JPH05170686A - 新規包接化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規包接化合物及びその製造方法

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JPH05170686A
JPH05170686A JP4150083A JP15008392A JPH05170686A JP H05170686 A JPH05170686 A JP H05170686A JP 4150083 A JP4150083 A JP 4150083A JP 15008392 A JP15008392 A JP 15008392A JP H05170686 A JPH05170686 A JP H05170686A
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hydroxyphenyl
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真 浅井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】種々の有機化合物を包接した新規包接化合物及
びその製造方法を提供する。 【構成】ホスト化合物としてテトラキス(ヒドロキシフ
ェニル)エタン及びゲスト化合物として種々の有機化合
物とを反応させることにより新規包接化合物を得る。 【効果】種々の有機化合物が包接化され、極めて容易か
つ効率的に製造できる新規包接化合物を提供することが
できた。該化合物は、包接化によりゲスト化合物の選択
分離、化学的安定化、不揮発化、粉末化が可能となるの
で、幅広い技術分野へ適用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規包接化合物に係
り、更に詳しくはテトラキス(ヒドロキシフェニル)エ
タンをホスト化合物とする包接化合物及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】包接化合物は、ホスト分子の空洞内にゲ
スト分子が入り込んだ構造を有する化合物であり、選択
分離、化学的安定化、不揮発化、粉末化などの技術分野
における利用が期待されている。従来の包接化合物の製
造方法としては、ホスト化合物を溶媒に溶解した溶液
を、ゲスト化合物を含んだ溶液に添加して反応させて得
る方法が一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明は、新規
な包接化合物を提供すること、また同時に従来の包接化
合物の製造方法における次に挙げる製造上の諸問題点、 1) 溶媒の種類によっては包接化合物を生成しない 2) ゲスト分子を包接せずに溶媒を包接し、溶媒包接化
合物が得られる 3) 包接化合物を生成する溶媒であっても、ゲスト分子
の包接化合物を析出させるためには、温度,ホスト/ゲ
スト仕込み比及び濃度,攪拌等の条件が限定されるた
め、条件設定が難しい。 4) 固液分離後の反応廃液の処理が必要である。 5) 有機溶媒使用時には、人体及び作業環境を保護する
ための設備を要する。 6) ホスト化合物ベースでの回収率が100%とならな
い。 を解決し、溶媒を使用することなしに、簡単でかつ効率
的な包接化合物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、特定のテトラキス(ヒ
ドロキシフェニル)エタン類のホスト化合物を、直接ゲ
ストとする有機化合物の含有液に入れて反応させること
により、新規な包接化合物が極めて効率的に生成するこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0005】以下本発明を詳細に説明する。 (ホスト化合物)本発明において用いるテトラキス(ヒ
ドロキシフェニル)エタンのホスト化合物としては、一
般式〔I〕で表される化合物を挙げることが出来る。
【0006】
【化2】
【0007】具体的な例として、1,1,2,2−テト
ラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、「T
EP−DF」と略記する。)および、1,1,2,2−
テトラキス(m−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げ
られる。中でもTEP−DFは、得られる包接化合物が
常温で固体であり、取り扱いが容易なことから特に好ま
しい。
【0008】(ゲスト化合物)本発明において用いるゲ
スト有機化合物としては、前記テトラキス(ヒドロキシ
フェニル)エタンをホスト化合物する包接化合物を形成
