のベース領域を第1のMISF
ETのチャネル領域とし、第2導電型のエミッタ領域を
第3のMISFETのチャネル領域とする。そして、第
1導電型のベース領域のドーズ量を2×1013cm
−2以上で1×1014cm−2以下とし、第2導電型
のエミッタ領域のドーズ量を第1導電型のベース領域の
ドーズ量以上で1×1014cm−2以下と設定する。
【0009】また、第1導電型ベース領域を第1導電型
高濃度のウエルとこれより浅い第1導電型周辺部とで構
成しても良い。かかる場合において、表面拡散により第
1導電型高濃度のウエルを形成する場合は、そのドーズ
量を1×1013cm-2以上で5×1015cm-2以下とす
ることが好ましい。また埋め込み型として第1導電型高
濃度のウエルを形成する場合は、そのドーズ量を1×1
12cm-2以上で3×1014cm-2以下とすることが好
ましい。更に、埋め込み型として第1導電型高濃度のウ
エルを形成する場合においては、第1導電型高濃度のウ
エルの拡散窓の端縁を第1導電型のエミッタ領域の内側
端縁より第2のMISFETの第2ゲート電極側に位置
するように設定する。
【0010】また本発明は、第1導電型のコレクタ領
域,第2導電型ベース領域,第1導電型ベース領域及び
第2導電型のエミッタ領域とからなるサイリスタ構造を
有する半導体装置において、第2導電型のベース領域に
対してその多数キャリアを注入可能の第1のMISFE
Tと、この第1のMISFETとは独立に開閉可能であ
って第1導電型のベース領域からその多数キャリアを引
き抜き可能の第2のMISFETとを備えてなり、第2
のMISFETとは別に、第1のMISFETのゲート
電極を共通とし、第1導電型のベース領域からその多数
キャリアを引き抜き可能の第3のMISFETを有し、
第1導電型のベース領域内にはエミッタ電位が共に印加
される第2導電型のエミッタ領域と第1導電型のエミッ
タ領域とが形成されてなり、第1導電型のエミッタ領域
は第2導電型のエミッタ領域内に形成されてなり、第2
のMISFETの第2のゲート電極は第1導電型のエミ
ッタ領域から第2導電型のエミッタ領域及び第1導電型
のベース領域の表面にゲート絶縁膜を介して形成されて
なり、第1のMISFET及び第3のMISFETの共
通の第1のゲート電極は第1導電型のエミッタ領域から
第2導電型のエミッタ領域,第1導電型のベース領域及
び第2導電型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を介し
て形成されてなり、第2導電型のエミッタ領域も第2導
電型高濃度のウエルとこれより浅い第2導電型周辺部と
で構成してなることを特徴とする。かかる場合におい
て、第2導電型高濃度のウエルの表面濃度を5×10
17cm−3以上で5×1020cm−3以下と設定す
ることが好ましい。また第2導電型高濃度のウエルの拡
散深さを第2導電型周辺部の拡散深さ以上で1.9μm
以下とすることが好ましい。更に、第1のゲート電極の
ゲート長を20μm以上で30μm以下とし、第2のゲ
ート電極のゲート長を1μm以上で8μm以下とし、更
に第1導電型エミッタ領域及び第2導電型エミッタ領域
に導電接触するエミッタ電極のコンタクト長さを1μm
以上で6μm以下とすることが好ましい。
【0011】また、第1のMISFETに関する第1導
電型のベース領域表面に第2導電型の浅いカウンタード
ーピング領域を形成しても良い。更に、第2のMISF
ETに関する前記第1導電型のベース領域表面に第1導
電型の高濃度のドーピング領域を形成しても良い。
【0012】
【作用】上記の半導体装置において、第1のMISFE
Tをオンすることにより第2導電型のエミッタ領域から
第2導電型のベース領域に多数キャリアが注入され、こ
れに呼応して第1導電型のコレクタ領域から第2導電型
のベース領域に少数キャリアが注入される。従って、第
1導電型のコレクタ領域,第2導電型のベース領域、第
1導電型のベース領域からなるトランジスタがオン状態
となる。これにより、第1導電型のベース領域に多数キ
ャリアが注入されることとなり、同時に第2導電型のベ
ース領域,第1導電型のベース領域、第2導電型のエミ
ッタ領域により構成されるトランジスタがオン状態とな
る。従って、第1導電型のコレクタ領域,第2導電型の
ベース領域,第1導電型のベース領域,第2導電型のエ
ミッタ領域からなるサイリスタがオン状態となる。この
ため、オン電圧を低くすることができる。
【0013】一方、第1のMISFETをオン状態のま
ま、モード切り換え用の第2のMISFETをオンさせ
ると、第1導電型のベース領域の多数キャリアが第2の
MISFETを通って第1導電型のエミッタ領域から流
出してしまうので、第2導電型のベース領域,第1導電
型のベース領域,第2導電型のエミッタ領域により構成
されるトランジスタがオフ状態となる。このため、サイ
リスタ状態からIGBTと同様のトランジスタ状態とな
り、デバイス内のキャリア密度が減少する。従って、こ
の後第1のMISFETをオフとし、この半導体装置を
オフ状態とする場合のターンオフ時間を短縮することが
できる。
【0014】ここで、第3のMISFETを有している
ので、第2のMISFETのオンと共にこの第3のMI
SFETをオンさせると、第1導電型のエミッタ領域の
多数キャリアの引き抜き作用が増強されるため、更なる
ターンオフ時間の短縮を図ることができる。第1のMI
SFETの第1のゲート電極を、第2導電型のエミッタ
領域内に形成された第1導電型のエミッタ領域から、第
2導電型のエミッタ領域、第1導電型のベース領域およ
び第2導電型のベース領域に亘って設置することによ
り、オン時には、第2導電型のエミッタ領域から第2導
電型のベース領域へ多数キャリアを注入することが可能
となる。一方、オフ時には、第1導電型のベース領域か
ら第1導電型のエミッタ領域へ少数キャリアを引抜き、
ターンオフ時間をさらに短縮することができる。第3の
MISFETのゲート電極と第1のMISFETのそれ
とが共通であるので、第1のMISFETのオフ時には
第3のMISFETはオン状態となる。特に、第1導電
