JP3492881B2 - 燃料チャンネルボックス及び燃料集合体 - Google Patents

燃料チャンネルボックス及び燃料集合体

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JP3492881B2
JP3492881B2 JP10128297A JP10128297A JP3492881B2 JP 3492881 B2 JP3492881 B2 JP 3492881B2 JP 10128297 A JP10128297 A JP 10128297A JP 10128297 A JP10128297 A JP 10128297A JP 3492881 B2 JP3492881 B2 JP 3492881B2
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紀之 大中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な燃料チャンネルボ
ックス及び燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】ジルコニウム合金は優れた耐食性と小さ
い中性子吸収断面積を有する材料であるため原子炉燃料
集合体部材に使用されている。前記用途にはジルカロイ
−2,ジルカロイ−4とよばれるZr−Sn−Fe−C
r−Ni合金が主に使用されている。これら合金の原子
炉内で長期間使用すると、図2に示すように(0001)面が
板厚方向に配向しているので、特定方向への伸び及び曲
がり変形が生じる。燃料チャンネルボックスに曲がり変
形が発生すると、制御棒が駆動するための間隙をふさぐ
ため原子炉の運転に支障をきたす。また、曲がり変形が
生じると、燃料被覆管との間隔が変化し局部的に水対ウ
ランの比率が増減する為、核分裂反応度が変化する。こ
の結果、異常発熱による燃料被覆管の腐食加速、さらに
は燃料破損の原因にも成りうる。このような中性子照射
量の不均一に起因する燃料チャンネルボックスに曲がり
変形を防止する為、炉心における燃料集合体装荷位置の
入れ替えによる中性子照射量の均一化が検討されている
が、曲がり変形を防止するは至らず、この曲がり変形に
よる制御棒駆動間隙の減少、核分裂反応度の変化が燃料
チャンネルボックスの寿命を制限する主因子となってい
る。
【0003】燃料チャンネルボックスの腐食もその寿命
を制限する因子である。耐食性の改善方法としてZr合
金をα+β相温度範囲あるいはβ相温度範囲から急冷す
る熱処理が特公昭56−12310 号,特公昭60−44387 号に
開示されている。しかし、後述する理由により照射成長
に起因する曲がり変形を低減出来ない為、ジルコニウム
合金部材の照射成長抑制技術とはなり得ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、ジル
コニウム合金部材の結晶粒度,配向,機械特性等は熱処
理によって変化させず、耐食性のみを改善するものであ
る。その結果、結晶粒の粗大化が生じるβ相温度範囲
(≧980℃)よりもα+β相温度範囲(800〜98
0℃)への加熱・急冷が実施され、照射成長抑制に重要
な因子である結晶方位はこの熱処理では変化しない為、
ジルコニウム合金部材の照射成長抑制技術とはならなか
った。特開昭59−229475号にはFl値を0.15〜0.5
に配向させる方法が開示されている。しかし、この方法
も後述する理由により照射成長抑制技術とはならず、む
しろ照射成長を促進する。
【0005】本発明の目的は前述した中性子照射成長に
起因する伸び,曲がり変形が少ない燃料チャンネルボッ
クス及び燃料集合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定の組成を
有するジルコニウム合金板材からなる燃料チャンネルボ
ックスはその六方晶Zr金属の〈0001〉結晶方位を
図1に示す様にほぼ完全にランダム化すれば照射成長に
起因する曲がり変形を押さえることができるものであ
る。
【0007】 本発明は、冷間圧延と焼鈍とによって形
成され、Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%以下
と、Fe0 . 5重量%以下とを含有し、残部90重量%
以上のZrを有するジルコニウム基合金板が所望の形状
に加工後溶接によって形成された角形筒状部材からなる
燃料チャンネルボックスにおいて、該チャンネルボック
スはβ相単相温度領域で加熱保持後冷媒によって強制的
に急冷される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前
記焼入れにおける加熱保持時間は前記合金の六方晶Zr
の〈0001〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂
直方向への配向率(Fr値)が0.26〜0.40となる
ように調整されていることを特徴とする。
【0008】本発明は、前述の合金板の六方晶Zrの
〈0001〉結晶方位は筒状部材の長手方向への配向率
(Ft)及び円周方向への配向率(Fl)がいずれも
0.20〜0.50であることが好ましい。
【0009】本発明は、前述の合金板がα相を有し、結
晶粒径が0〜500μmであることが好ましい。
【0010】本発明は、前述の合金板がα相を有し、該
合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位が実質的にラ
ンダムに配向し、3×1022n/cm2 の高速中性子照射
を受けることによって成長するひずみが3×10-4以下
であることが好ましい。
【0011】
【0012】 本発明は、冷間圧延と焼鈍とによって形
成され、Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%以下
と、Fe0 . 5重量%以下とを含有し、残部90重量%
以上のZrを有するジルコニウム基合金板が所望の形状
に加工後溶接によって形成された角形筒状部材からなる
燃料チャンネルボックスにおいて、該チャンネルボック
