JPH05184887A - 高機能性非対称膜の製造方法 - Google Patents

高機能性非対称膜の製造方法

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JPH05184887A
JPH05184887A JP4024678A JP2467892A JPH05184887A JP H05184887 A JPH05184887 A JP H05184887A JP 4024678 A JP4024678 A JP 4024678A JP 2467892 A JP2467892 A JP 2467892A JP H05184887 A JPH05184887 A JP H05184887A
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宏 柳下
Masaru Kitamoto
大 北本
Takashi Nakane
尭 中根
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、耐溶剤性等を有するポリイミド重合体
やポリアクリロニトリル重合体等をその市販の形態に関
わらず膜素材として利用でき、相転換法によって耐溶剤
性を有する非多孔質型(拡散透過型)の高機能性非対称
膜を作製する方法を提供する。 【構成】液状で市販されているポリイミド重合体、ある
いは固体状で市販されているポリイミド重合体等を適当
な溶剤に溶解せしめた溶液を、加熱濃縮処理し、その水
分含量を実質的に零にする。このポリイミド重合体等の
溶解液に、必要に応じて適当な添加剤を加えて所定の組
成の製膜原液を作製し、相転換法によって非対称膜を作
製する。さらに、この非対称膜を、1Torr以下に保った
真空乾燥器中において少なくとも60℃以上で熱処理
し、膜強度、膜性能等の向上を図ることにより高機能性
の非対称膜を作製する。 【効果】本発明によれば、高い分離性能と耐溶剤性等に
優れた高性能な非多孔質型の非対称膜を、相転換法によ
って容易に作製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも1種以上の
溶質を含有する有機溶液、もしくは有機液体混合物、も
しくは気体混合物等を分離する膜分離プロセスで使用す
る分離膜の製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、化学工業や石油産業を始め、食品、医薬品、醸造工
業等における濃縮、分離、精製プロセスに使用する耐有
機溶剤性を有する非多孔質型(拡散透過型)の非対称膜
(逆浸透膜、浸透気化膜、気体分離膜)の相転換法によ
る製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種膜分離プロセスのうちで現在工業的
規模で実用化されているのは、海水の淡水化、脱塩、超
純水の製造、廃水処理、酸・アルカリ等有用物質の回
収、飲料食品の濃縮等のいわゆる水溶液の分離と、水素
回収等の気体混合物の分離が主であって、有機液体混合
物等有機溶液系の膜分離プロセスに関してはまだ十分に
は実用化されていない。これは、耐溶剤性を発現するポ
リイミド、ポリアクリロニトリル等の耐熱性、耐薬品性
を有する高分子重合体からの製膜が一般にかなり困難で
あるため、実用的な分離膜がこれまで得られらなかった
ことによる。従来、水溶液系用の分離膜に広く使用され
ている酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル
等の高分子素材は、比較的容易に相転換法等によって製
膜可能であるが、これらの高分子素材は実用的な意味で
の耐溶剤性を十分有していない。
【0003】これまでに、有機性の溶質や溶媒等を含有
する有機溶液等の膜分離を目的とした多孔質型の限外濾
過膜の製造方法はいくつか報告されている。例えば、特
開昭54−71785号、特開昭54−61359号等
である。しかし、主に低分子物質を溶質として含む有機
溶液、あるいは有機液体混合物、あるいは気体混合物等
を分離対象とするものであり、実用的な耐溶剤性を有す
る非多孔質型の高機能分離膜、即ち非水系逆浸透膜、浸
透気化膜、気体分離膜等を相転換法で作製する方法はあ
まり報告されておらず、こうした分離膜の開発が強く要
請されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】分離膜の製造方法とし
ては、高分子溶液のゾルからゲルへの相変化を利用して
活性層(緻密な表面層で、この部分の構造が分離機能を
大きく支配する)とそれを支える多孔質の支持層を同時
に一体的に形成させるいわゆる相転換法、あるいは既製
の多孔性高分子膜を支持体としてその表面に積層法やプ
