JPH0517837A - 低照射成長ジルコニウム基合金板とその製造法及び用途 - Google Patents

低照射成長ジルコニウム基合金板とその製造法及び用途

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JPH0517837A
JPH0517837A JP3314294A JP31429491A JPH0517837A JP H0517837 A JPH0517837 A JP H0517837A JP 3314294 A JP3314294 A JP 3314294A JP 31429491 A JP31429491 A JP 31429491A JP H0517837 A JPH0517837 A JP H0517837A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、照射成長に起因する伸び,曲
り変形の少ないジルコニウム基合金部材とその製法、特
に原子炉燃料集合体用チャンネルボックスを提供する。 【構成】Nb5%以下又はSn5%以下含有するZr基
合金の板状部材の六方晶Zrの〈0001〉方位の板表
面に対する垂直方向の配向率(Fr値)が0.20 〜
0.50 であるZr基合金板。用途として原子炉用チャ
ンネルボックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なジルコニウム基合
金板とその製造法及びそれを用いた燃料チャンネルと燃
料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニウム合金は優れた耐食性と小さ
い中性子吸収断面積を有する材料であるため原子炉燃料
集合体部材に使用されている。前記用途にはジルカロイ
−2,ジルカロイ−4とよばれるZr−Sn−Fe−C
r−Ni合金が主に使用されている。これら合金の原子
炉内で長期間使用すると、図2に示すように(0001)
面が板厚方向に配向しているので、特定方向への伸び及
び曲がり変形が生じる。燃料チャンネルボックスに曲が
り変形が発生すると、制御棒が駆動するための間隙をふ
さぐため原子炉の運転に支障をきたす。また、曲がり変
形が生じると、燃料被覆管との間隔が変化し局部的に水
対ウランの比率が増減する為、核分裂反応度が変化す
る。この結果、異常発熱による燃料被覆管の腐食加速、
さらには燃料破損の原因にも成りうる。このような中性
子照射量の不均一に起因する燃料チャンネルボックスに
曲がり変形を防止する為、炉心における燃料集合体装荷
位置の入れ替えによる中性子照射量の均一化が検討され
ているが、曲がり変形を防止するは至らず、この曲がり
変形による制御棒駆動間隙の減少、核分裂反応度の変化
が燃料チャンネルボックスの寿命を制限する主因子とな
っている。
【0003】燃料チャンネルボックスの腐食もその寿命
を制限する因子である。耐食性の改善方法としてZr合
金をα+β相温度範囲あるいはβ相温度範囲から急冷す
る熱処理が特許公報昭56−12310 号,昭60−44387 号に
開示されている。しかし、後述する理由により照射成長
に起因する曲がり変形を低減出来ない為、ジルコニウム
合金部材の照射成長抑制技術とはなり得ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、ジル
コニウム合金部材の結晶粒度,配向,機械特性等は熱処
理によって変化させず、耐食性のみを改善するものであ
る。その結果、結晶粒の粗大化が生じるβ相温度範囲
(≧980℃)よりもα+β相温度範囲(800〜98
0℃)への加熱・急冷が実施され、照射成長抑制に重要
な因子である結晶方位はこの熱処理では変化しない為、
ジルコニウム合金部材の照射成長抑制技術とはならなか
った。公開特許公報昭59−229475号にはFl値を0.1
5〜0.5に配向させる方法が開示されている。しか
し、この方法も後述する理由により照射成長抑制技術と
はならず、むしろ照射成長を促進する。
【0005】本発明は前述した照射成長に起因する伸
び,曲がり変形が発生しないジルコニウム合金部材を提
供することを目的とする。特に、照射成長しない長寿命
のジルコニウム基合金管状部材とそれを用いたチャンネ
ルボックスを提供することが本発明の主目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジルコニウム
合金板材の六方晶Zr金属の〈0001〉結晶方位を図
1に示す様にほぼ完全にランダム化することにより上記
目的を達成するものである。
【0007】本発明は、Sn5重量%以下及び/又はN
b5重量%以下を含有し、残部90重量%以上のZrを
有するジルコニウム基合金板において、該合金の六方晶
Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂直方向
への配向率(Fr値)が0.20〜0.50であることを特
徴とする低照射成長ジルコニウム基合金板にある。
【0008】本発明は、Sn5重量%以下及び/又はN
b5重量%以下を含有し、残部90重量%以上のZrを
有するジルコニウム基合金角形筒状部材において、該合
金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材表面
に対する垂直方向への配向率(Fr値),筒状部材の長
手方向への配向率(Ft)及び円周方向への配向率(F
l)がいずれも0.20〜0.50であることを特徴とす
る低照射成長ジルコニウム基合金管状部材にある。
【0009】本発明は、Sn5重量%以下及び/又はN
b5重量%以下を含有し、残部90重量%以上のZrを
有するジルコニウム基合金板において、該合金はα相を
有し、結晶粒径が50〜500μmであることを特徴と
する低照射成長ジルコニウム基合金板にある。
【0010】本発明は、Sn5重量%以下及び/又はN
b5重量%以下を含有し、残部90重量%以上のZrを
有するジルコニウム基合金板において、該合金はα相を
有し、該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位が実
質的にランダムに配向し、3×1022n/cm2 の高速中
性子照射成長によるひずみが3×10-4以下であること
を特徴とする低照射成長ジルコニウム基合金板にある。
