JP3160330B2 - Mosアノードショート構造を有する半導体素子 - Google Patents
Mosアノードショート構造を有する半導体素子Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速スイッチング・低
損失を要する、バイポーラ型接合を有する電力用半導体
素子としての静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)、
ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、及び絶縁ゲー
トバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar T
ransistor)(IGBT)等において、アノード電極構造
の最適化を図り、ターンオフ性能及びターンオン性能の
トレードオフを改善できる、MOSアノードショート構
造を有する半導体素子に関する。
損失を要する、バイポーラ型接合を有する電力用半導体
素子としての静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)、
ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、及び絶縁ゲー
トバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar T
ransistor)(IGBT)等において、アノード電極構造
の最適化を図り、ターンオフ性能及びターンオン性能の
トレードオフを改善できる、MOSアノードショート構
造を有する半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高耐圧化を狙ったオン(on)性能
重視の構造として、アノード側にnバッファ層を設けた
ものが作られている。この構造に対し、オフ性能を向上
させるには、nバッファ層を有さない構造によりオン電
圧を低く保持しつつ、ターンオフ性能の改善できる、静
電誘導効果を利用したアノードショート構造や、nバッ
ファ層をアノード側にn+ 層で短絡した構造がGTOの
例で提案されている。静電誘導効果を利用したアノード
ショート構造は例えば、文献“新形アノードショート構
造のSIサイリスタ”電気学会電子デバイス研究会, ED
D-87-66,pp.37 〜49(1987年10月7日) に開示さ
れている通りである。或いはまた、特開平1−9316
9号公報「電力用半導体素子」に開示されている通りで
ある。またnバッファ層をアノード側にn+ 層で短絡し
たGTOの構造としては、例えば、文献“Nバッファと
新型アノードショート構造を採用した6kVGTOサイ
リスタ”電気学会電子デバイス研究会,EDD-87-65,pp.2
7 〜35(1987年10月7日)において開示されてい
る通りである。後者の構造をSIサイリスタに適用した
例を図7に示す。
重視の構造として、アノード側にnバッファ層を設けた
ものが作られている。この構造に対し、オフ性能を向上
させるには、nバッファ層を有さない構造によりオン電
圧を低く保持しつつ、ターンオフ性能の改善できる、静
電誘導効果を利用したアノードショート構造や、nバッ
ファ層をアノード側にn+ 層で短絡した構造がGTOの
例で提案されている。静電誘導効果を利用したアノード
ショート構造は例えば、文献“新形アノードショート構
造のSIサイリスタ”電気学会電子デバイス研究会, ED
D-87-66,pp.37 〜49(1987年10月7日) に開示さ
れている通りである。或いはまた、特開平1−9316
9号公報「電力用半導体素子」に開示されている通りで
ある。またnバッファ層をアノード側にn+ 層で短絡し
たGTOの構造としては、例えば、文献“Nバッファと
新型アノードショート構造を採用した6kVGTOサイ
リスタ”電気学会電子デバイス研究会,EDD-87-65,pp.2
7 〜35(1987年10月7日)において開示されてい
る通りである。後者の構造をSIサイリスタに適用した
例を図7に示す。
【0003】図7において、1はアノード電極、2はゲ
ート電極、3はカソード電極、4はアノードpエミッタ
層(pE )層、5はn+ ショート層、6はnバッファ
層、7は高抵抗半導体層、8はpゲート層、9はパッシ
ベーション膜、8′はカソードnエミッタ層(nE )層
である。図7においてはnバッファ層6の厚さと不純物
濃度を所定の値に設定することによって、高抵抗半導体
層7中に広がる空乏層中の電界を高い値に保持できるた
め、高耐圧を比較的得やすい構造である。しかし、nバ
