JPH05190376A - セラミックコンデンサ - Google Patents

セラミックコンデンサ

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JPH05190376A
JPH05190376A JP4182647A JP18264792A JPH05190376A JP H05190376 A JPH05190376 A JP H05190376A JP 4182647 A JP4182647 A JP 4182647A JP 18264792 A JP18264792 A JP 18264792A JP H05190376 A JPH05190376 A JP H05190376A
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JP
Japan
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dielectric
composition
temperature
dielectric constant
firing
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Application number
JP4182647A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Kanai
秀之 金井
Yohachi Yamashita
洋八 山下
Osamu Furukawa
修 古川
Kiyoshi Matsunaga
潔 松永
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、誘電率が高く、その温度変化が広い
温度範囲に亘って小さく、かつ焼成温度が低く絶縁耐圧
特性に優れたセラミックコンデンサを提供するものであ
る。 【構成】一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(I) (但し、x=0.05〜0.90、y=0〜0.8、A
/〔1−(x/4)〕のモル比(m)は0.85≦m≦
1.00である)にて表わされる組成を有し、焼成後の
平均粒径が3μm以下である誘電体磁器組成物を少なく
とも一対の電極間に介在させて配置したことを特徴とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度特性の優れたセラ
ミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高誘電率の誘電体磁器組成物を電
極間に介在させたコンデンサは広く知られており、前記
コンデンサに好適な誘電体材料が数多く開発されてい
る。かかる誘電体材料に対して要求される電気的特性と
しては、大きな誘電率,小さい誘電率温度係数,低誘電
損失,低誘電率バイアス電界依存性,低絶縁抵抗等が挙
げられる。また、前記コンデンサを電子回路に用いる場
合、特に広範囲な温度領域にわたって安定な温度特性
(T.C.C)を要求される場合があり、例えばEIA
J(日本電子機械工業会)規格のB規格では−25℃〜
85℃の温度領域における容量の変化率が±10%以
内、C規格では±20%以内、EIA(米国電子工業
会)規格のX7R規格では−55℃〜125℃の温度領
域における容量の変化率が±15%以内、さらにX7S
規格では同じ温度領域における容量の変化率が±22%
以内、X7T規格では−33%〜+22%と規定されて
いる。
【0003】さらに、積層タイプの素子を考えた場合、
電極と誘電体層とは一体的に焼成されるため、電極材料
として誘電体材料の焼成温度でも安定なものを用いる必
要がある。従って、誘電体材料の焼成温度が高いと、融
点の高い白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の高価な
材料を用いなければならない。このため、Ag等の安価
な電極材料を使用できるように、例えば1150℃以下
程度の低温での焼成が可能な誘電体材料が要求される。
【0004】従来から知られている高誘電率の誘電体磁
器組成物としては、チタン酸バリウム(BaTiO3
をベースとして、これに錫酸塩,ジルコン酸塩,チタン
酸塩等を固溶したものがある。しかしながら、BaTi
3 系の誘電体材料は焼成温度が1300〜1400℃
程度と高温であるため、電極材料として必然的にPt、
Pd等の前記温度に耐える高価な材料を用いなければな
らず、コスト高の原因となる。また、前記誘電体材料は
誘電率のDCバイアス依存性が大きいため、定格電圧を
印加した場合には誘電率の大幅な低下を生じる。さら
に、得られた誘電体磁器組成物は粒径が約5μmと大き
いため、これを積層セラミックコンデンサ(MLCと略
す)に用いた場合、誘電体層を薄くできず、MLCを小
形化できないなどの問題がある。
【0005】上述したBaTiO3 系誘電体材料の問題
点を解決するために、各種の組成物の研究がなされてい
る。例えば、鉄・ニオブ酸鉛を主体としたもの(特開昭
57−57204号)、マグネシウム・ニオブ酸鉛を主
体としたもの(特開昭55−51759号)、マグネシ
ウム・タングステン酸鉛を主体としたもの(特開昭55
−144609号)、マグネシウム・鉄・タングステン
酸鉛を主体としたもの(特開昭58−217462号)
等が知られている。
【0006】しかしながら、誘電率が高く、その温度変
化が例えば−55℃〜125℃のような広い温度範囲に
わたって小さく、かつ絶縁耐圧が高いというような電気
的諸特性に優れ、しかも低温焼成が可能であるという高
誘電率の誘電体磁器組成物は得られていないのが現状で
ある。また、かかる誘電体磁器組成物においても粒径は
約5μmと大きいため、前記MLCに適用した場合、小
型化することが困難となる。
【0007】一方、誘電率の温度特性の異なる組成物を
混合して良好な温度特性を得ようとする研究もなされて
いる。例えば、特開昭59−203759号には鉛複合
ペロブスカイト材料(以後リラクサーと称す)の混合が
開示されている。しかしながら、かかる誘電体材料は
T.C.Cが大きく、温度特性は十分ではない。
【0008】また、上述したような電気的特性が良好
で、しかも極めて優れた温度特性を有する誘電体材料と
しては、リラクサーの仮焼粉体と、BaTiO3 系材料
の仮焼粉体との混合物を焼成することにより得られる高
誘電率の誘電体磁器組成物がある。例えば、特開昭61
−250904号にはPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3
材料の仮焼粉体とBaTiO3 系材料の仮焼粉体との混
合物を焼成することにより、極めて良好な温度特性を有
する誘電体磁器組成物を得る技術が開示されている。
【0009】しかしながら、前記リラクサーとBaTi
3 系材料の複合体においては、BaTiO3 の誘電率