【0011】本発明は、Sn5重量%以下及び/又はN
b5重量%以下、及び残部90重量%以上のZrを有す
るジルコニウム基合金板をβ相単相温度領域に加熱し、
冷却するジルコニウム基合金板の製造法において、該合
金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂
直方向への配向率(Fr値)が0.26〜0.40となる
ように前記β相単相温度領域にて加熱保持する工程を有
することを特徴とする低照射成長ジルコニウム基合金板
の製造方法にある。
【0012】本発明の低照射成長ジルコニウム基合金板
の製造法において、前記β相温度領域での加熱を次式に
よって求められるパラメータPの値が0.8 以上になる
ように短時間保持後急冷する工程を有することを特徴と
する。
【0013】 P=(3.55+logt)×log(T−980) (t:加熱時間(秒),T:加熱温度(℃)) 本発明は、Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%以
下、及び残部90重量%以上のZrを有するジルコニウ
ム基合金角形筒状部材を局部的にβ相単相温度領域に誘
導加熱によって連続的に加熱するとともに該加熱された
部分を冷媒によって強制的に冷却するジルコニウム基合
金筒状部材の製造法において、前記合金の六方晶Zrの
〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直方向
への配向率(Fr値)が0.20〜0.50となるように
前記β相単相温度領域にて短時間加熱保持後急冷する工
程を有することを特徴とする低照射成長ジルコニウム基
合金筒状部材の製造法にある。
【0014】本発明は、ジルコニウム基合金管状部材を
β相温度領域に局部的に誘導加熱によって相対的に移動
させながら連続的に加熱するとともに該加熱された部分
を冷媒によって強制的に冷却するジルコニウム基合金管
状部材の製造法において、前記管状部材内に前記合金の
熱膨脹係数が大きい金属部材からなるマンドレルを挿入
し、前記管状部材の少なくとも両端で管状部材とマンド
レルとを固着した状態で前記管状部材の外表面より加熱
する工程を有することを特徴とするジルコニウム基合金
管状部材の製造法にある。
【0015】本発明は、2個のコの字型ジルコニウム基
合金部材を用いて溶接接続された角形筒状部材からなる
燃料チャンネルボックスにおいて、前記合金の六方晶Z
rの〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直
方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50であり、
前記管状部材全表面にオートクレーブ処理による酸化皮
膜が形成されていることを特徴とする燃料チャンネルボ
ックスにある。
【0016】本発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内に
内蔵した燃料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネル
ボックス、該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を
仕切るスペーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下
部に設けられた上部格子板及び下部格子板を備えた燃料
集合体において、前記チャンネルボックスはSn5重量
%以下及び/又はNb5重量%以下、残部のZrを有す
るジルコニウム基合金板からなり、該合金の六方晶Zr
の〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂直方向への
配向率(Fr値)が0.20〜0.50であることを特徴
とする燃料集合体にある。
【0017】本発明は、複数本の原子燃料棒を配置する
ジルコニウム基合金からなるチャンネルボックスで、前
記合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材
表面に対する垂直方向への配向率(Fr値)が0.20
〜0.50であり、少なくとも2回原子燃料を取替えて
使用することを特徴とする。
【0018】本発明は、2個のコの字型ジルコニウム基
合金部材を用いて溶接接続された筒状部材からなる燃料
チャンネルボックスで、前記合金の六方晶Zrの〈000
1〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直方向への配向
率(Fr値)が0.20〜0.50であり、前記筒状部材全
表面にオートクレーブ処理による酸化皮膜が形成され、
取出燃焼度32GWd/t以上又は少なくとも2回原子
燃料を交換して使用することを特徴とする。
【0019】本発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内に
内蔵した燃料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネル
ボックス、該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を
仕切るスペーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下
部に設けられた上部格子板及び下部格子板を備えた燃料
集合体で、前記チャンネルボックスはSn5重量%以下
及び/又はNb5重量%以下、残部90重量%以上のZ
rを有するジルコニウム基合金板からなり、該合金の六
方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂直
方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50あり、取
出燃焼度32GWd/t以上又は少なくとも2回原子燃料を
取替えて使用することを特徴とする。
【0020】本発明は炉心内にジルコニウム基合金の筒
状体よりなる複数の原子燃料チャンネルボックスを備
え、所定期間運転後に燃料を取換え、引き続いて所定期
間運転する原子炉の運転方法において、前記合金の六方
晶Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する