ッファ層6中に蓄積される電子の蓄積効果のためアノー
ドpエミッタ層4からの過剰な正孔注入を引き起こす。
nバッファ層6中に蓄積される電子の流出を助けるため
に図7においてはn+ ショート層5を設けた構造となっ
ている。
ート電極、3はカソード電極、4はアノードpエミッタ
層(pE )層、5はn+ ショート層、6はnバッファ
層、7は高抵抗半導体層、8はpゲート層、9はパッシ
ベーション膜、8′はカソードnエミッタ層(nE )層
である。図7においてはnバッファ層6の厚さと不純物
濃度を所定の値に設定することによって、高抵抗半導体
層7中に広がる空乏層中の電界を高い値に保持できるた
め、高耐圧を比較的得やすい構造である。しかし、nバ
ッファ層6中に蓄積される電子の蓄積効果のためアノー
ドpエミッタ層4からの過剰な正孔注入を引き起こす。
nバッファ層6中に蓄積される電子の流出を助けるため
に図7においてはn+ ショート層5を設けた構造となっ
ている。
【0004】しかし、従来のnバッファ層(6)を有す
るアノードショート構造は、耐圧を確保することが主目
的であり、nバッファ層(6)の濃度を増加した場合、
アノードショート率を上昇してオフ性能を向上させるこ
とは難しい。アノードショート率を上昇し過ぎた場合、
オン電圧が急上昇し、ひいてはサイリスタがオンに至る
ラッチアップ動作が不可能となり、トランジスタ動作に
なるといった不具合が生ずる。この場合、オフロス(of
f-loss)は下がるがオンロス(on-loss)は急上昇する。
オン(on)性能とオフ(off)性能とのトレードオフを改
善し、両性能ともに改善し、両立させることは従来のn
バッファ構造を有する半導体素子においては極めて難し
い。
るアノードショート構造は、耐圧を確保することが主目
的であり、nバッファ層(6)の濃度を増加した場合、
アノードショート率を上昇してオフ性能を向上させるこ
とは難しい。アノードショート率を上昇し過ぎた場合、
オン電圧が急上昇し、ひいてはサイリスタがオンに至る
ラッチアップ動作が不可能となり、トランジスタ動作に
なるといった不具合が生ずる。この場合、オフロス(of
f-loss)は下がるがオンロス(on-loss)は急上昇する。
オン(on)性能とオフ(off)性能とのトレードオフを改
善し、両性能ともに改善し、両立させることは従来のn
バッファ構造を有する半導体素子においては極めて難し
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、nバ
ッファ層を有するサイリスタ構造において、オン性能と
オフ性能とのトレードオフの優れた、MOSアノードシ
ョート構造を有する半導体素子を提供することにある。
ッファ層を有するサイリスタ構造において、オン性能と
オフ性能とのトレードオフの優れた、MOSアノードシ
ョート構造を有する半導体素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は下記に示
す通りである。即ち、本発明は、カソードnエミッタ層
(8′)と、該カソードnエミッタ層(8′)に接した
カソード電極(3)と、カソード側pベース層もしくは
カソード側pゲート層(8)と、該カソード側pベース
層もしくはカソード側pゲート層(8)に接したゲート
電極(2)と、高抵抗半導体層(7)と、nバッファ層
(6)と、及びアノードpエミッタ層(4)からなる層
が積層化形成されたバイポーラ型の半導体素子におい
て、アノードpエミッタ層(4)にエッチング加工を施
し、該エッチング溝(12)に面するアノードpエミッ
タ層(4)端にn+ ショート層として働くMOSアノ
ードショート層(5″)を、アノードpエミッタ層
(4)には接し、nバッファ層(6)には接しないよう
に配置し、該エッチング溝(12)からn+ ショート
層として働くMOSアノードショート層(5″)の一部
にかかる間をSiO2 膜(10)で被った上でアノー
ド側全体に金属を被覆してアノード電極(1)を形成し
た、MOSアノードショート構造を有する半導体素子と
しての構成を有する。
す通りである。即ち、本発明は、カソードnエミッタ層
(8′)と、該カソードnエミッタ層(8′)に接した
カソード電極(3)と、カソード側pベース層もしくは
カソード側pゲート層(8)と、該カソード側pベース
層もしくはカソード側pゲート層(8)に接したゲート
電極(2)と、高抵抗半導体層(7)と、nバッファ層
(6)と、及びアノードpエミッタ層(4)からなる層
が積層化形成されたバイポーラ型の半導体素子におい
て、アノードpエミッタ層(4)にエッチング加工を施
し、該エッチング溝(12)に面するアノードpエミッ