の直流バイアス依存性、誘電損失(tanδ)の交流バ
イアス依存性が大きいため、コンデンサ、特にMLCの
誘電体層を薄くした場合、誘電率の低下を招く。しか
も、1層当たりに加わる交流電圧が増加するため誘電損
失は大幅に増加し、EIAJのB規格、EIAのX7R
規格であるtanδ≦2.5%(ただし測定電圧である
1Vrmsで評価した場合)を満たすことができなくな
る。このようにBaTiO3 系材料の誘電率および誘電
損失のバイアス依存性の大きさは、MLCの小型化、つ
まり誘電体層の薄層化にとって大きな障害となってい
た。
【0010】また、BaTiO3 系材料では時間と共に
誘電率の低下する割合(エージングレート)が大きいた
め、この材料を用いて作製したコンデンサを長期間使用
した場合、所望の容量が得られなくなるという問題もあ
る。更に、リラクサーでは絶縁耐圧がBaTiO3 系材
料に比較して小さいという問題があり、リラクサーを用
いて作製した前記コンデンサの場合MLCの小型化、つ
まり誘電体層の薄層化が非常に困難であった。
【0011】なお、特開昭57−62521号にはX7
R特性を満たし、誘電率の直流バイアス依存性に優れた
PLZT磁器コンデンサの開示があるが、焼成温度が1
250℃以上と高く、粒径が大きいという問題点があっ
た。このため、この誘電体材料を用いてMLCを作製し
た場合、内部電極としてAg/Pd=70/30(wt
%比)の安価な電極材料を用いることができず、Pdを
多く含有するAg/Pdの電極材料を使用するため製造
コストが増加するという問題があった。また、粒径が約
5μmと大きいため機械的強度が低いこと、誘電体層を
薄くできないなどの問題も存在する。さらに、一般に、
粒径が大きい誘電体磁器組成物は絶縁耐圧が小さいとい
う問題も存在した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように誘電率
が高く、その温度変化が広い範囲に亘って小さく、しか
も絶縁耐圧が大きくかつ低温焼成が可能であるセラミッ
クコンデンサはこれまでに得られなかった。
【0013】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、高誘電率で温度特性が優れ、かつ焼
成温度が低く耐圧特性に優れたセラミックコンデンサを
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるセラミッ
クコンデンサは、以下に説明する誘電体磁器組成物
(1)〜(3)を少なくとも一対の電極間に介在させて
配置したことを特徴とするものである。 誘電体磁器組成物(1) この誘電体磁器組成物は、一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(I)
【0015】(但し、x=0.05〜0.90、y=0
〜0.8、A/〔1−(x/4)〕のモル比(m)は
0.85≦m≦1.00である)にて表わされる組成を
有し、かつ焼成後の平均粒径が3μm以下のものであ
る。前記一般式(I) で表される誘電体磁器組成物の組成
範囲を規定した理由について説明する。
【0016】(a)前記PbとLaの比を規定したxに
おいて、前記xを0.05未満にすると誘電率の温度係
数が大きくなり、実用的でない。一方、前記xが0.9
0を越えると誘電率が著しく低下する。
【0017】(b)前記ZrとTiの比を規定したyに
おいて、前記yが0.80を越えると誘電率が小さくな
る。なお、前記yは焼結性を考慮してy≧0.02であ
ることが好ましい。前記x、yの好ましい態様として
は、図1に示すように、 A(x=0.05,y=0.0) B(x=0.05,y=0.02) C(x=0.05,y=0.30) D(x=0.25,y=0.50) E(x=0.50,y=0.80) F(x=0.80,y=0.80) G(x=0.35,y=0.02) H(x=0.35,y=0.0) I(x=0.60,y=0.0) J(x=0.60,y=0.02) K(x=0.90,y=0.80) L(x=0.90,y=0.02) M(x=0.90,y=0.0) で示される点のうち、ACDEKMの各点を結ぶ線上お
よび線内の組成物を誘電体として用いた場合が挙げられ
る。
【0018】さらに、本発明に係わる誘電体磁器組成物
において、図1のy=0の線上はPbOの蒸発により焼
結が難しいため、BCDEKLの各点を結ぶ線の内側の
組成とすることが好ましい。
【0019】図1のACDEを結ぶ線の外側、つまりL
a量(x)が少ない領域では、誘電率の温度特性が低下
し、圧電性が大きくなるという問題がある。また、線E
Kの外側、つまりTi量が多い領域では、誘電率の低
下、誘電損失の交流バイアス依存性の悪化、容量抵抗積
の低下の傾向がある。
【0020】また、図1のFGHを結ぶ線の外側、つま
りLa量(x)が多い領域では誘電率が低下する傾向が
ある。しかしながら、FGHIJKで示される各点を結
ぶ線上および線内の組成を誘電体磁器組成物を用いた場
合は、誘電率は若干低下するが、絶縁耐圧、誘電損失を
さらに向上させることができる。前述したように、y=
0の線上はPbOの蒸発により焼結が難しいため、FG
JKで示される各点を結ぶ線上および線内の組成物が好
ましい。
【0021】さらに、図1のIJKLMで示される各点
を結ぶ線上および線内の誘電体磁器組成物を用いた場合
は、絶縁耐圧をさらに高くでき、また誘電率の温度係数
および誘電損失を非常に小さくできるため温度補償用コ
ンデンサ材料として好適である。前述したようにy=0
の線上はPbOの蒸発により焼結が難しいため、JKL
で示される各点を結ぶ線上および線内の組成物が好まし
い。
【0022】(c)前記A/〔1−(x/4)〕のモル
比(m)において、mを0.85未満にすると焼成温度
が高くなり、比較的融点の低い電極材料を使用すること
が困難となる。一方、前記mが1.00を越えると過剰
なPbOが粒界に析出するため、誘電率が低下するばか
りか、耐湿特性が劣化する。焼成を1200〜1250
℃の温度で行うためには、前記mを0.90〜0.98
の範囲にすることが望ましい。
【0023】前記焼成後の平均粒径を限定した理由は、
前記平均粒径が3μmを越えると誘電体磁器組成物の絶
縁耐圧が低下するのみならず、誘電体層とした時の機械
的強度が低下するため、MLCを作製した場合に誘電体
層の1層の厚みを5μm以下にすることが難しくなるか
らである。前記一般式(I) で表わされる組成物におい
て、下記の一般式(I-a) 、(I-b) 、(I-c) に示すように
Laの一部を他の金属で置換することを許容する。 (Pb1-x Laa Prb A (Zr1-y Tiy 1-[(a+b)/4] 3 …(I-a)
【0024】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b、b≦0.8x、A/〔1−[(a
+b)/4)]〕のモル比(m)は0.85≦m≦1.
