JP3650652B2 - 保存食品の加熱式容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は主として食品を詰めて販売される保存食品用として好適な食品容器に関するもので、特に、その食品を電子レンジによって加熱調理するのに好適な加熱式容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
出願人は先に冷えた食品、例えば餃子やシュウマイ、あるいは冷や飯などを電子レンジのような電磁調理具で再加熱する際に、水を含ませた含水紙を被加熱食品とともに容器の中に入れ、食品を加熱すると同時に含水紙に含ませた水を沸騰蒸発させて食品の表面に作用させ、食品の表面を乾燥させることなく加熱する調理具を提案した(特願平6−159092号)。そこでは、食品容器は合成樹脂製によって皿状に形成した略同形の容器と蓋とを向かい合わせに重合して、それらが開かないようにゴムバンドを巻いたり、凹凸係合させて閉じてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成では容器と蓋との重合部に不均一な隙間ができるので、これを電磁調理器(電子レンジ)によって加熱する際に内部で発生した水蒸気が周囲から多量に漏れ出してしまう上に、その漏れ出し量が容器毎にバラつく不具合があった。そのため食品の乾燥状態にバラつきを生じ、加熱された食品の品質が一定しない不具合があった。
【0004】
さらに、そこでは加熱容器に単一の食品が収容されていたゝめ、容器内を均一に加熱すれば足りたが、米飯用の加熱容器では、米飯の他に惣菜を同時に収めるのが普通であるため、米飯と惣菜とを同一条件で加熱すると米飯に加える水分が不足して米飯が乾燥状態となった。また、米飯に最適の水分を加えると惣菜に多量の水分が付着して食味を低下させる不具合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するため、請求項1記載の保存食品の加熱式容器は、主凹部を有する外箱と、その外箱の主凹部内に収容される食品容器と、その食品容器の底部と前記主凹部の底部との間に形成された蒸気室と、その蒸気室に水を含んで収容される含水紙と、その含水紙から出る水蒸気を前記食品容器内へ流入させるため前記食品容器の底部中央部分に複数穿設された通気孔と、前記主凹部の上縁で円形に開く開口部と、その開口部を覆う蓋板と、その蓋板の周辺部であって前記食品容器の中央部分からそれた位置に穿設され、前記通気孔から前記食品容器内へ流入した水蒸気を外部へ放出する蒸気抜き孔と、前記蓋板に形成され、前記円形の開口部と嵌合する円形の膨出部とを備え、その膨出部と開口部とは、その全周が入口に比して奥が大径に形成された、いわゆる逆テーパに形成されている。
請求項2記載の保存食品の加熱式容器は、請求項1記載の保存食品の加熱式容器において、前記蓋板は透明に形成されている。
【0006】
【作用】
請求項1記載の保存食品の加熱式容器によれば、含水紙に水を含ませ、食品容器内に加熱対象の食品を入れ、蓋板を主凹部の開口部に嵌合させた状態で、電磁調理器で加熱する。すると、含水紙に含まれた水が沸騰して水蒸気となり、蒸気室を満たす。蒸気室を満たした水蒸気は通気孔から食品容器内へ流入し、蓋板に穿設された蒸気抜き孔から容器外へ放出される。
請求項2記載の保存食品の加熱式容器によれば、請求項1記載の保存食品の加熱式容器と同様に作用する上、蓋板は透明に形成されているので、食品容器内に入れられた食品を外部から視認できる。
【0007】
【実施例】
以下、図1〜図4で示す実施例によってこの発明を説明する。図中、10はこの発明に係る保存食品のための加熱式容器である。加熱式容器10は外箱11と、食品を収容し外箱11内に納められる食品容器21、および、それらの上面を閉じる蓋板31とで構成されている。
【0008】
外箱11は薄い平坦な合成樹脂を成形加工して作られた縁板13からなっている。すわなち、外箱11には縁板13の一部を一側に膨出させて成形した比較的大きな主凹部12を有する。主凹部12は平面形状が円形をなす比較的深い収容部12aと、前記縁板13の近傍に形成される円形の開口部12bとを有する。開口部12bは図1、図3から明らかなように、縁板13に接する部分が比較的小径で、下方へ行くに従い、すなわち、奥へ進むにつれて径が増大する、いわゆる逆テーパをなしている。
【0009】
食品容器21は合成樹脂によって薄く成形されている。その平面形状は円形をなし、その側面形状は前記主凹部12の内面と略相似形で、かつ、やゝ小さく形成されている。また、底面には比較的小径の通気孔21aの多数が設けられている。食品容器21にはシューマイS、あるいは米飯Rなどの主食あるいは副食が収められる。食品容器21は前記主凹部12に比し、やゝ小径でかつ、浅く作られている。そのため、食品容器21の底部と前記主凹部12の底部との間に円盤状をなす蒸気室22が形成される。蒸気室22は底部中央が円形に小高く盛上がっており、この蒸気室22には環状に切断された含水材23、すなわち含水紙が入れてある。
【0010】
蓋板31は薄い透明な合成樹脂によって前記縁板13よりやゝ大きく、かつ、略相似形に作られている。蓋板31には前記外箱11に形成された円形の開口部12bへ嵌合可能な円形の膨出部32が一側に環状に膨出され、その環状の部分の内側には蒸気抜き孔35が形成されている。蒸気抜き孔35は蓋板31に穿孔された通気孔からなり、具体的には、蓋板31の一部を下方に向けて打ち抜かき、舌片33を形成すると共に、残部が蒸気抜き孔35とされる。舌片33を残すことにより、蒸気抜き孔35から主凹部12内へ進入する塵埃を最少にすることができる。前記膨出部32は、前記開口部12bの内面に嵌合するべくやゝ小径をなし、開口部12bに対応する逆テーパとなっている。すなわち、先端へ進むにつれて径が増大する、いわゆる逆テーパをなしている。
【0011】
図3、図4は他の実施例(第2実施例)を示す。この実施例は惣菜と米飯とを収容するために用意される。なお、第2実施例中、第1実施例と同一または類似の形状および機能を有する部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。第2実施例では、縁板13に主凹部12の側方に位置して2個の副凹部14、14が設けられている。また、縁板13と蓋板31との周縁部には、それぞれ下向きの低い縁壁15、36が形成され、それらは内外に配されて少ない隙間を以て嵌合されるようになっている。