型のベース領域のドーズ量が2×10 13 cm −2 以上
で1×10 14 cm −2 以下に、第2導電型のエミッタ
領域のドーズ量が第1導電型のベース領域のドーズ量以
上で1×10 14 cm −2 以下に設定されているので、
大電流容量(充分なラッチアップ耐量)で低いオン電圧
のデバイスを実現することができる。これとは別に、第
1導電型ベース領域を第1導電型高濃度のウエルとこれ
より浅い第1導電型周辺部とで構成することにより、オ
ン電圧を低く制御できるとともに可制御電流を大きくす
ることができる。また第2導電型のエミッタ領域を第2
導電型高濃度のウエルとこれより浅い第2導電型周辺部
とで構成すると、一層低いオン電圧と共に大きな可制御
電流を得ることができる。そして第1導電型のベース領
域表面に形成された第2導電型の浅いカウンタードーピ
ング領域により、第1のMISFETのチャネル長が低
減され、ターンオフ特性及びオン電圧を改善することが
可能となる。そしてまた、第2のMISFETのゲート
電極を、第2導電型のエミッタ領域内に形成された第1
導電型のエミッタ領域から第2導電型のエミッタ領域お
よび第1導電型のベース領域に設置することにより、第
1導電型のベース領域から第1導電型のエミッタ領域へ
多数キャリアを流出させることができる。さらに、第2
のMISFETのゲート電極の設置される第1導電型の
ベース領域表面に第1導電型の高濃度のドーピング領域
を形成することにより、多数キャリアの流出における抵
抗を低減し、トランジスタ状態における第2のMISF
ETのオン抵抗を低減することが可能となる。
【0015】
【実施例】以下に図面を参照して、本発明の実施例を説
明する。
【0016】〔実施例1〕図1は本実施例の図2に示す
平面図においてA−A′線に沿って切断した断面図であ
り、第1のゲートおよび第2のゲートのダブルゲートを
備えた半導体装置の構成(セル構成)を示してある。本
例の半導体装置は、コレクタ電極1が裏面に設置された
+ 型のサブストレートをコレクタ層2として、このコ
レクタ層2上に、n- 型のベース層3がエピタキシャル
成長などにより形成されている。そして、このn- 型の
ベース層3の表面に、ウェル状のp又はp+ 型の拡散層
であるp型のベース層4が形成されている。さらに、こ
のp型のベース層4の内側の表面に、2つのn型のウェ
ルによりn型のエミッタ層5a、5bが形成されてい
る。また、それぞれのn型のエミッタ層5a、5bの内
側の表面には、2つのp+ 型のエミッタ層6a、6bが
形成されている。これら2つのp+ 型のエミッタ層6
a、6b、さらに、n型のエミッタ層5a、5bにエミ
ッタ電極7が接続されている。また、p+ 型のエミッタ
層6aから、n型のエミッタ層5aまたは5b、p型の
ベース層4およびn- 型のベース層3の表面に亘って、
ゲート酸化膜8を介して第1のMOSFET13n及び
第3のMOSFET13pを構成する第1のゲート電極
(共通ゲート電極)11が設置されている。一方、p+
型のエミッタ層6bから、n型のエミッタ層5aまたは
5b、p型のベース層4の表面に亘って、ゲート酸化膜
8を介して第2のMOS14を構成する第2のゲート電
極12が設置されている。第1のゲート電極11と第2
のゲート電極12とは独立分離して形成され、それぞれ
独立のゲート制御電圧が印加可能な構成となっている。
即ち、例えば図2に示すように、第1のゲート電極11
と第2のゲート電極12とは互いに櫛歯状に形成されて
いる。
【0017】2つのn型のエミッタ層5a、5bに関し
て構成が同じとなるため、以下においては、n型のエミ
ッタ層5aを参照して説明を行う。先ず、ゲート電極1
1により構成されるMOS13は、n型のエミッタ層5
a、p型のベース層4およびn- 型のベース層3により
構成されるnチャネル型の第1のMOS13nと、p+
型のエミッタ層6a、n型のエミッタ層5aおよびp型
のベース層4により構成されるpチャネル型の第3のM
OS13pとに分けられる。一方、ゲート電極12によ
り構成される第2のMOS14は、pチャネル型のMO
SFETである。
【0018】図3に本装置の等価回路を示してある。本
装置においては、n型のエミッタ層5a、p型のベース
層4およびn- 型のベース層3によりnpn型のトラン
ジスタQnpnが構成されている。また、p型のベース
層4、n- 型のベース層3およびp+ 型のコレクタ層2
によりpnp型のトランジスタQpnpが構成されてい
る。従って、これらのトランジスタQnpnおよびQp
npによりサイリスタ15が構成されている。なお、図
3に示す等価回路上、コレクタ1およびエミッタ7を中
心に、2つのサイリスタに分けて示してあるが、便宜上
分けて記載しただけであり、両者は同じものである。
【0019】これらのトランジスタQnpn、Qpnp
に対し、第1のMOS13nは、トランジスタQnpn
のコレクタ及びトランジスタQpnpのベースとエミッ
タ電極7を接続するように構成されている。また、第3
のMOS13pは、トランジスタQnpnのベースとエ
ミッタ電極7をp+ 型のエミッタ層6aを介して接続す
るように構成されている。一方、第2のMOS14はト
ランジスタQnpnのベースとエミッタ電極7をp+
のエミッタ層6bを介して接続するように構成されてい
る。
【0020】このような構成の本装置において、第1の
ゲート電極11および第2のゲート電極12を共に高電
位とすると、第1のMOSFET13nはオンとなり、
第2のMOSFET14及び第3のMOSFET13p
はオフ状態のままである。即ち、ゲート電極11の直下
のn型のエミッタ層5aの表面はn+ 型の蓄積層とな
り、また、p型のベース層4の表面はn型反転層とな
り、エミッタ電極7から、n型のエミッタ層5a、その
表面のn+ 型の蓄積層、p型のベース層4の表面のn型
反転層、そしてn- 型のベース層3と接続される。従っ
て、エミッタ電極7からドリフト領域であるn- 型のベ
ース層3へ電子が注入され、それに呼応して、p+ 型の
コレクタ層2から正孔が注入される。これは、pnp型
のトランジスタQpnpがオン状態となったことを意味
