JPH05178668A - 窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体及びその製造方法 - Google Patents
窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体及びその製造方法Info
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- JPH05178668A JPH05178668A JP3358625A JP35862591A JPH05178668A JP H05178668 A JPH05178668 A JP H05178668A JP 3358625 A JP3358625 A JP 3358625A JP 35862591 A JP35862591 A JP 35862591A JP H05178668 A JPH05178668 A JP H05178668A
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- nitride
- titanium nitride
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 強度と破壊靭性を同時に向上させた窒化ケイ
素系焼結体、特に窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体、
並びにその製造方法を提供する。 【構成】 窒化ケイ素の含有量が45〜95体積%で、
窒化ケイ素と炭化ケイ素及び/又は粒界ガラス相からな
る母相中に、窒化チタン微粒子が分散している窒化ケイ
素−窒化チタン複合焼結体。この焼結体はチタン元素を
含む窒化ケイ素の有機前駆体又はこれと窒化ケイ素粉末
を混合し、窒素又はアンモニア雰囲気中で熱処理し、得
られた窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合微粉末に焼
結助剤を添加混合して焼結することにより製造される。
素系焼結体、特に窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体、
並びにその製造方法を提供する。 【構成】 窒化ケイ素の含有量が45〜95体積%で、
窒化ケイ素と炭化ケイ素及び/又は粒界ガラス相からな
る母相中に、窒化チタン微粒子が分散している窒化ケイ
素−窒化チタン複合焼結体。この焼結体はチタン元素を
含む窒化ケイ素の有機前駆体又はこれと窒化ケイ素粉末
を混合し、窒素又はアンモニア雰囲気中で熱処理し、得
られた窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合微粉末に焼
結助剤を添加混合して焼結することにより製造される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車部品や耐摩工具
等に使用される構造用セラミックス材料として優れた性
能を有する窒化ケイ素系焼結体に関し、特にその強度と
破壊靭性値を共に向上させた窒化ケイ素−窒化チタン複
合焼結体に関する。
等に使用される構造用セラミックス材料として優れた性
能を有する窒化ケイ素系焼結体に関し、特にその強度と
破壊靭性値を共に向上させた窒化ケイ素−窒化チタン複
合焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素は強度、破壊靭性値、耐食
性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐酸化性等においてバラン
スのとれた材料であるため、切削工具からエンジン部
品、核融合炉材等の広い範囲で利用されている。特に最
近では、自動車エンジンやガスタービン等の高温構造用
材料として注目を集めている。しかしながら、自動車エ
ンジン等のように材料に対して高い信頼性が要求される
分野に窒化ケイ素焼結体を使用するためには、破壊靭性
を更に向上させて脆さを克服し、且つ同時に強度向上を
も図ることが必要不可欠である。
性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐酸化性等においてバラン
スのとれた材料であるため、切削工具からエンジン部
品、核融合炉材等の広い範囲で利用されている。特に最
近では、自動車エンジンやガスタービン等の高温構造用
材料として注目を集めている。しかしながら、自動車エ
ンジン等のように材料に対して高い信頼性が要求される