ラズマ重合法等により活性層を別途形成させる複合膜法
が代表的なものである。しかし、これら従来の製膜方法
では、上記目的を達成しようとした場合、次のような問
題点が未解決のままである。
【0005】第一に、従来の相転換法で、緻密な活性層
を有する非対称膜を作製しようとする場合、製膜原液の
成分調整、膜特性の向上等の容易さ等から、膜素材とし
ては多くの場合粉末または顆粒状の固形の高分子重合体
が利用されている。この理由は、一般に溶液状で市販さ
れている高分子重合体には、高分子重合体自体、若しく
はこれを溶解している溶剤等に水分低沸点有機化合物等
の不純物が含有されいている場合が多く、製膜時に非常
に緻密で均一な構造を持つ活性層を形成させることが極
めて困難であるためである。
【0006】しかし、ポリイミド重合体等を始めとする
耐溶剤性を発現する膜素材は溶液状で市販されているこ
とが多いため、上記の既知の相転換法では多孔質膜であ
る限外濾過膜以外の、いわゆる拡散透過型の分離膜を製
膜することは実質的にかなり困難であった。さらに、こ
うした高分子素材は親水性高分子に比べかなり剛直な構
造を有しているため、仮に製膜が可能であっても得られ
る膜の透過流束は一般に極めて小さいとされている。
【0007】第二に、従来の相転換法によって作製され
た膜、特に製膜原液を溶液状で用いて作製された膜は、
一般にゲル化が速く起るため、そのままでは耐溶剤性、
機械的強度等が低い場合が多く、実用的な逆浸透膜、浸
透気化膜等のいわゆる拡散透過型の分離膜を得ることは
できなかった。
【0008】第三に、複合膜法においては、支持体に積
層する高分離機能を持つ高分子素材の開発が必要であ
り、さらに活性層となる薄膜層の形成方法やその接着方
法等に高度な技術を必要とし、その製造工程が極めて複
雑となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】この様な背景の中で、本
発明者らは鋭意研究し、既知の相転換法の改良をいろい
ろ試みた結果、耐溶剤性の膜を与える高分子重合体に含
有される少量の水分(0.5〜数重量%程度の)が膜性
能の低下に大きく影響しており、予め、高分子重合体の
溶液を加熱濃縮して水分を実質的に零にすることによ
り、相転換法により非常に緻密で均一な構造の活性層を
形成しうることを見い出し、この知見に基づき本発明を
なすに至った。本発明は、ポリイミド重合体等の耐熱
性、耐薬品性等を有する高分子重合体をその市販の形態
に関わらず膜素材として利用でき、既知の相転換法に簡
便な処理操作を付随することによって、耐溶剤性を有す
る非多孔質型の高機能性非対称膜を容易に製造できる方
法を提供するものである。
【0010】すなわち、本発明は、耐熱性、耐薬品性を
有するポリイミド重合体あるいはポリアクリロニトリル
重合体などを含有する高分子溶液を加熱濃縮して水分を
実質的に含有しないようにした後、所定の組成を有す製
膜原液を作製し、この製膜原液を用いて相転換法により
非対称膜を製膜することを特徴とする高機能性非対称膜
の製造方法に関するものである。本発明の高機能性非対
称膜の製造方法は、従来の相転換法では製膜が極めて困
難であった溶液状で市販されているポリイミド重合体等
を膜素材としても非多孔質型の非対称膜の作製を可能と
するものである。また、ポリアクリロニトリル重合体の
ように固形の粉末状ではあるが通常の状態で水分含量が
5重量%以上で、場合によっては20重量%以上もあり
完全に脱水することは極めて困難な含水性の膜素材を用
いても、非多孔質型の非対称膜を容易に作製することが
できる。
【0011】本発明に用いられる耐熱性、耐薬品性を有
する高分子重合体としては、下記式なる構造を有する市
販の全芳香族性ポリイミド重合体(PI2080)のほ
か、従来公知のポリイミド系重合体も使用することがで
きる。また、市販のポリアクリロニトリル重合体も使用
することができる。
【0012】
【化1】
【0013】これらの膜素材は、粉末、顆粒などの固形
状、あるいはワニス状の液状、もしくは適当な溶剤に溶
解された溶液状(例えば、高分子重合体の合成反応終了
液をある程度精製した溶液等)の形態で市販されてい
る。
【0014】本発明を用いて、例えばポリイミド重合体
を膜素材として本発明の相転換法によって非対称膜を製
膜する方法を、以下に示す。まず、固形状の重合体は適
当な溶剤に溶解し、溶液状の重合体も必要ならば適宜溶
剤を添加し完全に溶解する。溶剤としては、高分子重合
体を溶解させると供に、後に説明する膨潤剤、凝固溶剤
(ゲル化剤)と相溶性を有するものが用いられ、N−メ
チル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラ
クトン等を例示することができる。高分子重合体の濃度
