JPH05170957A - ポリシラン配向膜の作製方法 - Google Patents

ポリシラン配向膜の作製方法

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JPH05170957A
JPH05170957A JP3341381A JP34138191A JPH05170957A JP H05170957 A JPH05170957 A JP H05170957A JP 3341381 A JP3341381 A JP 3341381A JP 34138191 A JP34138191 A JP 34138191A JP H05170957 A JPH05170957 A JP H05170957A
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Ryoichi Nishida
亮一 西田
Shinichi Kawasaki
真一 川崎
Hiroaki Murase
裕明 村瀬
Tokugen Shiyuu
徳元 周
Motoyuki Toki
元幸 土岐
Yoshiyuki Yamada
良行 山田
Tadao Onaka
忠生 大中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分子配向性に優れ且つ配向欠陥の少ないポリ
シラン膜を製造し得る、作業性良好な方法を提供するこ
とを主な目的とする。 【構成】 1.ポリシラン配向膜の作製方法において、
形成されたポリシラン膜をポリシランのガラス転移点
(Tg)以上の温度に加熱し、延伸した後、ガラス転移
点(Tg)よりも低い温度に冷却し、延伸状態に固定す
ることによりポリシランを配向させることを特徴とする
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリシラン配向膜の作
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリシランは、導電性材料、光電
変換材料、光導電性材料などの光・電子機能材料として
の有用性が期待されている。ポリシランをこの様な光・
電子機能材料として使用するためには、通常ポリシラン
膜を形成する必要がある。従来ポリシランの成膜法とし
ては、キャスト法、ディッピング法などが採用されてい
るが、これらの方法では、分子配向性の良い膜は得られ
ていない。
【0003】分子配向性に優れたポリシラン膜を製造す
るための一つの手法として、ラングミュアー ブロジェ
ット法(LB法)が、報告されている{Macromolecules
1991,24,5068-5075,Polymer preprint,Japan Vol.40,N
o.10(1991),3751-3753 }。しかしながら、この方法
は、作業性および簡便性に劣り、また、光・電子機能材
料として使用する際に必要な膜厚を得るためには、繰り
返し積層操作を行なう必要があり、その結果、膜内にピ
ンホールなどの欠陥が発生することは、避けられない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、分
子配向性に優れ且つ配向欠陥の少ないポリシラン膜を製
造し得る、作業性良好な方法を提供することを主な目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な技術の現状に鑑みて鋭意研究を進めた結果、ポリシラ
ン膜をポリソランのガラス転移点(Tg)以上の温度に
加熱し、延伸した後、Tgよりも低い温度まで冷却して
延伸状態での分子配向状態を固定する場合には、従来技
術の問題点が実質的に解消されるか或いは大幅に軽減さ
れることを見出した。
【0006】即ち、本発明は、下記のポリシラン配向膜
の作製方法を提供するものである; 1. ポリシラン配向膜の作製方法において、形成され
たポリシラン膜をポリシランのガラス転移点(Tg)以
上の温度に加熱し、延伸した後、ガラス転移点(Tg)
よりも低い温度に冷却し、延伸状態に固定することによ
りポリシランを配向させることを特徴とする方法。
【0007】2. ポリシラン膜の加熱温度が、Tgよ
りも0〜100℃高い温度範囲内にある上記項1に記載
の方法。
【0008】3. ポリシラン膜がベースポリマー上に
形成されており、加熱延伸時にポリシラン膜とベースポ
リマーとを同時に延伸する上記項1に記載の方法。
【0009】4. ベースポリマーのTgが、ポリシラ
ンのTgの±50℃の範囲内にある上記項3に記載の方
法。
【0010】5. ポリシラン膜をキャスト法、真空蒸
着法、ディッピング法またはスピンコーティング法によ
