JPH05182588A - 蛍光ランプの封止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 封止クラック、封止歪等を防止し、容易に良
好な封止部を得られる蛍光ランプの封止方法を提供す
る。 【構成】 Ｕ字形メインチューブ１の開口端部を下方に
向け、マウント２を有する側の電極側チューブ１ａの中
心軸Ｃａにほぼ一致する回転軸Ｘを中心に回転できるよ
うにメインチューブ１を封止装置に固定し、メインチュ
ーブ１の両端部を同時に加熱して封止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は蛍光ランプの封止方法に
係り、特に封止クラック、封止歪等を防止し、良好な封
止部を得る蛍光ランプの封止方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にＵ字形に湾曲したメインチューブ
の開口端部を下方に向け、封止装置によってメインチュ
ーブをＵ字形の両脚部の中心を通る垂直軸のまわりに回
転可能に保持し、このメインチューブの開口端部の一方
にマウントを挿入した状態で前記メインチューブを回転
させ、バーナーによってメインチューブの両開口端部を
同時に加熱して封止するＵ字形蛍光ランプの封止方法が
知られている。

【０００３】図４は上記従来の封止方法を概略示してい
る。Ｕ字形のメインチューブ１１は、長短二つの脚部を
有し、図示しない封止装置によって開口端部を下方に向
け、両脚部の中心を通る回転軸Ｏを中心に回転可能に保
持されている。短い方の脚部は、開口端にマウント１２
を有し、電極側チューブ１１ａを形成している。長い方
の脚部は、他のＵ字形メインチューブと連結するための
継ぎ側チューブ１１ｂを形成している。メインチューブ
１１の下方にはバーナー１３が配設され、電極側チュー
ブ１１ａと継ぎ側チューブ１１ｂの封止部に均一な熱量
を与えるように構成されている。符号Ｃａは電極側チュ
ーブ１１ａの中心軸を示し、符号Ｃｂは継ぎ側チューブ
１１ｂの中心軸をそれぞれ示している。封止に際して
は、電極側チューブ１１ａの開口端にマウント１２を挿
入した状態でメインチューブ１１を回転軸Ｏを中心に回
転させ、バーナー１３で電極側チューブ１１ａと継ぎ側
チューブ１１ｂの封止部を均一に加熱してこれらを封止
する。図中点線ｓは継ぎ側チューブ１１ｂの封止面を示
している。

【０００４】また、従来の蛍光ランプ封止方法では、平
滑な内周面を有するメインチューブの開口端部にマウン
トを挿入し、メインチューブの開口端部とマウントのフ
レヤーチューブの裾部を加熱して封止していた。図５
は、上記従来の蛍光ランプ封止方法を概略示しいる。図
４と同一の部分に同一の符号を付した図５において、メ
インチューブ１１の電極側チューブ１１ａは平滑な内周
面を有し、開口端部は内側のチューブ部分と等しい内径
を有している。この電極側チューブ１１ａの開口端部に
は、マウント１２が挿入されている。マウント１２は本
体を構成するフレヤーチューブ１４と、電極を構成する
一対のワイヤ１５と、フィラメント１６とを有してい
る。フレヤーチューブ１４は、下方に向って広がる形状
を有し、最も膨出する下方の裾部分で封止部を構成して
いる。符号１７はマウント１２を封止した後に、メイン
チューブ１１内の空気を抽出するための真空抽気用チュ
ーブ１７を示している。封止に際しては、電極側チュー
ブ１１ａの開口端部とフレヤーチューブ１４の裾部分を
加熱し、これらを封着させる。この場合、電極側チュー
ブ１１ａとフレヤーチューブ１４の溶着や、ガラスの溶
融による厚肉部分（以下肉だまりという）を生じる過度
の加熱や、逆に不完全な封着を生じる加熱不足を生じな
いように加熱条件を管理する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、メイン
チューブの両脚部の中心を通る垂直軸のまわりにメイン
チューブを回転させてメインチューブの両開口端部を同
時に加熱封止する上記従来のＵ字形蛍光ランプの封止方
法では、封止不良を生じやすい問題があった。すなわ
ち、上記Ｕ字形メインチューブの電極側チューブと継ぎ
側チューブとは異なる封止のための加熱条件を有してい
るにも拘らず、均等に加熱されるので、例えば継ぎ側チ
ューブの封止加熱条件に合わせて加熱を行うと、電極側
チューブは焼き過ぎによって封止クラック等の欠陥を生
じやすく、逆に電極側チューブの封止加熱条件に合わせ
て加熱を行うと、継ぎ側チューブは封着不完全等の欠陥
を生じやすかった。これに対して従来は、Ｕ字形メイン
チューブの両脚部の欠陥の発生率の妥協点に封止加熱条
件を設定し、常に電極側チューブを僅かに焼き過ぎるよ
うにしていた。このため、電極側チューブの封止部で、
封止部クラック、ステムクラック等を誘発して好ましく
ない。また、封止部クラック防止のため、封止加工直後
に高温の空気を封止部に吹きつけてガラスの肉だまりの
発生を防止しているが、この高温空気の吹きつけによっ
て電極側チューブの封止部が変形し、封止部が膨出し
て、後に口金を取り付けることができない等の欠陥を生
じた。