は製膜する膜厚等に応じ10〜35重量%(以下、明示
しない限りは組成を示す%はすべて重量%を表すものと
する。)、好ましくは、15〜25%である。この時の
溶液の濃度及び粘度は、製膜時の自己支持性(膜形成
能)、製膜原液の均一性等が良好と成るように適宜選択
される。
【0015】本発明における重要な技術的手段は、製膜
原液を作製する前に、予めこの高分子重合体溶解液を加
熱濃縮処理することであり、これにより溶液中に含まれ
る水分、低沸点化合物等の不純物を除去することであ
る。すでに述べたように、一般に市販されている高分子
素材には、高分子重合体自体あるいはこれを溶解してい
る溶剤等にこのような不純物が数%程度含まれているこ
とが多い。特に溶液状高分子重合体は、固形状の物に比
べその含量が多いと考えられる。高分子素材自体に全く
不純物が含まれていない場合でも、溶剤として別途加え
る上記のような市販の極性溶剤は親水性であるため水分
等が少なからず含まれていること多い。製膜原液中に存
在する水分や低沸点有機化合物等は、一般にそのゲル化
を速めるため、製膜された膜表面に形成される緻密な活
性層の微細構造を不均一にし局部的に欠陥(ピンホー
ル)ができ易くなり、膜性能の低下をもたらす。従っ
て、製膜原液中の不純物特に水分を除去することは非対
称膜を作製する場合に極めて重要である。
【0016】この高分子重合体溶液の加熱濃縮処理は、
前記高分子重合体等の溶解液を少なくとも60℃以上好
ましくは100℃以上の比較的高温でゆっくり撹拌しな
がら加熱し、水分を実質的に含有しないように、すなわ
ち少なくとも0.3%以下好ましくは0.1%以下にな
るまで濃縮を続けることからなる。このように処理した
溶液から所定の組成を有する製膜原液を作製し、これを
用いることにより、分離機能が高い膜を容易に製膜す
る。加熱温度は、溶剤によって異なるが、あまり低いと
濃縮に時間がかかり、あまり高いと高分子重合体が変質
するため、通常は100〜150℃程度が好ましい。加
熱時間は、溶剤、溶液量により異なるが、通常は6〜4
8時間程度が好ましい。
【0017】水分含量が実質的に零になった時点で、必
要ならばこの重合体溶解液に膨潤剤等を添加し、これを
製膜原液とする。膨潤剤としては、溶剤および凝固溶剤
と相溶性を有すもので、ジオキサン、アセトン、テトラ
ヒドロフラン等の親水性有機溶剤や塩化リチウム(LiC
l)等の無機塩を好ましいものとして挙げることができ
る。特に、上記のようなポリイミドあるいはポリアクリ
ロニトリルの如く耐溶剤性の高い高分子重合体を膜素材
として用いる場合は、アセトン、ジオキサン等のケトン
類の化合物や含酸素環状化合物等が望ましい。
【0018】次いで、このようにして調製した製膜原液
を適当な支持体の上に一定の厚さに流延する。また、中
空糸状の膜を作製する場合には、支持体を用いず同心円
状の二重構造のノズル(口金)から直接流延する。これ
らの流延は、相対湿度が少なくとも40%以下に管理さ
れている雰囲気中で行われることが望ましい。用いる支
持体は特に限定しないが、ガラス、アルミニウム、プラ
スチック等平滑な表面を有する平板あるいは管を利用す
ることができ、不織布のようなシート状のものも利用す
ることができる。平板状に流延する手段としては、従来
公知の塗布手段を利用すればよく、実験室的には例えば
ドクターナイフ、ドクターブレード、バーコーダー等を
利用することができる。支持体に流延する厚さは、目的
とする膜の用途によって異なるが、通常は約80〜30
0μm程度が好ましい。支持体に流延された製膜原液
は、通常直ちにあるいは数分以内に凝固液に浸漬し、製
膜原液中の溶剤と凝固液を実質的に交換させると共に、
高分子重合体を相転換させて凝固(ゲル化)させ、膜状
にする。
【0019】凝固液(ゲル化液)としては、高分子重合
体溶解用の溶剤、膨潤剤等と相溶性を有すもので、その
高分子重合体に対して溶解力がない水、アセトン、ベン
ゼン、ヘキサン、あるいはメタノール、エタノール等の
アルコールなどを利用することができる。製膜原液を凝
固液中に浸漬してゲル化させ製膜する際の温度は、凝固
液の沸点以下であれば特に限定されるものではないが、
一般的には0〜40℃程度が好ましい。浸漬時間は浸漬
温度によって異なるが、一般的には1時間以上が好まし
い。
【0020】本発明において、以上のように相転換法で
作製した膜を真空下で熱処理し、その機械的強度、耐溶
剤性等の改質を図ることが好ましい。膜を熱処理し、そ
の機械的強度を高めること自体は従来公知の手段である
が、本発明ではこの処理を真空下で行うことにより、機
械的強度ばかりでなく化学的安定性(耐溶剤性等)をも
高めることができる。これは、真空下で熱処理を行う
と、製膜後に膜中に残存していた水分(熱処理すること