りベースポリマー上に形成する上記項3,4および5の
いずれかに記載の方法。
【0011】本発明で使用するポリシランは、Si−S
i結合を主鎖骨格とする高分子材料であれば特に限定さ
れず、具体的には、下記の如きものが例示される。
【0012】*一般式(1)
【0013】
【化1】
【0014】(式中Rは、水素原子、炭素数1〜14の
アルキル基、アリール基、炭素数1〜10のアルコキシ
基、アミノ基、シリル基またはその誘導体を示し、nは
10〜10000程度である)で示される直鎖状ポリシ
ラン、 *一般式(2)
【0015】
【化2】
【0016】(式中Rは、水素原子、炭素数1〜14の
アルキル基、アリール基、炭素数1?〜10のアルコキ
シ基、アミノ基、シリル基またはその誘導体を示し、n
は10〜10000程度である)で示されるシリコンネ
ットワークポリマー、 *一般式(3)
【0017】
【化3】
【0018】(式中Rは、水素原子、炭素数1〜14の
アルキル基、アリール基、炭素数1〜10のアルコキシ
基、アミノ基、シリル基またはその誘導体を示し、x,
yおよびzはそれぞれ10〜10000程度である)で
示される構造単位の2以上を有し、Si−Si結合を骨
格とする網目状ポリマー。
【0019】これらのポリマーは、公知であり、それぞ
れの構造単位を有するモノマーを原料として、公知の方
法により製造される。より具体的には、アルカリ金属の
存在下にクロロシラン類を脱塩素重縮合させる方法(キ
ッピング法)、電極還元によりクロロシラン類を脱塩素
重縮合させる方法、金属触媒の存在下にヒドロシラン類
を脱水素重縮合させる方法、ビフェニルなどで架橋され
たジシレンのアニオン重合による方法、環状シラン類の
開環重合による方法などが例示される。
【0020】ポリシラン膜の製造は、一般のポリマーフ
ィルムの製造と同様にして、キャスト法、真空蒸着法、
ディッピング法、スピンコーティング法などにより行な
うことができる。
【0021】なお、ポリシラン膜をシート状に成形し、
ぞのシートを延伸しても良い。この場合には、シートへ
の加工性を改善するために、ポリカーボネート、ポリイ
ミド、ポリメタクリレートなどを最大限50%程度まで
添加した配合材料を使用して、膜を製造しても良い。従
って、本願明細書においては、ポリシラン膜という概念
は、この様な配合材料から得られた膜をも包含するもの
とする。
【0022】本発明においては、ベースポリマー膜上に
ポリシラン膜を形成した後、複合膜の状態で延伸操作を
行なうことが好ましい。ベースポリマーとしては、ポリ
シランのガラス転移点(Tg)の±50℃の範囲内にあ
るTgを有するポリマーであれば、特に限定されること
なく、種々のものが使用可能である。この様なポリマー
としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ
イミド、ポリカーボネト、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンなどが例示される。複合膜の形成も、一般のポリマー
フィルムの場合と同様にして、キャスト法、真空蒸着
法、ディッピング法、スピンコーティング法などにより
行なうことができる。
【0023】本発明においては、ポリシラン膜またはポ
リシランとベースポリマーとからなる複合膜(以下単に
両者を包括してポリシラン膜という)をポリシランのT
g以上の温度(より好ましくはTgよりも0〜100℃
高い温度)に加熱し、延伸した後、Tgよりも低い温度
に冷却し、延伸時の膜中の分子配向状態を固定する。ポ
リシランの加熱温度が高すぎる場合には、ポリシランの
配向度が低下するとともに、ポリシランが分解するおそ
れがある。延伸方法としては、特に限定されないが、上
記一般式(1)で示される直線状ポリシランの配向膜を
作製する場合には、一軸延伸または二軸延伸によること
が好ましく、上記一般式(2)または(3)で示される
二次元ポリシランの配向膜をを作製する場合には、二軸
延伸によることが好ましい。延伸速度が大きい程、ポリ
シラン膜の配向度が高くなるが、その反面、配向膜が破
断する危険性が増大するので、配向膜の破断を生じない
範囲で延伸速度を大きくする様に配慮する必要がある。
延伸比についても、その比が大きくなる程配向度は高ま
るが、破断の危険性も増大するので、やはり破断を生じ
ない様に留意する必要がある。ポリシラン膜の加熱延伸
後の冷却時の温度は、配向状態を固定し得る限り、特に
限定されない。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、下記の様な優れた効果
が達成される。
【0025】(a)配向性に優れたポリシラン配向膜が
効率良く且つ簡便に作製出来る。