垂直方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50であ
り、取出燃焼度32GWd/t以上の運転又は前記後の
運転時の前記チャンネルボックスの位置を前の運転時の
位置と同じに配置して少なくとも2回燃料を取替えて運
転することを特徴とする。
【0021】前述のチャンネルボックスは少なくとも2
回燃料を取替えるだけでなく、取出燃焼度32GWd/
t以上又は中性子照射量で1022n/cm以上の中性子照
射を受ける期間変形が少なく使用することができる。
【0022】特に、取出し燃焼度として38GWd/t
以上又は45GWd/t以上の高燃焼度側での使用が可
能になるとともに、より効果が顕著となる。
【0023】
【作用】前述した変形は、図2に示す様に六方晶Zr金
属の〈0001〉結晶方位がジルコニウム合金表面に垂
直に配向するために起こる。六方晶Zr金属が中性子照
射を受けると、〈0001〉方向に結晶は収縮し〈00
01〉方向と直角な方向に膨脹する。より厳密に述べる
と、中性子照射によって(0001)面に垂直な原子面
(転位)が導入され、上記結晶の収縮,膨脹が生じる。そ
の結果、〈0001〉結晶方位が表面に垂直に配向した燃料
チャンネルボックスでは長手方向及び幅方向に照射成長
する。炉心中央に近い程中性子照射量は多く、中性子照
射量が異なると照射成長量に差が生じ曲がり変形が原因
となる。照射成長の抑制には〈0001〉結晶方位のランダ
ム化が有効である。照射成長は、体積変化を伴わない変
形である為、多結晶体の個々の結晶粒が特定方向へ変形
しても、その方向はランダムであるので全体的には変形
しないのに等しい。
【0024】結晶方位の配向の定量評価には、通常、反
射及び透過X線回折法の組合わせにより特定結晶面のX
線回折強度を測定し、測定されたX線回折強度から数1
によりF値を算出する方法が一般的である。
【0025】
【数1】
【0026】数1において、φは、特定方向(例えば、
板表面と垂直方向)と特定結晶方位(例えば、〈000
2〉結晶方位)とのなす角度であり、V(φ)は、φ方向
に配向した結晶の体積率である。r方向,t方向,l方
向を、それぞれ互いに直角な板(管)表面の法線方向(F
r),板(管)の長手方向(Ft),板幅(管円周)方向
(Fl)と定義すると、次式 Fr+Ft+Fl=1.0 の関係にあり、完全に結晶方位がランダム化すると、 Fr=Ft=Fl=1/3 となる。
【0027】Fr,Ft及びFlのいずれも0.20〜
0.50となるようにすること、Fr0.25〜0.5
0,Fl0.25〜0.36,Ft0.25〜0.36とす
ることが好ましく、特にいずれも0.31〜0.35が最
も好ましい。
【0028】通常の冷間加工及び焼鈍のくり返しによる
製造プロセスに従って製造された板及び管の(000
2)結晶面(:0001)面と等価)のFr値は0.6
前後となり、〈0001〉結晶方位は、主に板(管)の表
面法線方向に配向している。このように、表面法線方向
に〈0001〉結晶方位が配向した状態を集合組織と言
う。図3は、中性子照射量と照射伸びとの関係につい
て、Fr値をパラメーターとして示す。Fr値が0.5
0以下好ましくは0.45以下になると照射伸びは著し
く減少し、Fr値を0.333〜0.350とすることに
より中性子照射量≧1022(n/cm2)高照射域において
も伸びが実質的に0(ゼロ)となることが分かる。
【0029】Fr値≦0.50 となる集合組織を得る一
手段として、ジルコニウム合金部材をβ相温度範囲(ジ
ルカロイ合金では980℃を越える温度)まで加熱し、
かつβZr結晶粒を十分成長させた後、冷却特に水噴霧
によって急冷する方法である。この処理を行うことによ
り六方晶αZr結晶は立方晶βZr結晶へと変態し、冷
却過程で再び六方晶αZr結晶へと再変態する。この熱
処理において、Fr値0.333〜0.350となる集合
組織を得るにはβZr結晶粒が少なくとも100μm以上
に成長するのが良く、Fr値≦0.50 となる集合組織
を得るにはβZr結晶粒が少なくとも50μm以上500
μm以下、好ましくは150μm以上300μm以下で
ある。β相温度での加熱時間はβ相温度範囲の高温域ほ
ど(好ましくは1100〜1350℃より好ましくは1
100〜1200℃)短時間で加熱することができる。
最高加熱温度での保持時間はほんの短い時間で行うこと
ができ、例えば1.5 秒〜100秒、好ましくは5〜6
0秒である。特に、図8で●印の範囲で行うのが好まし
い。
【0030】α+β相温度範囲の加熱では変態しないα
Zr結晶が残存するため、好ましい集合組織は得られな
い。また、β相温度範囲に加熱してもその保持時間が短
く、かつ加熱温度が低いと好ましい集合組織は得られな
い。その理由は、αZrからβZrへの変態(加熱過
程)及びβZrからαZrへの変態(冷却過程)におい
て、αZrの(0001)結晶面とβ−Zrの(11
0)結晶面とが平行になる結晶方位関係を保持しながら
変態が進行するため、加熱・冷却終了後になんら結晶方
位の変化が生じないからである。ランダムな結晶方位の
配向の集合組織を得るには、種々の結晶方位を有するβ
Zr結晶粒が成長することが必要であり、そのために
は、βZr結晶粒が少なくとも50μm以上に成長する
に十分な温度あるいは保持時間(P値で0.8以上)を
必要とする。
【0031】上述の如く、熱処理によってFr値は変わ
るが、その温度と保持時間で重要な要因である。従っ
て、β相温度領域でFr値が0.50 以下になるように
するには前述の式によって求められるパラメータPが
1.5 以上(βZr結晶粒60μm以上)となるように
することが必要である。
【0032】更に、パラメータPは2.5 〜5(βZr
結晶粒70〜500μm)が好ましく、特に3.2〜5
(βZr結晶粒100〜500μm)が好ましい。
【0033】ジルコニウム基合金として、Sn5重量%
以下及び又はNb5重量%以下、及び残部90重量%以
上(好ましくは95〜98.5 重量%)のZrを有する
ジルコニウム基合金からなる。Sn及びNbはZrの強
度を高めるに必要なもので、前者が3%,後者が5%以
下必要である。下限として、各々0.1 %が好ましい。
ジルカロイ系合金として、Snは1〜2%が好ましく、
特に1.2〜1.7%が好ましい。この合金にはFe0.