タ層(4)端にn+ ショート層として働くMOSアノ
ードショート層(5″)を、アノードpエミッタ層
(4)には接し、nバッファ層(6)には接しないよう
に配置し、該エッチング溝(12)からn+ ショート
層として働くMOSアノードショート層(5″)の一部
にかかる間をSiO2 膜(10)で被った上でアノー
ド側全体に金属を被覆してアノード電極(1)を形成し
た、MOSアノードショート構造を有する半導体素子と
しての構成を有する。
【0007】或いはまた、本発明は、エッチング溝の底
部にはn+ ショート補助層(5′)を設けたことを特徴
とする、MOSアノードショート構造を有する半導体素
子としての構成を有する。
部にはn+ ショート補助層(5′)を設けたことを特徴
とする、MOSアノードショート構造を有する半導体素
子としての構成を有する。
【0008】
【作用】図2乃至図5は本発明によるMOSアノードシ
ョート構造を有する半導体素子の動作原理説明図であ
る。各図中において、それぞれエネルギーバンド図、キ
ャリアの動き、V−I特性(アノード・カソード間の電
圧−電流特性)に対応する模式図を含んでいる。半導体
素子として、SIサイリスタの各動作における各構造の
作用を説明する。
ョート構造を有する半導体素子の動作原理説明図であ
る。各図中において、それぞれエネルギーバンド図、キ
ャリアの動き、V−I特性(アノード・カソード間の電
圧−電流特性)に対応する模式図を含んでいる。半導体
素子として、SIサイリスタの各動作における各構造の
作用を説明する。
【0009】図2は点弧特性である。図2において印加
順方向電圧VD 約25V程度で低い場合を示している。
この時MOSチャンネル(11)はほとんど働いていな
い。つまり、この状態ではMOSアノードショートが存
在しない場合のような動作となり、逆阻止形サイリスタ
の動作となる。
順方向電圧VD 約25V程度で低い場合を示している。
この時MOSチャンネル(11)はほとんど働いていな
い。つまり、この状態ではMOSアノードショートが存
在しない場合のような動作となり、逆阻止形サイリスタ
の動作となる。
【0010】図3はターンオン特性である。VD として
は、例えば、順方向耐圧の1/2として、約1250V
と高い場合を示している。この時、MOSチャンネル
(11)は、カソードnエミッタ層(8′)よりの電子
注入、つまりnバッファ層(6)を介して流れ込む動作
をする。また、これに伴ない正孔はアノードpエミッタ
層(4)よりnMOSチャネル(11)をさけて注入が
始まる。つまりSIサイリスタがオン動作に移行するの
で、VD は急激に下がりMOSチャネル(11)は消滅
し、正孔注入は更に多量に生ずる。つまり再び逆阻止形
サイリスタ動作と近くなる。
は、例えば、順方向耐圧の1/2として、約1250V
と高い場合を示している。この時、MOSチャンネル
(11)は、カソードnエミッタ層(8′)よりの電子
注入、つまりnバッファ層(6)を介して流れ込む動作
をする。また、これに伴ない正孔はアノードpエミッタ
層(4)よりnMOSチャネル(11)をさけて注入が
始まる。つまりSIサイリスタがオン動作に移行するの
で、VD は急激に下がりMOSチャネル(11)は消滅
し、正孔注入は更に多量に生ずる。つまり再び逆阻止形
サイリスタ動作と近くなる。
【0011】図4は導通特性である。VD は導通時のた
めオン電圧程度で2.5V程度と低い場合を示してい
る。この時MOSチャンネル(11)は動作していな
い。つまり逆阻止形サイリスタの動作となり、オン電圧
は従来のアノードショート構造を有するサイリスタのも
のよりも低い。
めオン電圧程度で2.5V程度と低い場合を示してい
る。この時MOSチャンネル(11)は動作していな
い。つまり逆阻止形サイリスタの動作となり、オン電圧
は従来のアノードショート構造を有するサイリスタのも
のよりも低い。
【0012】図5はターンオフ特性である。ゲート電極
(2)より正孔電流を引き出す場合、ゲート電極
(2),カソード電極(3)間に逆バイアスがかかり、
キャリアが激減しpゲート層(8)の周囲が空乏化して
いく。pゲート層(8)とカソードnエミッタ層
(8′)間に広がる空乏層形成により、カソードnエミ
ッタ層(8′)からの電子注入が停止し、アノード・カ
ソード間電圧VD が上昇するに伴ない、MOSチャネル
(11)が導通し、高抵抗半導体層(7)中及びnバッ
ファ層(6)中に浮遊残留する電子はn+ ショート補助
層(5′)からMOSチャネル(11)を介してMOS
アノードショート層(5″)に導通し、アノード電極
(1)へと掃き出される。この動作時においては、ター
ンオン動作の時とは異なり、電子注入がカソードnエミ
