JPH0518293Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、調理用食品収納容器に関するもので
あつて、特に電子レンジにより調理するのに使用
される容器に関するものである。

〔従来の技術〕

高周波加熱装置、いわゆる電子レンジによつて
調理用食品を調理する場合の容器として、調理用
食品を収納した状態で販売することができ、この
調理用食品を収納した状態のまま電子レンジによ
つて加熱調理することのできるものが、その便利
さゆえに多く利用されている。

この電子レンジを利用して調理用食品を調理す
る場合、調理用食品の種類によつて、調理用食品
そのものを電子レンジの高周波によつて直接に加
熱する手段と、蒸気によつて蒸らしながら加熱調
理する手段とがあつた。

このような調理用食品にあつては、その食品の
種類、調理方法によつて、調理時間にばらつきが
あり、一律に対処することはできない。このこと
は、注入する水分の多寡によつても生じ得る問題
であり、電子レンジに、その作動時間を調整でき
る機構が存していても有効でなかつたのである。

従つて、電子レンジ内で加熱調理する場合、調
理の完了を確実に把握することができず、未調理
の状態で加熱を停止してしまつたり、逆に調理し
過ぎてしまつたりすることが多々見られた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように、従来のこの種の容器による調理で
は、調理の完了が外部から把握しにくいために、
加熱が足りなかつたり逆に加熱し過ぎてしまうこ
とがあり、また、蒸し調理の場合には、充分に蒸
すことができなかつたり、蒸し過ぎて水つぽくな
つたりしてしまい、確実で美味な調理が行えない
ことがあつたのである。

また、加熱調理を行なう場合、加熱された食品
からは必ず蒸気が発生するが、この種の容器は、
その販売時の安全性確保のために、容器自体を密
封保持する必要があることから、蒸気抜き用の穴
は形成されておらず、このため加熱調理に先立つ
て容器の所定個所に蒸気抜き用の穴を開口形成し
なければならず、その取扱いが面倒であり、もし
この蒸気抜き穴の開口を忘れると、加熱し過ぎと
か加熱むらとか、さらには調理中に容器が破損す
ると云う不都合が生じる恐れがあつた。

本考案は、上記した従来例における問題点を解
消し、要求に応えるべく考案されたもので、容器
内が調理の完了となる適正な温度になつたことを
外観から把握できるようにし、また、内部の過剰
な蒸気を排出できるようにすることを技術的課題
としたものである。

〔問題点を解決するための手段および作用〕

以下、本考案を、本考案の実施例を示す図面を
参照しながら説明する。

本考案による調理用食品収納容器１は、食品を
収納する有底筒形状の本体２の上端に蓋体３をほ
ぼ密に組み付け、この蓋体３に蒸気孔４を開孔す
ると共に、蓋体３の上面に、本体部５ａが蒸気孔
４を被覆する合成樹脂積層フイルム製のインジケ
ータ片５の一端部５ｂを固着した構成である。

そして、このインジケータ片５は、少なくとも
上部層５ｃと下部層５ｄ等を有しており、上部層
５ｃを下部層５ｄよりも熱収縮量の大きい値に設
定してある。

従つて、蒸気孔４はインジケータ片５の本体部
５ａによつて被覆されているので、通常の調理が
達成され、内部が加熱されて蒸気が発生する程度
になると、その蒸気は蒸気孔４からインジケータ
片５を加熱することになる。

ところが、積層フイルム製のインジケータ片５
は、上部層５ｃが下部層５ｄよりも熱収縮量が大
きく、かつ、一端部５ｂが蓋体３の上面に固着さ
れているので、上記した熱を受けると、めくり上
がる如くして蓋体３の上面に立ち上がり、この現
象が外観上現れてくるので、調理の完了を把握す
ることができ、また、蒸気孔４が開孔して本体２
内部の過剰な蒸気を排出できるのである。

このインジケータ片５の変形の温度は、収納す
る食品の種類、調理目的等によつて設定される。

すなわち、調理の完了を示そうとする場合に
は、内部が適正となる目的温度以上になる際に変
形するように設定され、さらには、蒸気孔４の口
径との関連でも設定されることになる。

〔実施例〕

図示実施例における本体２は、所定の合成樹脂
材料によりサーモフオーミング成形され、またイ
ンジケータ片５は、所定の合成樹脂材料により成
形される積層構造である。

インジケータ片５は、少なくとも上部層５ｃと
下部層５ｄを有しているが、中間に例えば印刷層
を配することも考えられる。

熱収縮量の大きい上部層５ｃの合成樹脂材質と
しては、例えばナイロン、熱収縮量の小さい下部
層５ｄの合成樹脂材質としては、ナイロンに対し
て、例えばポリプロピレンが選択され、上部層５
ｃの厚さを60μ、下部層５ｄの厚さを40μとして、
0.1mm程度の積層フイルムを共押出し成形したも
のである。

また、他の上部層５ｃと下部層５ｄとの合成樹
脂材質の組合せとしては、ナイロンとポリエチレ
ンテレフタレート樹脂（以下、PETと記す）、ナ
イロンとポリカーボネート樹脂（以下、PCと記
す）、ナイロンとPE、塩化ビニール（以下、単に
PVCと記す）とPET、PVCとPC、PVCとPE、
PVCとPP、延伸成形されたPPとPET、延伸成
形されたPPと無延伸のPP、延伸成形されたPP
とPC、延伸成形されたPPとPEの組合わせ等が
考えられる。

また、前記したように上部層５ｃの層厚を下部
層５ｄの層厚よりも大きくし、もつて熱収縮発生
時におけるインジケータ片５の変形力を大きくす
ることにより、所定温度になつた際におけるイン
ジケータ片５の変形を確実に達成できる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかな如く、本考案による調
理用食品収納容器は、調理が完了したことを外見
上確実に認識することができるので、調理のし過
ぎや未調理であると云つたことがなく、或いは蒸
し調理の際には所定温度以上となつたなら蒸気孔
が開孔するので、過剰な蒸気を排出することがで
き、使用が簡単であると共に、安価に製造、販売
することができる等、多くの優れた効果を発揮す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の容器の加熱前の断面図であ
る。第２図は、加熱後の断面図である。第３図
は、インジケータ片の拡大断面図である。 符号の説明、１……容器、２……本体、３……
蓋体、４……蒸気孔、５……インジケータ片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有底筒形状の本体２の上端に蓋体３をほぼ密に
   組み付けた容器１の前記蓋体３に蒸気孔４を開孔
   すると共に、前記蓋体３の上面に、主体部５ａが
   前記蒸気孔４を被覆する少なくとも上部層５ｃと
   下部層５ｄ等を有する合成樹脂積層フイルム製の
   インジケータ片５の一端部５ｂを固着して、該イ
   ンジケータ片５の前記上部層５ｃを、前記下部層
   ５ｄよりも熱収縮量の大きい値に設定して成る調
   理用食品収納容器。