する。さらに、このトランジスタQpnpの正孔電流
が、n型のエミッタ層5a、p型のベース層4およびn
- 型のベース層3により構成されるトランジスタQnp
nのベース電流となるため、トランジスタQnpnがオ
ン状態となる。すなわち、p+ 型のコレクタ層2、n-
型のベース層3、p型のベース層4およびn型のエミッ
タ層5aにより構成されるサイリスタ15がオン状態と
なり、高濃度のキャリアがデバイス中に存在し、本装置
は低抵抗となる。このように、本装置においては、ゲー
ト電極11およびゲート電極12を高電位とすることに
より、第1のMOSFET13nのみがオンとなり、n
- 型のベース層3に対して多数キャリア(電子)が注入
され、これを契機に前述したMCTと同様にサイリスタ
状態となる。従って、本例はオン電圧の低いパワーデバ
イスとなる。ここで、第1のMOSFET13nはサイ
リスタのオン用のMOSFETの役割を有している。
【0021】このサイリスタのオン状態から、第1のゲ
ート電極11を高電位のまま、第2のMOS14のゲー
ト電極12を負電位とすると、第2のMOS14がオン
となる。即ち、ゲート電極12直下のn型のエミッタ層
5aの表面がp型に反転する。そして、p型のベース層
4、n型のエミッタ層5aのp型に反転した表面、さら
に、p+ 型のエミッタ層6bが短絡状態となる。このた
め、p+ 型のコレクタ層2から注入された正孔電流は、
p型のベース層4からp+ 型のエミッタ層6bを介して
エミッタ電極7に流出する。従って、n型のエミッタ層
5a、p型のベース層4およびn- 型のベース層3から
構成されるトランジスタQnpnはオフとなる。この結
果、サイリスタ動作は消滅し、p型のベース層4、n-
型のベース層3およびp+ 型のコレクタ層2からなるト
ランジスタQpnpのみが作動するトランジスタ状態と
なる。この状態は、先に説明したIGBTの動作状態と
同じであり、従って、デバイス中に存在するキャリア密
度が減少した状態となっている。このため、この後第1
のゲート電極11を負電位とするオフ時に、キャリアの
掃き出しに要する時間が短縮でき、ターンオフ時間を短
くすることができる。ここで、第2のMOSFET14
はp型のベース層4から多数キャリア(正孔)を引き抜
き(抽出し)、サイリスタ動作モードからトランジスタ
Qpnpのみの動作モードに移行させるモード切り換え
用のMOSFETの役割を有している。 さらに、第2
のMOS14のゲート電極12を負電位のまま、ゲート
電極11が負電位となると、第1のMOSFET13n
はオフとなり第3のMOS13pはオンとなる。即ち、
- 型のベース層3に対する多数キャリア(電子)の注
入が止み、第2のMOS14によるp型ベース4の多数
キャリア(正孔)の引抜き作用に加え、n型のエミッタ
層5aの表面に形成された反転層を通じてp型のベース
層4とp+ 型のエミッタ層6aとが接続されることによ
るp型ベース4の多数キャリア(正孔)の引抜き作用が
行われる。従って、p型ベース層4に残留した正孔が第
2のMOSFET14及び第3のMOSFET13pに
よってエミッタ電極7に急速に引き抜かれるので、ター
ンオフ時間をさらに短縮することが可能となる。ここ
で、第3のMOSFET13pはp型ベース4の周辺部
の正孔を引き抜き、第2のMOS14はp型ベース4の
中央部の正孔を引き抜く。
【0022】図4に、第1のゲート電極11及び第2の
ゲート電極12に印加されるゲート制御電位を示してあ
る。このように、先ず、ゲート電極11および12を高
電位とすると、本装置はオン状態となり、サイリスタ状
態下で〜1.5Vという低いオン電圧を示す。そして、
ゲート電位11を高電位のままでゲート電極12に負電
位を印加すると、トランジスタ状態に移行する。この状
態下でゲート電極12を負電位のままゲート電極11に
負電位を印加すると、本装置は、〜1.0μ秒という短
いターンオフ時間でオフとなる。また、サイリスタ状態
からトランジスタ状態への移行は、〜0.5μ秒以下で
完了する。このように、本装置においては、MCTと同
様の低いオン電圧でオン状態となり、また、IGBTと
同様の短いターンオフ時間でオフとなる。従って、図4
に示すように、サイリスタ状態、トランジスタ状態を繰
り返すことにより、高周波応用においても、スイッチン
グロスの少ないパワーデバイスを実現することができ
る。
【0023】次に、サイリスタ状態、およびトランジス
タ状態における電流の流れ、キャリア密度について説明
する。図5(a)、(b)にサイリスタ状態およびトラ
ンジスタ状態における電流の流れ図を示してある。サイ
リスタ状態(a)においては、p型のベース層4、n-
型のベース層3内からエミッタ電極7にかけて正孔電
流、電子電流が一体となって流れており、サイリスタモ
ードが達成されていることが判る。これに対し、(b)
に示すトランジスタ状態においては、p型のベース層4
内は、正孔電流が流れ、MOS14を通ってエミッタ電
極7に流出している。そして、電子電流は、IGBTと
同様に、n- 型のベース層3内からMOS13nを通っ
てエミッタ電極7に流れていることが判る。
【0024】図6に、サイリスタ状態、およびトランジ
スタ状態におけるキャリア密度を示してある。本図は、
正孔の密度21と、電子の密度22を、エミッタ電極の
設置されている本例の半導体装置の表面から、コレクタ
電極の設置されている裏面に亘ってシミュレーションし
た結果を示してある。本図の縦軸は、正孔または電子の
キャリア密度を示し、横軸は、半導体装置の表面からの
距離を示してある。先ず、図6(a)は、サイリスタ状
態におけるキャリア密度を示しており、装置の表面から
p型のベース層4、n- 型のベース層3にかけて両キャ
リアの密度が1016〜1017/cm3 と大きな値を示し
ている。なお、半導体装置の裏面にあたるp+ 型のコレ
クタ層2においては、多数キャリアである正孔の密度2
1が多くなり、電子の密度22は減少する。これに対
し、図6(b)に示すトランジスタ状態においては、p
型のベース層4とn- 型のベース層3の境界近傍で〜1
14程度までキャリア密度が減少していることが判る。