00を示す。 (Pb1-x Laa b A (Zr1-y Tiy 1-(a/4) 3 …(I−
b)
【0025】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b、b≦0.8x、A/〔1−(a/
4)〕のモル比(m)は0.85≦m≦1.00、Mは
Ba、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種を示す。 (Pb1−x Laa b Prc A (Zr1-y Tiy 1-[(a+c)/4] 3 …(I-c)
【0026】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b+c、b+c≦0.8x、A/〔1
−[(a+c)/4)]〕のモル比(m)は0.85≦
m≦1.00、MはBa、Sr、Caから選ばれる少な
くとも一種を示す。
【0027】前記誘電体磁器組成物は、出発材料として
水熱合成法により合成した微粉末を用いることが望まし
い。具体的には、誘電体磁器組成物の各構成金属元素を
含有する溶液を調製し、この溶液を高温高圧下で処理し
て溶液中に微粉末を析出する。かかる方法によれば、出
発材料として非常に微細な粉末を用意できため、前記誘
電体磁器組成物の平均粒径を3μm以下に容易に制御す
ることが可能となる。
【0028】前記水熱合成法により合成した微粉末は組
成的に極めて均一であるため、結果的には組成的に均一
な誘電体磁器組成物を得ることが可能となる。さらに、
前記微粉末は非常に高い活性を有するため、焼成時の昇
温速度を上げて、焼成温度の低温化を図るこことが可能
である。この場合、前記昇温速度は110℃/hr〜6
00℃/hrの範囲とすることが望ましい。この理由
は、前記昇温速度を110℃/hr未満にすると低温焼
成の効果は殆ど得られず、一方前記昇温速度が600℃
/hrを越えると誘電体磁器組成物の緻密化が不十分と
なる恐れがあるためである。なお、昇温速度が速いと低
温焼成化の効果が大きくなるため、その下限値は150
℃/hr以上、さらに200℃/hr以上とすることが
好ましい。MLCの製造を考えた場合、昇温速度を速く
できることは内部電極からのAgの拡散を抑制するだけ
でなく、焼成工程の時間を短縮できるため多大のメリッ
トがある。しかも、低温で短時間に焼結できるため、誘
電体磁器組成物の粒子径を小さくでき、その機械的強度
を向上することが可能となる。 誘電体磁器組成物(2) この誘電体磁器組成物は、一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(II)
【0029】(但し、x=0.05〜0.90、y=0
〜0.8、A/〔1−(x/4)〕のモル比(m)は
0.85≦m<1.00である)にて表わされる組成か
らなるものである。前記PbとLaの比(x)、前記Z
rとTiの比(y)の規定の理由および好ましい態様
は、前述した誘電体磁器組成物(1)と同様である。
【0030】前記A/〔1−(x/4)〕のモル比
(m)において、mを0.85未満にすると焼成温度が
高くなり、比較的融点の低い電極材料を使用することが
困難となる。一方、前記mを1.00以上にすると過剰
なPbOが粒界に析出するため、誘電率が低下するばか
りか、耐湿特性が劣化する。焼成を1200〜1250
℃で行うためには前記mを0.90〜0.98の範囲と
することが望ましい。前記一般式(II)で表わされる組成
物において、下記の一般式(II-a)、(II-b)、(II-c)に示
すようにLaの一部を他の金属で置換することを許容す
る。 (Pb1-x Laa Prb A (Zr1-y Tiy 1-[(a+b)/4] 3 …(II-a)
【0031】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b、b≦0.8x、A/〔1−[(a
+b)/4)]〕のモル比(m)は0.85≦m<1.
00を示す。 (Pb1-x Laa b A (Zr1-y Tiy 1-(a/4) 3 …(II-b)
【0032】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b、b≦0.8x、A/〔1−(a/
4)〕のモル比(m)は0.85≦m<1.00、Mは
Ba、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種を示す。 (Pb1-x Laa b Prc A (Zr1-y Tiy 1-[(a+c)/4] 3 …(II-c)
【0033】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b+c、b+c≦0.8x、A/〔1
−[(a+c)/4)]〕のモル比(m)は0.85≦
m<1.00、MはBa、Sr、Caから選ばれる少な
くとも一種を示す。
【0034】前記誘電体磁器組成物は、出発材料として
前述した水熱合成法、共沈法、金属アルコキシドを用い
た化学合成法等の各種の合成法により得られた粉末を用
いることができるが、特に水熱合成法で合成された微粉
末を出発材料として用いることが望ましい。 誘電体磁器組成物(3) この誘電体磁器組成物は、一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(III)
【0035】(但し、x=0.05〜0.90、y=0
〜0.8、A/〔1−(x/4)〕のモル比(m)は
0.85≦m≦1.00である)にて表わされる組成物
100モル%にCuOに換算して4モル%以下のCuま
たはBi2 3 に換算して2モル%以下のBiを添加含
有しものからなる。前記PbとLaの比(x)、前記Z
rとTiの比(y)の規定の理由および好ましい態様
は、前述した誘電体磁器組成物の場合と同様である。
【0036】前記A/〔1−(x/4)〕のモル比
(m)において、mを0.85未満にすると焼成温度が
高くなり、比較的融点の低い電極材料を使用することが
困難となる。一方、前記mが1.00を越えると過剰な
PbOが粒界に析出するため、誘電率が低下するばかり
か、耐湿特性が劣化する。焼成をより低減させる観点か
ら、前記mを0.90〜0.98の範囲にすることが望
ましい。
【0037】前記添加成分であるCuは、例えばCu2
O、CuO、シュウ酸銅、水酸化銅、各種の銅有機化合
物、またはA´(Cu1/2 1/2 )O3 もしくはA´
(Cu1/3 Me2/3 )O3 [ただし、A´はCa、S
r、Ba、Pbから選ばれる少なくとも1種、MeはN
b、Taから選ばれる少なくとも1種を示す]にて表さ
れる銅を含むペロブスカイト化合物の状態で添加するこ
とができる。
【0038】前記一般式(III) で表される組成物100
モル%に対するCuまたはBiの添加量を限定した理由
は、CuOに換算して4モル%を超えてCuが添加含有
されると前記誘電体磁器組成物からなる誘電体層の機械
的強度の低下を招くばかりか、高温での絶縁抵抗も低下
し、Bi2 3 に換算して2モル%を超えてBiが添加
含有されると前記誘電体磁器組成物の誘電率が低下する
からである。
【0039】具体的には、図2に(Pb0.75La0.25
(Zr0.70Ti0.300.93753 の組成について、高温
(125℃)における容量抵抗積のCuO添加含有量依
存性を示す。図2よりCuO量が4モル%を越えると高
温での絶縁抵抗も再び低下し始めることがわかる。ま
た、図3に(Pb0.75La0.25)(Zr0.70Ti0.30
0.93753 の組成について、高温(125℃)における
容量抵抗積のBa(Cu1/2 1/2 )O3 添加量依存性
を示す。図3より前記銅を含むペロブスカイト化合物量
がCuO換算で4モル%を越えると高温での絶縁抵抗も
再び低下し始めることがわかる。なお、CuのCuOに
換算した添加含有量の下限値は、低温焼成の効果を得る
観点から0.04モル%にすることが望ましい。前記一
般式(III) で表わされる組成物において、下記の一般式
(III-a) 、(III-b) 、(III-c) に示すようにLaの一部
を他の金属で置換することを許容する。 (Pb1-x Laa Prb A (Zr1-y Tiy 1-[(a+b)/4] 3 …(III-a)
【0040】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b、b≦0.8x、A/〔1−[(a
+b)/4)]〕のモル比(m)は0.85≦m≦1.