により脱水縮合等の架橋反応が起こって生成される水分
等を含む)、凝固溶剤等の微量な不純物までもが除去さ
れ、機械的強度、化学的安定性を増加させるための高分
子素材の構造変化(架橋等)が著しく促進されるためで
ある。この様な微量な不純物は単に温度を上昇させるだ
けでは除去困難である。従って、本発明での熱処理は、
ポリイミド、ポリアクリロニトリル等の耐熱性高分子を
膜素材とする場合に特に有効であり、従来の熱処理に比
べ熱処理効率が高く架橋反応等の進行が著しく大きいた
め、比較的短時間でこれらの高分子から成る非対称膜の
高機能化を図ることができる。
【0021】このような製膜後の熱処理を行うために
は、まず、上記のような方法で作製された膜を凝固液か
ら取り出し、適当な溶剤に順番に浸漬して膜中の凝固液
や水分等を順次除去する。特に水を凝固液として用いた
場合には、エタノール、イソプロピルアルコール中等に
順番に浸漬して溶媒置換を行いながら脱水するのがよ
く、最終的にはヘキサン等の表面張力が低くかつ低沸点
の溶剤に浸漬してから、膜を外に取り出し常温で風乾
後、真空乾燥器中でさらに加熱処理するのが望ましい。
その加熱温度は、膜素材である高分子重合体のガラス転
移点以下であることが望ましく、通常は100〜350
℃の範囲であり、特にポリイミド重合体膜の場合は20
0〜300℃程度の高温が好ましい。加熱時間は、通常
1〜8時間程度が必要で、3〜6時間程度が好ましい。
この時の、真空度は少なくとも1Torr以下、10-1〜1
-3Torrが好ましい。必要ならば、さらに真空度を低下
させることにより、より一層高機能な膜を得ることが可
能である。以上説明したように、本発明の高機能性非対
称膜の製造方法は、製膜原液の調製、相転換法による製
膜、熱処理による膜の高機能化より成る。
【0022】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細
に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明を限定
するものではない。
【0023】実施例1 ポリイミドを25%含むジメチルホルムアミド溶液(商
品名PI2080、ダウ・ケミカル社製)100gを3
00ml容ナス型フラスコに分取し、オイルバス上でゆ
っくりと回転させながら撹拌して、120℃で24時間
加熱濃縮操作を行った。加熱処理前のポリイミド樹脂溶
液の水分含量は約0.8%であったが、上記操作後、そ
の値は0.09%となった。なお、この場合、ポリイミ
ド溶液の水分含量は、カールフィッシャー水分計(三菱
化成製)にて測定した。このポリイミド濃縮溶液に、溶
剤としてジメチルホルムアミドを、膨潤剤としてジオキ
サンを各々加えて製膜原液を作製した。ただし、製膜原
液の組成は、ポリイミド22.5%、溶剤62%、膨潤
剤15.5%とした。この製膜原液を、25℃、窒素ガ
ス雰囲気中(相対湿度は35%以下)で、ドクターブレ
ートを用いてガラス板上に250μmの厚さに均一に流
延(塗布)し、約30秒間水平に保持して溶剤の一部を
蒸発させた後、2℃の冷水中に浸漬してゲル化させた。
作製された非対称膜を水中より取り出し、エタノール、
イソプロピルアルコール、へキサンの各溶液に3日間ず
つ順次浸積し、膜の脱水、溶媒置換を行った。こうして
得られた膜を試料No.1とする。またこの膜を風乾し真
空乾燥機中に入れ、6時間、10-2Torr以下の真空下、
250℃で熱処理を行って得た膜を試料No.2とする。
【0024】上記実施例1で作製した膜試料No.1及び
2の分離性能を、25℃、2次圧1Torr以下の条件で9
5容量%エタノール水溶液に対する浸透気化特性(膜透
過流束Q、分離係数α(H2O/EtOH))を測定することによ
り評価した。その結果を表1に示す。また、製膜後の熱
処理を全く行わなかった膜(試料No.1)については、
限外ろ過特性も測定した(25℃、操作圧力3kg/c
m2)。その結果、この膜は、分子量6000のポリエチ
レングリコールに対して阻止率90%、Q=0.5t/m2
・Dの性能を示した。これより、本発明にしたがって製
膜することにより製膜後の熱処理を全く行わなくても、
十分な性能を有する限外ろ過膜が得られることが分か
る。
【0025】上記実施例1で作製した膜試料No.1を1
00℃から300℃以上の各温度条件で熱処理した後、
引張り強度を測定した。その結果を図1に示した。ま
た、膜の化学的安定性は、試料No.1及び2を各種の溶
剤に25℃で48時間浸積した後、引張り強度を測定す
ることにより評価した。その結果を表2に示す。図1,
表1及び表2に示される様に、相転換法で作製された膜
を真空下で熱処理することにより、分離特性、機械的強