【0026】(b)光・電子機能性材料としての用途に
適した、ピンホールなどの欠陥のない十分な膜厚のポリ
シラン配向膜が得られる。
【0027】(c)本発明で得られるポリシラン配向膜
では、キャリアの移動度が向上し且つ明抵抗の低減が達
成されるので、機能性に優れた光・電子デバイスの作製
が可能となる。
【0028】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0029】実施例1 フェニルメチルシランを原料として電極反応により合成
されたポリシラン(前記一般式(1)において、一方の
Rがメチル基であり、他方のRがフェニル基であり、n
=約100;Tg=100℃)を、ほぼ同一のTgを有
する基板としてのPMMAのフィルム(厚さ0.2mm)
の表面にキャストして、厚さ10μmのポリシラン薄膜
を形成させた。
【0030】得られた複合膜を一軸延伸装置に装着し、
延伸温度=130℃、延伸速度=30mm/分、延伸比=
158,168または178の条件で延伸した。延伸後
直ちに室温まで冷却し、延伸時の分子配向状態を固定し
た。
【0031】得られた延伸フィルムの光学異方性(レタ
ーデイション)をセナルモンコンペンセーターにより、
測定した。結果を表1に示す。表1には、比較としてP
MMAフィルムのみを延伸した場合の結果を併せて示
す。また、図1に表1に示す結果をプロットしたグラフ
を示す。
【0032】 表 1 複 屈 折(nd:nm) 試料No. 延伸比 PMMAフィルム 複 合 膜 1 158 35.8 34.9(最大) 27.6(最小) 2 158 36.4 32.8(最大) 27.3(最小) 3 168 40.6 34.0(最大) 33.4(最小) 4 178 46.4 44.6(最大) 37.6(最小) 表1および図1に示す結果から、複合膜のレターデイシ
ョンは、基板としてのPMMAのレターデイションより
も小さくなっており、ポリシランの主鎖が延伸方向に配
向していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた複合膜の延伸比と複屈折と
の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83:00 (72)発明者 周 徳元 京都府京都市西京区桂上野西町14−23 (72)発明者 土岐 元幸 京都府京都市西京区大枝東新林町3−5− 19−206 (72)発明者 山田 良行 京都府京都市伏見区向島四ツ谷池14−8− 6−2−1404 (72)発明者 大中 忠生 京都府長岡京市天神3−21−14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリシラン配向膜の作製方法において、
    形成されたポリシラン膜をポリシランのガラス転移点
    (Tg)以上の温度に加熱し、延伸した後、ガラス転移
    点(Tg)よりも低い温度に冷却し、延伸状態に固定す
    ることによりポリシランを配向させることを特徴とする
    方法。
  2. 【請求項2】 ポリシラン膜の加熱温度が、Tgよりも
    0〜100℃高い温度範囲内にある請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 ポリシラン膜がベースポリマー上に形成
    されており、加熱延伸時にポリシラン膜とベースポリマ
    ーとを同時に延伸する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ベースポリマーのTgが、ポリシランの
    Tgの±50℃の範囲内にある請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 ポリシラン膜をキャスト法、ディッピン
    グ法、真空蒸着法またはスピンコーティング法によりベ
    ースポリマー上に形成する請求項3,4および5のいず
    れかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09304778A (ja) * 1996-05-09 1997-11-28 Nitto Denko Corp 光学フィルム、その製造方法及び光学素子
JP2010253774A (ja) * 2009-04-23 2010-11-11 Gunma Univ ポリテトラメチル−p−シルフェニレンシロキサンの延伸フィルムの製造法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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