スは局部的にβ相単相温度領域に誘導加熱コイルによっ
て互いに相対的に移動しながら連続的に加熱保持後冷媒
によって強制的に急冷する焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍
が施され、前記焼入れにおける加熱保持時間は前記β相
単相温度領域での温度で前記合金の六方晶Zrの〈00
01〉晶方位の筒状部材表面に対する垂直方向への配向
率(Fr値)が0.26〜0.40となるように調整され
ていることを特徴とする。
【0013】 本発明は、冷間圧延と焼鈍とによって形
成され、Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%以下
と、Fe0 . 5重量%以下とを含有し、残部90重量%
以上のZrを有するジルコニウム基合金板を所望の形状
に加工後溶接によって形成された角形筒状部材からなる
燃料チャンネルボックスにおいて、該チャンネルボック
スはβ相単相温度領域に局部的に誘導加熱コイルによっ
て互いに相対的に移動させながら連続的に加熱保持する
とともに該加熱保持された部分を冷媒によって強制的に
急冷される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記
焼入れにおける加熱保持時間は前記β相温度領域での温
度で前記合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の前
記筒状部材表面に対する垂直方向への配向率(Fr値)が
0.26〜0.40となるように調整され、前記焼鈍は前
記チャンネルボックス内に前記合金より熱膨脹係数が大
きい金属部材からなるマンドレルが挿入され、少なくと
も両端で前記マンドレルに固着した状態で加熱保持され
ることを特徴とする。
【0014】 本発明は、冷間圧延と焼鈍とによって形
成され、Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%以下
と、Fe0 . 5重量%以下とを含有し、残部90重量%
以上のZrを有するジルコニウム基合金板をコの字型に
成形加工し、次いで溶接によって形成された角形筒状部
材からなる燃料チャンネルボックスにおいて、該チャン
ネルボックスはβ相温度領域に加熱保持されるとともに
該加熱保持された部分を冷媒によって強制的に急冷され
る焼入れ、その後の焼鈍及び該焼鈍後、全表面にオート
クレーブ処理による酸化皮膜が形成され、前記焼入れに
おける加熱保持時間は前記β相温度領域での温度で前記
合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の筒状部材表
面に対する垂直方向への配向率(Fr値)が0.26〜
0.40となるように調整されていることを特徴とす
る。
【0015】 本発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内
に内蔵した燃料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネ
ルボックス、該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間
を仕切るスペーサ、前記チャンネルボックスの上部及び
下部に設けられた上部格子板及び下部格子板を備え、前
記チャンネルボックスは冷間圧延と焼鈍とによって形成
され、Sn5重量%以下及び/又はNb5重量%以下
と、Fe0 . 5重量%以下とを含有し、残部90重量%
以上のZrを有するジルコニウム基合金板を所望の形状
に加工後溶接によって形成された角形筒状部材からな
り、該部材はβ相単相温度領域で加熱保持後冷媒によっ
て強制的に急冷される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施
され、前記焼入れにおける加熱保持時間は前記β相単相
温度領域での温度で前記合金の六方晶Zrの〈000
1〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直方向への
配向率(Fr値)が0.26〜0.40であることに加
え、更に長手方向への配向率(Ft値)及び周方向への
配向率(Fl値)がいずれも0.20〜0.50となるよ
うに調整されていること、又、更に結晶粒径が90〜5
00μmであることを特徴とし、3×1022n/cm2
中性子照射を受けることによって成長する歪みが3×1
- 以下であることが好ましい。
【0016】本発明は、1回の原子燃料の装填によって
取出燃焼度32GWd/t以上の運転又は少なくとも1
回前記原子燃料を取替えて運転する燃料チャンネルボッ
クスの使用に好ましい。
【0017】本発明は、1回の原子燃料の装填によって
取出燃焼度32GWd/t以上の運転又は少なくとも1
回原子燃料を交換して運転する燃料チャネルボックスの
使用に際して、前の運転位置と同じ位置に配置するのが
好ましい。
【0018】本発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内に
内蔵した燃料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネル
ボックス、該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を
仕切るスペーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下
部に設けられた上部格子板及び下部格子板を備え、1回
の原子燃料の装填によって取出燃焼度38GWd/t以
上又は45GWd/t以上の運転に用いるのが好まし
い。
【0019】本発明は、1回の原子燃料の装填によって
中性子照射量で3×1022n/cm以上の運転を行う燃料
チャンネルボックスの使用に好ましい。
【0020】本発明は、1回の原子燃料の装填によって
取出燃焼度32GWd/t以上の運転後、前記チャンネ
ルボックスの位置を前の運転時の位置と同じに配置して
少なくとも1回燃料を取替えて運転することが好まし
い。
【0021】特に、本発明は、取出し燃焼度として38