00を示す。 (Pb1-x Laa b A (Zr1-y Tiy 1-(a/4) 3 …(III-b)
【0041】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b、b≦0.8x、A/〔1−(a/
4)〕のモル比(m)は0.85≦m≦1.00、Mは
Ba、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種を示す。 (Pb1-x Laa b Prc A (Zr1-y Tiy 1-[(a+c)/4] 3 …(III-c)
【0042】但し、x=0.05〜0.90、y=0〜
0.8、x=a+b+c、b+c≦0.8x、A/〔1
−[(a+c)/4)]〕のモル比(m)は0.85≦
m≦1.00、MはBa、Sr、Caから選ばれる少な
くとも一種を示す。
【0043】前記誘電体磁器組成物は、出発材料として
銅もしくは前述したような銅化合物を予め秤量し、80
0〜900℃で仮焼して得た粉末を前記一般式(III) 、
(III-a) 、(III-b) で表わされる組成物に添加したも
の、または前記一般式(III) 、(III-a) 、(III-b) で表
わされる組成物の秤量時に前記銅もしくは銅化合物を直
接添加したものを用いることができる。後者の場合は、
前述した水熱合成法、共沈法、金属アルコキシドを用い
た化学合成法等の各種の合成法により得られたもの、特
に水熱合成法で合成された微粉末を出発材料として用い
ることが望ましい。なお、前記誘電体磁器組成物(1)
〜(3)においては本発明の効果を損なわない範囲で前
記組成物中への不純物、添加物等の含有を許容する。
【0044】例えば、ZnO、SrO、NiO、Al2
3 、MgO、Sb2 3 、SiO2 等が挙げられる。
しかしながら、これらの含有量は多くても約0.5wt
%以下である。
【0045】また、Co2 3 、MnOを添加すること
によりT.C.Cを改善し、かつ誘電損失をさらに低下
することが可能になる。前記Co2 3 、MnOは、前
記組成物100モル%に対して2モル%以下添加含有す
ることが好ましい。さらに、Nb2 5 、Ta2 5
WO3 を添加することにより絶縁抵抗、特に高温の絶縁
抵抗を大幅に改善することが可能になる。
【0046】また、前記誘電体磁器組成物(1)〜
(3)の構成成分粉末にホウケイ酸系などの各種ガラス
成分を添加(多くても約1wt%以下、一般的には0.
05wt%以上が効果的)することにより、焼成温度を
低下させ、粒径を小さくすることが可能である。従っ
て、前述した水熱合成法等により得られた誘電体粉末に
これらのガラス成分を添加することにより焼成温度をさ
らに低下させることができると共に、粒径もさらに小さ
くすることができる。しかも、誘電体層の緻密化、さら
に耐湿性の向上が達成される。さらに、ガラス成分を添
加することにより誘電体の還元を防止できるためMLC
に応用した場合、Ni、Cuなどの卑金属電極を用いる
ことができる。その上、誘電体磁器組成物の粒径を小さ
くできるため、コンデンサを構成するセラミック素体の
強度を向上できると共に、絶縁耐圧を向上させることが
可能となる。
【0047】このようなガラス成分としては、各種の組
成のものを用いることができるが、例えば酸化物に換算
して、5wt%以上のB2 3 及び10wt%以上のS
iO2 を含有しているもの等は好ましい。他に、Pb、
Al、Ba、Sr、Ca、Li、Mg、Zn等を含んで
もかまわない。ガラスを構成する成分を酸化物に換算し
た時の例を以下に示す。 SiO2 10〜60wt% B2 3 5〜80wt% Al2 3 0〜20wt% PbO 0〜40wt% BaO 0〜40wt% SrO 0〜20wt% CaO 0〜20wt% MgO 0〜20wt% ZnO 0〜20wt% Li2 O 0〜30wt% (但しガラスとして合計で100wt%)
【0048】また鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、
硼素(B)、珪素(Si)を同時に含むアルミノホウケ
イ酸ガラスも挙げられる。この場合、酸化物換算で、硼
素を5wt%以上、珪素を10wt%以上、アルミニウ
ムを5wt%以上、鉛を5wt%以上含有することが好
ましい。かかるアルミノホウケイ酸鉛ガラスの好ましい
組成を以下に示す。 SiO2 10〜30wt% B2 3 5〜45wt% Al2 3 5〜20wt% PbO 5〜40wt% BaO 0〜20wt% SrO 0〜15wt% CaO 0〜10wt% MgO 0〜15wt% ZnO 0〜15wt% Li2 O 0〜20wt% (但し合計で100wt%)
【0049】本発明に係るセラミックコンデンサは、前
記誘電体磁器組成物(1)〜(3)を誘電体層として用
い、前記誘電体層を少なくとも一対の電極間に介在して
配置することにより得ることができる。かかるセラミッ
クコンデンサの具体的形態は、前記誘電体層と電極とか
らなるコンデンサ素子本体を、樹脂や絶縁ワニス等でモ
ールドまたはコーティングした構造、絶縁油中に保持さ
れた構造、等の当該分野で知られている種々の形態が採
用される。なお、前記電極は一対に限らず複数形成する
ことを許容する。
【0050】積層タイプのセラミックコンデンサ(ML
C)は、例えば前記誘電体磁器組成物(1)〜(3)か
らなる出発材料にバインダーや溶剤等を加え、スラリー
化してグリーンシートを形成し、このグリーンシート上
に内部電極を印刷した後、所定の枚数を積層、圧着、脱
脂を行った後、焼成することにより製造することができ
る。
【0051】
【作用】本発明によれば、前記一般式(I) にて表わされ
る組成を有し、かつ焼成後の平均粒径が3μm以下の誘
電体磁器組成物を少なくとも一対の電極間に介在させて
配置した構成とすることによって、高強度、高絶縁耐
圧、低誘電損失、小さい誘電損失交流バイアス依存性、
小さい誘電率温度係数を有し、また容量抵抗積も大き
く、さらに容量抵抗積は高温でも十分に高い値を示す等
の優れた特性を有するセラミックコンデンサを得ること
ができる。従って、具体的に以下に述べるようなセラミ
ックコンデンサに好適に利用することができる。
【0052】(a)前記誘電体磁器組成物は、焼成後の
平均粒径が3μm以下で、高強度を有し、かつ高絶縁耐
圧であるため、前記組成物を誘電体層とすると一層当た
りの誘電体層の厚さを低減することができ、小型大容量
のMLCを作製することが可能となる。 (b)前記誘電体磁器組成物を回路基板等に印刷、焼成
することにより低温焼成の厚膜コンデンサとしても有効
に利用できる。 (c)前記誘電体磁器組成物は誘電損失および誘電損失