【０００６】また、平滑な内周面を有するメインチュー
ブの開口端部にマウントを挿入し、メインチューブの開
口端部とマウントのフレヤーチューブの裾部とを加熱し
て封止する上記従来の方法では、メインチューブの内周
面とフレヤーチューブ本体のの外周面の間の距離が小さ
いため、封止加熱条件の範囲が狭く、焼過ぎによる肉だ
まりや、逆に焼不足による初期クラックを生じやすかっ
た。また、メインチューブおよびマウントの寸法の不均
一性から、封止部が周方向に不均一になり、残留歪や形
状不良を生じた。

【０００７】そこで、本発明の目的は、上記従来の蛍光
ランプの封止方法の課題を解決し、封止クラック、封止
歪等を防止し、容易に良好な封止部を得られる蛍光ラン
プの封止方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によるＵ字形形蛍光ランプの封止方法は、Ｕ字
形に湾曲したメインチューブの開口端部を下方に向けて
これを垂直に回転可能に封止装置に固定し、前記開口端
部の一方にマウントを挿入した状態で前記メインチュー
ブを回転させ、バーナーによって両開口端部を同時に加
熱封止するＵ字形蛍光ランプの封止方法において、前記
メインチューブのマウントを有する側の電極側チューブ
の中心軸にほぼ一致する回転軸の回りに前記メインチュ
ーブを回転させ、このメインチューブの両端部を同時に
加熱して封止することを特徴とするものである。

【０００９】また、本発明による蛍光ランプの封止方法
は、メインチューブの開口端部にマウントを挿入し、こ
のメインチューブの開口端部と前記マウントのフレヤー
チューブの裾部とを加熱して封止する蛍光ランプの封止
方法において、前記メインチューブの開口端部の内周に
封止用突起を設け、この突起の内周とフレヤーチューブ
裾部の外周との間の隙間を所定の範囲に維持して、メイ
ンチューブ端部とフレヤーチューブ裾部とを加熱して封
止することを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】本発明によるＵ字形蛍光ランプの封止方法は、
Ｕ字形に湾曲したメインチューブの開口端部を下方に向
け、電極側チューブの中心軸とほぼ一致する軸を中心に
このメインチューブを回転させ、バーナーによってメイ
ンチューブの両端部を加熱して封止するので、電極側チ
ューブと継ぎ側チューブの封止部に加えられる熱量が異
なり、したがって、バーナーの熱量の配分によって電極
側チューブと継ぎ側チューブの双方にとって好ましい封
止加熱条件を設定でき、このことにより、封止クラッ
ク、封止歪等を防止し、良好な封止部を得ることができ
る。また、本発明による蛍光ランプ封止方法は、メイン
チューブの開口端部の内周に封止用突起を設け、この封
止用突起の内周とフレヤーチューブの裾部外周との間の
隙間を所定の距離に維持して加熱封止するので、封着す
る部分では、封止用突起の内周とフレヤーチューブの裾
部の外周とが互いに近接して封着しやすく、逆に封着し
てはならない部分では、メインチューブ内周とフレヤー
チューブ本体外周との距離が大きく、焼過ぎによるメイ
ンチューブとフレヤーチューブ本体の溶着や、逆に焼不
足による初期クラックを防止することができる。