GWd/t以上又は45GWd/t以上の高燃焼度側で
の使用において、より効果が顕著となる。
【0022】
【作用】前述した変形は、図2に示す様に六方晶Zr金
属の〈0001〉結晶方位がジルコニウム合金表面に垂
直に配向するために起こる。六方晶Zr金属が中性子照
射を受けると、〈0001〉方向に結晶は収縮し〈00
01〉方向と直角な方向に膨脹する。より厳密に述べる
と、中性子照射によって(0001)面に垂直な原子面
(転位)が導入され、上記結晶の収縮,膨脹が生じる。そ
の結果、〈0001〉結晶方位が表面に垂直に配向した燃料
チャンネルボックスでは長手方向及び幅方向に照射成長
する。炉心中央に近い程中性子照射量は多く、中性子照
射量が異なると照射成長量に差が生じ曲がり変形が原因
となる。照射成長の抑制には〈0001〉結晶方位のランダ
ム化が有効である。照射成長は、体積変化を伴わない変
形である為、多結晶体の個々の結晶粒が特定方向へ変形
しても、その方向はランダムであるので全体的には変形
しないのに等しい。
【0023】結晶方位の配向の定量評価には、通常、反
射及び透過X線回折法の組合わせにより特定結晶面のX
線回折強度を測定し、測定されたX線回折強度から数1
によりF値を算出する方法が一般的である。
【0024】
【数1】
【0025】数1において、φは、特定方向(例えば、
板表面と垂直方向)と特定結晶方位(例えば、〈000
2〉結晶方位)とのなす角度であり、V(φ)は、φ方向
に配向した結晶の体積率である。r方向,t方向,l方
向を、それぞれ互いに直角な板(管)表面の法線方向(F
r),板(管)の長手方向(Ft),板幅(管円周)方向
(Fl)と定義すると、次式 Fr+Ft+Fl=1.0 の関係にあり、完全に結晶方位がランダム化すると、 Fr=Ft=Fl=1/3 となる。
【0026】Fr0.26〜0.40,Ft及びFlの
いずれも0.20〜0.50となるようにすること、Fr
0.2〜0.0,Fl0.25〜0.36,Ft0.2
5〜0.36とすることが好ましく、特にいずれも0.3
1〜0.35が最も好ましい。
【0027】通常の冷間加工及び焼鈍のくり返しによる
製造プロセスに従って製造された板及び管の(000
2)結晶面(:0001)面と等価)のFr値は0.6
前後となり、〈0001〉結晶方位は、主に板(管)の表
面法線方向に配向している。このように、表面法線方向
に〈0001〉結晶方位が配向した状態を集合組織と言
う。図3は、中性子照射量と照射伸びとの関係につい
て、Fr値をパラメーターとして示す。Fr値が0.
0以下になると照射伸びは著しく減少し、Fr値を0.
333〜0.350とすることにより中性子照射量≧1
22(n/cm2)高照射域においても伸びが実質的に0
(ゼロ)となることが分かる。
【0028】Fr値≦0.0 となる集合組織を得る一
手段として、ジルコニウム合金部材をβ相温度範囲(ジ
ルカロイ合金では980℃を越える温度)まで加熱し、
かつβZr結晶粒を十分成長させた後、冷却時に水噴霧
によって急冷する方法である。この処理を行うことによ
り六方晶αZr結晶は立方晶βZr結晶へと変態し、冷
却過程で再び六方晶αZr結晶へと再変態する。この熱
処理において、Fr値0.333〜0.350となる集合
組織を得るにはβZr結晶粒が少なくとも100μm以上
に成長するのが良く、Fr値≦0.0 となる集合組織
を得るにはβZr結晶粒が少なくとも0μm以上500
μm以下、好ましくは150μm以上300μm以下で
ある。β相温度での加熱時間はβ相温度範囲の高温域ほ
ど(好ましくは1100〜1350℃より好ましくは1
100〜1200℃)短時間で加熱することができる。
最高加熱温度での保持時間はほんの短い時間で行うこと
ができ、例えば1.5 秒〜600秒、好ましくは5〜1
00秒である。特に、図7で●印の範囲で行うのが好ま
しい。
【0029】α+β相温度範囲の加熱では変態しないα
Zr結晶が残存するため、好ましい集合組織は得られな
い。また、β相温度範囲に加熱してもその保持時間が短
く、かつ加熱温度が低いと好ましい集合組織は得られな
い。その理由は、αZrからβZrへの変態(加熱過
程)及びβZrからαZrへの変態(冷却過程)におい
て、αZrの(0001)結晶面とβ−Zrの(11
0)結晶面とが平行になる結晶方位関係を保持しながら
変態が進行するため、加熱・冷却終了後になんら結晶方
位の変化が生じないからである。ランダムな結晶方位の
配向の集合組織を得るには、種々の結晶方位を有するβ
Zr結晶粒が成長することが必要であり、そのために
は、βZr結晶粒が少なくとも0μm以上に成長する
に十分な温度と保持時間を調整するものである。
【0030】上述の如く、熱処理によってFr値は変わ
るが、その温度と保持時間が重要な要因である。従っ
て、β相温度領域でFr値が0.0 以下になるように
するには、βZr結晶粒0μm以上となるようにす
【0031】更に、βZr結晶粒が0〜500μmと
なるように、特にβZr結晶粒が100〜500μmと
なるように焼き入れ温度及び時間を設定するのが好まし
い。
【0032】 本発明に係るジルコニウム基合金とし
て、Sn5重量%以下及び又はNb5重量%以下と、F
e0 . 5重量%以下とを含有し、及び残部90重量%以
上(好ましくは95〜98.5重量%)のZrを有するジ
ルコニウム基合金からなる。Sn及びNbはZrの強度
を高めるに必要なもので、前者が3%、後者が5%以下
必要である。下限として、各々0.1%が好ましい。特
に、ジルカロイ系合金として、Snは1〜2%が好まし
く、特に1.2〜1.7%が好ましい。この合金にはC
0.5%以下、又はこのCrとNi0.2%以下を含むこ
とができ、特にFe0.1〜0.38%、Cr0.05〜
0.15%、Ni0.03〜1.25%を含むもの、Fe
0.22〜0.38%、Cr0.05〜0.15%及びNi
0.09〜0.15%を含むもの、後者のFe及びNi
合が好ましく、(Fe/Ni)比は1.3〜10が好まし
い。
【0033】 更に、本発明に係るNbを含むジルコニ
ウム基合金として、重量で、Zr-0.5〜0.15%S
n-0.5〜1.5%Nb-0.1〜1.0%Fe、Zr-0.
