JPH05171839A - 膜体の接続構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜体の接続端部の全長に亘って均等な張力を
連続して作用させると共に、そのシール性を著しく向上
する。 【構成】 繋ぎ部材３２の両端部に、膜片３０ａの接続
端部を掴持する掴持部３４を形成する。掴持部３４を膜
片３０ａの接続端部方向に沿って連続して形成する。膜
片３０ａの接続端部に、ロープ３６を巻回して折り重ね
た係止部３８を連続して形成する。掴持部３４の内側
に、係止部３８を嵌合する受容部３４ａを形成する。繋
ぎ部材３２の両面３２ａ，３２ｂに一対の押圧部材４
０，４０ａを配置する。押圧部材４０の外側に、この押
圧部材４０より大きな曲率をもったばね部材４２を配置
する。ばね部材４２の両端部の接触片４４を押圧部材４
０の両端部に当接する。押圧部材４０，４０ａ、繋ぎ部
材３２、ばね部材４２の中央部に挿通した係止棒４８
に、係止座板５２をばね部材４２を押圧して係止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、膜体の接続端部の全長
に亘って略均等な張力を連続して作用させつつ、各接続
端部同志を互いに接続するための接続構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ドーム等の無柱構造となった大空
間施設等の構築物の屋根を膜屋根として構築するものが
出現している。この膜体の接続構造は大空間施設を取り
囲む外壁の上端部を、防水性の可撓膜で形成された膜体
で覆うようになっている。前記膜屋根は、施設内部に空
気を注入することによりインフレート（膨脹）し、この
インフレート状態で中央部が膨出したドーム状の屋根が
構成される。

【０００３】ところで、前記膜屋根は大空間施設を連続
して覆う必要があることからその面積は著しく大きくな
り、従って、この膜屋根を構成する膜体は、複数の膜片
を互いに接続してその全体が形成されるようになってい
る。このとき、前記膜片同志の接続は、例えば実公平２
−２４８５７号公報（Ｅ０４Ｈ １５／５４）に開示さ
れるように接続金具を介して行われる。即ち、前記接続
金具は、膜片の接続端部間に跨がって膜体の両側に配置
される内，外側の押え金物を備え、これら両側の押え金
物を適宜間隔をもって配置されるボルト，ナットを介し
て締め付ける構成となっている。そして、膜片の接続端
部同志が前記押え金物間に挟着されることにより、膜体
に大きな張力が作用した場合にも接続部分が容易に分離
してしまうのを防止できるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の膜体の接続構造にあっては、各膜片を接続するた
めの接続金具に設けられる内，外側押え金物は、ボル
ト，ナットを介して適宜間隔をもって締め付けられるよ
うになっている。従って、互いに接続される膜体間に作
用する張力は、上記ボルト，ナットの締付部分に集中し
て作用し、この張力の集中部分において膜体は破損し易
く、延いては、膜体の耐久性が著しく低下されてしま
う。

【０００５】また、上記膜体の接続部分ではボルト，ナ
ットの締付部分近傍においては膜片と押え金物との間は
高い液密機能が得られるが、締付部分から離れる箇所で
はこれらボルト，ナットの締付力が減少されることから
液密性が低下され、雨水などが侵入してしまう恐れがあ
るという各種課題があった。

【０００６】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て、膜体の接続端部の全長に亘って均等な張力を連続し
て作用させると共に、そのシール性を著しく向上するこ
とができる膜体の接続構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の第１の構成は、膜体の接続端部に、この接
続端部に沿って連続して形成される係止部と、互いに接
続しようとする膜体の係止部を前記接続端部に沿って連
続して掴持する二股状の掴持部を両端部に形成した繋ぎ
部材と、この繋ぎ部材の両面に配置される一対の押圧部
材と、これら一対の押圧部材を近接方向に締め付ける締
付部材と、を備えて構成する。

【０００８】また、かかる目的を達成するために本発明
の第２の構成は、膜体の接続端部に、この接続端部に沿
って連続して形成される係止部と、互いに接続しようと
する膜体の係止部を前記接続端部に沿って連続して掴持
する二股状の掴持部を両端部に形成した繋ぎ部材と、こ
の繋ぎ部材の両面に配置される一対の押圧部材と、これ
ら一対の押圧部材の少なくとも一方の外側に配置され、
両端部がこの押圧部材の両端部に当接する湾曲したばね
部材と、このばね部材を介して前記一対の押圧部材を近
接方向に締め付ける締付部材と、を備えて構成する。

【０００９】更に、前記第２の構成において、ばね部材
を配置した側の繋ぎ部材の面に、このばね部材と押圧部
材との当接部位より中央部側に寄った位置に凹部を形成
することが望ましい。