ッタ層(8′)から生じていないため、正孔注入の再結
合過程は残留電子との再結合が主となり、nバッファ層
(6)とアノードpエミッタ層(4)との間がキャリア
再結合過程の起こりやすい場所となる。ターンオフ後期
のテイル電流を積極的に低減化処理できることになる。
つまり、ターンオフ動作ではMOSチャネル(11)が
積極的に動作し続けるため、アノードショートの効果が
強力に効くことになり、ターンオフタイムが短縮化さ
れ、テイル電流の低減化特性が得られる。
(2)より正孔電流を引き出す場合、ゲート電極
(2),カソード電極(3)間に逆バイアスがかかり、
キャリアが激減しpゲート層(8)の周囲が空乏化して
いく。pゲート層(8)とカソードnエミッタ層
(8′)間に広がる空乏層形成により、カソードnエミ
ッタ層(8′)からの電子注入が停止し、アノード・カ
ソード間電圧VD が上昇するに伴ない、MOSチャネル
(11)が導通し、高抵抗半導体層(7)中及びnバッ
ファ層(6)中に浮遊残留する電子はn+ ショート補助
層(5′)からMOSチャネル(11)を介してMOS
アノードショート層(5″)に導通し、アノード電極
(1)へと掃き出される。この動作時においては、ター
ンオン動作の時とは異なり、電子注入がカソードnエミ
ッタ層(8′)から生じていないため、正孔注入の再結
合過程は残留電子との再結合が主となり、nバッファ層
(6)とアノードpエミッタ層(4)との間がキャリア
再結合過程の起こりやすい場所となる。ターンオフ後期
のテイル電流を積極的に低減化処理できることになる。
つまり、ターンオフ動作ではMOSチャネル(11)が
積極的に動作し続けるため、アノードショートの効果が
強力に効くことになり、ターンオフタイムが短縮化さ
れ、テイル電流の低減化特性が得られる。
【0013】以上説明したように、本発明の動作原理は
MOSアノードショート構造において、VD の上昇に伴
ないMOSチャネルが働き、電子の掃き出しが活性化す
る特性を利用したものである。これによって、オン動作
では逆阻止形サイリスタの動作に近く、オン性能が優
れ、オフ動作ではアノードショート型の如くオフ性能の
優れるデバイス特性が得られる。
MOSアノードショート構造において、VD の上昇に伴
ないMOSチャネルが働き、電子の掃き出しが活性化す
る特性を利用したものである。これによって、オン動作
では逆阻止形サイリスタの動作に近く、オン性能が優
れ、オフ動作ではアノードショート型の如くオフ性能の
優れるデバイス特性が得られる。
【0014】
【実施例】図1は本発明のMOSアノードショート構造
を有する半導体素子としての実施例を示し、MOSアノ
ードショート構造を有する静電誘導サイリスタの模式的
断面構造図を示す。図1において、1はアノード電極、
2はゲート電極、3はカソード電極である。4はアノー
ドpエミッタ層、5′はn+ ショート補助層、5″は従
来例(図7)におけるn+ ショート層(5)と同様に働
くMOSアノードショート層である。6はnバッファ
層、7は高抵抗半導体層である。8はpゲート層もしく
はpベース層であり、8′はカソードnエミッタ層であ
る。9はゲート・カソード間のパッシベーション膜であ
る。10はMOSアノードショート構造の絶縁膜として
働くSiO2 膜である。11はMOSアノードショート
構造におけるMOSチャネルを示す。
を有する半導体素子としての実施例を示し、MOSアノ
ードショート構造を有する静電誘導サイリスタの模式的
断面構造図を示す。図1において、1はアノード電極、
2はゲート電極、3はカソード電極である。4はアノー
ドpエミッタ層、5′はn+ ショート補助層、5″は従
来例(図7)におけるn+ ショート層(5)と同様に働
くMOSアノードショート層である。6はnバッファ
層、7は高抵抗半導体層である。8はpゲート層もしく
はpベース層であり、8′はカソードnエミッタ層であ
る。9はゲート・カソード間のパッシベーション膜であ
る。10はMOSアノードショート構造の絶縁膜として
働くSiO2 膜である。11はMOSアノードショート
構造におけるMOSチャネルを示す。
【0015】製造方法を簡単に説明すると以下の通りで
ある。SIサイリスタ(図1)に適用すべく、アノード
pエミッタ層(pE 層)(4)をnバッファ層(6)に
至るまで局部的にエッチング除去し、エッチング溝(1
2)を形成し、形成された島状アノードpエミッタ層
(pE 層)(4)の端にアノードpエミッタ層(4)よ
りも薄い、n+ ショート層と同じ役割をするMOSアノ
ードショート層(5″)を設ける。また、上記のエッチ
ングした場所の中央にn+ ショート補助層(5′)を設