【００１１】

【実施例】以下本発明の実施例について、添付の図面を
参照して説明する。図１は、本発明によるＵ字形蛍光ラ
ンプの封止方法を概略示している。Ｕ字形に湾曲したメ
インチューブ１は、開口端部を下方に向けて図示しない
封止装置によってほぼ垂直に保持されている。このメイ
ンチューブ１は、長短二つの脚部を有し、短い脚部は電
極を挿着する電極側チューブ１ａを形成し、長い脚部は
同様の構造を有する他のＵ字形メインチューブと連結す
る継ぎ側チューブ１ｂを形成する。電極側チューブ１ａ
には、電極を有するマウント２が挿入され、電極側チュ
ーブ１ａの内周面と等しい距離の隙間を有するように保
持されている。このマウント２とメインチューブ１は、
図示しない前記封止装置の保持手段によって、電極側チ
ューブ１ａの中心軸Ｃａとほぼ一致する回転軸Ｘを中心
に一体に回転可能に保持されている。符号Ｃｂは、継ぎ
側チューブ１ｂの中心軸を示している。マウント２の僅
か下方には封止用バーナー３が配設されており、炎を電
極側チューブ１ａおよび継ぎ側チューブ１ｂの封止面に
吹き付けられるように構成されている。図１中の点線ｓ
は継ぎ側チューブ１ｂの封止面を示している。バーナー
３のノズルは、電極側チューブ１ａと継ぎ側チューブ１
ｂの封止部に異なる熱量を与えるように適当に振り分け
られている。

【００１２】上記構造に基づいて本実施例の作用につい
て以下に説明する。封止工程では、回転軸Ｘを中心にメ
インチューブ１とマウント２とが一体に回転し、バーナ
ー３によって封止部が加熱・封止される。この封止方法
では、回転軸Ｘが電極側チューブ１ａの中心軸Ｃａとほ
ぼ一致する位置にあるので、メインチューブ１の電極側
チューブ１ａと継ぎ側チューブ１ｂは異なる軌道を通っ
て回転するので、それぞれの封止のための加熱条件を容
易に差別化することができる。すなわち、電極側チュー
ブ１ａと継ぎ側チューブ１ｂの封止部にそれぞれ最適な
熱量を加わえられるようにバーナー３の炎を案分するこ
とにより、電極側チューブ１ａの封止部を加熱しすぎる
ことなく、かつ、継ぎ側チューブ１ｂの封止部を完全に
封着させることができる。なお、この実施例では、メイ
ンチューブ１の回転軸Ｘは下部で電極側チューブ１ａの
中心軸Ｃａと一致し、上部で若干継ぎ側チューブ１ｂの
中心軸Ｃｂ側に傾斜している。これは、メインチューブ
１の一製造工程のベーキング（塗膜焼成）工程で、電極
側チューブ１ａと継ぎ側チューブ１ｂが変形し、両チュ
ーブ間の距離が開口端部で広く、Ｕ字形の湾曲部側で狭
くなっているので、回転軸Ｘを傾斜させることにより、
電極側チューブ１ａと継ぎ側チューブ１ｂの封止加熱条
件の差別化をさらに容易に行うことができるからであ
る。

【００１３】上述した封止方法では、電極側チューブ１
ａと継ぎ側チューブ１ｂの封止加熱条件を差別化するこ
とによって電極側チューブ１ａおよび継ぎ側チューブ１
ｂの封止不良を防止している。一方、電極側チューブ１
ａ自体の封止部近傍の形状によって封止を確実かつ容易
に行う方法がある。以下にその封止方法について説明す
る。図２は、容易に封止を行えるように電極側チューブ
１ａの封止部の形状を改良した封止方法を概略示してい
る。図１と同一の部分には、同一の符号を付して示して
いる。図に示すように、Ｕ字形のメインチューブ１は、
長短二つの脚部を有し、開口端部を下方に向けて保持さ
れている。短い脚部側の開口端部にマウント２が挿入さ
れ、電極側チューブ１ａを構成している。

【００１４】図３は、上記電極側チューブ１ａの封止部
を拡大して示している。電極側チューブ１ａの開口端の
内周面には上記封止用突起４が設けられている。この電
極側チューブ１ａの開口端内側にマウント２が挿入され
ている。マウント２は本体を構成するガラス製のフレヤ
ーチューブ５と、このフレヤーチューブ５を貫通する一
対のワイヤ６と、ワイヤ６の先端に挟持されたフィラメ
ント７とを有している。フレヤーチューブ５には、電極
側チューブ１ａの内部と外部とを連通させる真空抽気用
チューブ８が設けられている。フレヤーチューブ５の外
周面は下方の裾の部分で広がる形状を有しており、封止
部で最も外方に突出している。この実施例では、電極側
チューブ１ａの内径Ｄｉが約１２．４５ｍｍ、封止用突
起４の高さｈが約１ｍｍ、フレヤーチューブ５の裾部の
外径Ｄｏが約７ｍｍ、封止用突起４の内端とフレヤーチ
ューブ５の裾部外端の隙間Ｇが約２ｍｍに設定されてい
る。