【００１０】

【作用】以上の構成により本発明にかかる膜体の接続構
造の第１の構成にあっては、膜体の接続端部に形成され
た係止部を繋ぎ部材の掴持部で掴持することにより、こ
の掴持部内に係止部が係止され、各接続端部同志を接続
することができる。このとき、前記係止部および前記掴
持部は膜体の接続端部に沿って連続しているため、この
接続端部には全長に亘って均等な張力を連続して作用さ
せることができる。また、前記繋ぎ部材の両面には一対
の押圧部材が配置され、これら押圧部材が締付部材を介
して近接方向に締め付けられることにより、前記掴持部
の二股部分を押圧して掴持力を増大し、前記接続端部の
固定をより確実にすることができる。 また、本発明に
かかる膜体の接続構造の第２の構成にあっては、前記第
１の構成と同様に、膜体の接続端部の係止部を繋ぎ部材
の掴持部で掴持して、各接続端部同志を連続して接続が
できることは勿論のこと、繋ぎ部材の両面に配置した押
圧部材の少なくとも一方の外側にばね部材を配置し、こ
のばね部材の両端部を押圧部材の両端部に当接させ、こ
のばね部材を介して前記一対の押圧部材を近接方向に締
め付けるようにしたので、この締付力が前記ばね部材を
介して押圧部材の両端部に作用し、掴持部の掴持力をよ
り増大することができる。

【００１１】更に、前記第２の構成において、ばね部材
を配置した側の繋ぎ部材の面に、このばね部材と押圧部
材との当接部位より中央部側に寄った位置に凹部を形成
することにより、押圧部材の両端部にばね力が作用した
場合に、この凹部から繋ぎ部材の端部側が容易に変形
し、この繋ぎ部材の両端部に形成した掴持部の掴持力を
更に増大することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に
説明する。図１から図４は本発明にかかる膜体の接続構
造の一実施例を示し、図１は本発明が適用される屋根膜
を用いた大空間施設の断面を示す概略構成図、図２は図
１中Ａ−Ａ線に対応した膜体の接続部分の拡大断面図、
図３は膜体の接続部分の要部を示す分解斜視図、図４は
締付部材の取り付け状態を示す分解斜視図である。

【００１３】即ち、図１に示した大空間施設は屋内人工
スキー場１０として用いたもので、両側に図中紙面直角
方向に連続する外壁１２，１２が構築され、これら外壁
１２，１２の上端部間に膜屋根１４が張架される。そし
て、前記外壁１２，１２および膜屋根１４で構成される
大空間部１６の床面１８は、これら外壁１２，１２の延
設方向に連続して傾斜され、この傾斜された床面１８に
人工雪を積もらせてゲレンデを構成し、その積雪上を滑
走できるようになっている。

【００１４】前記膜屋根１４は、図１中実線状態では大
空間部１６の内部に空気が注入されてインフレート（膨
脹）された状態を示し、また、２点鎖線状態では内部の
空気圧が排除されてデフレート（収縮）された状態を示
す。前記膜屋根１４は外壁１２，１２の上端部間に架設
される複数の図外のケーブルで支持される。また、前記
外壁１２，１２の外側には機械室２４およびリフト室２
６が設けられ、機械室２４には空調機，人工造雪機およ
びスノーガン等が設置される。

【００１５】前記膜屋根１４を構成する膜体３０は、図
２に示したように複数の膜片３０ａを互いに接続するこ
とによりその全体が構成される。これら膜片３０ａの接
続はそれぞれの接続端部を掴持する繋ぎ部材３２を介し
て行われる。

【００１６】前記繋ぎ部材３２は、可撓性高強度プラス
チック等のようにある程度大きな剛性を有する可撓性部
材で形成され、互いに接続しようとする膜片３０ａ，３
０ａの接続端部間に跨がって配置される。そして、前記
繋ぎ部材３２の両端部にこれら各接続端部を掴持する掴
持部３４，３４が形成される。前記掴持部３４，３４は
二股状に形成され、この二股状となった掴持部３４，３
４は前記膜片３０ａ，３０ａの接続端部方向（図２中紙
面直角方向）に沿って連続して形成される。

【００１７】一方、前記膜片３０ａ，３０ａの各接続端
部は、芯材となるロープ３６を巻回して折り重ねられ、
このロープ３６に巻回された部分を係止部３８としてあ
る。そして、前記掴持部３４の内側には、前記係止部３
８を嵌合する受容部３４ａが形成され、この受容部３４
ａに係止部３８を係止した状態で前記接続端部は掴持部
３４に掴持される。