5%以下,Cr0.5%以下、又はこのCrとNi0.2
%以下、又はこれらのFeとNiを含むことができ、特
にFe0.1〜0.38%,Cr0.05〜0.15%,N
i0.03〜1.25% を含むもの,Fe0.22〜0.
38%,Cr0.05〜0.15%及びNi0.09〜0.
15%を含むもの,後者のFe及びNiは単独でもよい
が複合が好ましく、(Fe/Ni)比は1.3〜10が
好ましい。
【0034】Nbを含む合金として、Zr−0.5〜2
%Nb,Zr−2〜5%Sn−0.5〜1.5%Nb−
0.5〜1.5%Mo,Zr−0.5〜0.15%Sn−
0.5〜1.5%Nb−0.1〜1.0%Fe,Zr−0.
5〜5.0%Nb−0〜3.0%Sn−2%以下のFe,
Ni,Cr,Ta,Pd,Mo,Wの1種又は2種以上
含む合金が用いられる。
【0035】本発明の製造法として、β相温度領域での
加熱は板材を移動させながら誘導コイルによって連続的
に所望の保持時間加熱すると同時に加熱後に強制的に冷
却するもので、このβ相への加熱によって〈0001〉
方位がランダムになるとともに、高温高圧純水に対して
耐食性の高いものが得られる。冷却は噴水によって行う
のが好ましく、100℃/秒以上特に、150℃/秒以
上の冷却速度とするのがよい。加熱手段として他に赤外
線,電気炉が用いられる。
【0036】β相温度領域での加熱に際してZr基合金
より熱膨脹係数の大きい部材によって固定し拘束して行
うのがよく、特に管状部材の場合にはその内部に部材内
面に全面が接触しないよう熱の影響を少なくして部分的
に接するようにした金属部材を挿入するとともに両端を
互いに固定して加熱,冷却に際して管状部材が変形しな
いようにして加熱及び冷却を行うのが好ましい。このよ
うな拘束部材を設けることによって加熱及び冷却が容易
に行うことができる。拘束部材としてSUS304,316,
347等のZr基合金より熱膨脹係数の大きいオーステ
ナイト系ステンレス鋼が好ましい。
【0037】β領域での加熱処理は板材で行うか管状部
材で行うかのいずれでもよく、板材で行う方法はβ領域
で熱処理後に管状に成形して溶接によって接合される。
【0038】β相熱処理後、次いで全体を均一に加熱す
る焼鈍が行われる。焼鈍は500〜650℃(好ましく
は550〜640℃)で行われる。この焼鈍に際しても
前述の拘束部材によって拘束して行うのが好ましく、そ
れによって管状部材の整形を行うことができる。これら
の熱処理は非酸化性範囲気中で行われ、特にAr中で行
うのが好ましい。
【0039】最終熱処理後は、サンドブラスト及び酸洗
によって表面の酸化皮膜が除去される。酸化皮膜が除去
された後、オートクレーブによって表面が酸化処理さ
れ、表面に安定な酸化皮膜が形成され、最終製品とされ
る。また、前述の両端部で固定するためのネジ穴等の端
部は除去されて使用される。
【0040】本発明のチャンネルボックスは2個のコの
字型部材を突合わせしプラズマ溶接されて角筒とした
後、この溶接部を平坦化して、使用される。この角筒の
熱処理にはX字型の拘束部材を挿入して行うことが好ま
しい。本発明の熱処理は板材の状態,コの字の状態又は
溶接後の角筒の状態のいずれでもよい。板材で熱処理し
たものはコの字に曲げ加工を施し、溶接によって角筒に
して用いられる。
【0041】
【実施例】
(実施例1)ジルコニウム合成板材として、表1に示す
合金組成を有する3種類のジルカロイを使用し、表2に
示す熱処理を施した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】いずれの合金も厚さ2mmの板材であり、受
け入れ前に冷間圧延と650℃,2時間の焼鈍とを繰り
返し施されている。表2に示した熱処理No.2〜4は、
幅:40mm,長さ:40mmの試験片を受け入れ材から切
り出し、電気炉で加熱し、水中で冷却することにより行
ったものである。パラメータPは前述の式によって求め
たものである。
【0045】表3はNo.1〜6熱処理材の(0002)
面(:(0001)面と平行)及び(1010)面(:
(0001)面と垂直)のF値測定結果を示す。F値測
定方法は前述した反射及び透過X線回折法の組合わせに
よって測定される。Frは管状部材において表面に対す
る垂直方向への配向率、Ftは長手方向への配向率、F
lは円周方向への配向率である。
【0046】
【表3】
【0047】通常の冷間圧延と焼鈍とを繰り返して製造
した板材(熱処理No.1)では、(0002)面のFr
値は約0.7と高く、(1010)面のFr値(約0.1
5)はFl,Ft値に比べて低いことから、(000
2)面がほぼ板表面と平行に配向していることが表3の
結果より分かる。α+β相温度範囲への加熱・冷却板材
(熱処理No.2)のF値は受け入れ材(熱処理No.1)
とほぼ等しいことから、α+β相温度範囲への加熱・冷
却では集合組織は変化しないことが分かる。β相温度範
囲(1000℃)に1分間及び5秒保持後冷却した場合
(熱処理No.3,6)は受け入れ材に比べて、(000
2)面のFr値の減少、Fl,Ft値の増加及び(10
10)面のFr値の増加、Fl,Ft値の減少が認めら
れ、結晶方位がランダム化する。しかし、中性子照射量
≧1022(n/cm2)の高照射域においても使用可能とな
る為の目標値であるFr値≦0.35を満足しない。1
000℃で10分間保持した場合(熱処理No.4)及び
1200℃まで加熱温度を高めた場合(熱処理No.5),
(0002),(1010)両面のいずれのF値も約0.33と
なり、結晶方位はほぼ完全にランダム化することが分か
る。前述したように、No.4,5熱処理材は高照射域
で、かつ部材内に中性子照射量の不均一があっても、曲
がり変形,伸び変形が生じない。
【0048】図3は高速中性子照射量と照射成長ひずみ
との関係を示す線図である。図に示す如く、Fr値が
0.4 を越えると中性子照射量の増加とともに急激にひ
ずみが増加するが、0.4 以下では照射を受けてもひず
みは飽和し、増加しないことが分る。特に、Fr=0.