5〜5.0%Nb-0〜3.0%Sn-2%以下のFeに2
%以下のNi、Cr、Ta、Pd、Mo、Wの1種また
は2種以上を含む合金が好ましい。
【0034】本発明の製造法として、前述の如くβ相温
度領域での加熱は板材を移動させながら誘導コイルによ
って連続的に所望の保持時間加熱すると同時に加熱後に
強制的に冷却するもので、このβ相への加熱によって
〈0001〉方位がランダムになるとともに、高温高圧
純水に対して耐食性の高いものが得られる。冷却は噴水
によって行うのが好ましく、100℃/秒以上特に、1
50℃/秒以上の冷却速度とするのがよい。加熱手段と
して他に赤外線,電気炉が用いられる。
【0035】β相温度領域での加熱に際してZr基合金
より熱膨脹係数の大きい部材によって固定し拘束して行
うのがよく、特に管状部材の場合にはその内部に部材内
面に全面が接触しないよう熱の影響を少なくして部分的
に接するようにした金属部材を挿入するとともに両端を
互いに固定して加熱,冷却に際して管状部材が変形しな
いようにして加熱及び冷却を行うのが好ましい。このよ
うな拘束部材を設けることによって加熱及び冷却が容易
に行うことができる。拘束部材としてSUS304,316,
347等のZr基合金より熱膨脹係数の大きいオーステ
ナイト系ステンレス鋼が好ましい。
【0036】本発明は、β相熱処理後、次いで全体を均
一に加熱する焼鈍が行われる。焼鈍は500〜650℃
(好ましくは550〜640℃)で行われる。この焼鈍
に際しても前述の拘束部材によって拘束して行うのが好
ましく、それによって管状部材の整形を行うことができ
る。これらの熱処理は非酸化性範囲気中で行われ、特に
Ar中で行うのが好ましい。
【0037】最終熱処理後は、サンドブラスト及び酸洗
によって表面の酸化皮膜が除去される。酸化皮膜が除去
された後、オートクレーブによって表面が酸化処理さ
れ、表面に安定な酸化皮膜が形成され、最終製品とされ
る。また、前述の両端部で固定するためのネジ穴等の端
部は除去されて使用される。
【0038】本発明のチャンネルボックスは2個のコの
字型部材を突合わせしプラズマ溶接されて角筒とした
後、この溶接部を平坦化して、使用される。この角筒の
熱処理にはX字型の拘束部材を挿入して行うことが好ま
しい。
【0039】
【実施例】ジルコニウム合成板材として、表1に示す合
金組成を有する3種類のジルカロイを使用し、表2に示
す熱処理を施した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】いずれの合金も厚さ2mmの板材であり、受
け入れ前に冷間圧延と650℃,2時間の焼鈍とを繰り
返し施されている。表2に示した熱処理No.2〜4は、
幅:40mm,長さ:40mmの試験片を受け入れ材から切
り出し、電気炉で加熱し、水中で冷却することにより行
ったものである。No.1No.2及びNo.3は比較のも
の、No.〜6は本発明に係るものである。
【0043】表3はNo.1〜6熱処理材の(0002)
面(:(0001)面と平行)及び(1010)面(:
(0001)面と垂直)のF値測定結果を示す。F値測
定方法は前述した反射及び透過X線回折法の組合わせに
よって測定される。Frは管状部材において表面に対す
る垂直方向への配向率、Ftは長手方向への配向率、F
lは円周方向への配向率である。
【0044】
【表3】
【0045】通常の冷間圧延と焼鈍とを繰り返して製造
した板材(熱処理No.1)では、(0002)面のFr
値は約0.7と高く、(1010)面のFr値(約0.1
5)はFl,Ft値に比べて低いことから、(000
2)面がほぼ板表面と平行に配向していることが表3の
結果より分かる。α+β相温度範囲への加熱・冷却板材
(熱処理No.2)のF値は受け入れ材(熱処理No.1)
とほぼ等しいことから、α+β相温度範囲への加熱・冷
却では集合組織は変化しないことが分かる。β相温度範
囲(1000℃)に1分間及び5秒保持後冷却した場合
(熱処理No.3,6)は受け入れ材に比べて、(000
2)面のFr値の減少、Fl,Ft値の増加及び(10
10)面のFr値の増加、Fl,Ft値の減少が認めら
れ、結晶方位がランダム化する。しかし、中性子照射量
≧1022(n/cm2)の高照射域においても使用可能とな
る為の目標値であるFr値≦0.35 を満足しない。1
000℃で10分間保持した場合(熱処理No.4)及び
1200℃まで加熱温度を高めた場合(熱処理No.5),
(0002),(1010)両面のいずれのF値も約0.33と
なり、結晶方位はほぼ完全にランダム化することが分か
る。前述したように、No.4,5熱処理材は高照射域
で、かつ部材内に中性子照射量の不均一があっても、曲
がり変形,伸び変形が生じない。
【0046】図3は高速中性子照射量と照射成長ひずみ
との関係を示す線図である。図に示す如く、Fr値が
0.4 を越えると中性子照射量の増加とともに急激にひ
ずみが増加するが、0.4 以下では照射を受けてもひず
みは飽和し、増加しないことが分る。特に、Fr=0.