このように、サイリスタ状態からトランジスタ状態に移
行することにより、装置内部のキャリア密度が減少する
ため、ターンオフ時間を短くすることができるのであ
る。従って、本装置のターンオフ時間はIGBTと同様
に短くすることが可能となる。
【0025】次に、本装置におけるオン電圧をシミュレ
ーションした結果を図7に示してある。コレクタ電流I
cが200A/cm2 に到達するコレクタ・エミッタ電
圧VCEをオン電圧Vonとすると、サイリスタ状態にお
いてはVonが〜1.0V、トランジスタ状態において
はVonが〜1.8Vである。このように、本装置をオ
ンする場合にサイリスタ状態とすることにより、オン電
圧を低く抑えることが可能となる。
【0026】図8に本装置のオン動作、およびオフ動作
に係る各ゲート11、12のゲート電圧と、本装置のコ
レクタ電流Ic、コレクタ・エミッタ電圧VCEの変化の
様子をまとめて示してある。各動作における本装置の動
作は、上記にて詳しく説明したので省略するが、ゲート
11および12に高電位を印加することにより、ターン
オン時間0.3μ秒レベルの高速でサイリスタ動作に入
り、低オン電圧を示す。そして、ゲート12を負電位と
することにより、サイリスタ動作からトランジスタ動作
に移行し、その移行は、〜0.5μ秒以下で完了する。
その後、0.3μ秒程度の短いフォールタイムでターン
オフすることが可能である。
【0027】このように、本例の装置は、2つの独立し
たゲート電極11,12を用いてMCTに相当するサイ
リスタ状態と、IGBTに相当するトランジスタ状態と
を実現する全く新しいデバイスである。MCT、IGB
Tなどのデバイスを高性能化する技術として、MOSゲ
ートデバイスによる高速化および低駆動電力化、サイリ
スタ構造による低オン電圧化、種々のデバイス構造の結
合による高性能化があったが、オン電圧の低減とスイッ
チング時間のトレードオフを大幅に改善する装置は見出
されていなかった。しかしながら、本装置は、1つの装
置をオン、オフのそれぞれ適した状態に制御するという
新しいコンセプトの基に発明されたものであり、サイリ
スタの低オン電圧と、IGBTの短いスイッチング時間
を有する高性能のパワーデバイスを実現することができ
る。
【0028】ところで、このような構造の素子において
p型のベース層4とn型のエミッタ層5a,5b(5)
の各不純物分布を最適化することは非常に重要である。
即ち、サイリスタ状態においては第1のMOSFET1
3nのオンによるn型のエミッタ層5からp型のベース
4への電子の注入量はp型ベース4及びn型のエミッタ
層5の不純物量に大きく依存する。つまり、n型のエミ
ッタ層5の不純物量を増加させることにより電子注入量
は指数関数的に増大し、またp型ベース4の不純物量を
増加させることにより電子流入量は大きく抑制される。
従って、n型のエミッタ層5は不純物濃度を大きくし、
p型ベース4は不純物量を小さくすることによりサイリ
スタのオン電圧を低くすることができる。一方、トラン
ジスタ状態においては図5(b)に示すように、正孔電
流がn型のエミッタ層5の下部を通って流れるため、p
型ベース層4の不純物濃度が低いと、p型ベース層4の
寄生抵抗による電圧降下によりn型エミッタ層5,p型
ベース4及びn- 型のベース3からなるバイポーラトラ
ンジスタQnpnがオンし、サイリスタ状態へと移行し
てしまうラッチアップ現象が生じる。従って、p型ベー
ス層4の不純物濃度を高くすると、トランジスタ状態に
おけるラッチアップ現象を抑制することができる。そこ
で、サイリスタ状態におけるオン電圧を低く保ち、かつ
トランジスタ状態におけるラッチアップ現象が生じない
ように、p型ベース層4及びn型のエミッタ層5の濃度
を最適値に設定しなければならない。
【0029】ここで、抵抗率0.01Ω・cmのp型の
コレクタ層2とこの上に形成された抵抗率0.1Ω・c
mで厚さ20μmのn型のバッファ層とこの上にエピ
タキシャル成長された抵抗率40Ω・cmで厚さ60μ
mのn型層とからなる半導体基板を用い、p型ベース4
の不純物分布による素子特性の評価をデバイスシュミレ
ーションにより行った。図9は表面濃度1×1017
−3,拡散深さ1μmのn型エミッタ層5を形成した
場合におけるp型ベース4のドーズ量に対するサイリス
タのオン電圧及びトランジスタのラッチアップ電流(ラ
ッチアップ現象が生じるまでの可制御電流)の関係を示
すグラフ図である。なお、p型ベース4の拡散深さは8
μmである。この図から明らかなように、p型ベース4
のドーズ量を小さくすると、オン電圧VONの値は低下
するが、ラッチアップ電流Iも低下し、ラッチアップ
現象が起こり易くなる。パワーデバイスとしてはラッチ
アップ電流Iは最低でも300Acm−2程度を必
要とすることから、p型ベース4のドーズ量の下限値は
2×1013cm−2である。これ以上のドーズ量であ
れば充分なラッチアップ電流を確保でき、大電流容量の
デバイスを実現できる。ドーズ量が多いと、サイリスタ
のオン電圧VONが上昇してしまう。IGBTのオン電
圧が約1.7Vであることを勘案し、本例のデバイスの
オン電圧を1.5Vと企画すると、p型ベース4のドー
ズ量の上限値は1×1014cm−2である。またp型
ベース4のドーズ量が1×1014cm−2であると、
第1のMOSFET13nのしきい値電圧が10Vを超
えてしまい、ゲート制御電圧が高くなるので好ましくな
い。従って、p型ベース4のドーズ量を2×1013
−2以上で1×1014cm−2以下に設定すること
によって、大電流容量(充分なラッチアップ耐量)で低
いオン電圧のデバイスを実現することができる。
【0030】図10はドーズ量1.25×1013cm-2
のp型ベース4を形成した場合におけるn型エミッタ層
5のドーズ量に対するサイリスタのオン電圧及びトラン
ジスタのラッチアップ電流(ラッチアップ現象が生じる
までの可制御電流)の関係を示すグラフ図である。この
図から明らかなように、n型エミッタ層5のドーズ量が
少ないとオン電圧VONが高くなり、ドーズ量が多いとラ
ッチアップ電流IL が小さくなる。オン電圧VONを1.