けても良い。MOSアノードショート層(5″)とn+
ショート補助層(5′)に至るまでのアノードpエミッ
タ層(pE 層)(4)領域表面にMOSチャネル(1
1)を形成してMOS動作を生じさせる、SiO2 膜
(10)を設ける。この上にアノード電極(1)を蒸着
する。カソード側の構造の製造方法は図7の従来例と同
様である。
ある。SIサイリスタ(図1)に適用すべく、アノード
pエミッタ層(pE 層)(4)をnバッファ層(6)に
至るまで局部的にエッチング除去し、エッチング溝(1
2)を形成し、形成された島状アノードpエミッタ層
(pE 層)(4)の端にアノードpエミッタ層(4)よ
りも薄い、n+ ショート層と同じ役割をするMOSアノ
ードショート層(5″)を設ける。また、上記のエッチ
ングした場所の中央にn+ ショート補助層(5′)を設
けても良い。MOSアノードショート層(5″)とn+
ショート補助層(5′)に至るまでのアノードpエミッ
タ層(pE 層)(4)領域表面にMOSチャネル(1
1)を形成してMOS動作を生じさせる、SiO2 膜
(10)を設ける。この上にアノード電極(1)を蒸着
する。カソード側の構造の製造方法は図7の従来例と同
様である。
【0016】以下、MOSアノードショート構造を有す
る半導体素子としての実施例の特徴を述べる。図1にお
いて、アノード電極(1)とSiO2 膜(10)とアノ
ードpエミッタ層(4)によってMOS構造が形成さ
れ、nショート補助層(5′)もしくはnバッファ層内
のキャリアがMOSチャネル(11)の導通によって、
MOSアノードショート層(5″)へ導かれると云う動
作を行なっている。
る半導体素子としての実施例の特徴を述べる。図1にお
いて、アノード電極(1)とSiO2 膜(10)とアノ
ードpエミッタ層(4)によってMOS構造が形成さ
れ、nショート補助層(5′)もしくはnバッファ層内
のキャリアがMOSチャネル(11)の導通によって、
MOSアノードショート層(5″)へ導かれると云う動
作を行なっている。
【0017】このMOSアノードショート構造によって
等価的に形成されるnチャネルMOSFETはMOSア
ノードショート層(5″)をソースと見ることができ、
基板として働くアノードpエミッタ層(4)は上記の等
価的なソースに短絡されている。等価的にドレインとし
て働くnバッファ層(6)もしくはn+ ショート補助層
(5′)の電位は、上記の等価的なソースの電位、即
ち、アノード電極(1)の電位に比較して、零もしいは
負電位であり、nバッファ層(6)内に蓄積される電子
の量が多ければ多い程、負電位の値は大きくなる。しか
し、この電位差は高々シリコンの場合で約1Vであり、
極めて低い。MOSアノードショート構造によって形成
される上記の等価的なnチャネルMOSFETはMOS
アノード短絡動作を実行中は、ソースに比べてドレイン
の電位が負電位であることから、等価的なnチャネルM
OSFETの逆バイアス動作となる。そして、この逆バ
イアスは1V程度以下であり、MOSアノード短絡の抵
抗値を下げることがMOSアノードショートの性能上、
極めて重要である。この等価的なnチャネルMOSFE
Tのチャネル長、絶縁膜であるSiO2 膜10の厚さ、
MOSチャネル(11)部分におけるチャネルの不純物
密度あるいはチャネルドーピングのレベル、全体として
のチャネル幅及びMOSアノードショートの総チャネル
数(もしくはMOSアノードショートの形成のピッチ)
及びMOSチャネル(11)を形成する面方位として例
えば(100)面を採用すること等がMOSアノードシ
ョートの抵抗を決定する要因であり、通常のMOSFE
Tのオン抵抗を下げるための手段が同様に有効に働くと
云える。
等価的に形成されるnチャネルMOSFETはMOSア
ノードショート層(5″)をソースと見ることができ、
基板として働くアノードpエミッタ層(4)は上記の等
価的なソースに短絡されている。等価的にドレインとし
て働くnバッファ層(6)もしくはn+ ショート補助層
(5′)の電位は、上記の等価的なソースの電位、即
ち、アノード電極(1)の電位に比較して、零もしいは
負電位であり、nバッファ層(6)内に蓄積される電子
の量が多ければ多い程、負電位の値は大きくなる。しか
し、この電位差は高々シリコンの場合で約1Vであり、
極めて低い。MOSアノードショート構造によって形成
される上記の等価的なnチャネルMOSFETはMOS
アノード短絡動作を実行中は、ソースに比べてドレイン
の電位が負電位であることから、等価的なnチャネルM
OSFETの逆バイアス動作となる。そして、この逆バ
イアスは1V程度以下であり、MOSアノード短絡の抵
抗値を下げることがMOSアノードショートの性能上、