【0012】
かくて、両実施例によれば、まず、加熱式容器10の主凹部12に含水材23を水を浸して入れ、次いで食品容器21を入れる。一般に食品容器21にはシューマイ、米飯のような主食品が収められる。また、副凹部14、14には惣菜が収められる。外箱11に蓋板31を被せるには、蓋板31に形成した膨出部32を主凹部12と同心に形成した開口部12bに当て、その小径部に押し込む。膨出部32の先端の大径部32aは弾力で開口部12bの凹部12cに押し付けられ、蓋板31の表裏を密封する。また、副凹部14、14の周囲は縁板13と蓋板31に設けた低い縁壁15、36が重合い内外を閉じる。
【0013】
この状態で加熱式容器10を電磁加熱器に入れて加熱すると食品が加熱され、同時に含水材23に含まれた水も加熱されて沸騰し、水蒸気となって蒸気室22を満たすと共に、通気孔21aを通して食品容器21内へ流入する。そして、食品の周囲を流動して上方の蒸気抜き孔35から大気中へ放出される。かくて、蒸気抜き孔35の大きさを適当に設定するだけの調節によって、食品容器21内の食品は適度な水蒸気の雰囲気で加熱され、乾燥することなく、かつ、表面に寸分が凝固することもなくなる。
【0014】
【発明の効果】
本発明の保存食品の加熱式容器によれば、含水紙に水を含ませ、食品容器内に加熱対象の食品を入れ、蓋板を主凹部の開口部に嵌合させた状態で、電磁調理器で加熱する。すると、含水紙に含まれた水が沸騰して水蒸気となり、蒸気室を満たす。蒸気室を満たした水蒸気は通気孔から食品容器内へ流入し、蓋板に穿設された蒸気抜き孔から容器外へ放出される。
ここで、通気孔は、食品容器の底部中央部分に複数穿設されると共に、蒸気抜き孔は、蓋板の周辺部であって食品容器の中央部分からそれた位置に穿設されているので、蒸気室を満たした水蒸気は、食品容器の底部中央部分の通気孔から噴出し、食品容器内を流動した後に蓋板周辺部の蒸気抜き孔から容器外へ放出される。特に、主凹部および食品容器内を水蒸気が満たすと内部の体積が増すが、蓋板と主凹部の開口部とは、その全周が逆テーパ構造によって嵌合されているので、水蒸気の発生により内部の体積が増すほど、密封が一層確実なものとなり、水蒸気の流動経路が一定する。よって、蒸気室で発生した水蒸気は、食品容器の底部中央部分から噴出し、食品容器内を流動した後に容器外へ放出されるので、電磁調理器で加熱され難い中央部分を充分に加熱して、食品容器内の食品を均一に加熱することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である加熱容器の縦断面図である。
【図2】その分解図である。
【図3】他の実施例を示す図1相当の縦断面図である。
【図4】その分解図である。
【符号の説明】
10・・・・加熱式容器
11・・・・外箱
12・・・・主凹部
12a・・・収容部
12b・・・円形の開口部
12c・・・凹部
13・・・・縁板
14・・・・副凹部
15・・・・縁板側の縁壁
21・・・・食品容器
21a・・・通気孔
22・・・・蒸気室
23・・・・含水材(含水紙)
31・・・・蓋板
32・・・・膨出部
32a・・・大径部
33・・・・舌片
35・・・・蒸気抜き孔
36・・・・蓋板側の縁壁
R・・・・米飯
S・・・・シューマイ
Claims (2)
- 主凹部を有する外箱と、
その外箱の主凹部内に収容される食品容器と、
その食品容器の底部と前記主凹部の底部との間に形成された蒸気室と、
その蒸気室に水を含んで収容される含水紙と、
その含水紙から出る水蒸気を前記食品容器内へ流入させるため前記食品容器の底部中央部分に複数穿設された通気孔と、
前記主凹部の上縁で円形に開く開口部と、
その開口部を覆う蓋板と、
その蓋板の周辺部であって前記食品容器の中央部分からそれた位置に穿設され、前記通気孔から前記食品容器内へ流入した水蒸気を外部へ放出する蒸気抜き孔と、
前記蓋板に形成され、前記円形の開口部と嵌合する円形の膨出部とを備え、
その膨出部と開口部とは、その全周が入口に比して奥が大径に形成された、いわゆる逆テーパに形成されていることを特徴とする保存食品の加熱式容器。 - 前記蓋板は透明に形成されていることを特徴とする請求項1記載の保存食品の加熱式容器。
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JP18627795A JP3650652B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 保存食品の加熱式容器 |
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Publications (2)
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JPH0912065A JPH0912065A (ja) | 1997-01-14 |
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Family Applications (1)
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JP18627795A Expired - Fee Related JP3650652B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 保存食品の加熱式容器 |
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Families Citing this family (2)
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1995
- 1995-06-28 JP JP18627795A patent/JP3650652B2/ja not_active Expired - Fee Related
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