5Vとすると、ドーズ量はp型ベース層4のそれに比し
て多く1.25×1013cm-2以上が必要であり、ラッ
チアップ電流IL を300Acm-2とすると、ドーズ量
は1×1014cm-2以下が必要である。
【0031】またドーズ量が多過ぎると、第2のMOS
FET14及び第3のMOSFET13pのしきい値電
圧が10Vを超えてしまい、ゲート制御電圧が高くなる
ので好ましくない。従って、n型エミッタ層5のドーズ
量はp型ベース層4のそれ以上で1×1014cm-2以下
に設定する必要がある。
【0032】〔実施例2〕図11に、本発明の実施例2
に係る第1のゲートおよび第2のゲートのダブルゲート
を備えた半導体装置の構成を示してある。本例の半導体
装置の構成、および動作は実施例1の半導体装置と略同
様であり、共通する部分においては同じ符号を付して説
明を省略する。本例の半導体装置も実施例1と同じくコ
レクタ電極1が裏面に設置されたp+ 型のサブストレー
トをコレクタ層2とし、この上にn- 型のベース層3が
形成されており、このベース層3の表面にp型のベース
層4が形成されている。なお、コレクタ層2とベース層
3との間にn+ 型のバッファ層を介在させても良い。本
例の装置においては、ベース層4が若干深いp+ 型のウ
エル4aを中心に、その回りにこれより浅いp型の周辺
層(チャネル部)4bにより形成されている。そして、
このp型のベース層4の内側の表面に、実施例1と同様
にn型のエミッタ層5a、5bおよびp+ 型のエミッタ
層6a、6bが形成されている。そして、第1のゲート
電極11は第1のMOSFET13nと第3のMOSF
ET13pとを構成しており、第2のゲート電極12は
第2のMOS14を構成している。本例の装置において
は、MOS13nを構成するn-型のベース層3の表面
には、チャネル長を短くするために、n+ 型のドーピン
グが施されたカウンタードーピング層9が形成されてい
る。そして、ゲート電極12により構成されるMOS1
4には、このゲート電極12の下となるp型のベース層
4表面には、p+ 型のドーピングが施された高濃度ドー
ピング層10が形成されている。
【0033】このような構成の本装置において、第1の
ゲート電極11および第2のゲート電極12を高電位と
すると、エミッタ電極7から、n型のエミッタ層5a、
その表面のn+ 型の蓄積層、p型のベース層4の表面の
n型反転層、カウンタードーピング層9、そしてn-
のベース層3と接続される。従って、サイリスタ15が
オン状態となる際に、カウンタードーピング層9によ
り、オン時に形成されるnチャネルのチャネル長を短縮
することができる。即ち、第1のMOSFET13nの
動作速度が向上するので、本デバイスのターンオンおよ
びターンオフ特性の改善が図られている。
【0034】またサイリスタオン状態から、第2のMO
S14のゲート電極12を負電位とすると、ゲート電極
12直下のn型のエミッタ層5aの表面がp型に反転
し、p型のベース層4、p+ 型の高濃度ドーピング層1
0、n型のエミッタ層5aのp型に反転した表面、さら
に、p+ 型のエミッタ層6bが短絡状態となる。この結
果、サイリスタ動作は消滅し、IGBTの動作状態と同
じp型のベース層4、n- 型のベース層3およびp+
のコレクタ層2からなるトランジスタQpnpのみが作
動するトランジスタ状態となる。そして、本例の装置に
おいては、p+ 型の高濃度ドーピング層10を形成して
いるので、サイリスタ状態からトランジスタ状態への移
行時に大きな正孔電流を流すことができる。即ち、第2
のMOSFET14の正孔引抜き能力が高まるので、サ
イリスタ状態からトランジスタ状態への移行時間の短縮
が図られている。
【0035】ところで、p+ 型のウエル4aを形成する
理由は次の通りである。即ち、p+型のウエル4aを設
けることにより、トランジスタ動作時のラッチアップ電
流値を大きくでき、可制御電流を大きくできる。ただ、
ドーズ量が多過ぎると、サイリスタのオン電圧が上昇し
てしまうので、そのドーズ量を最適化する必要がある。
ここで、p+ 型のウエル4aを表面から拡散して形成す
る場合とp+ 型のウエル4aを埋め込み型に形成する場
合についてそのドーズ量を吟味する。まず、表面から拡
散してp+ 型のウエル4aを形成する場合について吟味
する。図12は拡散深さ6μmのp型の周辺層(チャネ
ル部)を形成した場合における表面拡散により形成され
たp+ 型のウエルのドーズ量に対するトランジスタのラ
ッチアップ電流(ラッチアップ現象が生じるまでの可制
御電流)の関係を示すグラフ図である。なお、p+ 型の
ウエルの拡散深さXj をパラメータとしてあり、図中の
星印はp+ 型のウエルを形成しない場合の値を示す。こ
の図から明らかなように、拡散深さXj の値にかかわら
ず、ドーズ量の増加に伴いラッチアップ電流IL も上昇
する。p+ 型のウエルを形成しない場合のラッチアップ
電流ILは約300Acm-2であるので、1×1013
-2以上のドーズ量で充分なラッチアップ耐量が得られ
る。一方、図13は拡散深さ6μmのp型の周辺層(チ
ャネル部)を形成した場合における表面拡散により形成
されたp+ 型のウエルのドーズ量に対するサイリスタの
オン電圧の関係を示すグラフ図である。Xj =8μmに
おいてはドーズ量の増加に伴いオン電圧VONの上昇が見
られるが、その変化率は小さいのでさほど問題とはなら
ない。従って、ドーズ量の上限値はイオン注入時間等の
生産性から決定すれば良く、現実的な上限値としては5
×1015cm-2が望ましい。従って、p+ 型のウエルの
ドーズ量は1×1013cm-2以上で5×1015cm-2
下であることが望ましい。
【0036】次に、p+ 型のウエル4aを埋め込み型と
して形成する場合について吟味する。図14は埋め込み
型として形成されたp+ 型のウエルのドーズ量に対する
サイリスタのオン電圧及びトランジスタのラッチアップ
電流(ラッチアップ現象が生じるまでの可制御電流)の
関係を示すグラフ図である。この図から明らかなよう
に、ドーズ量の増加に伴いラッチアップ電流IL は上昇
する。ドーズ量1×1012cm-2ではラッチアップ電流
L は約350Acm-2であり、充分なラッチアップ耐
量が得られている。オン電圧VONもまたドーズ量の増加
により上昇し、ドーズ量3×1014cm-2でオン電圧V
ONは約1.5vとなる。従って、p+ 型のウエル4aを
埋め込み型として形成する場合においてはそのドーズ量
は1×1012cm-2以上で3×1014cm-2以下に設定
することが望ましい。
【0037】ここで、p+ 型のウエル4aを埋め込み型
として形成する場合における拡散窓の最適位置を求める
ことにする。まず、図15に示すように、第1のゲート
電極11の中央点を原点として第2のゲート電極12の
中央点を25μmとする。そして拡散窓の端縁をXとす
る。図16は拡散窓の端縁位置Xに対するサイリスタの
オン電圧及びトランジスタのラッチアップ電流(ラッチ
アップ現象が生じるまでの可制御電流)の関係を示すグ
ラフ図である。拡散窓の端縁位置Xがゲート電極11側
になるほどラッチアップ電流IL は高くなるが、これに
伴いオン電圧VONも上昇する。オン電圧VONを1.5V
とすると、X=16μmとなり、拡散窓の端縁位置はp
+ 型のエミッタ層6aの内側端縁にある。従って、1.