極めて重要である。この等価的なnチャネルMOSFE
Tのチャネル長、絶縁膜であるSiO2 膜10の厚さ、
MOSチャネル(11)部分におけるチャネルの不純物
密度あるいはチャネルドーピングのレベル、全体として
のチャネル幅及びMOSアノードショートの総チャネル
数(もしくはMOSアノードショートの形成のピッチ)
及びMOSチャネル(11)を形成する面方位として例
えば(100)面を採用すること等がMOSアノードシ
ョートの抵抗を決定する要因であり、通常のMOSFE
Tのオン抵抗を下げるための手段が同様に有効に働くと
云える。
【0018】図1に示した実施例ではMOSアノードシ
ョート構造を有する静電誘導サイリスタを例として説明
したが、他の構造の半導体デバイスとして、例えば、ゲ
ートターンオフサイリスタや、絶縁ゲートバイポーラト
ランジスタ(IGBT)、或いは平面ゲート形SIサイ
リスタ、埋込みゲート形SIサイリスタ等においても本
発明に係るMOSアノードショート構造を適用すること
は容易に考えられる拡張例である。
ョート構造を有する静電誘導サイリスタを例として説明
したが、他の構造の半導体デバイスとして、例えば、ゲ
ートターンオフサイリスタや、絶縁ゲートバイポーラト
ランジスタ(IGBT)、或いは平面ゲート形SIサイ
リスタ、埋込みゲート形SIサイリスタ等においても本
発明に係るMOSアノードショート構造を適用すること
は容易に考えられる拡張例である。
【0019】
【発明の効果】図6は2500V/300A級素子にお
いてカソード側構造は一定(SIサイリスタ構造)にし
て、アノード側構造が従来例(図7)の場合と本発明の
MOSアノードショート構造の例(図1)の場合とのタ
ーンオンロス(turn-on-loss)Eonとターンオフロス
(turn-off-loss)Eoff の関係を図示したものである。
スイッチング条件としては、VD =1250V、IT =
300A、Tj =125℃である。従来例に比べ、本発
明においてはターンオンロスEon及びターンオフロスE
off のトレードオフが改善され、優れていることがわか
る。
いてカソード側構造は一定(SIサイリスタ構造)にし
て、アノード側構造が従来例(図7)の場合と本発明の
MOSアノードショート構造の例(図1)の場合とのタ
ーンオンロス(turn-on-loss)Eonとターンオフロス
(turn-off-loss)Eoff の関係を図示したものである。
スイッチング条件としては、VD =1250V、IT =
300A、Tj =125℃である。従来例に比べ、本発
明においてはターンオンロスEon及びターンオフロスE
off のトレードオフが改善され、優れていることがわか
る。
【図1】本発明の実施例としてのMOSアノードショー
ト構造を有する半導体素子(静電誘導サイリスタ)の模
式的断面構造図
ト構造を有する半導体素子(静電誘導サイリスタ)の模
式的断面構造図
【図2】本発明のMOSアノードショート構造を有する
半導体素子の動作原理説明図であって、点弧特性の説明
図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−I特性
の様子)
半導体素子の動作原理説明図であって、点弧特性の説明
図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−I特性
の様子)
【図3】本発明のMOSアノードショート構造を有する
半導体素子の動作原理説明図であって、ターンオン特性
の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−
I特性の様子)
半導体素子の動作原理説明図であって、ターンオン特性
の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−
I特性の様子)
【図4】本発明のMOSアノードショート構造を有する
半導体素子の動作原理説明図であって、導通特性の説明
図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−I特性
の様子)
半導体素子の動作原理説明図であって、導通特性の説明
図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−I特性
の様子)
【図5】本発明のMOSアノードショート構造を有する
半導体素子の動作原理説明図であって、ターンオフ特性
の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−
I特性の様子)
半導体素子の動作原理説明図であって、ターンオフ特性