35 のものは<0001>結晶方位が実質的にランダ
ムに配向しているので、法線方向,長手方向及び板厚方
向におけるひずみが各結晶間で互いに相殺されるため
0.5×10-4以下と全く生じない。Fr=0.4のもの
は照射量3×1022n/cm2 まではひずみ量は小さい
が、それ以上の中性子照射量では徐々にひずみが多くな
る。しかし、Fr=0.35 では中性子照射量が増加し
てもひずみの増加は生じない。
【0049】図4はFr値と、高速中性子3×1022
/cm2 の照射による照射成長ひずみとの関係を示す線図
である。Fr値の増加とともにひずみが急激に増加す
る。特に、Fr=0.35 の照射成長のひずみは約0.
2×10-4で、Fr=0.4の約1.5×10-4 の約7
分の1と著しく少ない。また、Fr=0.4はFr=0.
5の約3分の1と著しく少ない。しかし、Fr=0.5
はFr=0.6の約半分、Fr=0.6はFr=0.7の
約半分であり、Frが0.4 を越えると大きな効果は得
られない。
【0050】No.1,3,4の各熱処理材の金属組織で
観察される丸みを帯びた結晶粒はαZrでありβZr結
晶粒は存在しなかった。図4(b)及び(c)において
観察される多角形状の結晶粒がβ相温度範囲加熱保持中
に形成されたβZr結晶粒であり、1000℃保持時間
が1分から10分と長くなるに従って、βZr結晶粒径
が大きく成長することが分かる。βZr結晶粒径内に見
られる層状あるいは針状の組織は、冷却過程でβZrが
再びαZrに変態する際に形成されたものであり、βZ
r結晶粒界ではない。
【0051】図5は、βZr結晶粒径と(0002)面
のFr値との関係を示す。結晶粒径200μm以上にβ
Zr結晶粒が成長することによって、Fr値≦0.35
の集合組織が形成されることが分かる。
【0052】結晶粒を成長させることによって(000
2)面の結晶方位をランダム化することができるが、そ
の方位のランダム化の度合としてFr値0.40 で約7
5%であり、そのときの粒径は約100μmである。1
50μm以上の大きさの結晶粒径とすることにより約8
0%以上にランダム化され、Fr値で0.385 とな
る。更にFr値0.35 でのランダム率は約90%以上
となり、そのときの結晶粒径は約250μm以上とな
る。
【0053】図6はβZr結晶粒径と照射成長ひずみと
の関係を示す線図である。図より、粒径90μm以上で
ひずみ量が約1.5×10-4 と著しく低くなるが、更
に、150μm以上ではひずみは0.5×10-4 以下の
非常に小さなものとなる。特に、200μm以上では
0.3×10-4 程度となる。
【0054】図7はパラメータP=(3.55+logt)
×log(T−980)と照射成長ひずみとの関係を示す
線図である。図に示すように照射成長ひずみは熱処理に
おける温度と保持時間との関係によって決まるパラメー
タPによって大きく左右される。パラメータPはZrの
〈0001〉結晶方位の配向率を決める重要な因子とな
る。1000℃での熱処理ではPが0.5 以上で照射成
長ひずみが急激に小さくなり、更に0.5〜3.5までは
徐々に小さくなり、3.5 以上ではほぼ一定となり零に
近い。Pが3.5 未満では照射成長が起こるが、それ以
上ではほとんど起こらない。
【0055】特に、1.5以上で効果が大きく、3.2〜
5が好ましい。
【0056】図8は、各温度と保持時間における表1及
び表4に示す合金のFr値の関係を示す線図である。図
に示すように980℃未満ではFr値が0.20 以下と
なり〈0002〉方向の結晶方位がランダムなものが得
られにくい。しかし、980℃で、11秒(1000℃
で10.5 秒)以上加熱又は1240℃以上で1.1秒
以上でこれらの点を結ぶ線上以上で加熱すればFr値と
して0.25 を越えるものが得られ、よりランダム度の
高いものが得られる。また、980℃以上で6秒以上及
び1240℃以上で6秒以上で、これらの点を結ぶ線上
以上で加熱すればFr値が0.20より大きく0.25以
下のものが得られる。この線上より低いものはFr値が
0.20 以下となりランダム度が低く伸び量に対する効
果が小さい。
【0057】
【表4】
【0058】(実施例2)図9は、本発明に基づくチャ
ンネル・ボックス製作の1実施例を示す。実施例1で述
べたジルカロイ−C板材をコの字型に冷間曲げ加工し、
長さ4mの2つのコの字型部材とし、これらをプラズマ
溶接し、角筒1とした。溶接部の凹凸は平坦に仕上げら
れる。この角筒1の内部にSUS304ステンレス鋼製マンド
レル2を挿入し、ネジ3で固定し、高周波誘導加熱によ
るβ相温度範囲への加熱及び高周波誘導加熱コイル4の
直下に設けたノズル6から吹き付ける冷却水で急冷し
た。冷却水は温水も使用される。マンドレル2は被加熱
材に対する熱影響を少なくするように接触面積を小さく
するようにしている。角筒1が一定の速度で上方から下
方へコイル内を通過することにより、全体の熱処理が完
了する。加熱温度は1300℃,1200℃で保持時間は2
0秒及び1100℃で保持時間10秒となるように角筒
1の送り速度及び高周波電源5の出力を調整した。熱処
理完了後、幅40mm,長さ40mmの試験片を切り出しX
線回折法によりF値を測定した。表5は、その測定結果
を示す。パラメータPは1300℃が3.26 、120
0℃が3.05及び1100℃が2.07 である。
【0059】
【表5】
【0060】表に示すように(0002),(101
0)両面共に、F値はいずれも1/3となり、完全にラ
ンダムな結晶方位の配向となることが分かる。
【0061】このものの高速中性子照射試験を行った結
果、3×1022n/cm2 でのひずみ量は約0.3×10
-4 以下ときわめて少ないものであった。また、このも
のの結晶粒径は各々100,150及び250μmであ
った。
【0062】この熱処理を施した後、サンドブラスト処
理及び酸洗を行い、表面の酸化膜を除去した後、水蒸気
によるオートクレーブ処理が施される。
【0063】図10は上述のように製作された角筒を使
用したBWR燃料集合体の部分断面図である。