分野に窒化ケイ素焼結体を使用するためには、破壊靭性
を更に向上させて脆さを克服し、且つ同時に強度向上を
も図ることが必要不可欠である。
【0003】そのための一方法として、例えば特開昭6
2−265173号公報等に示されるように、窒化ケイ
素マトリックスに炭化ケイ素ウイスカーを分散させる方
法がある。この方法によれば、破壊の際に伸展する亀裂
がウイスカーによってディフレクションしたり、ウイス
カーの引き抜きや架橋により破壊靭性が向上すると考え
られる。しかし、添加するウイスカーのサイズが約1〜
10μmのオーダーである上に、その凝集を機械的に完
全に取り除くことは事実上困難であるため、これが粗大
粒として破壊起点となるため、材料強度を低下させる欠
点があった。
2−265173号公報等に示されるように、窒化ケイ
素マトリックスに炭化ケイ素ウイスカーを分散させる方
法がある。この方法によれば、破壊の際に伸展する亀裂
がウイスカーによってディフレクションしたり、ウイス
カーの引き抜きや架橋により破壊靭性が向上すると考え
られる。しかし、添加するウイスカーのサイズが約1〜
10μmのオーダーである上に、その凝集を機械的に完
全に取り除くことは事実上困難であるため、これが粗大
粒として破壊起点となるため、材料強度を低下させる欠
点があった。
【0004】又、例えば特開昭63−159256号公
報等に示されるように、窒化ケイ素中に平均粒径が1μ
m以下の炭化ケイ素を均一に分散させ、窒化ケイ素を粒
成長させて柱状結晶とする方法もある。しかし、この窒
化ケイ素−炭化ケイ素複合焼結体においても、炭化ケイ
素の割合が少ないと窒化ケイ素が柱状結晶になりやすい
ので、破壊靭性の向上が多少みられるが強度の向上は非
常に少なく、逆に炭化ケイ素の割合が多いと窒化ケイ素
の柱状結晶化が抑制され、強度は向上するものの破壊靭
性が低下する結果となっていた。
報等に示されるように、窒化ケイ素中に平均粒径が1μ
m以下の炭化ケイ素を均一に分散させ、窒化ケイ素を粒
成長させて柱状結晶とする方法もある。しかし、この窒
化ケイ素−炭化ケイ素複合焼結体においても、炭化ケイ
素の割合が少ないと窒化ケイ素が柱状結晶になりやすい
ので、破壊靭性の向上が多少みられるが強度の向上は非
常に少なく、逆に炭化ケイ素の割合が多いと窒化ケイ素
の柱状結晶化が抑制され、強度は向上するものの破壊靭
性が低下する結果となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとく従来の窒
化ケイ素系焼結体の高強度化又は高靭性化の試みにおい
ては、組織の微細化により強度を向上させると破壊靭性
が低下し、逆にウイスカーを添加したり窒化ケイ素を粒
成長させて柱状結晶を存在させることにより破壊靭性を
向上させると強度の低下を招くため、強度と破壊靭性を
同時に向上させることは極めて困難な現状である。
化ケイ素系焼結体の高強度化又は高靭性化の試みにおい
ては、組織の微細化により強度を向上させると破壊靭性
が低下し、逆にウイスカーを添加したり窒化ケイ素を粒
成長させて柱状結晶を存在させることにより破壊靭性を
向上させると強度の低下を招くため、強度と破壊靭性を
同時に向上させることは極めて困難な現状である。
【0006】本発明はかかる従来の事情に鑑み、粗大粒
を含まない均一な微細粒子で構成されるか、粗大粒が存
在してもそれが欠陥とならない組織とすることで、強度
と破壊靭性を同時に向上させた窒化ケイ素系焼結体、特
に窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体と、その製造方法
を提供することを目的とする。
を含まない均一な微細粒子で構成されるか、粗大粒が存
在してもそれが欠陥とならない組織とすることで、強度
と破壊靭性を同時に向上させた窒化ケイ素系焼結体、特
に窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体と、その製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体におい
ては、窒化ケイ素の含有量が45〜95体積%であり、
窒化ケイ素と炭化ケイ素及び/又は粒界ガラス相とから
構成される母相中に、窒化チタンの微粒子が分散してい
ることを特徴とする。
め、本発明の窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体におい
ては、窒化ケイ素の含有量が45〜95体積%であり、