35 のものは<0001>結晶方位が実質的にランダ
ムに配向しているので、法線方向,長手方向及び板厚方
向におけるひずみが各結晶間で互いに相殺されるため
0.5×10-4以下と全く生じない。Fr=0.4のもの
は照射量3×1022n/cm2 まではひずみ量は小さい
が、それ以上の中性子照射量では徐々にひずみが多くな
る。しかし、Fr=0.35 では中性子照射量が増加し
てもひずみの増加は生じない。
【0047】図4はFr値と、高速中性子3×1022
/cm2 の照射による照射成長ひずみとの関係を示す線図
である。Fr値の増加とともにひずみが急激に増加す
る。特に、Fr=0.35 の照射成長のひずみは約0.
2×10-4で、Fr=0.4の約1.5×10-4 の約7
分の1と著しく少ない。また、Fr=0.4はFr=0.
5の約3分の1と著しく少ない。しかし、Fr=0.5
はFr=0.6の約半分、Fr=0.6はFr=0.7の
約半分であり、Frが0.4 を越えると大きな効果は得
られない。
【0048】No.1,3,4の各熱処理材の金属組織で
観察される丸みを帯びた結晶粒はαZrでありβZr結
晶粒は存在しなかった。図4(b)及び(c)において
観察される多角形状の結晶粒がβ相温度範囲加熱保持中
に形成されたβZr結晶粒であり、1000℃保持時間
が1分から10分と長くなるに従って、βZr結晶粒径
が大きく成長することが分かる。βZr結晶粒径内に見
られる層状あるいは針状の組織は、冷却過程でβZrが
再びαZrに変態する際に形成されたものであり、βZ
r結晶粒界ではない。
【0049】図5は、βZr結晶粒径と(0002)面
のFr値との関係を示す。結晶粒径200μm以上にβ
Zr結晶粒が成長することによって、Fr値≦0.35
の集合組織が形成されることが分かる。
【0050】結晶粒を成長させることによって(000
2)面の結晶方位をランダム化することができるが、そ
の方位のランダム化の度合としてFr値0.40 で約7
5%であり、そのときの粒径は約100μmである。1
50μm以上の大きさの結晶粒径とすることにより約8
0%以上にランダム化され、Fr値で0.385 とな
る。更にFr値0.35 でのランダム率は約90%以上
となり、そのときの結晶粒径は約250μm以上とな
る。
【0051】図6はβZr結晶粒径と照射成長ひずみと
の関係を示す線図である。図より、粒径90μm以上で
ひずみ量が約1.5×10-4 と著しく低くなるが、更
に、150μm以上ではひずみは0.5×10-4 以下の
非常に小さなものとなる。特に、200μm以上では
0.3×10-4 程度となる。
【0052】図7は、焼入れの各温度と保持時間におけ
る表1及び表4に示す合金の(0002)面のFl値の
関係を示す線図である。図に示すように、980℃未満
ではFt値が0.20以下となり、結晶方位がランダム
なものが得られにくい。しかし、1000℃で10.5
秒以上の加熱又は、1240℃以上で2秒以上との点を
結ぶ線以上で加熱すればFl値として0.25を越える
ものが得られ、ランダム度の高いものが得られる。
【0053】Zrの<0001>結晶方位の配向率は、
前述のように、焼き入れにおける温度とその加熱時間に
よって決定することが出来る。従って、照射成長ひずみ
は熱処理における温度と保持時間との関係によって決ま
る重要な因子となる。1000℃での熱処理では照射成
長歪みが急激に小さくなり、更に加熱温度を高めること
により照射成長歪みは徐々に小さくなり、No.4及び
5のように、1000℃で10分、1200℃で1分の
加熱により、照射成長歪みはほぼ一定となり零に近いも
のとなる。
【0054】
【表4】
【0055】図8は、本発明に基づいて製作されるチャ
ンネル・ボックスの1実施例を示す。表1で述べたジル