の交流バイアス依存性が小さいため交流用、高周波用と
しても有効に利用できる。
【0053】また、本発明によれば前記一般式(II)にて
表わされる組成の前記誘電体磁器組成物を少なくとも一
対の電極間に介在させて配置した構成とすることによっ
ても、前記誘電体磁器組成物の優れた特性である高強
度、高絶縁耐圧、低誘電損失、小さい誘電損失交流バイ
アス依存性、小さい誘電率温度係数、大きな容量抵抗
積、高温での高い容量抵抗積が生かされた高性能、高信
頼性のセラミックコンデンサを得ることができる。
【0054】さらに、本発明によれば前記一般式(III)
で表わされる組成物100モル%にCuOに換算して4
モル%以下のCuまたはBi2 3 に換算して2モル%
以下のBiを添加含有した誘電体磁器組成物を少なくと
も一対の電極間に介在させて配置した構成とすることに
よって、前記誘電体磁器組成物の優れた特性である高強
度、高絶縁耐圧、低誘電損失、小さい誘電損失交流バイ
アス依存性、小さい誘電率温度係数、大きな容量抵抗
積、高温でのより高い容量抵抗積が生かされた高性能、
高信頼性のセラミックコンデンサを得ることができる。
また、前記誘電体磁器組成物は、低温(1150℃以
下)での焼成が可能であるため、従来のように電極材料
として白金、パラジウムなどの高温に耐える高価な材料
を用いることなく、Pd含有量の少ないPd−Ag系合
金(例えばPd/Ag=30/70;wt%比)のよう
な比較的安価な電極材料を使用することができる。この
とき、A´(Cu1/2 1/2 )O3 もしくはA´(Cu
1/3 Me2/3 )O3 [ただし、A´はCa、Sr、B
a、Pbから選ばれる少なくとも1種、MeはNb、T
aから選ばれる少なくとも1種を示す]にて表される銅
を含むペロブスカイト化合物を添加すれば、前記一般式
(III) で表わされる組成物との電気的中性を保つことが
できるため、添加成分に起因する誘電率の低下を抑える
ことができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1
【0056】Pb、La、Zr、Tiの酸化物あるいは
炭酸化物が所望の組成比で配合されてなる粉体を500
〜900℃で熱処理して前記粉体を所望の比表面積とし
た。つづいて、この粉体にバインダとしてポリビニルア
ルコールを加えて造粒,成型して、直径17mm、厚さ
約2mmの円板の素体を形成した。次いで、前記素体を
脱バインダした後、空気中1000〜1300℃で焼結
した。ただし、低温で焼結する場合500〜900℃で
熱処理した粉体にガラスを添加した。
【0057】得られた焼結体の粒径について、SEM写
真上に任意の長さの直線を引き、この直線の長さをその
直線を横切る粒界の数で割った値に1.5倍することに
より求めた。また、前記粒径を有する焼結体の絶縁耐圧
特性を調べた。絶縁耐圧特性は、前記焼結体を0.4m
m厚に加工して円板状試料とした後、前記試料の両面に
銀を蒸着し、200v/secの昇圧速度で測定した。
かかる焼結体の粒径と絶縁耐圧との関係を図4に示す。
図4から明らかなように、焼成後の誘電体磁器組成物
(焼結体)の粒径を3μm以下にすることにより、絶縁
耐圧を向上することができることがわかる。 実施例2
【0058】水熱合成法により得られ、Pb、La、Z
r、Tiの成分を下記表1に示す組成比とした粉体を出
発材料とし、必要に応じて500〜900℃で熱処理し
て前記粉体を所望の比表面積とした。次いで、この粉体
にバインダのポリビニルアルコールを加えて造粒,成型
して、直径17mm,厚さ約2mmの円板素体を作製し
た。つづいて、前記素子体を脱バインダした後、空気中
で下記表1に示す温度で焼結した。この焼成において、
昇温速度は下記表1に示す条件とした。
【0059】
【表1】
【0060】得られた各焼結体について、平均粒径、相
対密度、誘電率(Κ)、誘電損失、誘電率温度係数
(T.C.C)、絶縁抵抗および絶縁耐圧を測定した。
なお、平均粒径は前記実施例1と同様な方法により測定
した。前記相対密度は、アルキメデス法により測定し
た。ただし、密度の低い焼結体については外径部分を測
定することにより求めた。前記誘電損失(tanδ)
は、前記焼結体を1mm厚に加工した後、両面に銀電極
を焼き付けた試料片を用いて、1kHz,1Vrmsの
条件でのディジタルLCRメータにより測定し、前記誘
電率(Κ)はその測定値と形状寸法から算出した。前記
誘電率温度係数は、20℃の誘電率を基準として−25
〜85℃の温度範囲における変化幅の最大値で表した。
前記絶縁抵抗(IR)は、絶縁抵抗計を用いて前記試料
片に250Vの電圧を2分間印加した後に測定した値か
ら算出した。前記絶縁耐圧特性は、前記焼結体を0.4
mmに加工した円板の両面に銀を蒸着した試料片を用
い、200V/secの昇圧速度で測定した。かかる測
定結果を下記表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】前記表2から明らかなように、水熱合成法
で合成した鉛を主成分としたペロブスカイト構造の誘電
体を昇温速度110℃/hr〜600℃/hrで焼成す
ることにより、焼成温度を飛躍的に低下することができ
るのみならず、粒径を3μm以下にすることができるこ
とがわかる。 実施例3
【0063】前記表1中の試料No.3の水熱合成法を
により合成した誘電体磁器組成物にガラス成分を0.0
5〜1wt%添加し、実施例2と同様な方法でディスク試
料を作製し、同表1中の試料No.3と同じ条件で焼成
した。なおガラス成分としては、下記表3に示すように
5種類の試料を用いた。
【0064】
【表3】
【0065】得られた各焼結体は、いずれのガラスを用
いた場合でも前記表2の試料No.3と殆ど変わらない
特性を有し、しかも焼成温度はさらに50〜100℃低
下させることができた。また、誘電体磁器組成物層の粒
径はガラスの添加によりさらに小さくなり約1.5μm
とすることができた。であった。 実施例4
【0066】まず、水熱合成法により合成され、500
〜900℃で熱処理した前記表1中の試料No.3に示
す組成の粉体に有機溶剤及びバインダを加えてスラリー
化し、ドクターブレード型キャスターを用いて厚さ38
μmのグリーンシートを作製した。つづいて、このグリ
ーンシート上に70%Ag/30%Pdの電極ペースト
を所定のパターンで印刷した。次いで、前記電極パター
ンを有するグリーンシートを6枚積層圧着した後、所定
の形状に切断し、バインダを脱脂し、昇温速度200℃
/hrの条件で、1075℃で2時間焼成した。焼成
後、外部電極として銀ペーストを800℃で焼き付け、
MLCを製造した。このMLCの形状は、4.5×3.