窒化ケイ素と炭化ケイ素及び/又は粒界ガラス相とから
構成される母相中に、窒化チタンの微粒子が分散してい
ることを特徴とする。
【0008】又、本発明の窒化ケイ素−窒化チタン複合
焼結体の製造方法は、チタン元素を含む窒化ケイ素の有
機前駆体又はこれと非晶質又はα型の窒化ケイ素粉末と
を均一に混合し、窒素又はアンモニア雰囲気中にて13
00〜1800℃で1〜100時間熱処理し、得られた
窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合微粉末に焼結助剤
を添加混合した後、1400〜1900℃で2〜10時
間焼結することを特徴とする。
焼結体の製造方法は、チタン元素を含む窒化ケイ素の有
機前駆体又はこれと非晶質又はα型の窒化ケイ素粉末と
を均一に混合し、窒素又はアンモニア雰囲気中にて13
00〜1800℃で1〜100時間熱処理し、得られた
窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合微粉末に焼結助剤
を添加混合した後、1400〜1900℃で2〜10時
間焼結することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明においては、窒化ケイ素を主成分とする
母相中に微細な窒化チタン粒子を均一に分散させるため
に、焼結原料粉として窒化ケイ素と微細な窒化チタンの
複合した微粉末を使用する。即ち、窒素ケイ素の前駆体
(プリカーサー)として分子中にケイ素と窒素を含有す
るポリシラザン等が知られているが、このポリシラザン
等の分子中に更にチタン元素を組み込んだ有機前駆体を
窒素又はアンモニア雰囲気中で加熱すると、熱分解と同
時に窒化反応を起こして窒化ケイ素と共に微細な窒化チ
タンが生成されるので、かかるチタン含有有機前駆体を
用いて製造した窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合粉
末を焼結原料粉として使用する。
母相中に微細な窒化チタン粒子を均一に分散させるため
に、焼結原料粉として窒化ケイ素と微細な窒化チタンの
複合した微粉末を使用する。即ち、窒素ケイ素の前駆体
(プリカーサー)として分子中にケイ素と窒素を含有す
るポリシラザン等が知られているが、このポリシラザン
等の分子中に更にチタン元素を組み込んだ有機前駆体を
窒素又はアンモニア雰囲気中で加熱すると、熱分解と同
時に窒化反応を起こして窒化ケイ素と共に微細な窒化チ
タンが生成されるので、かかるチタン含有有機前駆体を
用いて製造した窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合粉
末を焼結原料粉として使用する。
【0010】具体的には、上記したチタン元素を含有す
る窒化ケイ素の有機前駆体のみか、又はこれと非晶質又
はα型の窒化ケイ素粉末とを混合し、窒素又はアンモニ
ア雰囲気中にて1300〜1800℃で1〜100時間
熱処理する。その結果、熱分解と窒化反応により、結晶
質の窒化ケイ素が生成すると同時に、前駆体中の原子オ
ーダーのチタンから極めて微細な窒化チタンが生成さ
れ、場合により炭化ケイ素が一部生成し、これらを含む
微細な結晶質複合粉末が得られる。
る窒化ケイ素の有機前駆体のみか、又はこれと非晶質又
はα型の窒化ケイ素粉末とを混合し、窒素又はアンモニ
ア雰囲気中にて1300〜1800℃で1〜100時間
熱処理する。その結果、熱分解と窒化反応により、結晶
質の窒化ケイ素が生成すると同時に、前駆体中の原子オ
ーダーのチタンから極めて微細な窒化チタンが生成さ
れ、場合により炭化ケイ素が一部生成し、これらを含む
微細な結晶質複合粉末が得られる。
【0011】この窒化ケイ素と窒化チタンの結晶質複合
粉末中において窒化チタンの更に均一な分散を得るため
には、窒化ケイ素粉末表面を有機前駆体が均一に被覆し
た粉末を用いることが好ましく、かかる粉末は例えばチ
タン含有有機前駆体を有機溶媒に溶解させ、これに窒化
ケイ素粉末を均一に混合した後、有機溶媒を蒸発乾燥し
て除去することにより得られる。
粉末中において窒化チタンの更に均一な分散を得るため
には、窒化ケイ素粉末表面を有機前駆体が均一に被覆し
た粉末を用いることが好ましく、かかる粉末は例えばチ
タン含有有機前駆体を有機溶媒に溶解させ、これに窒化
ケイ素粉末を均一に混合した後、有機溶媒を蒸発乾燥し
て除去することにより得られる。
【0012】前記熱処理条件において、1300℃×1
時間未満の熱処理では一般にチタン含有ポリシラザン等
の有機前駆体の熱分解が生起せず、又1800℃×10