カロイ−C板材をコの字型に冷間曲げ加工し、長さ4m
の2つのコの字型部材とし、これらをプラズマ溶接し、
角筒1とした。溶接部の凹凸は平坦に仕上げられる。こ
の角筒1の内部にSUS304ステンレス鋼製マンドレル2を
挿入し、ネジ3で固定し、高周波誘導加熱によるβ相温
度範囲への加熱及び高周波誘導加熱コイル4の直下に設
けたノズル6から吹き付ける冷却水で急冷した。冷却水
は温水も使用される。マンドレル2は被加熱材に対する
熱影響を少なくするように接触面積を小さくするように
している。角筒1が一定の速度で上方から下方へコイル
内を通過することにより、ランダム化の熱処理が完了す
る。加熱温度は1300℃,1200℃で保持時間は2
0秒及び1100℃で保持時間10秒となるように角筒
1の送り速度及び高周波電源5の出力を調整した。熱処
理完了後、幅40mm,長さ40mmの試験片を切り出
しX線回折法によりF値を測定した。表5は、その測定
結果を示す。尚、ランダム化熱処理後には焼鈍が行われ
る。
【0056】
【表5】
【0057】表に示すように(0002),(101
0)両面共に、F値はいずれも1/3となり、完全にラ
ンダムな結晶方位の配向となることが分かる。
【0058】このものの高速中性子照射試験を行った結
果、3×1022n/cm2 でのひずみ量は約0.3×10
-4 以下ときわめて少ないものであった。また、このも
のの結晶粒径は各々100,150及び250μmであ
った。
【0059】この熱処理を施した後、サンドブラスト処
理及び酸洗を行い、表面の酸化膜を除去した後、水蒸気
によるオートクレーブ処理が施される。
【0060】図9は上述のように製作された角筒を使用
したBWR燃料集合体の部分断面図である。
【0061】BWR燃料集合体は、図に示すように、多
数の燃料棒11とそれらを相互の所定の間隔で保持する
スペーサ12、更に、それらを収納する角筒のチャンネ
ルボックス1,燃料被覆管内に燃料ペレットが入った燃
料棒11の両端を保持する上部タイプレート14、及
び、下部タイプレート15、並びに、全体を搬送するた
めのハンドル13から構成される。
【0062】また、これらの燃料集合体の製造に際して
は複雑な製造工程を経ており、各構造共に溶接で組立て
られる。
【0063】燃料チャンネルボックス1は燃料スペーサ
で組込まれた燃料棒11を内部に収納し、上部タイプレ
ート14と下部タイプレート15で燃料棒を固定した状
態で使用される。燃料チャンネルボックスは前述のよう
に二分割したコの字型板加工材をプラズマ溶接で接合し
た角筒形状を呈する。この部材はプラント運転時に燃料
棒で発生した高温水及び蒸気を強制的に上部に導く働き
をさせるものであり、角筒が外側に広がる応力が常時負
荷される状態で長時間使用される。
【0064】燃料集合体用チャンネルボックスは使用中
に高温高圧の炉水にさらされ、かつ、中性子照射を受け
る。また、角筒内部の圧力が外部に比べて高いため、内
圧を受ける。その結果、高温高圧環境下での耐食性,中
性子照射下での高いクリープ変形抵抗が要求される。
【0065】 ジルコニウム基合金は、一般に、耐食性
が高く、中性子吸収断面積が小さい。これら特性は原子
炉用燃料集合体用材料として適しており、燃料集合体を
構成する燃料被覆管、チャンネルボックス1、スペーサ
12等に使用される。使用される具体的なジルコニウム
基合金として、ジルカロイ-2(Sn1.2〜1.7wt
%、Fe0.07〜0.02wt%、Cr0.05〜0.1
5wt%、Ni0.03〜0.08wt%、残Zr)、ジ
ルカロイ-4(Sn1.2〜1.7wt%、Fe0.18〜
0.24wt%、Cr0.05〜0.15wt%、残Z
r)、Zr-0.5〜1.5wt%Sn-0.5〜1.5wt
%Nb-0.1〜1.0wt%Fe合金、Zr-0.5〜5.