し得るものであれば良く特に制限されない。具体的な例
としては、メタノール、エタノール、i−プロパノー
ル、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアル
コール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベン
ズアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル
類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテ
ル類及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類等を例示することができる。
【0009】本発明の化合物は、前記ゲスト有機化合物
若しくはゲスト有機化合物を含有する溶液とホスト化合
物であるTEP−DFとを、常温〜100℃で数分間〜
数時間攪拌して反応させることにより、ゲスト有機化合
物がホスト化合物に容易に包接され、新規包接化合物と
して得ることができる。
【0010】該包接化合物は、減圧下で加熱すると容易
にゲスト化合物を放出すること、更にホスト化合物は水
を包接しないことから、その性質を利用して水とこれら
ゲスト化合物の混合物からの分離回収に利用することが
できる。
【0011】
【作用】本発明によって、ゲスト有機化合物と粉末ホス
ト化合物とを反応することにより、有機化合物をゲスト
分子とする包接化合物が高選択率及び高収率で生成され
る。本発明の方法によれば、ホスト化合物を溶解するた
めの有機溶媒等の必要性がないため、溶媒使用に起因す
る製造上の諸問題が解消される。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説
明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何等制
限されるものではない。
【0013】(1)包接化合物の製造 (試料:A−1〜A−18)ホスト化合物としてTEP
−DF(旭有機材工業製)2.51mmol( 1.0g)を、ゲスト
としたい有機化合物10ml中に加えて、TEP−DFが
完全に溶解するまで加温攪拌した。TEP−DFが完全
に溶解した後さらに所定の時間反応させた後、直ちに濾
過し、この濾液を室温で放置して結晶を析出させた。こ
の析出物を瀘別後、室温にて真空乾燥を行い、本発明化
合物である試料、A−1〜A−6を得た。
【0014】(試料:A−7〜A−11)ホスト化合物と
して、TEP−DF(旭有機材工業製)2.51mmol( 1.0
g)を、ゲストとしたい有機化合物10ml中に加えて、
有機化合物が煮沸するまで加熱攪拌した。さらに還流下
で所定の時間反応させ、反応液を室温にて放冷して結晶
を析出させた。結晶を瀘別し、室温にて真空乾燥を行
い、本発明化合物である試料、A−7〜A−11を得た。
【0015】(試料:A−12)n−プロパノール:水
=1:1v/v混合溶媒10ml中にTEP−DF(旭
有機材業製)1.0g(2.51mmol)を加え、T
EP−DFが完全に溶解するまで加温攪拌した。TEP
−DFが完全に溶解した後さらに所定の時間反応させた
後、直ちに濾過し、この濾液を室温で放置して結晶を析
出させた。この析出物を濾別し室温にて真空乾燥して、
白色結晶である試料:A−12を得た。
【0016】(試料:A−13,A−14)ゲストとな
る有機化合物(酢酸エチル,1,4─ジオキサン)10
ml中に、TEP−DF1.0g(2.51mmol)
を加え、TEP−DFが完全に溶解するまで加温攪拌し
た。TEP−DFが完全に溶解した後さらに所定の時間
反応させた後、直ちに濾過し、この濾液を室温で放置し
て結晶を析出させた。この析出物を濾別後、室温にて真
空乾燥して、本発明の化合物である試料:A−13,1
4を得た。
【0017】(試料:A−15,16)ゲストとしたい
有機化合物(ジエチルアミン,トリエチルアミン)5m
lにTEP−DF1.0g(2.51mmol)を加
え、有機化合物が煮沸するまで加熱攪拌した後、反応液
を室温まで放冷して結晶を析出させた。結晶を濾別後、
室温にて真空乾燥して、本発明の化合物である試料:A
−15,16を得た。
【0018】(試料:A−17)メタノール5ml中に
TEP−DF(旭有機材業製)1.0g(2.51mm
ol)を加えTEP−DFが完全に溶解するまで加温攪
拌した。TEP−DFが完全に溶解した後、ベンズイミ
ダゾール1.2g(4.0mmol)を徐々に添加し
て、50℃で10分攪拌した後、直ちに濾過し、この濾
液を室温で放置して結晶を析出させた。この析出物を濾
別した後、室温にて真空乾燥して白色結晶物の試料:A
−17を得た。