【0064】BWR燃料集合体は、図に示すように、多
数の燃料棒11とそれらを相互の所定の間隔で保持する
スペーサ12、更に、それらを収納する角筒のチャンネ
ルボックス1,燃料被覆管内に燃料ペレットが入った燃
料棒11の両端を保持する上部タイプレート14、及
び、下部タイプレート15、並びに、全体を搬送するた
めのハンドル13から構成される。
【0065】また、これらの燃料集合体の製造に際して
は複雑な製造工程を経ており、各構造共に溶接で組立て
られる。
【0066】燃料チャンネルボックス1は燃料スペーサ
で組込まれた燃料棒11を内部に収納し、上部タイプレ
ート14と下部タイプレート15で燃料棒を固定した状
態で使用される。燃料チャンネルボックスは前述のよう
に二分割したコの字型板加工材をプラズマ溶接で接合し
た角筒形状を呈する。この部材はプラント運転時に燃料
棒で発生した高温水及び蒸気を強制的に上部に導く働き
をさせるものであり、角筒が外側に広がる応力が常時負
荷される状態で長時間使用される。
【0067】燃料集合体用チャンネルボックスは使用中
に高温高圧の炉水にさらされ、かつ、中性子照射を受け
る。また、角筒内部の圧力が外部に比べて高いため、内
圧を受ける。その結果、高温高圧環境下での耐食性,中
性子照射下での高いクリープ変形抵抗が要求される。
【0068】ジルコニウム基合金は、一般に、耐食性が
高く、中性子吸収断面積が小さい。これら特性は原子炉
用燃料集合体用材料として適しており、燃料集合体を構
成する燃料被覆管,チャンネルボックス1,スペーサ1
2等に使用される。使用される具体的なジルコニウム基
合金として、ジルカロイ−2(Sn1.2〜1.7wt
%,Fe0.07〜0.02wt%,Cr0.05〜0.1
5wt%,Ni0.03〜0.08wt%,残Zr )、
ジルカロイ−4(Sn1.2〜1.7wt%,Fe0.1
8〜0.24wt%,Cr0.05〜0.15wt%,残
Zr)、Zr−0.5〜2wt%Nb合金、Zr−2〜5
wt%Sn−0.5〜1.5wt%Nb−0.5〜1.5 w
t%Mo合金、Zr−0.5〜1.5wt%Sn−0.5
〜1.5wt%Nb−0.1〜1.0wt%Fe合金、Z
r−Nb(0.5〜5.0wt%)−Sn−(0〜3.0
wt% )−Fe,Ni,Cr,Ta,Pd,Mo,W
のいずれか1種(2wt%以下)合金等があり、いずれ
かの合金板に対しても本発明は効果が得られることが確
認された。
【0069】前述のジルカロイ合金は沸騰水型原子炉中
で被覆管チャンネルボックス,スペーサに使用される
が、特に、被覆管は局部酸化(ノジュラ腐食)が発生し
易いので、最終冷間加工の前で、最終熱間加工後の間の
いずれかで外表面にのみα+β相又はβ相での焼入れを
施すのが好ましい。特に、最初の冷間加工前に焼入れす
るのが好ましい。焼入れにおける加熱温度は825〜1
100℃が好ましく、加熱時間は1分以内で3〜30秒
が好ましい。
【0070】加熱は誘導コイルによって連続的に行うの
がよく、冷却は加熱に続いて噴水を用いて行うのがよ
い。また管内に水を流しながら加熱するのもよい。ま
た、被覆管は管表面に対して垂直方向の〈0001〉方
位がFr値として0.66 以上とするのが好ましい。そ
の焼入れは結晶方位がランダムにならないように温度と
時間とがコントロールされる。Nbを含むジルコニウム
−ニオブ合金は、強度が高く、クリープ特性に優れ、水
素吸収率が低く、ノジュラ腐食と呼ばれる局部腐食も発
生しない。これらは、燃料集合体部材用材料として好ま
しい特性であるが、溶接部及び熱影響部の腐食が加速さ
れ剥離性の厚い白色酸化物を形成し易い。
【0071】なお、ニオブ−ジルコニウム系多元合金と
して、0.5〜2.0wt%のNbと、1.5 重量%まで
のSnと、Fe,Cr,Mo,V,Cu,Ni及びWか
らなる群から選択された0.25wt% までの第三合金
元素を含むジルコニウム合金は高温蒸気環境内で耐食性
を有する特殊なミクロ構造をもつ。
【0072】これらの合金を用いた本発明のチャンネル
ボックスは前述のように(0002),(1010)の両
面ともにF値を各々1/3になるように加熱保持され、
急冷することによって得られる。その結果、燃焼度32
GWd/t以上のものは勿論、45GWd/t以上のも
のに使用することが出来るとともに、表面に付着したク
ラッドを除くとともに燃料を取替えて再度使用する2サ
イクル用に使用可能であり、変形が少ないため炉心での
使用位置も前と同じ位置で使用可能とする。また、ジル
カロイ合金に限らず前述の合金からなる被覆管に対して
も前述の熱処理及び配向性を施すのがよい。
【0073】被覆管及びチャンネルボックスともいずれ
も焼入を施したものを使用することにより全体として優
れたものが得られる。
【0074】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、燃
料集合体ジルコニウム部材の結晶方位をランダム化出来
るので中性子照射量が1022(n/cm2 )を超える高照
射環境下で使用しても、照射成長、照射成長に起因する
曲がり変形が生じない。その結果、燃料集合体ジルコニ
ウム部材の長期間使用が可能となり、使用済み燃料廃棄
物低減に寄与できる。また、耐食性も向上し燃料集合体
ジルコニウム部材の信頼性向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明板の結晶方位の配向を示す模式図。
【図2】照射成長の機構を示す模式図。
【図3】照射成長ひずみに及ぼす高速中性子照射量、並
びにFr値の影響を示す線図。
【図4】照射成長ひずみとFr値との関係を示す線図。
【図5】Fr値とβZr結晶粒との相関係を示す線図。
【図6】照射成長ひずみとZr結晶粒径との関係を示す
線図。
【図7】照射成長ひずみとパラメータPとの関係を示す
線図。
【図8】Fr値に及ぼす温度と保持時間の関係を示す線
図。
【図9】チャンネルボックスの製造方法を示す装置の構
成図。
【図10】燃料集合体の部分断面図。
【符号の説明】