度、化学的安定性が向上した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】比較例1 加熱濃縮操作をしなかった以外は、上記実施例1と同様
にして非対称膜の製膜を行った。作製された膜は、欠陥
(ピンホール)が多く、緻密層が不十分な、実質的には
分離性能を持たない膜であった。したがって、本発明の
技術的な特徴である製膜原液中の水分含量の調整なくし
ては、ポリイミドPI2080からの製膜自体が非常に
困難であることが分かる。
【0029】実施例2 製膜後の熱処理温度を、300℃とした以外は、上記実
施例1の試料No.2と同様にして非対称膜の試料No.3
を作製し、その浸透気化特性を測定した。その結果を表
1に示す。
【0030】実施例3 製膜原液の組成を溶剤38.75%、膨潤剤38.75
%とし、熱処理する場合の温度を300℃とした以外
は、上記実施例1と同様にして未処理及び加熱処理の非
対称膜試料No.4及び5を作製し、その浸透気化特性を
測定した。その結果を表1に示す。この膜は、60℃に
おける浸透気化特性が、α= 900、Q=1.0kg/m2
・h となり、極めて高い分離機能を有していた。また、
製膜後の熱処理を全く行わなかった膜(試料No.4)に
ついては、限外ろ過特性も測定した(25℃、操作圧力
3kg/cm2)。その結果、この膜は、分子量2000のポ
リエチレングリコールに対して97%の阻止率、Q=
0.2t/m2・Dの性能を示した。本発明にしたがって製
膜することにより、製膜後の熱処理を全く行わなくて
も、十分な性能を有する限外ろ過膜が得られることが分
かる。
【0031】実施例4 製膜原液の組成を溶剤31%、膨潤剤46.5%とし、
熱処理する場合の温度を300℃とした以外は、上記実
施例1と同様にして、未処理及び加熱処理の非対称膜試
料No.6及び7を作製し、その浸透気化特性を測定し
た。その結果を表1に示す。また、製膜後の熱処理を全
く行わなかった膜(試料No.6)については、逆浸透特
性も測定した(25℃、操作圧力40kg/cm2)。その結
果、この膜は、塩化ナトリウムに対して99%の阻止
率、Q=0.7t/m2・Dの性能を示した。本発明にした
がって製膜することにより、製膜後の熱処理を全く行わ
なくても、十分な性能を有する逆浸透膜が得られること
が分かる。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば次のような作用効
果を得ることができ、工業的有用度が極めて高い。第一
に、製膜原液作製前に高分子重合体の溶解液を加熱濃縮
処理し不純物の除去を図るため、素材の市販の形態に関
わらず、容易に相転換法によって非多孔質型の非対称膜
を作製できる。第二に、作製された膜を適宜に真空中で
熱処理することにより、比較的短時間で機械的強度のみ
ならず化学的安定性を非対称膜に付与することができ
る。第三に、全芳香族性ポリイミド(PI2080)を
素材として、特にエタノール分離用の高機能な浸透気化
膜が作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従い、作製した非対称膜の機械的強度
と熱処理温度との関係を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性、耐薬品性の高分子重合体の溶液
    を加熱濃縮して水分を実質的に含有しないようにした
    後、所定の組成を有す製膜原液を作製し、この製膜原液
    を用いて相転換法により非対称膜の製膜を行うことを特
    徴とする高機能性非対称膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 高分子重合体がポリイミド重合体又はポ
    リアクリロニトリル重合体であることを特徴とする請求
    項1記載の高機能性非対称膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 高分子重合体を含有する溶液を加熱濃縮
    することにより、この溶液中の水分含量を0.3重量%
    以下にすることを特徴とする請求項1記載の高機能性非
    対称膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 製膜した非対称膜を、1Torr以下の真空
    中で60℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請
    求項1又は2記載の高機能性非対称膜の製造方法。
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Cited By (7)

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