0時間を越える熱処理では複合粉末が凝集し、特に窒化
チタンが粗大化するので好ましくない。本発明の熱処理
条件の範囲内では、結晶質複合粉末中の窒化チタンが極
めて微細になるが、条件を選ぶことにより窒化チタンの
平均粒径を1〜500nmの範囲にすることが好まし
い。又、結晶質複合粉末中の窒化チタンの含有量は、有
機前駆体中のチタン量及び窒化ケイ素粉末との混合比を
調整することにより制御でき、複合焼結体の窒化ケイ素
の含有量の関係から上記窒化チタン含有量を上記混合比
からの換算で5〜55体積%とすることが好ましく、5
〜25体積%とすることが更に好ましい。
時間未満の熱処理では一般にチタン含有ポリシラザン等
の有機前駆体の熱分解が生起せず、又1800℃×10
0時間を越える熱処理では複合粉末が凝集し、特に窒化
チタンが粗大化するので好ましくない。本発明の熱処理
条件の範囲内では、結晶質複合粉末中の窒化チタンが極
めて微細になるが、条件を選ぶことにより窒化チタンの
平均粒径を1〜500nmの範囲にすることが好まし
い。又、結晶質複合粉末中の窒化チタンの含有量は、有
機前駆体中のチタン量及び窒化ケイ素粉末との混合比を
調整することにより制御でき、複合焼結体の窒化ケイ素
の含有量の関係から上記窒化チタン含有量を上記混合比
からの換算で5〜55体積%とすることが好ましく、5
〜25体積%とすることが更に好ましい。
【0013】上記のごとく製造した窒化ケイ素と窒化チ
タンの結晶質複合微粉末を、通常用いられているY
2O3、Al2O3、MgO、AlN、SiO2等の焼結助
剤と混合し、窒素雰囲気中にて1400〜1900℃の
温度で2〜10時間焼結することにより、窒化ケイ素の
含有量が45〜95体積%で、窒化ケイ素と炭化ケイ素
及び/又は粒界相とから構成される母相中に、窒化チタ
ンの微粒子が分散している本発明の窒化ケイ素−窒化チ
タン複合焼結体が得られる。焼結方法は通常の常圧焼結
のほか、ホットプレス法等の方法も適用できる。
タンの結晶質複合微粉末を、通常用いられているY
2O3、Al2O3、MgO、AlN、SiO2等の焼結助
剤と混合し、窒素雰囲気中にて1400〜1900℃の
温度で2〜10時間焼結することにより、窒化ケイ素の
含有量が45〜95体積%で、窒化ケイ素と炭化ケイ素
及び/又は粒界相とから構成される母相中に、窒化チタ
ンの微粒子が分散している本発明の窒化ケイ素−窒化チ
タン複合焼結体が得られる。焼結方法は通常の常圧焼結
のほか、ホットプレス法等の方法も適用できる。
【0014】本発明の窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結
体中の窒化ケイ素の含有量を45〜95体積%とする理
由は、45体積%未満では窒化チタンが多すぎて凝集
し、又ガス成分も多くなるため強度や破壊靭性等の窒化
ケイ素本来の優れた特性が低下し、95体積%を越える
と添加すべき焼結助剤の量が少なくなり過ぎて緻密な焼
結体が得られないからである。又、上記窒化ケイ素の結
晶粒は短軸径が3μm以下、好ましくは0.5μm以下
であり、アスペクト比が20以下、好ましくは10以下
の柱状晶、及び/又は平均粒径1μm以下の等軸晶から
なることが好ましい。更に、この複合焼結体の母相は窒
化ケイ素のほかに、焼結助剤に由来する粒界ガラス相
と、場合により生成する炭化ケイ素を含んでいる。
体中の窒化ケイ素の含有量を45〜95体積%とする理
由は、45体積%未満では窒化チタンが多すぎて凝集
し、又ガス成分も多くなるため強度や破壊靭性等の窒化
ケイ素本来の優れた特性が低下し、95体積%を越える
と添加すべき焼結助剤の量が少なくなり過ぎて緻密な焼
結体が得られないからである。又、上記窒化ケイ素の結
晶粒は短軸径が3μm以下、好ましくは0.5μm以下
であり、アスペクト比が20以下、好ましくは10以下
の柱状晶、及び/又は平均粒径1μm以下の等軸晶から
なることが好ましい。更に、この複合焼結体の母相は窒
化ケイ素のほかに、焼結助剤に由来する粒界ガラス相
と、場合により生成する炭化ケイ素を含んでいる。
【0015】又、この複合焼結体の母相中には、微細な
窒化チタンが分散相として均一に分散され、このような
構造をとることにより焼結体の高強度化並びに高靭性化
を同時に達成することが出来る。即ち、母相の窒化ケイ
素及び炭化ケイ素の粒内に熱膨張係数の大きな窒化チタ
ン微粒子が分散することによって、焼結温度から室温へ
の冷却時に母相結晶粒内に熱膨張係数のミスマッチによ
る残留圧縮応力が発生し、破壊の際に亀裂先端部にこの