5V以下のオン電圧を保ちながら大きな可制御電流を得
るためには、拡散窓の端縁はp+型のエミッタ層6aの
内側端縁近傍よりゲート電極12側に位置させる必要が
ある。
【0038】〔実施例3〕 図17に本発明の実施例3に係る第1のゲートおよび第
2のゲートのダブルゲートを備えた半導体装置の構成を
示してある。本例の半導体装置の構成、および動作は実
施例2の半導体装置と略同様であり、共通する部分にお
いては同じ符号を付して説明を省略する。n型のベース
層3の表面にはp型のベース層4が形成されている。ベ
ース層4は拡散又は埋め込みにより形成された深いp
型のウエル層4aと、これを中心にその回りにこれ
より浅いp型の周辺層(チャネル部)4bとで構成され
ている。そして、このp型のベース層4の内側の表面
に、実施例2と同様にn型のエミッタ層5a,5bおよ
びp型のエミッタ層6a、6bが形成されている。
そして、第1のゲート電極11は第1のMOSFET1
3nと第3のMOSFET13pとを構成しており、第
2のゲート電極12は第2のMOS14を構成してい
る。本例においては、n型のエミッタ層5a,5bは、
深いn型のウエル層5aa5baと、これを中心
にその回りにこれより浅いn型の周辺層5ab,5bb
とで構成されている。このような構造のn型のエミッタ
層5a,5bを作り込むことによって、以下に示すよう
な高いラッチアップ電流と低いオン電圧を得ることがで
きる。
【0039】実施例1及び2のように、n型のエミッタ
層5a,5bは第2のMOSFET14及び第3のMO
SFET13pのチャネル領域を形成しているので、M
OSのしきい値電圧を下げると共に高いラッチアップ電
流を得るためには、n型のエミッタ層5a,5bの濃度
をある程度低くする必要がある一方、サイリスタ動作時
のオン電圧を下げるにはn型のエミッタ層5a,5bの
濃度をある程度高くする必要がある。この両特性を満足
するように実施例1ではn型のエミッタ層5a,5bの
濃度を最適数値に設定した。しかしながら、本例のよう
に、深いn型のウエル層5aa5baと浅いn型の
周辺層5ab,5bbとによって、常に両特性を満足さ
せることができる。即ち、深いn型のウエル層5a
5baによってサイリスタ動作時のオン電圧を下げ
ることができ、また浅いn型の周辺層5ab,5bbに
より表面濃度が下がるので高いラッチアップ電流を得る
ことができる。更に、エミッタ電極7との良好なオーミ
ックコンタクトを得るためにもn型のウエル層5a
5baの存在は有意義である。
【0040】図18は拡散深さ1.5μmのn+ 型のウ
エル層を形成した場合におけるn+型のウエル層の表面
濃度に対するサイリスタのオン電圧及びトランジスタの
ラッチアップ電流(ラッチアップ現象が生じるまでの可
制御電流)の関係を示すグラフ図である。この図から明
らかなように、ラッチアップ電流IL を大きく保ち、か
つオン電圧VONを低くする(1.5V以下)には、n+
型のウエル層の表面濃度は5×1017cm-3以上必要で
ある。表面濃度の上限値は現状の半導体プロセス技術よ
り5×1020cm-3以上の高濃度とするには困難が伴
い、また必要でもない。従って、n+ 型のウエル層の表
面濃度は5×1017cm-3以上で5×1020cm-3以下
であることが望ましい。
【0041】図19はn+ 型のウエル層の表面濃度を1
×1019cm-3にまたn型の周辺部の拡散深さを0.6
μmに固定してn+ 型のウエル層の拡散深さに対するサ
イリスタのオン電圧及びトランジスタのラッチアップ電
流(ラッチアップ現象が生じるまでの可制御電流)の関
係を示すグラフ図である。この図から明らかなように、
+ 型のウエル層の拡散深さがn型の周辺部(チャネル
部)の拡散深さに近づくと、サイリスタのオン電圧VON
は上昇する。またn+ 型のウエル層の拡散深さが1.5
μm以上ではラッチアップ電流IL は略直線的に減少す
る。ラッチアップ電流IL は最低でも300Acm-2
度を必要とすると、n+ 型のウエル層の拡散深さはn型
の周辺部(チャネル部)の拡散深さ以上で1.9μm以
下とする必要がある。
【0042】次に、図20に示す如く、第1のゲート電
極11のゲート長Lg1,第2のゲート電極12のゲート
長Lg2及びエミッタ電極7のコンタクト長さLE の最適
値を求める。図21はゲート長Lg2が4μmの場合にお
けるゲート長Lg1に対するトランジスタ時のラッチアッ
プ電流とトランジスタ時のオン電圧の関係を示すグラフ
図である。この図から明らかなように、Lg1/2が10
μmのときはトランジスタのオン電圧VONは約7Vとな
るので、これ以下のゲート長ではオン電圧が高すぎて実
用に耐えない。一方、ゲート長Lg1が長くなると、オン
電圧が減少し、ラッチアップ電流も減少する。ラッチア
ップ電流IL は300Acm-2程度を必要とすれば、L
g1/2は15μm以下にする必要がある。従って、第1
のゲート電極11のゲート長Lg1は20μm以上で30
μm以下に設定することが望ましい。なお、8μm以下
のときはトランジスタがオンしない。
【0043】図22はゲート長Lg1が15μmの場合に
おけるゲート長Lg2に対するトランジスタ時のラッチア
ップ電流とサイリスタ時のオン電圧の関係を示すグラフ
図である。なお、かかる場合においてはp型ベース4b
は表面濃度3×1017で拡散深さ8μmであり、またn
型エミッタ層5abは表面濃度5×1017で拡散深さ1
μmとしてある。更に、実施例2で示したようなカウン
タードーピング層を形成してある。この図から明らかな
ように、Lg2/2が4μm以下でラッチアップ電流IL
が300Acm-2以上になる。またLg2を小さくする
と、オン電圧VONは減少するので、ゲート長の下限値に
は問題とならない。しかしながら、サブミクロンサイズ
の微細加工はコスト面等から不利であるので、一応の下
限値として1μmが適切である。従って、第2のゲート
電極12のゲートLg2は1μm以上で8μm以下が望ま
しい。
【0044】図23はエミッタ電極7のコンタクト長さ
E に対するトランジスタ時のラッチアップ電流とサイ
リスタ時のオン電圧の関係を示すグラフ図である。な
お、ここで、p型ベース4bは表面濃度2.7×1016
で拡散深さ6μm、n型エミッタ層5abは表面濃度
1.0×1017cm-2で拡散深さ1.0μm、n+ 型の
ウエル層5aは表面濃度1.0×1019cm-2で拡散深
さ1.5μmである。この図から明らかなように、コン
タクト長さLE が長くなるとラッチアップ電流ILが減
少する。LE が6μmのときラッチアップ電流IL が約
300Acm-2であることから、上限値は6μmとする
ことが望ましい。下限値については制限はないが、サブ
ミクロンサイズの微細加工はコスト面等から不利である
ので、一応の下限値として1μmが適切である。従っ
て、エミッタ電極7のコンタクト長さLE は1μm以上
で6μm以下が望ましい。
【0045】なお、本例および実施例1においては、エ
ミッタ電極とコレクタ電極が装置の表面および裏面に設
置された縦型の装置に基づき説明しているが、エミッタ
電極とコレクタ電極が同じ面に設置された横型の装置に
おいても、実現できることは勿論である。また、上記実
施例における半導体基板とは逆導電型の基板を用いても
良い。更に、各ベース層、エミッタ層などの構成におい
ても、上記実施例に限らず様々な構成を採用可能であ
る。第1および第2のMOSの構成も同様に様々なもの