2mm、焼成後の1層あたりの厚みは約24μm、容量
は28nFであった。
【0067】得られたMLCでは、容量の温度特性が−
25〜85℃の範囲で±13%以内であり、EIAJ規
格のC特性を満足するものであった。また、誘電体磁器
組成物層の粒径は2μm以下であった。さらに、直流バ
イアス電圧50Vの印加時の容量変化率は+9%で、誘
電損失は、1.15%であった。 実施例5 出発材料としてPb、La、Zr、Tiの酸化物を、
【0068】(Pb0.88La0.12A (Zr0.7 Ti
0.3 0.973 でモル比(m)=A/0.97が下記表
4の値となる組成になるように配合し、ボールミルで混
合した後、900℃で仮焼した。つづいて、この仮焼体
を粉砕、乾燥し、さらにバインダとしてポリビニルアル
コールを加えて造粒後、直径17mm、厚さ約2mmの
7種の円板素体を作製した。次いで、これらの素体を脱
バインダした後、空気中で1200〜1250℃で焼成
して7種の誘電体磁器組成物を得た。
【0069】得られた誘電体磁器組成物について、誘電
率の最大値、キュリー点におけるtanδ、絶縁抵抗、
耐湿負荷試験での不良率を測定した。なお、前記誘電率
(Κ)の最大値は前記誘電体磁器組成物の両面を厚さ約
1mm研磨した後、両面に直径12mmのAg電極を焼
き付けた試料片を用いて、1kHz,1Vrmsの条件
でのディジタルLCRメータにより測定し、その測定値
と形状寸法から算出した。前記tanδは、前記測定か
ら求めたキュリー点における値である。前記絶縁抵抗
(IR)は絶縁抵抗計を用いて前記試料片に100Vの
電圧を1分間印加した後に測定した値から算出した。前
記耐湿負荷試験は、前記誘電体磁器組成物を厚さ400
μmに研磨し、その両面に直径10mmのAg電極を焼
き付けた試料片を用い、85℃、95%RHの恒温恒湿
中で700Vdcを500時間印加することにより行っ
た。かかる測定結果を下記表4に併記した。
【0070】
【表4】
【0071】前記表4から明らかなように前記一般式(I
I)のモル比(m)を0.85≦m<1.00とした誘電
体磁器組成物は、誘電率および信頼性が飛躍的に向上す
ることがわかる。 実施例6前記表4中の試料No.4の組成を水熱合成法
により調製し、実施例5と同様な方法により焼成してデ
ィスク状の誘電体磁器組成物を製造した。得られた誘電
体磁器組成物は、殆ど変わらない特性を有し、しかも焼
成温度を100℃もしくはそれ以上下げることができ
た。 実施例7
【0072】まず、水熱合製法により合成され、500
〜900℃で熱処理した前記表4中の試料No.1に示
す組成の粉体に有機溶剤及びバインダを加えてスラリー
化し、ドクターブレード型キャスターを用いて厚さ38
μmのグリーンシートを作製した。つづいて、このグリ
ーンシート上に70%Ag/30%Pd(wt%)の電
極ペーストを所定のパターンで印刷した。次いで、得ら
れた電極パターンを有するグリーンシートを6枚積層圧
着した後、所定の形状に切断し、バインダを脱脂し、昇
温速度200℃/hrの条件で、1075℃で2時間焼
成した。焼成後、外部電極として銀ペーストを800℃
で焼き付け、MLCを製造した。このMLCの形状は、
4.5×3.2mm、焼成後の1層あたりの厚みは約2
4μm、容量は32nFであった。
【0073】得られたMLCは、容量の温度特性が−2
5〜85℃の範囲で±20%以内であり、EIAJ規格
のC特性を満足するものであった。また、直流バイアス
電圧50Vの印加時における容量変化率は+9%であ
り、誘電損失は1.25%であった。 実施例8〜15
【0074】Pb、La、Zr、Ti、Cuの酸化物あ
るいは炭酸化物が所望の組成比で配合されてなる粉体を
900℃で仮焼した。つづいて、この仮焼体を粉砕、乾
燥した後、バインダとしてポリビニルアルコールを加え
て造粒,成型して、直径17mm、厚さ約2mmの円板
素体を形成した。次いで、前記素体を脱バインダした
後、空気中1050〜1250℃で焼結して一般式(II
I) の組成にCuを添加含有した下記表5に示す8種の
誘電体磁器組成物からなる焼結体を作製した。なお、表
5中にはCuを添加含有しない誘電体磁器組成物からな
る焼結体を参照例1として併記した。
【0075】
【表5】
【0076】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性、容量抵抗積および絶縁耐圧を測定し
た。なお、誘電率(Κ)、誘電損失、絶縁耐圧は前記実
施例2と同様な方法により測定した。−25〜85℃の
温度範囲の誘電率温度係数は、20℃の誘電率を基準と
して前記温度範囲における変化幅の最大値で表し、−5
5〜125℃の温度範囲の誘電率温度係数は、25℃の
誘電率を基準として前記温度範囲における変化幅の最大
値で表した。前記誘電率のDCバイアス依存性は、厚さ
0.1mm試料を用い、直流バイアスで電圧を200V
まで印加して容量変化率を測定し、この時の変化率で表
した。前記誘電損失のACバイアス依存性は、同様な試
料を用い、交流10Vを印加した時の誘電損失の値で表
した。前記容量抵抗積(CR値)は、25℃および12
5℃での(1kHzにおける容量)×(絶縁抵抗2分
値)から求めた。その結果を下記表6に示した。
【0077】
【表6】
【0078】前記表6から明らかなようにCuを添加含
有した実施例8〜15の焼結体は、Cu無添加の参照例
1の焼結体に比べて特に高温における絶縁抵抗および容
量抵抗積が優れていることがわかる。 実施例16〜19
【0079】Pb、La、Ba、Sr、Ca、Zr、T
i、Cuの酸化物あるいは炭酸化物が所望の組成比で配
合されてなる粉体を900℃で仮焼した。つづいて、こ
の仮焼体を粉砕、乾燥した後、バインダとしてポリビニ
ルアルコールを加えて造粒,成型して、直径17mm、
厚さ約2mmの円板素体を形成した。次いで、前記素体
を脱バインダした後、空気中1050〜1250℃で焼
結して一般式(III-b)、(III-c) の組成にCuを添加含
有した下記表7に示す4種の誘電体磁器組成物からなる
焼結体を作製した。
【0080】
【表7】
【0081】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性、容量抵抗積および絶縁耐圧を前述し
たのと同様な方法により測定した。その結果を下記表8
に示した。
【0082】
【表8】 前記表8から明らかなようにCuを添加含有した実施例
16〜19の焼結体は、特に高温における絶縁抵抗およ
び容量抵抗積が優れていることがわかる。 実施例20〜24
【0083】前記実施例13の組成の誘電体磁器組成物
にガラス成分を下記表9に示す割合で添加し、実施例1
3と同様な方法でディスク試料を形成し、焼成して5種
の焼結体を作製した。なおガラス成分としては、前記表
3に示す5種類の組成のものを用いた。
【0084】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性および容量抵抗積を前述したのと同様
な方法により測定した。その結果を下記表9に併記し
た。
【0085】
【表9】
【0086】前記表9から明らかように実施例20〜2
4の焼結体は、いずれのガラスを用いた場合でも前記実
施例13と殆ど変わらない特性を有し、しかも焼成温度
はさらに50〜100℃低下させることができた。
【0087】また、焼結体の厚さを400μmにした薄
い試料を20個作製し、85℃、95%RHの高温・高
湿で700Vの電圧を印加し、耐湿負荷試験を行った。
その結果、不良率が0と優れた特性を有することが確認
された。さらに、同様な厚さの試料20個について25
0℃で700Vの電圧を24時間印加する高温負荷試験
を行ったところ、不良率は0であった。 実施例25
【0088】まず、前記実施例13の組成からなる粉体
に有機溶剤及びバインダを加えてスラリー化し、ドクタ
ーブレード型キャスターを用いて厚さ38μmのグリー
ンシートを作製した。つづいて、このグリーンシート上
に70%Ag/30%Pd(wt%)の電極ペーストを
所定のパターンで印刷した。次いで、得られた電極パタ
ーンを有するグリーンシートを6枚積層圧着した後、所
定の形状に切断し、バインダを脱脂し、1100℃で焼
成した。焼成後、外部電極として銀ペーストを800℃
で焼き付け、MLCを製造した。このMLCの形状は、