応力場がかかることにより亀裂の発生及び進展に対する
抵抗が増大するので、破壊靭性が向上する。又、窒化チ
タンはナノメーターサイズの微粒子として均一に分散し
ているので、欠陥サイズの増大につながらず、従って破
壊靭性の向上が強度の向上に反映される。更に、母相粒
内の窒化チタン粒子のまわりの応力場によって歪みが発
生し、窒化チタンを中心に転位の移動が促進されるの
で、転位面がサブ粒界を形成して見掛け上母相粒子が微
細化し、これによっても強度の向上が期待される。
窒化チタンが分散相として均一に分散され、このような
構造をとることにより焼結体の高強度化並びに高靭性化
を同時に達成することが出来る。即ち、母相の窒化ケイ
素及び炭化ケイ素の粒内に熱膨張係数の大きな窒化チタ
ン微粒子が分散することによって、焼結温度から室温へ
の冷却時に母相結晶粒内に熱膨張係数のミスマッチによ
る残留圧縮応力が発生し、破壊の際に亀裂先端部にこの
応力場がかかることにより亀裂の発生及び進展に対する
抵抗が増大するので、破壊靭性が向上する。又、窒化チ
タンはナノメーターサイズの微粒子として均一に分散し
ているので、欠陥サイズの増大につながらず、従って破
壊靭性の向上が強度の向上に反映される。更に、母相粒
内の窒化チタン粒子のまわりの応力場によって歪みが発
生し、窒化チタンを中心に転位の移動が促進されるの
で、転位面がサブ粒界を形成して見掛け上母相粒子が微
細化し、これによっても強度の向上が期待される。
【0016】窒化ケイ素及び炭化ケイ素の粒内及び粒界
に分散している窒化チタンについては、粒内及び粒界で
の体積率が少なすぎると上記の高強度化及び高靭性化の
効果が発揮されず、多すぎても窒化チタン粒子同士の合
体が起きてしまうので、母相粒内には0.1〜50体積
%、好ましくは5〜15体積%、及び粒界ガラス相内に
は0〜25体積%、好ましくは5〜10体積%が望まし
い。又、窒化チタンの粒内における平均粒径は、大きす
ぎると残留圧縮応力による窒化ケイ素粒子の強化効果が
低下するので500nm以下が好ましく、小さすぎると
結晶格子間に固溶してしまうので5nm以上とする。粒
界ガラス相内の窒化ケイ素の平均粒径は0.05〜5μ
mの範囲が好ましい。
に分散している窒化チタンについては、粒内及び粒界で
の体積率が少なすぎると上記の高強度化及び高靭性化の
効果が発揮されず、多すぎても窒化チタン粒子同士の合
体が起きてしまうので、母相粒内には0.1〜50体積
%、好ましくは5〜15体積%、及び粒界ガラス相内に
は0〜25体積%、好ましくは5〜10体積%が望まし
い。又、窒化チタンの粒内における平均粒径は、大きす
ぎると残留圧縮応力による窒化ケイ素粒子の強化効果が
低下するので500nm以下が好ましく、小さすぎると
結晶格子間に固溶してしまうので5nm以上とする。粒
界ガラス相内の窒化ケイ素の平均粒径は0.05〜5μ
mの範囲が好ましい。
【0017】
【実施例】Ti含有量の異なるチタン含有ポリシラザン
をメチレンクロライドにそれぞれ溶解し、これらの溶液
に非晶質のSi3N4粉末(平均粒径0.3μm)を表1
に示す配合重量比で混合分散させた後、メチレンクロラ
イドを蒸発させた。得られた各乾燥粉末を窒素ガス中に
おいて表1に示す温度と時間で熱処理することにより、
Si3N4−TiN結晶質複合粉末を合成した。得られた
各複合粉末に含まれるTiNの平均粒径と含有量を表1
に示した。
をメチレンクロライドにそれぞれ溶解し、これらの溶液
に非晶質のSi3N4粉末(平均粒径0.3μm)を表1
に示す配合重量比で混合分散させた後、メチレンクロラ
イドを蒸発させた。得られた各乾燥粉末を窒素ガス中に
おいて表1に示す温度と時間で熱処理することにより、
Si3N4−TiN結晶質複合粉末を合成した。得られた
各複合粉末に含まれるTiNの平均粒径と含有量を表1
に示した。
【0018】
【表1】 配 合 重 量 比 熱 処 理 熱 処 理 TiN平均 TiN含有量試料 Ti-ホ゜リシラサ゛ン:Si3N4 温度(℃) 時間(hr) 粒径(nm) (体積%) 1* 1 : 0 1500 10 200 52 2 1 : 0 1500 10 110 40 3 4 : 1 1600 10 120 35 4 3 : 1 1500 16 58 20 5 3 : 1 1600 16 70 20 6 2 : 1 1550 20 60 8.0 7 2 : 1 1650 20 80 8.0 8 1 : 1 1600 16 30 5.0 9 1 : 1 1600 50 100 5.2 10 1 : 2 1600 24 60 2.6 11 1 : 2 1700 24 70 2.6 12* 1 : 2 1700 24 70 2.6 13* 0 : 1 1500 10 − 0 (注)*を付した試料1、12、13は比較例である(以下同じ)。