を採用可能であることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】以上において説明したように、本発明に
係る半導体装置は、第1のMISFET及びこれと独立
に開閉可能なモード切り換え用の第2のMISFETを
用いた2端子制御のパワーデバイスであるので、オン時
にはサイリスタと同様の低オン電圧を、またオフ時には
サイリスタ動作からトランジスタ動作へ移行させIGB
Tと同様の短いターンオフ時間を実現可能としたもので
ある。従って、従来のMCT、IGBT、GTOなどの
パワー半導体デバイスでは不可能であった、スイッチン
グ時間とオン電圧のトレードオフを大幅に改善すること
ができる。例えば、ターンオフタイムは1μ秒以下、フ
ォールタイムは0.3μ秒以下、さらに、オン電圧は
1.0V/300A/cm程度を充分に実現可能と
している。従って、本装置により、中、大電流、そし
て、中、高耐圧の装置、回路に用いられるパワーデバイ
スの大幅な高性能化が可能となる。また、周波数帯域を
〜100kHzレベルまでカバーできることより、高周
波応用においても、大幅に損失を低減することが可能で
ある。このように、本発明に係る半導体装置を採用する
ことにより、近年、特に省電力化の見地等より要望され
ている種々の装置の低損失化、小型化を実現することが
可能である。特に、第1導電型のベース領域のドーズ量
が2×10 13 cm −2 以上で1×10 14 cm −2
下に、第2導電型のエミッタ領域のドーズ量が第1導電
型のベース領域のドーズ量以上で1×10 14 cm −2
以下に設定されているので、大電流容量(充分なラッチ
アップ耐量)で低いオン電圧のデバイスを実現すること
ができる。また、第2導電型のエミッタ領域を第2導電
型高濃度のウエルとこれより浅い第2導電型周辺部とで
構成すると、一層低いオン電圧と共に大きな可制御電流
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の構成を示
す断面図である。
【図2】同実施例1に係る半導体装置の構成を示す平面
図である。
【図3】同実施例1に係る半導体装置の等価回路を示す
回路図である。
【図4】同実施例1に係る半導体装置の動作状態を示す
説明図である。
【図5】(a)は同実施例1に係る半導体装置における
サイリスタ状態の電流の流れを示す断面図、(b)は同
実施例1に係る半導体装置におけるトランジスタ状態の
電流の流れを示す断面図である。
【図6】(a)は同実施例1に係る半導体装置における
サイリスタ状態のキャリア密度の状態を示すグラフ図、
(b)は同実施例1に係る半導体装置におけるトランジ
スタ状態のキャリア密度の状態を示すグラフ図である。
【図7】同実施例1に係る半導体装置のオン電圧を示す
グラフ図である。
【図8】同実施例1に係る半導体装置のスイッチング特
性を示すグラフ図である。
【図9】同実施例1に係る半導体装置におけるp型ベー
スのドーズ量に対するサイリスタのオン電圧及びトラン
ジスタのラッチアップ電流の関係を示すグラフ図であ
る。
【図10】同実施例1に係る半導体装置におけるn型エ
ミッタ層のドーズ量に対するサイリスタのオン電圧及び
トランジスタのラッチアップ電流の関係を示すグラフ図
である。
【図11】本発明の実施例2に係る半導体装置の構成を
示す断面図である。
【図12】同実施例2に係る半導体装置において表面拡
散により形成されたp+ 型のウエルのドーズ量に対する
トランジスタのラッチアップ電流の関係を示すグラフ図
である。
【図13】同実施例2に係る半導体装置において表面拡
散により形成されたp+ 型のウエルのドーズ量に対する
サイリスタのオン電圧の関係を示すグラフ図である。
【図14】同実施例2に係る半導体装置において埋め込
み型として形成されたp+ 型のウエルのドーズ量に対す
るサイリスタのオン電圧及びトランジスタのラッチアッ
プ電流の関係を示すグラフ図である。
【図15】同実施例2に係る半導体装置において埋め込
み型として形成されたp+ 型のウエルの拡散窓の端縁位
置XとPゲート電極等との相対関係を示す断面図であ
る。
【図16】同実施例2に係る半導体装置において拡散窓
の端縁位置Xに対するサイリスタのオン電圧及びトラン
ジスタのラッチアップ電流の関係を示すグラフ図であ
る。
【図17】本発明の実施例3に係る半導体装置の構成を
示す断面図である。
【図18】同実施例3に係る半導体装置においてn+
のウエル層の表面濃度に対するサイリスタのオン電圧及
びトランジスタのラッチアップ電流の関係を示すグラフ
図である。
【図19】同実施例3に係る半導体装置においてn+
のウエル層の拡散深さに対するサイリスタのオン電圧及
びトランジスタのラッチアップ電流の関係を示すグラフ
図である。
【図20】同実施例3に係る半導体装置において第1の
ゲート電極のゲート長Lg1,第2のゲート電極のゲート
長Lg2及びエミッタ電極のコンタクト長さLE を示す断
面図である。の最適値を求める。
【図21】同実施例3に係る半導体装置においてゲート
長Lg1に対するトランジスタ時のラッチアップ電流とト
ランジスタ時のオン電圧の関係を示すグラフ図である。
【図22】同実施例3に係る半導体装置においてゲート
長Lg2に対するトランジスタ時のラッチアップ電流とサ
イリスタ時のオン電圧の関係を示すグラフ図である。
【図23】同実施例3に係る半導体装置においてエミッ
タ電極のコンタクト長さLE に対するトランジスタ時の
ラッチアップ電流とサイリスタ時のオン電圧の関係を示
すグラフ図である。
【図24】MCTの構造の一例を示す断面図である。
【図25】同MCTの等価回路を示す回路図である。
【図26】同MCTのキャリア密度を示すグラフ図であ
る。
【図27】IGBTの構造の一例を示す断面図である。
【図28】同IGBTのターンオフ波形を示す波形図で
ある。
【符号の説明】
1 ・・・ コレクタ電極 2 ・・・ p+ 型のコレクタ層 3 ・・・ n- 型のベース層 4 ・・・ p型のベース層 5 ・・・ n型のエミッタ層 6 ・・・ p+ 型のエミッタ層 7 ・・・ エミッタ電極 8 ・・・ ゲート酸化膜 9 ・・・ n+ 型のカウンタードーピング層 10・・・ p+ 型の高濃度ドーピング層 11・・・ 第1のゲート電極 12・・・ 第2のゲート電極 13・・・ 第1のMOS 14・・・ 第2のMOS 15・・・ サイリスタ 21・・・ 正孔の密度 22・・・ 電子の密度 60・・・ MCT 61・・・ ゲート電極 62・・・ MOS 63・・・ カソード電極 64・・・ n+ 型のカソード層 65・・・ p- 型のベース層 66・・・ n型のベース層 67・・・ p+ 型のアノード層 68・・・ アノード電極 81・・・ p+ 型のサブストレート 82・・・ n- 型のベース層 83・・・ p型のチャネル層 84・・・ n+ 型のエミッタ層 85・・・ p+ 型のウェル 86・・・ ゲート酸化膜 87・・・ ゲート電極 88・・・ エミッタ電極 89・・・ コレクタ電極
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−148872(JP,A) 特開 平3−136371(JP,A) 特開 平4−268766(JP,A) 特開 平5−29607(JP,A) 特開 平3−136372(JP,A) 特開 平2−12969(JP,A) 特開 昭61−58264(JP,A) 特開 昭60−53078(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/749 H01L 29/78 656