0wt%Nb-0〜3.0wt%Sn-2wt%以下の
eの合金等があり、いずれかの合金板に対しても本発明
は効果が得られることが確認された。
【0066】前述のジルカロイ合金は沸騰水型原子炉中
で被覆管チャンネルボックス,スペーサに使用される
が、特に、被覆管は局部酸化(ノジュラ腐食)が発生し
易いので、最終冷間加工の前で、最終熱間加工後の間の
いずれかで外表面にのみα+β相又はβ相での焼入れを
施すのが好ましい。特に、最初の冷間加工前に焼入れす
るのが好ましい。焼入れにおける加熱温度は825〜1
100℃が好ましく、加熱時間は1分以内で3〜30秒
が好ましい。
【0067】加熱は誘導コイルによって連続的に行うの
がよく、冷却は加熱に続いて噴水を用いて行うのがよ
い。また管内に水を流しながら加熱するのもよい。ま
た、被覆管は管表面に対して垂直方向の〈0001〉方
位がFr値として0.66 以上とするのが好ましい。そ
の焼入れは結晶方位がランダムにならないように温度と
時間とがコントロールされる。Nbを含むジルコニウム
−ニオブ合金は、強度が高く、クリープ特性に優れ、水
素吸収率が低く、ノジュラ腐食と呼ばれる局部腐食も発
生しない。これらは、燃料集合体部材用材料として好ま
しい特性であるが、溶接部及び熱影響部の腐食が加速さ
れ剥離性の厚い白色酸化物を形成し易い。
【0068】 なお、ニオブージルコニウム系多元合金
として、0.5〜2.0wt%のNbと、1.5wt%ま
でのSnと、 . 25wt%までのFeとを含むジルコ
ニウム合金は高温蒸気環境内で耐食性を有する特殊なミ
クロ構造をもつ。
【0069】これらの合金を用いた本発明のチャンネル
ボックスは前述のように(0002),(1010)の両
面ともにF値を各々1/3になるように加熱保持され、
急冷することによって得られる。その結果、燃焼度32
GWd/t以上のものは勿論、45GWd/t以上のも
のに使用することが出来るとともに、表面に付着したク
ラッドを除くとともに燃料を取替えて再度使用する2サ
イクル用に使用可能であり、変形が少ないため炉心での
使用位置も前と同じ位置で使用可能とする。また、ジル
カロイ合金に限らず前述の合金からなる被覆管に対して
も前述の熱処理及び配向性を施すのがよい。
【0070】被覆管及びチャンネルボックスともいずれ
も焼入を施したものを使用することにより全体として優
れたものが得られる。
【0071】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、燃
料集合体に用いるチャンネルボックスはその結晶方位を
ランダム化しているので中性子照射量が1022(n/cm
2 )を超える高照射環境下で使用しても、照射成長、照
射成長に起因する曲がり変形が生じない。その結果、燃
料集合体用チャンネルボックスは長期間使用が可能とな
り、使用済み燃料廃棄物低減に寄与できる。また、耐食
性も向上し燃料集合体の信頼性向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明板の結晶方位の配向を示す模式図。
【図2】照射成長の機構を示す模式図。
【図3】照射成長ひずみに及ぼす高速中性子照射量、並
びにFr値の影響を示す線図。
【図4】照射成長ひずみとFr値との関係を示す線図。
【図5】Fr値とβZr結晶粒との相関係を示す線図。
【図6】照射成長ひずみとZr結晶粒径との関係を示す
線図。
【図7】Fl値に及ぼす温度と保持時間との関係を示す
線図。
【図8】チャンネルボックスの製造方法を示す装置の構
成図。
【図9】燃料集合体の部分断面図。
【符号の説明】
1…チャンネルボックス、2…マンドル、3…ネジ、4
…高周波誘導加熱コイル、5…高周波電源、6…水吹き
付けノズル、7…溶接部、11…燃料棒、12…スペー
サ、13…ハンドル、14…上部タイプレート、15…
下部タイプレート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G21C 3/324 GDB C22F 1/00 682 // C22F 1/00 606 691B 623 691C 641 692A 682 G21C 3/06 N 691 J 3/30 V 692 GDBH (72)発明者 木田 利孝 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 大中 紀之 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 石崎 英昭 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 平川 博将 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 牧 英夫 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平5−17837(JP,A) 特開 平2−42387(JP,A) 特開 昭62−40349(JP,A) 特開 昭59−229475(JP,A) 特公 昭56−12310(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 16/00 C22F 1/00 - 3/02 G21C 3/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    5重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを
    有するジルコニウム基合金板が所望の形状に加工後溶接
    によって形成された角形筒状部材からなる燃料チャンネ
    ルボックスにおいて、該チャンネルボックスはβ相単相
    温度領域で加熱保持された後冷媒によって強制的に急冷
    される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記焼入
    における加熱保持時間は前記合金の六方晶Zrの〈00
    01〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直方向へ
    の配向率(Fr値)が0.26〜0.40となるように調
    整されていることを特徴とする燃料チャンネルボック
    ス。
  2. 【請求項2】冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    5重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを
    有するジルコニウム基合金板が所望の形状に加工後溶接
    によって形成された角形筒状部材からなる燃料チャンネ
    ルボックスにおいて、該チャンネルボックスは局部的に
    β相単相温度領域に誘導加熱コイルによって互いに相対
    的に移動しながら連続的に加熱保持後冷媒によって強制
    的に急冷する焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前
    記焼入れにおける加熱保持時間は前記合金の六方晶Zr
    の〈0001〉結晶方位の筒状部材表面に対する垂直方
    向への配向率(Fr値)が0.26〜0.40となるよう
    に調整されていることを特徴とする燃料チャンネルボッ
    クス。
  3. 【請求項3】冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    5重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを
    有するジルコニウム基合金板を所望の形状に加工後溶接
    によって形成された角形筒状部材からなる燃料チャンネ
    ルボックスにおいて、該チャンネルボックスはβ相単相
    温度領域に局部的に誘導加熱コイルによって互いに相対
    的に移動させながら連続的に加熱保持するとともに該加
    熱保持された部分を冷媒によって強制的に急冷される焼
    入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記焼入れにおけ
    る加熱保持時間は前記合金の六方晶Zrの〈0001〉