1…チャンネルボックス、2…マンドル、3…ネジ、4
…高周波誘導加熱コイル、5…高周波電源、6…水吹き
付けノズル、7…溶接部、11…燃料棒、12…スペー
サ、13…ハンドル、14…上部タイプレート、15…
下部タイプレート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 3/324 (72)発明者 木田 利孝 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 大中 紀之 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 石崎 英昭 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 平川 博将 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 牧 英夫 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下を含有し、残部90重量%以上のZrを有するジル
    コニウム基合金板において、該合金の六方晶Zrの〈00
    01〉結晶方位の板表面に対する垂直方向への配向率(F
    r値)が0.20〜0.50であることを特徴とする低照
    射成長ジルコニウム基合金板。
  2. 【請求項2】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下を含有し、残部90重量%以上のZrを有するジル
    コニウム基合金角形筒状部材において、該合金の六方晶
    Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂
    直方向への配向率(Fr値)が0.25〜0.50、筒状
    部材の長手方向への配向率(Ft)が0.25〜0.36及
    び円周方向への配向率(Fl)が0.25〜0.36であ
    ることを特徴とする低照射成長ジルコニウム基合金角形
    筒状部材。
  3. 【請求項3】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下を含有し、残部90重量%以上のZrを有するジル
    コニウム基合金板において、該合金はα相を有し、結晶
    粒径が50〜500μmであることを特徴とする低照射
    成長ジルコニウム基合金板。
  4. 【請求項4】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下を含有し、残部90重量%以上のZrを有するジル
    コニウム基合金板において、該合金はα相を有し、該合
    金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位が実質的にラン
    ダムに配向し、3×1022n/cm2 の高速中性子照射成
    長によるひずみが3×10-4以下であることを特徴とす
    る低照射成長ジルコニウム基合金板。
  5. 【請求項5】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下及び、残部90重量%以上のZrを有するジルコニ
    ウム基合金板において、該合金はα相を有し、該合金の
    六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂
    直方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50である
    ことを特徴とする低照射成長ジルコニウム基合金板。
  6. 【請求項6】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下、及び残部90重量%以上のZrを有するジルコニ
    ウム基合金板をβ相単相温度領域に加熱し、冷却するジ
    ルコニウム基合金板の製造法において、該合金の六方晶
    Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂直方向
    への配向率(Fr値)が0.20〜0.50となるように
    前記β相単相温度領域にて短時間加熱保持後急冷する工
    程を有することを特徴とする低照射成長ジルコニウム基
    合金板の製造法。
  7. 【請求項7】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下、及び残部90重量%以上のZrを有するジルコニ
    ウム基合金板をβ相単相温度領域に加熱し、冷却するジ
    ルコニウム基合金板の製造法において、前記β相単相温
    度領域での加熱を次式によって求められるパラメータP
    の値が0.8 以上となるように短時間保持し、急冷する
    工程を有することを特徴とする低照射成長ジルコニウム
    基合金板の製造法。 P=(3.55+t)×log(T−980) (t:加熱時間(h),T:加熱温度(℃))
  8. 【請求項8】Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%
    以下、及び残部90重量%以上のZrを有するジルコニ
    ウム基合金角形筒状部材を局部的にβ相単相温度領域に
    誘導加熱によって連続的に加熱するとともに該加熱され
    た部分を冷媒によって強制的に冷却するジルコニウム基
    合金角形筒状部材の製造法において、前記合金の六方晶
    Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂
    直方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50となる
    ように前記β相単相温度領域にて短時間加熱保持後急冷
    する工程を有することを特徴とする低照射成長ジルコニ
    ウム基合金角形筒部材の製造法。