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型のコレクタ領域,第2導電型
    ベース領域,第1導電型ベース領域及び第2導電型のエ
    ミッタ領域とからなるサイリスタ構造を有する半導体装
    置において、 第2導電型のベース領域に対してその多数キャリアを注
    入可能の第1のMISFETと、この第1のMISFE
    Tとは独立に開閉可能であって第1導電型のベース領域
    からその多数キャリアを引き抜き可能の第2のMISF
    ETとを備えてなり、前記第2のMISFETとは別
    に、前記第1のMISFETのゲート電極を共通とし、
    第1導電型のベース領域からその多数キャリアを引き抜
    き可能の第3のMISFETを有し、前記第1導電型の
    ベース領域内にはエミッタ電位が共に印加される前記第
    2導電型のエミッタ領域と第1導電型のエミッタ領域と
    が形成されてなり、前記第1導電型のエミッタ領域は前
    記第2導電型のエミッタ領域内に形成されてなり、前記
    第2のMISFETの第2のゲート電極は前記第1導電
    型のエミッタ領域から前記第2導電型のエミッタ領域及
    び前記第1導電型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を
    介して形成されてなり、前記第1のMISFET及び前
    記第3のMISFETの共通の第1のゲート電極は前記
    第1導電型のエミッタ領域から前記第2導電型のエミッ
    タ領域,前記第1導電型のベース領域及び前記第2導電
    型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を介して形成され
    てなり、 前記第1導電型のベース領域のドーズ量は2×10 13
    cm −2 以上で1×10 14 cm −2 以下であり、第2
    導電型のエミッタ領域のドーズ量は前記第1導電型のベ
    ース領域のドーズ量以上で1×10 14 cm −2 以下で
    ある ことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項において、前記第1導電型ベー
    ス領域は第1導電型高濃度のウエルとこれより浅い第1
    導電型周辺部とを有することを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項おいて、表面拡散により形成さ
    れた前記第1導電型高濃度のウエルのドーズ量は1×1
    13cm−2以上で5×1015cm−2以下である
    ことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項において、埋め込み型として形成
    された前記第1導電型高濃度のウエルのドーズ量は1×
    1012cm−2以上で3×1014cm−2以下であ
    ることを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】請求項において、前記第1導電型高濃度
    のウエルの拡散窓の端縁は前記第1導電型のエミッタ領
    域の内側端縁より前記第2のMISFETの第2のゲー
    ト電極側に位置していることを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】 第1導電型のコレクタ領域,第2導電型
    ベース領域,第1導電型ベース領域及び第2導電型のエ
    ミッタ領域とからなるサイリスタ構造を有する半導体装
    置において、 第2導電型のベース領域に対してその多数キャリアを注
    入可能の第1のMISFETと、この第1のMISFE
    Tとは独立に開閉可能であって第1導電型のベース領域
    からその多数キャリアを引き抜き可能の第2のMISF
    ETとを備えてなり、前記第2のMISFETとは別
    に、前記第1のMISFETのゲート電極を共通とし、
    第1導電型のベース領域からその多数キャリアを引き抜
    き可能の第3のMISFETを有し、前記第1導電型の
    ベース領域内にはエミッタ電位が共に印加される前記第
    2導電型のエミッタ領域と第1導電型のエミッタ領域と
    が形成されてなり、前記第1導電型のエミッタ領域は前
    記第2導電型のエミッタ領域内に形成されてなり、前記
    第2のMISFETの第2のゲート電極は前記第1導電
    型のエミッタ領域から前記第2導電型のエミッタ領域及
    び前記第1導電型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を
    介して形成されてなり、前記第1のMISFET及び前
    記第3のMISFETの共通の第1のゲート電極は前記
    第1導電型のエミッタ領域から前記第2導電型のエミッ
    タ領域,前記第1導電型のベース領域及び前記第2導電
    型のベース領域の表面にゲート絶縁膜を介して形成され
    てなり、前記第2導電型のエミッタ領域は第2導電型高濃度のウ
    エルとこれより浅い第2導電型周辺部とを有している
    とを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】請求項において、前記第2導電型高濃度
    のウエルの表面濃度は5×1017cm−3以上で5×
    1020cm−3以下であることを特徴とする半導体装
    置。
  8. 【請求項8】請求項又は請求項において、前記第2
    導電型高濃度のウエルの拡散深さは前記第2導電型周辺
    部の拡散深さ以上で1.9μm以下であることを特徴と
    する半導体装置。
  9. 【請求項9】請求項乃至請求項のいずれか一項にお
    いて、前記第1のゲート電極のゲート長は20μm以上
    で30μm以下であることを特徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】請求項乃至請求項のいずれか一項に
    おいて、前記第2のゲート電極のゲート長は1μm以上
    で8μm以下であることを特徴とする半導体装置。
  11. 【請求項11】請求項乃至請求項10のいずれか一項
    において、前記第1導電型エミッタ領域及び第2導電型
    エミッタ領域に導電接触するエミッタ電極のコンタクト
    長さは1μm以上で6μm以下であることを特徴とする
    半導体装置。
  12. 【請求項12】請求項乃至請求項11のいずれか一項
    において、前記第1のMISFETに関する前記第1導
    電型のベース領域表面に第2導電型の浅いカウンタード
    ーピング領域が形成されていることを特徴とする半導体
    装置。
  13. 【請求項13】請求項乃至請求項12のいずれか一項
    において、前記第2のMISFETに関する前記第1導
    電型のベース領域表面に第1導電型の高濃度のドーピン
    グ領域が形成されていることを特徴とする半導体装置。
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