【００１８】前記繋ぎ部材３２の両面３２ａ，３２ｂは
外方に膨出する湾曲面に形成され、これら両面３２ａ，
３２ｂに一対の押圧部材４０，４０ａが配置される。こ
れら押圧部材４０は前記両面３２ａ，３２ｂの湾曲形状
に沿って形成されると共に、その両端部にそれぞれ形成
した折曲部４０ｂが、繋ぎ部材３２の両端面に係止され
る。

【００１９】また、前記一対の押圧部材４０，４０ａの
うち図中上方の押圧部材４０の外側に、この押圧部材４
０より大きな曲率をもって外方に湾曲される円弧状のば
ね部材４２を配置し、このばね部材４２の両端部下側に
取り付けた接触片４４をこの押圧部材４０の両端部に当
接させてある。そして、前記押圧部材４０，４０ａ，繋
ぎ部材３２およびばね部材４２の中央部には、それぞれ
を一直線に貫通する挿通穴４６を形成し、この挿通穴４
６に締付部材としての係止棒４８が挿通される。

【００２０】前記係止棒４８は図３に示したように、一
端部（図中下端部）に頭部５０が形成されると共に、他
端部（図中上端部）に係止座板５２を係止する係止部５
４が形成される。前記係止部５４は矩形状断面として形
成され、短辺となる１組の対向面には平行な凹凸状の係
止突起５４ａが形成される。一方、前記係止座板５２は
前記係止部５４の断面形状に沿った矩形状の係止穴５２
ａが形成されると共に、この係止座板５２の外側対向部
には掴み突起５２ｂが形成される。

【００２１】そして、前記係止座板５２を前記係止棒４
８に取り付ける際、まず、図４（Ａ）に示したようにこ
の係止座板５２の係止穴５２ａと前記係止部５４との形
状を一致させて、係止座板５２をこの係止部５４に挿入
する。そして、係止座板５２をばね部材４２の付勢力に
抗して押し下げ、この押し下げ状態で図４（Ｂ）に示し
たように係止座板５２を略９０°回転させる。

【００２２】また、前記繋ぎ部材３２の図中上面３２ａ
には、前記ばね部材４２と押圧部材４０との当接部位
（接触片４４の当接位置）より中央部側に寄った位置に
凹部５６，５６を形成してある。

【００２３】以上の構成により本実施例の膜屋根の接続
構造にあっては、膜体３０を構成する膜片３０ａ同志を
接続する際、各膜片３０ａの接続端部にロープ３６を巻
回した係止部３８を、繋ぎ部材３２の掴持部３４で掴持
することにより、この掴持部３４内に係止部３８が係止
され、この状態で各接続端部同志が互いに接続される。

【００２４】このように膜片３０ａの接続端部が前記繋
ぎ部材３２によって接続された状態では、前記係止部３
８および前記掴持部３４が膜片３０ａの接続端部に沿っ
て連続しているため、この接続端部の全長に亘って均等
な力で掴持することができる。このため、前記接続端部
の全長に亘って均等な張力を連続して作用させることが
でき、従って、引っ張り応力の集中を防止して膜体３０
の耐久性を向上すると共に、当該接続部分のシール性の
大幅な向上を図ることができる。

【００２５】また、前記繋ぎ部材３２の両面３２ａ，３
２ｂには一対の押圧部材４０，４０ａが配置されると共
に、一方の押圧部材４０の外側に湾曲したばね部材４２
が配置され、このばね部材４２の中央部が係止棒５４お
よび係止座板５２を介して押圧されるようになってい
る。従って、ばね部材４２が押圧されることにより発生
するばね力は、ばね部材４２の両端部に設けた接触片４
４を介して押圧部材４０の両端部に入力され、延いて
は、一対の押圧部材４０，４０ａを繋ぎ部材３２を挾ん
で近接方向に締め付けることができる。このように、繋
ぎ部材３２を締め付けることにより、前記掴持部３４の
二股部分を押圧して掴持力を増大し、前記膜片３０ａの
各接続端部の固定をより確実にすることができる。

【００２６】更に、前記ばね部材４２のばね力を押圧部
材４０の両端部に作用させたので、このばね力で繋ぎ部
材３２の両端部に形成した前記掴持部３４を掴持する方
向に押圧し、前記接続端部の掴持力を著しく増大するこ
とができる。

【００２７】更にまた、前記ばね部材４２を配置した側
の繋ぎ部材３２の面に、このばね部材４２と押圧部材４
０との当接部位より中央部側に寄った位置に凹部５６を
形成したので、押圧部材４０の両端部に作用するばね力
により繋ぎ部材３２の端部側を容易に変形させることが
できるため、この繋ぎ部材３２の両端部に形成した掴持
部３４の掴持力を更に増大することができる。