4.5×3.2mm、焼成後の1層あたりの厚みは約2
7μm、容量は5.8nFであった。
【0089】得られたMLCは、容量の温度特性が−2
5〜85℃の範囲で±10%以内であり、EIAJ規格
のB特性を満足し、また−55〜125℃の範囲で±2
2%以内であり、EIAJ規格のX7Sを満足するもの
であった。 実施例25〜33
【0090】Pb、La、Zr、Ti、Cu、Ba、S
r、Ca、W、Nb、Taの酸化物あるいは炭酸化物が
所望の組成比で配合されてなる粉体を900℃で仮焼し
た。つづいて、この仮焼体を粉砕、乾燥した後、バイン
ダとしてポリビニルアルコールを加えて造粒,成型し
て、直径17mm、厚さ約2mmの円板素体を形成し
た。次いで、前記素体を脱バインダした後、空気中10
50〜1250℃で焼結して一般式(III) の組成にCu
を含むペロブスカイト化合物を添加した下記表10に示
す8種の誘電体磁器組成物からなる焼結体を作製した。
なお、表10中には前述したCuを添加含有しない誘電
体磁器組成物からなる焼結体を参照例1として併記し
た。
【0091】
【表10】
【0092】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性、容量抵抗積および絶縁耐圧を前述し
たのと同様な方法により測定した。その結果を下記表1
1に示した。
【0093】
【表11】
【0094】前記表11から明らかなようにCuを含む
ペロブスカイト化合物を添加した実施例26〜33の焼
結体は、Cu無添加の参照例1の焼結体に比べて特に高
温における絶縁抵抗および容量抵抗積が優れていること
がわかる。 実施例34〜37
【0095】Pb、La、Ba、Sr、Ca、Zr、T
i、Cu、W、Nbの酸化物あるいは炭酸化物が所望の
組成比で配合されてなる粉体を900℃で仮焼した。つ
づいて、この仮焼体を粉砕、乾燥した後、バインダとし
てポリビニルアルコールを加えて造粒,成型して、直径
17mm、厚さ約2mmの円板素体を形成した。次い
で、前記素体を脱バインダした後、空気中1050〜1
250℃で焼結して一般式(III-b) 、(III-c) の組成に
Cuを含むペロブスカイト化合物を添加した下記表12
に示す4種の誘電体磁器組成物からなる焼結体を作製し
た。
【0096】
【表12】
【0097】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率の温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性、容量抵抗積および絶縁耐圧を前述し
たのと同様な方法により測定した。その結果を下記表1
3に示した。
【0098】
【表13】
【0099】前記表13から明らかなようにCuを含む
ペロブスカイト化合物を添加した実施例34〜37の焼
結体は、特に高温における絶縁抵抗および容量抵抗積が
優れていることがわかる。 実施例38〜42
【0100】前記実施例31の組成の誘電体磁器組成物
にガラス成分を下記表14に示す割合で添加し、実施例
31と同様な方法でディスク試料を形成し、焼成して5
種の焼結体を作製した。なおガラス成分としては、前記
表3に示す5種類の組成のものを用いた。
【0101】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性および容量抵抗積を前述したのと同様
な方法により測定した。その結果を同表14に併記し
た。
【0102】
【表14】
【0103】前記表14から明らかように実施例38〜
42の焼結体は、いずれのガラスを用いた場合でも前記
実施例31と殆ど変わらない特性を有し、しかも焼成温
度はさらに50〜100℃低下させることができた。
【0104】また、焼結体の厚さを400μmにした薄
い試料を20個作製し、85℃、95%RHの高温・高
湿で700Vの電圧を印加し、耐湿負荷試験を行った。
その結果、不良率が0と優れた特性を有することが確認
された。さらに、同様な厚さの試料20個について25
0℃で700Vの電圧を24時間印加する高温負荷試験
を行ったところ、不良率は0であった。 実施例43
【0105】まず、前記実施例31の組成からなる粉体
に有機溶剤及びバインダを加えてスラリー化し、ドクタ
ーブレード型キャスターを用いて厚さ38μmのグリー
ンシートを作製した。つづいて、このグリーンシート上
に70%Ag/30%Pd(wt%)の電極ペーストを
所定のパターンで印刷した。次いで、得られた電極パタ
ーンを有するグリーンシートを6枚積層圧着した後、所
定の形状に切断し、バインダを脱脂し、1100℃で焼
成した。焼成後、外部電極として銀ペーストを800℃
で焼き付け、MLCを製造した。このMLCの形状は、
4.5×3.2mm、焼成後の1層あたりの厚みは約2
4μm、容量は6nFであった。
【0106】得られたMLCは、容量の温度特性が−2
5〜85℃の範囲で±10%以内であり、EIAJ規格
のB特性を満足し、また−55〜125℃の範囲で±2
2%以内であり、EIAJ規格のX7Sを満足するもの
であった。 実施例44〜54
【0107】Pb、La、Zr、Ti、Mn、Coの酸
化物あるいは炭酸化物が所望の組成比で配合されてなる
粉体を900℃で仮焼した。つづいて、この仮焼体を粉
砕、乾燥した後、バインダとしてポリビニルアルコール
を加えて造粒,成型して、直径17mm、厚さ約2mm
の円板素体を形成した。次いで、前記素体を脱バインダ
した後、空気中1200〜1250℃で焼結して一般式
(II)の組成にMnOまたはCo2 3 を添加含有した下
記表15に示す11種の誘電体磁器組成物からなる焼結
体を作製した。なお、表15中には前述したMnOを添
加含有しない誘電体磁器組成物からなる焼結体およびM
nOを過剰量(3.0モル%)添加含有した誘電体磁器
組成物からなる焼結体を参照例2、3として併記した。
【0108】
【表15】
【0109】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性、容量抵抗積(25(℃)および絶縁
耐圧を前述したのと同様な方法により測定した。その結
果を下記表16に示した。
【0110】
【表16】
【0111】前記表16から明らかなようにMnOまた
はCo2 3 を添加含有した実施例44〜54の焼結体
は、MnO無添加の参照例2、3の焼結体に比べて特に
誘電損失および誘電損失のACバイアス依存性が優れて
いることがわかる。
【0112】また、実施例48の誘電体磁器組成物にお
ける周波数変化に対する誘電損失を図5に示す。図5よ
り、MnOが添加された誘電体磁器組成物では、100
kHz以上の高周波印加時の誘電損失が有効に低減され
ていることがわかる。 実施例55〜57
【0113】Pb、La、Pr、Zr、Ti、Mn、C
oの酸化物あるいは炭酸化物が所望の組成比で配合され
てなる粉体を900℃で仮焼した。つづいて、この仮焼
体を粉砕、乾燥した後、バインダとしてポリビニルアル
コールを加えて造粒,成型して、直径17mm、厚さ約
2mmの円板素体を形成した。次いで、前記素体を脱バ
インダした後、空気中1200〜1250℃で焼結して
一般式(II-a)の組成にMnO、Co2 3 を添加含有し
た下記表17に示す3種の誘電体磁器組成物からなる焼
結体を作製した。
【0114】
【表17】
【0115】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性、容量抵抗積(25(℃)および絶縁
耐圧を前述したのと同様な方法により測定した。その結
果を下記表18に示した。
【0116】
【表18】
【0117】前記表18から明らかなようにMnO、C
2 3 を添加含有した実施例55〜57の焼結体は、
特に誘電損失および誘電損失のACバイアス依存性が優
れていることがわかる。 実施例58〜62
【0118】前記実施例48の組成の誘電体磁器組成物
にガラス成分を下記表19に示す割合で添加し、実施例
48と同様な方法でディスク試料を形成し、焼成して5
種の焼結体を作製した。なお、ガラス成分としては前記
表3に示す5種類の組成のものを用いた。
【0119】得られた各焼結体について、誘電率
(Κ)、誘電損失、−25〜85℃の温度範囲と−55
〜125℃の温度範囲における誘電率温度係数(T.