  9. 【請求項9】ジルコニウム基合金管状部材をβ相温度領
    域に局部的に誘導加熱によって相対的に移動させながら
    連続的に加熱するとともに該加熱された部分を冷媒によ
    って強制的に冷却するジルコニウム基合金管状部材の製
    造法において、前記管状部材内に前記合金より熱膨脹係
    数が大きい金属部材からなるマンドレルを挿入し、前記
    管状部材の少なくとも両端で管状部材をマンドレルとを
    固着した状態で前記管状部材の外表面より加熱保持後急
    冷する工程を有することを特徴とするジルコニウム基合
    金管状部材の製造法。
  10. 【請求項10】2個のコの字型ジルコニウム基合金部材
    を用いて溶接接続された角形筒状部材からなる燃料チャ
    ンネルボックスにおいて、前記合金の六方晶Zrの〈00
    01〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直方向への配向
    率(Fr値)が0.20〜0.50であり、前記筒状部材全
    表面にオートクレーブ処理による酸化皮膜が形成されて
    いることを特徴とする燃料チャンネルボックス。
  11. 【請求項11】燃料ペレットを燃料被覆管内に内蔵した
    燃料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネルボック
    ス、該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を仕切る
    スペーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下部に設
    けられた上部格子板及び下部格子板を備えた燃料集合体
    において、前記チャンネルボックスはSn5重量%以下
    及び/又はNb5重量%以下、残部90重量%以上のZ
    rを有するジルコニウム基合金板からなり、該合金の六
    方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に対する垂直
    方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50であること
    を特徴とする燃料集合体。
  12. 【請求項12】複数本の原子燃料棒を配置するジルコニ
    ウム基合金からなるチャンネルボックスの使用方法にお
    いて、前記合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の
    筒状部材表面に対する垂直方向への配向率(Fr値)が
    0.20〜0.50であり、少なくとも2回原子燃料を取
    替えて使用することを特徴とする原子燃料チャンネルボ
    ックスの使用方法。
  13. 【請求項13】2個のコの字型ジルコニウム基合金部材
    を用いて溶接接続された筒状部材からなる燃料チャンネ
    ルボックスの使用方法において、前記合金の六方晶Zr
    の〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直方
    向への配向率(Fr値)が0.20〜0.50であり、前
    記筒状部材全表面にオートクレーブ処理による酸化皮膜
    が形成され、取出燃焼度32GWd/t以上又は少なく
    とも2回原子燃料を交換して使用することを特徴とする
    燃料チャンネルボックスの使用方法。
  14. 【請求項14】燃料ペレットを燃料被覆管内に内蔵した
    燃料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネルボック
    ス、該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を仕切る
    スペーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下部に設
    けられた上部格子板及び下部格子板を備えた燃料集合体
    の使用方法において、前記チャンネルボックスはSn5
    重量%以下及び/又はNb5重量%以下、残部90重量
    %以上のZrを有するジルコニウム基合金板からなり、
    該合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の板表面に
    対する垂直方向への配向率(Fr値)が0.20〜0.5
    0あり、取出燃焼度32GWd/t以上又は少なくとも
    2回原子燃料を取替えて使用することを特徴とする燃料
    集合体の使用方法。
  15. 【請求項15】複数本の原子燃料棒を配置するジルコニ
    ウム基合金からなるチャンネルボックスにおいて、前記
    合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材表
    面に対する垂直方向への配向率(Fr値)が0.20〜
    0.50であり、取出燃焼度32GWd/t以上又は中
    性子照射量で、1022n/cm以上受ける期間使用するこ
    とを特徴とするチャンネルボックスの使用方法。
  16. 【請求項16】炉心内にジルコニウム基合金の筒状体よ
    りなる複数の原子燃料チャンネルボックスを備え、所定
    期間運転後に燃料を取換え、引き続いて所定期間運転す
    る原子炉の運転方法において、前記合金の六方晶Zrの
    〈0001〉結晶方位の筒状体表面に対する垂直方向へ
    の配向率(Fr値)が0.20〜0.50であり、取出燃
    焼度32GWd/t以上の運転又は前記後の運転時の前
    記チャンネルボックスの位置を前の運転時の位置と同じ
    に配置して少なくとも2回燃料を取替えて運転すること
    を特徴とする原子炉の運転方法。
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