【００２８】尚、本実施例に示した繋ぎ部材３２は、剛
性の高い可撓性を有するプラスチックで形成されるた
め、その著しい軽量化を達成し、延いては、屋根膜１４
自体の軽量化を可能にすることができる。従って、屋根
膜１４のインフレート時に必要とされる施設内部の過圧
力を低く設定することができ、延いては、送風機の小型
化を達成することができる。また、本実施例では膜屋根
１４に本発明を適用した場合を開示したが、これに限る
ことなく一般の膜体の接続に本発明を適用できることは
いうまでもない。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項１に
示す膜体の接続構造にあっては、膜体の接続端部に係止
部を形成し、この係止部が形成されたこの膜体の接続端
部を、繋ぎ部材の両端部に形成した二股状の掴持部で掴
持することにより、各接続端部同志を接続することがで
きる。また、前記係止部および前記掴持部は膜体の接続
端部に沿って連続して形成されているため、この接続端
部には全長に亘って均等な張力を連続して作用させるこ
とができる。従って、前記膜体の接続部分に引っ張り応
力が集中するのを防止でき、膜体の耐久性を著しく向上
させることができると共に、当該接続部分のシール性を
も向上させることができる。また、前記繋ぎ部材の両面
には一対の押圧部材が配置され、これら押圧部材が締付
部材を介して近接方向に締め付けられるため、前記掴持
部の二股部分を押圧して掴持力を増大し、前記接続端部
の固定をより確実にすることができる。

【００３０】また、本発明の請求項２に示す膜体の接続
構造にあっては、前記請求項１に示した構成と同様に、
連続する係止部を形成した膜体の接続端部を、繋ぎ部材
の連続する掴持部で掴持して、各接続端部同志を均等な
張力をもって接続することができることは勿論のこと、
繋ぎ部材の両面に配置した押圧部材の少なくとも一方の
外側にばね部材を配置し、このばね部材の両端部を押圧
部材の両端部に当接させ、このばね部材を介して前記一
対の押圧部材を近接方向に締め付けるようにしたので、
この締付力が前記ばね部材を介して押圧部材の両端部に
作用し、掴持部の掴持力をより増大することができる。

【００３１】更に、本発明の請求項３にあっては、前記
ばね部材を配置した側の繋ぎ部材の面に、このばね部材
と押圧部材との当接部位より中央部側に寄った位置に凹
部を形成することにより、押圧部材の両端部に作用する
ばね力により、この凹部から繋ぎ部材の端部側が容易に
変形し、この繋ぎ部材の両端部に形成した掴持部の掴持
力を更に増大することができるという各種優れた効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用される屋根膜を用いた大空間施設
の断面を示す概略構成図である。

【図２】本発明の一実施例を示す図１中Ａ−Ａ線に対応
する部分の拡大断面図である。

【図３】本発明の一実施例を示す膜体の接続部分の要部
を示す分解斜視図である。

【図４】本発明の一実施例を示す締付部材の取り付け状
態を示す分解斜視図である。

【符号の説明】

１０ 屋内人工スキー場（大空間施設） １２ 外壁 １４ 膜屋根 ３０ 膜体 ３０ａ 膜片 ３２ 繋ぎ部
材 ３４ 掴持部 ３８ 係止部 ４０，４０ａ 押圧部材 ４２ ばね部
材 ４８ 係止棒（締付部材） ５２ 係止座
板 ５６ 凹部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 膜体の接続端部に、この接続端部に沿っ
   て連続して形成される係止部と、互いに接続しようとす
   る膜体の係止部を前記接続端部に沿って連続して掴持す
   る二股状の掴持部を両端部に形成した繋ぎ部材と、この
   繋ぎ部材の両面に配置される一対の押圧部材と、これら
   一対の押圧部材を近接方向に締め付ける締付部材と、を
   備えたことを特徴とする膜体の接続構造。
2. 【請求項２】 膜体の接続端部に、この接続端部に沿っ
   て連続して形成される係止部と、互いに接続しようとす
   る膜体の係止部を前記接続端部に沿って連続して掴持す
   る二股状の掴持部を両端部に形成した繋ぎ部材と、この
   繋ぎ部材の両面に配置される一対の押圧部材と、これら
   一対の押圧部材の少なくとも一方の外側に配置され、両
   端部がこの押圧部材の両端部に当接する湾曲したばね部
   材と、このばね部材を介して前記一対の押圧部材を近接
   方向に締め付ける締付部材と、を備えたことを特徴とす
   る膜体の接続構造。
3. 【請求項３】 ばね部材を配置した側の繋ぎ部材の面
   に、このばね部材と押圧部材との当接部位より中央部側
   に寄った位置に凹部を形成したことを特徴とする請求項
   ２に記載の膜体の接続構造。