の説明図(エネルギーバンド図,キャリアの動き,V−
I特性の様子)
【図6】本発明のよるMOSアノードショート構造を有
する半導体素子と、従来例によるアノードショート構造
を有する半導体素子のターンオンロスEonとターンオフ
ロスEoff とのトレードオフ関係の比較図
する半導体素子と、従来例によるアノードショート構造
を有する半導体素子のターンオンロスEonとターンオフ
ロスEoff とのトレードオフ関係の比較図
【図7】本発明の先行技術としての従来形アノードショ
ート構造を有する静電誘導サイリスタの模式的断面構造
図
ート構造を有する静電誘導サイリスタの模式的断面構造
図
1 アノード電極 2 ゲート電極 3 カソード電極 4 アノードpエミッタ層(pE 層) 5 n+ ショート層 5′ n+ ショート補助層 5″ MOSアノードショート層 6 nバッファ層(nバッファ) 7 高抵抗半導体層(ni 層) 8 pゲート層もしくはpベース層 8′ カソードnエミッタ層(nE 層) 9 パッシベーション膜 10 SiO2 膜 11 MOSチャネル 12 エッチング溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−262373(JP,A) 特開 昭56−81971(JP,A) 特開 昭63−155768(JP,A) 特開 平3−58482(JP,A) 特開 平5−190835(JP,A) 特開 平4−240775(JP,A) 特開 平3−194971(JP,A) 特開 平1−165169(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/74 H01L 29/744
Claims (2)
- 【請求項1】 カソードnエミッタ層と、該カソードn
エミッタ層に接したカソード電極と、カソード側pベー
ス層もしくはカソード側pゲート層と、該カソード側p
ベース層もしくはカソード側pゲート層に接したゲート
電極と、高抵抗半導体層と、nバッファ層と、及びアノ
ードpエミッタ層からからなる層が積層化形成されたパ
イポーラ型半導体素子において、アノードpエミッタ層
にエッチング加工を施し、該エッチング溝に面するアノ
ードpエミッタ層端にn+ ショート層として働くMO
Sアノードショート層を、アノードpエミッタ層には接
し、nバッファ層には接しないように配置し、該エッチ
ング溝よりn+ ショート層として働くMOSアノード
ショート層の一部にかかる間をSiO2 膜で被覆した
上でアノード側全体を金属で被覆した、MOSアノード
ショート構造を有する半導体素子。 - 【請求項2】 前記エッチング溝の底部には、n+ シ
ョート補助層を設けることを特徴とする前記請求項1記
載のMOSアノードショート構造を有する半導体素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28064691A JP3160330B2 (ja) | 1991-10-01 | 1991-10-01 | Mosアノードショート構造を有する半導体素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28064691A JP3160330B2 (ja) | 1991-10-01 | 1991-10-01 | Mosアノードショート構造を有する半導体素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0595112A JPH0595112A (ja) | 1993-04-16 |
JP3160330B2 true JP3160330B2 (ja) | 2001-04-25 |
Family
ID=17627959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28064691A Expired - Fee Related JP3160330B2 (ja) | 1991-10-01 | 1991-10-01 | Mosアノードショート構造を有する半導体素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3160330B2 (ja) |
-
1991
- 1991-10-01 JP JP28064691A patent/JP3160330B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0595112A (ja) | 1993-04-16 |
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