【0019】(試料:A−18)i─プロパノール5m
l中にTEP−DF(旭有機材業製)1.0g(2.5
1mmol)を加え、TEP−DF(旭有機材業製)が
完全に溶解した後、ここへベンズイミダゾール1.2g
(4.0mmol)徐々に添加し、80℃で10分攪拌
しながら反応させた後、直ちに濾過し、この濾液を室温
で放置して結晶を析出させた。この析出物を濾別後、室
温にて真空乾燥して白色結晶物の試料:A−18を得
た。
【0020】得られた試料:A−1〜A−18の製造条
件、得られた包接化合物のゲスト/ホストmol比及び
ゲストの再放出温度を表1に纏めて示した。
【0021】
【表101】
【0022】
【表102】
【0023】前記方法によって得られた各試料は、IR
スペクトル、1 HーNMRスペクトル、X線回折、DT
A、HPLC及びTLC上の挙動により、包接体である
ことが確認された。
【0024】例えば、添付した本発明の包接化合物Aー
1のIRスペクトル図1において、包接化に伴うヒドロ
キシル基吸収が3600cm-1付近に観測され、図2に
おいて、ゲスト化合物であるアセトンのカルボニル基吸
収が1689cm-1に観測され、また、図3において
は、ゲスト化合物であるアセトニトリルのシアノ基吸収
が2294cm-1及び2263cm-1に観測される。更
に、図12〜図14に示すX線回折図から、試料Aー
1、Aー7及びAー10は結晶性物質であることがわか
るので、Aー1、Aー7及びAー10はいずれも包接化
合物であることが確認された。
【0025】なお、得られた試料:A−1、A−7、A
−10、A−12〜A−18及び原料のホスト化合物で
あるTEP−DFの赤外線吸収(IR)スペクトルを図
1〜図11にそれぞれ示した。IRスペクトルはすべて
KBr法により測定した。
【0026】また、得られた試料A−1、A−7、A−
10及びTEP−DFのX線回折図を図12〜図15に
それぞれ示した。
【0027】
【発明の効果】本発明のテトラキス(ヒドロキシフェニ
ル)エタン類をホスト化合物とした新規包接化合物は以
下の特徴を有する。 1) 種々の有機化合物がゲスト化合物として極めて容易
に包接される。 2) 常温付近に沸点を有する化合物を包接することによ
り、揮発の制御が可能となる。 3) 水に混入している有機化合物を、選択的に包接体と
して回収することが可能になる。 4) 蒸留等で分離不可能な、同一沸点を有する有機化合
物の混合液から、目的とする化合物を選択的に包接体と
して分離回収することができる。 5) ゲスト分子として取り込んだ化合物を、加熱により
簡単に分離回収することができる。 6) 包接体は常温で固体であるため、打錠成型も可能で
あり極めて取扱いが容易である。 従って、本発明は、幅広い範囲の有機化合物を包接化し
た包接化合物に関し、かつ取扱の容易な新規包接化合物
及びその製造方法を提供するものであり、その産業上に
おける意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料A−1の赤外線吸収スペクトル
【図2】試料A−7の赤外線吸収スペクトル
【図3】試料A−10の赤外線吸収スペクトル
【図4】試料A−12の赤外線吸収スペクトル
【図5】試料A−13の赤外線吸収スペクトル
【図6】試料A−14の赤外線吸収スペクトル
【図7】試料A−15の赤外線吸収スペクトル
【図8】試料A−16の赤外線吸収スペクトル
【図9】試料A−17の赤外線吸収スペクトル
【図10】試料A−18の赤外線吸収スペクトル
【図11】TEP−DFの赤外線吸収スペクトル
【図12】試料A−1のX線回折図
【図13】試料A−7のX線回折図
【図14】試料A−10のX線回折図
【図15】TEP−DFのX線回折図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 31/12 6958−4H 31/27 6958−4H 47/09 9049−4H 47/54 9049−4H 49/08 J 6917−4H 255/03 6917−4H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕で示されるテトラキス(ヒド
    ロキシフェニル)エタンをホスト化合物とすることを特
    徴とする包接化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン
    のホスト化合物とゲスト有機化合物とを反応してなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の包接化合物の製造方法。
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