【0019】上記の各Si3N4−TiN結晶質複合粉末
に、焼結助剤として5vol%Y2O3と3vol%Al2O3を
添加混合して圧粉体とし、これを窒素ガス雰囲気中にお
いて下記表2に示す温度と時間で焼結を行った。得られ
た各Si3N4−TiN複合焼結体について、母相の粒内
及び粒界に存在するTiN粒子の平均粒径並びに体積率
を測定し、更に各焼結体の3点曲げ強度α4bと破壊靭性
KICを測定し、結果を下記表2に併せて示した。又、T
iを含まないSi3N4結晶質粉末(試料13)についても
同様の焼結を行い、得られたTiNを含まない通常のS
i3N4焼結体について同じく特性等を測定した結果を表
2に示した。
に、焼結助剤として5vol%Y2O3と3vol%Al2O3を
添加混合して圧粉体とし、これを窒素ガス雰囲気中にお
いて下記表2に示す温度と時間で焼結を行った。得られ
た各Si3N4−TiN複合焼結体について、母相の粒内
及び粒界に存在するTiN粒子の平均粒径並びに体積率
を測定し、更に各焼結体の3点曲げ強度α4bと破壊靭性
KICを測定し、結果を下記表2に併せて示した。又、T
iを含まないSi3N4結晶質粉末(試料13)についても
同様の焼結を行い、得られたTiNを含まない通常のS
i3N4焼結体について同じく特性等を測定した結果を表
2に示した。
【0020】
【表2】 焼結温 焼結時 Si3N4含有 TiNの粒径/体積率 α4b KIC 試料 度(℃) 間(hr) 量(vol%) 粒 内 粒 界 (MPa) (MPam1/2) 1* 1700 2 40 180nm/5% 300nm/47% 84 6.0 2 1650 2 65 120nm/30% 150nm/8% 137 6.8 3 1650 2 55 150nm/25% 200nm/6% 140 7.5 4 1700 2 70 70nm/10% 120nm/5% 201 11.5 5 1600 5 70 80nm/10% 150nm/5% 198 10.3 6 1800 5 70 70nm/6% 300nm/2% 185 9.5 7 1650 5 70 90nm/5% 120nm/1% 192 10.8 8 1750 5 75 50nm/3% 90nm/2% 169 8.4 9 1700 2 75 200nm/3% 300nm/2% 178 7.5 10 1900 10 85 80nm/1.4% 180nm/0.2% 137 6.9 11 1800 6 85 100nm/1.5% 190nm/0.3% 140 7.2 12* 1800 6 97.4 なし 100nm/2.6% (焼結できず) 13* 1800 3 92 − − 119 6.8 (注)試料12は焼結助剤無添加であり、焼結しなかった。
【0021】上記表2の結果から、窒化チタンを含まな
い比較例及び窒化チタンの多すぎる比較例の各試料と比
較して、本発明例の試料はいずれも同等又はそれ以上の
破壊靭性値を有しながら、同時に強度が向上しているこ
とが分かる。
い比較例及び窒化チタンの多すぎる比較例の各試料と比
較して、本発明例の試料はいずれも同等又はそれ以上の
破壊靭性値を有しながら、同時に強度が向上しているこ
とが分かる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、強度及び破壊靭性とも
にも優れた窒化ケイ素系セラミックスを得ることがで
き、高強度且つ高靭性で高い信頼性が要求される自動車
エンジンをはじめとする各種の高温構造用材料として有
用である。
にも優れた窒化ケイ素系セラミックスを得ることがで
き、高強度且つ高靭性で高い信頼性が要求される自動車
エンジンをはじめとする各種の高温構造用材料として有
用である。
Claims (6)
- 【請求項1】 窒化ケイ素の含有量が45〜95体積%
であり、窒化ケイ素と炭化ケイ素及び/又は粒界ガラス
相とから構成される母相中に、窒化チタンの微粒子が分
散していることを特徴とする窒化ケイ素−窒化チタン複
合焼結体。 - 【請求項2】 窒化ケイ素及び炭化ケイ素の内部に分散
している窒化チタンの体積率が0.1〜50体積%で、
その平均粒径が5〜500nmであることを特徴とす
る、請求項1記載の窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結