C.C)、誘電率のDCバイアス依存性、誘電損失のA
Cバイアス依存性および容量抵抗積を前述したのと同様
な方法により測定した。その結果を同表19に併記し
た。
【0120】
【表19】
【0121】前記表19から明らかように実施例58〜
62の焼結体は、いずれのガラスを用いた場合でも前記
実施例48と殆ど変わらない特性を有し、しかも焼成温
度はさらに50〜100℃低下させることができた。
【0122】また、焼結体の厚さを400μmにした薄
い試料を20個作製し、85℃、95%RHの高温・高
湿で700Vの電圧を印加し、耐湿負荷試験を行った。
その結果、不良率が0と優れた特性を有することが確認
された。さらに、同様な厚さの試料20個について25
0℃で700Vの電圧を24時間印加する高温負荷試験
を行ったところ、不良率は0であった。 実施例63
【0123】まず、前記実施例54の組成からなる粉体
に前記表3中の試料No.5のガラス成分を0.3重量
%添加した後、有機溶剤及びバインダを加えてスラリー
化し、ドクターブレード型キャスターを用いて厚さ38
μmのグリーンシートを作製した。つづいて、このグリ
ーンシート上に70%Ag/30%Pdの電極ペースト
を所定のパターンで印刷した。次いで、得られた電極パ
ターンを有するグリーンシートを6枚積層圧着した後、
所定の形状に切断し、バインダを脱脂し、1100℃で
焼成した。焼成後、外部電極として銀ペーストを800
℃で焼き付け、MLCを製造した。このMLCの形状
は、4.5×3.2mm、焼成後の1層あたりの厚みは
約25μm、容量は6.3nFであった。
【0124】得られたMLCは、容量の温度特性が−2
5〜85℃の範囲で±10%以内であり、EIAJ規格
のB特性を満足し、かつ−55〜125℃の範囲で±1
5%以内であり、EIAJ規格のX7Rを満足するもの
であった。また、50VのDCバイアス電圧を印加した
時の容量変化率は+9%、絶縁耐圧は1000Vといず
れの電気的特性も良好であった。
【0125】さらに、図6に前記MLCにおける誘電損
失のACバイアス依存性を示す。なお、同図6には、比
較例としてチタン酸バリウム系材料を誘電体磁器組成物
として用いた市販のX7R規格のMLCの誘電損失のA
Cバイアス依存性を併記した。図6から明らかなよう
に、本実施例63のMLCでは1mil、つまり誘電体
層の厚さ25.4μm当たり5Vrms/milを印加
しても誘電損失は約1.5%であるのに対し、比較例の
MLCでは3Vrms/milの印加でEIA、EIA
Jのスペックである2.5%を越えてしまう。このよう
に本発明のMLCはチタン酸バリウム系材料を誘電体磁
器組成物として用いた従来のMLCに比べて誘電損失の
ACバイアス依存性がはるかに優れていることがわか
る。
【0126】なお、前記実施例ではMLCの製造をグリ
ーシート法により作製したが、ゾル−ゲル手法を用いて
厚さ数μm以下の誘電体層を形成してMLCを作製して
もよい。また、前記各実施例の誘電体磁器組成物は半導
体メモリの高誘電率膜への応用も可能である。
【0127】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、誘電
率が高く、誘電率温度係数が小さく、かつ焼成温度が低
く絶縁耐圧特性に優れたセラミックコンデンサを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体磁器組成物の組成範囲を示す組成図。
【図2】(Pb0.75La0.25)(Zr0.70Ti0.30
0.93753 の組成について、高温(125℃)における
容量抵抗積のCuO添加含有量依存性を示す特性図。
【図3】(Pb0.75La0.25)(Zr0.70Ti0.30
0.93753 の組成について、高温(125℃)における
容量抵抗積のBa(Cu1/2 1/2 )O3 添加量依存性
を示す特性図。
【図4】実施例1における誘電体磁器組成物(焼結体)
の平均粒径と絶縁耐圧との関係を示す特性図。
【図5】実施例48の誘電体磁器組成物における周波数
変化に対する誘電損失を示す特性図。
【図6】実施例63のMLCおよび市販のX7R規格の
MLCにおける誘電損失のACバイアス依存性を示す特
性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 潔 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(I) (但し、x=0.05〜0.90、y=0〜0.8、A
    /〔1−(x/4)〕のモル比(m)は0.85≦m≦
    1.00である)にて表わされる組成を有し、かつ焼成
    後の平均粒径が3μm以下である誘電体磁器組成物を少
    なくとも一対の電極間に介在させて配置したことを特徴
    とするセラミックコンデンサ。
  2. 【請求項2】 一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(II) (但し、x=0.05〜0.90、y=0〜0.8、A
    /〔1−(x/4)〕のモル比(m)は0.85≦m<
    1.00である)にて表わされる組成の誘電体磁器組成
    物を少なくとも一対の電極間に介在させて配置したこと
    を特徴とするセラミックコンデンサ。
  3. 【請求項3】 一般式 (Pb1-x Lax A (Zr1-y Tiy 1-(x/4) 3 …(III) (但し、x=0.05〜0.90、y=0〜0.8、A
    /〔1−(x/4)〕のモル比(m)は0.85≦m≦
    1.00である)にて表わされる組成物100モル%に
    CuOに換算して4モル%以下のCuまたはBi2 3
    に換算して2モル%以下のBiを添加含有した誘電体磁
    器組成物を少なくとも一対の電極間に介在させて配置し
    たことを特徴とするセラミックコンデンサ。
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