【００１５】上記構造に基づいて本発明の作用について
以下に説明する。上記構造から明らかなように、本実施
例の蛍光ランプはメインチューブ１の開口端内周に封止
用突起４を設けているので、封止用突起４の内端とマウ
ント２のフレヤーチューブ５の裾部外端とが互いに近接
し、かつ、メインチューブ１の封止部を除く他の部分と
フレヤーチューブ５とが離間している。このことによ
り、封止する際に封止部を充分に加熱しても、メインチ
ューブ１とフレヤーチューブ５とが互いに溶着したり、
封止部に肉だまりが生じて封止クラックを生じることが
少ない。また、上述したように封止部を充分に加熱して
も溶着・クラックを生じることが少ないので、封止部を
充分に加熱でき、不十分な加熱による封止不良を防止す
ることができる。なお、封止用突起４の内端とフレヤー
チューブ５の裾部外端の隙間Ｇが１ｍｍ乃至２ｍｍの範
囲内にあるときに、良好な封止部を得られることが種々
の試験的実施によって判明した。

【００１６】

【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によるＵ字形蛍光ランプの封止方法は、Ｕ字形のメイン
チューブを電極側チューブの中心軸とほぼ一致する軸を
中心に回転させ、バーナーによってメインチューブの両
端部を加熱して封止するので、電極側チューブと継ぎ側
チューブの封止部が異なる回転軌道を通り、バーナーの
熱量の配分によって電極側チューブと継ぎ側チューブの
双方にとって好ましい封止加熱条件を設定でき、封止部
の封止クラック、封止歪等を防止し、良好な封止部を得
るＵ字形蛍光ランプ封止方法を得ることができる。

【００１７】また、本発明による蛍光ランプ封止方法
は、メインチューブの開口端部の内周面に封止用突起を
設け、この封止用突起の内周とフレヤーチューブの裾部
外周との間の隙間を所定の距離に維持して加熱封止する
ので、封着すべき部分では、封止用突起の内周とフレヤ
ーチューブの裾部外周とが互いに近接し、逆に封着して
はならない部分では、メインチューブ内周とフレヤーチ
ューブ本体外周との距離が大きい。このことにより、過
度の加熱によるメインチューブとフレヤーチューブ本体
の溶着あるいは封止不良、逆に加熱不足による初期クラ
ック等を防止でき、封止部の残留歪や形状不良が少ない
信頼性の高い蛍光ランプ封止方法を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】電極側チューブの中心軸とほぼ一致する回転軸
を中心にＵ字形メインチューブを回転させて封止を行う
本発明によるＵ字形蛍光ランプの封止方法を説明する
図。

【図２】メインチューブの開口端内周面に封止用突起を
設けた本発明による蛍光ランプの封止方法を説明する
図。

【図３】メインチューブの開口端内周面に封止用突起を
設けた本発明による蛍光ランプの封止方法の開口端部を
拡大して説明する図。

【図４】Ｕ字形メインチューブの両脚部の中心線を中心
にメインチューブを回転させて封止を行う従来のＵ字形
蛍光ランプの封止方法を説明する図。

【図５】平滑な内周面を有する蛍光ランプのメインチュ
ーブ開口端にマウントを挿着して封止する従来の蛍光ラ
ンプの封止方法を説明する図。

【符号の説明】

１ メインチューブ １ａ 電極側チューブ ２ マウント ４ 封止用突起 ５ フレヤーチューブ Ｃａ 電極側チューブの中心軸 Ｘ 回転軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北 村 照 弘 東京都港区三田一丁目４番28号 東芝ライ テック株式会社内 (72)発明者 池 田 敏 幸 東京都港区三田一丁目４番28号 東芝ライ テック株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｕ字形に湾曲したメインチューブの開口端
   部を下方に向けてこれを垂直に回転可能に封止装置に固
   定し、前記開口端部の一方にマウントを挿入した状態で
   前記メインチューブを回転させ、バーナーによって両開
   口端部を同時に加熱封止するＵ字形蛍光ランプの封止方
   法において、前記メインチューブのマウントを有する側
   の電極側チューブの中心軸にほぼ一致する回転軸の回り
   に前記メインチューブを回転させ、このメインチューブ
   の両端部を同時に加熱して封止することを特徴とするＵ
   字形蛍光ランプの封止方法。
2. 【請求項２】メインチューブの開口端部にマウントを挿
   入し、このメインチューブの開口端部と前記マウントの
   フレヤーチューブの裾部とを加熱して封止する蛍光ラン
   プの封止方法において、前記メインチューブの開口端部
   の内周に封止用突起を設け、この突起の内周とフレヤー
   チューブの裾部外周との間の隙間を所定の範囲に維持し
   て、メインチューブ端部とフレヤーチューブ裾部とを加
   熱して封止することを特徴とする蛍光ランプの封止方
   法。