体。 - 【請求項3】 粒界ガラス相に分散している窒化チタン
の体積率が0〜25体積%で、その平均粒径が0.05
〜5μmであることを特徴とする、請求項1記載の窒化
ケイ素−窒化チタン複合焼結体。 - 【請求項4】 窒化ケイ素の結晶粒が短軸径3μm以下
でアスペクト比20以下の柱状晶及び/又は平均粒径1
μm以下の等軸晶からなることを特徴とする、請求項1
記載の窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体。 - 【請求項5】 チタン元素を含む窒化ケイ素の有機前駆
体又はこれと非晶質又はα型の窒化ケイ素粉末とを均一
に混合し、窒素又はアンモニア雰囲気中にて1300〜
1800℃で1〜100時間熱処理し、得られた窒化ケ
イ素と窒化チタンの結晶質複合微粉末に焼結助剤を添加
混合した後、1400〜1900℃で2〜10時間焼結
することを特徴とする窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結
体の製造方法。 - 【請求項6】 結晶質複合微粉末に含まれる窒化チタン
の含有量が5〜55体積%で、その平均粒径が1〜50
0nmであることを特徴とする、請求項4記載の窒化ケ
イ素−窒化チタン複合焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3358625A JPH05178668A (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3358625A JPH05178668A (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05178668A true JPH05178668A (ja) | 1993-07-20 |
Family
ID=18460284
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3358625A Pending JPH05178668A (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 窒化ケイ素−窒化チタン複合焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05178668A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6797660B2 (en) | 2000-03-16 | 2004-09-28 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Silicon nitride wear resistant member and manufacturing method thereof |
JP2007290939A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-11-08 | Kyocera Corp | 装飾部品用セラミックス |
CN115090873A (zh) * | 2022-07-07 | 2022-09-23 | 西北有色金属研究院 | 一种改性钛或钛合金粉制备钛基复合材料的方法 |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP3358625A patent/JPH05178668A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6797660B2 (en) | 2000-03-16 | 2004-09-28 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Silicon nitride wear resistant member and manufacturing method thereof |
JP2007290939A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-11-08 | Kyocera Corp | 装飾部品用セラミックス |
CN115090873A (zh) * | 2022-07-07 | 2022-09-23 | 西北有色金属研究院 | 一种改性钛或钛合金粉制备钛基复合材料的方法 |
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