    結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直方向への配向
    率(Fr値)が0.26〜0.40となるように調整され、
    前記焼鈍は前記チャンネルボックス内に前記合金より熱
    膨脹係数が大きい金属部材からなるマンドレルが挿入さ
    れ、少なくとも両端で前記マンドレルに固着した状態で
    加熱保持されることを特徴とする燃料チャンネルボック
    ス。
  4. 【請求項4】冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    5重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを
    有するジルコニウム基合金板をコの字型に成形加工し、
    次いで溶接によって形成された角形筒状部材からなる燃
    料チャンネルボックスにおいて、該チャンネルボックス
    はβ相温度領域に加熱保持されると共に、該加熱保持さ
    れた部分を冷媒によって強制的に急冷される焼入れ、該
    焼入れ後の焼鈍及び該焼鈍後全表面にオートクレーブ処
    理による酸化皮膜が形成され、前記焼入れにおける加熱
    保持時間は前記合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方
    位の筒状部材表面に対する垂直方向への配向率(Fr
    値)が0.26〜0.40となるように調整されているこ
    とを特徴とする燃料チャンネルボックス。
  5. 【請求項5】冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    5重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを
    有するジルコニウム基合金板が所望の形状に加工後溶接
    によって形成された角形筒状部材からなる燃料チャンネ
    ルボックスにおいて、該チャンネルボックスはβ相単相
    温度領域で加熱保持された後冷媒によって強制的に急冷
    される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記焼入
    れにおける加熱保持時間は前記合金の六方晶Zrの〈0
    001〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直方向
    への配向率(Fr値)、長手方向への配向率(Ft値)
    及び周方向への配向率(Fl値)がいずれも0.26〜
    0.40となるように調整されていることを特徴とする
    燃料チャンネルボックス。
  6. 【請求項6】冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn
    5重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    5重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを
    有するジルコニウム基合金板が所望の形状に加工後溶接
    によって形成された角形筒状部材からなる燃料チャンネ
    ルボックスにおいて、該チャンネルボックスはβ相単相
    温度領域で加熱保持された後冷媒によって強制的に急冷
    される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記焼入
    れにおける加熱保持時間は前記合金の六方晶Zrの〈0
    001〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直方向
    への配向率(Fr値)が0.26〜0.40となるように
    調整され、結晶粒径が90〜500μmであることを特
    徴とする燃料チャンネルボックス。
  7. 【請求項7】燃料ペレットを燃料被覆管内に内蔵した燃
    料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネルボックス、
    該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を仕切るスペ
    ーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下部に設けら
    れた上部格子板及び下部格子板を備え、前記チャンネル
    ボックスは冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn5
    重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを有
    するジルコニウム基合金板を所望の形状に加工後溶接に
    よって形成された角形筒状部材からなり、該部材はβ相
    温度領域に加熱保持されると共に、該加熱保持された前
    記部材を冷媒によって強制的に急冷される焼入れ及び該
    焼入れ後の焼鈍が施され、前記焼入れにおける加熱保持
    時間が前記合金の六方晶Zrの〈0001〉結晶方位の
    筒状部材表面に対する垂直方向への配向率(Fr値)が
    0.26〜0.40となるように調整されていることを特
    徴とする燃料集合体。
  8. 【請求項8】燃料ペレットを燃料被覆管内に内蔵した燃
    料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネルボックス、
    該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を仕切るスペ
    ーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下部に設けら
    れた上部格子板及び下部格子板を備え、前記チャンネル
    ボックスは冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn5
    重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを有
    するジルコニウム基合金板を所望の形状に加工後溶接に
    よって形成された角形筒状部材からなり、該部材はβ相
    単相温度領域で加熱保持後冷媒によって強制的に急冷さ
    れる焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記焼入れ
    における加熱保持時間は前記合金の六方晶Zrの〈00
    01〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直方向へ
    の配向率(Fr値)、長手方向への配向率(Ft値)及
    び周方向への配向率(Fl値)がいずれも0.26〜0.
    40となるように調整されていることを特徴とする燃料
    集合体。
  9. 【請求項9】燃料ペレットを燃料被覆管内に内蔵した燃
    料棒、該燃料棒を複数本収納するチャンネルボックス、
    該チャンネルボックス内の前記燃料棒の間を仕切るスペ
    ーサ、前記チャンネルボックスの上部及び下部に設けら
    れた上部格子板及び下部格子板を備え、前記チャンネル
    ボックスは冷間圧延と焼鈍とによって形成され、Sn5
    重量%以下及び/又はNb5重量%以下と、Fe0 .
    重量%以下とを含有し、残部90重量%以上のZrを有
    するジルコニウム基合金板を所望の形状に加工後溶接に
    よって形成された角形筒状部材からなり、該部材はβ相
    単相温度領域で加熱保持された後冷媒によって強制的に
    急冷される焼入れ及び該焼入れ後の焼鈍が施され、前記
    焼入れにおける加熱保持時間は前記合金の六方晶Zrの
    〈0001〉結晶方位の前記筒状部材表面に対する垂直
    方向への配向率(Fr値)が0.26〜0.40となるよ
    うに調整され、結晶粒径が90〜500μmであること
    を特徴とする燃料集合体。
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